JP7210338B2 - 予測装置、予測方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
電力の売買は、一般的に電力取引所を介して行われる。日本の場合、日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power eXchange)を介して、電力が売買される。日本取引所では、翌日渡しの電力の売買を行う1日前市場(スポット市場)や、実需給の1時間前まで調整的な取引ができる時間前市場(1時間前市場)などが開設されている。
電力取引所で取引される電力の市場価格を正確に予測することは、電力取引において非常に重要である。近年、大量に再生可能エネルギー電源が導入されており、スポット市場価格に対して太陽光発電等の影響が大きくなりつつある。太陽光発電の発電量は気象状況に影響を受けることから、電力市場価格を高精度に予測するには気象状況を考慮することも重要である。
特開2011-18375号公報 特開2016-35719号公報 特開2018-13934号公報
本発明の実施形態は、予測対象の予測値を高精度に算出することを可能にする情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
本発明の実施形態としての情報処理装置は、複数の地点を有する地理的範囲に含まれる前記地点における複数の第1時刻の気象予測データと、前記地点における第2時刻の気象予測データとに基づき、前記第2時刻の前記気象予測データに対する前記複数の第1時刻の前記気象予測データの複数の類似度を算出する類似度算出部と、前記複数の類似度と、前記地理的範囲における前記複数の第1時刻の実績値とに基づき、前記第2時刻の予測値を算出する予測部とを備える。
第1の実施形態に係る予測システムの全体構成例を示す図。 エリアおよび複数の地点の例を示す図。 ブラインド・シングルプライスオークション方式の説明図。 気象予測データの一例を示す図。 実績データの一例を示す図。 祝日イベント情報の例を示す図。 サンプルデータの例を示す図。 尺度条件の例を示す図。 尺度重み条件の例を示す図。 電力市場価格の予測値の例を示す図。 カーネル密度推定により推定した確率分布の例を示す図。 電力市場価格の予測推移データの例を示す図。 第1の実施形態に係る予測装置の他の例を示す図。 図13の予測装置の動作の一例を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る予測システムの全体構成例を示す図。 第3の実施形態に係る予測システムの全体構成例を示す図。 気象予測結果データの一例を示す図。 図16の予測装置の動作の一例のフローチャート。 実績データの一例を示す図。 第1~第3の実施形態に係る予測装置のハードウェア構成を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下では、電力市場の価格を予測する場合を例として説明するが、予測の対象は特に限定しない。例えば、水需要、ガスの需要、商品の販売額、店舗や施設への来客数、交通機関の乗客数、ウェブサイトへのアクセス数、サービスの利用者数、医療機関の患者数などを予測対象としてもよい。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る予測システムの全体構成例を示す。図1の予測システムは、予測装置101と、入力装置201と、出力装置301と、気象予測システム401と、実績値管理システム501とを備えている。予測装置101は、第1通信ネットワークを介して、気象予測システム401及び実績値管理システム501と接続されている。予測装置101は、入力装置201及び出力装置301と、第2通信ネットワーク又は通信ケーブルを介して接続されている。第1通信ネットワーク又は第2通信ネットワークは、有線ネットワーク、無線ネットワーク又はこれらのハイブリッドである。第1通信ネットワーク又は第2通信ネットワークは、一例として、ローカルエリアネットワーク又は広域ネットワークである。通信ケーブルはUSBケーブル、シリアルケーブルなど、任意のケーブルである。
入力装置201は、本装置のユーザから各種の指示又はデータの入力操作を受け付ける。ユーザは、本装置の操作者又は管理者等である。入力装置201は、予測装置101の処理に係る操作、予測装置101の予測結果の可視化に係る操作などをユーザから受け付ける。入力装置201は、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、トラックボール、ジョイスティック、ペンタブレット、音声認識装置、画像認識装置またはこれらの組み合わせより実現される。入力装置201は、パソコン、タブレット、スマートフォン、携帯電話などの情報端末であってもよい。図1には1台の入力装置201しか示されていないが、複数台の入力装置201があってもよい。
出力装置301は、入力されたデータを出力する装置である。出力装置301は一例として、データを表示可能な表示装置である。この場合、出力装置301は例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、またはプロジェクタであってもよいし、その他の方式のものであってもよい。出力装置301は、データを用紙に印字するプリンタでもよいし、データを無線又は有線で送信する送信装置でもよい。以下の説明では、出力装置301が表示装置の場合を述べる。
入力装置201と出力装置301は、パソコン、タブレット、スマートフォンなどによって一体的に構成されていてもよい。また、入力装置201と出力装置301の一方又は両方が、予測装置101と一体的に構成されてもよい。
気象予測システム401は、ある電力会社の電力供給エリアにおける複数の地点の気象情報(気象量)を予測する。気象予測システム401は、予測装置101の外部のシステムである。
図2は、ある電力会社の電力供給エリアにおける複数の地点の例を示している。地点は小さな丸で示している。地点は、一例として、気象庁の観測所(AMeDAS:Automated Meterological Data Acquisition System)の設置点である。
気象予測システム401は、気象予測システム401は各地点の観測所による気象量の観測値に基づき、気象量を予測する。気象予測システム401は、気象量の観測のために、気象衛星を用いてもよい。気象予測システム401は、予測した気象量の値(気象予測値)を、地点のIDと時間情報(日付と時刻)に関連づけて、内部のデータベース(DB)に格納する。気象量の予測は、一例として、一定時間間隔又は予め指定された間隔で行う。気象予測システム401は、予測装置101からの要求に応じて、DBに記憶している気象予測値、地点ID及び時刻情報を含む気象予測データを、予測装置101に提供する。気象予測値は、一例として数値形式を有する。気象予測システム401は、例えば気象庁など国内外の政府機関、民間の事業者、国際機関の提供する気象情報サーバ、ウェブサービス、クラウドサービスである。
実績値管理システム501は、予測対象の実績データ(実績データ)を保持している。実績値管理システム501は、予測装置101の外部のシステムである。実績データは、実績値と時刻情報とを対応づけている。実績値は、過去の値である。実績値の例としては、例えば電力取引所で取引される電力の市場価格(電力市場価格)、入札量、電力需要量、再生可能エネルギー電源の発電量などがある。また、商品の販売額、販売数、出荷高、生産高などを実績値としてもよい。以下の説明では、実績値は、電力の市場価格であるとする。
ここで電力市場価格について、日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power Exchange)を例にして説明する。JEPXに開設されているスポット(1日前)市場では、1日を電力の計量単位(つまり、毎時0分から30分と30分から60分)で48個の時間コマ(商品コマ)に分割し、時間コマ別に電力が取引される。取引電力量の単位は1MW(30分間)であり、これを電力量で表すと500kWhである。入札価格はkWh当たり0.01円単位で指定することができる。スポット市場では、毎日、10時に翌日分の時間コマへの入札が締め切られる。
スポット市場の各時間コマは互いに独立しており、それぞれの時間コマに対しブラインド・シングルプライスオークション方式で、約定価格及び約定量が決定される。
図3は、ブラインド・シングルプライスオークション方式の説明図である。時間コマに入札する各参加者は、他参加者の入札動向が開示されない状態(ブラインド)で入札を行う。入札の締め切り後に、売り入札の安値から入札量を累積した売り入札価格曲線L1と買い入札の高値から入札量を累積した買い入札曲線L2を計算し、これらの交点Pを算出する。交点Pが、この時間コマの約定価格と約定量になる。この約定価格より低い価格で入札した売り手のみが約定価格で商品(電力)を売ることができ、約定価格より高い価格で入札した買い手のみが約定価格で商品(電力)を買うことができる。
なお、スポット市場の約定の結果によっては、電力系統の連系線に流せる電力量の制限(連系線制約)を超える場合が発生する。例えば、日本全国の入札を合成した買い(需要)曲線と、日本全国の入札を合成した売り(供給)曲線との交点を求め、当該交点における価格・量で売買を成立させる。この場合、エリア間の連系線によっては、送電可能な電力量が少ないために、連係線の上限を超えてしまうことがある。そのように上限を超えた時間コマでは、連係線の箇所でエリア分断を行う。そして、各分断されたエリアで独立して、需要曲線と供給曲線の交点を求め、約定価格及び約定数量を決定する。このような状態を市場分断と呼ぶ。この時、日本全国で約定した価格をシステムプライスと呼び、各エリアで約定した価格をエリアプライスと呼ぶ。
実績値管理システム501で管理する電力市場価格はシステムプライス及びエリアプライスのいずれでもよい。実績値管理システム501は、電力市場価格が決定されるエリア単位で、電力市場価格の実績データを管理する。実績値管理システム501は、電力取引所システム又は電力取引所システムと連係する他のシステムから、電力市場価格の実績データを取得してもよいし、実績値管理システム501が、電力取引所システムの一部であってもよい。
予測装置101は、気象予測取得部11、気象予測記憶部12、実績値取得部13、実績値記憶部14、カレンダー情報記憶部15、結合部16、サンプルデータ記憶部17、データ抽出部18、抽出データ記憶部19、類似度算出部20、予測部21、及び予測結果記憶部23を備える。
気象予測取得部11は、気象予測システム401に気象予測データの取得要求を送信し、気象予測システム401から各地点の地点IDと気象予測値と時刻情報(日付と時刻)とを含む気象予測データを取得する。気象予測取得部11は、取得した気象予測データを、気象予測記憶部12に格納する。気象予測取得部11は、一例として、気象予測データの取得要求を一定時間ごとに送信し、未取得の気象予測データを取得してもよい。または、気象予測取得部11は、取得対象期間を指定し、指定した期間に属する気象予測データを気象予測システム401から取得してもよい。または、気象予測システム401からのプッシュ通知により気象予測データを取得してもよい。ここで説明した以外の方法で気象予測システム401から気象予測データを取得してもよい。
図4は、気象予測記憶部12に記憶されている気象予測データの一例を示す。気象予測データは表形式で格納されている。地点ID、日付、時刻、気象予測値が格納されている。この例では、地点IDが001の地点について、2018年10月1日0:00~5:30までの気象予測値が示されているが、実際には、他の時間及び他の地点の気象予測値も格納されている。気象予測値の時間間隔は、30分であるが、10分、1時間など、他の間隔でもよい。この例では、予測された気象量は、気温、日射強度、風速、降水量であるが、ここに示したものに限定されない。例えば風向、日照時間などの項目があってもよい。また、観測所によって気象量が異なってもよい。
実績値取得部13は、実績値管理システム501に実績データの取得要求を送信し、実績値管理システム501から実績データを取得する。取得要求は、取得対象となるエリアを指定する情報を含んでもよい。この場合、実績値管理システム501は、指定されたエリアの実績データを提供する。実績値取得部13は、取得した実績データを、実績値記憶部14に格納する。実績値取得部13は、一例として、実績データの取得要求を一定時間ごとに送信し、未取得の実績データを取得してもよい。または、実績値取得部13は、取得対象期間を指定し、指定した期間に属する実績データを実績値管理システム501から取得してもよい。または、実績値管理システム501からのプッシュ通知により実績データを取得してもよい。ここで説明した以外の方法で、実績値管理システム501から実績データを取得してもよい。
図5は、実績値記憶部14に記憶されている実績データ一例を示す。予測データは表形式で格納されている。表である。図5の実績データは、日付、時刻、電力市場価格の実績値を含む。この例では、電力市場価格の実績値は、図2の地図に示されたエリアに対して決定された電力市場価格である。電力市場価格は、kWh当たり0.01円単位で表されているが、これに限定されるものではない。
カレンダー情報記憶部15は、各年月日の属性情報としてカレンダー情報を記憶している。カレンダー情報の例として、各日が平日か、休日か、祝日かを区別する区分情報がある。また、各日の曜日を表す曜日情報がある。また、祝日の名称を表す祝日イベント情報がある。他の種類のカレンダー情報でもよい。
図6は、カレンダー情報の一例として、祝日イベント情報を格納した表の例を示す。2018年及び2019年の各祝日の名称がイベント情報として格納されている。
カレンダー情報の他の例として、日中、深夜、通勤時間帯などの時間帯の区分情報でもよい。また、季節の情報(夏季、冬季)でもよい。また、大型のスポーツイベント、祭礼などのイベント情報でもよい。
結合部16は、気象予測記憶部12及び実績値記憶部14に記憶されているデータを取得し、取得したデータを結合させる。データの結合は、時刻をキーとして行う。また、結合部16は、カレンダー情報記憶部15からカレンダー情報を取得し、結合されたデータに、該当する日のカレンダー情報を結合させる。ただし、将来の日時(予測対象の日時を含む)については実績値がまだ存在しないため、気象予測データをカレンダー情報のみと結合させる。結合させたデータを、サンプルデータと呼ぶ。結合部16は、取得したサンプルデータをサンプルデータ記憶部17に格納する。
サンプルデータ記憶部17は、結合部16により取得されたサンプルデータを内部に記憶する。
図7は、サンプルデータ記憶部17に記憶されているサンプルデータの例を示す。サンプルデータは表形式で格納されている。図7の表の各行がサンプルデータに対応する。
例えば、2018年10月1日の0:00のサンプルデータは、0:00~0:30のコマの電力市場価格10.21円と、対象エリアにおける各地点のID、気温及び日射強度等と、当該日に対応するカレンダー情報として区分情報(平日)及び曜日情報(月曜日)とを含む。
2018年12月03日の0:00のサンプルデータは、将来の日時のサンプルデータであるため、各地点の気象予測値(気温及び日射強度等)と、カレンダー情報は格納されているが、電力市場価格は格納されていない。2018年12月03日の0:00より後の時刻のサンプルデータも同様である。
データ抽出部18は、入力装置201からデータ抽出条件を表す情報を取得する。データ抽出条件はユーザによって入力される。データ抽出条件を表す情報を格納する記憶部を予測装置101に設け、記憶部からデータ抽出条件を表す情報を取得してもよい。
データ抽出条件は、予測に使用するサンプルデータの抽出条件である。データ抽出条件は、予測対象の日時(例えば2018年12月3日0:00~0:30)と、データ抽出する期間を指定する。ここでは、時刻は、時間コマの長さに対応した30分を指すとするが、これに限定されるものではない。また、日時を指定する代わりに日を指定してもよい。この場合、日に含まれる48個の時間コマをそれぞれ日時指定したとして扱えばよい。
データ抽出する期間は、予測対象の日時より前の任意の過去の期間である。例えば、予測対象の日時(又は予測対象の日)の直前の過去の30日がある。この場合、予測対象の日時をtとすると、(t-30日)~(t-1日)までが比較期間に相当する。あるいは、予測対象の日をdとし、(d-30日)~(d-1日)までを比較期間としてもよい。
他の例として、平日か休日かの指定がある。例えば平日のみのサンプルデータを用いる場合は、データ抽出条件として平日を指定する。この場合、平日のみを含む期間を抽出できる。
さらに他の例として、曜日の指定がある。例えば予測対象の日と同じ曜日を指定することがある。この場合、当該曜日のみを含む期間を抽出できる。
上記に例示したデータ抽出条件を組み合わせてもよいし、他のデータ抽出条件を定義してもよい。
データ抽出条件を満たす期間を、以下では比較期間と呼ぶ。
データ抽出部18は、データ抽出条件に基づき、サンプルデータ記憶部17から、予測対象の日時t(第2時刻)のサンプルデータと、比較期間に含まれる各日の評価時刻(第1時刻)のサンプルデータを抽出する。評価時刻は、予測対象の日時tと同じ時刻である。データ抽出部18は、抽出したサンプルデータを、抽出データ記憶部19に格納する。
予測対象の日時tのデータを対象サンプルデータ、比較期間に属する各日の評価時刻のデータを比較サンプルデータと称する。
抽出データ記憶部19は、データ抽出部18によって抽出されたデータ(対象サンプルデータ、比較サンプルデータ)を記憶する。
類似度算出部20は、入力装置201から類似度尺度(類似度メトリック)を指定する尺度条件と、類似度尺度の重みを指定する尺度重み条件と、対象エリアを指定するエリア条件とを受け取る。類似度算出部20は、これらの条件に基づき、予測対象の日時(第2時刻)の対象サンプルデータに対して、抽出データ記憶部19における比較期間に属する各日の同時刻(第1時刻)の比較サンプルデータに対する類似度を計算する。
尺度条件により指定される類似度尺度は、類似度を算出する尺度(メトリック)である。例えば気象量に関する類似度尺度として、気温の予測値、日射強度の予測値等がある。類似度尺度は1つでもよいし、複数でもよい。また、時間に関する類似度尺度として、予測対象の日時と各日の評価時刻との時間差がある(詳細は後述する)。
図8は、尺度条件のデータ例を示す。尺度条件のデータが表形式で格納されている。類似度尺度として、気温、日射強度、風速、降水量、時間差が示されている。各類似度尺度の選択又は非選択が、時刻ごと(30分の時間コマごとに)指定されている。“1”が該当する類似度尺度を用いること、“0”が該当する類似度尺度を用いないことを示す。図の例では、すべての時間コマで、すべての類似度尺度が選択されている。ここでは各類似度尺度の使用有無を“1”又は“0”で特定したが、使用する類似度尺度のみを、時間コマごとに尺度条件で指定してもよい。
図9は、尺度重み条件のデータ例を示す。尺度重み条件のデータが表形式で格納されている。尺度重み条件は、各類似度尺度の重み(第1重み)を指定する。図8で示した各類似度尺度に対して、時刻ごとに(30分の時間コマごとに)、重みを指定している。重みはユーザが任意に決定できる。一例として、気象条件に関する重みは第1重み、時間差に関する重みは第2重みに対応する。
エリア条件は、対象エリアを指定する。対象エリアは、予測を行うエリアであり、一例として、1つの電力会社の電力供給エリアである。対象エリアは都道府県、住所、又はこれらの組み合わせによって指定されてもよいし、その他の手段で指定されてもよい。変形例として、エリア条件は、複数の地点IDを指定する情報であってもよい。一例として、対象エリアは、図2に示したエリアである。本実施形態では、この場合を想定する。
各地点IDが示す地点が属する都道府県、地区、住所等の情報を、実績値記憶部14における実績データの一部として持たせてもよい。または、当該情報を格納した記憶部を予測装置101に別途設けてもよい。
類似度算出部20は、エリア条件で指定された対象エリアに属する地点を特定する。類似度算出部20は、特定した地点ごとに、各日の評価時刻における比較サンプルデータを用いて、各類似度尺度の平均値(M)と標準偏差(S)を計算する。例えば、地点がA個、類似度尺度がB個あれば、A個の地点のそれぞれについて、B個の類似度尺度のそれぞれの平均値と標準偏差を計算する。以下に、平均値と標準偏差の計算式を示す。
Figure 0007210338000001
Figure 0007210338000002
Dは、各類似度尺度(ここでは気象量の類似度尺度)の予測値を表す。nは、各類似度尺度のデータ数、すなわち比較期間に含まれる日数に対応する。例えば比較期間の日数が30の場合(過去30日分のデータを用いる場合)、nは30である。
類似度算出部20は、各類似度尺度の平均値M及び標準偏差Sを用いて、比較期間の各日の評価時刻における各類似度尺度の予測値を標準化(正規化)する。標準化された予測値を比較標準化予測値(過去の標準化予測値)と呼ぶ。以下に標準化の式を示す。dは、標準化された予測値である。これにより、過去の各日における評価時刻における各類似度尺度の予測値は、平均0及び分散1の分布に従うデータに変換される。
Figure 0007210338000003
同様にして、各地点における予測対象の日時の対象サンプルデータの各類似度尺度の予測値も、式(3)により標準化する。すなわち当該予測値を式(3)のDとし、平均値Mと標準偏差Sは、上記で算出済みの値を用いる。標準化された予測値を対象標準化予測値と呼ぶ。これにより、各地点について、予測対象の日時の各類似度尺度の標準化予測値が得られる。
類似度算出部20は、比較期間における各日について、予測対象の日時に対して、気象量に関するユークリッド距離(Vweather)を計算する。計算には、各地点における当該日の評価時刻における各類似度尺度(尺度条件で選択された類似度尺度のみ)の比較標準化予測値と、予測対象の日時における各類似度尺度の対象標準化予測値とを用いる。以下、ユークリッド距離(Vweather)を、気象要因スコアと呼ぶ場合がある。ユークリッド距離(Vweather)の計算式を以下に示す。
Figure 0007210338000004
ここで、“c”は気象量に関する類似度尺度であり、尺度条件で選択された類似度尺度である。尺度条件が図8の場合、気温、日射強度、風速及び降水量である。“l”は、対象エリアに属する地点である。“w”は、各類似度尺度の重みである(前述した尺度重み条件で指定される。図9参照)。重みが大きいほど、その類似度尺度を重要視することになる。各地点で重みを共通にする場合は、式(4)における“wc,l”を“wc”に置換すればよい。本実施形態では類似度尺度ごとに、全ての地点で重みが同じである場合を想定する。
式(4)では、対象エリアに属する地点lごとに、予測対象の日時における類似度尺度cの対象標準化予測値fc、lと、比較期間におけるある1日の評価時刻における類似度尺度cの比較標準化値dc、lとの差分を2乗し、重みwc、lを乗じる。そして、乗算値を類似度尺度間で合計する。合計値を地点間で総和する。これにより、比較期間におけるある1日について、気象要因スコアを得る。比較期間における他の日についても同様にして、気象要因スコアを計算する。これにより、比較期間の各日の評価時刻について、気象要因スコアが得られる。
また、類似度算出部20は、尺度条件により評価時刻に対して時間差が選択(図8参照)されている場合に、比較期間における各日について、予測対象の日時に対して、時間に関するユークリッド距離(Vcalendar)を計算する。ユークリッド距離(Vcalendar)の計算式を以下に示す。ユークリッド距離(Vcalendar)を、時刻差スコアと呼ぶ場合がある。
Figure 0007210338000005
tは、予測対象の日時tを表す。tは、比較期間における各日の評価時刻を表す。wtdは、当該評価時刻に対する時間差重み(図9参照)を表す。式(5)は、tとtとの差分に、時間差重みwtdを乗じることにより、時刻差スコアを計算する。予測対象の日時に対して、比較期間における各日の評価時刻が近いほど、時刻差スコアは小さくなる。なお、尺度条件により当該評価時刻に対して時間差が選択されていない場合は、時刻差スコアの計算を省略すればよい。
比較期間における各日の評価時刻に対して算出した気象要因スコア(Vweather)と、比較期間における各日の評価時刻に対して算出した時刻差スコア(Vcalendar)とに基づき、比較期間における各日の評価時刻について、予測対象の日時との類似度(SCORE)を計算する。類似度の計算式を以下に示す。
Figure 0007210338000006
分母の1項目のV weather/ΣV weatherは、各日の評価時刻の気象要因スコアを、これらの気象要因スコアの合計で除算している。これにより、各日の評価時刻の気象要因スコアを、規格化している。
分母の2項目のV calendar/ΣV calendarは、各日の評価時刻の時刻差スコアを、これらの時刻差スコアの合計で除算している。これにより、各日の評価時刻の時刻差スコアを、規格化している。
weatherは気象要因スコアに対する重み、Wcalendarは時刻差スコアに対する重みである。ユーザは、気象要因スコア及び時刻差スコアのどちらを重視するかを、これらの重みを用いてコントロールすることができる。すなわち、気象要因スコアを時刻差スコアより重視する場合は、WweatherをWcalendarより大きくし、時刻差スコアを気象要因スコアより重視する場合は、WcalendarをWweatherより大きくし、同程度に考慮する場合は、WweatherをWcalendarと同じ値にする。WweatherをWcalendarは入力装置201から指定してもよいし、予め決められた値でもよい。
このように式(6)では、気象要因スコア及び時刻差スコアを規格化して、気象要因重み及び時刻差重みにより重み付け合計し、この逆数を計算することにより、類似度(SCORE)を算出する。逆数を計算するのは、気象要因スコア及び時刻差スコアは値が小さいほど高い類似性を表すことから、類似性が高いほど、類似度の値が高くなるようにするためである。
予測部21は、比較期間の各日の評価時刻に対して算出された類似度(SCORE)の内、類似度の大きい上位H(Hは2以上の整数)個を選択する。Hはユーザが入力装置201で指定してもよいし、予め決められた値又はランダムに決めた値でもよい。
予測部21は、選択したH個の類似度(SCORE)と、当該類似度が選択された日(以下、類似日)の評価時刻の実績値(A)とに基づき、予測対象の日時の電力市場価格の予測値を算出する。予測値の算出式を以下に示す。Yは予測値を表す。
Figure 0007210338000007
は、類似日の評価時刻の実績値(電力市場価格)を表す。
score_iは、選択された各日の評価時刻の類似度を、これらの類似度の合計で除算した値である。Wscore_iは、実績値Aに対する重みを表す。Wscore_iの合計が1になるように、各SCOREが規格化されている。Wscore_iを類似度重みと呼ぶ。
このように式(7)では、各類似日の評価時刻の実績値Aを、それぞれの類似度重みWscore_iで重み付け合計することで、予測値(Y)を算出する。すなわち、各類似日の評価時刻の実績値Aを、各SCOREで加重平均することで、予測値(Y)を算出する。
予測部21は、予測対象の日時について算出した電力市場価格の予測値を、予測結果記憶部23に格納する。
予測装置101は、予測対象の時刻を単位時間(例えば1時間コマずつ)ずらしながら、データ抽出部18と類似度算出部20と予測部21の処理を行うことを繰り返すことにより、予測対象の日における48時刻分(48個の時間コマ)の予測値を得ることができる。
予測装置101は、予測対象の日を1日ずつずらしながら、同様の処理を繰り返すことで、複数の日について予測値を得ることができる。なお、データ抽出条件で指定された期間に、実績値がまだ得られていない日が存在する場合は、その日を含まないように期間を特定すればよい。例えば2日後の電力市場価格を予測する場合、明日の電力市場価格の実績値は存在しないため、データ抽出条件では、明日の日を含まないように期間を特定すればよい。あるいは、データ抽出条件で指定した期間が実績値の存在しない日を含む場合は、その日の実績値の取得を自動的に省略するようにデータ抽出部18を動作させてもよい。
図10は、予測対象の日が2018年12月3日の場合に、予測の単位時間を30分として、48個の時刻(時間コマ)について算出した電力市場価格の予測値の例を示す表である。
予測部21は、予測値に対して統計情報を算出してもよい。一例として予測値の確率分布を推定してもよい。この場合、予測部21は、推定した確率分布を予測結果記憶部23に格納してもよい。
確率分布の生成方法として、電力市場価格の実績値Aを確率変数とし、類似度重みWscoreを実績値Aの頻度と見なして、カーネル密度推定等の推定方法を用いて、確率分布を生成する。生成した確率分布を、電力市場価格の予測値の確率分布として用いる。
図11に、カーネル密度推定により推定した確率分布の例を示す。横軸が電力市場価格、右側の縦軸が確率密度を表す。参考情報として、左側の縦軸に類似度を示し、また、類似度の値を、実績値の頻度と見なしたヒストグラムも示す。このヒストグラムから確率分布を推定することも可能である。
予測部21は、確率分布に基づき0.00分位点(最小値)、0.25分位点、0.75分位点、1.00分位点(最大値)を特定してもよい。各分位点は、確率分布の信頼度区間を表す。予測部21は、時刻ごと(時間コマごと)に予測値と確率分布を算出し、予測値の時間推移を表すグラフと、確率分布の各分位点の時間推移を表すグラフとを、電力市場価格の予測推移データとして生成してもよい。予測部21は、生成した予測推移データを予測結果記憶部23に格納してもよい。
図12に、予測部21により生成された電力市場価格の予測推移データの例を示す。横軸は時間、縦軸は電力市場価格を表す。確率分布の0.00分位点の時間推移を表すグラフ51、確率分布の0.25分位点の時間推移を表すグラフ52、予測部21が算出した予測値の時間推移を表すグラフ53、確率分布の0.75分位点の時間推移を表すグラフ54、及び、確率分布の1.00分位点の時間推移を表すグラフ55が示される。このように、ユーザに対して、単一な予測値でのみでなく、確率分布及び信頼度区間を示すことができる。
出力装置301は、予測結果記憶部23に格納されたデータを読み出して、画面に表示する。例えば、電力市場価格の予測値の表(図10参照)、カーネル密度推定により推定した確率分布(図11参照)、又は、電力市場価格の予測推移データ(図12参照)を表示する。
上述した実施形態において、予測部21が算出した予測値(Y)を、補正モデル(以下、モデル)を用いて補正することで、より精度の高い予測値を算出してもよい。
図13は、この場合の予測装置の構成例を示す。モデルに基づき、予測値を補正する補正部22が設けられている。補正部22は、入力装置201からモデルのパラメータを取得する。補正部22は、取得したモデルのパラメータに基づき、予測部21が算出した予測値と、比較期間の各日の評価時刻の実績値とのうち少なくとも前者をモデルの入力とし、補正された予測値を出力する。補正部22は、補正した予測値を予測結果記憶部23に格納する。
モデルの例としては、回帰モデル、カルマンフィルタ、ニューラルネットワークがあるが、どのようなモデルでもよい。一例として、補正部22は、過去の各日の評価時刻の実績値と、当該比較期間における各日の評価時刻の予測値(過去に計算した値を記憶しておく)とに基づき、モデルを生成してもよい。過去の各日の評価時刻の実績値と、当該比較期間における各日の評価時刻の予測値の差分を小さくするように、予測値を補正するモデルを生成する。例えば予測値により実績値を回帰するモデルを生成する。この場合、モデルのパラメータは、予め与えた目的関数(予測値と実績値の差分を定義する関数)を最小化するように決定する。予測値がモデルの入力、当該モデルの出力が、補正された予測値となる。生成したモデルのパラメータをパラメータ記憶部(図示せず)に記憶してもよい。
図14は、図13の予測装置の動作の一例を示すフローチャートである。気象予測取得部11が気象予測システム401から気象予測値を取得して、気象予測記憶部12に格納する(S101)。気象予測記憶部12には過去の気象予測値と、将来の気象予測値とが時系列に記憶される。
実績値取得部13は、実績値管理システム501から予測対象(例えば電力市場価格)の実績値を取得し、取得した実績値を実績値記憶部14に格納する(S102)。実績値記憶部14には、過去の実績値が時系列に記憶される。
結合部16は、気象予測記憶部12及び実績値記憶部14に記憶されているデータを取得し、取得したデータを、時刻をキーとして結合させる(S103)。また、結合部16は、カレンダー情報記憶部15からカレンダー情報を取得し、結合されたデータに、該当する日のカレンダー情報を結合させる(同S103)。ただし、将来の時刻について実績値はまだ存在しないため、気象予測データとカレンダー情報のみを結合させればよい。このようにして結合されたデータをサンプルデータとして、結合部16は、サンプルデータ記憶部17に格納する(同S103)。
データ抽出部18は、入力装置201からデータ抽出条件を表す情報を取得する(S104)。
データ抽出部18は、データ抽出条件に基づき、サンプルデータ記憶部17に記憶されている複数のサンプルデータからデータを抽出する(S105)。具体的には、予測対象の日時のデータ(対象サンプルデータ)と、過去の各日(比較期間の各日)の評価時刻のデータ(比較サンプルデータ)とを抽出する。データ抽出部18は、抽出したデータを抽出データ記憶部19に格納する。抽出されたデータ数をカウントし、データ数が閾値未満であれば(S106のNO)、ユーザに出力装置301を介して通知し、ユーザがデータ抽出条件を再度指定する(S104)。データ抽出部18は、指定されたデータ抽出条件に基づき、再度、データ抽出を行う(S105)。抽出された過去のデータ数が閾値以上であれば(S106のYES)、ステップS107に進む。
類似度算出部20は、入力装置201から類似度尺度を指定する尺度条件と、対象エリアを指定するエリア条件と、類似度尺度の重みを指定する尺度重み条件を取得する(S107、S108、S109)。
類似度算出部20は、これらの情報に基づき、比較期間の各日の評価時刻における比較サンプルデータに対する類似度を、予測対象の日時の対象サンプルデータに対して算出する(S110)。類似度の算出の詳細は、前述した通りである。
予測部21は、比較期間の各日のうち、類似度の大きい上位H(Hは1以上の整数)個の日を選択する(S111)。予測部21は、選択したH個の日の評価時刻における類似度と、当該選択された日(以下、類似日)の評価時刻の実績値とに基づき、予測対象の日時における予測値を算出する(同S111)。予測部21は、予測値に対して統計情報(例えば確率分布)を推定してもよい。
補正部22は、入力装置201からモデルのパラメータを取得し(S112)、取得したモデルのパラメータに基づき、予測部21が算出した予測値を補正する(S113)。補正部22は、補正した予測値を予測結果記憶部23に格納する(S114)。
処理の終了条件が満たされていない場合は、ステップS107に戻り(S115のNO)、同様の処理を繰り返す。一方、処理の終了条件が満たされた場合(S115のYES)、本フローチャートの処理を終了する。処理の終了条件が満たされない例として、ユーザから処理を継続することの指示が入力された場合がある。処理の終了条件が満たされる例としては、ユーザから処理の終了指示が入力された場合がある。
本実施形態によれば、過去の実績値を複数抽出し、抽出した値を混合させることにより、予測値を算出する(この手法は、アナログアンサンプルと呼ばれることもある)。これによれば、予測モデルを作成することなく、予測対象の日時における予測値を高精度に算出できる。また、過去のデータ数が少なくても、予測値の算出が可能である。また、予測対象の実績の傾向が劇的に変化した場合でも短期間(数日)でこれに追従することが可能である。また、過去の実績値を基に予測値を算出するため、予測結果に対するユーザの理解が得やすい利点がある。
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係る予測装置101の例を示す。制御部24が追加されている。その他は図1の構成と同様であるため、同じ名称のブロックには同一の符号を付して、説明を省略する。
制御部24は、各種条件の値を変更して(例えば、データ抽出条件、尺度条件又は尺度重み条件などの値を変更して)、予測値を算出することを繰り返すことを制御する。例えば、制御部24は、データ抽出条件、尺度条件及び尺度重み条件の少なくとも1つの全ての値のパターンをすべて実行するよう制御する。または、制御部24は、データ抽出条件、尺度条件及び尺度重み条件のぞれぞれの値の組み合わせパターンをすべて実行するよう制御する。
実績値取得部13は、予測対象の日時の実績値を実績値管理システム501から取得する。制御部24は、実績値との差分が最も小さい又は閾値より小さい予測値を特定し、特定した予測値が得られたときの各種条件の値を、各種条件の最適値と決定する。特定した最適値により各種条件を更新する。次回の予測対象の日時に対しては、更新後の各種条件を用いるよう制御する。
本実施形態の動作例として、前述した図14のステップS115の処理の終了条件が満たされたかの判断において、すべてのパターンを実行した場合は、処理の終了条件が満たされたと判断し、それ以外の場合は、処理の終了条件が満たされていないと判断すればよい。
(第3の実施形態)
図16は、第3の実施形態に係る予測システムの全体構成例を示す。図1と異なる点は、予測装置101に気象予測部31が設けられ、気象予測取得部11と気象予測システム401が存在しないことである。その他は図1の構成と同様であるため、同じ名称のブロックには同一の符号を付して、説明を省略する。図13の予測装置101に気象予測部31を設けてもよい。
気象予測部31は、数値予測モデルによる気象予測を行う。数値予測モデルは、例えば全球アンサンブル予測システム、全球モデル、メソモデル、又は局地モデルなどである。また、季節アンサンブル予測システムなどの大気海洋結合モデルを使ってもよい。条件によって異なるモデルを使い分けてもよいし、複数のモデルを組み合わせてもよい。
気象予測記憶部12には、数値予測モデルと気象情報の初期値(過去の気象情報の実績値)が格納されている。気象予測部31は、気象予測記憶部12から、数値予測モデルと初期値を読み出し、気象予測を行う。気象予測部31は気象予測により得られた気象予測値を気象予測記憶部12に格納する。気象予測記憶部12に記憶された気象予測値は、第1の実施形態と同様に結合部16で用いられる。
気象予測部31の動作例として、気象予測部31は、予測対象の地理的範囲(対象エリア)と当該範囲内の地点群、及び予測対象の日時の少なくとも一方に基づき、使用する数値予測モデルの種類を決定する。これらの地理的範囲、地点群、予測対象の日時は、ユーザは、入力装置201を操作して指定してもよい。
気象予測部31は、一例として地理的範囲の大きさ又は地点間の間隔に基づき、数値予測モデルを選択する。例えば、地理的範囲が狭い場合又は地点間の間隔が狭い場合は、狭い格子間隔(高い分解能)に係る数値予測モデルを選択する。例えば、局値モデル又はメソモデルなどを選択する。また、気象予測部31は、一例として、予測対象の日時までの時間長に基づき、数値予測モデルを選択する。例えば、日時として5日後の日時が指定された場合、全球モデルなど、予測期間が長いモデルを選択する。地理的範囲の大きさ又は地点間の間隔と、予測対象の日時との両方に基づき、数値予測モデルのモデル選択を行ってもよい。
数値予測モデルの初期値として、最新の気象値を用いる。最新の気象値は予め気象予測記憶部12に格納しておいてもよいし、気象予測部31が、外部のシステムから取得してもよい。気象予測部31は、初期値に基づき、数値予測モデルによる計算を行う。
気象予測部31は、地点に相当する、数値予測モデルにおける座標を特定する。例えば、数値予測モデルにおける原点に相当する位置の緯度と経度を特定し、地点の緯度と経度を数値予測モデルにおける座標に変換する。次に、上記の数値予測モデルによる計算結果から、各地点に対応する座標に係る気象予測値(気温、降水量等)を取得する。これにより、地点と気象予測値が対応付けされる。気象予測部31は、各地点の気象予測値を気象予測記憶部12に格納する。
気象予測部31は、予測対象の日時について各地点の気象予測値を示す気象予測結果データを、予測結果記憶部23に格納してもよい。出力装置301は、気象予測結果データを読み出して、画面に表示してもよい。
図17は、気象予測結果データの一例を示す。この例では、ある予測対象の日時について、予測対象の地理的範囲を含む範囲について、降水量(Precipitation Tendency)を予測した結果が示されている。
このように、予測装置101に気象予測部を追加することによって、気象予測システムではカバーしていない任意の日時又はエリアの気象予測が可能となる。これにより、当該日時又は任意のエリアにおける電力市場価格の予測を行うことができる。
図18は、図16の予測装置101の動作の一例のフローチャートである。本フローチャートでは、図14のフローチャートのステップS101が、ステップS201に置き換わっている。ステップS201では、気象予測部31が、数値予測モデルを用いて、予測対象の日時における予測対象のエリア内の各地点の気象予測値を算出する。気象予測部31は、算出した各地点の気象予測値を気象予測記憶部12に格納する。ステップS201より後のステップは、図14と同じである。
(第4の実施形態)
実績値取得部13は、実績値管理システム501から電力市場価格とともに市場分断の有無を含む実績データを取得し、取得した実績データを実績値記憶部14に格納する。
図19に、実績データの例を示す。実績データが表形式で格納されている。市場分断フラグが追加されている。“T”は市場分断が有ったこと、“F”は市場分断が無かったことを示す。
予測部21は、予測対象の日時における市場分断の有無を予測する。予測式の例を以下に示す。
Figure 0007210338000008
は、第1の実施形態と同様に選択されたH個の類似度に対応する日の評価時刻における市場分断フラグがTの場合に1、Fの場合に0になる変数である。Wscore_iは、第1の実施形態の式(7)と同様である。すなわち、式(9)は、SCOREによりJの加算平均を計算する。予測部21は、Bの値が、閾値以上であれば、市場分断有を予測し、閾値未満であれば、市場分断無を予測する。閾値は、一例として、0より大きく1より小さい値である。予測部21は、予測した市場分断の有無を示す情報を予測結果記憶部23に格納する。出力装置301は、市場分断の有無を表す情報を予測結果記憶部23から読み出して、画面に表示する。あるいは、加算平均をそのまま市場分断の発生確率として出力してもよい。このように、本実施形態によれば、予測対象の日時における市場分断の有無、もしくは市場分断の発生確率を予測できる。
(ハードウェア構成)
図20に、図1、図13、図15又は図16の予測装置101のハードウェア構成を示す。図1、図13、図15又は図16の予測装置101は、コンピュータ装置600により構成される。コンピュータ装置600は、CPU601と、入力インタフェース602と、表示装置603と、通信装置604と、主記憶装置605と、外部記憶装置606とを備え、これらはバス607により相互に接続されている。
CPU(中央演算装置)601は、主記憶装置605上で、コンピュータプログラムである予測プログラムを実行する。予測プログラムは、予測装置101の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。予測プログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU601が、予測プログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
入力インタフェース602は、キーボード、マウス、およびタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、予測装置101に入力するための回路である。入力インタフェース602は入力装置201に対応する。
表示装置603は、予測装置101から出力されるデータを表示する。表示装置603は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT(ブラウン管)、またはPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置600から出力されたデータは、この表示装置603に表示することができる。表示装置603は出力装置301に対応する。
通信装置604は、予測装置101が外部装置と無線または有線で通信するための回路である。データは、通信装置604を介して外部装置から入力することができる。外部装置から入力したデータを、主記憶装置605や外部記憶装置606に格納することができる。
主記憶装置605は、予測プログラム、予測プログラムの実行に必要なデータ、および予測プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。予測プログラムは、主記憶装置605上で展開され、実行される。主記憶装置605は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。図1、図13、図15又は図16の各記憶部又はデータベースは、主記憶装置605上に構築されてもよい。
外部記憶装置606は、予測プログラム、予測プログラムの実行に必要なデータ、および予測プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらの予測プログラムやデータは、予測プログラムの実行の際に、主記憶装置605に読み出される。外部記憶装置606は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。図1、図13、図15又は図16の各記憶部又はデータベースは、外部記憶装置606上に構築されてもよい。
なお、予測プログラムは、コンピュータ装置600に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、予測プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
また、予測装置101は、単一のコンピュータ装置600により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置600からなるシステムとして構成されてもよい。
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
101:予測装置
201:入力装置
301:出力装置
401:気象予測システム
501:実績値管理システム
11:気象予測取得部
12:気象予測記憶部
13:実績値取得部
14:実績値記憶部
15:カレンダー情報記憶部
16:結合部
17:サンプルデータ記憶部
18:データ抽出部
19:抽出データ記憶部
20:類似度算出部
21:予測部
22:補正部
23:予測結果記憶部
24:制御部
31:気象予測部
31:気象予測部
601:CPU
602:入力インタフェース
603:表示装置
604:通信装置
605:主記憶装置
606:外部記憶装置
607:バス

Claims (18)

  1. 地理的範囲に含まれ地点における複数の第1時刻の気象予測データと、前記地点における第2時刻の気象予測データとに基づき、前記第1時刻の気象予測データごとに、前記第2時刻の前記気象予測データに対する類似度を算出する類似度算出部と、
    前記地理的範囲における前記複数の第1時刻の実績値を、複数の前記類似度で加重平均することにより、前記第2時刻の予測値を算出する予測部と
    を備えた情報処理装置
  2. 前記類似度算出部は、前記第2時刻と、前記複数の第1時刻との複数の差分を計算し、前記複数の差分に基づき、前記第1時刻の気象予測データごとの前記類似度を算出する
    請求項1に記載の情報処理装置
  3. 前記第1時刻の前記気象予測データは複数の気象予測値を含み、
    前記第2時刻の前記気象予測データは複数の気象予測値を含み、
    前記類似度算出部は、前記第2時刻の前記気象予測データの前記複数の気象予測値と、前記第1時刻の前記気象予測データの前記複数の気象予測値との差分を、複数の第1重みにより重み付け合計することにより前記第1時刻ごとの前記気象予測データのスコアを計算し、複数の前記スコアの合計に対する各スコアの比率に基づき、前記複数の第1時刻の第1気象予測データごとの前記類似度を算出する
    請求項1又は2に記載の情報処理装置
  4. 前記第2時刻と、前記複数の第1時刻とは、異なる日の同じ時刻であり、
    前記同じ時刻に応じた第2重みを、前記第2時刻と前記第1時刻との前記差分に乗じ乗算値にさらに基づき、前記類似度を算出する
    請求項2を引用する、請求項3に記載の情報処理装置
  5. 前記複数の第1時刻の複数の気象予測値と、前記第2時刻の複数の気象予測値とを格納した気象予測記憶部を備え、
    前記類似度算出部は、複数の気象予測値のうち使用する1つ以上の気象予測値を選択することを示した類似度尺度条件に基づき、前記複数の第1時刻の前記複数の気象予測値のうち1つ以上の気象予測値を特定し、前記第2時刻の前記複数の気象予測値のうち1つ以上の気象予測値を特定し、
    前記複数の第1時刻の前記特定された気象予測値を前記第1時刻の前記気象予測データとし、前記第2時刻の前記特定された気象予測値を前記第2時刻の前記気象予測データとする
    請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置
  6. 前記複数の第1時刻の前記気象予測データのうち、データ抽出条件を満たす前記気象予測データを抽出するデータ抽出部を備え、
    前記類似度算出部は、抽出された前記気象予測データを用いる
    請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置
  7. 前記データ抽出部は、前記複数の第1時刻に対するカレンダー情報に基づき、前記データ抽出条件を満たす前記第1時刻の前記気象予測データを抽出する
    請求項6に記載の情報処理装置
  8. 前記第2時刻の実績値を外部のシステムから取得する実績取得部と、
    前記類似度尺度条件の値を変更して、前記第2時刻の前記予測値を算出することを繰り返し、
    前記実績値との差分が閾値以下の又は最も小さい前記予測値が得られた前記類似度尺度条件の値を特定し、
    前記類似度算出部は、前記特定した値により前記類似度尺度条件を更新する、制御部と、
    を備えた請求項に記載の情報処理装置
  9. 前記第2時刻の実績値を外部のシステムから取得する実績取得部と、
    前記データ抽出条件の値を変更して、前記第2時刻の前記予測値を算出することを繰り返し、
    前記実績値との差分が閾値以下の又は最も小さい前記予測値が得られた前記データ抽出条件の値を特定し、
    前記類似度算出部は、前記特定した値により前記データ抽出条件を更新する、制御部と
    を備えた請求項6に記載の情報処理装置
  10. 前記予測部は、複数の前記類似度のうち上位H個の類似度を特定し、前記H個の類似度と、前記H個の類似度が特定された前記第1時刻の前記実績値とを用いて、前記第2時刻の予測値を算出し、前記Hは2以上の整数である
    請求項1~のいずれか一項に記載の情報処理装置
  11. 予測値の補正モデルに基づき、前記第2時刻の前記予測値を補正する補正部
    を備えた請求項1~10のいずれか一項に記載の情報処理装置
  12. 前記予測部は、前記複数の第1時刻の予測値と、前記複数の第1時刻の前記類似度に基づき、予測値の統計情報を生成する
    請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置
  13. 前記予測部は、前記統計情報の時間推移を表すグラフと、前記第2時刻の予測値の時間推移を表すグラフとを生成する
    請求項12に記載の情報処理装置
  14. 前記予測値を表示する出力装置
    を備えた請求項1~13のいずれか一項に記載の情報処理装置
  15. 前記実績値は、電力市場価格の実績値であり、
    前記予測値は、前記電力市場価格の予測値である、
    請求項1~14のいずれか一項に記載の情報処理装置
  16. 前記予測部は、複数の前記類似度と、前記地理的範囲における前記複数の第1時刻の市場分断有無の情報とに基づき、前記第2時刻の市場分断の有無を予測する
    請求項15に記載の情報処理装置
  17. 地理的範囲に含まれ地点における複数の第1時刻の気象予測データと、前記地点における第2時刻の気象予測データとに基づき、前記第1時刻の気象予測データごとに、前記第2時刻の前記気象予測データに対する類似度を算出するステップと、
    前記地理的範囲における前記複数の第1時刻の実績値を、複数の前記類似度で加重平均することにより、前記第2時刻の予測値を算出するステップと
    をコンピュータが実行する情報処理方法。
  18. 地理的範囲に含まれ地点における複数の第1時刻の気象予測データと、前記地点における第2時刻の気象予測データとに基づき、前記第1時刻の気象予測データごとに、前記第2時刻の前記気象予測データに対する類似度を算出するステップと、
    前記地理的範囲における前記複数の第1時刻の実績値を、複数の前記類似度で加重平均することにより、前記第2時刻の予測値を算出するステップと
    をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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