JP2022079368A - 情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】電力の取引を支援する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】情報処理装置の一種である取引支援装置において、指標算出部111は、発電装置により発電される電力量の複数の第1予測データと、電力系統に供給可能な電力量が、発電計画値である第1電力量に対して不足又は過剰になる場合に収受するペナルティとに基づいて、第1市場で前記第1電力量を入札したと仮定した場合の収益に関する第1指標を算出する。入札内容決定部113は、第1指標に基づいて、第1市場に入札する第2電力量を決定する。【選択図】図4

Description

本実施形態は、情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
再エネ事業者から電力を買い取り、複数市場で売電することにより収益を得る、いわゆるアグリゲーション事業を対象とする。PVや風力などの再エネ電源の発電量は、天候に依存し大きく変動する。また、電力市場価格も需給のバランス等に応じて不規則に変動する。このため、従来は、再エネ発電量や市場価格を予測し、予測値を元に最も収益の高い取引戦略を策定することが一般的であった。しかし、平均的に精度が高い予測であっても、一時的に誤差が大きくなる場合や、特定の時間帯で上下に偏るバイアスが発生することがあり、単純に予測値を利用するだけでは安定した取引収益の獲得が困難になる恐れがある。
また、金融証券のようなリスク資産では,リスク抑制のために複数資産のポートフォリオを組んで投資をする方法があり、電力取引の分野でも、類似の方法が存在する。不確実要因を絞った上で、複数の予測に基づくシミュレーションを繰り返し、収益分布からリスク/リターン指標を計算することで取引計画を策定する参考とする。トレーダーの取引戦略によりリスク/リターン指標が異なり、例えば、リスクの抑制を重視する場合は、収益分布の悪い部分のみに着目したVaR(Value at Risk)などの指標を算出する。しかし、発電量と市場価格など、複数の不確実要因を同時に考慮すると、想定すべき予測の組合せが膨大となるため、従来は中長期の契約内容を分析する目的に限定されていた。
リターンを最適化するように、電力市場に対する入札量のポートフォリオを策定することは、再エネ発電量と電力市場の価格との双方の不確実性の影響があるため、困難である。
特許4660281号 特開2016-170468公報 特開2016-62191号 特開2019-16110号
東芝レビュー, Vol.59, No.4, pp.48-51(2004), 廣本ほか
本実施形態は、電力の取引を支援する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
本実施形態に係る情報処理装置は、発電装置により発電される発電電力量の第1予測データと、電力系統に供給可能な電力量が第1市場で取引した第1電力量に対して不足又は過剰になる場合に電力系統の管理業者と授受するペナルティとに基づいて、前記第1市場で前記第1電力量を取引した場合の収益に関する第1指標を算出する指標算出部と、前記第1指標に基づいて、前記第1市場に入札する第2電力量を決定する決定部と、を備える。
電力アグリゲータのビジネスモデルの全体概要を示す図。 ブラインド・シングルプライスオークション方式の説明図。 供給メリットオーダーリストに基づき時間帯毎に電源側事業者に発電させた例を示す図。 本実施形態に係る情報処理装置である取引支援装置の一例を示すブロック図。 スポット市場価格実績データ、当日市場価格実績データ、調整力市場実績データのサンプルの例を示す図。 データ記憶部に記憶されている気象予測データの一例を示す図。 予測部により生成された複数の予測の例を模式的に示す図。 図7の予測1~Rに各時間帯の発動量の予測値と平均価格の予測値を含めた例を示す図。 各電力市場である仮の入札量比率で取引した場合の収益の疑似確率分布の例を示す図。 左側から発動量の大きい順にある日(予測)の各時間帯を並べた図。 収益の疑似確率分布の例を示す図。 図11の疑似確率分布において、各指標を算出する場合に対象となる予測データを特定する例を示す図。 本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例のフローチャート。 本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
以下、本実施形態の技術的背景として、電力アグリゲータのビジネスモデルについて説明する。
図1は、電力アグリゲータのビジネスモデルの全体概要を示す。電力アグリゲータ11(以下、アグリゲータ)は調整可能型リソース(可制御リソース)12を用いて発電を行う事業者及び変動型リソース13を用いて発電を行う事業者から電力を買い取り、電力市場で電力を売買できる。電力市場の例として、スポット市場22及び時間前(当日)市場23が示されている。スポット市場22は一例として電力を取引する第1市場に対応し、当日市場23は一例として電力を取引する第2市場に対応する。また電力市場とは別の調整力市場21(第3市場)が示されている。またアグリゲータ11は、電力系統の運用業者(系統運用業者)、費用負担調整機関と接続されている。
調整可能型リソース12の電力は、バイオガス・バイオマス発電など、出力調整が可能な電源であり、例えば、即時に出力調整制御の可能な電源である。変動型リソース13は、PVと風力発電などの気象などの外部条件に応じて発電量が変動する電源である。
電力市場について説明する。日本の場合、日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power Exchange)を介して、電力が売買される。JEPXでは、翌日渡しの電力の売買を行うスポット市場22(1日前市場)や、実需給の1時間前まで調整的な取引ができる当日市場23(1時間前市場)など複数種類の市場が開設されている。
スポット(1日前)市場では、1日を電力の計量単位(30分)で48個の時間コマ(商品コマ)に分割し、時間コマ別に電力が取引される。スポット市場では、毎日、朝に翌日分の時間コマへの入札が締め切られる。各時間コマは互いに商品として独立しており、それぞれの時間コマに対しブラインド・シングルプライスオークション方式で、約定価格(取引価格)及び約定量が決定される。
図2は、ブラインド・シングルプライスオークション方式の説明図である。入札単位時間枠(時間帯)に入札する各参加者は、他参加者の入札動向が開示されない状態(ブラインド)で入札を行う。入札の締め切り後に、売り入札の安値から入札量を累積した売り入札価格曲線L1と、買い入札の高値から入札量を累積した買い入札曲線L2を計算し、これらの交点Pを算出する。交点Pが、この入札単位時間枠(時間帯)の約定価格と約定量になる。この約定価格より低い価格で入札した売り手のみが約定価格で商品(電力)を売ることができ、約定価格より高い価格で入札した買い手のみが約定価格で商品(電力)を買うことができる。
一方、時間前市場では、スポット市場22同様に24時間分の電力を30分単位で区切った48商品として売買される。各商品について受渡の1時間前まで取引(入札と約定)がリアルタイムに繰り返される、いわゆるザラバ方式が用いられる。
スポット(1日前)市場及び当日市場(1時間前市場)23以外にも、容量市場や調整力市場21など、様々な市場が検討されている。調整力市場は、系統運用者31が需給調整用電源を市場から調達して運用するメカニズムである。調整力市場の運営方法は、スポット市場22や当日市場などの電力市場と大きく異なる。
既に調整力市場が運用されているドイツの場合、調整力市場は、入札単位が1日単位であり、応札が確定(入札が約定)した後も、約定した電力の発動(発電)が行われるか否かその時点では決まらない。つまり、発動(発電)要請の有無が実際の実需給の直前まで決まらない。可制御型リソースの複数の事業者(電源側事業者)は、入札する容量kW、固定費に相当する容量単価(円/kW)、供給単価(円/kWh)をそれぞれ指定し、前日に入札する。系統運用者31は、各入札を容量単価順に並べた容量メリットオーダーリストを用いて、必要な容量まで電源を容量単価の安い順に応札する。容量単価(円/kW)は固定価格で入札する場合や、各日に応札するために0円などで入札する場合もあり得るが、容量単価の決定は本発明の対象外とする。系統運用者31側は、確定した電源(調整可能型リソース12)を供給単価順(入札単価順)に並べた供給メリットオーダーリストを用いて、各時断面で調整力の必要量まで電源側事業者に供給指示を出す。電源業者側は、供給指示に従って可制御型リソースを用いて発電する。各電源側事業者の発電量(発動量)の総和を総発動量と称する。電力供給の受入有無(電力を購入する可能性の有無)は前日に確定するが、実際の供給量(実際に売電が成立する電力量)は事前に確定しない。このように調整力市場では、入札時に供給単価を入札価格として指定できるが、売電量(発動量)は供給メリットオーダーリストに依存するため電源側事業者がコントロールできない。
図3は、供給メリットオーダーリストに基づき時間帯毎に電源側事業者に発電させた例を示す。横軸は電力量(発動量)であり、縦軸は入札単価(供給単価)である。図3(A)の例では、事業者Cと事業者Bでは応札された全ての電力量が系統運用者31の供給指示に従って発電されたが、事業者Aでは応札された電力量の一部のみが実際に発電された。事業者Dでは応札された電力量がまったく発電されなかった。図3(B)の例では、事業者Cと事業者Bでは応札された全ての電力量が系統運用者31の供給指示に従って発電されたが、事業者Aと事業者Dでは応札された電力量がまったく発電されなかった。
次に、アグリゲータ11について説明する。アグリゲータ11は、複数の再エネ発電業者(変動型リソース13の事業者)より、電力を固定価格で買い取る契約を行う。買い取った電力を、スポット市場22、当日市場(1時間前市場)23の2種類の電力市場で売電する。アグリゲータ11は、調整可能型リソース12の電力の一部については、調整力市場21に入札することも可能である。
アグリゲータ11は、変動型リソース13については、予め契約した電力量に関しては、各時間帯の発電量の大小に関わらず無条件に固定価格で買い取る、全量買取を想定する。全量買取を行うことで、各発電業者(電源側業者)が、取引リスクを負うことがなくなり、手数料を払ってアグリゲーションに参加するメリットが生まれる。一方で、アグリゲータ11側は、利益創出のために、全体としての取引リスクをコントロールする必要がある。
なお、ここでは、アグリゲータ11は、市場間の価格差を利用して利益を得る、いわゆる「鞘抜き」ビジネスは、事業の対象外としている。但し、インバランス発生を抑える調整のために、当日市場から電力を買い取って、スポット市場で前日に応札した売電分を賄うことはあり得る。
本実施形態で対象とする各電力市場への入札内容の意思決定としては、前日朝(スポット、調整力市場21のゲートクローズ直前)、当日市場の対象商品(電力)のゲートクローズのT時間前、の二段階の意思決定を想定する。二段階目の意思決定として、当日市場への入札の補正量がある。一段階目の意志決定でも当日市場の対象商品の入札量等の決定を行い、二段階目の意志決定で、1段階目に決定した当日市場の対象商品の入札量等を補正する。これにより一段階目から二段階目までの間の期間の実際の気象・実需給等の影響を考慮することができる、リターン(収益等)をより最適にすることができる。調整可能型リソース12の電力の買電量は、調整力市場で応札された容量分を除いた範囲で、インバランス発生を抑制するように従属的に決定されるものと仮定する。
次に、電力市場への入札内容に関する意思決定における各種の不確実性の影響について説明する。
まず、変動型リソース13は、実際の発電量が入札内容の決定時の想定から大きく変動する可能性があるため、全量買取りを前提としたビジネスモデルだと、インバランス発生時のインバランスペナルティの発生リスクや、入札量に相当する電力を提供できなくなるリスクがある。事前に提出した発電計画値に対し30分同時同量を達成できずに、電力量の過不足が発生した場合に、系統管理会社32(費用負担調整機関、管理業者)が調整のためにインバランス料金で、不足分電力の供給または余剰分電力の買い取りを行う。30分同時同量は、30分間に使われる電力量と発電する電力量を一致させるルールである。電力量が発電計画値を超過した場合は、系統管理会社32が余剰分を買い取ってくれるため、市場価格よりインバランス料金が低い場合は損をするものの、罰金を支払うわけではない。インバランス料金は市場価格とそれほど大きな差が発生しないため、インバランス量が多少発生するリスクを取ってでも、電力市場に入札する電力量を多くする方が利益を向上させられる可能性がある。リスク・リターンのバランスを考えることが重要である。
上述のように、同一の入札単位時間枠(時間帯)に対して売買可能な電力市場が複数種類ある。また、各電力市場で異なる約定手段、異なる入札締切時間(ゲートクローズ時間)が設定される。このような場合、同一の入札単位時間枠に対して、各電力市場で市場価格も大きく乖離する場合がある。各電力市場で市場価格のばらつきが大きく異なり、例えば当日市場のように価格のばらつきが大きい市場の売電比率を大きくすると、成功した場合のリターンは大きくなるが、失敗した際のリスクも大きくなる。このため、それぞれの入札単位時間枠に対し売買対象の電力量を各電力市場にどのような比率で配分して入札するか、すなわち電力売買の市場ポートフォリオを適切に策定する必要がある。
調整力市場21の場合は、前述のようにスポット市場22及び当日市場と異なる性質を備えているため、同様の扱いはできない。調整力市場21では、実際の売電量(発動量)と、入札時の容量と入札価格(供給単価あるいは売電価格)との間に強い相関関係があり、入札価格を変更すると実際の売電量も増減する特徴がある。調整力市場21での入札容量及び入札価格に対する、実際の売電量(発動量)の関係は、対象日の入札の分布状況(発動パタン)によって決まる。各時間帯の発動量と入札価格の平均単価との実績が公開されていれば、1日分の実績データから該当日の発動パタンを推測することは可能である。ただし、この発動パタン自体が入札単位期間(ドイツの場合は一日)ごとに不確実に変動するため、同じ入札条件(入札価格、入札容量)であっても実際の売電量(発動量)が大きく変動する可能性がある。このことは、リスク要因となる。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置である取引支援装置の一例を示すブロック図である。図4の取引支援装置は、市場データ取得部101、数値気象予測部102、変動型リソース発電実績取得部103、データ記憶部104,入力部105、予測部106、スコア計算部107、インバランスペナルティ取得部108、一時記憶部109、調整可能型リソース情報記憶部110、指標算出部111、収益計算部112、入札内容決定部113(第1決定部)、戦略決定部114(第2決定部)及び出力部115を備えている。入力部105と出力部115はユーザ(利用者)と情報を入出力するインタフェースに対応する。
市場データ取得部101は、電力の売買が行われる1つ又は複数の電力市場の取引実績データを外部の電力取引市場システムから取得する。取引実績データは、複数の電力取引市場における市場価格を、取引期間単位(例えば30分コマ単位)で実績値として含む。複数の電力市場は、一例として、スポット市場と時間前市場と調整力市場とを含む。
実績値の例としては、市場価格の他、電力の入札量の情報を含んでもよい。ここで、時間前市場などの取引(入札と約定)がリアルタイムに繰り返されるザラバ方式の市場については、例えば、取引期間の平均価格、最値又は最値等の価格を、市場価格とする。ここでは平均価格を想定する。
市場データ取得部101は、取得した取引実績データをデータ記憶部104に格納する。
図5は、スポット市場価格実績データ、当日市場価格実績データ、調整力市場実績データのサンプルの例を示す。始値、高値、安値、終値、平均の単位は一例として円/kWhである。スポット市場価格実績データ及び当日市場価格実績データにおいて、時間帯の列には入札単位時間枠のID番号が設定されている。時間帯は30分毎に設定されている。1日の時間帯はID番号1~48で識別される48個の時間帯である。以下では、スポット市場及び当日市場での取引価格は平均価格を想定するが、始値、高値、安値、終値など、他の価格を用いてもよい。
調整力市場実績データは、スポット市場(又は当日市場)の時間帯ごとの総発動量(売電量)と、系統運用者の買取り価格の平均価格(電源側事業者の売電価格の平均価格)とを含む。上述のように、調整力市場の入札単位は時間帯ごとではなく、1日単位であるが、調整力市場実績データでは、系統運用者からの要請に応じて行った総発動量の実績が時間帯単位で示されている。各電源事業者の入札価格(供給単価)、入札容量が個別に公開されている場合や、入札価格及び入札容量を実績値とする場合もあり得る。
変動型リソース発電実績取得部103は、PVや風力発電などの変動型リソースのそれぞれについて、過去の日時(入札単位時間枠)毎の発電量実績データを取得する。変動型リソース発電実績取得部103は、取得した発電量実績データをデータ記憶部104に格納する。
数値気象予測部102は、気象予測を行い、気象予測データを生成する。数値気象予測部102は、生成した気象予測データをデータ記憶部104に格納する。
気象予測データは、一例として複数の地点の地点IDと時刻情報(日付と時刻)と気象予測値と含む。
図6は、データ記憶部104に記憶されている気象予測データの一例を示す。地点IDが001の地点について、30分単位の気象予測値が示されている。日付及び時刻は、予測対象となった日及び時刻である。気象予測値の時間間隔は、10分、1日など、他の間隔でもよい。図6の例では、予測された気象量は、気温、日射強度、風速、降水量であるが、図6に示したものに限定されない。例えば風向、日照時間などでもよい。
数値気象予測部102は本装置に設けられていなくてもよい。この場合、外部の気象予測サーバから気象予測データを取得し、取得した気象予測データをデータ記憶部104に格納する。
データ記憶部104は、上述の取引実績データ、発電実績データ及び気象予測データに加えて、カレンダデータを記憶している。
カレンダデータは、各年月日及び属性情報を含むカレンダ情報を記憶している。属性情報の例として、各日の曜日がある。各日が平日か、休日か、祝日かを区別する区分情報がある。また、祝日の名称がある。日中、深夜、通勤時間帯などの時間帯がある。また、季節の情報(夏季、冬季)がある。また、大型のスポーツイベント、祭礼などのイベント情報がある。
データ記憶部104は、複数の電力市場の取引実績データと、発電実績データと、数値気象予測データと、カレンダデータ(例えば曜日、区分情報等)とを紐付して事例データとして蓄積する。
入力部105は、本装置のユーザから各種の指示又はデータの入力操作を受け付ける。ユーザは、本装置の操作者又は管理者等である。ユーザが入力するデータの例として、本装置の処理に必要とするパラメータ等の条件がある。ユーザが入力する指示の例として、データの可視化に係る操作の指示などがある。入力部105は、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、トラックボール、ジョイスティック、ペンタブレット、音声認識装置、画像認識装置またはこれらの組み合わせより実現される。入力部105は、パソコン、タブレット、スマートフォン、携帯電話などの情報端末であってもよい。図1には入力部105が1つのみ示されているが、複数の入力部105が存在してもよい。
出力部115は、入力されたデータを出力する装置である。出力部115は一例として、データを表示可能な表示装置である。この場合、出力部115は例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、またはプロジェクタであってもよいし、その他の方式のものであってもよい。出力部115は、データを用紙に印字するプリンタでもよいし、データを無線又は有線で送信する送信装置でもよい。以下の説明では、出力部115が表示装置である場合を想定する。
入力部105と出力部115は、パソコン、タブレット、スマートフォンなどによって一体的に構成されていてもよい。また、入力部105と出力部115の一方又は両方が、本装置と一体的に構成されてもよい。
予測部106は、入力部105及びデータ記憶部104に記憶された事例データを元に、変動型リソースの発電量の予測値、及び電力売買の対象となる各電力市場の市場価格の予測値、調整力市場の入札分布状況(発動パタン)の予測データを複数個生成する。以下、予測データのことを単に予測と記載する場合がある。予測部106は、生成した複数の予測データを一時記憶部109に記憶する。予測の方法としては、気象予測の分野を中心に発達した、不確実性を持つ値に関し同時に複数のケースに基づくシミュレーションを行って予測値を求めるアンサンブル予測と呼ばれる方法がある。また、過去の条件の類似した日・時間帯の実績データをそのまま予測値として利用するアナログアンサンブルと呼ばれる方法もある。その他、重回帰、ニューラルネットワーク、一般化加法モデル、スパースモデリング、深層学習、などを用いることも可能である。
予測データは、電力市場に関する予測と、発電に関する予測とで別々に生成してもよい。この場合、両者の予測データの個数が異なってもよい。
図7は、予測部106により生成された複数の予測の例を模式的に示す。ここではR個の予測が生成されている。個々の予測は30分単位の48個の時間帯を有し、時間帯ごとに複数の予測値を含む。この例では電力市場に関する予測と、発電に関する予測とを一体に生成している。上述のように両者の予測を別々に生成してもよい。
スポット市場価格予測値は、スポット市場の取引対象日前(例えば前日)に予測した当該取引対象日のスポット市場の取引価格の予測値である。
当日市場価格予測値は、スポット市場の取引対象日の前日、もしくは当日市場の取引終了時間の直前(例えば取引対象時間枠の10分、1時間など、一定時間前)に予測した当日市場の取引価格の予測値である。
PV発電量予測値は、スポット市場の取引対象日の前日、もしくは当日市場の取引終了時間の直前(例えば取引対象時間枠の10分、1時間など、一定時間前)に予測したPV発電量の予測値である。風力発電量予測値は、スポット市場の取引対象日の前日、もしくは当日市場の取引終了時間の直前(例えば取引対象時間枠の10分、1時間など、一定時間前)に予測した風力発電量の予測値である。
また、予測部106は、調整力市場の入札分布状況(発動パタン)の予測値として、調整力市場の一日分の実績データと同様の形式で、1日分を1セットの予測として、複数セットの予測を行う。入札分布状況(発動パタン)の予測値は、前述同様、アンサンブル予測、重回帰、ニューラルネットワーク、一般化加法モデル、スパースモデリング、深層学習、などを用いて算出できる。また過去の類似日(例えば気象及びカレンダの属性の少なくとも一方が、同じ又は類似している過去の日など)の実績値を利用するアナログアンサンブルを用いてもよい。
図8は、図7の予測1~Rに各時間帯の発動量の予測値と平均価格の予測値を含めた例を示す。
スコア計算部107は、各予測の各時間帯(各行)における予測値のセットに、確信度に相当する重み係数(スコア)を算出する。例えば予測値として過去の条件が類似している日時の値をそのまま用いる場合、当該値の日まで遡る日数が長いほどスコアを小さくする。また予測値の算出にモデルを用いる場合、モデルの精度を算出し、算出した精度が高いほどスコアを大きくしてもよい。スコアは複数の予測間で正規化してもよい。例えばスコアの合計が1になるように複数の予測間でスコアを正規化する。ここに記載したスコアの算出方法は一例であり、他にどのような方法を用いてもよい。
スコア計算部107を省略することも可能である。その場合、全ての予測値の重みを同じ値としてもよい。
一時記憶部109は、予測部106によって生成された複数の予測を一時記憶部109に記憶する。またスコア計算部107によって計算された各予測における各時間帯のスコアを記憶する。
インバランスペナルティ取得部108は、インバランス(供給する電力量の過不足)が発生した際に収受するインバランス精算費用(ペナルティ)の計算に必要な各種パラメータの過去実績値を外部のサーバから取得する。インバランスペナルティ取得部108は、取得したパラメータを一時記憶部109に格納する。インバランスペナルティの計算方法は予め決められており、特定の方法及び内容に限定されない。
インバランス精算費用の計算方法の一例を以下に示す。
不足インバランス料金=スポット市場と当日市場の加重平均値×α+B+K (式1)
余剰インバランス料金=スポット市場と当日市場の加重平均値×α+B+L (式2)
式(1)は電力の供給量が不足した場合(アグリゲータが事前に系統管理会社に提出した計画値に、変動型リソースと調整可能型リソースの発電量の和が足りない場合))に用いる式であり、式(2)は電力の供給量が過剰な場合(アグリゲータが事前に系統管理会社に提出した計画値に対し、変動型リソースと調整可能型リソースの発電量の和が超える場合))に用いる式である。
式(1)(2)において、αは、電力系統全体の需給状況に応じた調整項である。βは地域ごとの市場価格差を反映する調整項である。βは一例として地域ごとに月単位で定められる。KとLは、インセンティブ定数であり、地域ごと(一般送配電事業者ごと)に定められる。Kは、電気の供給を行う場合の定数である。Lは、電気の買い取りを行う場合の定数である。KとLを除くパラメータは、市場全体のインバランス発生状況を考慮し随時見直され、取引後のタイミングに正確な値が公開される。このため、以降の計算においてインバランスペナルティを見積もる計算の際には、直近で公開された過去のパラメータの実績値を利用する前提とする。
式(1)(2)の例は日本国内で実際に使われているインバランスペナルティ料金の計算式であるが、インバランスペナルティ料金の計算式は今後も見直される予定であり、本発明では本例に限定しない。
一時記憶部109は、インバランスペナルティ取得部108によって取得されたインバランス精算費用の計算に必要な各種パラメータを記憶する。
調整可能型リソース情報記憶部110は、バイオガス発電などの調整可能型リソースに相当する電源の情報を記憶している。一例として、各電源に関して以下のような情報が記憶されている。
1.電源ID
2.電源種別
3.原価[¥/kW]:契約した買取原価
4.最大容量[kW]:契約した定格電力
5.最低容量[kW]:出力電力を調整可能な場合のみ必要
6.契約時間帯:契約した時間帯
7.固定費[¥/時間帯]
以下、対象とする意思決定問題について、数式による説明を行う。式(3)に、前日の意思決定時点における、取引全体の総利益のリスク・リターン評価値の計算式を示す。また、式(4)に、対象日当日の意思決定時点における、調整力市場分を除く総利益のリスク・リターン評価値の計算式を示す。なお、以降の記載で、時間前市場と当日市場は同じ市場の名称である。
Figure 2022079368000002
A:一日の時間枠の総数
S1(P3,B3, G3) :調整力市場における利益(円)
S2(Bn, B3, Gn):時間枠nのインバランス収支(円)
S3(Bn, B3, Gn):時間枠nのスポット市場と時間前市場における総原価(円)
S4(Bn,Rn,P1n,P2n) :時間枠nのスポット市場と時間前市場における総売上(円)
[決定変数]
P3:調整力市場への入札価格(円/kWh)
B3:調整力市場への入札量( kWh/時間枠 )
Bn:前日時点で意思決定する、時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)
Rn:前日時点で意思決定する、時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和に対する、スポット市場への入札量の比率
[不確実性を考慮しなければならない変数]
G3:調整力市場における一日の総売電量(KWh)
Gn:前日時点で予測した、時間枠nにおける変動型リソースの発電量(KWh)
P1n:前日時点で予測した、時間枠nにおけるスポット市場の市場価格(円/KWh)
P2n:前日時点で予測した、時間枠nにおける時間前市場の市場価格(円/KWh)
なお、Rが期待値の場合は、加法性の法則により、各項を個別に計算することが可能である。リスク・リターン指標にリスク指標(下位パーセンタイルの平均値)が含まれる場合、 各項の事象の発生確率(パーセンタイル比率)を掛けた値が、全体の発生確率を示す。
Figure 2022079368000003
A:一日の時間枠の総数
S2’(B‘n, G’n):時間枠nのインバランス収支(円)
S3’(B‘n, G’n):時間枠nのスポット市場と時間前市場における総原価(円)
S4’(B‘n,P2’n) :時間枠nのスポット市場と時間前市場における総売上(円)
[決定変数]
B‘n:当日補正後の、時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)
[不確実性を考慮しなければならない変数]
G‘n:当日時点で予測した、時間枠nにおける変動型リソースの発電量(KWh)
P2‘n :当日時点で予測した、時間枠nにおける時間前市場の市場価格(円/KWh)
なお、調整力市場への入札価格と入札量、スポット市場への入札量は決定済である。
本実施形態の目的は、総利益を最大にするように、以下のそれぞれの値を決めることである。
[1] 調整力市場への入札価格(円/kWh)
[2] 調整力市場への入札量(kWh/時間枠)
[3]前日時点における、各時間枠における、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)(前日時点で系統管理者に提出する発電量の計画値)
[4]前日時点における、各時間枠における、スポット市場と時間前市場への入札量の総和に対する、スポット市場への入札量の比率
[5]当日補正後の、各時間枠における、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)(最終的に系統管理者に提出する発電量の計画値)
式(3)は、前日時点での意思決定の目的関数を示し、上記の[1]~[4]までを決定する。前日、当日のいずれの時点の意思決定においても、スポット市場と時間前市場への入札量の総和を、各時間枠における発電量の計画値として系統管理者に提出する。
アグリゲータの一日の取引による利益は、調整力市場における利益と、スポット市場と時間前市場における総売上と、インバランス収支(インバランスペナルティ収支)との和からスポット市場と時間前市場で売電した電力の総原価をマイナスした値を、48個の各時間枠について集計した値となる。なお、調整力市場を考慮しない場合は、式(3)のS1、上記の[1]、[2]は除いた式となる。
しかし、下記の値が確率的に変動する影響を考慮した意思決定を行うため、本実施形態では、総利益のリスク・リターン評価値を最大とする。
1.調整力市場における一日の総売電量(KWh)
2.各時間枠における変動型リソースの発電量(KWh)
3.各時間枠におけるスポット市場の市場価格(円/kWh)
4.各時間枠における時間前市場の市場価格(円/kWh)
リスク・リターン評価値とは、利益の期待値や、下位パーセンタイルの平均値を示すが、具体的な演算方法は後述する。式(3)において、リスク・リターン指標Rが期待値の場合は、期待値の加法性により、目的関数のS1,S2,S3,S4の各部分問題毎のリスク・リターン評価値を個別に計算してから後で統合することが可能である。リスク・リターン指標にリスク指標(下位パーセンタイルの平均値など)が含まれる場合、 各項の計算値の発生確率(パーセンタイル比率)を掛け合わせた値が、各項の総和のリスク・リターン評価値の発生確率を示す。
式(4)は、当日市場の取引終了時間の直前(例えば取引対象時間枠の10分、1時間など、一定時間前)に、新たな予測値を得た後における意思決定を示す。アグリゲータの一日の取引による利益は、前日の計算同様に、スポット市場と時間前市場における総売上と、インバランス収支(インバランスペナルティ収支)との和から、スポット市場と時間前市場で売電した電力の総原価をマイナスした値を、48個の各時間枠について集計した値となる。
下記の値が確率的に変動する影響を考慮した意思決定を行うため、前日同様に、総利益のリスク・リターン評価値を最大とする。
[1]各時間枠における変動型リソースの発電量(KWh)
[2]各時間枠における時間前市場の市場価格(円/KWh)
式(3)同様、式(4)においても、リスク・リターン指標Rが期待値の場合は、期待値の加法性により、目的関数のS2’、S3’、S4’の各部分問題毎のリスク・リターン評価値を個別に計算してから後で統合することが可能である。
以下、各部分問題毎に説明する。
まず、前日時点における、各時間枠における、スポット市場と時間前市場への入札量の総和に対する、スポット市場への入札量の比率(式(3)のRn)の決定の手順から説明する。
入札内容決定部113は、スポット市場及び当日市場で取引(入札)する電力量の比率(入札量比率)を決定する。本決定は、スポット市場のゲートクローズ時間(入札の締切時間)より前に行う。まず、入札内容決定部113は、入札量比率を仮設定する。
入札量比率を仮設定する方法の例としては、1.0を等間隔に分割し、各電力市場の入札量比率の合計が1になるよう、全ての入札量比率の組み合わせを網羅的に探索する、いわゆるグリッドサーチがある。例えば、電力取引市場が2種類であるとし、各電力市場の入札量比率を(スポット市場の比率、当日市場の比率)と表現する。10分割であれば、以下のように、計10通り、比率の組み合わせを探索する。
(1.0, 0.0)→(0.9, 0.1)→ (0.8, 0.2) → … → (0.0, 1.0)
比率の組み合わせの探索方法としては、この他に、山登り法、シミュレーティッドアニーリング方法、遺伝的アルゴリズム、又は粒子群最適化法 (Particle swarm optimization; PSO)などがある。例えば、山登り法は、前回のループで設定していた各市場の比率をランダムに微量ずつ変更し、指標(後述するリスク・リターン指標など)が改善した場合は、変更後の比率を採用し、そうでない場合は変更前の比率に戻すことを反復する方法である。シミュレーティッドアニーリング方法は、リスク・リターン指標が改善しない場合でも確率的に変更後の比率を採用する方法である。本実施形態では、比率の探索方法は特に限定しない。
収益計算部112は、対象とする時間帯(入札単位時間枠)に対し、各電力市場への入札量比率が指定される。収益計算部112は、一時記憶部109に記憶されている複数の価格予測値から当該仮の入札量比率で各電力市場に電力を入札したと仮定した場合の評価額を計算(予測)する。複数の価格予測値はスポット市場価格予測値と当日市場価格予測値を含む。評価額は一例として、売上(式(3)のS4に相当)である。
指標算出部111は、対象となる時間帯について、複数の予測データの売上予測値の分布である収益分布(収益の疑似確率分布)を生成する。指標算出部111は疑似確率分布から、当該仮の入札量比率で電力を入札した場合のリスク・リターン指標を算出する。リスク・リターン指標の算出には、各時間枠におけるスポット市場の市場価格と時間前市場の市場価格の予測値だけを利用すれば良い。
図9は、対象となる時間帯について、任意の電力総量を売電する場合に、各電力市場である仮の入札量比率で取引した場合の売上の疑似確率分布の例を示す。横軸が各市場価格(取引価格)の予測値から計算された売上である。縦軸が予測データのスコアである。
リスク・リターン指標の第1の例として、対象となる時間帯について、各予測データの売上のスコアによる重み付け平均値を、売上の期待値として算出する。算出式を式4(a)に示す。
Figure 2022079368000004
Bn:時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)
Rn:時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和に対する、スポット市場への入札量の比率
l:市場価格の予測値のID
L:市場価格の予測値の数
Rn:時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和に対する、スポット市場への入札量の比率
P1n,l:時間枠nにおけるスポット市場の市場価格のl番の前日予測値(円/KWh)
P2n,l:時間枠nにおける時間前市場の市場価格のl番の前日予測値(円/KWh)
W2n,l :時間枠nにおける予測値kの重み
W2n,lは、
Figure 2022079368000005
となるよう正規化されている。
式(4a)においてBnの右側の項は、時間枠nのスポット市場と時間前市場の平均市場価格である。
時間枠nにおける予測値lの重み(スコア) W2n,lは、各時間枠n毎に、全ての予測データでの総和が1になるように正規化されており、取引価格(実績値)の頻度に対応すると見なす。
リスク・リターン指標の第2の例として、疑似確率分布において、収益が低い予測データから重み(スコア)の和を順次計算していく。スコアの合計が、基準値(第1基準値)となる下位パーセンタイルに一致する、又は下位パーセンタイル未満(もしくは下位パーセンタイル以上)で下位パーセンタイルに最も近くなる予測データ群を特定する。そして、特定した予測データ群において最も収益が高い予測データの収益(下位パーセンタイル収益)を、リスク・リターン指標として算出する。図9に、下位30パーセンタイル収益の指標(第2の例のリスク・リターン指標)に該当する予測データH2が示される。つまり予測データH2の収益が第2の例のリスク・リターン指標に相当する。このように予測データに対応する収益の低い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第1基準値に一致又は第1基準値に最も近くなる予測データの収益に基づいて、第2の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
リスク・リターン指標の第3の例として、基準値(第2基準値)となる下位パーセンタイルを用いて、収益の下位から下位パーセンタイルまで(もしくは、下位パーセンタイルの手前まで)に収まる予測データ群を特定する。特定した予測データ群の収益の平均(下位パーセンタイル期待値)をリスク・リターン指標とする。図9に、下位30パーセンタイルの場合に、下位30パーセンタイル期待値の指標(第3の例のリスク・リターン指標)を算出する対象となる予測データ群H3が示される。予測データ群H3の収益の重み付け平均をリスク・リターン指標とする。
Figure 2022079368000006
T2:下位パーセンタイルに含まれる予測の数
なお、リスク・リターン指標がパーセンタイルの場合、S1~S4のそれぞれの事象の発生確率(パーセンタイル比率)を掛け合わせた値が全体の発生確率と見なせる。
式(4b)においては、予測l(エル)は収益が小さい順にソートされているとする。T2は、下位パーセンタイルに収まる予測データの個数に相当する。他の記号は前述の式と同じ意味である。このように、予測データに対応する収益の低い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第2基準値に一致又は第2基準値に最も近くなる類似事例データの売上に基づいて、第3の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
リスク・リターン指標の第4の例として、疑似確率分布において、売上が高い予測データからスコアの和を順次計算していく。スコアの合計が基準値(第3基準値)となる上位パーセンタイルに一致する、又は上位パーセンタイル以上(もしくは上位パーセンタイル未満)で最も上位パーセンタイルに近くになる予測データ群を特定する。特定した予測データ群において最も売上が低い予測データの売上(上位パーセンタイル売上)を、リスク・リターン指標とする。上位30パーセンタイル売上の指標(第4の例のリスク・リターン指標)に該当する予測データH4が示される。つまり予測データH4の売上が第4の例のリスク・リターン指標に相当する。このように、予測データに対応する売上の高い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第3基準値に一致又は第3基準値に最も近くなる予測データの売上に基づいて、第4の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
リスク・リターン指標の第5の例として、疑似確率分布において、売上の上位から、基準値(第4基準値)となる上位パーセンタイルまで(もしくは、上位パーセンタイルの手前まで)に収まる予測データ群を特定する。特定した予測データ群において、売上の平均(上位パーセンタイル期待値)をリスク・リターン指標とする。また、上位30パーセンタイル期待値の指標(第5の例のリスク・リターン指標)を算出する対象となる予測データH5が示される。予測データ群H5の売上の重み付け平均をリスク・リターン指標とする。第5の例のリスク・リターン指標の算出式は、式2と同様である。但し、予測データlは売上が高い順にソートされているとする。T2は、上位パーセンタイルに収まる予測データの個数を示す。このように、予測データに対応する売上の高い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第4基準値に一致又は第4基準値に最も近くなる予測データの収益に基づいて、第5の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
戦略決定部114は、取引対象となる入札単位時間枠(時間帯)に関して、売電戦略に応じて利用するリスク・リターン指標を決定し、入札内容決定部113に与える。
取引戦略は、一例として、リスク・リターン指標に1対1に対応付いている。戦略決定部114は入力部105から取引戦略を指定する情報を取得し、取得した情報が示す取引戦略を決定してもよい。あるいは、戦略決定部114は、対象となる入札単位時間枠(時間帯)の過去の同じ時間帯における市場価格のトレンドを特定し、トレンドに応じて取引戦略を決定してもよい。例えば、代表的な市場(例えばJEPXの場合はスポット市場)における直近の市場価格の移動平均値が上昇しているか(上昇トレンド)、下降しているか(下降トレンド)、変化が少ない(平坦又は横ばい)等がある。もしくは、対象となる複数の電力市場(例えばスポット市場と当日市場)の市場価格の総和の移動平均値が上昇しているか(上昇トレンド)、下降しているか(下降トレンド)、変化が少ない(平坦又は横ばい)等がある。市場価格が上昇トレンドにある場合は、リスクテイク戦略を選択し、下降トレンドにある場合はリスクオフ戦略を、市場価格が安定している場合は標準戦略を選定する。
指標算出部111は、戦略決定部114で決定された取引戦略に応じたリスク・リターン指標を決定し、決定したリスク・リターン指標の算出を行う。例えば、戦略決定部114で決定された取引戦略が標準戦略の場合は、第1の例のリスク・リターン指標(スコアによる重み付け平均値)を用いる。取引戦略がリスクオフ戦略の場合は、第2の例のリスク・リターン指標(下位パーセンタイルの収益)、又は第3の例のリスク・リターン指標(下位パーセンタイル期待値)を用いる。取引戦略がリスクテイク戦略の場合は、第4の例のリスク・リターン指標(上位パーセンタイル収益)、又は第5の例のリスク・リターン指標(上位パーセンタイル期待値)を用いる。
なお、選択可能な取引戦略の種類、及びリスク・リターン指標の種類は、他の種類でもよく、本実施形態では特に限定しない。例えば、上位パーセンタイルの値を30、40、50など複数設定し、それぞれ異なる取引戦略として選択可能としてもよい。同様に、下位パーセンタイルの値を複数設定し、それぞれ異なる取引戦略として選択可能としてもよい。
入札内容決定部113は、リスク・リターン指標を最大もしくは最小とする各電力市場への入札量比率を決定する。
なお、戦略決定部114を備えない場合もあり得る。この場合、入札内容決定部113は、予め指定されたリスク・リターン指標を最大もしくは最小とする入札量を決定する。
次に、調整力市場へ入札する入札価格と入札容量(式(3)のP3、B3)の決定の手順について説明する。
入札内容決定部113は、調整力市場の一日分の発動量の予測値と平均価格の予測値(図8参照)に基づき、調整力市場に対する入札価格と入札容量を決定する。本決定は、調整力市場のゲートクローズ時間(入札の締切時間)より前に行う。
まず、入札内容決定部113は、対象とする日について、入札容量と入札価格(供給単価)を仮設定する。仮設定された入札容量を仮入札容量、仮設定された入札価格を仮入札価格と呼ぶ。
仮容量と仮価格を設定する方法の例としては、それぞれの上下限値の間を等間隔に分割し、全ての仮容量と仮価格の組み合わせを網羅的に探索するグリッドサーチがある。例えば、仮容量が1~2MWの範囲、仮価格が100~200円の範囲で変更可能だとすると、10分割であれば、以下のように、計10通りの組み合わせを探索する。ここで、(仮入札容量、仮入札価格)と表現している。ただし、後述するように、本探索は、スポット市場及び時間前市場への入札総量の探索と組み合わせて実施される。
(1, 100)→(1, 110) →(1, 120) → … → (2, 190) → (2, 200)
比率の組み合わせの探索方法としては、上述した、山登り法、シミュレーティッドアニーリング方法、遺伝的アルゴリズム、又は粒子群最適化法 (Particle swarm optimization; PSO)などがある。
収益計算部112は、対象とする日に対し、仮入札容量及び仮入札価格が指定される。収益計算部112は、一時記憶部109に記憶されている調整力市場の複数の日(予測)についての時間帯毎の発動量の予測値及び平均単価の予測値に基づき、仮入札容量及び仮入札価格で調整力市場に入札したと仮定した場合の収益を計算(予測)する。時間帯毎の総発動量の予測値と平均価格の予測値とが得られる場合の発動量(取引量)の算出方法の例を、図10を用いて説明する。
図10は、左側から発動量の大きい順にある日(予測)の各時間帯を並べたものである。上述の図8では1日が48分割されているが、ここでは説明のため1日の時間帯が10分割された例を示す。系統運用者が、確定した電源を供給単価順に並べた供給メリットオーダーリストを用いて、各時断面で調整力の必要量まで電源事業者側に供給指示を出す。この場合、発動量の大きい時間帯の方が、高価格で入札した電源事業者まで発動されるため、原則的に平均価格が高くなる。この性質を利用し、まず平均単価が仮入札価格より高い時間帯で発動量が最小の時間帯の発動量Pを求める(図の例では平均価格15の場合の1MW)。そして、仮入札価格より入札価格が高い入札が発動されたのが確実である時間帯(平均単価が仮入札価格より高い時間帯)を抽出し、抽出した各時間帯の発動量から上記のP(1MW)を減じた値を自分(アグリゲータ)の発動量として算出する。発動量が仮入札容量(図の例では1MW)を越えた時間帯については、仮入札容量を上限とする。仮入札価格14円、仮入札容量1MWの場合の発動量が、図10のハッチングされた部分に相当する。
このように、調整力市場の各時間帯の発動量の予測値と平均価格の予測値とを利用して、各予測(各日)について発動量を算出する。発動量の算出方法は本方法に限定しない。
また、各予測(各日)のスコア(重み)を頻度と見なす。各予測の頻度と、各予測に対応する評価額(ここでは収益)とを対応づけた関係データを生成する。本例では、スコアを発生確率(発生頻度)とみなして、評価額と確率とを対応づけた確率分布(疑似確率分布)を生成する。疑似確率分布を、複数の仮入札内容(仮入札容量、仮入札価格の組み合わせ)のそれぞれについて算出する。
評価額は、一例として、算出された時間帯ごとの発動量に仮入札価格を乗じた調整力市場での取引額(売却額)の総和から、調整力市場で売電した調整可能型リソースの電力の調達費用を減じた収益である。この場合、収益と確率(頻度)とを対応づけた疑似確率分布を作成する。
図11は、収益の疑似確率分布の例を示す図である。横軸が上述の方法で計算された収益である。縦軸が各予測のスコアである。
指標算出部111は、収益計算部112で計算された収益とスコアとの関係データ(美辞確率分布)に基づいて、リスク・リターン指標を算出する。リスク・リターン指標の算出には、複数の日(予測)についての時間帯毎の発動量の予測値及び平均単価の予測値だけを利用する。前記の方法で算出した発動量の値(式(3)におけるRm(P3,B3))を利用すれば良い。リスク及びリターン指標は上述と同様、第1~第5の例のいずれかのリスク・リターン指標を算出することができる。リスク・リターン指標の第1~第5の例の算出方法は基本的に前述した内容と同様であるため簡単に説明する。
リスク・リターン指標の第1の例として、各予測データから求めた収益のスコアによる重み付け平均値を、収益の期待値として算出する。算出式を式(5a)に示す。
Figure 2022079368000007
P3:調整力市場への入札価格(円/kWh)、P3>PG
B3:調整力市場への入札量( kWh/時間枠 )0 ≦ B3≦G2max
G2max:調整可能型リソースの最大発電量(kWh)
G3:調整力市場における一日の総売電量(KWh)
PG:調整可能型リソースの電力の原単価(円/KWh)
m:入札パタンの予測値ID
M:入札パタンの予測値の数
Rm(P3,B3):入札パタンの予測値mから計算した、入札がP3,B3の場合の調整力市場での一日の総売電量(kWh)
W3m:予測値mの重み
W3mは、
Figure 2022079368000008
になるように正規化されている。
すなわち、重み(スコア)W3mは、前述したように、全ての予測データでの総和が1になるように正規化されている。このように、予測データに対応する収益の重み付け平均値に基づいて、第1の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
リスク・リターン指標の第2の例として、疑似確率分布において、収益が低い予測データからスコアの和を順次計算していく。スコアの合計が、基準値(第1基準値)となる下位パーセンタイルに一致する、又は下位パーセンタイル未満(もしくは下位パーセンタイル以上)で下位パーセンタイルに最も近くなる予測データ群を特定する。特定した予測データ群において最も収益が高い予測データの収益(下位パーセンタイル収益)を、リスク・リターン指標として算出する。このように予測データに対応する収益の低い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第1基準値に一致又は第1基準値に最も近くなる予測データの収益に基づいて、第2の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
リスク・リターン指標の第3の例として、基準値(第2基準値)となる下位パーセンタイルを用いて、下記の式(5b)のように、収益の下位から下位パーセンタイルまで(もしくは、下位パーセンタイルの手前まで)に収まる予測データ群を特定する。特定した予測データ群の収益の平均(下位パーセンタイル期待値)をリスク・リターン指標とする。このように、予測データに対応する収益の低い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第2基準値に一致又は第2基準値に最も近くなる類似事例データの収益に基づいて、第3の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
Figure 2022079368000009
T1: 下位パーセンタイルに含まれる予測の数
リスク・リターン指標の第4の例として、疑似確率分布において、収益が高い予測データからスコアの和を順次計算していく。スコアの合計が基準値(第3基準値)となる上位パーセンタイルに一致する、又は上位パーセンタイル以上(もしくは上位パーセンタイル未満)で最も上位パーセンタイルに近くになる予測データ群を特定する。特定した予測データ群において最も収益が低い予測データの収益(上位パーセンタイル収益)を、リスク・リターン指標とする。このように、予測データに対応する収益の高い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第3基準値に一致又は第3基準値に最も近くなる予測データの収益に基づいて、第4の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
リスク・リターン指標の第5の例として、疑似確率分布において、収益の上位から、基準値(第4基準値)となる上位パーセンタイルまで(もしくは、上位パーセンタイルの手前まで)に収まる予測データ群を特定する。特定した予測データ群の収益の平均(上位パーセンタイル期待値)をリスク・リターン指標とする。第5の例の指標の算出式は、式4と同様である。但し、予測データmは収益が高い順にソートされているとする。Tは、上位パーセンタイルに収まる予測データの個数を示す。このように、予測データに対応する収益の高い順に、複数の予測データのスコアを加算し、スコアの合計値が第4基準値に一致又は第4基準値に最も近くなる予測データの収益に基づいて、第5の例のリスク・リターン指標を算出することができる。
図12は、図11の疑似確率分布において、第2の例~第5の例のリスク・リターン指標を算出する場合に対象となる予測データを特定する例を示す図である。より詳細には、図12の左側において、下位30パーセンタイル収益の指標(第2の例のリスク・リターン指標)を算出する対象となる予測データD2が示される。また、下位30パーセンタイルの場合に、下位30パーセンタイル期待値の指標(第3の例のリスク・リターン指標)を算出する対象となる予測データD3が示される。図12の右側に、上位30パーセンタイル収益の指標(第4の例のリスク・リターン指標)を算出する対象となる予測データD4が示される。また、上位30パーセンタイル期待値の指標(第5の例のリスク・リターン指標)を算出する対象となる予測データD5が示される。
戦略決定部114は、取引対象となる日に関して、売電戦略に応じて重視するリスク・リターン指標を決定し、指標算出部111に与える。取引戦略は、一例として、リスク・リターン指標に1対1に対応付いている。戦略決定部114は入力部105から取引戦略を指定する情報を取得し、取得した情報が示す取引戦略を決定してもよい。あるいは、戦略決定部114は、市場価格のトレンドを特定し、トレンドに応じて取引戦略を決定してもよい。例えば、代表的な市場(例えばJEPXの場合はスポット市場)における直近の市場価格の移動平均値が上昇しているか(上昇トレンド)、下降しているか(下降トレンド)、変化が少ない(平坦又は横ばい)等がある。もしくは、調整力市場の1日の平均価格の総和の移動平均値が上昇しているか(上昇トレンド)、下降しているか(下降トレンド)、変化が少ない(平坦又は横ばい)等がある。市場価格が上昇トレンドにある場合は、リスクテイク戦略を選択し、下降トレンドにある場合はリスクオフ戦略を、市場価格が安定している場合は標準戦略を選定する。
指標算出部111は、戦略決定部114で決定された取引戦略に応じたリスク・リターン指標を決定し、決定したリスク・リターン指標の算出を行う。例えば、リスク・リターン指標の詳細は、前述した内容と同様である。また、前述したのと同様、選択可能な取引戦略の種類、及びリスク・リターン指標の種類は、他の種類でもよく、本実施形態では特に限定しない。
入札内容決定部113は、リスク・リターン指標を最大もしくは最小とするように調整力市場へ入札する入札容量及び入札価格(供給単価)を決定する。
なお、戦略決定部114を備えない場合もあり得る。この場合、入札内容決定部113は、予め指定されたリスク・リターン指標を最大もしくは最小とする入札容量及び入札価格(供給単価)を決定する。
次に、スポット市場及び当日市場への入札総量(式(3)のBn 相当)を決定する手順について説明する。
入札内容決定部113は、調整力市場に対する入札容量と、スポット市場及び当日市場に対する入札量比率とに基づき、スポット市場及び当日市場への入札総量を決定する。本決定は、スポット市場のゲートクローズ時間(入札の締切時間)より前に行う。スポット市場及び当日市場の入札量比率(式(3)のRn)は前記の方法で先に決定されている。入札総量は、後述のように、調整力市場への入札容量と同時に決定する。もしくは、先に入札量の上下限値の間を等間隔に分割し、それぞれの仮容量に対し、前記の調整力市場の収益のリスク・リターン値が最大になるような入札価格とリスク・リターン値を事前に計算し記憶しておく。インバランスペナルティによる収支と、スポット市場及び当日市場で売電した電力の総原価に関しては、変動型リソースの発電量の不確実性の影響を考慮して、入札総量を決定する。
各予測について、変動型リソースの発電量の予測値(図7の発電量予測値)を一時記憶部109から対象となる時間帯について取得する。取得した予測値と、上述の決定済みの入札量比率に基づき、取引対象となる時間帯のインバランス収支と総原価を計算する。インバランス収支と総原価に関するリスク・リターン指標の算出には、各時間枠における変動型リソースの発電量の予測値だけを利用すれば良い。
対象となる時間帯の利益に関するリスク・リターン指標を下記の式(6)に基づき算出する。そして、リスク・リターン指標に基づき、総入札量を決定する。一例として総入札量の範囲を等間隔に複数の分割し、全ての値を網羅的に探索する。各探索された入札量でのリスク・リターン指標を算出する。例えばリスク・リターン指標を最小化又は最大化する総入札量を決定する。なお、リスク・リターン指標の算出方法は前述した説明と同様に数種類ありうる。
前述のように、各時間枠のスポット市場と時間前市場への総入札量を、各時間枠における発電量の計画値として系統管理者に提出する。式(6)に示すように、各時間枠における、インバランス発生量とインバランスペナルティ料金は、スポット市場と当日市場の総入札量と、変動型リソースの発電量と調整可能型リソースの発電量の和の電力量との間の大小関係で決定する。調整可能型リソースの発電量は変動型リソースの発電量に依存してリアルタイムに調整される。式(6)では、調整可能型リソースの発電量は、インバランスの発生量を相殺する方向にリアルタイムに出力調整されるとの前提を置いている。但し、調整可能型リソースの発電量の決定方法は本例に限定しない。
Figure 2022079368000010
Figure 2022079368000011
“If”は、不足インバランス発生の場合を記載している。“Else If”は、余剰インバランス発生の場合を記載している。
IMn,k:時間枠nにおける、予測値kから計算したインバランス発生量(kWh)
PEn,k:時間枠nにおける、予測値kから計算したインバランス料金(円/kWh)
Bn:時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh), Bmin ≦Bn ≦Bmax
B3:調整力市場への入札量( kWh/時間枠 )
k:変動型リソースの発電量の前日予測値のID
K:変動型リソースの発電量の前日予測値の数
Gn,k :時間枠nにおける、変動型リソースの発電量のk番の予測値(kWh)
G2n,k:時間枠nにおける、予測値kに対応する調整可能型リソースの発電量(kWh)
W1n,k :時間枠nにおける予測値kの重み
Pvar:変動型リソースの電力原単価(円/kWh)
Pcon:調整可能型リソースの電力原単価(円/kWh)
G2max:調整可能型リソースの最大発電量(kWh)
G2min:調整可能型リソースの最小発電量(kWh)
PEplus:余剰インバランス料金(円/kWh)
PEminus:不足インバランス料金(円/kWh)
W1n,k は
Figure 2022079368000012
となるよう正規化されている。
戦略決定部114は、取引対象となる時間帯に関して、売電戦略(取引戦略)を決定し、決定した売買戦略を指標算出部111に与える。取引戦略の詳細は前述と同様である。
指標算出部111は、戦略決定部114で決定された取引戦略に応じたリスク・リターン指標を決定する。指標算出部111は、上記の時間帯利益に対して、決定したリスク・リターン指標の算出を行う。リスク・リターン指標の詳細は、前述した内容と同様である。
最後に、当日の予測値を用いた、各時間枠における、スポット市場と時間前市場への入札量の総和の補正について説明する。
予測部106が、対象エリアの対象日時における、変動型リソースの発電量と当日市場の価格とを再度、それぞれ複数個予測する。なお予測は前述同様、発電量と価格とで別々に算出してもよい。本予測は、例えば、当日市場のゲートクローズ時間より前に行う。一例として、当日市場の対象時間枠のゲートクローズのT時間前に行う。当日の市場価格の予測に関しては、当日にのみ入手できる情報、例えば、市場価格の予測に関しては、既に約定し公開済のスポット市場の市場価格の実績値や、先に当日市場のザラバで約定済の分の市場価格の実績値などを利用することで、一般に前日予測より精度が向上する。また、変動型リソースの発電量の予測に関しても、予測直前までの発電量の実績値などを用いることで、一般に前日予測より精度が向上する。少なくとも前述した予測時には用いられなかった情報を用いて予測を行うことが望ましい。
予測の方法としては特に限定しないが、前述したアンサンブル予測、アナログアンサンブル、ニューラルネットワーク、一般化加法モデル、スパースモデリング、深層学習などを用いて、当日にのみ入手できる情報等を利用して予測を行ってもよい。
入札内容決定部113は、当日市場に対する入札量を補正する。差分利益に関するリスク・リターン指標を、変動型リソースの発電量の最新予測値と当日市場の価格の最新予測値とをそれぞれ複数個利用して、決定済の変数(調整力市場への入札価格と入札量、スポット市場への入札量)を固定した状態で再度算出する。基本的な手順は、前述した前日時点での時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和を決定する手順の一部と同様である。具体的には、これらの最新予測値を用いて、調整力市場での利益分を除く総利益に関するリスク・リターン指標を下記の式に基づき再度算出する。そして、差分利益に関するリスク・リターン指標に基づき、当日市場の入札量を決定(すなわち入札量の補正値を決定)する。一例として当日市場の入札量の範囲を等間隔に複数の分割し、全ての値を網羅的に探索する。各探索された入札量でのリスク・リターン指標を算出する。例えばリスク・リターン指標を最小化又は最大化する当日市場の入札量を決定する。式(7a)(7b)及び式(8)に、リスク・リターン指標の計算式の一例を示す。
式(7a)は、時間枠nの総売上の計算式(当日補正時)である。
Figure 2022079368000013
Bn:前日に決定した、時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)
B‘n:当日補正後の、時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)
Rn:前日に決定した、時間枠nにおける、スポット市場と時間前市場への入札量の総和に対する、スポット市場への入札量の比率
l:市場価格の当日予測値のID
L‘:市場価格の当日予測値の数
P1:時間枠nにおけるスポット市場の市場価格の確定値(円/KWh)
P2n,l:時間枠nにおける時間前市場の市場価格のl番目の当日予測値(円/KWh)
W2‘n,l :時間枠nにおける当日予測値kの重み
W2‘n,lは、
Figure 2022079368000014
となるよう正規化されている。
式(7b)は、時間枠nの総売上の計算式(リスク考慮の場合)である。
Figure 2022079368000015
T2’:下位パーセンタイルに含まれる予測の数
式(8)は、時間枠nのインバランス収支と総原価の計算式(当日補正時)である。
Figure 2022079368000016
Figure 2022079368000017
IMn,k:時間枠nにおける、予測値kから計算したインバランス発生量(kWh)
PEn,k:時間枠nにおける、予測値kから計算したインバランス料金(円/kWh)
B‘n:時間枠nにおける、当日補正後の、スポット市場と時間前市場への入札量の総和(kWh)
B3:調整力市場への入札量( kWh/時間枠 )
k:変動型リソースの発電量の当日予測値のID
K‘:変動型リソースの発電量の当日予測値の数
G‘n,k :時間枠nにおける、変動型リソースの発電量のk番の当日予測値(kWh)
G2n,k:時間枠nにおける、予測値kに対応する調整可能型リソースの発電量(kWh)
W1n,k :時間枠nにおける予測値kの重み
W1n,k は、
Figure 2022079368000018
となるよう正規化されている。
Pvar:変動型リソースの電力原単価(円/kWh)
Pcon:調整可能型リソースの電力原単価(円/kWh)
G2max:調整可能型リソースの最大発電量(kWh)
G2min:調整可能型リソースの最小発電量(kWh)
PEplus:余剰インバランス料金(円/kWh)
PEminus:不足インバランス料金(円/kWh)
戦略決定部114は、取引対象となる時間帯に関して、売電戦略(取引戦略)を決定し、決定した売買戦略を指標算出部111に与える。取引戦略の詳細は前述と同様であり、一例として、リスク・リターン指標に1対1に対応付いている。
指標算出部111は、戦略決定部114で決定された取引戦略に応じたリスク・リターン指標を決定する。指標算出部111は、上記の差分利益に対して、決定したリスク・リターン指標の算出を行う。リスク・リターン指標の詳細は、前述した内容と同様である。
図13は、本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例のフローチャートである。
まず取引対象日を指定する。対象日の全時間枠を取引対象としない場合もあり得るが、その場合は対象時間帯も指定する(S1)。ユーザより入力部105から入力される情報に基づいて決定してもよいし、別の予め決められた方法で決定してもよい。また取引対象となるエリア(対象エリア)を選択可能な場合は、対象エリアを選択してもよい。
次に、戦略決定部114が、複数の取引戦略の中から、調整力市場で用いる取引戦略と、選択した各時間枠(時間帯)の、入札量の比率、入札量総和の各々の決定に適用する取引戦略のセットとを選択する(S2)。戦略決定部114が、過去の取引実績データを元に、市場価格のトレンドを判定し、判定されたトレンドから取引戦略を決定してもよい。または、ユーザが入力部105を用いて取引戦略を選択してもよい。
次に、予測部106が、対象エリアの対象日時(取引対象の時間帯)における変動型リソースの発電量を複数予測する(S3)。予測した複数の発電量の予測値は、例えば、図5の複数の予測1~RにおけるPV発電量予測値及び風力発電量予測値に対応する。
さらに、予測部106が、対象エリアの対象日時(取引対象の時間帯)におけるスポット市場の価格及び当日市場の価格をそれぞれ複数予測する(S4)。予測した各市場の価格は、図5の複数の予測1~Rにおけるスポット市場価格予測値及び当日市場価格予測値に相当する。スポット市場は第一市場に相当し、当日市場は第二市場に相当する。
入札内容決定部113は、スポット市場の複数の価格予測値、及び当日市場の複数の価格予測値に基づき、スポット市場及び当日市場への入札量比率を決定する(S5)。ステップS5は、取引対象の各時間枠の全てについて演算する。
次に、調整力市場の複数日分の発動量の予測値と平均価格の予測値に基づき、調整力市場に対する入札量を仮決定し、調整市場における利益のリスク・リターン評価値の最大値と、その時の入札価格を算出する(S6)。調整力市場は第三の市場に相当する。
次に、取引対象の時間枠のそれぞれに対して、インバランス収支と総原価とに関するリスク・リターン評価値を最大とする、スポット市場及び時間前市場への入札総量をそれぞれ仮決定する(S7)。
ステップS6とS7で求めたリスク・リターン評価値の総和が最大の場合(S8のYES)は、調整力市場に対する入札価格及び入札容量の暫定値と、各時間枠毎のスポット市場及び時間前市場への入札総量の暫定値とをそれぞれ更新する(S9)。評価値の和が最大でない場合(S8のNO)、ステップS6に戻る。
探索が終了したと判断した場合(S10のYES)はステップS11に移る。そうでない場合(S10のNO)、ステップS6に戻る。
次に、先に決めた各時間枠の入札量比率及び総入札量から、取引対象の各時間枠毎のスポット市場と当日(時間前)市場とに対する各入札量を求め、調整力市場に対する入札量と入札価格と併せて出力する(S11)。ステップS11までが、取引対象の日の前日の、スポット市場か調整力市場のゲートクローズ時間前までに行う処理となる。
なお、調整力市場に入札を行わない場合は、もしくは、調整力市場の入札内容が既に決定している場合は、ステップS6、S8、S9は不要である。
ステップS12からS14までは、取引対象の日の当日に行う処理となる。
対象エリアの対象日時における、変動型リソースの発電量と当日市場の価格を再度、複数個予測する(ステップS12)。ステップS12は当日市場のゲートクローズ時間より前に行う。予測の方法等に関しては、ステップS3、S4と同様の方法でも構わないし、当日にしか入手できない情報(例えば、当日の他の時間帯における発電量の実績値やスポット市場の価格実績値、当日市場におけるザラバの情報)を利用して、ステップS3、S4とは、異なる方法で予測することもあり得る。
当日市場に対する入札量を決定する(ステップS13)。ステップS7で実施した演算の一部と同様の処理を、ステップS12で得た発電量の最新予測値と当日市場価格の最新予測値とを利用して、前日に確定済の変数(スポット市場の入札量、及び、調整力市場への入札価格、入札量)を固定した状態で再度実施する。具体的には、上述の式(7)、式(8)に基づき、リスク・リターン値を最大とする当日補正後の入札量を再計算する。当日市場(時間前市場)に対する入札量の補正値(補正量)を出力する(S14)。
上述したように、ステップS5~S12は調整力市場のゲートクローズ時間(入札の締切時間)、スポット市場のゲートクローズ時間、ステップS15~S17は当日(時間前)市場のゲートクローズ時間前に実施する必要がある。それぞれ意思決定するタイミングが異なる。さらに、本発明では、意思決定を複数の部分問題に分割し、個別にリスク・リターン評価値を最大化している。
それぞれのステップで決定した内容を、本取引支援装置の利用者が順次確認、承認する手順が追加される場合があり得る。具体的には、ステップS10の終了後に、決定された調整力市場に対する入札価格と入札容量と、その時のリスク・リターン評価値とをユーザに提示し、ユーザが承認や変更を加える場合がある。ユーザは入力部105から変更または承認するステップを行ってもよい。あるいは、入札価格と入札容量の他の候補値を提示し、ユーザが入力部105から候補値を選択してもよい。
また、ステップS10の終了後に、各時間枠のスポット市場に対する入札量と、その時のリスク・リターン評価値をユーザに提示、ユーザが承認や変更を加える場合がある。利用者は、入力部105から変更または承認するステップを行っても良い。あるいは、入札量の他の候補値を提示し、ユーザが入力部105から候補値を選択してもよい。
また、ステップS5の終了後に、スポット市場および当日市場に対する入札量比率(または当該入札量比率による平均売電価格)と、その時のリスク・リターン評価値をユーザに提示、ユーザが承認や変更を加える場合がある。ユーザは、入力部105から変更または承認させるステップを行ってもよい。あるいは、入札量比率の他の候補値を提示し、ユーザが入力部105から候補値を選択してもよい。
また、ステップS14の終了後に、当日市場に対する補正後の入札量と、その時のリスク・リターン評価値をユーザに提示、ユーザが承認や変更を加える場合がある。ユーザは、入力部105から変更または承認するステップを行っても良い。あるいは、入札総量の他の候補値又は各電力市場の入札量の他の候補値を提示し、ユーザが入力部105から候補値を選択してもよい。
以上、本実施形態によれば、再エネ発電量(変動型リソースの発電量)と複数の市場価格の双方の不確実性の影響を同時に考慮して、複数市場に対する入札量をリスク・リターンの観点で適正に決定することが可能となる。これにより、変動型リソースから買い取った発電電力を、調整可能型リソースから買い取った電力と併せて複数種類の電力市場で電力を売電するアグリゲーションビジネスにおいて、複数市場に対する入札量のポートフォリオを適正に策定できる。
(ハードウェア構成)
図14は、図4の装置のハードウェア構成を示す。図4の装置は、コンピュータ装置600により構成される。コンピュータ装置600は、CPU601と、入力インタフェース602と、表示装置603と、通信装置604と、主記憶装置605と、外部記憶装置606とを備え、これらはバス607により相互に接続されている。
CPU(中央演算装置)601は、主記憶装置605上で、コンピュータプログラムである情報処理プログラムを実行する。情報処理プログラムは、本装置の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。情報処理プログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU601が、情報処理プログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
入力インタフェース602は、キーボード、マウス、およびタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、本装置に入力するための回路である。入力インタフェース602は入力部105に対応する。
表示装置603は、本装置から出力されるデータを表示する。表示装置603は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT(ブラウン管)、またはPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置600から出力されたデータは、この表示装置603に表示することができる。
通信装置604は、本装置が外部装置と無線または有線で通信するための回路である。データは、通信装置604を介して外部装置から入力することができる。外部装置から入力したデータを、主記憶装置605や外部記憶装置606に格納することができる。
主記憶装置605は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。情報処理プログラムは、主記憶装置605上で展開され、実行される。主記憶装置605は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。図4の各記憶部又はデータベースは、主記憶装置605上に構築されてもよい。
外部記憶装置606は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらの情報処理プログラムやデータは、情報処理プログラムの実行の際に、主記憶装置605に読み出される。外部記憶装置606は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。図4の各記憶部又はデータベースは、外部記憶装置606上に構築されてもよい。
なお、情報処理プログラムは、コンピュータ装置600に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、情報処理プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
また、本装置は、単一のコンピュータ装置600により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置600からなるシステムとして構成されてもよい。
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11 電力アグリゲータ
12 調整可能型リソース(可制御リソース)
13 変動型リソース
21 調整力市場
22 スポット市場
23 時間前市場(当日市場)
31 系統運用者
32 系統管理会社
101 市場データ取得部
102 数値気象予測部
103 変動型リソース発電実績取得部
104 データ記憶部
105 入力部
106 予測部
107 スコア計算部
108 インバランスペナルティ取得部
109 一時記憶部
110 調整可能型リソース情報記憶部
111 指標算出部
112 収益計算部
113 入札内容決定部(第1決定部)
114 戦略決定部(第2決定部)
115 出力部
600 コンピュータ装置
602 入力インタフェース
603 表示装置
604 通信装置
605 主記憶装置
606 外部記憶装置
607 バス

Claims (20)

  1. 第1発電リソースにより発電される電力量の複数の第1予測データと、電力系統に供給可能な電力量が、発電計画値である第1電力量に対して不足又は過剰になる場合に収受するペナルティとに基づいて、前記第1市場で前記第1電力量を入札したと仮定した場合の収益に関する第1指標を算出する指標算出部と、
    前記第1指標に基づいて、前記第1市場に入札する第2電力量を決定する決定部と、
    を備えた情報処理装置。
  2. 前記指標算出部は、前記第1市場における電力の取引価格の複数の第2予測データに基づいて、前記第1指標を算出する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記電力系統に供給可能な電力量が前記第1市場及び第2市場で取引した第1電力量及び第3電力量の総和を前記発電計画値とし、前記ペナルティは、前記発電計画値に対して不足又は過剰になる場合に収受するペナルティであり、
    前記指標算出部は、前記第1市場及び前記第2市場で前記第1電力量及び前記第3電力量を取引した場合における前記第1指標を算出し、
    前記決定部は、前記第1指標に基づいて、前記第1市場及び前記第2市場に入札する前記第2電力量及び第4電力量を決定する
    請求項1又は2に記載の情報処理装置。
  4. 前記指標算出部は、前記第2市場における電力の取引価格の複数の第3予測データに基づいて、前記第1指標を算出する
    請求項3に記載の情報処理装置。
  5. 前記指標算出部は、前記第1市場に入札する電力量を前記決定した第1電力量に固定し、前記第1発電リソースにより発電される電力量の複数の第4予測データに基づいて、前記収益に関する第2指標を算出し、
    前記決定部は、前記第2指標に基づき、前記第2市場に入札する第4電力量を再決定する
    請求項3又は4に記載の情報処理装置。
  6. 前記第4予測データは、前記第1市場への入札が締め切られた後、かつ前記第2市場への入札が締め切られる前に取得された予測データである
    請求項5に記載の情報処理装置。
  7. 前記指標算出部は、前記第1市場に入札する電力量を前記決定した第1電力量に固定し、前記第2市場における電力価格の複数の第5予測データに基づいて、前記収益に関する第2指標を算出し、
    前記決定部は、前記第2指標に基づき、前記第2市場に入札する第4電力量を再決定する
    請求項4に記載の情報処理装置。
  8. 前記第2市場における電力価格の前記第5予測データは、前記第1市場への入札が締め切られた後、かつ前記第2市場への入札が締め切られる前に取得された予測データである
    請求項7に記載の情報処理装置。
  9. 前記決定部は、前記第1指標に基づいて、前記第1市場及び前記第2市場に入札する前記第2電力量及び前記第4電力量の比率である入札量比率を決定する
    請求項3~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  10. 前記指標算出部は、前記入札量比率に基づき、前記収益に関する第3指標を算出し、
    前記決定部は、前記第3指標に基づき、前記第1市場及び前記第2市場に入札する前記第2電力量及び前記第4電力量の総量を決定する
    請求項9に記載の情報処理装置。
  11. 第3市場は、応札した電力量の全部又は一部の供給が電力系統運用者からの発動要請の有無に応じて決まる市場であり、
    前記指標算出部は、前記第3市場で第5電力量を入札した場合の収益に関する第4指標を算出し、
    前記決定部は、前記第4指標に基づいて、前記第3市場に入札する第6電力量を決定する
    請求項1~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  12. 前記決定部は、前記第4指標に基づいて、前記第3市場に入札する入札価格を決定する
    請求項11に記載の情報処理装置。
  13. 前記決定部は、前記第3市場に入札する前記第6電力量と、前記第1市場に入札する前記第2電力量を同時に決定する、
    請求項11又は12に記載の情報処理装置。
  14. 前記決定部は、前記第6電力量を示す情報と前記第4指標を前記第3市場に入札する電力量の候補としてユーザとのインタフェースに提示し、前記インタフェースを介して入力された情報に基づき、前記第3市場に入札する電力量を再決定する
    請求項13に記載の情報処理装置。
  15. 前記決定部は、前記第2電力量及び第4電力量を示す情報と前記第1指標を候補としてユーザとのインタフェースに提示し、前記インタフェースを介して入力された情報に基づき、前記第1市場に入札する電力量を再決定する
    請求項3に記載の情報処理装置。
  16. 前記第1発電リソースは、再生可能エネルギーを発電する発電リソースであり、
    前記電力系統に供給可能な電力量は、前記第1発電リソースと、発電する電力量を調整可能な第2発電リソースとに基づいて調達され、
    前記収益は、前記第1市場における前記第2電力量の取引総額と、前記第1発電リソースから調達する電力量の原価と、前記第2発電リソースから調達する電力量の原価と、前記ペナルティとに基づいている、
    請求項1~15のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  17. 前記第1市場又は前記第1市場とは異なる市場における過去の取引実績データにおける取引価格の推移に基づいて、複数の指標の中から使用する前記第1指標から第4指標の一部もしくは全てを決定する第2決定部
    を備えた請求項1~16のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  18. 前記第1発電リソースにより発電される電力量と、前記第1市場で前記第2電力量を取引した場合の取引価格とは不確実性を有する
    請求項1~17のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  19. 発電装置により発電される電力量の複数の第1予測データと、電力系統に供給可能な電力量が、発電計画値である第1電力量に対して不足又は過剰になる場合に収受するペナルティとに基づいて、前記第1市場で前記第1電力量を入札したと仮定した場合の収益に関する第1指標を算出し、
    前記第1指標に基づいて、前記第1市場に入札する第2電力量を決定する
    情報処理方法。
  20. 発電装置により発電される電力量の複数の第1予測データと、電力系統に供給可能な電力量が、発電計画値である第1電力量に対して不足又は過剰になる場合に収受するペナルティとに基づいて、前記第1市場で前記第1電力量を入札したと仮定した場合の収益に関する第1指標を算出するステップと、
    前記第1指標に基づいて、前記第1市場に入札する第2電力量を決定するステップと、
    をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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