JP2006120298A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 起動時動作性及び耐久性に優れ、しかもスピンオフ特性に優れた磁気記録媒体を得る。
【解決手段】 非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層した磁気記録媒体であって、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて保護膜層または潤滑剤層を表面処理し、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域63に選択的に前記プラズマによる処理を施した磁気記録媒体。
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気ディスク装置などの磁気記録装置に用いられる磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
情報処理装置の記憶装置として用いられる磁気記録装置であるハードディスク装置は、再生記録用の磁気ヘッドと、磁性層を有する磁気記録媒体である磁気ディスクを備えている。磁気ディスクにおいて磁性層は、強磁性金属またはその合金をスパッタ、蒸着、無電解メッキなどによって非磁性基板上に被着させて形成される。ハードディスク装置には、通常、情報の記録、再生方式としていわゆるCSS(Contact Start Stop)方式が採られている。CSS方式を採用したハードディスク装置では、起動時において磁気ヘッドが磁気ディスク(以下、ディスクと呼ぶこともある。)に接触した状態にあり、ディスクが回転を開始すると磁気ヘッドがディスク上を摺動し、ディスクの回転速度が高まると磁気ヘッドがディスクから浮上し、この状態で記録再生が行われる。停止時において磁気ディスクの回転速度が低下する際には再び磁気ヘッドがディスク上を摺動する。
磁気ディスクでは、磁気ヘッドとの接触摺動による摩耗損傷に起因して磁気ディスクの耐久性が劣化するのを防ぐため、磁性層上に保護膜層や潤滑剤層を設けて磁気ディスクの耐摩耗性を向上させ、磁気ヘッドと磁気ディスクが接触摺動する際の静摩擦および動摩擦を低減させることが行われている。上記保護膜層としては、従来より、炭素質膜、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなどの酸化物膜、窒化物膜、ホウ素化物膜などが一般的に使用されている。また、上記潤滑剤層は、一般に、液状のパーフロロポリエーテル化合物などの潤滑剤をディスク表面に塗布することにより形成されている。
磁気ディスクでは、一般に、潤滑剤層中のフリーな易動性分子、および保護膜層表面への潤滑剤層中の結合分子の量や性質が耐摩耗性に重要な影響を及ぼす。例えば潤滑剤層中に易動性分子が多すぎると、ディスクの静摩擦係数が増加し、磁気ヘッドとディスクとの間に吸着現象(いわゆるスティクション)が起こりやすくなり、少なすぎると磁気ディスク表面の動摩擦係数が増加し潤滑性が低くなり、ヘッドクラッシュが起こりやすくなる。
スティクションを軽減させるためには、ディスク表面にテクスチャーと呼ばれる一定の粗さを持たせたり、レーザテクスチャーと呼ばれるレーザ光を照射することにより形成される高さの低い突起を持たせることにより、ヘッドとディスクの接触面積を減らすことが行われている。しかし、近年の高記録密度化を達成するためには、磁気ヘッドのディスク上の飛行高さは25nm以下と非常に低くなってきている。したがって、ドライブ起動中のディスクとヘッドの接触を避けるためには、ディスク表面を極力平滑にし、レーザテクスチャーにより形成される突起高さも低くする必要性がある。しかしながら、このようにすると、スティクションは逆に悪化してしまう。レーザテクスチャーにより形成された突起だけではスティクションの軽減には十分ではなく、上述したように、潤滑剤層中のフリーな易動性分子、および保護膜層表面への潤滑剤層中の結合分子の量や性質のコントロールが合わせて必要になる。
また、記録密度の向上のため、記録再生時においてディスクの回転速度を高速化することも行われている。回転速度を高速化する場合には、遠心力により潤滑剤が飛散する、いわゆるスピンオフ現象が生じ、これにより潤滑剤層の膜厚が減少してしまう問題が生じることがある。スピンオフ現象を防ぎ耐久性を高めるためにも、保護膜層との結合力を高めることが望まれている。すなわち、潤滑剤層中に易動性分子を少なくする必要性がある。
潤滑剤と保護膜層との結合力を表す指標としては、ボンディッドレシオ(Bonded ratio)がある。これは、潤滑剤層が形成された磁気ディスクをフッ素系溶剤(例えば旭硝子株式会社製AK225など)で洗浄したときに残留した潤滑剤の割合(%)を示した数値であり、潤滑剤層の保護膜層に対する結合力の目安となるものである。
CSS方式を採用したハードディスク装置では、CSSが行われる範囲(CSS領域)と記録再生が行われる範囲(記録領域)とに分けられる。例えば外径95mm、内径25mmの磁気記録媒体においては、一例として、半径17〜20mmの範囲がCSS領域、半径20mm〜47mmが記録領域として使用されている。
CSS領域においては、静摩擦係数と動摩擦係数のバランスを取ることが重要であり、一般的にはボンディッドレシオが30〜60%であることが好ましいとされている。一方、記録領域においては、スピンオフ現象を防ぐために、一般的にはボンディッドレシオが70%以上であることが好ましいとされている。
潤滑剤の塗布は、一般的に、浸漬法やスピンコート法を用いて実施される。これらの方法は全面を均一に塗布するには優れた方法であるが、CSS領域と記録領域のボンディッドレシオを変化させて塗布することには適さない。
この目的を達成するためにいくつかの方法が提示されている。例えば特開平8−227519号公報おいては、潤滑剤を全面に塗布したのち、記録領域の潤滑剤のみを溶媒を用いて除去し、再度、潤滑剤を塗布する方法が開示されている。また、特開2001−216627号公報においては、紫外線を記録領域に選択的に照射する方法が開示されている。
特開平8−227519号公報 特開2001−216627号公報
しかしながら、特開平8−227519号公報のように、溶媒をもちいて潤滑剤を除去する方法は、液面のゆれによりCSS領域と記録領域の境界領域がばらついてしまい、制御性に問題がある。また、紫外線を照射する方法では、保護膜に対するダメージが大きく、磁気記録層中に含まれるコバルトなどの金属成分がイオン化して保護膜表面に拡散して信頼性の低下を招いてしまう。
また上記課題の他にも、磁気記録媒体のコロージョンに対する耐性も要求される。
磁気記録媒体に用いる非磁性基板には、主としてAl基板にNiPメッキを施したものや、ガラス基板が用いられLi,Naを含んでいる。また磁性層にはCo系合金が用いられている。Ni,Li,Na,Coは緻密な保護膜があれば、磁気記録媒体の表面に析出してくることは無い。しかしながら、保護膜が緻密でなかったり、小さなピット等が発生してしまうと、そこから、Ni,Li,Na,Coなどの元素が酸化物、水酸化物を生成し磁気記録媒体の表面に析出してきてしまう。これをコロージョンという。
コロージョンの形状にはさまざまものがあるが、その高さが25nmをこえてしまうことが多い。一般的にはコロージョンの高さは100〜10000nmである。したがって、コロージョンが発生するとヘッドはコロージョンに衝突してしまい、ヘッドクラッシュしてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、起動時動作性及び耐久性に優れ、しかもスピンオフ特性に優れた磁気記録媒体、この磁気記録媒体を製造する方法およびその製造装置を得ることを目的とする。
上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、大気圧近傍の圧力下で正弦波の高周波電源を用いて発生するプラズマによって活性化された処理ガスを用いて、保護膜あるいは潤滑剤層を記録領域にのみ選択的に表面処理することにより、記録領域において潤滑剤分子および/または保護膜層表面が活性化され、潤滑剤と保護膜層との間の結合力が高められることができるばかりでなく、コロージョン特性が向上することを知見した。
すなわち、上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1) 非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層する磁気記録媒体の製造方法であって、大気圧近傍の圧力下で正弦波の高周波電源を用いて発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて保護膜層を表面処理する際、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域に選択的に前記プラズマによる処理を施すことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層する磁気記録媒体の製造方法であって、大気圧近傍の圧力下で正弦波の高周波電源を用いて発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて潤滑剤層を表面処理する際、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域に選択的にプラズマ処理を施すことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記電源の周波数が、1kHz〜100kHzの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4) 前記プラズマがグロー放電プラズマであることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5) 前記ガスが、窒素、酸素、アルゴンからなる群から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(6) 前記大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマが、対向する電極間に電界を印加することにより発生するプラズマであることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(7) 前記対向する電極を、前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板に対して垂直に配置することを特徴とする(6)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(8) 前記対向する電極間に、前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板を配置して前記保護膜層の表面処理を行うことを特徴とする(6)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(9) 前記対向する電極間に、前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板を配置して前記潤滑剤層の表面処理を行うことを特徴とする(6)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(10) 前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板の両面に、前記活性化されたガスを用いる表面処理を同時に施すことを特徴とする(1)ないし(9)のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(11)(1)ないし(9)のいずれか1項に記載の製造方法で製造された磁気記録媒体であって、 潤滑剤層のボンディッドレシオが、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域において70%以上であり、かつ磁気ヘッドが摺動する領域であるCSS領域において30〜60%であることを特徴とする磁気記録媒体。
(12)(1)ないし(10)のいずれか1項に記載の製造方法で製造された磁気記録媒体であって、 磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域における潤滑剤層のボンディッドレシオBと、磁気ヘッドが摺動する領域であるCSS領域における潤滑剤層のボンディッドレシオBとの差B−Bが10%以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
(13) 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が(11)または(12)に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
(14) 大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させて活性化したガスを形成し、活性化したガスを、非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板の表面に照射する機能を有することを特徴とする表面処理装置。
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、起動時動作性及び耐久性に優れ、表面潤滑性が良好であり、さらにコロージョン特性が良好な磁気記録媒体を製造できる。
本発明の磁気記録媒体は、起動時動作性及び耐久性に優れ、しかもスピンオフ特性、コロージョン特性が良好である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す断面図である。
本実施形態の磁気記録媒体は、非磁性基板1上に、下地層2、中間層3、磁性層4、保護膜層5が順次積層され、最上層に潤滑剤層6が設けられて構成されている。
非磁性基板1の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料、ガラス、セラミック、チタン、カーボン、シリコンなどの無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、環状炭化水素基含有ポリオレフィンなどの高分子化合物などを用いることができる。また、これら基板表面には、NiP、NiP合金、他の合金から選ばれる1種以上の膜をメッキ、スパッタ法などにより蒸着させることもできる。
下地層2の材料としては、Ti,Mo,Al,Ta,W,Ni,B,Si、MnおよびVから選ばれる1種もしくは2種以上とCrとからなるCr合金、またはCrで構成することができる。
下地層2を多層構造の非磁性下地層とする場合には、非磁性下地層を構成する構成層のうち少なくとも1つを上記Cr合金またはCrで構成することができる。
上記非磁性下地層は、NiAl系合金、RuAl系合金、またはCr合金(Ti,Mo,Al,Ta,W,Ni,B,SiおよびVから選ばれる1種もしくは2種以上とCrとからなる合金)で構成することもできる。
非磁性下地層を多層構造とする場合には、非磁性下地層を構成する構成層のうち少なくとも1つをNiAl系合金、RuAl系合金、または上記Cr合金で構成することができる。
中間層3の材料としては、Co合金のエピタキシャル成長を助長する目的として、Coを主原料としたCo合金であって、hcp構造である非磁性材料とするのが好ましい。例えば、Co−Cr系、Co−Cr−Ru系、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Zr系合金から選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
磁性層4の材料としては、Coを主原料としたCo合金であって、hcp構造である材料とするのが好ましい。例えば、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B系、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金から選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
保護膜層5としては、プラズマCVD法により形成されたCVDカーボン、非晶質カーボン、含水素カーボン、含窒素カーボン、含フッ素カーボンなどのカーボン系材料、シリカ、ジルコニアなどのセラミック系材料を用いることができる。なかでも、硬く緻密なCVDカーボンが、耐久性の面ばかりでなく経済性、生産性などの面から好適に用いられる。保護膜層5の膜厚は、薄いと耐久性が低下し、厚いと記録再生時の損失が大きくなるため、10〜150Å(1〜15nm)、好ましくは20〜60Å(2〜6nm)に設定される。
最上層である潤滑剤層6は、重合性不飽和基含有パーフロロポリエーテル化合物の重合物を含むものである。重合性不飽和基含有パーフロロポリエーテル化合物としては、主鎖であるパーフロロポリエーテルの少なくとも一端に、重合性を有する不飽和結合を持つ有機基が結合されてなる化合物を挙げることができる。また重合性基を有する潤滑剤を用いる場合には、必要に応じて、市販のアゾ系重合開始剤、パーエステル系重合開始剤、パーアルコール系重合開始剤などの光重合開始剤やベンゾフェノン等の光増感剤を添加することも可能である。
そして、保護膜5あるいは潤滑剤層6の記録領域に、後述のプラズマによって活性化されたガス(処理ガス)を用いる表面処理が施されたものである。
図2に示すように、この実施形態の磁気記録媒体は、環状の記録領域63と、その内周側の非記録領域60とを有する。記録領域63は、磁気記録層への記録、およびここからの再生が行われる領域であり、非記録領域60は、磁気記録層における記録再生が行われない領域である。非記録領域60は、外周側のCSS領域62と、その内周側の最内周領域61に分けられる。CSS領域62は、CSS時に磁気ヘッドが摺動する領域である。
本実施形態の磁気記録媒体では、潤滑剤層6のボンディッドレシオが、記録領域63において70%以上、好ましくは80%以上とされている。このボンディッドレシオが上記範囲未満であると、スピンオフ特性が低下する。
また、潤滑剤層6のボンディッドレシオは、磁気ヘッドが摺動するCSS領域62において30〜60%、好ましくは30〜50%とされている。このボンディッドレシオが上記範囲未満であると、潤滑剤の磁気ヘッドへの付着が起こりやすくなる。またボンディッドレシオが上記範囲を越えると、潤滑剤層中の易動性分子が少なくなり、表面潤滑性が低下しCSS特性が低下する。
また、本実施形態の磁気記録媒体では、記録領域63における潤滑剤層6のボンディッドレシオBと、CSS領域62における潤滑剤層6のボンディッドレシオBとの差B−Bを10%以上(好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上)とするのが好ましい。この差が10%未満であると、記録領域63においてスピンオフ特性が低下するか、または非記録領域60において、潤滑剤層中の易動性分子が少なくなり、表面潤滑性が低下しCSS特性が低下する。
本発明の磁気記録再生装置は、上記プラズマ処理による活性化されたガスにより表面処理が施された保護膜5あるいは潤滑剤層6を有する上記実施形態の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとが備えられてものである。
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の例について説明する。
まず、非磁性基板1上に下地層2、中間層3、磁性層4、保護膜層5を形成する。その後に、保護膜層5のうち、磁性層4の記録領域に相当する部分に、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いる表面処理を施す。その後、潤滑剤を塗布して潤滑剤層6を形成する。上記プラズマは、グロー放電プラズマであることが好ましい。
あるいは、非磁性基板1上に下地層2、中間層3、磁性層4、保護膜層5を形成後に、潤滑剤を塗布し、この潤滑剤に対し、磁性層4の記録領域に相当する部分に、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いる表面処理を施し、ついで潤滑剤層6を形成してもよく、いづれも可能である。上記プラズマは、グロー放電プラズマであることが好ましい。
ここでの表面処理に用いられる表面処理装置としては、大気圧近傍付近の圧力下で安定にプラズマを発生することができる電源として、正弦波の高周波電源を用いてプラズマを発生させるプラズマ発生ユニットを用いることができる。
例えば、常圧プラズマ表面改質ユニット(イースクエアー製)や大気圧プラズマクリーニングヘッド(松下電工製)などを用いることができる。
大気圧近傍付近の圧力下とは、1.3×10〜13×10Paの圧力を指す。とりわけ、大気圧付近の9.9×10〜10.3×10Paの圧力とすることが、圧力調整が容易であり、装置構成が簡便になるので好ましい。
このような表面処理装置について、図3ないし図6を用いて説明する。
図3に示した表面処理装置は、主として、対向する一対の電極板(対向する電極)21a,21b、電極板21a,21b間に酸素、窒素、アルゴンなどのガスを供給するためのガス導入口22、対向電極21a、21b間に電界を印加するプラズマ発生電源23、被処理基板25を保持し、これを往復動させるための基板ホルダ26によって構成されている。
被処理基板25は、非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層、表面処理前の潤滑剤層を形成したものであり、本実施形態の場合、非磁性基板1上に、下地層2、中間層3、磁性層4、保護膜層5、表面処理前の潤滑剤層を形成したものである。
この表面処理装置は、大気圧近傍の圧力下で、一対の板状の電極板21a,21b間に電界を印加することによりプラズマを発生させて活性化したガスを形成し、活性化したガスを被処理基板25の表面に照射する機能を有している。
各電極板の材料としては、鉄、銅、アルミニウム、およびそれらの合金がいづれかが用いられる。対向電極間距離は、0.1〜50mmが好ましいが、プラズマ放電の安定性を考慮すると0.1〜5mmがより好ましい。
各電極板は誘電体で覆われているとより好ましい。電極を誘電体で覆うことにより、電極を構成する金属がプラズマによって酸化や窒化することを防止することができる。誘電体の材質としては、酸化アルミニウム(Al)などの酸化物を使用することが好ましい。
電極板21a,21b間にかける電界としては、正弦波の高周波が用いられる。正弦波の周波数が1〜100kHz、とりわけ、10〜50kHzにすることがプラズマ放電の安定性を考慮すると好ましい。
本発明において、正弦波を用いることの利点は以下の理由による。
正弦波とパルス波を比較した場合、通常プラズマ放電に用いられるパルス波はデューティー比が低いためにピーク電圧を高くする必要性がある。例えば、通常プラズマ放電に用いられる条件として、周波数10kHz、パルス幅10μsec(デューティー比10%)、ピーク電圧30000Vとなっている。一方、正弦波の場合は、正弦波ではあるが連続的に電圧を印加できるので、ピーク電圧を低くすることができる。例えば、周波数10kHzの場合、ピーク電圧10000Vとなっている。
ピーク電圧とコロージョンの関係は解明されているわけではないが、ピーク電圧が高い方がマイクロアーキングが起きやすいことは容易に想像できる。コロージョンが起きる理由にはさまざまものがあるが、保護膜に小さなピットが形成されると、そこから基板や磁性層に含まれるNi、Li,Na、Coなどが保護膜表面上に拡散してしまうことは広く知られている。マイクロアーキングが起きると、保護膜に小さなピットが生じてしまい、これによりコロージョンが発生すると考えられる。
正弦波の高周波を使用する場合、負荷側である電極と供給側である電源との間にインピーダンス・マッチングを取ることが好ましい。インピーダンス・マッチングが取れていないと反射波が発生してしまい動作が不安定になりマイクロアーキングが起こりやすくなる。
電極側のインピーダンスは反応ガス種(窒素、酸素、アルゴン、又は、それらの混合ガス)、処理基板の材質や大きさなどにより変動する場合がある。この場合は、PLL回路を用いて、電極側のインピーダンス変化に対応させて、電源側の発振周波数を変化させてインピーダンス・マッチングをとることができる。なお、PLL回路とは位相同期回路のことであり、ある周波数の信号の位相に同期した新たな信号を生成するための回路のことであり、高周波回路の安定動作に使用される技術の一つである。
電極21a,21b間に供給されるガスとしては、窒素、酸素、アルゴン、またはそれらの混合ガスをもちいることが好ましい。大気圧近傍付近の圧力下で用いるために、ガスの消費量は大きいので、廉価である窒素、酸素または、窒素と酸素の混合ガスを用いることがより好ましい。
図3においては、一対の電極板21a,21bは表面処理前の潤滑剤層(被処理基板25)に対して垂直に配置されている。プラズマは電極間で発生するが、広がりをもっているので電極間からはみだした部分にもプラズマ状態が発生している。対向する電極21a、21bの一方の端部と潤滑剤層(被処理基板25)までの距離は、0.1〜5mmにすることが好ましい。0.1mm未満であると被処理基板25は電極板にぶつかってしまう恐れがあるので好ましくない。5mmを超えるとプラズマが広がりすぎて効果が大幅に低下するので、表面処理の効果が得られない。大気圧近傍の圧力下で、一対の電極21a,21b間に供給されたガスは、この電極間に発生プラズマによって活性化されて処理ガスとされ、この処理ガスは分子密度が極めて高いために、分子同士の衝突が頻繁に生じ活性が高くなり、潤滑剤膜の表面処理に適する。
被処理基板25を基板ホルダ26によって適宜移動させ、記録領域に相当する部分の潤滑層または保護膜層を処理する。
図3に示した表面処理装置では、被処理基板25全面を表面処理するには適しているが、CSS領域と記録領域を分けてプラズマ処理するには適していない。このためには、図4に示した装置を採用することが好ましい。
図4ないし図6は、いずれも表面処理装置の他の形態を示すもので、図3に示す構成部分と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
図4において、被処理基板25は、スピンドル36に固定されて回転した状態でプラズマ処理部に挿入され、移動可能となっている。搬送速度は10〜6000mm/分にすることが好ましい。高スループット化、表面処理の効果を考慮すると100〜3000mm/分にすることがより好ましい。
搬送方法は、被処理基板25が移動しても、プラズマ発生ユニットが移動してもいずれも可能である。被処理基板25を回転させるのは、均一に処理を施すことが目的であるので、回転数は100rpm以上にすることが好ましい。100rpm未満では、搬送速度に対して遅すぎるので処理むらが発生してしまう。回転数の上限には特に制約はないが、スピンドルのコスト、安定性を考慮すると、5000rpm以下であることが好ましい。
プラズマ処理を施さないCSS領域は、記録領域の内周にあるので、CSS領域の直前で処理を止めれば、容易に記録領域にのみプラズマ処理が施された被処理基板を作成することができる。ただし、プラズマ処理自体は任意にON/OFFできるので、特にCSS領域が内周でなくとも処理は可能である。
磁気記録媒体が、その両面を記録に使用するものの場合では、図5に示すように、被処理基板25の両側に、図4と同様のプラズマ発生ユニットを配置し、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いる表面処理を被処理基板の両面に施すことが好ましい。
また、図6に示す処理装置のように、対向する一対の電極板21a,21b間に被処理基板25を通過させることにより、被処理基板25の潤滑剤層を表面処理することも可能である。この場合、プラズマ密度が高いのでより強い表面処理を施すことができる。この場合、一方の電極21aの内部にガス流路37、38を形成して、ここにガスを流すようにする。
本実施形態の製造方法によれば、記録領域に選択的にプラズマによる処理を施すので、この領域において潤滑剤分子と保護膜層表面とが活性化され、これら潤滑剤と保護膜層との間の結合力が高められる。このため、記録領域において、潤滑剤中の易移動性分子が減少し、ボンデッドレシオを高めることができる。よって、記録再生時に潤滑剤の一部が分離して磁気ヘッドに付着することが防止され、フライシティクション特性、スメア特性を向上させることができる。
また、CCS領域を含む非記録領域には、プラズマによる処理が施されないので、この領域では潤滑剤層中の易移動性分子が多くなり、その結果、表面潤滑性が高く、十分なCCS特性が得られる。
したがって、フライシティクション特性、スメア特性に優れ、しかもCCS特性にも優れた磁気記録媒体を製造することができる。
また、本実施形態の磁気記録媒体では、潤滑剤層のボンディッドレシオが、記録領域において70%以上であり、かつCSS領域において30〜60%であるので、記録領域において潤滑剤の磁気ヘッドへの付着が防止され、フライシティクション特性、スメア特性が向上し、CCS特性を高めることができる。
また、記録領域における潤滑剤層のボンディッドレシオB1とCSS領域における潤滑剤層のボンディッドレシオB2との差B1−B2が10%以上であるため、記録領域において潤滑剤の磁気ヘッドへの付着を防ぎ、フライシティクション特性、スメア特性を向上させるとともに、CCS領域に十分な表面潤滑性を与え、CCS特性の向上を計ることができる。
(実施例1〜17、比較例1〜3)
NiPメッキ膜を有するアルミニウム合金基板(直径95mm、内径25mm、板厚1.27mm)を十分に洗浄し乾燥した後、レーザを用いて半径17mmから19mm(CSSゾーン)にかけて照射し、高さ10nmの突起を形成させた。その後、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社(日本)製C3010)内にセットした。真空到達度を2×10−7Torr(2.7×10−5Pa)まで排気した後、基板を250℃に加熱した。
加熱後、非磁性下地層として、Crからなるタ−ゲットを用いて厚さ5nmになるように積層した。
さらに、非磁性下地層として、Cr−Mo合金(Cr:80at%、Mo:20at%)からタ−ゲットを用いて厚さが5nmになるように積層した。次いで、非磁性中間層としてはCo―Cr合金(Co:65at%、Cr:35at%)からなるタ−ゲットを用いて厚さが2nmになるように積層した。次いで、磁性層としてCo−Cr−Pt−B合金(Co:60at%、Cr:22at%、Pt:12at%、B:6at%)からなるタ−ゲットを用いて磁性層であるCoCrPtB合金層を20nmの膜厚で形成し、プラズマCVD装置を用いてCVDカーボンからなる保護膜を厚さが5nmになるように積層し、被処理基板とした。成膜時のAr圧は6mTorr(0.8Pa)とした。
表面処理装置としては、常圧プラズマ表面改質ユニット(イースクエアー製)を用いて、図4に示す形態で被処理基板の保護膜層を表面処理した。プラズマ発生電源には正弦波高周波電源を用いた。電源出力は1kWとした。本表面処理装置はPLL回路を搭載しているので、共振を防ぐために周波数を変動させている。したがって、正弦波の周波数は12−17kHzの間でコントロールされる。搬送時間、窒素流量、酸素流量、対向電極の一方の端部(被処理基板に近い方の端部)から被処理基板の保護膜までの距離を表1に示すように変化させた。プラズマ処理は外周から半径20mmまで実施した。被処理基板の回転数は1000rpmとした。
上記表面処理後、保護膜層上にパ−フルオロポリエ−テルからなる潤滑剤を0.05重量%に調整して、ディッピング法により引き上げ速度3mm/secで塗布し、磁気ディスク(サンプル)を得た。なお、このときの溶媒はフッ素系溶剤AK225(旭硝子製)を使用した。なお、比較のために保護膜層に上記表面処理を施さない以外は上記方法と同様にしてサンプルを作成し、比較例1とした。また、実施例3と同じプラズマ処理をCSS領域も行ったサンプルを作成し、比較例2とした。
プラズマ処理を実施する代わりに、紫外線処理を実施したサンプルを作成し、比較例3とした。紫外線処理条件としては、エキシマランプ(ウシオ電機社製)を用いて紫外線(波長172nm(半値幅14nm)の単色光、照度10mW/m)を照射した。紫外線照射は窒素雰囲気下で行った。紫外線照射は全面にできるので、記録領域までいっぺんに搬送し、30秒間照射を行った。被処理基板の回転数は1000rpmとした。潤滑剤の塗布条件は実施例と同様である。
作製した各種のサンプルの潤滑剤膜厚をFTIRを用いて測定した。その結果を表1に示す。また、潤滑剤層の保護膜層に対する結合力の目安として、ボンディッドレシオを次のようにして測定した。上記磁気ディスクを、フッ素系溶剤AK225(旭硝子製)に15分間浸積して表面を洗浄し、洗浄前後の潤滑剤層の厚さをFTIRを用いて測定し、洗浄前の潤滑剤層厚さに対する洗浄後の潤滑剤層厚さをボンディッドレシオ(%)とした。
結果を表1に示す。潤滑剤膜厚、ボンディッドレシオはCSS領域(r=18mm)、記録領域(r=30mm)にて、それぞれ測定を実施した。
動摩擦係数の測定を実施した。CSS(Contact Start Stop)耐久テストを温度25℃、湿度60%RHの条件で行った。このテストでは、CSSテスタを用い、磁気ヘッドには標準のMRヘッド(DLCコーティング、30%スライダ、荷重2.5g)を用いて1万回のCSS操作(最高回転数10000rpmでの回転(1秒維持)と静止(1秒)とを5秒間隔で繰り返す)を行った。CSS動作はCSSゾーンで実施した。1万回のCSS操作後の磁気ディスク表面の動摩擦係数を表1に示す。
静摩擦係数の測定を実施した。CSS耐久テストを温度40℃、湿度80%RHの条件で行った。このテストでは、CSSテスタを用い、磁気ヘッドには標準のMRヘッド(DLCコーティング、30%スライダ、荷重2.5g)を用いて1万回のCSS操作(最高回転数10000rpmでの回転(1秒維持)と静止(1秒)とを5秒間隔で繰り返す)を行った。CSS動作はCSSゾーンで実施した。1万回のCSS操作後の磁気ディスク表面の動摩擦係数を表1に示す。
膜厚減少率の測定(スピンオフテスト)を実施した。80℃の環境下、回転速度10000rpmで72時間にわたり回転させた。この操作の前後において、半径30mmの位置における潤滑剤層の厚さを測定し、試験前後の潤滑剤層の膜厚減少率をFTIRで測定した。結果を表1に示す。
なお、表1中、潤滑剤膜厚の欄の数値単位はオングストロームであるが、(潤滑剤膜厚の欄の数値)×0.1とすれば単位をnmにしたときの値が得られる。
コロージョン試験を実施した。温度80℃、湿度85%RHの条件に96hr間、サンプルを放置した。その後顕微鏡にてサンプル表面を観察しコロージョンスポットの数を計測した。1μm以上の大きさの異物をコロージョンスポットとして計測した。なお、コロージョン試験前には、1μm以上の大きさの異物がサンプル表面に無いことを確認の上実施している。
(比較例4)
プラズマ発生ユニットとしては、常圧プラズマ表面改質ユニット(積水化学製)を用いて図2に示す形態で被処理基板の保護膜層を表面処理した。プラズマ電源にはパルス電源を用いた。周波数は30kHz、パルス幅は10μsecとした。それ以外は実施例1と同様の処理を施した。搬送時間、N流量、O流量、対向電極の一方の端部(被処理基板に近い方の端部)から被処理基板の保護膜までの距離を表1に示すように変化させた。
(実施例18〜34、比較例5)
保護膜層にではなく、潤滑剤塗布後にプラズマ処理をした以外は、実施例1と同様の製法、評価を実施した。搬送時間、窒素流量、酸素流量、対向電極の一方の端部(被処理基板に近い方の端部)から被処理基板の保護膜までの距離を表2に示すように変化させた。
なお、比較のために潤滑剤層に上記表面処理を施さない以外は上記方法と同様にしてサンプルを作成し、比較例5とした。
(比較例6)
プラズマ発生ユニットとしては、常圧プラズマ表面改質ユニット(積水化学製)を用いて図2に示す形態で被処理基板の保護膜層を表面処理した。プラズマ発生電源にはパルス電源を用いた。周波数は30kHz、パルス幅は10μsecとした。それ以外は実施例17と同様の処理を施した。搬送時間、N流量、O流量、対向電極の一方の端部(被処理基板に近い方の端部)から被処理基板の保護膜までの距離を表1に示すように変化させた。
Figure 2006120298
Figure 2006120298
表1から分かるように、記録領域の保護膜にプラズマ処理をした場合、記録領域におけるボンディッドレシオは48%(比較例1)から80%程度(実施例)に大幅に向上している。その結果として膜厚減少率が大幅に低下し、スピンオフ特性が向上したことが分かる。また、CSS領域までプラズマ処理を行った比較例2では静摩擦係数は若干改善するものの、動摩擦係数が実施例と比較して悪化している。
表2から分かるように、記録領域の潤滑剤層にプラズマ処理をした場合、記録領域におけるボンディッドレシオは47%(比較例4)から80%程度(実施例)に大幅に向上している。その結果として膜厚減少率が大幅に低下し、スピンオフ特性が向上したことが分かる。
プラズマ処理を施さない場合、コロージョンスポットは観察されないが(比較例1)、これをパルス波を用いた常圧プラズマ表面改質ユニットを用いると、コロージョンスポットが100〜500個観察される(比較例2〜4)。一方、正弦波を用いた常圧プラズマ表面改質ユニットを用いると、コロージョンスポットは0〜6個と大幅に低減していること観察される(実施例1〜17、18〜34)。また、UV処理をした比較例3は、表1を見る限り静摩擦係数、動摩擦係数、スピンオフ特性でプラズマ処理をした実施例とほとんど同じ特性を示す。しかしながら、コロージョンスポットが500個観察され特性が悪いことが分かる。
以上の結果から、大気圧近傍の圧力下で記録領域の保護膜あるいは潤滑剤層にのみ正弦波を用いた常圧プラズマ表面改質ユニットを用いてプラズマ処理を施すことにより、記録領域の潤滑剤の密着性が向上しスピンオフ特性が改善することができる。また、CSS領域と記録領域のボンディッドレシオを別々にコントロールすることにより、静摩擦係数、動摩擦係数とスピンオフ特性の両立をはかることが可能になった。
本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す一部断面図である。 図1に示す磁気記録媒体の平面図である。 本発明の製造装置の例を示す概略構成図である。 本発明の製造装置の例を示す概略構成図である。 本発明の製造装置の例を示す概略構成図である。 本発明の製造装置の例を示す概略構成図である。
符号の説明
1・・・非磁性基板、4・・・磁性層、5・・・保護層、6・・・潤滑剤層、21a、21b・・・電極、22・・・ガス導入口、23・・・プラズマ発生電源、25・・・被処理基板、26・・・基板ホルダー、36・・・スピンドル、37、38・・・ガス流路、60・・・非記録領域、61・・・最内周領域、62・・・CSS領域、63・・・記録領域

Claims (14)

  1. 非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層する磁気記録媒体の製造方法であって、大気圧近傍の圧力下で正弦波の高周波電源を用いて発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて保護膜層を表面処理する際、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域に選択的に前記プラズマによる処理を施すことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層する磁気記録媒体の製造方法であって、大気圧近傍の圧力下で正弦波の高周波電源を用いて発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて潤滑剤層を表面処理する際、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域に選択的に前記プラズマによる処理を施すことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記電源の周波数が、1kHz〜100kHzの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記プラズマがグロー放電プラズマであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記ガスが、窒素、酸素、アルゴンからなる群から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマが、対向する電極間に電界を印加することにより発生するプラズマであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 前記対向する電極を、前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板に対して垂直に配置することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 前記対向する電極間に、前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板を配置して前記保護膜層の表面処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 前記対向する電極間に、前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板を配置して前記潤滑剤層の表面処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 前記非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板の両面に、前記活性化されたガスを用いる表面処理を同時に施すことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載された製造方法によって製造された磁気記録媒体であって、潤滑剤層のボンディッドレシオが、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域において70%以上であり、かつ磁気ヘッドが摺動する領域であるCSS領域において30〜60%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  12. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載された製造方法によって製造された磁気記録媒体であって、磁気記録層への記録再生が行われる領域である記録領域における潤滑剤層のボンディッドレシオBと、磁気ヘッドが摺動する領域であるCSS領域における潤滑剤層のボンディッドレシオBとの差B−Bが10%以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  13. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が請求項11または12に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
  14. 大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させて活性化したガスを形成し、活性化したガスを、非磁性基板上に少なくとも磁気記録層、保護膜層、潤滑剤層が形成された被処理基板の表面に照射する機能を有することを特徴とする表面処理装置。
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