本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する形態は、本開示を実施する場合に想定される例示的な一形態である。したがって、本開示の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
A:第1実施形態
図1は、第1実施形態における電力市場価格予測システム100のブロック図である。電力市場価格予測システム100は、予測対象となる所望の時間(以下「予測対象時間」という)における電力市場価格を予測するためのコンピュータシステムである。予測対象時間は、電力市場価格が確定していない将来の時点であり、例えば日付と時刻とにより指定される。なお、例えば所定長の時間帯が予測対象時間として指定されてもよい。
図1に例示される通り、電力市場価格予測システム100は、制御装置11と記憶装置12と通信装置13と操作装置14と表示装置15とを具備する。電力市場価格予測システム100は、例えばパーソナルコンピュータまたはタブレット端末等の情報機器により実現される。なお、電力市場価格予測システム100は、単体の装置により実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置でも実現される。
制御装置11は、電力市場価格予測システム100の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置11が構成される。
記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムと制御装置11が使用するデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置12は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成される。複数種の記録媒体の組合せにより記憶装置12が構成されてもよい。電力市場価格予測システム100に対して着脱される可搬型の記録媒体が、記憶装置12として利用されてもよい。
通信装置13は、外部装置との間で有線または無線により通信する。具体的には、通信装置13は、電力事業者が専用するLAN(Local Area Network)またはWAN(Wide Area Network)等の通信網を介して外部装置と通信する。ただし、通信装置13は、例えばインターネット等の通信網を利用してもよい。
操作装置14は、例えば電力事業者の従業者等の利用者からの指示を受付ける入力機器である。操作装置14は、例えば、利用者が操作する操作子、または、利用者による接触を検知するタッチパネルである。表示装置15は、制御装置11による制御のもとで画像を表示する。表示装置15は、例えば、液晶表示パネルまたは有機EL(Electroluminescence)パネル等の表示パネルである。なお、電力市場価格予測システム100とは別体の操作装置14または表示装置15が、電力市場価格予測システム100に有線または無線により接続されてもよい。
図2は、電力市場価格予測システム100の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで、予測対象時間の電力市場価格を予測するための複数の機能(情報取得部21,情報選択部22,価格予測部23)を実現する。制御装置11が実現する各要素の機能を以下に詳述する。
[情報取得部21]
情報取得部21は、電力情報Eを取得する。電力情報Eは、電力市場に関する各種の情報である。具体的には、電力情報Eは、電力市場情報、需給情報、連系線情報、発電機情報、燃料情報、気象情報または暦情報である。
電力市場情報は、電力市場に関する情報であり、例えば電力市場価格(実績価格Px)、前日価格、約定量または入札量である。需給情報は、電力の需給に関する情報であり、例えば需要量または供給量(発電量)である。連系線情報は、複数の電力系統を連結する連系線に関する情報であり、例えば連系線の空容量である。発電機情報は、発電機に関する情報であり、例えば発電機の稼動量、発電設備の停止による電力の減少量(出力停止量)、発電設備の稼動低下による電力の減少量(出力低下量)等である。燃料情報は、発電用の燃料に関する情報であり、例えば原油価格または天然ガス価格等である。気象情報は、電力市場に影響する気象に関する情報であり、例えば気温または湿度である。暦情報は、電力市場に影響する暦の情報であり、例えば平日/休日(祝日)の区別である。
情報取得部21は、外部の情報システム(図示略)から提供される電力情報Eを通信装置13により受信する。また、情報取得部21は、操作装置14に対する電力情報Eの入力を受付ける。すなわち、電力情報Eの受信および受付は、情報取得部21による電力情報Eの「取得」の例示である。なお、各電力情報Eの提供時期または提供元は、電力情報Eの種類毎に相違する。
情報取得部21は、通信装置13または操作装置14により取得した電力情報Eを記憶装置12に格納する。図3は、記憶装置12に記憶される情報の説明図である。図3に例示される通り、時間軸上の相異なる時間に対応する複数の参照情報Rが、記憶装置12に記憶される。
複数の参照情報Rの各々は、時間情報Txと実績価格Pxと関連情報Xとを含む。各参照情報Rの時間情報Txは、当該参照情報Rが対象とする時間を指定する。具体的には、時間情報Txは、過去の時点における日付と時刻とを指定する。なお、時間情報Txは、例えば30分等の時間長を単位とする時間帯を指定してもよい。情報取得部21は、例えば電力情報Eとともに提供される日時の情報、または通信装置13または操作装置14により電力情報Eを取得した時刻を、時間情報Txとして記憶装置12に格納する。
実績価格Pxは、時間情報Txが指定する過去の日時における電力市場価格の実績値である。例えば、情報取得部21が電力情報Eとして取得した電力市場価格が、実績価格Pxとして記憶装置12に記憶される。以上の説明から理解される通り、各参照情報Rの時間情報Txは、当該参照情報Rの実績価格Pxに対応する時間(日付および時刻)を表す情報である。
関連情報Xは、実績価格Pxに関連する情報である。具体的には、関連情報Xは、電力市場価格(実績価格Px)に影響するM個の説明変数x[1]~x[M]を含む(Mは2以上の自然数)。情報取得部21が順次に取得する電力情報E(実績価格Px以外)が、説明変数x[m](m=1~M)として記憶装置12に記憶される。なお、説明変数x[m]の数値は、実際には例えば所定の範囲(例えば0以上かつ1以下)内の数値に正規化または標準化される。実績価格Pxは、M個の説明変数x[1]~x[M]に依存する。すなわち、実績価格Pxは、M個の説明変数x[1]~x[M]を原因とした結果を表す目的変数である。
また、情報取得部21は、図3の予測要求Qを生成する。予測要求Qは、予測対象時間の電力市場価格(以下「予測価格」という)Pyを要求するクエリである。予測要求Qは、時間情報Tyと要求情報Yとを含む。時間情報Tyは、電力市場価格を予測すべき予測対象時間を指定する。具体的には、時間情報Tyは、予測対象となる将来の時点の日付と時刻とを指定する。なお、時間情報Tyは、例えば30分等の時間長を単位とする時間帯を指定してもよい。
要求情報Yは、予測価格Pyに関連する情報である。具体的には、要求情報Yは、電力市場価格(予測価格Py)に影響するM個の説明変数y[1]~y[M]を含む。情報取得部21が順次に取得する電力情報Eが説明変数y[m]として記憶装置12に記憶される。なお、説明変数y[m]の数値は、例えば所定の範囲(例えば0以上かつ1以下)内の数値に正規化または標準化される。予測価格Pyは、M個の説明変数y[1]~y[M]に依存する。すなわち、予測価格Pyは、M個の説明変数y[1]~y[M]を原因とした結果を表す目的変数である。以上の説明から理解される通り、関連情報Xと要求情報Yとは同様の形式である。すなわち、関連情報Xおよび要求情報Yの双方は、M次元のベクトルとして表現される。
[情報選択部22]
図2の情報選択部22は、記憶装置12に記憶された複数の参照情報RからK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する(Kは2以上の自然数)。具体的には、情報選択部22は、予測要求Qに含まれる時間情報Tyおよび要求情報Yに応じてK個の参照情報Rを選択する。図4は、情報選択部22がK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する処理(以下「情報選択処理」という)の手順を例示するフローチャートである。
情報選択処理が開始されると、情報選択部22は、記憶装置12に記憶された複数の参照情報RからN個の参照情報R[1]~R[N]を選択する(S21)。具体的には、情報選択部22は、時間情報Tyが指定する予測対象時間に対応する時間情報Txを含む参照情報Rを選択する。
例えば、予測対象時間と共通の日付または時刻を指定する時間情報Txを含む参照情報R、または予測対象時間を含む時間帯を指定する時間情報Txを含む参照情報Rが、記憶装置12の複数の参照情報Rから選択される。すなわち、時間に関する条件(時間情報Ty)が予測価格Pyと共通する参照情報Rが選択される。なお、時間情報Tyを利用して選択される参照情報R[n](n=1~N)の個数Nは可変値である。
情報選択部22は、時間情報Tyに応じて選択したN個の参照情報R[1]~R[N]からK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する(S22~S23)。個数Kは個数Nを下回る(K<N)。すなわち、情報選択部22は、N個の参照情報R[1]~R[N]の一部を選択する。
第1実施形態の情報選択部22は、N個の参照情報R[1]~R[N]から、予測要求Q内の要求情報Yに類似する関連情報Xを含むK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する。以上の説明から理解される通り、情報選択部22による参照情報R[k]の選択は、時間情報Txおよび時間情報Tyを利用したN個の参照情報R[1]~R[N]の選択(S21)と、関連情報Xおよび要求情報Yを利用したK個の参照情報R[1]~R[K]の選択(S22,S23)との2段階を含む。関連情報Xおよび要求情報Yを利用してK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する具体的な手順を、以下に説明する。
まず、情報選択部22は、N個の参照情報R[1]~R[N]の各々について類似指標D[n](D[1]~D[N])を算定する(S22)。各参照情報R[n]の類似指標D[n]は、当該参照情報R[n]に含まれる関連情報Xと予測要求Qの要求情報Yとの間における類似または相違の指標(すなわち類似度または相違度)である。
具体的には、情報選択部22は、以下の数式(1)の演算により類似指標D[n]を算定する。数式(1)の記号x[n,m]は、参照情報R[n]の関連情報Xに含まれる任意の1個の説明変数x[m]を意味する。
数式(1)の記号U[m]は、要求情報Yの説明変数y[m]と参照情報R[n]の説明変数x[n,m]との相違を表す指標である。具体的には、説明変数y[m]と説明変数x[n,m]との差分の絶対値が、単位指標U[m]として算定される。
数式(1)から理解される通り、類似指標D[n]は、M個の説明変数x[n,1]~x[n,M]にわたる単位指標U[m]の単純平均である。すなわち、情報選択部22は、M個の説明変数x[n,1]~x[n,M]の各々について単位指標U[m]を算定し、M個の単位指標U[1]~U[M]を平均することで類似指標D[n]を算定する。以上の説明から理解される通り、類似指標D[n]は、参照情報R[n]の関連情報Xと要求情報Yとの距離尺度に相当する。すなわち、関連情報Xが要求情報Yに類似するほど(すなわち単位指標U[m]が小さいほど)、類似指標D[n]は小さい数値となる。
情報選択部22は、各参照情報R[n]の類似指標D[n]に応じてN個の参照情報R[1]~R[N]からK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する(S23)。具体的には、情報選択部22は、類似指標D[n]の昇順で上位に位置するK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する。すなわち、類似指標D[n]が小さい順番でK個の参照情報R[1]~R[K]が選択される。情報選択部22が選択する参照情報R[k]の個数Kは、例えば所定の固定値である。
以上の説明から理解される通り、情報選択部22は、関連情報Xが要求情報Yに類似するK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する。すなわち、電力市場価格に関する状況(関連情報X)が予測対象時間における状況(要求情報Y)に類似するK個の参照情報R[1]~R[K]が選択される。第1実施形態における情報選択部22の動作は以上の通りである。
[価格予測部23]
価格予測部23は、情報選択部22が選択したK個の参照情報R[1]~R[K]を利用して、予測対象時間における予測価格Pyを算定する。第1実施形態の価格予測部23は、K個の参照情報R[1]~R[K]の各々に含まれる実績価格Px[k]の統計量を、予測価格Pyとして算定する。具体的には、価格予測部23は、以下の数式(2)の演算により予測価格Pyを算定する。
数式(2)から理解される通り、第1実施形態の価格予測部23は、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の単純平均を予測価格Pyとして算定する。第1実施形態における価格予測部23の動作は以上の通りである。
図5は、制御装置11が実行する処理(以下「電力市場価格予測処理」という)の具体的な手順を例示するフローチャートである。電力市場価格予測処理は、「電力市場価格予測方法」の一例である。
電力市場価格予測処理が開始されると、制御装置11(情報取得部21)は、予測要求Qを生成する(S1)。具体的には、制御装置11は、予測対象時間について取得した電力情報Eを利用して予測要求Qの要求情報Yを生成する。すなわち、要求情報Yは、予測対象時間における電力市場価格(予測価格Py)以外の電力市場の状況を表す情報である。
制御装置11(情報選択部22)は、図4に例示した情報選択処理によりK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する(S2)。具体的には、制御装置11は、時間情報Txおよび時間情報Tyに応じてN個の参照情報R[1]~R[N]を選択し(S21)、関連情報Xおよび要求情報Yに応じてK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する(S22-S23)。
制御装置11(価格予測部23)は、K個の参照情報R[1]~R[K]を利用した数式(2)の演算により、予測対象時間における予測価格Pyを算定する(S3)。制御装置11(価格予測部23)は、予測価格Pyを表示装置15に表示する(S4)。すなわち、予測対象時間における電力市場価格の予測結果が利用者に報知される。
制御装置11は、所定の終了条件が成立したか否かを判定する(S5)。終了条件は、例えば、操作装置14に対する利用者からの操作により電力市場価格予測処理の終了が指示されたことである。終了条件が成立しない場合(S5:NO)、制御装置11は、処理をステップS1に移行する。すなわち、予測要求Qの生成(S1)とK個の参照情報R[1]~R[K]の選択(S2)と予測価格Pyの算定(S3)および表示(S4)とが反復される。他方、終了条件が成立した場合(S5:YES)、制御装置11は電力市場価格予測処理を終了する。
なお、予測対象時間の実績価格Pxを電力情報Eとして取得すると、情報取得部21は、予測要求Qに含まれる時間情報Tyおよび要求情報Yと当該実績価格Pxとの組合せを、新規な参照情報Rとして記憶装置12に格納する。すなわち、時間情報Tyが時間情報Txとして利用され、要求情報Yが関連情報Xとして利用される。
以上に説明した通り、第1実施形態においては、予測対象時間の要求情報Yに類似する関連情報Xを含むK個の参照情報R[1]~R[k]を利用して、予測対象時間における予測価格Pyが算定される。したがって、例えば予測対象時間に対応する1個の関連情報Xのみから予測価格Pyが算定される形態と比較して、電力市場価格の予測価格Pyを高精度に予測できる。
ところで、予測価格Pyを算定する構成としては、例えば深層ニューラルネットワーク等の予測モデルを利用する構成(以下「構成A」という)も想定される。構成Aにおいては、例えば記憶装置12に記憶された全部の参照情報Rを教師データとして利用した教師あり機械学習により、関連情報Xと実績価格Pxとの関係を学習した予測モデルが確立される。機械学習済の予測モデルに予測要求Qの要求情報Yを入力することで予測価格Pyが生成される。
しかし、電力市場価格の傾向は経時的に変化する。近年では特に、例えば燃料価格の高騰または電力市場制度の見直し等の種々の事情により、電力市場価格の傾向が短期間で変動し易いという事情がある。構成Aにおいては、以上のような短期的な傾向の変動に迅速に対応することが困難であり、予測モデルの早期の陳腐化により電力市場価格の予測の精度が低下するという課題がある。なお、構成Aのもとでも、予測モデルを頻繁に更新することで、電力市場価格の傾向の短期的な変動に対応できる余地はある。しかし、予測モデルの適切な学習には多数の教師データと膨大な演算が必要であるから、電力市場価格の傾向の変動に迅速に対応できる程度に予測モデルを頻繁に更新することは、実際には現実的ではない。
構成Aとは対照的に、第1実施形態においては、記憶装置12に記憶された複数の参照情報Rから、予測対象時間における電力市場価格の予測に好適なK個の参照情報R[1]~R[K]が選択され、K個の参照情報R[1]~R[K]を利用して予測価格Pyが算定される。以上の構成似おいては、電力市場価格の傾向の短期的な変動を加味したK個の参照情報R[1]~R[K]を選択できる。したがって、電力市場価格の傾向の短期的な変動も加味して電力市場価格を高精度に予測できるという利点がある。
また、構成Aでは、相異なる時刻における多数の教師データが予測モデルの機械学習に利用されるから、特定の時刻について電力市場価格を高精度に予測することは困難である。なお、時刻毎に個別に確立された予測モデルを選択的に利用して、特定の時刻の電力市場価格を予測することも想定される。しかし、前述の通り、予測モデルの適切な学習には多数の教師データと膨大な演算が必要であるから、個々の時刻毎に予測モデルを個別に確立することは現実的には困難である。したがって、構成Aでは、例えば1週間または1ヶ月等の比較的に長い時間を単位として電力市場価格を予測せざるを得ない。
構成Aとは対照的に、第1実施形態においては、時間情報Txおよび時間情報Tyを利用してN個の参照情報R[1]~R[N]が選択される。すなわち、予測対象時間に対応するN個の参照情報R[1]~R[N]が選択される。したがって、時刻毎のような短い時間を単位として電力市場価格を予測できる。すなわち、第1実施形態によれば、短期的な変動の傾向を反映した電力市場価格を高精度に予測できる。
第1実施形態においては、N個の参照情報R[1]~R[N]の各々の類似指標D[n]に応じて、電力市場価格の予測に利用されるK個の参照情報R[1]~R[K]が選択される。すなわち、要求情報Yに類似する関連情報Xを含むK個の参照情報R[1]~R[K]を定量的に選択できる。第1実施形態においては特に、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の統計量(具体的には単純平均)を算定する簡便な演算処理により予測価格Pyを算定できる。
B:第2実施形態
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態においては、前述の数式(1)の通り、M個の単位指標U[1]~U[M]の単純平均を類似指標D[n]として算定した。第2実施形態においては、各参照情報R[n]について類似指標D[n]を算定する方法が第1実施形態とは相違する。類似指標D[n]の算定以外の構成および動作は、第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
図6は、第2実施形態の情報選択部22がN個の参照情報R[1]~R[N]の各々について類似指標D[n]を算定する処理(S22)のフローチャートである。
情報選択部22は、M個の説明変数x[n,1]~x[n,M]の各々について加重値Wa[m](Wa[1]~Wa[M])を取得する(S221)。すなわち、説明変数y[m]毎または単位指標U[m]毎に加重値Wa[m]が取得される。加重値Wa[m]は「第1加重値」の一例である。
加重値Wa[m]は、電力市場価格に対する説明変数x[n,m]の影響の度合に応じて説明変数x[n,m]毎に設定された数値である。具体的には、電力市場価格に対する説明変数x[n,m]の影響の度合が大きいほど、加重値Wa[m]は大きい数値に設定される。すなわち、加重値Wa[m]は、電力市場価格に対する説明変数x[n,m]の重要度とも表現される。例えば、M個の加重値Wa[1]~Wa[M]の総和が1となるように、各加重値Wa[m]は0以上かつ1以下の数値に設定される。電力市場価格に実質的に影響しない説明変数x[n,m]に対応する加重値Wa[m]は0に設定される。
例えば、実績価格Pxが説明変数x[n,m]に連動する傾向が観測される場合には、電力市場価格に対する説明変数x[n,m]の影響の度合が大きいと評価できる。したがって、情報選択部22は、例えば実績価格Pxの時系列と説明変数x[n,m]の時系列との相関値に応じて加重値Wa[m]を設定する。なお、実績価格Pxと説明変数x[n,m]との相関の解析には、例えばMIC(Maximal Information Coefficient)または変数重要度等の公知の指標が任意に採用される。
なお、M個の加重値Wa[1]~Wa[M]が記憶装置12に事前に記憶された形態も想定される。情報選択部22は、記憶装置12に記憶されたM個の加重値Wa[1]~Wa[M]を取得する。以上の例示から理解される通り、例えば加重値Wa[m]の算定と加重値Wa[m]の読出とが、情報選択部22による各加重値Wa[m]の取得(S221)として例示される。
情報選択部22は、第1実施形態と同様に、相異なる説明変数x[n,m]に対応するM個の単位指標U[1]~U[M]を参照情報R[n]毎に算定する(S222)。前述の通り、単位指標U[m]は、説明変数y[m]と説明変数x[n,m]との類似または相違の度合を表す指標である。なお、M個の加重値Wa[1]~Wa[M]の算定(S221)とM個の単位指標U[1]~U[M]の算定(S222)との順番は反転されてもよい。
情報選択部22は、M個の加重値Wa[1]~Wa[M]とM個の単位指標U[1]~U[M]とを適用した以下の数式(1a)の演算により類似指標D[n]を算定する(S223)。すなわち、第2実施形態においては、前述の数式(1)が以下の数式(1a)に置換される。
数式(1a)から理解される通り、第2実施形態の情報選択部22は、説明変数x[n,m]毎の加重値Wa[m]を適用したM個の単位指標U[1]~U[M]の加重和を、類似指標D[n]として算定する。すなわち、電力市場価格に対する影響が大きい説明変数x[n,m]ほど、類似指標D[n]に対する影響が大きい。なお、類似指標D[n]に応じてK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する動作(S22-S23)は、第1実施形態と同様である。
以上に説明した通り、第2実施形態においては、各説明変数x[n,m]の加重値Wa[m]を適用したM個の単位指標U[1]~U[M]の加重和に応じて類似指標D[n]が算定される。例えば、M個の説明変数x[n,1]~x[n,M]のうち電力市場価格に対する影響が大きい説明変数x[n,m]が類似指標D[n]に優先的に反映される。したがって、電力市場価格の傾向が有効に反映された類似指標D[n]が算定され、結果的に電力市場予測を高精度に予測できる。
C:第3実施形態
第1実施形態の価格予測部23は、前述の数式(2)の通り、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の単純平均に応じて予測価格Pyを算定する(S3)。第3実施形態においては、K個の実績価格Px[1]~Px[K]から予測価格Pyを算定する方法が第1実施形態とは相違する。
図7は、第3実施形態の価格予測部23が予測価格Pyを算定する処理(S3)のフローチャートである。価格予測部23は、相異なる参照情報R[k]に対応するK個の加重値Wb[1]~Wb[K]を算定する(S31)。各加重値Wb[k]は、参照情報R[k]について算定された類似指標D[n]に応じた数値である。具体的には、価格予測部23は、以下の数式(3a)および数式(3b)の演算により加重値Wb[k]を算定する。
数式(3a)の記号V[k]は、加重値Wb[k]を算定するための中間的な変数である。数式(3a)から理解される通り、参照情報R[k]について算定された類似指標D[k]が小さいほど、中間変数V[k]は大きい数値に設定される。すなわち、参照情報R[k]の関連情報Xが予測要求Qの要求情報Yに類似するほど(類似指標D[k]が小さいほど)、当該参照情報R[k]に対応する中間変数V[k]は大きい数値に設定される。また、数式(3b)から理解される通り、参照情報R[k]の関連情報Xが予測要求Qの要求情報Yに類似するほど(中間変数V[k]が大きいほど)、加重値Wb[k]は大きい数値に設定される。すなわち、加重値Wb[k]は、各参照情報R[k]について算定された類似指標D[k]に応じて設定される。加重値Wb[k]は「第2加重値」の一例である。
価格予測部23は、K個の加重値Wb[1]~Wb[K]とK個の実績価格Px[1]~Px[K]とを適用した以下の数式(2a)の演算により、予測対象時間における予測価格Pyを算定する(S32)。すなわち、第3実施形態においては、前述の数式(2)が以下の数式(2a)に置換される。
数式(2a)から理解される通り、第3実施形態の価格予測部23は、参照情報R[k]毎の加重値Wb[k]を適用したK個の実績価格Px[1]~Px[K]の加重和を、予測価格Pyとして算定する。
予測価格Pyの算定以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態においては、各参照情報R[k]の類似指標D[k]に応じた加重値Wb[k]を適用したK個の実績価格Px[1]~Px[K]の加重和に応じて予測価格Pyが算定される。例えば、関連情報Xが要求情報Yに類似するほど、当該関連情報Xに対応する実績価格Px[k]が予測価格Pyに影響する度合が増大する。したがって、例えばK個の実績価格Px[1]~Px[K]の単純平均を予測価格Pyとして算定する第1実施形態と比較して、電力市場価格を高精度に予測できる。
また、参照情報R[k]を選択するための類似指標D[n]に応じて加重値Wb[k]が設定されるから、類似指標D[k]とは無関係に加重値Wb[k]を設定する形態と比較して、電力市場価格の予測のための処理負荷を軽減できる。ただし、第3実施形態において、類似指標D[k]とは無関係に加重値Wb[k]が設定されてもよい。
D:第4実施形態
第1実施形態の価格予測部23は、前述の数式(2)の通り、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の単純平均に応じて予測価格Pyを算定する(S3)。第4実施形態の価格予測部23は、価格予測モデルGを利用して予測価格Pyを算定する。
価格予測モデルGは、予測価格Pyと要求情報Yとの関係を機械学習により学習した統計モデルである。図8は、価格予測モデルGの説明図である。価格予測モデルGは、予測価格Pyと要求情報Yとの関係を表現する関数である。具体的には、価格予測モデルGは、以下の数式(4)で表現される。
図8には、K個の参照情報R[1]~R[K]の各々における実績価格Pxと関連情報Xとがプロットされている。図8から理解される通り、価格予測モデルGは、K個の参照情報R[1]~R[K]における実績価格Pxと関連情報Xとの関係を近似する。数式(4)の記号a[m]は、説明変数y[m]に対応する回帰係数であり、記号bは切片係数である。
第4実施形態の価格予測部23は、K個の参照情報R[1]~R[K]を利用した機械学習により価格予測モデルGを確立する。具体的には、価格予測部23は、各参照情報R[k]における実績価格Px(目的変数)と関連情報XのM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]との関係を解析する重回帰分析により価格予測モデルGを確立する。すなわち、実績価格PxとM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]との関係が価格予測モデルGにより近似されるように、M個の回帰係数a[1]~a[M]と1個の切片係数bとが設定される。したがって、価格予測モデルGにより算定される予測価格Pyは、K個の参照情報R[1]~R[K]における実績価格Pxと関連情報Xとの関係のもとで、未知の要求情報Yに対して統計的に妥当な価格である。なお、重回帰分析は「機械学習」の一例である。
図9は、第4実施形態の価格予測部23が予測価格Pyを算定する処理(S3)のフローチャートである。価格予測部23は、予測価格Pyと要求情報Yとの関係を表す価格予測モデルGを、K個の参照情報R[1]~R[K]を利用した機械学習により確立する(Sa31)。価格予測部23は、予測要求Qの要求情報Yを価格予測モデルGに適用することで予測価格Pyを算定する(Sa32)。具体的には、価格予測部23は、数式(4)の演算により予測価格Pyを算定する。
予測価格Pyの算定以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第4実施形態においては、K個の参照情報R[1]~R[K]を利用して確立された価格予測モデルGが、予測価格Pyの算定に利用される。したがって、K個の参照情報R[1]~R[K]における実績価格Pxと関連情報Xとの間の関係のもとで、要求情報Yに対して統計的に妥当な予測価格Pyを算定できる。
なお、第1実施形態から第3実施形態においては、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の統計量(具体的には単純平均)を算定する簡便な演算処理により予測価格Pyを算定できる。したがって、第1実施形態から第3実施形態によれば、価格予測モデルGを確立する第4実施形態と比較して、予測価格Pyを算定するための処理負荷を軽減できる。
E:第5実施形態
第4実施形態においては、関連情報XのM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]を利用して価格予測モデルGを確立し、要求情報YのM個の説明変数y[1]~y[M]を価格予測モデルGに適用することで予測価格Pyを算定した。第2実施形態において前述した通り、実績価格Pxに対する説明変数x[k,m]の影響(重要度)は説明変数x[k,m]毎に相違する。すなわち、M個の説明変数x[k,1]~x[k,M]のなかには、実績価格Pxに顕著に影響する説明変数x[k,m]だけでなく、実績価格Pxに対する影響が充分に小さい説明変数x[k,m]も含まれる。また、予測価格Pyに対する説明変数y[m]の影響も説明変数y[m]毎に相違する。すなわち、M個の説明変数y[1]~y[M]のなかには、実績価格Pxに顕著に影響する説明変数y[m]だけでなく、実績価格Pxに対する影響が充分に小さい説明変数y[m]も含まれる。
以上の傾向を考慮して、第5実施形態においては、各参照情報R[k]のM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]のうち実績価格Pxに対する影響が大きい一部の説明変数x[k,m]が、価格予測モデルGの確立に選択的に利用される。また、要求情報YのM個の説明変数y[1]~y[M]のうち予測価格Pyに対する影響が大きい一部の説明変数y[m]が、予測価格Pyの算定に選択的に利用される。
第5実施形態の情報選択部22は、前述の第2実施形態と同様に、相異なる説明変数x[n,m]に対応するM個の加重値Wa[1]~Wa[M]を算定し、各加重値Wa[m]を適用したM個の単位指標U[1]~U[M]の加重和(数式(1a))に応じて類似指標D[n]を算定する。加重値Wa[m]は、前述の通り、電力市場価格に対する説明変数x[n,m]の影響の度合に応じて説明変数x[n,m]毎(または説明変数y[m]毎)に設定される。
図10は、第5実施形態の価格予測部23が予測価格Pyを算定する処理(S3)のフローチャートである。価格予測部23は、情報選択部22が設定した各加重値Wa[m]に応じて、参照情報R[k]のM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]のうちのH個の説明変数x[k,1]~x[k,H]と、M個の説明変数y[1]~y[M]のうちのH個の説明変数y[1]~y[H]とを選択する(Sb30)。具体的には、価格予測部23は、加重値Wa[m]の降順で上位に位置するH個の説明変数x[k,1]~x[k,H]を選択する。同様に、価格予測部23は、加重値Wa[m]の降順で上位に位置するH個の説明変数y[1]~y[H]を選択する。個数Hは、個数Mを下回る1以上の所定値である。
図11には、価格予測部23が説明変数x[k,m]および説明変数y[m]を選択する処理の具体例が例示されている。図11においては、前日価格、需要量、気温、湿度および暦情報という5個(M=5)の説明変数が便宜的に図示されている。
図11の例示において、加重値Wa[1]~Wa[3]は閾値(0.5)を上回り、加重値Wa[4]およびWa[5]は閾値を下回る。したがって、価格予測部23は、関連情報Xの5個の説明変数x[k,1]~x[k,5]のうち3個の説明変数x[k,1]~x[k,3]を選択し、残余の2個の説明変数x[k,4],x[k,5]を選択しない。同様に、価格予測部23は、要求情報Yの5個の説明変数y[1]~y[5]のうち3個の説明変数y[1]~y[3]を選択し、残余の2個の説明変数y[4],y[5]を選択しない。
価格予測部23は、K個の参照情報R[1]~R[K]の各々における実績価格Pxと、加重値Wa[m]に応じて選択したH個の説明変数y[n,1]~y[n,H]とを利用した機械学習により、価格予測モデルGを確立する(Sb31)。すなわち、各参照情報R[k]における実績価格PxとH個の説明変数x[k,1]~x[k,H]との関係が価格予測モデルGにより近似されるように、H個の回帰係数a[1]~a[H]と1個の切片係数bとが設定される。したがって、参照情報R[k]のM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]のうち選択されない(M-H)個の説明変数x[k,m]は、価格予測モデルGに反映されない。
価格予測部23は、要求情報Yに含まれるM個の説明変数y[1]~y[M]のうち加重値Wa[m]に応じて選択したH個の説明変数y[1]~y[H]を価格予測モデルGに適用することで、予測価格Pyを算定する(Sb32)。具体的には、価格予測部23は、以下の数式(4a)の演算により予測価格Pyを算定する。
以上の説明から理解される通り、価格予測モデルGにより算定される予測価格Pyは、K個の参照情報R[1]~R[K]における実績価格PxとH個の説明変数x[k,1]~x[k,H]との関係のもとで、要求情報YのH個の説明変数y[1]~y[H]に対して統計的に妥当な価格である。要求情報YのM個の説明変数y[1]~y[M]のうち選択されない(M-H)個の説明変数y[m]は、予測価格Pyに反映されない。
予測価格Pyの算定以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第5実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態と同様に、各説明変数x[n,m]の加重値Wa[m]を適用したM個の単位指標U[1]~U[M]の加重和に応じて類似指標D[n]が算定される。したがって、第5実施形態においても第2実施形態と同様の効果が実現される。
第5実施形態においては、関連情報XのM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]のうち加重値Wa[m]に応じて選択された一部の説明変数x[k,1]~x[k,H]が価格予測モデルGの確立に利用され、かつ、要求情報YのM個の説明変数y[1]~y[M]のうち加重値Wa[m]に応じて選択された一部の説明変数y[1]~y[H]が予測価格Pyの算定に利用される。したがって、M個の説明変数x[k,1]~x[k,M]の全部が価格予測モデルGの確立に利用され、かつ、M個の説明変数y[1]~y[M]の全部が予測価格Pyの算定に利用される第4実施形態と比較して、予測価格Pyの算定に必要な処理負荷を軽減できる。また、予測価格Pyに対する影響が小さい説明変数y[m]の利用が省略されるから、第4実施形態と比較して予測価格Pyを高精度に算定できる。
また、第5実施形態においては、類似指標D[n]の算定に適用される各説明変数x[n,m]の加重値Wa[m]が、H個の説明変数x[k,1]~x[k,H]の選択とH個の説明変数y[1]~y[H]の選択とに流用される。したがって、加重値Wa[m]とは別個の指標を利用して説明変数x[k,h](h=1~H)および説明変数y[h]を選択する形態と比較して、予測価格Pyの算定に必要な処理負荷を軽減できる。ただし、第5実施形態において、加重値Wa[m]とは別個に設定された指標に応じてH個の説明変数x[k,1]~x[k,H]とH個の説明変数y[1]~y[H]とを価格予測部23が選択してもよい。
F:第6実施形態
第4実施形態においては、予測価格Pyの算定に1個の価格予測モデルGが利用される。以下に説明する第6実施形態においては、時間軸上の相異なる解析期間t[j]に対応する複数(J個)の価格予測モデルG[1]~G[J]が、予測価格Pyの算定に利用される(j=1~J)。各解析期間t[j]は、所定の時間長の期間である。例えば日付または時間帯が解析期間t[j]毎に相違する。すなわち、例えば日付毎または時間帯毎に価格予測モデルG[j]が確立される。
図12は、第6実施形態の価格予測部23が予測価格Pyを算定する処理(S3)のフローチャートである。価格予測部23は、J個の解析期間t[1]~t[J]の各々について価格予測モデルG[j]を確立する(Sc31)。
各解析期間t[j]に対応する価格予測モデルG[j]は、K個の参照情報R[1]~R[K]のうち、時間情報Txの指定する時点が当該解析期間t[j]に含まれる1以上の参照情報R[k]を利用した機械学習により確立される。具体的には、価格予測部23は、解析期間t[j]内の各参照情報R[k]における実績価格Px[k](目的変数)と関連情報XのM個の説明変数x[k,1]~x[k,M]との関係を解析する重回帰分析により価格予測モデルG[j]を確立する。したがって、価格予測モデルG[j]は、解析期間t[j]内の各参照情報R[k]における実績価格Pxと関連情報Xとの関係を表す統計モデルである。
価格予測部23は、以下の数式(5)に例示される通り、予測要求Qの要求情報Yを各価格予測モデルG[j]に適用することで暫定的な予測価格(以下「暫定価格」という)Py[j]を算定する(Sc32)。すなわち、相異なる解析期間t[j]に対応するJ個の暫定価格Py[1]~Py[J]が算定される。
価格予測部23は、相異なる解析期間t[j]に対応するJ個の暫定価格Py[1]~Py[J]に応じて、予測対象時間の予測価格Pyを算定する(Sc33)。第6実施形態の価格予測部23は、以下の数式(6)に例示される通り、J個の暫定価格Py[1]~Py[J]の単純平均を予測価格Pyとして算定する。
なお、予測価格Pyの算定の方法は、以上に例示した単純平均に限定されない。例えば、J個の暫定価格Py[1]~Py[J]の相乗平均、中間値、分位値、最大値または最小値等の統計量(すなわち、J個の暫定価格Py[1]~Py[J]の特徴を表す数量)が、予測価格Pyとして算定されてもよい。
予測価格Pyの算定(S3)以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第6実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第6実施形態においては、相異なる解析期間t[j]に対応するJ個の価格予測モデルG[1]~G[J]が予測価格Pyの算定に利用される。したがって、各解析期間t[j]における実績価格Pxと関連情報Xとの間の関係のもとで、要求情報Yに対して統計的に妥当な予測価格Pyを算定できる。
G:第7実施形態
第6実施形態においては、前述の数式(6)の通り、J個の暫定価格Py[1]~Py[J]の単純平均を予測価格Pyとして算定した。第7実施形態においては、J個の暫定価格Py[1]~Py[J]から予測価格Pyを算定する方法が第6実施形態とは相違する。
第7実施形態の価格予測部23は、以下の数式(7)の通り、価格予測モデルG[j]毎に設定された加重値Wc[j]を適用したJ個の暫定価格Py[1]~Py[J]の加重和を、予測価格Pyとして算定する。
加重値Wc[j]は、価格予測モデルG[j]の精度に応じて価格予測モデルG[j]毎に設定される。具体的には、価格予測モデルG[j]の精度が高いほど、加重値Wc[j]は大きい数値に設定される。例えば、J個の加重値Wc[1]~Wc[J]の総和が1となるように、各加重値Wc[j]は0以上かつ1以下の数値に設定される。加重値Wc[j]は、価格予測モデルG[j]が関連情報Xから算定する電力市場価格の統計的な妥当性に応じた数値とも表現される。加重値Wc[j]は「第3加重値」の一例である。
図13は、第7実施形態の価格予測部23が予測価格Pyを算定する処理(S3)のフローチャートである。価格予測部23は、第6実施形態と同様に、J個の解析期間t[j]の各々について価格予測モデルG[j]を確立する(Sd31)。
価格予測部23は、各価格予測モデルG[j]について精度指標A[j]を算定する(Sd32)。精度指標A[j]は、価格予測モデルG[j]による電力市場価格の予測精度に関する指標である。具体的には、精度指標A[j]は、参照情報R[k]の関連情報Xを価格予測モデルG[j]に適用することで算定される電力市場価格の推定値Pz[j,k]と、当該参照情報R[k]内の実績価格Px[k]との差分に応じて算定される。すなわち、精度指標A[j]は、価格予測モデルG[j]による推定値Pz[j]と実際の電力市場価格(実績価格Px[k])との差分に応じた指標である。推定値Pz[j]と実績価格Px[k]との差分は、価格予測モデルG[j]による推定誤差に相当する。
第7実施形態の価格予測部23は、K個の参照情報R[1]~R[K]のうち予測対象時間前の特定の期間(以下「特定期間」という)に対応する1以上の参照情報R[k]を利用して精度指標A[j]を算定する。特定期間は、例えば予測対象時間の直前に位置する所定長の期間である。例えば予測対象時間の前日が特定期間として例示される。
例えば、価格予測部23は、以下の数式(8)により精度指標A[j]を算定する。
数式(8)から理解される通り、価格予測部23は、特定期間内の各参照情報R[k]の関連情報Xから価格予測モデルG[j]が算定する推定値Pz[j,k]と、当該参照情報R[k]の実績価格Px[k]との差分の絶対値|Pz[j,k]-Px[k]|の逆数を、特定期間内の参照情報R[k]について合計することで、精度指標A[j]を算定する。以上の説明から理解される通り、価格予測モデルG[j]の推定値Pz[j,k]と実績価格Px[k]とが近似するほど(すなわち価格予測モデルG[j]の予測精度が高いほど)、精度指標A[j]は大きい数値となる。
価格予測部23は、精度指標A[j]に応じた加重値Wc[j]を各価格予測モデルG[j]について算定する(Sd33)。具体的には、価格予測部23は、以下の数式(9)により加重値Wc[j]を算定する。
数式(9)から理解される通り、精度指標A[j]が大きいほど加重値Wc[j]は大きい数値に設定される。また、相異なる価格予測モデルG[j]に対応するJ個の加重値Wc[1]~Wc[J]の合計は1である。
価格予測部23は、前述の数式(7)の通り、各価格予測モデルG[j]の加重値Wc[j]を適用したJ個の暫定価格Py[1]~Py[J]の加重和により、予測価格を算定する(Sd34)。予測価格Pyの算定(S3)以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第7実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
第7実施形態においては、各価格予測モデルG[j]の精度指標A[j]に応じた加重値Wc[j]適用したJ個の暫定価格Py[1]~Py[J]の加重和により、予測価格Pyが算定される。すなわち、予測精度が高い価格予測モデルG[j]が優先的に予測価格Pyに反映される。したがって、J個の暫定価格Py[1]~Py[J]の単純平均が予測価格Pyとして算定される第6実施形態と比較して、予測価格Pyを高精度に算定できる。
H:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
(1)前述の各形態においては、類似指標D[n]の昇順でK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する形態を例示したが、情報選択部22が類似指標D[n]に応じてK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する方法は以上の例示に限定されない。例えば、N個の参照情報R[1]~R[N]のうち類似指標D[n]が所定の閾値を下回るK個の参照情報R[1]~R[K]を、情報選択部22が選択してもよい。閾値を下回る参照情報R[k]の個数Kは可変値である。
(2)前述の各形態においては、関連情報Xと要求情報Yとの距離尺度を類似指標D[n]として例示した。したがって、前述の通り、関連情報Xが要求情報Yに類似するほど、類似指標D[n]は小さい数値に設定される。しかし、類似指標D[n]は距離尺度に限定されない。例えば、情報選択部22は、関連情報Xと要求情報Yとの相関を類似指標D[n]として算定してもよい。類似指標D[n]を相関とした形態においては、関連情報Xが要求情報Yに類似するほど、類似指標D[n]は大きい数値に設定される。したがって、情報選択部22は、N個の参照情報R[1]~R[N]のうち類似指標D[n]の降順で上位に位置するK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する。なお、情報選択部22は、類似指標D[n]が所定の閾値を上回るK個の参照情報R[1]~R[K]を選択してもよい。
以上の説明から理解される通り、類似指標D[n]は、関連情報Xと要求情報Yとの間における類似または相違の指標(すなわち類似度または相違度)として包括的に表現され、関連情報Xと要求情報Yとの類似または相違の度合と類似指標D[n]の数値の大小との関係は不問である。
(3)第1実施形態においては、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の単純平均を予測価格Pyとして算定したが、予測価格Pyの算定に利用されるK個の実績価格Px[1]~Px[K]の統計量は、単純平均に限定されない。例えば、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の相乗平均、中間値、分位値、最大値または最小値等の統計量(すなわち、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の特徴を表す数量)が、予測価格Pyとして算定されてもよい。
(4)加重値Wb[k]を算定する方法は、前述の第3実施形態における例示に限定されない。例えば、価格予測部23は、類似指標D[k]の逆数を中間変数V[k]として加重値Wb[k]を算定してもよい。また、価格予測部23は、類似指標D[k]の逆数を加重値Wb[k]として算定してもよい。以上の説明から理解される通り、加重値Wb[k]は、参照情報R[k]について算定された類似指標D[k]に応じた数値として包括的に表現される。例えば、前述の各形態の例示の通り、関連情報Xと要求情報Yとが類似するほど、加重値Wb[k]は大きい数値に設定される。
(5)前述の各形態においては、説明変数y[m]と説明変数x[n,m]との差分の絶対値を単位指標U[m]として例示したが、単位指標U[m]の算定の方法は以上の例示に限定されない。例えば、情報選択部22は、説明変数y[m]と説明変数x[n,m]との差分の自乗を単位指標U[m]として算定してもよい。以上の説明から理解される通り、単位指標U[m]は、説明変数y[m]と説明変数x[n,m]との相違を表す指標として包括的に表現される。
(6)第2実施形態においては、M個の単位指標U[1]~U[M]の加重和を類似指標D[n]として算定したが、情報選択部22は、M個の単位指標U[1]~U[M]の加重和を含む所定の演算により類似指標D[n]を算定してもよい。すなわち、情報選択部22は、M個の単位指標U[1]~U[M]の加重和に応じて類似指標D[n]を算定する要素として表現され、加重和自体を類似指標D[n]として算定する要素のほか、加重和を含む演算により類似指標D[n]を算定する要素も、情報選択部22に該当する。
(7)第3実施形態においては、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の加重和を予測価格Pyとして算定したが、価格予測部23は、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の加重和を含む所定の演算により予測価格Pyを算定してもよい。すなわち、価格予測部23は、K個の実績価格Px[1]~Px[K]の加重和に応じて予測価格Pyを算定する要素として表現され、加重和自体を予測価格Pyとして算定する要素のほか、加重和を含む演算により予測価格Pyを算定する要素も、価格予測部23に該当する。
(8)前述の各形態においては、K個の参照情報R[1]~R[K]に対する重回帰分析により価格予測モデルGを確立したが、価格予測モデルGの種類および確立の方法は、以上の例示に限定されない。価格予測部23は、例えば深層ニューラルネットワークまたはSVM(サポートベクターマシン)等の各種の統計モデルで構成される価格予測モデルGを、K個の参照情報R[1]~R[K]を適用した機械学習により確立してもよい。以上の説明から理解される通り、価格予測モデルGは、要求情報Yと予測価格Pyとの関係を機械学習により学習した統計モデルとして包括的に表現される。
(9)前述の各形態においては、N個の参照情報R[1]~R[N]の選択(S21)とK個の参照情報R[1]~R[K]の選択(S22)とを、情報選択部22が実行する形態を例示したが、時間情報Txおよび時間情報Tyを利用したN個の参照情報R[1]~R[N]の選択(S21)は省略されてよい。すなわち、情報選択部22は、関連情報Xおよび要求情報Yを利用して、記憶装置12に記憶された複数の参照情報RからK個の参照情報R[1]~R[K]を選択してもよい。
(10)前述の各形態において、記憶装置12に記憶された複数の参照情報RからK個の参照情報R[1]~R[K]を選択する処理(情報選択部22)は省略されてもよい。すなわち、N個の参照情報R[1]~R[N]の選択(S21)とK個の参照情報R[1]~R[K]の選択(S22)との一方または双方は省略されてよい。例えば、記憶装置12に記憶された複数の参照情報Rを、前述の各形態におけるK個の参照情報R[1]~R[K]として、前述の各形態に例示した動作が実行されてもよい。
(11)前述の各形態においては、予測価格Pyが表示装置15に表示される形態を例示したが、価格予測部23が算定した予測価格Pyを利用する方法は、以上の例示に限定されない。例えば、予測価格Pyを通信装置13から外部装置に送信する形態も想定される。また、制御装置11が、予測価格Pyを利用して売電または買電の計画を作成することも可能である。
(12)前述の各形態に係る電力市場価格予測システム100の機能は、前述の通り、制御装置11を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置12に記憶されたプログラムとの協働により実現される。以上に例示したプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
I:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
本開示のひとつの態様(態様1)に係る電力市場価格予測システムは、電力市場価格の実績価格と当該実績価格に関連する関連情報とを含むN個(Nは2以上の自然数)の参照情報から、予測対象時間の電力市場価格に関連する要求情報に類似する前記関連情報を含むK個(Kは2以上の自然数。K<N)の参照情報を選択する情報選択部と、前記情報選択部が選択した前記K個の参照情報を利用して、前記予測対象時間における電力市場価格の予測価格を算定する価格予測部とを具備する。以上の態様においては、予測対象時間の要求情報に類似する関連情報を含むK個の参照情報を利用して予測対象時間における電力市場価格の予測価格が算定される。したがって、例えば予測対象時間に対応する1個の関連情報から予測価格が算定される形態と比較して、電力市場価格の予測価格を高精度に予測できる。
態様1の具体例(態様2)において、前記参照情報は、当該参照情報の前記実績価格に対応する時間を表す時間情報を含み、前記情報選択部は、前記予測対象時間に対応する前記時間情報を含む前記N個の参照情報を、複数の参照情報から選択する。以上の態様においては、予測対象時間に対応するN個の参照情報が複数の参照情報から選択される。したがって、充分に短い時間を単位として電力市場価格を予測できる。すなわち、短期的な変動の傾向を反映した電力市場価格を高精度に予測できる。
態様1または態様2の具体例(態様3)において、前記情報選択部は、前記N個の参照情報の各々について、当該参照情報に含まれる前記関連情報と前記要求情報との間の類似指標を算定し、前記類似指標に応じて前記N個の参照情報から前記K個の参照情報を選択する。以上の態様においては、各参照情報の類似指標に応じて、電力市場価格の予測に利用されるK個の参照情報が選択される。すなわち、要求情報に類似する関連情報を含むK個の参照情報を定量的に選択できる。
態様3の具体例(態様4)において、前記関連情報および前記要求情報の各々は、電力市場価格に影響する複数の説明変数を含み、前記情報選択部は、前記複数の説明変数の各々について、前記関連情報と前記要求情報との間における当該説明変数の相違を表す単位指標を算定し、電力市場価格に対する説明変数の影響の度合に応じて説明変数毎に設定された第1加重値を適用した、前記複数の単位指標の加重和に応じて、前記類似指標を算定する。以上の態様においては、関連情報の説明変数と要求情報の説明変数との間における相違の度合を表す単位指標が説明変数毎に算定され、各説明変数の第1加重値を適用した複数の単位指標の加重和に応じて類似指標が算定される。例えば、複数の説明変数のうち電力市場価格に対する影響が大きい説明変数が類似指標に優先的に反映される。したがって、電力市場価格の傾向が有効に反映された類似指標が算定され、結果的に電力市場予測を高精度に予測できる。
態様1から態様4の何れかの具体例(態様5)において、前記価格予測部は、前記K個の参照情報にそれぞれ含まれる複数の実績価格の統計量を、前記予測価格として算定する。以上の態様においては、複数の実績価格の統計量を算定する簡便な演算処理により電力市場価格の予測価格が算定される。したがって、要求情報から電力市場価格の予測価格を生成する価格予測モデルを複数の関連情報を利用して確立する構成と比較して、電力市場価格を予測するための負荷を軽減できる。
態様5の具体例(態様6)において、前記価格予測部は、前記各参照情報について算定された前記類似指標に応じた第2加重値を、当該参照情報の前記実績価格に適用した、前記複数の実績価格の加重和に応じて、前記予測価格を算定する。以上の態様においては、各参照情報の類似指標に応じた第2加重値を適用した複数の実績価格の加重和に応じて予測価格が算定される。例えば、関連情報が要求情報に類似するほど、当該関連情報に対応する電力市場価格の実績価格が予測価格に影響する度合が増大する。したがって、例えば複数の実績価格の単純平均を予測価格として算定する形態と比較して、電力市場価格を高精度に予測できる。また、参照情報を選択するための類似指標に応じて第2加重値が設定されるから、類似指標とは無関係に第2加重値を設定する形態と比較して、電力市場価格の予測のための処理負荷を軽減できる。
態様1から態様4の何れかの具体例(態様7)において、前記価格予測部は、電力市場価格と要求情報との関係を表す価格予測モデルを、前記K個の参照情報を利用した機械学習により確立し、前記価格予測モデルに前記要求情報を適用することで前記予測価格を算定する。以上の態様によれば、K個の参照情報における実績価格と関連情報との関係のもとで、要求情報に対して統計的に妥当な予測価格を算定できる。
態様4の具体例(態様8)において、前記価格予測部は、前記各説明変数に対応する第1加重値に応じて、前記複数の説明変数から一部の説明変数を選択し、前記K個の参照情報の各々における電力市場価格の前記実績価格と前記一部の説明変数とを利用した機械学習により、前記価格予測モデルを確立し、前記要求情報に含まれる前記複数の説明変数のうち前記一部の説明変数を前記価格予測モデルに適用することで、前記予測価格を算定する。以上の態様によれば、関連情報の複数の説明変数のうち第1加重値に応じて選択された一部の説明変数が価格予測モデルの確立に利用され、かつ、要求情報の複数の説明変数のうち第1加重値に応じて選択された一部の説明変数が予測価格の算定に利用される。したがって、複数の説明変数の全部を価格予測モデルの確立および電力市場価格の予測に利用される形態と比較して、予測価格の算定に必要な処理負荷を軽減できる。また、類似指標の算定に適用される第1加重値が、一部の説明変数の選択にも流用される。したがって、第1加重値を利用せずに説明変数を選択する形態と比較して処理負荷を軽減できる。
態様7の具体例(態様9)において、前記価格予測部は、複数の解析期間の各々について、前記K個の参照情報のうち当該解析期間に対応する1以上の参照情報における電力市場価格の実績価格と当該実績価格に関連する関連情報との関係を表す価格予測モデルを確立し、予測対象時間の電力市場価格に関連する要求情報を前記各価格予測モデルに適用することで、前記複数の解析期間にそれぞれ対応する複数の暫定価格を算定し、前記予測対象時間における電力市場価格の予測価格を、前記複数の暫定価格に応じて算定する。以上の態様においては、相異なる解析期間に対応する複数の価格予測モデルが予測価格の算定に利用される。したがって、各解析期間における実績価格と関連情報との間の関係のもとで、要求情報に対して統計的に妥当な予測価格を算定できる。
態様9の具体例(態様10)において、前記価格予測部は、前記各価格予測モデルについて、前記予測対象時間の前の特定の期間に対応する各参照情報における前記関連情報を当該価格予測モデルに適用することで算定される電力市場価格と、当該参照情報における前記実績価格との差分に応じた精度指標を算定し、前記各価格予測モデルの精度指標に応じた第3加重値を適用した、前記複数の暫定価格の加重和により、前記予測価格を算定する。以上の態様においては、各価格予測モデルの精度指標に応じた第3加重値を適用した複数の暫定価格の加重和により、予測価格が算定される。すなわち、予測精度が高い価格予測モデルが優先的に予測価格に反映される。したがって、例えば複数の暫定価格の単純平均が予測価格として算定される態様と比較して、予測価格を高精度に算定できる。
本開示のひとつの態様に係る電力市場価格予測方法は、電力市場価格の実績価格と当該実績価格に関連する関連情報とを含むN個(Nは2以上の自然数)の参照情報から、予測対象時間の電力市場価格に関連する要求情報に類似する前記関連情報を含むK個(Kは2以上の自然数。K<N)の参照情報を選択することと、前記選択した前記K個の参照情報を利用して、前記予測対象時間における電力市場価格の予測価格を算定することとを含む。