JP2006120028A - 提供サービス価値評価方法およびシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 サービス利用により利用者が享受する効果をペイオフモデルによって評価するに際して、サービス利用状況の変化に容易に追随できるものとする。
【解決手段】 サービス利用者のペイオフモデルが4つのタイプの基本的なサブペイオフモデルのうちの少なくとも2つのタイプのサブペイオフモデルを組み合わせることによって表現できることに基づいて、選択されたサブペイオフモデルをメモリに読み込み、サブペイオフモデルの共通な説明変数の下に読み込んだサブペイオフモデルのペイオフ関数を加算してペイオフ値を算出する。サブペイオフモデルの説明変数について確率モデルを適用することにより、サービス利用者の将来の不確実なサービス利用状況にも対応する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えば電力事業などのサービス事業において、サービス利用者がサービス導入により享受する効果を評価する技術に関する。
サービス利用者がサービス導入により享受する効果を評価する方法としては、例えば特開2002−297832号公報(特許文献1)がある。特許文献1は、サービス提供者が供給する資源(サービス)について、サービス利用者の消費量(利用量)とその消費量に基づいて算出した将来の予測消費量とから、その資源の将来の料金を予測する。また特開2002−296299号公報(特許文献2)は、使用電力量に対する電力料金を演算する際に、料金設定値を時間帯ごとに設定して、料金設定値の変更に伴う電力料金の変更を計算する。
特開2002−297832号公報 特開2002−296299号公報
特許文献1は、将来の価値を予測する方法であり、例えば今月あるいは最近4週間の実績から算出した1日当たりの消費量の平均値を利用する方法である。しかし特許文献1は、サービス利用者がサービス導入により享受する効果を評価する際に、サービス利用者の状況変化によってサービス利用量が変化するときの不確実性を扱う方法については言及していない。また特許文献2は、料金体系の変化に伴い料金を再計算する際に、料金の設定値のみを変更する方法である。しかし特許文献2は、料金算出の基となる電力消費量自体が変更になった場合に容易に料金を再計算する方法については言及していない。
また特許文献1および特許文献2は、サービス利用に伴い、サービス利用者がサービス提供者に支払うべき料金のみを算出する方法であり、サービス利用によりサービス利用者が享受する利益および被る損益を算出することができない。特にサービス利用者が享受する価値を算出する場合、サービス提供者との契約条件とサービス利用者の特性によってサービス利用者が受け取る利益又は損益が変化すると考えられる。またサービス利用者のサービス利用状況の変化に応じて利用者が享受する効果を容易に再評価することが必要である。
本発明で言うペイオフは、サービス利用によりサービス利用者が享受する価値、すなわち利益又は損益を数値で表現するものである。ペイオフは、例えばサービス利用者の電力需要量などの説明変数の変化に応じて変化する。説明変数の変化に応じたペイオフの変化を示す関数はペイオフモデルと呼ばれる。本発明は、サービス利用者のペイオフモデルが4つのタイプの基本的なサブペイオフモデルのうちの少なくとも2つのタイプのサブペイオフモデルを組み合わせることによって表現できることに基づいて、複数のサブペイオフモデルの共通な説明変数の下に複数のサブペイオフモデルのペイオフ関数を加算して当該説明変数に関するペイオフ値を算出する技術を特徴とする。
以上述べたように本発明によれば、4つのタイプの基本的なサブペイオフモデルからサービス利用者が享受するペイオフを算出することが可能である。またサービス利用者のサービス利用状況が変化した場合にも、サブペイオフモデルを修正するか新規に追加することによってペイオフモデルを更新することができる。またサブペイオフモデルの説明変数について確率分布モデルを適用することによって、サービス利用者が対象サービスを将来どう利用するかといった不確実性も考慮した価値の算出が可能となる。
まず始めにサービス利用者がサービス利用により享受する価値は、ペイオフモデルを用いて評価できることを、電力供給サービス事業における需給調整契約によって利用者が享受する価値を1例として説明する。
図1は、ペイオフモデルを構成する要素であるサブペイオフモデルの1つを示す図である。サブペイオフモデルは、ぺイオフ関数103、説明変数101および境界値102から成る。説明変数101は、電力需要量、製品製造量などサービス利用と関連をもつ数値の変化を示す変数である。グラフの縦軸方向の変数であるサブペイオフは、価値の大きさ、すなわち利益又は損益に関係する量を示す。ぺイオフ関数103は、説明変数の任意の値に対応するサブペイオフの値を示す関数である。この例ではサブペイオフが0のとき、利益も損益も発生しない。境界値102は、その説明変数の値以上または以下でサブペイオフが発生するような境界となる値である。図1の例は、説明変数が境界値102以上の場合にサブペイオフが発生することを示している。
図2は、サブペイオフモデルの4つのタイプを示す図である。サブペイオフモデル201,202は、説明変数が境界値に達しない区間ではペイオフ関数が一定値をとり、説明変数が境界値以上の区間では各々ペイオフ関数が単調増加する利益のサブペイオフが発生するか、またはペイオフ関数が単調減少する損益のサブペイオフが発生する。サブペイオフモデル203,204は、説明変数が境界値に達しない区間では各々ペイオフ関数が単調減少する利益のサブペイオフが発生するか、またはペイオフ関数が単調増加する損益のサブペイオフが発生し、説明変数が境界値以上の区間ではともにペイオフ関数が一定値をとる。2つ以上のタイプのサブペイオフモデルを組み合わせることによってペイオフモデルを構成することができる。
電力供給サービスにおいて、需給調整契約が知られている。需給調整契約は、電力需要者の電力需要が契約量に達したとき、電力供給事業者が電力需要者への電力供給を停止し、その代わりに従来の電力供給契約よりも割安に電力を供給するような契約である。電力供給事業者は、例えば気温が高い夏などに電力需要が電力供給を上回ることが予想される状況において、需給調整契約を活用することによって電力需要者全体の電力需要量を抑制することができる。
以下、従来の電力供給契約を行っている電力需要者が需給調整契約に切り替えた場合に、どれだけ利益を得るか、または損益を被るかといった観点で、サービス利用者がサービス利用により享受する価値を評価する。
例えば電力需要者の工場が電力エネルギーを利用して製品を製造しており、電力需要が製品の売上高に影響するとする。図3に示す通常の電力供給契約の場合310では、電力需要の増大とともに売上311が増加するが、費用(ここでは電力料金)312も増大する。また図3に示す需給調整契約がある場合320では、電力需要の増大とともに売上321と費用322が増加するが、需給調整される調整基準電力量以上は潜在的な電力需要量があったとしても実際には電力供給されないため、売上321も費用322も調整電力量での売上と費用の値で一定となる。
図3の通常の電力供給契約の場合310と需給調整契約がある場合320において、売上311,321から費用312,322の各々を差し引いた値が利益であり、通常の電力供給契約による場合310と需給調整契約がある場合320の利益は、図3の利益の比較グラフ330に示すように、電力需要の変化に応じて変化する。図で点線は調整基準電力量(境界値)を示す。ここで比較グラフ330において需給調整契約付きの利益332から通常の電力供給契約の利益331を差し引いた値が、通常の電力供給契約から需給調整契約に切り替えた場合にサービス利用者が享受するペイオフ(比較グラフ330の斜線部分)である。電力需要の変化に応じて変化するペイオフの変化を図示したものが図3のペイオフモデル340である。ここでペイオフ関数341は、電力需要の増加とともに増大するが、境界値を越えると下降する様子を示している。
ペイオフモデル340は、図示するようにサブペイオフモデル350とサブペイオフモデル360に分解することができる。サブペイオフモデル350は、境界値を0とするサブペイオフモデル201のタイプであり、サブペイオフモデル360は、調整基準電力量を境界値とするサブペイオフモデル202のタイプである。同一の電力需要量を対応させてサブペイオフモデル350のサブペイオフとサブペイオフモデル360サブペイオフの値を加算すると、ペイオフ関数341となる。サブペイオフモデル350のペイオフ関数は、その境界値までの電力需要について電力需要変化に応じた電力料金の割引額を示している。またサブペイオフモデル360のペイオフ関数は、潜在的な電力需要が調整基準電力量を上回った場合の電力需要変化に応じた機会損失額を示している。機会損失額は、電力供給がなく製品を製造できないために発生する。
さらに図4に示すように、サービス利用者の電力需要を示す確率分布モデル41が存在する場合、需給調整契約の割引によるペイオフモデル350と確率分布モデル41とから需給調整契約の割引によるペイオフの分布が算出できる。また需給調整契約によって生じる機会損失によるペイオフモデル360と確率分布モデル41とから需給調整契約によって生じる機会損失によるペイオフ分布が算出できる。
ペイオフモデル350のペイオフ関数をF1(Δx)、説明変数をx、境界値をxとする。またペイオフモデル360のペイオフ関数をF2(Δx)、境界値をxとする。Δxはxと境界値との差である。各電力需要値xに応じたペイオフモデル350のサブペイオフ値p1(x)と、ペイオフモデル360のサブペイオフ値p2(x)は、次の数1により算出される。
Figure 2006120028
このp1(x)とp2(x)とから各電力需要値xに対応するペイオフ値P(x)=p1(x)+p1(x)が算出される。ここで確率分布モデル41による各電力需要値がxの確率をf(x)とすると、任意のペイオフ値Pの発生確率f(P)は、次の数2により算出される。
Figure 2006120028
この確率f(P)により、図4に示すように需給調整契約により享受するペイオフ分布42を算出することができる。すなわちペイオフ分布42は、需給調整契約の割引によるペイオフの分布と需給調整契約による機会損失によるペイオフ分布とを加算したものである。またこのペイオフ分布42の統計的特徴値を用いて、需給調整契約により電力需要者が享受する価値を提示することが可能となる。
以上述べたように、サービス利用者がサービス利用により享受する価値は、説明変数と、境界値と、ペイオフ関数の3つの属性をもつサブペイオフモデルを2つ以上組み合わせたペイオフモデルによって評価される。例えば上記の需給調整契約の例では、ペイオフモデル340は、サブペイオフモデル350とサブペイオフモデル360の組合せとなる。ここでペイオフモデル340の形状が変化しても、新しい境界値とペイオフ関数の形状に応じて図2に示す4つのタイプのサブペイオフモデルを組み合わせることによって、変更後のペイオフモデル340を評価することが可能である。
図5は、本実施形態の計算機又は計算機システムの構成を示す図である。計算機は、処理装置50と、処理装置50に接続される記憶装置51、入力装置56および表示装置57とから構成される。
処理装置50は、CPU、メモリ、入出力制御部などを備える。メモリ上にはペイオフ算出部55のプログラムが格納され、CPUによって実行される。
記憶装置51は、サブペイオフモデル52、確率モデル53およびペイオフ算出結果54の各ファイルを格納する。サブペイオフモデル52は、対象サービスに対応するサブペイオフモデルの属性値を格納する。属性値は、境界値によって区切られた説明変数の区間ごとにペイオフ関数を定義する式を含む。確率モデル53は、適用される説明変数に対応する確率分布モデル41の定義式あるいはその統計的特徴値を格納する。ペイオフ算出結果54は、算出されたペイオフの属性値あるいはペイオフ分布42の特徴値を格納する。
ペイオフ算出部55は、入力装置56から入力される指示および選択される対象サービスなどに従って、サブペイオフモデル52および確率モデル53をメモリに読み込み、ペイオフを算出してペイオフ算出結果54に格納し、そのペイオフ算出結果を表示装置57に表示する。
図6は、計算機によって実行されるペイオフ算出部55の概略処理手順を示すフローチャートである。ペイオフ算出部55は、サブペイオフモデル52からユーザによって指定されたサービスおよびサービス利用者情報に対応する2つ以上のサブペイオフモデルの属性値を読み込み(ステップ501)、これらサブペイオフモデルに共通な一意の説明変数をメモリに設定する(ステップ502)。サブペイオフモデル間で説明変数の属性が異なる場合については後述する。次にペイオフ算出部55は、確率モデル53から設定された説明変数に対応する確率分布モデルの数値データをメモリに読み込む(ステップ503)。次にペイオフ算出部55は、読み込んだ確率分布モデルに従って説明変数の1つを示す乱数を発生させる(ステップ504)。次にペイオフ算出部55は、各サブペイオフモデルのペイオフ関数に発生させた説明変数を当てはめて各サブペイオフモデルのサブペイオフを算出する(ステップ505)。次にペイオフ算出部55は、各サブペイオフからサービス利用者がサービス利用により享受するペイオフを算出してペイオフ算出結果54に格納する(ステップ506)。ステップ504〜ステップ506を所定のシミュレーション回数だけ繰り返すことによって、ペイオフ算出結果54には発生される説明変数の乱数に応じたペイオフ値の分布が格納される。シミュレーションが終了したとき、ペイオフ算出部55は、ペイオフ算出結果54のペイオフ値をメモリに読み込み、その統計的特徴値を算出する(ステップ507)。次にペイオフ算出部55は、算出されたペイオフの特徴値を表示装置57に表示する(ステップ508)。
単に複数のサブペイオフモデルのサブペイオフの値を加算してペイオフの値を算出するのであれば、ステップ502の後にステップ503〜ステップ505をスキップしてステップ506を実行すればよい。
本実施形態により、サービス提供者に提供されるサービスによってサービス利用者が享受する価値を評価し、サービス利用者に提示することが可能となる。またサービス利用者も対象となるサービスを導入した際に、自らが享受する利益または損益を把握し容易に導入の判断を行うことが可能となる。さらサブペイオフモデルは、説明変数と境界値とペイオフ関数の3つの属性値から成り、発生するペイオフの形状に応じて最大4種類のタイプのサブペイオフモデルを複数組み合わせることにより、サービス利用者が享受するペイオフを算出できる。これによってサービス利用者のサービス利用状況が変化した場合、あるいはペイオフ形状が複雑なものに変化した場合にも、容易に用いるサブペイオフモデルを修正するかまたは新規に追加することが可能となる。
実施例1は、サービス提供者が提供している任意のサービスを選択し、そのサービスを利用する場合にサービス利用者が享受する価値を評価する。その評価方法は、各サブペイオフモデルの説明変数に対応した確率分布モデルに従って発生させた乱数を用いて、繰返しシミュレーションすることにより、サービス利用者が享受するペイオフ分布を算出し、サービス利用者に提示するものである。これによりサービス利用者は、従来の料金支払いによる損益のみではなく、利用したサービスにより享受する利益も含めた価値を評価することが可能となる。さらに確率分布モデルを用いることにより将来の電力需要といったサービス利用者が対象サービスを将来どう利用するかといった不確実性も考慮した価値の予測が可能となる。
図7は、計算機によって実行されるペイオフ算出部55の処理手順を示すフローチャートである。
ペイオフ算出部55は、表示装置57上にサービスのメニューを表示してユーザの入力を待つ。ステップ601では、ペイオフ算出部55は、ユーザにより対象サービスが選択されているか否かを判定する。対象サービスが選択された場合にはステップ602に移行し、選択されていない場合には再びステップ601の処理を繰り返す。
ステップ602では、ペイオフ算出部55は、ステップ601で選択された対象サービスに対応するサブペイオフモデル群の属性値をサブペイオフモデル52からメモリに読み込む。例えばここで読み込むサブペイオフモデル群としては、対象となるサービス利用者情報を予め読み込んでおき、対象サービス利用者に対応するサブペイオフモデル群を読み込んでもよい。またサービス利用者情報がない場合には、サービス利用者の属する業界に適用される標準的なサブペイオフモデル群を読み込んでもよい。対象サービスのサブペイオフモデル群の属性値を読み込んだ後には、ステップ603に移行する。
ステップ603では、ペイオフ算出部55は、ステップ602で読み込んだサブペイオフモデル群の各サブペイオフモデルについて設定されている説明変数を重ね合わせて一意の説明変数をメモリに設定し、説明変数の各区間ごとに適用するペイオフ関数を対応づけた後、ステップ604に移行する。
ステップ604では、ペイオフ算出部55は、ステップ603で設定した説明変数について適用する確率分布モデルの数値データを確率モデル53からメモリに読み込む。ここで例えば対象となる説明変数について、サービス利用者の過去の電力需要データなど計測された過去データが記憶装置51に記憶されている場合には、その記憶装置から過去の計測データを任意の期間分読み込み、この計測データから確率分布モデルを推定してもよい。推定した確率分布モデルを予め確率モデル53として記憶装置51に記憶しておいてもよいし、ステップ603で設定された説明変数を基に記憶装置51から対象となるデータを検索し、検索したデータを用いてリアルタイムに確率分布モデルを作成してもよい。データが逐一更新される場合には、リアルタイムに確率分布モデルを作成した方が利用状況の変化を強く反映できるが、データにノイズが含まれた場合には、誤った確率モデルを推定する危険性もある。
さらにここでは、設定された説明変数に対して過去の計測データが記憶されていない場合には、確率分布モデルの特徴値を読み込み、その特徴値から確率分布モデルを作成してもよい。特徴値としては、例えば対象の説明変数が将来取りうる値の最頻度値、最大値および最小値の3つを読み込み、その3つの特徴値から確率分布モデルを作成してもよい。例えばこの特徴値3点を頂点とする三角分布を確率モデルとして設定してもよいし、最大値または最小値を例えば5パーセンタイルとして正規分布を推定し確率分布モデルとしてもよい。確率モデルを読み込むか作成した後には、処理はステップ605に移行する。
ステップ605では、ペイオフ算出部55は、ステップ604で準備した確率モデルに従って説明変数xの乱数を発生させ、ステップ606に移行する。
ステップ606では、ペイオフ算出部55は、(数1)に従って各サブペイオフモデルごとに発生させた乱数xについてサブペイオフp1(x),p2(x)を計算する。サブペイオフモデルの数が3以上の場合も同様である。
ここでペイオフ関数F(Δx)は、xに関する線形関数であってもよいし、非線形関数であってもよい。
ステップ607では、ペイオフ算出部55は、ステップ606で算出した各サブペイオフモデルのサブペイオフp1(x),p2(x),…から、サービス利用者が享受するペイオフP(x)=p1(x)+p2(x)+…を算出する。
ステップ608では、ペイオフ算出部55は、ステップ607で算出したペイオフP(x)を、現時点までにステップ605〜609の処理を行った回数に相当するシミュレーション番号nとともに、P(x)としてペイオフ算出結果54に記憶し、ステップ609に移行する。
ステップ609では、ペイオフ算出部55は、現時点までにステップ605〜609の処理を行った回数であるシミュレーション番号nが予め設定されたシミュレーション回数Nに到達したか否かを判別する。本シミュレーションは、一種のモンテカルロ・シミュレーションであるので、シミュレーション回数Nは、統計的に意味のある回数が必要である。シミュレーション番号nがシミュレーション回数Nに到達している場合には、繰返し処理を終了しステップ610に移行する。シミュレーション番号nがシミュレーション回数Nに到達していない場合には、ステップ605に移行し、ステップ605〜609の処理を繰返し実行する。
ステップ610では、ペイオフ算出部55は、ステップ608で記憶されたシミュレーション回数分のペイオフ群{P:i=1…N}を基に、シミュレーションしたペイオフ値の特徴値を算出する。ここでは統計的な特徴値として、ペイオフ群{P:i=1…N}の値から平均値や分散値や5パーセンタイル値や95パーセンタイル値を算出してもよい。また何らかの確率分布モデルを仮定してペイオフ群{P:i=1…N}の分布に適合した確率分布モデルのモデルパラメータを推定してもよい。特徴値を算出した後に、ステップ611に移行する。
ステップ611では、ペイオフ算出部55は、ステップ610で算出したペイオフ特徴値を表示装置57上に表示する。あるいはここでは、ステップ608で記憶されたシミュレーション回数分のペイオフ群{P:i=1…N}を用いて図8に示すような度数分布グラフ701を表示してもよい。さらに図8に示すように平均値702や5パーセンタイル値703などをグラフに重ねて表示してもよい。
この様に実施例1により、各サブペイオフモデルの説明変数に対応する確率分布モデルに従って発生させた乱数を用いて、繰返しペイオフ値をシミュレーションすることによって、サービス利用者が享受するペイオフ分布を算出し、サービス利用者が享受する価値として提示することが可能となる。またこれによりサービス利用者は、従来の料金支払いによる損益のみではなく、利用したサービスにより享受する利益も含めた価値を評価することが可能となり、さらに将来の電力需要といったサービス利用者が対象サービスを将来どう利用するかといった不確実性も考慮した価値の予測が可能となる。
実施例2は、実施例1でメモリに読み込んだ2つ以上の説明変数間に相関関係があり、予め相関係数が設定されている場合に、対象となる説明変数間の相関関係を考慮した乱数を発生させる実施例である。
例えば、電力サービスを評価するためのサブペイオフモデル群において電力需要量と製品製造量とが別々のサブペイオフモデルの説明変数になっている場合で、製品製造量が増えると電力需要量が増え、製品製造量が減ると電力需要量が減るという相関関係が存在する場合に注目する。実施例1に示したように相関関係を考慮せずサブペイオフ値とペイオフ値を算出するよりも、相関関係を考慮してサブペイオフ値とペイオフ値を算出した方が、より予測精度が向上し、価値評価の精度も向上する。
例えばここでは、製品製造量と電力需要量の過去の実績データから相関係数を算出し、この相関係数を基にして2つの説明変数の確率分布モデルから相関関係を持つ乱数を発生し、その乱数を用いてサブペイオフ値とペイオフ値を算出することができる。
少なくとも2つ以上の説明変数間の相関関係を考慮して乱数を発生させる手順について説明する。例えばここで確率分布モデルとして正規分布を仮定する。まず互いに独立な標準正規乱数X=[x,x,…,x]を相関関係のある説明変数の数nだけを発生させる。ここで任意の説明変数xとx間の相関計数をRijとすると、その説明変数間の共分散σijは数3に示すように求められる。
Figure 2006120028
ここで、σiとσjは、それぞれ説明変数xと説明変数xの分散である。ここでこの共分散σijの各要素からなる共分散行列Σを構築し、このΣを数4に示すようにコレスキ−分解により下三角行列Lを求める。
Σ=LL’ …数4
ここでL’はLの転置行列である。ここで各説明変数間の相関関係を考慮した乱数をベクトルY=[y,y,…,y]とすると、乱数Yは標準正規乱数のベクトルX=[x,x,…,x]を用いて数5により求められる。
Y=LX+M …数5
ここでベクトルΜ=[μ,…,μ]は各説明変数xの平均値である。これにより説明変数xと説明変数xに対応して発生させた乱数yとyとの間にはその相関係数Rijによる相関関係があり、相関関係を持った乱数を用いてペイオフを算出することが可能となる。
この様に実施例2により、対象サービスに関する2つ以上の説明変数に相関関係が存在する場合に、説明変数間の相関係数を用いて相関をもつ乱数を発生させ、その乱数からサブペイオフ値とペイオフ値を算出することができる。相関関係を考慮してサブペイオフ値とペイオフ値を算出することにより、より予測精度が向上し、価値評価の精度も向上する。
実施例3は、サブペイオフモデルの1つとして、ある説明変数Aからサブペイオフを算出するのではなく、別の説明変数Bを算出するペイオフモデルを用いる実施例である。
例えば、夏日の電力需要のように、外気温が上がると電力需要が増え、外気温が下がると電力需要が減るといった関係が予め判明している状況で、電力需要を説明変数としている任意のサブペイオフを算出する場合がある。この場合に実施例3は、電力需要量を直接乱数として発生させるのではなく、まず外気温を乱数として発生させ、外気温から電力需要量を算出するサブペイオフモデルを用いてその外気温の乱数から電力需要量を算出する。次に実施例3は、算出した電力需要の値と電力需要を説明変数とするサブペイオフモデルとからサブペイオフを算出する。
ここでは、ステップ606において、ステップ602で読み込んだサブペイオフモデル群のうち、説明変数Xから説明変数Yを算出するサブペイオフモデルAについて説明する。説明変数Xに対応してステップ605で発生させた乱数xと、このペイオフモデルで設定された境界値x1とペイオフ関数F(Δx)とから、説明変数Yの値yを算出する。ここで関数Fは説明変数Yを算出するための関数である。
一例として、境界値x1に対応する説明変数yx1以上で説明変数Yに関するサブペイオフが発生するサブペイオフモデル201のタイプのサブペイオフモデルの場合を例にとる。まず説明変数Xの値として発生させた乱数がx<x1の場合には、サブペイオフが説明変数Yの値y=yx1となる。逆に乱数がx>=x1の場合には、サブペイオフがy=yx1+F(x−x1)となる。ここでペイオフ関数F(Δx)としては、xに関する線形関数であってもよいし、非線形関数であってもよい。さらにここでは、説明変数Yに関しては乱数を発生させる必要はなく、上記のように算出した値yを利用してサブペイオフを算出する。
この様に実施例3により、サブペイオフモデルの1つとして、ある説明変数Aからサブペイオフを算出するのではなく、別の説明変数Bを算出するサブペイオフモデルを用いることができる。例えば、夏日の電力需要のように、外気温が上がると電力需要が増え、外気温が下がると電力需要が減るといった関係が予め判明している状況で、電力需要を説明変数とするサブペイオフを算出するような場合に、実施例3を適用できる。この場合に実施例3は、電力需要を直接乱数として発生させるのではなく、まず外気温を乱数として発生させる。次に実施例3は、外気温から電力需要量を算出するサブペイオフモデルを用いてその外気温の乱数から電力需要量を算出する。次に実施例3は、算出した電力需要量を説明変数とするサブペイオフモデルからサブペイオフを算出する。このように予め説明変数間に関数関係が設定されている状況において、実施例3によりサブペイオフ値とペイオフ値の算出の予測精度が向上し、価値評価の精度も向上する。
実施例4は、ある説明変数に対応する複数の確率分布モデルが予め記憶されている場合に、これら複数の確率分布モデルの異なる組合せによりペイオフを算出し、予測条件の異なる複数のペイオフ特徴値を表示する実施例である。
例えば、電力需要量が説明変数の場合、猛暑の年の電力需要量を示す確率モデルと冷夏の年の電力需要量を示す確率モデルとは、猛暑の年の電力需要が多くなるためその特性が大きく異なってくる。ここで評価の対象とする期間が猛暑あるいは冷夏の何れか予測している場合には、猛暑あるいは冷夏の年の電力需要の確率モデルと平年の確率モデルとの両方を用いて、サービス利用者が享受するペイオフを算出することができる。これにより平年に対して高いペイオフが期待できるのか、低いペイオフになってしまう恐れがあるのかを評価することが可能となる。
ステップ603で設定される説明変数について、予め複数の確率分布モデルが設定される。説明変数の過去の計測データを用いて、例えば説明変数に関連付けて気温データが存在する場合には、その気温が任意の値以下のデータのみで確率モデルを構築したり、その値以上で確率モデルを構築することができる。これにより任意の条件に適合した確率モデルを構築することが可能となり、対象の説明変数について条件の異なる複数の確率モデルを確率モデル53に設定することが可能となる。さらにペイオフ算出部55は、ステップ604でこの条件の異なる複数の確率モデルをメモリに読み込み、条件の異なる複数ケースの確率モデルの組合せを構築する。以降ペイオフ算出部55は、ステップ605から609までの処理を構築した複数のケースについて各々実行し、ペイオフ算出結果54には異なるケースごとにシミュレーション結果のデータ群を記憶する。ペイオフ算出部55は、ステップ610でペイオフ算出結果54に記憶されたケースごとの特徴値を算出し、ステップ611で図9に示すように条件の異なる複数のケースについてその統計的特徴値を比較表示する。例えばここで比較する2つのケースの平均の差分値801を表示してもよい。これにより、サービス利用者は、平均的にはどちらのケースの方が多くのペイオフを発生するか把握することが可能である。また2つのケースの5パーセンタイル差分値802を表示すれば、サービス利用者は、最悪の場合には何れのケースの方がペイオフの発生が少ないか把握することが可能となる。
この様に実施例4により、ある説明変数に対応して複数の条件の異なる確率モデルをメモリに読み込み、各々のペイオフを算出して比較することによって、サービス利用者は、条件の異なる複数のケースについてその統計的特徴値を比較表示することが可能となる。また比較する2ケース間の平均や5パーセンタイルの差分値を表示することによって、サービス利用者は、何れのケースの方が享受する価値が高いか低いかを把握し、サービス導入の判断をすることが可能となる。
続いて実施例5として、ステップ601で複数の対象サービスを選択し、ステップ611で複数のサービスの特徴値を比較表示する実施例について説明する。
ステップ601で複数のサービスが選択されると、ペイオフ算出部55は、ステップ602で対象となるサービスごとにサブペイオフモデル群をメモリに読み込む。ペイオフ算出部55は、ステップ603で全サービスの全サブペイオフモデルの説明変数を設定する。以降ペイオフ算出部55は、ステップ605〜609でサービスごとにペイオフを算出し、ペイオフ算出結果54に各サービスについてペイオフのデータ群を記憶する。ペイオフ算出部55は、ステップ610でペイオフ算出結果54に記憶されたデータ群からサービスごとのペイオフ特徴値を算出する。ペイオフ算出部55は、ステップ611で実施例4と同様に図9に示すように複数のサービスについて統計的特徴値を比較表示する。例えばここで、比較する2サービスの平均の差分値を表示してもよい。これにより、サービス利用者は、平均的にどちらのサービスの方が多くのペイオフを発生するか把握することが可能である。また2つのサービスの5パーセンタイル差分値を表示すれば、利用者は、最悪の場合には何れのサービスの方がペイオフの発生が少ないか把握することが可能となる。
この様に実施例5により、異なるサービスについて各々ペイオフを算出し、その統計的特徴値を比較表示することが可能である。比較する2サービス間の平均や5パーセンタイルの差分値を表示することによって、サービス利用者は、何れのサービスの方が対象のサービス利用者の享受する価値が高いか低いかを把握しサービス導入の判断をすることが可能となる。
本発明は、例えば電力供給事業において、電力供給事業者が電力需要者ごとに供給サービスから享受する価値を評価・把握し定量的に提示するといった利用が可能である。また電力事業に限らず、通信事業やリース事業やユーティリティ事業などサービス提供を前提とした事業において、提供サービスから享受する価値を提示することが可能である。
サブペイオフモデルの1つを示す図である。 サブペイオフモデルの4つのタイプを示す図である。 ペイオフモデルとサブペイオフモデルを説明する図である。 サブペイオフモデル群からペイオフを算出する過程を説明する図である。 実施形態の計算機の構成を示す図である。 実施形態のペイオフ算出の概略処理手順を示す図である。 実施例1のペイオフ算出の処理手順を示す図である。 ペイオフの度数分布の表示例を示す図である。 2つのケースのペイオフ分布を並べて表示する例を示す図である。
符号の説明
52:サブペイオフモデル、53:確率モデル、54:ペイオフ算出結果、55:ペイオフ算出部、101:説明変数、102:境界値、103:ペイオフ関数、201,202,203,204:サブペイオフモデル。

Claims (8)

  1. 利益または損益の大きさを示すサブペイオフ値が説明変数に関するペイオフ関数で表現されるサブペイオフモデルは、前記説明変数が境界値に達しない区間では前記ペイオフ関数が一定値をとり、前記説明変数が前記境界値以上の区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が増加するタイプのサブペイオフモデルと、説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が減少するタイプのサブペイオフモデルと、前記説明変数が境界値に達しない区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が減少し、前記境界値以上の区間では前記ペイオフ関数が一定値をとるタイプのサブペイオフモデルと、前記説明変数が境界値に達しない区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が増加し、前記境界値以上の区間では前記ペイオフ関数が一定値をとるタイプのサブペイオフモデルとに区分され、
    4つのタイプの前記サブペイオフモデルのうち、少なくとも2つのタイプのサブペイオフモデルについて、各々前記境界値と前記説明変数に関する前記ペイオフ関数の定義とを含むサブペイオフモデルの属性値を格納する記憶装置を有し、サービス利用者が享受する利益又は損益の大きさを示すペイオフ値を算出するペイオフ算出部のプログラムを実行する計算機によるペイオフ算出方法であって、前記ペイオフ算出部を実行することによって、
    前記記憶装置から複数のサブペイオフモデルの前記属性値をメモリに読み込み、
    前記複数のサブペイオフモデルの共通な説明変数の下に前記複数のサブペイオフモデルの前記ペイオフ関数を加算して当該説明変数に関する前記ペイオフ値を算出することを特徴とする提供サービス価値評価方法。
  2. 前記記憶装置は、さらに適用する前記説明変数に対応する確率分布モデルを定義する情報を格納し、
    前記ペイオフ算出部を実行することによって、定義情報が読み込まれた前記確率分布モデルに従って適用される前記説明変数の乱数を発生させ、
    読み込まれた前記サブペイオフモデルの各々について発生させた説明変数に対応する前記ペイオフ関数の値であるサブペイオフの値を算出し、
    算出されたサブペイオフの値を加算して前記ペイオフ値を算出し、
    シミュレーション回数分だけ発生させた乱数について上記処理を繰り返し実行して、前記ペイオフ値の分布データを作成することを特徴とする請求項1記載の提供サービス価値評価方法。
  3. 前記複数のサブペイオフモデルは、共通な説明変数の代わりに、相関関係をもつ異なる説明変数である場合に、定義情報が読み込まれた前記確率分布モデルに従って適用される前記説明変数に前記相関関係を保持する複数の説明変数の乱数を発生させることを特徴とする請求項2記載の提供サービス価値評価方法。
  4. 前記複数のサブペイオフモデルは、共通な説明変数の代わりに、説明変数Yが説明変数Xに関する関数である場合に、定義情報が読み込まれた説明変数Xに関する前記確率分布モデルに従って前記説明変数Xの乱数を発生させ、
    発生させた説明変数に対応する前記関数の値である説明変数Yの値を算出し、
    算出された前記説明変数Yの値に対応する前記ペイオフ関数の値であるサブペイオフの値を算出することを特徴とする請求項2記載の提供サービス価値評価方法。
  5. 利益または損益の大きさを示すサブペイオフ値が説明変数に関するペイオフ関数で表現されるサブペイオフモデルは、前記説明変数が境界値に達しない区間では前記ペイオフ関数が一定値をとり、前記説明変数が前記境界値以上の区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が増加するタイプのサブペイオフモデルと、説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が減少するタイプのサブペイオフモデルと、前記説明変数が境界値に達しない区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が減少し、前記境界値以上の区間では前記ペイオフ関数が一定値をとるタイプのサブペイオフモデルと、前記説明変数が境界値に達しない区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が増加し、前記境界値以上の区間では前記ペイオフ関数が一定値をとるタイプのサブペイオフモデルとに区分され、
    4つのタイプの前記サブペイオフモデルのうち、少なくとも2つのタイプのサブペイオフモデルについて、各々前記境界値と前記説明変数に関する前記ペイオフ関数の定義とを含むサブペイオフモデルの属性値を格納する記憶装置を有し、サービス利用者が享受する利益又は損益の大きさを示すペイオフ値を算出する計算機システムであって、
    前記記憶装置から複数のサブペイオフモデルの前記属性値をメモリに読み込む手段と、
    前記複数のサブペイオフモデルの共通な説明変数の下に前記複数のサブペイオフモデルの前記ペイオフ関数を加算して当該説明変数に関する前記ペイオフ値を算出する手段とを有することを特徴とする計算機システム。
  6. 前記記憶装置は、さらに適用する前記説明変数に対応する確率分布モデルを定義する情報を格納し、
    前記計算機システムは、さらに定義情報が読み込まれた前記確率分布モデルに従って適用される前記説明変数の乱数を発生させる手段と、
    読み込まれた前記サブペイオフモデルの各々について発生させた説明変数に対応する前記ペイオフ関数の値であるサブペイオフの値を算出する手段と、
    算出されたサブペイオフの値を加算して前記ペイオフ値を算出する手段と、
    シミュレーション回数分だけ発生させた乱数について上記処理を繰り返し実行して、前記ペイオフ値の分布データを作成する手段とを有することを特徴とする請求項5記載の計算機システム。
  7. 利益または損益の大きさを示すサブペイオフ値が説明変数に関するペイオフ関数で表現されるサブペイオフモデルは、前記説明変数が境界値に達しない区間では前記ペイオフ関数が一定値をとり、前記説明変数が前記境界値以上の区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が増加するタイプのサブペイオフモデルと、説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が減少するタイプのサブペイオフモデルと、前記説明変数が境界値に達しない区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が減少し、前記境界値以上の区間では前記ペイオフ関数が一定値をとるタイプのサブペイオフモデルと、前記説明変数が境界値に達しない区間では説明変数の増加とともに前記ペイオフ関数が増加し、前記境界値以上の区間では前記ペイオフ関数が一定値をとるタイプのサブペイオフモデルとに区分され、
    4つのタイプの前記サブペイオフモデルのうち、少なくとも2つのタイプのサブペイオフモデルについて、各々前記境界値と前記説明変数に関する前記ペイオフ関数の定義とを含むサブペイオフモデルの属性値を格納する記憶装置を有する計算機に、サービス利用者が享受する利益又は損益の大きさを示すペイオフ値を算出することを実現させるためのプログラムであって、前記計算機に、
    前記記憶装置から複数のサブペイオフモデルの前記属性値をメモリに読み込むステップと、
    前記複数のサブペイオフモデルの共通な説明変数の下に前記複数のサブペイオフモデルの前記ペイオフ関数を加算して当該説明変数に関する前記ペイオフ値を算出するステップとを実現させるためのプログラム。
  8. 前記記憶装置は、さらに適用する前記説明変数に対応する確率分布モデルを定義する情報を格納し、
    前記計算機に、さらに定義情報が読み込まれた前記確率分布モデルに従って適用される前記説明変数の乱数を発生させるステップと、
    読み込まれた前記サブペイオフモデルの各々について発生させた説明変数に対応する前記ペイオフ関数の値であるサブペイオフの値を算出するステップと、
    算出されたサブペイオフの値を加算して前記ペイオフ値を算出するステップと、
    シミュレーション回数分だけ発生させた乱数について上記処理を繰り返し実行して、前記ペイオフ値の分布データを作成するステップとを実現させるための請求項7記載のプログラム。
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