JP2004145396A - 電力取引リスク管理方法及びシステム - Google Patents

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村上 好樹
Nobuhisa Takezawa
竹澤 伸久
Yuji Uenohara
植之原 雄二
Masatoshi Kawashima
川島 正俊
Takahiro Tatsumi
立見 高浩
Takenori Kobayashi
小林 武則
Yuichi Kano
加名生 雄一
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Abstract

【課題】価格変動に周期性を持つ電力価格に対して金融工学を適用し、将来の電力価格の変動のリスク計量を行う。
【解決手段】この電力取引リスク管理技術は、コンピュータにより電力需要、気温、燃料費等、電力価格に影響を与えるパラメータと電力価格との相関関係を考慮した電力価格変動モデルを作成し、当該価格変動モデルに基いて前記パラメータの不規則な変動に対する電力価格の変動の確率分布を計算し、当該確率分布を用いて電力価格のリスク評価を行う。
【選択図】   図11

Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、電力取引リスク管理方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電力取引が自由化されると電力の市場価格が変動し、発電業者や電力取引業者、需要家においては、収益やコストが変動する可能性(リスク)が生じる。このような状況は現在の株式市場において株価が変動する状況に類似している。このような場合、金融・証券業界においては金融工学的な手法を用いて価格変動リスクを低減・消去(ヘッジ)している。従って、電力価格のリスク・ヘッジにも株式等のリスク管理に用いられている金融工学の手法が有効と考えられる。金融工学は統計学や確率微分方程式を用いてリスクを管理する技術である。この場合、先物やオプション等の金融派生(デリバティブ)商品が活用される。金融工学では将来の価格は全くランダムに変動するという仮定を設けている。すなわち、利率に相当するドリフト項を除いて将来の価格は全く予測できないと仮定する。電力価格においても出発点としては将来の価格は全く予測できないという仮定も可能である。しかしながら電力の場合、株式等に比べて需給関係に影響を受ける度合いが大きい。需要は一般に深夜や週末に低下する。天候によっても大きく変動し、結果的に価格が天候や曜日に従って変動する傾向がある。このような変動は価格の周期性となって現れ、株式の場合のように将来の価格が全く予測できないという仮定が必ずしも成立しなくなる。また、需給関係がひっ迫した場合には価格が極めて高騰し、スパイク状の価格変動を示すこともある。このような需要と価格の関係は従来の金融工学には全くない概念である。
【0003】
電力という商品の他の大きな特徴は、保存が困難あるいは高価であり、かつ商品の受け渡しには電力送電システムを用いる必要があるということである。このため、電気的な法則によって需要と供給の関係が規定される。結果として、価格にも電力送電システムの特性が関連してくると考えられる。しかしながら、従来技術では電力送電システムの性質は送電線混雑料金の算定等、ごく限られた場合を除いては電力価格の変動に考慮されてこなかった。このため送電制約などが価格に与える影響が考慮できないという問題があった。
【0004】
リスクを管理するためにはリスク量を数値的に評価する必要があるが、そのためには将来の電力価格がどのような振る舞いをするかを知る必要がある。これは将来の価格を予測するということではなく、リスク中立的な確率分布を求めることを意味する。ここでリスク中立的とは、収益率の期待値が価格変動のない資産(安全資産)と同じになるということである。
【0005】
このような場合、株式等の分野では価格変動のモデルとして後述する幾何ブラウン運動モデルを用いることが多い。幾何ブラウン運動は従来の金融工学において株式等の価格変動を記述するために通常用いられているモデルであり、収益率の分布に正規分布を仮定している。しかし、単純な幾何ブラウン運動モデルでは上記のような周期性やスパイク状の価格分布をモデル化することは困難である。また、電力価格の場合、周期性やスパイク状の価格変動のために、収益率分布の正規分布からのずれが大きいという問題があった。
【0006】
スパイク状の価格変動をモデル化するためには、例えばジャンプ拡散モデル(R.C.Merton, ”Option Pricing When Underlying Stock Returns Are Discontinuous”, J. Financial Economics, Vol.3 (1976), pp.125)が提案されているが、価格が不連続になるため派生商品のリスク・ヘッジが困難になるという欠点があった。すなわち、派生証券の複製が保証されないという問題点があった。複製が可能であるためには市場の完備性が保証される必要があり、このためには少なくとも時間的に連続な変動をする価格変動モデルでなければならない。
【0007】
また、平均回帰モデルの使用も提案されているが(山田聡、「電力自由化の金融工学」、東洋経済新報社、2001)、このモデルでも上記の問題点は解決できない。さらに、平均回帰性の根拠が曖昧でパラメータの設定方法にも困難があった。
【0008】
以下では従来の技術について例をあげて具体的に説明する。電力取引が自由化されると電力の市場価格が変動するリスク(市場リスク)が生じる。このリスクは例えば株式市場において株価が変動するリスクと類似のものであり、必ずしも損失を生じる場合だけではなく利益につながる場合もある。しかし、まれにではあるが大きな損失を引き起こす場合もあるため、このようなリスクを適切に管理する必要性が生じる。
【0009】
この電力価格のリスク管理にも株式等のリスク管理に用いられている金融工学の手法が有効と考えられる。リスクを管理するためにはリスク量を数値的に評価する必要があるが、そのためには将来の電力価格の変動をモデル化する必要がある。このような場合、金融工学では幾何ブラウン運動モデルを用いることが多い。ここでは株式の例を用いて従来技術を説明する。金融工学では一般に、株価の微少変化dSを、
【数1】
Figure 2004145396
のように記述する。
【0010】
ここで、Sは株価、μはドリフト率(トレンド項)、tは時間、σはボラティリティ、zはウィーナー過程に従う変数である。
【0011】
ボラティリティとは将来の価格変動の不確実性であり、金融工学では市場価格の変動リスクの大きさを示すために用いられる。これは年率換算の標準偏差に相当し、以下の式で定義される。
【0012】
【数2】
Figure 2004145396
ここで、Si は時刻iでの株価(電力の場合は電力価格)であり、ui は時刻i−1からiまでの連続複利(あるいは収益率)である。価格が1日おきの値であれは、ui は日次収益率になる。また、τの単位を年とすると、σは年率のボラティリティになり、価格変動の大きさに対する指標になる。
【0013】
一方、ウィーナー過程とはマルコフ確率過程の1つであり、物理の世界ではブラウン運動といわれる微粒子の運動を表すのに用いられる、dzは微小時間dt中のzの変位であり、
【数3】
Figure 2004145396
なる関係がある。
【0014】
ここで、εは標準正規分布(平均0、標準偏差1)からの無作為抽出である。ただし、異なる微小時間dtに関してdzは独立である。数1式のようにドリフト項を含みdzの係数が1でないウィーナー過程(ブラウン運動)は、一般化されたウィーナー過程(伊藤過程)と呼ばれる。また、数1式は株価の対数がブラウン運動をすることを意味し、このような確率過程を幾何ブラウン運動という。すなわち、数1式は株価の対数の変動をトレンド項と正規分布するランダム変動項の和として近似するわけである。これは投資家が価格の絶対値ではなく、収益率に関心があることを反映している。
【0015】
株式資産のリスク評価をする場合、通常はこの幾何ブラウン運動モデルを用いて価格の変動をモデル化し、得られた価格分布に従ってリスクを評価(計量)する。
【0016】
一方、電力価格の場合、幾何ブラウン運動では価格分布を精度よく再現できないという問題点があった。以下では、株式の事例として2000年から2001年にかけてのA企業の株価の終値を用い、電力価格の事例として米国カリフォルニア州の電力取引所(CalPX:California Power Exchange)の前日市場の1日平均価格を例にとって従来技術の問題点を示す。
【0017】
なお、CalPXの電力価格は1時間単位でインターネットに公開されているものを用いた(www.ucei.berkeley.edu/ucei)。現在の日本には公的な電力取引市場がないため、以下の電力価格のデータは全て米国の電力市場(CalPX)のデータである。
【0018】
図1は例として示したA企業の株価の推移を示している。これは、2000年1月4日からの営業日ベースの日数に対して毎日の終値を示したものである。この場合のボラティリティは約55%である。
【0019】
図2は数1式の幾何ブラウン運動に従って発生させた価格の推移である。この場合、ボラティリティは図1に等しく55%になるようにしてある。ある特定の時刻の値は異なっているが、これらの日次収益率を比べると価格の変化率は同様な分布をしていることがわかる。図3及び図4は、図1及び図2の日次収益率の度数分布を示している。図中の点線は正規分布を示しているが、いずれの場合もほぼ正規分布で近似できることがわかる。
【0020】
一方、図5はカリフォルニア電力取引所の前日市場の電力価格を1日平均した値の推移を示している。また、図6は図5の日次収益率の度数分布を示している。図6から、日次収益率の分布は明らかに正規分布(点線)からずれていることがわかる。この場合、分布の中心部分が正規分布に比べて尖っており、これは尖度が大きいと表現される。尖度は確率分布の4次のモーメントに関する量で正規分布の場合には3になり、分布が尖がるほど大きくなる。この場合の尖度は約6.2である。また、尖度が大きいため相対的に分布の裾が正規分布に比べて厚くなっているが、このような状況をファット・テール(厚い裾)と呼んでいる。この他に3次のモーメントに関する量として歪度があり、左右対称の場合には0になる。
【0021】
電力資産の価値やリスクを評価する場合には、この日次収益率の分布をもとにして評価するため、分布の違いはリスク評価に誤差を与えることになる。また、金融工学において価格変動リスクをヘッジするために用いられるオプション等の金融派生(デリバティブ)商品の価格評価には、通常は正規分布が用いられるため、実際の日次収益率の分布が正規分布と異なる場合には誤差が大きくなる可能性がある。
【0022】
以上のように電力価格に関しては、単純な幾何ブラウン運動では正確な価格分布を再現できないという問題点があった。
【0023】
なお、これまでにも、このような課題を解決するために改良された価格変動モデルを用いる試みはあった。その代表的なものは平均回帰モデルとジャンプ拡散モデルである。しかしながらこれらのモデルでは電力需要や気温との相関、送電による制約等が全く考慮されておらず、電力価格のデータのみから価格変動モデルが構成されていた。また、平均回帰が起こる原因や背景が曖昧であったり、根拠に乏しいといった欠点があった。さらに、ジャンプ拡散モデルでは価格が時間的に連続にならないため、市場が非完備になり、派生証券の複製可能性が保証されず、そのリスク・ヘッジが困難であるという問題点があった。
【0024】
もう1つの問題点は、電力市場の場合には電力価格に周期性が見られるということである。図7は、カリフォルニア電力取引所(CalPX)の前日市場の1日平均の電力価格及び電力需要の推移である。この図から価格、需要ともに、1週間(7日)ごとの規則的な変動が見られることがわかる。通常は週末や休日に電力価格が安くなり、平日に価格が高くなる傾向がある。
【0025】
このような傾向は、金融工学の原則に照らしてみた場合、大きな問題点をはらんでいる。すなわち、金融工学では、将来の価格は全く予測不可能であると仮定し、リスク中立な価格分布を求めることができることを前提としている。しかし、価格にこのような規則的な周期性が存在すると、将来の価格がある程度予測可能になってしまうからである。将来の価格が予測できないためには、どのような確率分布に従っているかにかかわらず、将来の価格がランダムで期待値が現在値と等しくなければならない。図7には需要の推移も示してあるが、この規則性の原因は需要の規則的な変動に関係していると考えられる。このような規則的な(予測可能な)変動成分は適切に除去する必要がある。適切とは可能な限りという意味である。しかしながら、従来の金融工学では需要と価格の関係を取り入れるということは全くなされていなかった。従って、このような関係を取り扱うことは従来の金融工学では困難であった。
【0026】
図8は別の時期において図7と同様に価格と需要の変化を示したものである。この場合、図7に比べて価格の変化における1週間単位の周期性は明瞭ではない。一方、需要に関しては価格の大きな変動にも関わらず、比較的に周期性を保っている。需要は実際の社会的活動に根ざしたものであり短期的にはそれほど大きく変動しないことから、これは当然でもある。この場合、価格の変動はあたかもランダムに見えるが、やはり需要の大きな時期に価格も高くなる傾向は見て取れる。
【0027】
一般に電力の価格は極めて大きく変動し、場合によっては1週間の周期性も見られなくなってしまう場合があるが、需要に関しては1年を通して比較的に規則的な周期性を示す。従って、価格と需要の関係がわかっている場合には、価格のみに着目したモデルを考えるよりも、需要の変動に着目した方が季節性や周期性を除去しやすくなると考えられる。
【0028】
図9は1999年のCalifornia電力取引所(CalPX)の前日市場における電力需要(PX Demand)と電力価格(Pool Price)の関係を示している。図から、需要と価格には正の相関があることがわかる。図中には直線回帰を行った結果も示してある。ここで、価格をS、需要をDとすると、回帰式は
【数4】
Figure 2004145396
となる。この場合の相関係数は0.64である。
【0029】
このような相関は株式の場合には見られないことである。図10は参考のために示した2000年〜2001年のA企業の株価の出来高と終値の関係である。株式の場合には何が需要に相当するかは難しいが、仮に1日の取引量である出来高を用いると出来高と株価の関係には直接的な相関は見られない。従って、従来の金融工学では出来高と価格の相関を考慮することは困難であった。
【0030】
【特許文献1】
特開2001−067409号公報
【0031】
【非特許文献1】
R.C.Merton, ”Option Pricing When Underlying Stock Returns AreDiscontinuous”, J. Financial Economics, Vol.3 (1976), pp.125
【0032】
【非特許文献2】
山田聡、「電力自由化の金融工学」、東洋経済新報社、2001年
【0033】
【非特許文献3】
Y. Uenohara et. al., Proc. 5th JAFEE Int. Nat. Conf., pp.18, 1999
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、電力価格の市場リスクのヘッジにおいては、将来の価格がある程度予測されるため、株式と同様な方法では金融工学的な扱いができないという問題点があった。また、従来の金融工学的な手段では、需要と価格の関係を考慮できないという問題点があった。さらに、通常用いられる幾何ブラウン運動モデルでは正確な価格分布を再現できないという問題点もあった。それ以外の価格変動モデルでも、複製可能性に問題があったり、根拠が曖昧であるという欠点があった。
【0035】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、価格が周期性を持つような場合でも金融工学の適用を可能にする電力取引リスク管理技術を提供することを目的とする。
【0036】
本発明はまた、必ずしも幾何ブラウン運動に従わない場合にも価格分布を評価することが可能であり、かつ複製可能性が保証される(連続な)価格変動モデルを提案することを目的とする。
【0037】
本発明はまた、需要と価格、あるいは天候等の相関を考慮した価格変動モデルを考慮することによって、より実際に近い確率分布を用いたリスク評価を行える電力取引リスク管理技術を提供することを目的とする。
【0038】
本発明はさらに、電力送電システムの特性も考慮することを可能にするモデルを提案することを目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の電力取引リスク管理方法は、コンピュータにより電力需要、気温、燃料費等、電力価格に影響を与えるパラメータと電力価格との相関関係を考慮した電力価格変動モデルを作成し、当該価格変動モデルに基いて前記パラメータの不規則な変動に対する前記電力価格の変動の確率分布を計算し、当該確率分布を用いて電力価格のリスク評価を行うものである。
【0040】
請求項2の発明の電力取引リスク管理システムは、あらかじめ定められた過去の一定期間における該当する地域の電力価格と、電力需要量、電力需要曲線、供給曲線、気温データ、個々の発電機の燃料費データ等の前記電力価格に影響を及ぼす経済データのうち少なくとも1種類のデータとの相関を求め、電力価格変動モデルを求める電力価格変動分析手段と、前記電力価格変動モデルを用いて、前記経済データの不規則な変動に対して電力価格の変動の確率分布を評価する手段と、前記電力価格の変動の確率分布を用いてリスク量を計算する手段とを備えたものである。
【0041】
請求項3の発明は、請求項2の電力取引リスク管理システムにおいて、前記リスク量を管理するリスク管理手段を備えたことを特徴とするものである。
【0042】
請求項4の発明は、請求項2の電力取引リスク管理システムにおいて、前記リスク量を用いて電力取引のリスク・ヘッジのための派生証券の価格を計算する手段を備えたことを特徴とするものである。
【0043】
請求項5の発明は、請求項2〜4の電力取引リスク管理システムにおいて、前記電力価格変動分析手段は、前記経済データと電力価格との回帰分析を行うものであることを特徴とするものである。
【0044】
請求項6の発明は、請求項2〜4の電力取引リスク管理において、前記確率分布を評価する手段は、正規分布によるフィッティングを行うことを特徴とするものである。
【0045】
請求項7の発明は、請求項2〜4の電力取引リスク管理システムにおいて、前記確率分布を評価する手段は、分布の歪度及び尖度を評価することを特徴とするものである。
【0046】
請求項8の発明の電力取引リスク管理方法は、コンピュータにより電力需要、気温、燃料費等、電力価格に影響を与えるパラメータ群のうち任意のパラメータの過去のデータに対して一定周期の規則的な変動成分とランダムな変動成分とを個別に求め、これらの規則的な変動成分とランダムな変動成分から電力価格の規則的な変動成分とランダムな変動成分とを評価し、当該評価結果を用いて電力価格の変動の市場リスクを計量するものである。
【0047】
請求項9の発明の電力取引リスク管理システムは、電力需要、気温、燃料費等、電力価格に影響を与えるパラメータ群のうちの任意のパラメータの過去のデータから一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段と、電力価格の過去のデータから前記一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段と、前記パラメータと電力価格との規則的な変動成分間の関係を求める手段と、前記パラメータの一定周期の規則的な変動成分に基づき、該当パラメータの将来の変動を予測する手段と、前記パラメータと電力価格との変動成分間の関係を用いて、予測されたパラメータの将来の変動から将来の電力価格の規則的な変動成分を計算する手段と、電力価格のランダムな変動成分を評価する手段と、前記電力価格の将来の規則的な変動成分とランダムな変動成分とから確率分布を求める手段と、前記電力価格の変動の確率分布を用いてリスク量を計算する手段とを備えたものである。
【0048】
請求項10の発明は、請求項9の電力取引リスク管理システムにおいて、前記パラメータの過去のデータから一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段、前記電力価格の過去のデータから前記一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段それぞれは、移動平均法、移動メディアン法、最小自乗法又はフーリエ級数展開法を用いて前記一定周期の規則的な変動成分を抽出することを特徴とするものである。
【0049】
請求項11の発明は、請求項9の電力取引リスク管理システムにおいて、前記電力価格のランダムな変動成分を評価する手段は、金融ボルツマン・モデルを用いて解析を行うことによりリスク中立確率分布を求めることを特徴とするものである。
【0050】
請求項12の発明の電力取引リスク管理方法は、コンピュータにより電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との過去のデータから両者間の一定の関係を求め、当該電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との一定の関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡って電力需要量あるいは電力供給量の不確実な変動に対応する電力価格の変動の確率分布を評価し、この電力価格の変動の確率分布を用いて電力価格の市場リスクを計量するものである。
【0051】
請求項13の発明の電力取引リスク管理システムは、あらかじめ定められた過去の一定期間における該当する地域の電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を求める手段と、求めた電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡る電力需要量あるいは電力供給量の不規則な変動に対して変動する電力価格の変動の確率分布を評価する手段と、前記確率分布を用いて電力価格のリスク量を計算する手段とを備えたものである。
【0052】
請求項14の発明は、請求項13の電力取引リスク管理システムにおいて、前記リスク量を管理するリスク管理手段を備えたことを特徴とするものである。
【0053】
請求項15の発明は、請求項13の電力取引リスク管理システムにおいて、前記リスク量を用いて電力取引のリスク・ヘッジのための派生証券の価格を計算する手段を備えたことを特徴とするものである。
【0054】
請求項16の発明は、請求項13〜15の電力取引リスク管理システムにおいて、前記電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を求める手段は、電力需要量から電力価格の変動モデルを導出するものであって、前記変動モデルの導出には、伊藤のレンマによって電力需要量の変動が従う確率過程から電力価格の変動の確率過程に変換することを特徴とするものである。
【0055】
請求項17の発明は、請求項13〜15の電力取引リスク管理システムにおいて、前記電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を求める手段は、電力系統の制約及び電力系統に接続された発電機のコスト関数によって求まる電力需要と発電コストとの関係を用いて電力価格の変動モデルを導出することを特徴とするものである。
【0056】
請求項18の発明の電力取引リスク管理方法は、コンピュータにより過去の電力需要量のデータから電力需要量の変動を1年の内の月日、時間、曜日、天候等の条件によって決まる規則的成分あるいは周期的成分と不規則に変動するランダム成分とに分離し、将来の任意の時点の電力需要量の変動の規則的成分あるいは周期的成分を過去の同様の条件日の電力需要量の規則的成分あるいは周期的成分から予測し、既知の電力需要量と電力価格との関係を用いて電力需要量の変動から電力価格の変動を導き、その変動を用いてリスクを計量するものである。
【0057】
請求項19の発明の電力取引リスク管理方法は、コンピュータにより複数の電力需要量、電力供給量を組みわせて電力取引を行う場合に、それぞれの取引に関わる電力価格について、電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との過去のデータから両者間の一定の関係を求め、当該電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との一定の関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡って電力需要量あるいは電力供給量の不確実な変動に対応する電力価格の変動の確率分布を評価し、この電力価格の変動の確率分布を用いて電力価格の市場リスクを計量し、総合的に電力の市場価格の変動に関するリスク評価を行うものである。
【0058】
請求項20の発明の電力取引リスク管理方法は、コンピュータにより複数の電力需要、電力供給を組みわせて電力取引を行う場合に、それぞれの取引に関わる電力価格において、電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との過去のデータから両者間の一定の関係を求め、当該電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との一定の関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡って電力需要量あるいは電力供給量の不確実な変動に対応する電力価格の変動の確率分布を評価し、この電力価格の変動の確率分布を用いて電力価格の市場リスクを計量し、ランダムな変動成分に関してはモンテカルロ法によってシミュレーションを行って確率分布を求め、電力価格の変動に関するリスク評価を行うものである。
【0059】
請求項21の発明は、請求項20の電力取引リスク管理方法において、前記モンテカルロ法によってシミュレーションを行うのに、金融ボルツマン・モデルを用いることによりリスク中立確率分布を求めて、リスク計量を行うことを特徴とするものである。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図11は本発明の1つの実施の形態の電力取引リスク管理システムの構成を示している。本実施の形態の電力取引リスク管理システムでは、あらかじめ定められた過去の一定期間における該当する地域の電力価格Yと、電力需要量X1 、気温X2 、燃料価格X3 等の前記電力価格Yに影響を及ぼす経済データとの間の重回帰分析を行う重回帰分析手段10により、電力価格変動モデルとして回帰式Y=(X1 ,X2 ,…)を求める。
【0061】
そして、パラメータである電力需要量X1 、気温X2 、燃料価格X3 等がランダムに変動した時、価格変動評価手段20がこの関係式Y=(X1 ,X2 ,…)をもとに電力価格の変動データを求め、これを用いて確率分布を評価する。もし、重回帰分析手段10が電力需要量X1 、気温X2 、燃料価格X3 等のパラメータ間の相関を算出している場合には、乱数生成手段30により多次元正規分布から乱数を抽出することによってこれらの相関を考慮したシミュレーションをシミュレーション手段41,42,…によって行う。そして価格変動評価手段20は、このシミュレーション結果のデータを回帰式Y=(X1 ,X2 ,…)に代入することによって電力価格の変動データを求め、これを用いて確率分布を評価する。
【0062】
この価格変動評価手段20による確率分布の評価は、最も簡単な例として正規分布によるフィッティングがある。しかしこれにとどまらず、より高次の歪度、尖度のようなモーメントまで評価したり、確率分布の形状をそのまま用いることもできる。
【0063】
リスク量計算手段50は価格変動評価手段20の求めた電力価格の変動の確率分布を用いてリスク量を計算し、リスク管理手段60がこのリスク量データを記録し、保存し、ディスプレイに表示し、プリントアウトし、さらに加工する等の処理を行う。また、安全資産の利率を用いてリスク中立確率分布(確率測度)が得られる場合、派生証券の価格も計算する。
【0064】
本発明の第2の実施の形態の電力取引リスク管理システムを、図12、図28を用いて説明する。本実施の形態の電力取引リスク管理システムは、電力需要量と電力価格の関係のみを用いた場合の例であるが、電力需要データの部分は気温データ、燃料価格データ等に置き換えることができる。
【0065】
過去の電力需要データ120から規則成分を抽出する手段101は、電力需要データを規則成分121とランダム成分122に分解する。規則成分とは、電力需要データのうち、例えば1週間という一定期間周期で変動する成分である。ランダム成分とは、例えば実際のデータと規則成分抽出手段101を用いて抽出した規則的に変動する成分との差であり、一般に正規分布に近い変動を示す。従って、ランダム成分に関しては、正規分布を仮定する場合には、平均値や標準偏差(あるいはボラティリティ)のような基本的な統計量で代表させることができる。また、正規分布を仮定しない場合には、より高次のモーメントである歪度や尖度を用いたり、確率分布の関数形の形状そのもので表現することになる。
【0066】
過去の電力需要データの規則成分121に関しては、将来の電力需要の規則成分を予測する手段102を用いて、将来の電力需要の規則成分123に変換する。この将来の電力需要の規則成分123とランダム成分122のデータから将来の電力需要の変動がモデル化される。
【0067】
一方、電力需要と電力価格の関係をモデル化する手段103を用いて過去の電力需要データ120と電力価格データ124から両者間の関係をモデル化し、このモデルに将来の電力需要の変動モデルを当てはめることによって将来の電力価格の変動データ125を求める。
【0068】
さらに、将来の価格の変動データ125からリスクを計量する手段104によって必要なリスク量126を評価する。これは、場合によっては派生証券の価格127の評価にも用いる。
【0069】
図28は本実施の形態の電力取引リスク管理システムの出力部の画面配置の例を示したものである。201は現在選択されている市場名を表示する部分で、現在開かれている市場の中から市場を選択するボタンを兼ねている。ここで原資産や派生証券を売買したい市場を選択する。
【0070】
202,203は現在までの需要データ、価格データ等の時間変化を表示する部分で、上部のボタンによってデータの種類を選択する。典型的には、需要データ、価格データが表示される。204,205は需要データ等の規則成分及びランダム成分の時間変化を表示する部分で、上部のボタンによってデータの種類を選択する。典型的には、需要データが表示される
206は金利、為替相場、電力価格の気配値、前日との変化等の重要な市場データを表示する部分である。
【0071】
207,208は将来の需要データ、価格データ等の規則成分の予測値の時間変化を表示する部分で、データの種類は左側のデータに対応している。将来のデータのランダム成分に関しては209の部分に確率密度関数として示される。
【0072】
図29は本実施の形態の電力取引リスク管理システムの出力部の画面配置例を示したものである。これは、市場データのうち、需要と価格のデータのみを用いた場合の例である。
【0073】
301は現在までの需要データ、302は現在までの価格データの時間変化を表示している。303,304は需要データ及び価格データの規則成分及びランダム成分の時間変化を表示する部分である。305は需要と価格の関係を表示する部分である。将来のデータのランダム成分に関しては306の部分に確率密度関数として示される。307はバリュー・アット・リスクを計算する部分、308はオプション価格を計算する部分である。309はオプションの種類を選択する部分、310は需要の予測をするか価格の予測をするかを選択する部分、311は季節調整の種類を選択する部分、312はボルツマン・モデルか、ブラック・ショールズ・モデルかを選択する部分である。
【0074】
次に、上記電力取引リスク管理システムにおける各手段に関して、具体的に説明する。
【0075】
電力需要と電力価格をモデル化する手段103の最も簡単な手段は、図11の実施の形態の示した回帰分析によるものである。図9に示したように電力需要と電力価格には正の相関があり、回帰分析をすることで需要と価格の関係式が得られる。この式を用いることで需要データから価格データへの変換が行える。
【0076】
図13と図14は1999年のCalifornia電力取引所(CalPX)の前日市場における電力需要(PX Demand)と電力価格(Pool Price)の関係を1ヶ月ごとに示したものである。図から、需要と価格には正の相関があり、しかも図9に比べてはるかに明瞭な関係が見られることがわかる。これは、需要と価格の関係が1ヶ月程度の間隔では大きく変化していないことを意味している。夏季と冬季で関数形が異なるのは、需要のレベルが異なり、動いている発電機の種類やコストが異なるためである。ちなみに、1999年1月のデータを直線回帰すると、価格をS、需要をDとして、回帰式は
【数5】
Figure 2004145396
となる。回帰式は1999年のデータすべてに対してのもの(数4式)とほぼ同じであるが、この場合の相関係数は0.86であり、フィッティングの精度はかなり高くなる。他の月に関しても適当な関数形を選ぶことによってかなり高い精度でフィッティングを行うことができる。従って、電力需要と電力価格の関係を求めるには、過去1ヶ月程度の期間の回帰分析を行うのが適当である。1999年9月〜11月に関しては多少不規則な部分が見られるが、このような不規則成分はランダム項として扱われる。
【0077】
次に、過去の需要データから規則成分を抽出し、将来の需要の規則成分を予測する手段101,102について説明する。時間的な順序を持ったデータは時系列データと呼ばれる。株価や自由市場における電力価格、為替相場、経済成長率、太陽の黒点の数の変化等は時系列データの例である。特に経済指標に関連する時系列データを経済時系列データと呼ぶ。経済時系列データにおいては経済活動の季節性を反映して季節の調整が行われることが多い。季節調整はデータから季節的な要素を補正して実質的な経済指数の時間変化を調べるためになされる。簡単な方法としては、前年同月比の評価手法も、比率に換算することで季節性の影響を小さくしており、一種の季節調整の手法といえる。より厳密な方法としては過去のデータから回帰分析を行って周期成分を抽出する方法が用いられる。この場合、移動平均過程や自己回帰過程と組み合わせて、より正確なモデルが多数提案されている。ここでは、その一例としてARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average)モデルを用いた例を示す。
【0078】
ARIMAモデルとは、自己回帰和分移動平均モデルともいわれ、米国の商務省センサス局等で開発されたモデルであり、季節調整の一般的な手法である(奥本佳伸、「季節調整法の比較研究」、政策研究の視点シリーズ17、経済企画庁経済研究所、2000年6月)。
【0079】
図15は、ARIMAモデルを用いて電力価格の周期成分を抽出し、将来価格の予測に用いた例である。ここでは、20日から70日までのデータを用いて季節成分を抽出し、70日から90日までの価格の予測を行っている。ここで、上下の点線は95%の信頼区間を示しており、実線が予測値である。また、シンボルを加えた実線は実際の価格であり、20日から70日までの予測に用いたデータだけでなく、70日から90日までの実際の価格も示してある。実際の価格は一応、95%の信頼区間に入っているが、予測値と比べるとかなりのずれが見られる。
【0080】
一方、図16は、同様にARIMAモデルによる電力需要の予測例である。明らかに、電力価格の予測より需要の予測の方が容易であり、精度も高いことがわかる。これは、もとのデータにおいて価格よりも需要の方が周期性が明瞭であるため当然の結果である。このように季節調整を行ったり将来の値を予測するという点では価格データよりも需要データのほうが容易であることは明らかである。従って、需要と価格の関係が分かっている場合には、価格データのみから将来価格を予測するよりも需要データを用いて将来の需要を予測して、その予測値と、需要と価格の関係を用いて価格を算出する方が優れた方法となる。このような周期性は1日の間の需要や1週間の間の需要、1年間の間の需要等に関しても見られる。従って、同様な手法は、1日、1ヶ月、あるいは1年周期の周期性の除去にも使用可能である。なお、ARIMAモデルは一例であり、将来の需要の規則成分を予測する手段は多数考えられる。先に述べた前年度比を用いる方法や、経済企画庁の開発したEPA法(阿部喜三、他、「季節変動調整法」、経済企画庁経済研究所研究シリーズ22、経済企画庁経済研究所、1971)、通産省の開発したMITI法(奥本佳伸、「季節調整法の比較研究」、政策研究の視点シリーズ17、経済企画庁経済研究所、2000年6月)等が考えられる。
【0081】
次に、価格分布からリスク管理に必要データを算出する手段104が実施する確率分布からリスク量を評価する手法に関して説明する。図17は電力資産の価値が平均μ、標準偏差σの正規分布に従って変動すると仮定した場合に、ある確率で資産の価値がXL1以下に低下する場合の損失額を示す図である。この損失額は、一般にVaR(Value at Risk)と呼ばれるリスク量である。ここで、電力資産とは、電力価格と電力量の積であり、多資産の場合にも同様に定義できる。また、種類の異なる資産の場合にも金額に換算することで定義できる。なお、多資産の場合には、相関のある資産であれば相関係数を用いて全資産の分布の標準偏差が計算される。
【0082】
図17において、例えば1%の確率で資産がXL1に低下するとすると、正規分布ではμ−XL1は2.33×σに相当する。標準偏差σは、考慮している期間(例えば1ヶ月)の将来における確率分布の標準偏差を用いる。この値は、幾何ブラウン運動を仮定する場合には時間の平方根に比例するため、
【数6】
Figure 2004145396
で計算される。図17の場合、「99%の信頼度で、1ヶ月間のVaRは(μ−XL1)円である」と表現される。この値の大小によってリスクの大小が評価される。
【0083】
分布が正規分布でない場合にも同様な定義が可能である。図18は資産の価値がファット・テールを持つ確率分布に従って変動する場合の例である。この場合、累積確率(確率分布関数のXL2以下の部分の面積比)が1%に相当する点を求めてXL2とすると、XL2<XL1であるから、同じ99%の信頼度に対して損失額すなわちVaR(=μ−XL2)は大きくなる。すなわち、ファット・テールを持つ分布では正規分布を仮定してVaRを評価すると過小評価をすることになる。このため、将来の価格の確率分布を可能な限り正確に求めることがリスクの評価のために重要なわけである。
【0084】
本リスク管理システムでは、リスクを計量するだけでなく、リスクをヘッジ(低減・消去)する手段(図1における手段60に相当する)も提供される。これには、オプションや先物といった金融派生(デリバティブ)商品が用いられる。確率分布が正規分布で近似される場合のオプション価格は、年率のボラティリティを用いて以下に示したブラック・ショールズ(BS)公式で簡単に求めることができる。
【0085】
【数7】
Figure 2004145396
ここで、cはヨーロピアン・コール・オプションの価格(権利料=プレミアム)、Sは現在の株価(電力価格)、Kは行使価格(株式をK円で買う権利)、rは非危険利子率、σはボラティリティ、τは満期までの期間(年単位)、N(d)は標準正規分布の累積確率密度関数である。
【0086】
リスクヘッジの手段には、この他にもプット・オプション、先物、スワップ、等といった種々のデリバティブ商品があるが、電力においてもボラティリティの評価ができればこれらの価値を簡単な公式から求めることができる。また、電力価格の変動モデル205は、燃料価格の変動モデルと組み合わせてスパーク・スプレッド・オプションを計算する場合や、リアル・オプション手法を用いて発電所の価値等を計算する場合にも用いることができる。
【0087】
次に、電力取引リスク管理方法として、電力需要と電力価格を考慮して価格変動を直接的に求める方法を説明する。電力価格は燃料価格や稼動している発電機の種類等のコストの面から決まる要素以外に、電力需要の状況、送電にともなう制約、価格競争(あるいは投機)によって決まる要素もあり単純ではない。しかし、結果的に電力価格は市場において需要曲線と供給曲線の交点によって決まる。そこで需要と価格の関係を調べることが重要になる。
【0088】
図19(a)はCalPXの1999年1月29日の前日市場の午後6時の電力取引きにおける総供給曲線(aggregated supply offer)及び総需要曲線(aggregated demand bid)を示している。CalPXでは個々の需要家又は発電業者の供給曲線あるいは需要曲線は公表していないが、各時刻の総需要及び総供給の曲線をインターネット上で公表している(現在は市場が閉鎖されているため公表されていない)。図19(a)ではS0 が市場価格(Market Clearing Price)であり、D0 がその時刻の電力取引量(Market Clearing Quantity)である。
【0089】
これを簡単にモデル化するために、図19(b)のような需要曲線と供給曲線を考える。この場合、供給曲線は供給量に関して単調増加な任意の関数であるが、需要曲線は垂直と仮定している。一般に電力の場合には価格が変わっても需要が大きく変わらない傾向があり、これは無理な仮定ではない。ここで需要が幾何ブラウン運動に従ってランダムに変動したとする。この場合、需要曲線と供給曲線の交点である市場価格もランダムに変動することになる。この変動の確率過程を導けば電力価格の変動モデルを導くことができる。
【0090】
なお、ここでは需要曲線を垂直としているが、一般の曲線であっても供給量の単調減少関数であればかまわない。その場合には、簡単な変数変換で同様な議論が可能である。また、ここでは供給曲線が不変で需要曲線が幾何ブラウン運動をすると考えるているが、実際には両方が変動する。しかしながら、この場合、両者の間隔のみが重要であるため片方が変動すると考えても一般性を失うわけではない。
【0091】
ここでは、電力需要と電力価格の間に決まった関数関係があるとして、需要が幾何ブラウン運動をした場合に価格が従う確率過程を伊藤のレンマを用いて導びく。さらに、無裁定原理を用いてそのような確率過程の上に書かれた派生証券の価格を支配する微分方程式を導く。
【0092】
まず、電力需要は以下の幾何ブラウン運動に従うと仮定する。
【0093】
【数8】
Figure 2004145396
ここで、Dは電力需要、μD はドリフト率、tは時間、σD はボラティリティ、dzはウィーナー過程である。次に、需要Dと電力価格Sの関係が、
【数9】
Figure 2004145396
で記述できると仮定する。ただし、伊藤のレンマを用いるために、関数gはDに関して2回微分可能とする。また、逆関数が1価関数となるように、考えている範囲においてgは単調増加又は単調減少であるとする。
【0094】
伊藤のレンマは確率変数xが伊藤過程(一般化ウィーナー過程)
【数10】
Figure 2004145396
に従う時、xとtの関数であるGは、
【数11】
Figure 2004145396
なる確率過程(やはり伊藤過程)に従うというものである。この伊藤のレンマを用いると、数9式のSが従う確率過程は、
【数12】
Figure 2004145396
となる。これを簡単のために、
【数13】
Figure 2004145396
と書く。SはDに関して2階微分可能で、逆関数が一意に定まるので数13式のように書けるはずである。これが電力価格が従う価格変動モデルである。具体的にはg(D)の関数形を決めなければ定まらないが、もうしばらく一般的な議論を行う。なお、μS やσS は定数とは限らないので、数13式は必ずしも幾何ブラウン運動になるとは限らない。
【0095】
次に、数13式の価格変動モデルに従う電力を原資産とする派生証券の価格を評価する。Sを原資産とする派生証券の価格は、やはりSとtの関数であるから伊藤のレンマにより、
【数14】
Figure 2004145396
なる確率過程に従うはずである。ここで、
【数15】
Figure 2004145396
である。
【0096】
この派生証券のリスク・ヘッジを行うために派生証券−1単位、電力∂f/∂S単位からなる以下のようなポートフォリオΠを考える。
【0097】
【数16】
Figure 2004145396
このポートフォリオの微少時間の変動ΔΠは、
【数17】
Figure 2004145396
であるから、
【数18】
Figure 2004145396
となる。これは不確実な変動Δzを含まないので、微少時間Δtでは無リスクのポートフォリオであるとみなせる。また、このポートフォリオの変動にはμS が含まれていない(原資産のドリフト項が相殺されている)ことにも注意する。
【0098】
無裁定価格原理から上記のポートフォリオの価値の変化(収益)は、Πと同額の現金を安全資産(非危険利子率r)に投資した場合の資産価値の変化
【数19】
Figure 2004145396
に等しくなければならない。さもなければ裁定機会が生じる。数18式と数19式を比べることにより、派生証券fの満足すべき微分方程式として、
【数20】
Figure 2004145396
が得られる。これは、いわゆるブラック・ショールズの微分方程式によく似ている。異なるのはブラック・ショールズ式ではσS がボラティリティを表す定数であるのに対して、数20式のσは次の数21式であることである。
【0099】
【数21】
Figure 2004145396
もし、数21式のσS が定数であれば、ヨーロピアン・コール・オプション等の派生証券の価格はブラック・ショールズの公式(数7式)によって簡単に求まる。例えば、
【数22】
Figure 2004145396
と表せるとすると、
【数23】
Figure 2004145396
となり、σS は定数になる。この場合、オプションの価格はブラック・ショールズの公式(数7式)において、ボラティリティσをασD で置き換えることによって求まる。これは、対数正規分布の性質から当然の結果でもある。
【0100】
次に、Sの関数形が数22式と異なる場合の派生証券の価格評価方法について説明する。この場合、例えばコール・オプションのペイオフ関数がわかっているわけであるから、電力価格の確率過程は数12式あるいは数13式を用いて例えばモンテカルロ法によって解く。
【0101】
電力価格を原資産とする派生証券fの従う微分方程式である数20式には原資産価格のドリフト項μS は含まれていない。すなわち、派生証券の価格は原資産のドリフト項には影響されない。これは、原資産がドリフトしていった場合、派生証券の価格も同様にドリフトしていくためである。
【0102】
しかしながらドリフト項が重要でないというわけではない。むしろドリフト項をどのような形にするかは極めて重要である。つまり、ランダム項がリスク中立になるようにドリフト項を選んだからこそ、オプション価格にドリフト項の形が影響しないわけである。すなわち、上述した季節調整等の手法で周期的な変動項は可能な限り取り除かなければならないわけである。この意味でも、価格よりも需要の方がドリフト項の形状(周期性や、その振幅)を決定しやすいため、需要の変動を仮定する方法は電力のオプション価格評価に適していると言える。
【0103】
需要Dがある値より大きくなると電力価格が急激に大きくなるような関係があれば電力市場において観察されるようなスパイク状の価格変化も再現できる。そこで、ここではDとSに
【数24】
Figure 2004145396
のような指数関数的な関係がある場合を考える。やはり、需要がD0 のときの価格がS0 である。この場合、需要が幾何ブラウン運動した時の原資産Sの価格変動過程は上に述べたように伊藤のレンマを用いて、
【数25】
Figure 2004145396
のようになる。ここで、χは、
【数26】
Figure 2004145396
である。この場合、数26式は幾何ブラウン運動ではない。この場合、モンテカルロ法を用いてオプション価格を評価することができる。
【0104】
図20(a)は、数24式〜数26式に従う場合の価格変動を示している。これは、k=1で、需要のボラティリティが年率100%の場合である。図20(a)は通常の幾何ブラウン運動に比べて価格の変化に大きなピークが見られる。
【0105】
図20(b)には対数価格の分布を示してあるが、正規分布(点線)から高価格側にずれている様子がわかる。
【0106】
次に、電力取引リスク管理方法として、電力系統の電気的な条件及び送電制約を考慮した電力需要と電力価格の関係を求める方法を説明する。なお、ここでは、原理的な手法を説明するため簡単な電力系統モデルを用いるが、実際にはさらに大規模な電力系統でも同様な手法が適用可能である。
【0107】
図21は2発電機、2負荷の4bus系統の例である。ノード1がスラック発電機(発電パワー未定、位相の基準)で、ノード2、ノード3が負荷、ノード4がパワー固定の発電機である。ノード3とノード4の間にはタップ比1.1の変圧器がある。図中で支線上の数字は単位法で表したインピーダンス、Vは電位、Pは有効電力、Qは無効電力である。ここでは、ノード2のP及びQを変化させて、ノード1の発電電力、各ノードの電位、送電ロス等を計算している。なお、ノード2ではノード電位が一定になるように無効電力が調整されている。
【0108】
図22は、各発電機のコスト関数を仮定して計算した需要とコストの関係である。ここで、発電機G1は比較的に安価な発電機であり、発電機G4は比較的に高価な発電機である。点線は送電制約を考慮しなかった場合の結果であり、ノード2の有効電力需要(P2)が増加した場合、発電機G4の発電量はほぼ一定で、発電機1の発電量のみが増加しており、コストの増加も緩やかである。一方、実線は送電制約を考慮した場合の結果であり、この場合はノード1とノード3の間の送電量に上限(0.6pu)を設けている。従って、送電制約がある場合には、需要が増加すると発電機G4からの送電が増加してコストが増加している様子がわかる。一般に送電制約を考慮すると、利用可能な発電機が制約されて、より高価な発電機を利用せざるを得なくなるため価格が高騰する傾向になる。
【0109】
次に、本発明の第5の実施の形態の電力取引リスク管理方法として、電力需要の変動を過去のデータから1年の内の月日、時間、曜日によって決まる要素と不規則に変動する要素とから成るとして、上記の電力需要と電力価格の関係を用いて電力価格の変動を導く方法について説明する。これは、過去の同じ季節、同じ天候条件のデータ、もしくはそれを適当に近似したものをそのまま規則成分と考える方法であり、季節調整における前年同月比に近い考え方である。
【0110】
電力市場の場合、歴史が浅いため過去のデータが多く得られない場合もあるため、厳密に同じ条件は見つからない場合もある。この場合には、適当に最も条件が近いデータを用いることになる。場合によっては、直前のデータをそのまま用いることも考えられる。金融工学においては、現在の最善の知識をもって予測される部分に関しては規則性を除去する必要があるが、それ以外の部分はランダム成分とみなすことができる。この場合、不確実性が大きくなり、リスクが大きいことになるが、現在の最善の知識で予測できない以上、それはやむを得ないことである。
【0111】
規則成分の除去方法には、第1の実施の形態の説明で述べたようなARIMAモデルを用いることができるが、その他の手法を用いることもできる。ここでは、電力需要もしくは電力価格の変動の周期成分を評価する手法として、移動平均法、移動メディアン法、最小自乗法、フーリエ級数展開法のうち、少なくとも1つを用いる。
【0112】
ここで、移動平均法とは、ある時刻の前後のデータを平均したものをその時刻のデータとしてデータを平滑化する方法である。また、移動メディアン法とは、移動平均法において平均値のかわりに中央値を用いる方法で、異常値が含まれている場合に移動平均法では誤差が大きくなるという問題点を解決するための手法である。電力価格のようにスパイク状の価格変化があり、いわゆる外れ値の多いデータでは移動平均法よりも移動メディアン法の方が誤差が小さくなる場合がある。
【0113】
また、最小自乗法とはデータからの2乗平均誤差が最小になるように特定の関数でフィッティングする方法で、関数形によっては平滑化の役目を果たすことができる。フーリエ級数法はデータを三角関数の級数で近似する方法で、データの周期成分を三角関数の和で近似することができる。最小自乗法とフーリエ級数法を組み合わせると周期成分を表現することができ、季節調整にも利用可能である。電力価格において、例えば1日平均の電力価格において1週間(7日間)のデータ7点から周期成分を抽出する場合、以下のような関数形を用いて最小自乗フィッティングすると簡便に季節調整を行うことができる。
【0114】
【数27】
Figure 2004145396
ここで、iは時間単位(日平均データであれば日数、時間データであれば時間)、aj 及びbj は最小自乗法によって得られた係数であり、Lは周期成分の周期である。このLは、日平均データであれば7、時間データであれば24である。日平均データであれば、1周期に7点しかデータがないため、mは3で十分であり、時間データでもmは12で十分である。
【0115】
数27式において最小自乗フィッティングを行う前に、移動平均法あるいは移動メディアン法で非定常成分を除去するとフィッティングの精度は向上するが、短期間であれば必ずしもその必要はない。
【0116】
なお、電力資産が複数あり、その複数の電力需要、電力供給計画を組みわせて電力取引を行う場合に、それぞれの取引に関わる電力価格において、上記の実施の形態のシステム又は方法によって個別の電力資産についてリスク計量を行い、総合的にリスク量を計量することができる。
【0117】
また、複数の電力需要、電力供給計画を組みわせて電力取引を行う場合に、それぞれの取引に関わる電力価格において、上記の実施の形態1〜5のシステム又は方法によりリスク計量を行い、ランダムな変動成分に関してはモンテカルロ法によってシミュレーションを行って確率分布を求めるようにすることもできる。
【0118】
図23は、発電コスト及び供給価格が変動する場合に、異なる需要パターンに対してモンテカルロ法で収益の分布を計算した例である。(a)は需要カーブが時間的に均等に近い場合で、(b)は需要カーブが時間的に偏っている場合である。(b)の場合には、(a)の場合に比べて利益の範囲が広くなっていることがわかる。これは、時間的に将来にある電力資産のリスクは相対的に大きいからである。いずれの場合にも、収益の分布が計算されており、この分布からリスク量を評価することができる。
【0119】
図12における電力価格分布からリスク管理に必要なデータを算出する手段104には、電力価格の変動成分の評価において、金融ボルツマン・モデルに従って計算を行い、リスク中立確率分布を求めて、リスク計量を行うものを採用することができる。
【0120】
金融ボルツマン・モデルは、拡散モデルの拡張モデルであり、正規分布だけでなく広範囲な価格分布に対する派生証券価格を評価できる。ボルツマン・モデルでは連続性を損なうことなくファット・テールを組み込むことができるので複製可能性が保証され、派生証券のリスク・ヘッジも容易になる。
【0121】
文献(Y. Uenohara et. al., Proc. 5th JAFEE Int. Nat. Conf., pp.18, 1999)によれば、金融ボルツマン方程式は以下のように表わされる。
【0122】
【数28】
Figure 2004145396
ここで、Pは原資産Sのリスク中立確率測度、tは時間、νは対数収益率、μは価格変化方向、ΛT は衝突周波数、ΛS は記憶効果を表す散乱項、S0 はt=0でのSである。また、P(S,t)は次式で表わされる。
【0123】
【数29】
Figure 2004145396
である。散乱項ΛS は対数日次収益率分布として、
【数30】
Figure 2004145396
のような関数形を仮定して計算される。また、T(v)は温度に相当するパラメータで、
【数31】
Figure 2004145396
であり、T0 ,c0 ,g0 は定数である。
【0124】
図24は、CalPXの電力価格の1日平均の価格に対して、対数日次収益率ln(Si /Si−1)の分布を計算した例である。図中の点線は正規分布によるフィッティングであるが、実際のデータは正規分布からずれて尖度が大きく、ファット・テールが観測されることがわかる。
【0125】
図25の実線は金融ボルツマン・モデルを用いて電力価格を計算し、同様に日次収益率を示した例である。金融ボルツマン・モデルでは、このうような正規分布からはずれた分布も扱うことができるため、正規分布よりも実際の日次収益率を近似しやすく、電力価格の変動を記述するのに適していることがわかる。
【0126】
金融ボルツマン方程式は線形な方程式であるから、その解は連続であり、市場の完備性は保証される。また、ボルツマン・モデルでは連続性を損なうことなくファット・テールを組み込むことができる。従って、電力資産のリスク・ヘッジにも適している。
【0127】
図26と図27はカリフォルニアの電力データを用いて仮想的に行ったダイナミック・ヘッジのシミュレーション結果である。図26はブラック・ショールズ・モデルによるダイナミック・ヘッジで、図27は金融ボルツマン・モデルによるダイナミック・ヘッジである。cはヨーロピアン・コール・オプションの価格であり、Δはオプションのデルタである。これは、原資産価格が96$/MWhのとき(2000/10/19)に、行使価格200$/MWh、満期が30日のオプションを販売した側のダイナミック・ヘッジ例である。ただし、利子率0、ボラティリティ370%とし、OTM(K/S>1;アウト・オブ・マネー)からATM(K/S=1;アト・ザ・マネー)に向かうような場合の30日間のシミュレーションである。この場合、1時間ごとに原資産S(電力)を売買してポートフォリオΠ(=−c+ΔS)を組み直すこととしている(Π0 は初期値)。
【0128】
ブラック・ショールズ(BS)モデルによる結果(図26)とボルツマン(BM)モデルによる結果(図27)を比較すると、BMモデルではオプション価格が小さいためOTMでのヘッジコストが小さいこと、またデルタが小さいため誤差も小さいことがわかる。ATMではBMモデルの方が誤差が大きくなっているが、ATMでは一般に理論値よりも市場データを重視して取引を行うため重要性は小さい。
【0129】
以上のように金融ボルツマン・モデルは電力デリバティブのヘッジにおいて有力な方法であり、本発明のリスク管理手法と応用することによって効果的にリスク管理を行うことができるようになる。
【0130】
なお、本発明にあっては、電力価格、電力需要、電力供給等の数値の代わりに、それらの対数あるいは基準時刻に対する比率を用いることも可能である。
【0131】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電力価格の変動が周期性を持つような場合でもその電力価格の将来の変動に金融工学の適用が可能である。また、必ずしも幾何ブラウン運動に従わない場合にも電力価格分布を評価することができ、かつ複製可能性が保証される価格変動モデルを提案できる。
【0132】
また本発明によれば、電力需要と電力価格、あるいは天候等の相関を考慮した価格変動モデルを考慮することによって、より実際に近い確率分布を用いた電力取引のリスク評価が行える。
【0133】
さらに本発明によれば、電力送電システムの特性も考慮した電力需要−電力価格の変動モデルを提案できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A社の株価の推移を示すグラフ。
【図2】幾何ブラウン運動モデルにより計算された価格変動を示すグラフ。
【図3】A社の株価の日次収益率の分布のグラフ。
【図4】幾何ブラウン運動モデル(図2の日次収益率の分布に対する)により計算されたグラフ。
【図5】カリフォルニア電力取引所(CalPX)の1999年の電力価格(1日平均)の時間変化のグラフ。
【図6】CalPX電力価格(図5の対数日次収益率の度数分布に対する)のグラフ。
【図7】CalPXにおける1日平均の電力価格及び需要の推移(前半)。
【図8】CalPXにおける1日平均の電力価格及び需要の推移(後半)。
【図9】1999年のCalPXの前日市場における電力需要(PX Demand)と電力価格(Pool Price)の関係を示すグラフ。
【図10】2000年〜2001年のA企業の株価の出来高と終値の関係を示すグラフ。
【図11】本発明の第1の実施の形態の電力取引リスク管理システムのブロック図。
【図12】本発明の第2の実施の形態の電力取引リスク管理システムのブロック図。
【図13】CalPXにおける電力需要と価格の関係を各月ごとに表示したものグラフ(1999年1月〜6月分)。
【図14】CalPXにおける電力需要と価格の関係を各月ごとに表示したグラフ(1999年7月〜12月分)。
【図15】CalPXにおける1日平均の電力価格及び季節調整を含めた予測例のグラフ。
【図16】CalPXにおける1日平均の電力需要及び季節調整を含めた予測例のグラフ。
【図17】資産の価値が平均μ、標準偏差σの正規分布に従って変動すると仮定した場合に、1%の確率で資産の価値がXL1以下に低下する場合の損失額を示す図。
【図18】資産の価値がファット・テールを持つ確率分布に従って変動する場合に、1%の確率で資産の価値がXL2以下に低下する場合の損失額を示す図。
【図19】CalPX市場の1999年1月29日午後6時の需要供給曲線(a)及びそれを単純化したモデル(b)。
【図20】電力価格Sの電力需要Dに対する関数形をS/S  =exp[k(D−D0 )/D0 ]と仮定した場合に、モンテカルロ計算によって求めた価格変動を示した図(a)及び、それから求めた対数価格の分布(b)。
【図21】簡単な電力系統例の回路図。
【図22】系統制約を考慮した場合としなかった場合の電力需要と発電コストの関係の一例のグラフ。
【図23】発電コスト及び供給価格の両方が変動する場合に、異なる需要パターンに対してモンテカルロ法で収益の分布を計算した例における(a)需要カーブが時間的に均等に近い場合、(b)需要カーブが時間的に偏っている場合それぞれのグラフ。
【図24】CalPXの電力価格の1日平均の価格に対して、対数日次収益率ln(Si /Si−1 )の分布を計算した例のグラフ。
【図25】CalPXの電力価格の対数日次収益率ln(Si /Si−1 )の分布と金融ボルツマンモデルによる計算結果(実線)のグラフ。
【図26】CalPXの電力市場においてブラック・ショールズ・モデルを用いてダイナミック・ヘッジを行った場合のグラフ。
【図27】CalPXの電力市場において金融ボルツマン・モデルを用いてダイナミック・ヘッジを行った場合のグラフ。
【図28】出力部の画面配置の構成例の説明図。
【図29】出力部の画面配置の具体例の説明図。
【符号の説明】
10 重回帰分析手段
20 価格変動評価手段
30 乱数生成手段
41〜4n シミュレーション手段
50 リスク量計算手段
60 リスク管理手段
101 需要の規則成分を抽出する手段
102 将来の需要の規則成分を予測する手段
103 需要と価格の関係をモデル化する手段
104 将来の価格の変動データからリスクを計量する手段
120 過去の電力需要データ
121 電力需要の規則成分
122 電力需要のランダム成分
123 将来の電力需要の規則成分
124 過去の電力価格データ
125 将来の電力価格データの規則成分及びランダム成分
126 リスク計量値
127 派生証券価格
200 現在選択されている市場名
201 リスク計量を行う起点の時刻
202 現在までの需要データの時間変化
203 現在までの価格データの時間変化
204 需要データの規則成分の時間変化
205 需要データのランダム成分の時間変化
206 金利、電力価格の気配値、前日との変化等の市場データ
207 将来の需要データの規則成分の予測値の時間変化
208 将来の価格データの規則成分の予測値の時間変化
209 将来のデータのランダム成分の確率密度関数
301 現在までの需要データの時間変化を表示する部分
302 現在までの価格データの時間変化を表示する部分
303 需要データの規則成分及びランダム成分の時間変化を表示する部分
304 価格データの規則成分及びランダム成分の時間変化を表示する部分
305 需要と価格の関係を表示する部分
306 データのランダム成分の確率密度関数
307 バリュー・アット・リスクを計算する部分
308 オプション価格を計算する部分
309 オプションの種類を選択する部分
310 需要の予測をするか価格の予測をするかを選択する部分
311 季節調整の種類を選択する部分
312 ボルツマン・モデルかブラック・ショールズ・モデルかを選択する部分

Claims (21)

  1. コンピュータにより電力需要、気温、燃料費等、電力価格に影響を与えるパラメータと電力価格との相関関係を考慮した電力価格変動モデルを作成し、当該価格変動モデルに基いて前記パラメータの不規則な変動に対する前記電力価格の変動の確率分布を計算し、当該確率分布を用いて電力価格のリスク評価を行うことを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  2. あらかじめ定められた過去の一定期間における該当する地域の電力価格と、電力需要量、電力需要曲線、供給曲線、気温データ、個々の発電機の燃料費データ等の前記電力価格に影響を及ぼす経済データのうち少なくとも1種類のデータとの相関を求め、電力価格変動モデルを求める電力価格変動分析手段と、
    前記電力価格変動モデルを用いて、前記経済データの不規則な変動に対して電力価格の変動の確率分布を評価する手段と、
    前記電力価格の変動の確率分布を用いてリスク量を計算する手段とを備えて成る電力取引リスク管理システム。
  3. 前記リスク量を管理するリスク管理手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の電力取引リスク管理システム。
  4. 前記リスク量を用いて電力取引のリスク・ヘッジのための派生証券の価格を計算する手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の電力取引リスク管理システム。
  5. 前記電力価格変動分析手段は、前記経済データと電力価格との回帰分析を行うものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電力取引リスク管理システム。
  6. 前記確率分布を評価する手段は、正規分布によるフィッティングを行うことを特徴とする請求項2〜4に記載の電力取引リスク管理システム。
  7. 前記確率分布を評価する手段は、分布の歪度及び尖度を評価することを特徴とする請求項2〜4に記載の電力取引リスク管理システム。
  8. コンピュータにより電力需要、気温、燃料費等、電力価格に影響を与えるパラメータ群のうち任意のパラメータの過去のデータに対して一定周期の規則的な変動成分とランダムな変動成分とを個別に求め、これらの規則的な変動成分とランダムな変動成分から電力価格の規則的な変動成分とランダムな変動成分とを評価し、当該評価結果を用いて電力価格の変動の市場リスクを計量することを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  9. 電力需要、気温、燃料費等、電力価格に影響を与えるパラメータ群のうちの任意のパラメータの過去のデータから一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段と、
    電力価格の過去のデータから前記一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段と、
    前記パラメータと電力価格との規則的な変動成分間の関係を求める手段と、
    前記パラメータの一定周期の規則的な変動成分に基づき、該当パラメータの将来の変動を予測する手段と、
    前記パラメータと電力価格との変動成分間の関係を用いて、予測されたパラメータの将来の変動から将来の電力価格の規則的な変動成分を計算する手段と、
    電力価格のランダムな変動成分を評価する手段と、
    前記電力価格の将来の規則的な変動成分とランダムな変動成分とから確率分布を求める手段と、
    前記電力価格の変動の確率分布を用いてリスク量を計算する手段とを備えて成る電力取引リスク管理システム。
  10. 前記パラメータの過去のデータから一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段、前記電力価格の過去のデータから前記一定周期の規則的な変動成分を抽出する手段それぞれは、移動平均法、移動メディアン法、最小自乗法又はフーリエ級数展開法を用いて前記一定周期の規則的な変動成分を抽出することを特徴とする請求項9に記載の電力取引リスク管理システム。
  11. 前記電力価格のランダムな変動成分を評価する手段は、金融ボルツマン・モデルを用いて解析を行うことによりリスク中立確率分布を求めることを特徴とする請求項9に記載のリスク管理システム。
  12. コンピュータにより電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との過去のデータから両者間の一定の関係を求め、当該電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との一定の関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡って電力需要量あるいは電力供給量の不確実な変動に対応する電力価格の変動の確率分布を評価し、この電力価格の変動の確率分布を用いて電力価格の市場リスクを計量することを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  13. あらかじめ定められた過去の一定期間における該当する地域の電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を求める手段と、
    求めた電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡る電力需要量あるいは電力供給量の不規則な変動に対して変動する電力価格の変動の確率分布を評価する手段と、
    前記確率分布を用いて電力価格のリスク量を計算する手段とを備えて成る電力取引リスク管理システム。
  14. 前記リスク量を管理するリスク管理手段を備えたことを特徴とする請求項13に記載の電力取引リスク管理システム。
  15. 前記リスク量を用いて電力取引のリスク・ヘッジのための派生証券の価格を計算する手段を備えたことを特徴とする請求項13に記載の電力取引リスク管理システム。
  16. 前記電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を求める手段は、電力需要量から電力価格の変動モデルを導出するものであって、前記変動モデルの導出には、伊藤のレンマによって電力需要量の変動が従う確率過程から電力価格の変動の確率過程に変換することを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の電力取引管理システム。
  17. 前記電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との関係を求める手段は、電力系統の制約及び電力系統に接続された発電機のコスト関数によって求まる電力需要と発電コストとの関係を用いて電力価格の変動モデルを導出するものであることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載のリスク管理システム。
  18. コンピュータにより過去の電力需要量のデータから電力需要量の変動を1年の内の月日、時間、曜日、天候等の条件によって決まる規則的成分あるいは周期的成分と不規則に変動するランダム成分とに分離し、将来の任意の時点の電力需要量の変動の規則的成分あるいは周期的成分を過去の同様の条件日の電力需要量の規則的成分あるいは周期的成分から予測し、既知の電力需要量と電力価格との関係を用いて電力需要量の変動から電力価格の変動を導き、その変動を用いてリスクを計量することを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  19. コンピュータにより複数の電力需要量、電力供給量を組みわせて電力取引を行う場合に、それぞれの取引に関わる電力価格について、電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との過去のデータから両者間の一定の関係を求め、当該電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との一定の関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡って電力需要量あるいは電力供給量の不確実な変動に対応する電力価格の変動の確率分布を評価し、この電力価格の変動の確率分布を用いて電力価格の市場リスクを計量し、総合的に電力の市場価格の変動に関するリスク評価を行うことを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  20. コンピュータにより複数の電力需要、電力供給を組みわせて電力取引を行う場合に、それぞれの取引に関わる電力価格において、電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との過去のデータから両者間の一定の関係を求め、当該電力需要量あるいは電力供給量と電力価格との一定の関係を用いて、市場リスクを評価する期間に渡って電力需要量あるいは電力供給量の不確実な変動に対応する電力価格の変動の確率分布を評価し、この電力価格の変動の確率分布を用いて電力価格の市場リスクを計量し、ランダムな変動成分に関してはモンテカルロ法によってシミュレーションを行って確率分布を求め、電力価格の変動に関するリスク評価を行うことを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  21. 前記モンテカルロ法によってシミュレーションを行うのに、金融ボルツマン・モデルを用いることによりリスク中立確率分布を求めて、リスク計量を行うことを特徴とする請求項20に記載の電力取引リスク管理方法。
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