JP2006085883A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 起動時動作性及び耐久性に優れ、しかも表面潤滑性が良好な磁気記録媒体の提供。
【解決手段】 非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層する磁気記録媒体の製造方法において、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて保護膜層を表面処理することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法およびこの製造方法により製造した磁気記録媒体を採用する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気ディスク装置などの磁気記録装置に用いられる磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
情報処理装置の記憶装置として用いられる磁気記録装置であるハードディスク装置は、再生記録用の磁気ヘッドと、磁性層を有する磁気記録媒体である磁気ディスクを備えている。磁気ディスクにおいて磁性層は、強磁性金属またはその合金をスパッタ、蒸着、無電解メッキなどによって非磁性基板上に被着させて形成される。ハードディスク装置には、通常、情報の記録、再生方式としていわゆるCSS(Contact Start Stop)方式が採られている。CSS方式を採用したハードディスク装置では、起動時において磁気ヘッドが磁気ディスク(以下、ディスクと呼ぶこともある。)に接触した状態にあり、ディスクが回転を開始すると磁気ヘッドがディスク上を摺動し、ディスクの回転速度が高まると磁気ヘッドがディスクから浮上し、この状態で記録再生が行われる。停止時において磁気ディスクの回転速度が低下する際には再び磁気ヘッドがディスク上を摺動する。
磁気ディスクでは、磁気ヘッドとの接触摺動による摩耗損傷に起因して磁気ディスクの耐久性が劣化するのを防ぐため、磁性層上に保護膜層や潤滑剤層を設けて磁気ディスクの耐摩耗性を向上させ、磁気ヘッドと磁気ディスクが接触摺動する際の静摩擦および動摩擦を低減させることが行われている。上記保護膜層としては、従来より、炭素質膜、SiO、ZrOなどの酸化物膜、窒化物膜、ホウ素化物膜などが一般的に使用されている。
また、上記潤滑剤層は、一般に、液状のパーフロロポリエーテル化合物などの潤滑剤をディスク表面に塗布することにより形成されている。
磁気ディスクでは、一般に、潤滑剤層中のフリーな易動性分子、および保護膜層表面への潤滑剤層中の結合分子の量や性質が耐摩耗性に重要な影響を及ぼす。例えば潤滑剤層中に易動性分子が多すぎると、ディスクの静摩擦係数が増加し、磁気ヘッドとディスクとの間に吸着現象(いわゆるスティクション)が起こりやすくなり、少なすぎると磁気ディスク表面の動摩擦係数が増加し潤滑性が低くなり、ヘッドクラッシュが起こりやすくなる。
スティクションを軽減させるためには、ディスク表面にテクスチャーと呼ばれる一定の粗さを持たせたり、レーザテクスチャーと呼ばれるレーザ光を照射することにより形成される高さの低い突起を持たせることにより、ヘッドとディスクの接触面積を減らすことが行われている。しかし、近年の高記録密度化を達成するためには、磁気ヘッドのディスク上の飛行高さは25nm以下と非常に低くなってきている。したがって、ドライブ起動中のディスクとヘッドの接触を避けるためには、ディスク表面を極力平滑にし、レーザテクスチャーにより形成される突起高さも低くする必要性がある。しかしながら、このようにすると、スティクションは逆に悪化してしまう。レーザテクスチャーにより形成された突起だけではスティクションの軽減には十分ではなく、上述したように、潤滑剤層中のフリーな易動性分子、および保護膜層表面への潤滑剤層中の結合分子の量や性質のコントロールが合わせて必要になる。
潤滑剤層については、記録密度の向上に伴い、保護膜層との結合力を高めることが求められている。これは以下の理由による。ハードディスク装置では、記録密度向上のため磁気ヘッドもMR素子、GMR素子などの採用などにより小型化、軽量化されてきており、磁気ヘッドへの負荷ともなる初期駆動力の低減のため、静摩擦係数を低くし起動時の動作性を向上させることが求められてきている。静摩擦係数を低減するには、潤滑剤と保護膜層との結合力を高めることによって、潤滑剤層中のフリーな易動性分子を少なくすることが有効である。
CSS方式のほかに、近年ランプロード方式も実用化させている。ランプロード方式とは、ディスク外周の近傍にヘッドの退避箇所を準備しておき、ディスクの回転停止時には、ヘッドがこの退避箇所に格納されるような機構を持った方式である。この方式では、ディスク静止時にヘッドはディスクに接触しておらず、CSS方式のようなスティクションの心配はないと言われていた。しかしながら、ランプロード方式においても、ヘッドとディスクとが不慮に接触した際のヘッドの挙動変化を低減させるために、ディスクに対するヘッドの吸着性低減を図ることが必要であることがわかっている。したがって、ランプロード方式においても静摩擦係数の低減が重要である。
また記録密度の向上のため、記録再生時においてディスクの回転速度を高速化することも行われている。回転速度を高速化する場合には、遠心力により潤滑剤が飛散する、いわゆるスピンオフ現象が生じ、これにより潤滑剤層の膜厚が減少してしまう問題が生じることがある。スピンオフ現象を防ぎ耐久性を高めるためにも、保護膜層との結合力を高めることが望まれている。なお潤滑剤と保護膜層との結合力を表す指標としては、Bonded ratioがある。これは、潤滑剤層が形成された磁気ディスクをフッ素系溶剤(例えば旭硝子株式会社製AK225など)で洗浄したときに残留した潤滑剤の割合(%)を示した数値であり、潤滑剤層の保護膜層に対する結合力の目安となるものである。
このため、潤滑剤層の保護膜層に対する結合力を高めることを目的として、潤滑剤層に各種の処理を施すことが試みられている。例えば特開平11−25452号公報では、塗布した潤滑剤に加熱処理を施し、さらに紫外線照射処理を行う方法が開示されている。また特開平8−124142号公報には、潤滑剤層形成後、この潤滑剤層に波長150〜180nmの紫外線照射を行う方法が開示されている。また特開平7−85461号公報には、水素化カーボン保護膜上に潤滑剤を塗布後、これに紫外線を照射する方法が開示されている。また特開平5−217162号公報には、カーボン保護膜上に潤滑剤を塗布した後、これを加熱処理する方法が開示されている。また、特開昭62−150526号公報には、保護膜のプラズマ処理による方法が開示されている。
特開平11−25452号公報 特開平8−124142号公報 特開平7−85461号公報 特開平5−217162号公報 特開昭62−150526号公報
しかしながら、これらの処理方法によって潤滑剤層や保護膜を形成する従来の磁気記録媒体の製造方法では、動摩擦係数が増加することなく、潤滑剤層の保護膜層に対する結合力が高められた磁気記録媒体を製造するのが難しかった。このため、起動時動作性および耐久性の点で優れ、しかも十分な表面潤滑性を示す磁気記録媒体が要望されていた。
また上記課題の他にも、磁気記録媒体のコロージョンに対する耐性も要求される。
磁気記録媒体に用いる非磁性基板には、主としてAl基板にNiPメッキを施したものや、Li,Naを含むガラス基板が用いられている。また磁性層にはCo系合金が用いられている。Ni,Li,Na,Coは緻密な保護膜があれば、磁気記録媒体の表面に析出してくることは無い。しかしながら、保護膜が緻密でなかったり、小さなピット等が発生してしまうと、そこから、Ni,Li,Na,Coなどの元素が酸化物、水酸化物を生成し磁気記録媒体の表面に析出してきてしまう。これをコロージョンという。
コロージョンの形状にはさまざまものがあるが、その高さが25nmをこえてしまうことが多い。一般的にはコロージョンの高さは100〜10000nmである。したがって、コロージョンが発生するとヘッドはコロージョンに衝突してしまい、ヘッドクラッシュしてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、起動時動作性及び耐久性に優れ、しかも表面潤滑性が良好であり、更にコロージョン特性に優れた磁気記録媒体を得ることを目的とする。
上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、大気圧近傍の圧力下で発生するグロー放電プラズマによって活性化された処理ガスを用いて保護膜層を表面処理する製造方法において、プラズマを発生させる電源に正弦波の高周波電源を用いることより、潤滑剤の保護膜層に対する結合力を高め、静摩擦係数を低くし起動時動作性を向上させ、かつ高い耐久性、優れた表面潤滑性を得ることができるばかりでなく、コロージョン特性が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1) 非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層すると共に、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて前記保護膜層を表面処理する磁気記録媒体の製造方法において、前記プラズマを発生させる電源に正弦波の高周波電源を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 前記電源の周波数が、1kHz〜100kHzの範囲であることを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記プラズマがグロー放電プラズマであることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4) 保護膜層を形成後、該保護膜層の表面を前記活性化されたガスを用いて表面処理し、その後潤滑剤層を形成することを特徴とする前項(1)乃至(3)の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5) 前記ガスが、窒素、酸素、アルゴンからなる群から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする前項(1)乃至(4)の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(6) 前記大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマが、対向する電極間に電界を印加することにより発生するプラズマであることを特徴とする前項(1)乃至(5)の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(7) 前記対向する電極を、前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板に対して垂直から1度〜45度傾けて配置することを特徴とする前項(6)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(8) 前記対向する電極を、前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板に対して垂直に配置することを特徴とする前項(6)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(9) 前記対向する電極間に、前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板を配置して前記保護膜層の表面処理を行うことを特徴とする前項(6)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(10) 前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板の両面に、前記活性化されたガスを用いる表面処理を同時に施すことを特徴とする前項(1)乃至(9)の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(11) 前記非磁性基板が、ガラス基板、シリコン基板から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする前項(1)乃至(10)のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(12) 前記非磁性基板が、Al、Al合金、ガラス、シリコンから選ばれるいずれか1種からなる基体の表面にNiP又はNiP合金からなる膜を形成したものであることを特徴とする前項(1)乃至(10)のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(13) 前項(1)乃至(12)の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方法により製造した磁気記録媒体。
(14) 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が前項(13)に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
(15) 大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させて活性化したガスを形成し、活性化したガスを、非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板の表面に照射する機能を有する表面処理装置。
本願発明は、保護膜の表面特性を向上させるためにプラズマを使用する点では、特開昭62−150526号公報と類似している。しかしながら、特開昭62−150526号公報の記載の技術は真空中でプラズマ処理を行っているのに対して、本願発明は大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理を行っていることに大きな相違がある。真空中でプラズマ処理を実施すると、活性化された処理ガスがほとんど活性を失わずに保護膜表面に当たるために、保護膜そのものも一部エッチングされてしまう。一方、大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理された処理ガスを用いると、分子密度が極めて高いために、分子同士の衝突が頻繁に生じ活性が低下し、保護膜の表面処理には適したものとなる。また、真空中でプラズマ処理するのに用いる真空装置には、真空室、排気ポンプ、大気圧から真空への搬送システムなど装置が大きく、高価なものになってしまう。一方、大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理する場合は、真空設備は不要で、装置の簡素化、低コスト化を達成することができる。
また、磁気記録媒体の製造においては、保護膜の成膜後、真空装置内で付着したダストを除去するために水や酸やアルカリなどの液体により洗浄する工程を含むことが一般的である。真空内でプラズマ処理を実施すると、その後の洗浄工程で保護膜表面が濡れてしまう為に、表面改質特性が大幅に劣化してしまう。これを防止するためには、洗浄工程後にプラズマ処理を実施しなければならないが、この場合、真空装置がもう一台必要となり大幅なコストアップを招いてしまう。一方、大気圧近傍でプラズマ処理を実施する場合、洗浄工程後であっても装置の変更は不要でありコスト増も招かない。
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、起動時動作性及び耐久性に優れ、表面潤滑性が良好であり、しかも、コロージョン特性にすぐれた磁気記録媒体を製造できる。
本発明の磁気記録媒体は、起動時動作性及び耐久性に優れ、表面潤滑性が良好で、しかもコロージョン特性に優れている。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す断面図である。
本実施形態の磁気記録媒体は、非磁性基板1上に、下地層2、中間層3、磁性層4、保護膜層5が順次積層され、最上層に潤滑剤層6が設けられて構成される。
非磁性基板1の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料、ガラス、セラミック、チタン、カーボン、シリコンなどの無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、環状炭化水素基含有ポリオレフィンなどの高分子化合物などを用いることができる。また、これら基板表面には、NiP、NiP合金、他の合金から選ばれる1種以上の膜をメッキ、スパッタ法などにより蒸着させることもできる。
下地層2の材料としては、Ti,Mo,Al,Ta,W,Ni,B,Si、MnおよびVから選ばれる1種もしくは2種以上とCrとからなるCr合金、またはCrで構成することができる。
下地層2を多層構造の非磁性下地層とする場合には、非磁性下地層を構成する構成層のうち少なくとも1つを上記Cr合金またはCrで構成することができる。
上記非磁性下地層は、NiAl系合金、RuAl系合金、またはCr合金(Ti,Mo,Al,Ta,W,Ni,B,SiおよびVから選ばれる1種もしくは2種以上とCrとからなる合金)で構成することもできる。
非磁性下地層を多層構造とする場合には、非磁性下地層を構成する構成層のうち少なくとも1つをNiAl系合金、RuAl系合金、または上記Cr合金で構成することができる。
中間層3の材料としては、Co合金のエピタキシャル成長を助長する目的として、Coを主原料としたCo合金であって、hcp構造である非磁性材料とするのが好ましい。例えば、Co−Cr系、Co−Cr−Ru系、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Zr系合金から選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
磁性層4の材料としては、Coを主原料としたCo合金であって、hcp構造である材料とするのが好ましい。例えば、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B系、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金から選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
保護膜層5としては、プラズマCVD法により形成されたCVDカーボン、非晶質カーボン、含水素カーボン、含窒素カーボン、含フッ素カーボンなどのカーボン系材料、シリカ、ジルコニアなどのセラミック系材料を用いることができる。なかでも、硬く緻密なCVDカーボンが、耐久性の面ばかりでなく経済性、生産性などの面から好適に用いられる。保護膜層5の膜厚は、薄いと耐久性が低下し、厚いと記録再生時の損失が大きくなるため、10〜150Å(1〜15nm)、好ましくは20〜60Å(2〜6nm)に設定される。保護膜層5には、後述のプラズマによって活性化されたガス(処理ガス)を用いる表面処理が施されたものである。
最上層である潤滑剤層6は、重合性不飽和基含有パーフロロポリエーテル化合物の重合物を含むものである。重合性不飽和基含有パーフロロポリエーテル化合物としては、主鎖であるパーフロロポリエーテルの少なくとも一端に、重合性を有する不飽和結合を持つ有機基が結合されてなる化合物を挙げることができる。
本実施形態の磁気記録再生装置は、上記処理ガスにより表面処理が施された保護膜層5を有する上記実施形態の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとが備えられてなるものである。
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法の例について説明する。
まず、非磁性基板1上に下地層2、中間層3、磁性層4、保護膜層を形成後に、この保護膜層に大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いる表面処理が施されて保護膜層5を形成し、ついで、この保護膜層5上に潤滑剤層6を形成する。上記プラズマは、グロー放電プラズマであることが好ましい。
ここでの表面処理に用いられる表面処理装置としては、大気圧近傍付近の圧力下で安定にプラズマを発生することができる、プラズマを発生させる電源に正弦波の高周波電源を用いるプラズマ発生ユニットを用いることができる。
例えば、常圧プラズマ表面改質ユニット(イースクエアー製)や大気圧プラズマクリーニングヘッド(松下電工製)などを用いることができる。
大気圧近傍付近の圧力下とは、1.3×10〜13×10Paの圧力を指す。とりわけ、大気圧付近の9.9×10〜10.3×10Paの圧力とすることが、圧力調整が容易であり、装置構成が簡便になるので好ましい。
本実施形態のプラズマ発生ユニットを図2を用いて説明する。
図2のプラズマ発生ユニットは、主として、対向する一対の電極板(対向する電極)21a,21b、電極板21a,21b間にガスを供給するためのガス導入口22、対向電極間に電界を印加するプラズマ発生電源23、被処理基板25を保持するための基板ホルダ26によって構成される。
被処理基板25は、非磁性基板上に少なくとも磁性層、表面処理前の保護膜層を形成したものであり、本実施形態の場合、非磁性基板1上に、下地層2、中間層3、磁性層4、表面処理前の保護膜層を形成したものである。
このプラズマ発生ユニットは、大気圧近傍の圧力下で、一対の電極板21a,21b間に電界を印加することによりプラズマを発生させて活性化したガスを形成し、活性化したガスを被処理基板25の表面に照射する機能を有している。
各電極板の材料としては、鉄、銅、アルミニウム、およびそれらの合金がいずれかが用いられる。対向電極間距離は、0.1〜50mmが好ましいが、プラズマ放電の安定性を考慮すると0.1〜5mmがより好ましい。
各電極板は誘電体で覆われているとより好ましい。電極を誘電体で覆うことにより、電極を構成する金属がプラズマによって酸化や窒化することを防止することができる。誘電体の材質としては、酸化アルミニウム(Al)などの酸化物を使用することが好ましい。
電極板21a,21b間にかける電界としては、正弦波の高周波が用いられる。正弦波の周波数は1〜100kHz、とりわけ、10〜50kHzにすることがプラズマ放電の安定性を考慮すると好ましい。
本発明において、正弦波を用いることの利点は以下の理由による。
正弦波とパルス波を比較した場合、通常プラズマ放電に用いられるパルス波はデューティー比が低いためにピーク電圧を高くする必要性がある。例えば、通常プラズマ放電に用いられる条件として、周波数10kHz、パルス幅10μsec(デューティー比10%)、ピーク電圧30000Vとなっている。一方、正弦波の場合は、正弦波ではあるが連続的に電圧を印加できるので、ピーク電圧を低くすることができる。例えば、周波数10kHzの場合、ピーク電圧10000Vとなっている。
ピーク電圧とコロージョンの関係は解明されているわけではないが、ピーク電圧が高い方がマイクロアーキングが起きやすいことは容易に想像できる。コロージョンが起きる理由にはさまざまものがあるが、保護膜に小さなピットが形成されると、そこから基板や磁性層に含まれるNi、Li,Na、Coなどが保護膜表面上に拡散してしまうことは広く知られている。マイクロアーキングが起きると、保護膜に小さなピットが生じてしまい、これによりコロージョンが発生すると考えられる。
正弦波の高周波を使用する場合、負荷側である電極と供給側である電源との間にインピーダンス・マッチングを取ることが好ましい。インピーダンス・マッチングが取れていないと反射波が発生してしまい動作が不安定になりマイクロアーキングが起こりやすくなる。
電極側のインピーダンスは反応ガス種(窒素、酸素、アルゴン、又は、それらの混合ガス)、処理基板の材質や大きさなどにより変動する場合がある。この場合は、PLL回路を用いて、電極側のインピーダンス変化に対応させて、電源側の発振周波数を変化させてインピーダンス・マッチングをとることができる。なお、PLL回路とは位相同期回路のことであり、ある周波数の信号の位相に同期した新たな信号を生成するための回路のことであり、高周波回路の安定動作に使用される技術の一つである。
電極板21a,21b間に供給されるガスとしては、窒素、酸素、アルゴン、又は、それらの混合ガスをもちいることが好ましい。大気圧近傍付近の圧力下で用いるために、ガスの消費量は大きいので、廉価である窒素、酸素または、窒素と酸素の混合ガスを用いることがより好ましい。
図2においては、一対の電極板21a,21bは表面処理前の保護膜層(被処理基板25)に対して垂直に配置される。プラズマは電極間で発生するが、広がりをもっているので電極間からはみだした部分にもプラズマ状態が発生している。対向する電極板の一方の端部と保護膜層(被処理基板25)までの距離Lは、0.1〜5mmにすることが好ましい。0.1mm未満であると被処理基板25は電極板にぶつかってしまう恐れがあるので好ましくない。5mmを超えるとプラズマが広がりすぎて効果が大幅に低下するので、表面処理の効果が得られない。大気圧近傍の圧力下で、一対の電極板21a,21b電極間に供給されたガスはこの電極間に発生プラズマによって活性化されて処理ガスとされ、この処理ガスは分子密度が極めて高いために、分子同士の衝突が頻繁に生じ活性が低下し、保護膜の表面処理に適する。
磁気記録媒体(磁気ディスク)は両表面を使用するために、搬送方法は、この基板の両表面に接触しない搬送方法を用いることが好ましい。したがって、被処理基板25の内端あるいは外端をもって搬送することが好ましい。搬送速度は10〜6000mm/分にすることが好ましい。高スループット化、表面処理の効果を考慮すると100〜3000mm/分にすることがより好ましい。搬送方法は、被処理基板25が移動しても、プラズマ発生ユニットが移動してもいずれも可能である。被処理基板25が移動する搬送方法としては、例えば、基板ホルダ26として上下に昇降可能な機能を有するものを用いることにより、被処理基板25を移動させることにより、処理ガスで保護膜層表面を順次処理するようにしてもよい。
磁気記録媒体は両表面を使用するため図3に示すように、被処理基板25の両側に上記と同様のプラズマ発生ユニットを配置し、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いる表面処理を被処理基板25の両面に施すことが好ましい。
被処理基板25の内端あるいは外端をもって搬送する場合、被処理基板25の内端あるいは外端がホルダ26の影に隠れてしまい、隠れてしまった場所には表面処理効果が低くなる恐れがある。これを防止するためには、図4に示すように対向する一対の電極板21a,21bが表面処理前の保護膜層(被処理基板25)に対して垂直から1〜45度傾いて配置されることが好ましい。なお、図4は被処理基板25の外端をもって搬送する場合の装置例を示している。
対向する一対の電極板21a,21bを被処理基板25に対して垂直から1度〜45度傾けて配置し処理表面処理を行うと、プラズマは保護膜に対して斜めに照射されるために、ホルダ26の影になった部分にもプラズマにより活性化された処理ガスが当たる。この場合においても、図5に示すように被処理基板25の両側にプラズマ発生ユニットを配置することが好ましい。
図6に示すように、対向する一対の電極板21a,21b間に被処理基板25を通過させることにより、被処理基板25の保護膜層を表面処理することも可能である。この場合、プラズマ密度が高いのでより強い表面処理を施すことができる。
(実施例)
NiPメッキ膜を有するアルミニウム合金基板(直径95mm、内径25mm、板厚1.27mm)を十分に洗浄し乾燥した後、レーザを用いて半径17mmから19mm(CSSゾーン)にかけて照射し、高さ10nmの突起を形成させた。その後、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社(日本)製C3010)内にセットした。真空到達度を2×10-7Torr(2.7×10-5Pa)まで排気した後、基板を250℃に加熱した。加熱後、非磁性下地層として、Crからなるタ−ゲットを用いて厚さ5nmになるように積層した。さらに、非磁性下地層として、Cr−Mo合金(Cr:80at%、Mo:20at%)からタ−ゲットを用いて厚さが5nmになるように積層した。次いで、非磁性中間層としてはCo―Cr合金(Co:65at%、Cr:35at%)からなるタ−ゲットを用いて厚さが2nmになるように積層した。次いで、磁性層としてCo−Cr−Pt−B合金(Co:60at%、Cr:22at%、Pt:12at%、B:6at%)からなるタ−ゲットを用いて磁性層であるCoCrPtB合金層を20nmの膜厚で形成し、プラズマCVD装置を用いてCVDカーボンからなる保護膜を厚さが5nmになるように積層し、被処理基板とした。成膜時のAr圧は6mTorr(0.8Pa)とした。保護膜まで成膜後、真空装置から取り出した。その後、純水にてスピンコーターを用いて洗浄、乾燥を実施した。その後、プラズマ発生ユニットとしては、常圧プラズマ表面改質ユニット(イースクエアー製)を用いて図2に示す形態で被処理基板の保護膜層を表面処理した。プラズマ発生電源は正弦波高周波電源を用いた。電源出力は1kwとした。本表面処理装置はPLL回路を搭載しているので、共振を防ぐために周波数を変動させている。したがって、正弦波の周波数は12−17kHzの間でコントロールされる。搬送速度、N流量、O流量、対向電極の一方の端部(被処理基板に近い方の端部)から被処理基板の保護膜までの距離を表1に示すように変化させた。
このサンプルの接触角を水接触計にて測定した。その結果を表1に示す。
上記表面処理後、保護膜層上にパ−フルオロポリエ−テルからなる潤滑剤を0.05重量%に調整して、ディッピング法により引き上げ速度3mm/secで塗布し、磁気ディスク(サンプル)を得た。なお、このときの溶媒はフッ素系溶剤AK225(旭硝子製)を使用した。
(比較例1)
なお、比較のために保護膜層に上記表面処理を施さない以外は上記方法と同様にしてサンプルを作成し、比較例1とした。
作製した各種のサンプルの潤滑剤膜厚をFTIRを用いて測定した。その結果を表1に示す。また、潤滑剤層の保護膜層に対する結合力の目安として、Bonded ratioを次のようにして測定した。上記磁気ディスクを、フッ素系溶剤AK225(旭硝子製)に15分間浸積して表面を洗浄し、洗浄前後の潤滑剤層の厚さを半径20mmの位置においてFTIRを用いて測定し、洗浄前の潤滑剤層厚さに対する洗浄後の潤滑剤層厚さをBonded ratio(%)とした。結果を表1に示す。
動摩擦係数の測定を実施した。CSS(Contact Start Stop)耐久テストを温度25℃、湿度60%RHの条件で行った。このテストでは、CSSテスタを用い、磁気ヘッドには標準のMRヘッド(DLCコーティング、30%スライダ、荷重2.5g)を用いて1万回のCSS操作(最高回転数10000rpmでの回転(1秒維持)と静止(1秒)とを5秒間隔で繰り返す)を行った。CSS動作はCSSゾーンで実施した。1万回のCSS操作後の磁気ディスク表面の動摩擦係数を表1に示す。
静摩擦係数の測定を実施した。CSS(Contact Start Stop)耐久テストを温度40℃、湿度80%RHの条件で行った。このテストでは、CSSテスタを用い、磁気ヘッドには標準のMRヘッド(DLCコーティング、30%スライダ、荷重2.5g)を用いて1万回のCSS操作(最高回転数10000rpmでの回転(1秒維持)と静止(1秒)とを5秒間隔で繰り返す)を行った。CSS動作はCSSゾーンで実施した。1万回のCSS操作後の磁気ディスク表面の動摩擦係数を表1に示す。
膜厚減少率の測定(スピンオフテスト)を実施した。80℃の環境下、回転速度10000rpmで72時間にわたり回転させた。この操作の前後において、半径20mmの位置における潤滑剤層の厚さを測定し、試験前後の潤滑剤層の膜厚減少率をFTIRで測定した。結果を表1に示す。
なお、表1中、潤滑剤膜厚の欄の数値単位はオングストロームであるが、(潤滑剤膜厚の欄の数値)×0.1とすれば単位をnmにしたときの値が得られる。
コロージョン試験を実施した。温度80℃、湿度85%RHの条件に96hr間、サンプルを放置した。その後顕微鏡にてサンプル表面を観察しコロージョンスポットの数を計測した。1μm以上の大きさの異物をコロージョンスポットとして全面を観察し計測した。なお、コロージョン試験前には、1μm以上の大きさの異物がサンプル表面に無いことを確認の上実施している。
(比較例2〜4)
プラズマ発生ユニットとしては、常圧プラズマ表面改質ユニット(積水化学製)を用いて図2に示す形態で被処理基板の保護膜層を表面処理した。プラズマ発生電源はパルス電源を用いた。周波数は30kHz、パルス幅は10μsecとした。それ以外は実施例1と同様の処理を施した。搬送速度、N流量、O流量、対向電極の一方の端部(被処理基板に近い方の端部)から被処理基板の保護膜までの距離を表1に示すように変化させた。
Figure 2006085883
表1に示した結果から分かるように、接触角はプラズマ処理を施すことによって、44.7度(比較例1)から5.6〜25.4度(実施例)に大幅に減少している。接触角の減少に伴い、Bonded ratioも41%(比較例1)から54〜78%(実施例)に大幅に向上している。これは潤滑剤の易動性分子が少なくなっていることを意味しており、その結果として静摩擦係数が1.30(比較例1)から0.40−0.71(実施例)に大幅に改善され、またスピンオフテストによる膜厚減少率についても17%(比較例1)から2−12%に大幅に改善されている。なお、実施例において、向電極片端から保護膜までの距離が離れていくと接触角が大きくなっていくのがわかる。
実施例において、対向電極の一方の端部から保護膜層までの距離が10mmでは、表面処理の効果は観察されない。
また、プラズマ処理を施さない場合、コロージョンスポットは観察されないが(比較例1)、これをパルス波を用いた常圧プラズマ表面改質ユニットを用いると、コロージョンスポットが約100〜500個程度観察される(比較例2〜4)。一方、正弦波を用いた常圧プラズマ表面改質ユニットを用いると、コロージョンスポットは0〜6個と大幅に低減していることが観察される(実施例1〜17)。
以上の結果から、大気圧近傍の圧力下で保護膜層を正弦波を用いた常圧プラズマ表面改質ユニットを用いてプラズマによって表面処理することにより、接触角が大幅に改善され、その結果として潤滑剤との密着性が向上することがわかる。その結果として、静摩擦係数を十分に低くして起動時の動作性を向上させ、かつスピンオフ現象を防ぎ耐久性を高めることができるばかりではなく、良好な表面潤滑特性を得ることができる。さらに、コロージョン特性の良好な磁気記録媒体を得ることができる。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す断面図。 図2は、本発明の磁気記録媒体の製造に用いられるプラズマ発生ユニットの一実施形態を示す概略構成図。 図3は、本発明の磁気記録媒体の製造に用いられるプラズマ発生ユニットの他の実施形態を示す概略構成図。 図4は、本発明の磁気記録媒体の製造に用いられるプラズマ発生ユニットの他の実施形態を示す概略構成図。 図5は、本発明の磁気記録媒体の製造に用いられるプラズマ発生ユニットの他の実施形態を示す概略構成図。 図6は、本発明の磁気記録媒体の製造に用いられるプラズマ発生ユニットの他の実施形態を示す概略構成図。
符号の説明
1…非磁性基板、2…下地層、3…中間層、4…磁性層、5…保護膜層、6…潤滑剤層、21a,21b…電極板、22…ガス導入口、23…プラズマ発生電源、24…プラズマ、25…被処理基板、26…基板ホルダ

Claims (15)

  1. 非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層、潤滑剤層を順次積層すると共に、大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマによって活性化されたガスを用いて前記保護膜層を表面処理する磁気記録媒体の製造方法において、前記プラズマを発生させる電源に正弦波の高周波電源を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記電源の周波数が、1kHz〜100kHzの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記プラズマがグロー放電プラズマであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 保護膜層を形成後、該保護膜層の表面を前記活性化されたガスを用いて表面処理し、その後潤滑剤層を形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記ガスが、窒素、酸素、アルゴンからなる群から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記大気圧近傍の圧力下で発生するプラズマが、対向する電極間に電界を印加することにより発生するプラズマであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 前記対向する電極を、前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板に対して垂直から1度〜45度傾けて配置することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 前記対向する電極を、前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板に対して垂直に配置することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 前記対向する電極間に、前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板を配置して前記保護膜層の表面処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 前記非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板の両面に、前記活性化されたガスを用いる表面処理を同時に施すことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 前記非磁性基板が、ガラス基板、シリコン基板から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  12. 前記非磁性基板が、Al、Al合金、ガラス、シリコンから選ばれるいずれか1種からなる基体の表面にNiP又はNiP合金からなる膜を形成したものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法により製造した磁気記録媒体。
  14. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が請求項13に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
  15. 大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させて活性化したガスを形成し、活性化したガスを、非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護膜層が形成された被処理基板の表面に照射する機能を有する表面処理装置。

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