JP7311270B2 - スケジューリングシステム、スケジュール生成装置、および選好値計算装置、プログラム、並びにこれらの方法 - Google Patents

スケジューリングシステム、スケジュール生成装置、および選好値計算装置、プログラム、並びにこれらの方法 Download PDF

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Description

本発明は、スケジューリングシステム、スケジュール生成装置、および選好値計算装置、並びにこれらの方法に関し、より具体的には、複数の工程を含むプロセスに関するスケジュールを生成するスケジューリング技術に関する。
生産現場では、限られた設備で指定された要求期間内に指定された製品を生産するために、製品の生産プロセスに含まれる複数の工程を、任意の設定期間に設けられた複数の区間のいずれかに割り当てるスケジューリングが行われている。
生産計画者によるスケジューリングでは、人力で全区間に対して割り当てる工程を一度に決定するのが難しい。このため、特定の区間ごとに生産計画者の選好にしたがって工程を仮配置したあとで、全区間のスケジュールが納期などの要求を満たすか評価を行い、最終的なスケジュールを決定する手法が多くの場面で使われてきた。しかし、人力によるスケジューリングでは、スケジュール完成までに工数がかかるためアルゴリズムによる自動化が進められてきた。
従来、スケジューリングの自動化に関する技術として、全体の制約式を満たした上でスケジュール全体の評価値が良くなるように生成を繰り返す手法(例えば、特許文献1など参照)や、工程間の製品優先度などの狭義のルールを積み重ねて生成する手法(例えば、特許文献2など参照)が提案されている。
特開平11-143938号公報 特開2011-159230号公報 特開2011-221714号公報
藤井聡、「『選好形成』について-ハイデガーの現象学的存在論に基づく考察-」、感性工学 9巻 4号: PP. 217-225 2010、日本感性工学会 佐藤浩ほか、「遺伝的アルゴリズムにおける世代交代モデルの提案と評価」、人工知能学会誌 Vol. 12 No. 5 PP. 734-744 Sept. 1997、人工知能学会
このような従来技術によるスケジューリングの自動化に関する技術は、スケジュールの自動生成を可能とするが、そのためにはスケジュールが満たすべき制約やルールを事前に定式化する必要がある。実際にスケジュールが実行される生産現場の状況は多岐にわたるため、それぞれの生産現場の状況に合わせて定式化するのは専門的で難しく、運用可能となるまで多くの時間を要するという問題点があった。
また、一般的には、生産計画者が生成したスケジュールと、アルゴリズムが生成したスケジュールの差異が小さい方が、アルゴリズムの導入が容易になるため、定式化時には従来の模範とする生産計画者の選好を取り入れることが好ましい。選好とは、複数の選択肢における好みを表すものであり、例えば非特許文献1には選好が形成される過程について述べられている。選好は、例えばマーケティング分野であれば、「新商品」と「ロングセラー商品」のどちらかのモノを好むか、また経営分野であれば、「既存事業投資」と「事業開拓投資」のどの戦略を好むかなど、幅広い分野で使われる一般的な表現である。スケジューリングにおいて、選好は、区間に対する工程の割り当て時の重要にファクタとなる。なお、本発明でいう模範とは、優れているという意味に限定されるものではなく、単に手本、見本、モデルという意味を指している。
従来、生産計画者の選好を「段取り時間」など別の項目に変換して、スケジュール全体の評価値へ組み込んで考慮する、という手法が提案されている(例えば、特許文献3など参照)。しかしながら、生産現場のような状況が動的に変化する場所において、別項目に変換された生産計画者の選好に関する実データを正確に収集することは容易ではないため、このような手法では模範とする生産計画者の選好を模範として十分に取り入れることが難しいという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、模範となる生産計画者の選好に沿ったスケジュールを自動生成できるスケジューリング技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるスケジューリングシステムは、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジューリングシステムであって、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、予め設定されている選好項目ごとに演算する選好値計算装置と、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれの選ばれやすさを、前記選好項目ごとの前記模範選好値に沿った確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、1または複数のスケジュールを生成するスケジュール生成装置とを備えている。
また、本発明にかかる上記スケジューリングシステムの一構成例は、前記選好値計算装置が、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、複数の仮選好値セットに基づいて生成した複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとの類似度が最も高くなるものを最良選好値セットとして選択し、前記最良選好値セットを構成する予め設定されている選好項目ごとの各選好値を前記模範選好値として推定し、前記スケジュール生成装置は、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれについて前記模範選好値と割り当て済み工程との配置関係に基づいて選ばれやすさの度合を確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、前記スケジュールを生成するようにしたものである。
また、本発明にかかるスケジュール生成装置は、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジュール生成装置であって、予め設定されている選好項目ごとに、模範とする模範スケジュールから演算された前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を記憶する記憶部と、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれについて前記模範選好値と割り当て済み工程との配置関係に基づいて選ばれやすさの度合を確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、1または複数のスケジュールを生成する演算処理部とを備えている。
また、本発明にかかる選好値計算装置は、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てた模範スケジュールから、予め設定された選好項目ごとに模範選好値を演算する選好値計算装置であって、前記模範選好値は、予め設定されている前記選好項目ごとに前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す値からなり、複数の仮選好値セットに基づいて生成した複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとを記憶する記憶部と、前記複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとの類似度が最も高くなるものを最良選好値セットとして選択し、前記最良選好値セットを構成する各選好値を前記模範選好値として推定する演算処理部とを備えている。
また、本発明にかかるプログラムは、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジューリングシステムのコンピュータに以下のステップを実行させるプログラムであって、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、予め設定されている選好項目ごとに演算する選好値計算ステップと、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれの選ばれやすさを、前記選好項目ごとの前記模範選好値に沿った確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、1または複数のスケジュールを生成するスケジュール生成ステップとを備えている。
また、本発明にかかる上記プログラムの一構成例は、前記選好値計算ステップが、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、複数の仮選好値セットに基づいて生成した複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとの類似度が最も高くなるものを最良選好値セットとして選択し、前記最良選好値セットを構成する予め設定されている選好項目ごとの各選好値を前記模範選好値として推定するステップを含み、前記スケジュール生成ステップは、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれについて前記模範選好値と割り当て済み工程との配置関係に基づいて選ばれやすさの度合を確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、前記スケジュールを生成するステップを含んでいる。
また、本発明にかかる他のプログラムは、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジュール生成装置のコンピュータに以下のステップを実行させるプログラムであって、予め設定されている選好項目ごとに、模範とする模範スケジュールから演算された前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を予め記憶する記憶ステップと、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれについて前記模範選好値と割り当て済み工程との配置関係に基づいて選ばれやすさの度合を確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、1または複数のスケジュールを生成するスケジュール生成ステップと備えている。
また、本発明にかかる他のプログラムは、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てた模範スケジュールから予め設定された選好項目ごとに模範選好値を演算する選好値計算装置のコンピュータに以下のステップを実行させるプログラムであって、前記模範選好値は、予め設定されている前記選好項目ごとに前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す値からなり、複数の仮選好値セットに基づいて生成した複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとを予め記憶する記憶ステップと、前記複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとの類似度が最も高くなるものを最良選好値セットとして選択し、前記最良選好値セットを構成する各選好値を前記模範選好値として推定する模範選好値計算ステップとを備えている。
また、本発明にかかるスケジューリング方法は、計算機システムが、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジューリング方法であって、前記計算機システムが、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、予め設定されている選好項目ごとに演算する選好値計算ステップと、前記計算機システムが、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれの選ばれやすさを、前記選好項目ごとの前記模範選好値に沿った確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、1または複数のスケジュールを生成するスケジュール生成ステップとを備えている。
また、本発明にかかる上記スケジューリング方法の一構成例は、前記選好値計算ステップが、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、複数の仮選好値セットに基づいて生成した複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとの類似度が最も高くなるものを最良選好値セットとして選択し、前記最良選好値セットを構成する予め設定されている選好項目ごとの各選好値を前記模範選好値として推定するステップを含み、前記スケジュール生成ステップは、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれについて前記模範選好値と割り当て済み工程との配置関係に基づいて選ばれやすさの度合を確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、前記スケジュールを生成するステップを含んでいる。
また、本発明にかかるスケジュール生成方法は、計算機システムが、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジュール生成方法であって、前記計算機システムが、予め設定されている選好項目ごとに、模範とする模範スケジュールから演算された前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を予め記憶する記憶ステップと、前記計算機システムが、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれについて前記模範選好値と割り当て済み工程との配置関係に基づいて選ばれやすさの度合を確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、1または複数のスケジュールを生成するスケジュール生成ステップとを備えている。
また、本発明にかかる選好値計算方法は、計算機システムが、事前に定義された順序にしたがって複数の工程をそれぞれ複数の区間のいずれかに割り当てた模範スケジュールから、予め設定された選好項目ごとに模範選好値を演算する選好値計算方法であって、前記模範選好値は、予め設定されている前記選好項目ごとに前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す値からなり、前記計算機システムが、複数の仮選好値セットに基づいて生成した複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとを予め記憶する記憶ステップと、前記計算機システムが、前記複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとの類似度が最も高くなるものを最良選好値セットとして選択し、前記最良選好値セットを構成する各選好値を前記模範選好値として推定する模範選好値計算ステップとを備えている。
本発明によれば、模範となる生産計画者の選好が選好項目ごとに模範選好値として数値化され、この模範選好値が与えられた確率モデルに基づいて、各区間で実行する工程が順次選択されて、一連のスケジュールが生成されることになる。したがって、スケジュールが満たすべき制約やルールを予め人が定式化することなく、模範となる生産計画者の選好に沿ったスケジュールを自動生成することが可能となる。
図1は、第1の実施の形態にかかるスケジューリングシステムの構成を示すブロック図である。 図2は、生産プロセスに関するオーダーと設備に関する規定例を示す説明図である。 図3は、生産プロセスに関する工程を規定する工程データの構成例を示す説明図である。 図4は、生産プロセスに関する模範選好値の構成例を示す説明図である。 図5は、生産プロセスに関する対象スケジュールの構成例を示す説明図である。 図6は、生産プロセスに関する模範スケジュールの構成例を示す説明図である。 図7は、スケジュール生成処理を示すフローチャートである。 図8は、スケジュール生成処理を示す説明図である。 図9は、確率モデル作成処理を示す説明図である。 図10は、選好値計算処理を示すフローチャートである。 図11は、模範出現回数の検出例を示す説明図である。 図12は、基準選好値の設定例を示す説明図である。 図13は、基準スケジュールの生成例を示す説明図である。 図14は、模範出現回数の検出例を示す説明図である。 図15は、選好比率の計算例を示す説明図である。 図16は、確率分布の生成例を示す説明図である。 図17は、仮選好値セットの選択例を示す説明図である。 図18は、第2の実施の形態にかかる運搬システムを示す説明図である。 図19は、運搬プロセスに関するオーダーと設備に関する規定例を示す説明図である。 図20は、積み降ろし工程を規定する工程データの構成例を示す説明図である。 図21は、運搬プロセスに関する模範選好値の構成例を示す説明図である。 図22は、運搬プロセスに関する模範スケジュールの構成例を示す説明図である。 図23は、運搬プロセスに関する基準スケジュールの構成例を示す説明図である。 図24は、運搬プロセスに関する対象スケジュールの構成例を示す説明図である。 図25は、第3の実施の形態にかかるスケジューリングシステムの構成を示すブロック図である。
[本発明の原理]
まず、本発明の原理について説明する。実際に作業を実行する生産現場は、オーダー内容、設備数、作業者数など、プロセスに係わる状況が動的に変化するため、このような動的変化をスケジューリングに反映させることが重要となる。状況が動的に変化して予測が難しい環境下で最適な意志決定を行う場合、固定的なアルゴリズムで対応することは極めて難しく、確率分布を用いたより柔軟な確率モデルが必要となる。一方、指定されたオーダーを要求期間内に完了するというような各種制約を充足し、かつ、スケジュールに対する一定の評価基準を満足するためには、模範となる生産計画者の選好をスケジューリングに反映させることが重要となる。
一般に、スケジュールは、事前に定義された順序にしたがって、複数の工程を、それぞれ複数の区間のいずれかに割り当てたものである。このようなスケジューリングの処理内容を具体的に考察すると、生産計画者の選好とは、任意の設定期間を分割して設けた各区間(時間区間)に、オーダーのプロセスを構成する各工程を割り当てる際、複数の選択肢の中から生産計画者の好みに応じた工程を割り当てることであり、具体的には選好の偏りとして捉えられることがわかった。
また、選好の偏りをより具体的に考察すると、選好の偏りには、生産計画者のスケジューリングにおける観点に応じて複数の選好項目が存在しており、生産計画者が重要視する度合もこれら選好項目ごとに異なることがわかった。
本発明は、このような生産計画者の選好の偏りと確率モデルとに着目し、模範となる生産計画者が予め生成した模範スケジュールに基づいて、模範となる生産計画者の選好を選好項目ごとに数値化した模範選好値を予め推定しておき、得られた模範選好値を考慮した確率モデルに基づいて各区間で実行する工程を順次選択することにより、一連のスケジュールを生成するようにしたものである。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるスケジューリングシステム1について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるスケジューリングシステムの構成を示すブロック図である。
このスケジューリングシステム1は、N(Nは2以上の整数)個のオーダーについて、それぞれ対応するN個のプロセスを構成するそれぞれの工程を、区間ごとにM(MはN以下の整数)個以下で並列的に実行することにより、N個のプロセスを要求期間内に完了するためのスケジュールとして、指定された実行順序にしたがって各工程を各区間に割り当てたスケジュールを生成するシステムである。
図1に示すように、スケジューリングシステム1は、通信回線Lを介して接続された、スケジュール生成装置10と選好値計算装置20とから構成されている。本実施の形態では、通信回線Lを介して1つの選好値計算装置20に1つのスケジュール生成装置10を接続した構成を例として説明するが、これに限定されるものではない。通信回線Lを介して1つの選好値計算装置20に複数のスケジュール生成装置10を接続した構成であってもよい。これにより、1つの選好値計算装置20により、複数のスケジュール生成装置10で用いる候補選好値をそれぞれ推定でき、複数の独立したスケジューリングシステムを別個に構築する場合と比較してシステム全体の構成を大幅に簡素化できる。
スケジュール生成装置10は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、通信回線Lを介して選好値計算装置20から取得した模範選好値に基づいて、予め対象状況データで指定されたオーダーを要求期間内で完了するための対象スケジュールを生成する装置である。
選好値計算装置20は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、予め与えられた模範となる模範スケジュールから、模範スケジュールの生成時に用いられた、各区間に対する各工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、予め設定された選好項目ごとに推定する装置である。
[スケジュール生成装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるスケジュール生成装置10の構成について詳細に説明する。
スケジュール生成装置10は、主な構成として、通信I/F部11、操作入力部12、画面表示部13、記憶部14、および演算処理部15を備えており、内部バスB1を介して相互にデータやり取り可能に接続されている。
通信I/F部11は、通信回線Lを介して選好値計算装置20や外部装置(図示せず)との間でデータ通信を行う回路部である。
操作入力部12は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出する装置である。
画面表示部13は、LCDなどの画面表示装置からなり、メニュー画面、設定画面、対象状況データ入力画面、対象スケジュール表示画面など、各種の処理画面を画面表示する装置である。
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、スケジュール生成装置10で実行するスケジュール生成処理で用いるプログラム14Pや各種の処理データを記憶する回路部である。
プログラム14Pは、演算処理部15のCPUと協働することにより各種の処理部を実現するプログラムであり、スケジュール生成装置10に接続された外部装置や記録媒体から読み出されて記憶部14へ予め格納される。なお、プログラム14Pについては、処理を実行する時点で、通信回線Lを介して外部装置や記録媒体から取得して記憶部14へ格納するようにしてもよい。
記憶部14で記憶する主な処理データとして、対象状況データ14A、模範選好値14B、および対象スケジュール14Cがある。
対象状況データ14Aは、対象スケジュール14Cの生成に適用されるべき、対象となるプロセスに係わる状況、例えばオーダー内容、設備数、作業者数など、スケジュールが満たすべき制約やルールなどのスケジュール生成条件を規定したデータであり、操作入力部12や通信回線Lに接続された外部装置から予め入力される。
図2は、生産プロセスに関するオーダーと設備に関する規定例を示す説明図である。対象状況データ14Aには、図2に示すようなオーダーと設備を規定するオーダーデータが含まれている。このオーダーデータでは、生産する製品とオーダー数(生産個数)、および生産を完了すべき要求期間(納期)が規定されている。
図2の例では、2種類の製品V1,V2のオーダー数がそれぞれ4個と6個で、全部で10個(N=10)の製品を要求期間20日間内に生産する必要があること、および、設備(作業者)が3つ(M=3)で並列的に独立して作業可能であることが規定されている。なお、理解を容易とするため、全設備(全作業者)がすべての工程を実施可能であり、すべての区間において稼働可能であるものとする。
図3は、生産プロセスに関する工程を規定する工程データの構成例を示す説明図である。対象状況データ14Aには、図3に示すようなプロセスを構成する工程を規定する工程データが含まれている。工程データは、プロセスで生成する製品種別ごとに、各区間で実行すべき工程を実行順でリスト化したものである。ここでは、理解を容易とするため、1つの区間長が1日に相当する場合を例として示されているが、これに限定されるものではなく、1時間や1週間など、プロセス内容に応じて他の時間長を用いてもよい。また、製品種別の数は2つに限定されるものではなく、1つであっても3つ以上であってもよい。
図3の例では、製品V1は、少なくとも7つの区間で工程11,工程12,工程13,工程14,工程15,工程16,工程77を順に実行することにより生成されることが規定されている。また、製品V2は、少なくとも6つの区間で工程21,工程22,工程24,工程25,工程26,工程77を順に実行することにより生成されることが規定されている。
本実施の形態では、対象状況データ14Aにおいて、工程に関し以下のような工程条件が規定されているものとする。
1.各工程は実行順序に従うものとは、工程飛ばしは不可とする。
2.各工程の実行区間は不連続でもよい。
3.工程77は設備不要であるが、他の工程は設備を必要とする。
4.工程77は、製品V1,V2の両方で同じ内容の作業を実行する。
5.工程77は、1区間で異なる2オーダーに関する作業を並列実行可能である。
本発明において、工程とは、モノを完成させるにあたって、対象物に変化を与えることを指す。製造の場合、大別すると加工・運搬・検査・停滞に相当し、具体的には切り抜き・組立などがある。また本発明において、プロセスとは、あるモノを作るシステムにおいて、対象が完成するまでのすべての工程を繋げたものを指す。また本発明において、オーダーとは、顧客からの受注(要求)を元に、現場へと出される指示を指す。オーダーには、少なくとも、基本的なオーダーデータとして、識別用のオーダーID、何を(What)・何時までに(When)・どれぐらい(How many)完成させるのかが記載される。実際のオーダーデータは現場によって多様で、例えば、製造現場で出荷先を分ける必要がある場合だと、何処へ(Where)が含まれる場合もある。
なお、本実施の形態では、理解を容易とするため、オーダー数とプロセス数が等しい場合を例として説明するが、これに限定されるものではない。本発明は、オーダー数とプロセス数が異なる場合にも対応することができる。
模範選好値14Bは、予め設定されている各選好項目に関する、区間に対する工程の割り当てに関する模範となる選好の度合を示すデータである。図4は、生産プロセスに関する模範選好値の構成例を示す説明図である。図4の例では、選好項目として、「工程同一」、「オーダー同一」、および「種別同一」が用いられており、それぞれの模範選好値として「50」,「80」,「30」が設定されている。
一般に、スケジューリングでは、各区間で実行可能な工程数は、設備(作業者)の数Mが上限となり、オーダーの数NがMより大きい場合を扱う。したがって、ある区間tですべてのオーダーに関する工程を並列的に実行できないため、区間tにおいて、いずれのオーダーの工程を実際に実行するかを選択する必要がある。模範選好値14Bは、工程を選択する際の模範となる選好の度合を示している。
選好項目は、区間tと、これ以前の先行区間t’との間における工程の割当状況を評価する項目を示しており、それぞれの模範選好値は、これら選好項目間における相対的な適用の度合を示している。先行区間t’は、区間t以前の区間、すなわち区間1~区間t-1までの各区間の全部またはその一部からなる。
選好項目のうち、「工程同一」は、区間tにおいて各オーダーに対して仮に割り当てたN個の工程と、先行区間t’で実際に割り当てたM個の工程とで、同じ工程が存在しているか否かを評価する項目である。区間tと同じ工程が先行区間t’に1つ存在していれば、「工程同一」が1つ適用されていると評価される。
また「オーダー同一」は、N個の工程とM個の工程とで、同じオーダーの工程が存在しているか否かを評価する項目である。区間tと同じオーダーの工程が先行区間t’に1つ存在していれば、「オーダー同一」が1つ適用されていると評価される。
また「種別同一」は、N個の工程とM個の工程とで、オーダーに関係なく同じ製品種別の工程が存在しているか否かを評価する項目である。区間tと同じ製品種別の工程が先行区間t’に1つ存在していれば、「種別同一」が1つ適用されていると評価される。
対象スケジュール14Cは、対象状況データ14Aと模範選好値14Bとに基づいて生成したスケジュールである。図5は、生産プロセスに関する対象スケジュールの構成例を示す説明図である。図5には、A~Jの10個のオーダーごとに、区間1~20にそれぞれの製品種別のプロセスを構成する工程を割り当てたスケジュールが示されている。
図5において、例えばオーダーAについては、区間12,13,14,15,16,19,20で工程11~16,77を順に実行することを示しており、オーダーEについては、区間3,4,6,7,8,9で工程21~26,77を順に実行することを示している。
各区間において、並列的に実行される工程は3つであり、設備数Mと一致している。なお、工程77については2つを1工程として実行可能であるため、区間9,10,12において2つずつ1工程として実行されており、区間20では4つが2工程として実行されている。
演算処理部15は、CPUとその周辺回路からなり、CPUとプログラム14Pとが協働することにより、運転監視処理を行う各種の処理部を実現する回路部である。
演算処理部15で実現される主な処理部として、データ取得部15A、候補工程抽出部15B、選好適用検出部15C、確率モデル作成部15D、およびスケジュール生成部15Eを備えている。
データ取得部15Aは、スケジュールの生成を開始する前に、通信I/F部11から通信回線Lを介して選好値計算装置20へアクセスし、選好値計算装置20で生成された模範選好値14B(24C)を取得して記憶部14へ保存する処理部である。これにより、記憶部14には、図4で説明した模範選好値14Bが保存されることになる。
候補工程抽出部15Bは、要求期間を分割して得られた区間ごとに、当該区間tにおいてN個のオーダーのプロセスで実行すべきN個の候補工程を、当該プロセスを構成する各工程の実行順序にしたがって抽出する処理部である。
この際、候補工程抽出部15Bは、N個のすべてのオーダーごとに候補工程を1つずつ抽出する。例えば、オーダーAに関するプロセスで先行区間t’で工程14が実行された場合、続く区間tでは、図3で説明した製品V1の工程実行順序に基づき工程14の次の工程15が候補工程として抽出される。
選好適用検出部15Cは、候補工程抽出部15Bにより抽出した区間tのN個の候補工程とこれらN個の候補工程の直前に実行したM個の実工程とを比較することにより、予め設定されている選好項目ごとに、N個の候補工程に対する当該選好項目の適用状況を検出する処理部である。
前述したように、例えば選好項目「工程同一」については、区間tのN個の工程と、区間t以前の先行区間t’で実行したM個の工程とで、同じ工程が存在しているか否かが検出される。区間tと同じ工程がM個の工程に1つ存在していれば、「工程同一」が1つ適用ありと評価される。
確率モデル作成部15Dは、選好適用検出部15Cで得られた適用状況と、記憶部14の選好項目に関する模範選好値14Bとから計算した選好項目の適用度合に基づいて、区間tに関する、N個の候補工程のそれぞれの選択確率を示す確率モデルを作成する処理部である。
この際、確率モデル作成部15Dは、選好項目ごとに、適用状況に含まれる当該選好項目適用回数と模範選好値とを乗算して適用度合を計算する。例えば、オーダーAにおける選好項目「工程同一」の適用回数が「3」で「工程同一」の模範選好値が「50」である場合、「工程同一」の適用度合は、「150(=50×3)」と計算される。なお、(製造が完了したなどの理由により)候補工程がない場合は、当該オーダーが選択されないように基準選択値を「0」にする。
また、確率モデル作成部15Dは、これら適用度合を区間tに関するN個の候補工程ごとに合計し、得られたN個の合計値をN個の候補工程のそれぞれの比重とした、当該区間tに関する、ルーレット方式(適応度比例方式)に基づいた確率モデルを作成する。例えば、オーダーEの候補選択に関する合計適用度合が「180」であり、すべてのオーダーの候補選択に関する合計適用度合の全体合計が「1030」である場合、オーダーEの候補選択に関する選択確率は、「17.48%(=180/1030)」と計算される。
スケジュール生成部15Eは、区間ごとに、確率モデル作成部15Dで作成した当該区間tに関する確率モデルに基づいて、当該区間tで実際に実行するM個の工程を選択することにより、オーダーの各工程を各区間のいずれかに割り当てた対象スケジュール14Cを生成して記憶部14へ保存する処理部である。
この際、スケジュール生成部15Eは、区間tで実際に実行するM個の工程を選択する際、当該区間tに関する確率モデルに基づいて、当該区間tにおけるN個の候補工程のうちから、M個の工程をルーレット選択により選択する。これにより、オーダーEの候補選択に関する選択確率が「17.48%」である場合、区間tにおいてオーダーEの候補工程は、各選好項目に関する模範選好値14Bに基づいて、「17.48%」の確率で選択されて割り当てられることになる。
[選好値計算装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる選好値計算装置20の構成について詳細に説明する。
選好値計算装置20は、主な構成として、通信I/F部21、操作入力部22、画面表示部23、記憶部24、および演算処理部25を備えており、内部バスB2を介してデータやり取り可能に接続されている。
通信I/F部21は、通信回線Lを介してスケジュール生成装置10や外部装置(図示せず)との間でデータ通信を行う回路部である。
操作入力部22は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出する装置である。
画面表示部23は、LCDなどの画面表示装置からなり、メニュー画面、設定画面、模範状況データ入力画面、模範スケジュール入力画面、模範選好値表示画面など、各種の処理画面を画面表示する装置である。
記憶部24は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、選好値計算装置20で実行する選好値計算処理で用いるプログラム24Pや各種の処理データを記憶する回路部である。
プログラム24Pは、演算処理部25のCPUと協働することにより各種の処理部を実現するプログラムであり、選好値計算装置20に接続された外部装置や記録媒体から読み出されて記憶部24へ予め格納される。なお、プログラム24Pについては、処理を実行する時点で、通信回線Lを介して外部装置や記録媒体から取得して記憶部24へ格納するようにしてもよい。
記憶部24で記憶する主な処理データとして、模範状況データ24A、模範スケジュール24B、模範選好値24C、および基準選好値24Dがある。
模範状況データ24Aは、模範スケジュール24Bの生成に適用された、対象となるプロセスに係わる状況、例えばオーダー内容、設備数、作業者数など、模範スケジュールが満たすべき制約やルールなどのスケジュール生成条件を規定したデータであり、操作入力部22や通信回線Lに接続された外部装置から予め入力される。模範状況データ24Aには、図2のオーダーデータや図3の工程データ、さらには前述した工程条件が含まれているが、対象状況データ14Aと同様であり、ここでの説明は省略する。
模範スケジュール24Bは、模範状況データ24Aと模範となる生産計画者の選好とに基づいて生成されたスケジュールである。図6は、生産プロセスに関する模範スケジュールの構成例を示す説明図である。図6には、A~Jの10個のオーダーごとに、区間1~20にそれぞれの製品種別のプロセスを構成する工程を割り当てた模範とするスケジュールが示されている。
模範スケジュール24Bについては、人が実際に生成したスケジュールに限定されるものではなく、任意のスケジューリングシステムやスケジュール生成装置で生成した模範となるスケジュールを用いてもよい。
また、模範スケジュール24Bの生成に用いた模範状況については、スケジューリングの対象となる対象状況と完全一致している必要はなく、同じプロセスを用いて同じ製品を生産するスケジュール、すなわち対象スケジュールの生成に有用な模範選好値が得られるスケジュールであればよい。
模範選好値25Cは、模範となる模範スケジュール24Bと類似するスケジュールを生成する、複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す選好値である。この模範選好値25Cは、模範選好値推定部25Dにより生成されて記憶部14に保存され、スケジュール生成装置10におけるスケジュール生成時に用いられる。
基準選好値24Dは、予め記憶部14に設定される、基準スケジュールの生成時に用いられる選好値であり、選好項目の間で等しい値、例えば「0」が予め設定されている。
演算処理部25は、CPUとその周辺回路からなり、CPUとプログラム24Pとが協働することにより、運転監視処理を行う各種の処理部を実現する回路部である。
演算処理部25で実現される主な処理部として、選好出現検出部25A、選好比率計算部25B、仮選好値セット生成部25C、模範選好値推定部25D、および配信処理部25Eを備えている。
選好出現検出部25Aは、記憶部24から取得した模範となる模範スケジュール24Bから、予め設定された選好項目ごとに、各区間の工程における当該選好項目の出現状況を検出する処理部である。
この際、選好出現検出部25Aは、模範スケジュール24Bの区間ごとに、当該区間tの工程と先行区間t’の工程とを比較して、選好項目ごとに当該選好項目の出現回数を模範出現回数として検出する。
また、選好出現検出部25Aは、模範スケジュール24Bに関する模範状況データ24Aと、選好項目の間で等しい値、例えば「0」を示す所定の基準選好値とに基づいて基準スケジュールを生成し、基準スケジュールの区間ごとに、当該区間tの工程と先行区間t’の工程とを比較して、選好項目ごとに当該選好項目の出現回数を基準出現回数として検出する。
基準スケジュールの生成については、スケジュール生成装置10で説明した、対象状況データ14Aと模範選好値14Bとを用いた対象スケジュールの生成と同じ手法で生成できる。この際、対象状況データ14Aに代えて模範状況データ24Aを用い、模範選好値14Bに代えて基準選好値を用いればよい。
具体的には、まず、区間tにおいてN個のオーダーのプロセスで実行すべきN個の候補工程を、模範状況データ24Aで規定された当該プロセスを構成する各工程の実行順序にしたがって抽出する(候補工程抽出部)。
次に、先行区間t’で実行したM個の実工程とを比較することにより、予め設定されている選好項目ごとに、N個の候補工程に対する適用状況を検出する(選好適用検出部)。続いて、得られた適用状況と基準選好値とから計算した選好項目の適用度合に基づいて、区間tに関する確率モデルを作成する(確率モデル作成部)。その後、区間ごとに、当該区間tにおける確率モデルに基づいて、当該区間tで実際に実行するM個の工程を選択することにより、オーダーの各工程を区間のそれぞれに割り当てた基準スケジュールを生成する(スケジュール生成部)。
模範スケジュール24Bや基準スケジュールからの出現回数の検出については、前述したように、例えば選好項目「工程同一」については、区間tのN個の工程と、先行区間t’のM個の工程とで、同じ工程が存在しているか否かが検出される。区間tと同じ工程が先行区間t’に1つ存在していれば、「工程同一」が1回出現ありと評価される。
選好比率計算部25Bは、選好出現検出部25Aで得られた出現状況に基づいて、模範スケジュールに関する選好項目の出現度合の比を示す選好比率を計算する処理部である。
この際、選好比率計算部25Bは、選好項目ごとに、当該選好項目の模範出現回数を各区間で合計して模範出現回数合計を計算するとともに、当該選好項目の基準出現回数を各区間で合計して基準出現回数合計を計算し、選好項目ごとに、模範出現回数合計と基準出現回数合計との比を選好比率として計算する。
例えば、選好項目「工程同一」に関する模範出現回数合計が「234」であり、基準出現回数合計が「84」である場合、選好項目「工程同一」に関する選好比率は、「2.79(=234/84)」として計算される。
仮選好値セット生成部25Cは、選好比率計算部25Bで計算した選好比率に応じた確率分布に基づいて、選好項目に関する仮の選好値の組からなる、複数の仮選好値セットを生成する処理部である。
この際、仮選好値セット生成部25Cは、選好項目ごとに、当該選好項目の選好比率に応じた平均値と基準となる標準偏差とを有する正規分布からなる確率分布を生成し、これら確率分布に基づいて選好項目に関する仮の選好値の組からなる、複数の仮選好値セットを生成する。
確率分布の生成については、例えば標準偏差が「500」で平均値が「500」の正規分布を予め用意しておき、この正規分布の平均値「500」に選好項目「工程同一」に関する選好比率「2.79」を乗算することにより、標準偏差が「500」で新たな平均値「1395」を有する確率分布を生成すればよい。
仮選好値セットの生成については、選好項目ごとに、生成した確率分布が示す確率に基づいていずれか1つの仮の選好値を選択すれば、1組の仮の選好値が得られ、これを複数回繰り返し実行すれば、複数の仮選好値セットが得られる。また、初期値生成の確率分布については、例として正規分布の平均値に選好比率を乗算する手法を取っているが、これに限定されるものではなく、例えば標準偏差も変更する手法など、他の手法を適用してもよい。
模範選好値推定部25Dは、仮選好値セット生成部25Cで生成した複数の仮選好値セットのうち、当該仮選好値セットに基づき生成した仮スケジュールと模範スケジュール24Bとの類似度が最も高いものを最良選好値セットとして選択し、最良選好値セットを構成する各選好値を模範選好値として推定する処理部である。
仮スケジュールの生成については、前述した選好出現検出部25Aでの基準スケジュールの生成手法のうち、基準選好値に代えて仮選好値セットの選好値を用いればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
また、生成した仮スケジュールと模範スケジュール24Bとの類似度については、公知の手法により求めればよい。例えば、2つの標本についてそれぞれの母集団の確率分布が一致しているかどうかを検定する際に用いられるコルモゴロフ=スミルノフ検定(Kolmogorov-Smirnov test)における検定統計量を類似度として利用する方法が考えられる。
最良選好値セットの選択については、仮選好値セット生成部25Cで生成した初期の複数の仮選好値セットから最良選好値セットを選択してもよいが、模範選好値推定部25Dにより、遺伝的アルゴリズムに基づいて世代交代させた仮選好値セットから最良選好値セットを選択してもよい。具体的には、仮選好値セット生成部25Cで生成した初期の複数の仮選好値セットを遺伝的アルゴリズムに基づいて複数回にわたり世代交代させることにより複数の新たな仮選好値セットを導出し、これら新たな仮選好値セットのうち、当該新たな仮選好値セットから仮スケジュールを生成すればよい。
仮選好値セットの世代交代に用いる遺伝的アルゴリズムの世代交代モデルの1つとして、MGG(Minimal Generation Gap)モデルがある(非特許文献2など参照)。MGGモデルは、世代交代を行う際に、元の個体群からランダムに選んだ2つの親個体間で交叉を行い、子個体を生成・評価し、これら4つの親・子個体のうち優秀な1個体とランダムに選んだ1個体を元の個体群に戻すのを繰り返すことにより、元の個体群の多様性を維持しつつ優秀な個体が得られることを特徴とする。
配信処理部25Eは、通信回線Lを介して通信I/F部21で検出した、スケジュール生成装置10からのアクセスに応じて、記憶部24の模範選好値24Cをスケジュール生成装置10へ配信する処理部である。
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかるスケジューリングシステム1の動作として、スケジュール生成装置10でのスケジュール生成動作と、選好値計算装置20の選好値計算動作について、それぞれ説明する。
[スケジュール生成動作]
図7を参照して、本実施の形態にかかるスケジュール生成装置10のスケジュール生成動作について説明する。図7は、スケジュール生成処理を示すフローチャートである。
スケジュール生成装置10は、操作入力部12で検出されたオペレータ操作、あるいは、通信I/F部11で受信した外部装置からの指示に応じて、図7のスケジュール生成処理を実行する。
まず、データ取得部15Aは、操作入力部12または外部装置から対象状況データ14Aを取得して記憶部14に保存するとともに、通信I/F部11から通信回線Lを介して選好値計算装置20にアクセスして模範選好値14Bを取得し記憶部14に保存する(ステップS100)。
次に、候補工程抽出部15Bは、対象状況データ14Aで指定された要求期間を所定時間長で分割して得られた複数の区間のうち、最初の区間1(t=1)で実行する工程を、対象状況データ14Aで指定された対象状況データ(図2)および工程データ(図3)に基づいて割り当てる(ステップS101)。この際、設備数Mがオーダー数Nより小さいため、N個のオーダーからランダムに選択したまたは対象状況データ14Aで指定されたM個のオーダーに対して、最初に実行すべき工程を割り当てる。
図8は、スケジュール生成処理を示す説明図である。図8には、対象状況データ(図2)および工程データ(図3)を含む対象状況データ14Aに基づいて、製品V1を生成するオーダーA~Dと、製品V2を生成するオーダーE~Jの、合わせて10個のオーダー(N=10)に関する各工程を、3個の設備(M=3)で並列的に順次実行するためのスケジュール生成例が示されている。この例では、先頭の区間1(t=1)において、3個のオーダーF,H,Jに工程21がそれぞれ割り当てられている。
続いて、候補工程抽出部15Bは、N個のオーダーのプロセスで、次の区間tで実行すべきN個の候補工程を、それぞれのプロセスを構成する各工程の実行順序にしたがって抽出する(ステップS102)。
図8の例では、区間7(t=7)において、オーダーA~Dについては、それまでまだ工程が割り当てられていないため、区間7の候補工程として製品V1の先頭の工程11がそれぞれ抽出されている。また、オーダーE,G,Iについては、直前の区間6(t-1)で工程24がそれぞれ実行されているため、区間7の候補工程として製品V2の実行順序にしたがって工程25がそれぞれ抽出されている。なお、オーダーF,H,Jについては、図示されていない区間6より前の区間で工程23,工程25,工程24が実行されているため、区間7の候補工程として製品V2の実行順序にしたがって工程24,工程26,工程25それぞれ抽出されている。
次に、選好適用検出部15Cは、候補工程抽出部15Bにより抽出した区間tのN個の候補工程とその先行区間t’で実行したM個の実工程とを比較することにより、予め模範選好値14B(図4)で設定されている選好項目ごとに、N個の候補工程に対する選好項目の適用状況を検出する(ステップS103)。
図8の例では、模範選好値14Bとして図4に示した選好項目「工程同一」、「オーダー同一」、および「種別同一」が設定されている場合が示されている。区間6において、オーダーA~Dには工程が割り当てられていないため、区間7ではいずれの選好項目も適用回数「0」と判定される。一方、オーダーFについては区間7の工程24と同じ工程が区間6で3つ実行されているから、選好項目「工程同一」で適用回数「3」と判定される。また、オーダーE,G,Iについては区間6で工程24がそれぞれ実行されているから、選好項目「オーダー同一」でそれぞれ適用回数「1」と判定される。また、オーダーE~Jについては、区間6で同じ製品V2の工程24が3つ実行されているから、選好項目「種別同一」でそれぞれ適用回数「3」と判定される。
この後、確率モデル作成部15Dは、選好適用検出部15Cで得られた適用状況と、記憶部14の選好項目に関する模範選好値14Bとから、選好項目ごとに適用度合を計算し(ステップS104)、得られた選好項目ごとの適用度合を合計した合計適用度合に基づいて、区間tに関する確率モデルを作成する(ステップS105)。この際、選好項目ごとの適用度合は、選好項目の模範選好値と適用状況に含まれる当該選好項目の適用回数との乗算値に基づいて計算される。
図8の例では、図4に示したように、選好項目「工程同一」、「オーダー同一」、「種別同一」に対して模範選好値「50」,「80」,「30」が設定されている場合が示されている。オーダーA~Dについては、いずれの選好項目も適用回数「0」と判定されたため、基礎適用度合「10」だけが加算される。この基礎適用度合は、選択確率がゼロとならないように調整するための値である。一方、オーダーEについては、選好項目「オーダー同一」と「種別同一」の適用回数「1」と「3」であるため、合計適用度合「180(=80×1+30×3+10)」と計算される。オーダーF~Jも同様にして、合計適用度合「250」,「180」,「100」,「180」,「100」と計算される。
図9は、確率モデル作成処理を示す説明図である。各オーダーの選択確率は、全オーダーの合計適用度合の全体合計で、当該オーダーの合計適用度合を除算することにより計算される。図9の例では、全オーダーの合計適用度合の全体合計が「1030」である例が示されており、オーダーA~Dの合計適用度合が「10」であることから、その選択確率は「0.97%(=10/1030)」と計算される。また、オーダーEの合計適用度合が「180」であることから、その選択確率は「17.48%(=180/1030)」と計算される。オーダーF~Jも同様にして、選択確率「24.27%」,「17.48%」,「9.71%」,「17.48%」,「9.71%」と計算される。
したがって、区間7において、N(N=10)個の各候補選択からM個の候補選択を選択するための、ルーレット方式(適応度比例方式)に基づいた確率モデルは、これら各オーダーA~Jの選択確率に基づき生成される。この確率モデルにおける選択確率を円形グラフで表した場合、それぞれのオーダーと対応する扇形領域の面積比が、それぞれのオーダーの選択確率比と等しいことになる。
続いて、スケジュール生成部15Eは、確率モデル作成部15Dで作成した区間tにおける確率モデルに基づいて、区間tで実際に実行するM個の工程をルーレット選択する(ステップS106)。
図9の例では、オーダーA~Jのうち、3つのオーダーE,F,Hが選択されたことを示している。これにより、図5に示すように、区間7で実行する工程として、オーダーE,F,Hに、工程25,工程24,工程26がそれぞれ割り当てられることになる。
この後、スケジュール生成部15Eは、すべての区間に対する工程の割り当てが完了したか確認し(ステップS107)、未割当の区間が残っている場合(ステップS107:NO)、ステップS102へ戻る。
一方、すべての区間に対する工程の割り当てが完了した場合(ステップS107:YES)、生成されたスケジュールを対象スケジュール14Cとして記憶部14に保存して(ステップS108)、一連のスケジュール生成処理を終了する。
なお、図7では、スケジュール生成処理において、スケジュールを1つ生成して対象スケジュール14Cとする場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS101~ステップS107を複数回繰り返して、複数のスケジュールを生成し、これらを対象スケジュール14Cとするようにしてもよい。これにより、生産計画者の選好は同じであるが、スケジュール全体の評価値が違うというような、ある程度の幅を持つスケジュールを複数生成することができ、これらスケジュールのうちから、例えばプロセスに係わる状況に合った最良のものなど、任意のスケジュールを選択することができる。
[選好値計算動作]
図10を参照して、本実施の形態にかかる選好値計算装置20の選好値計算動作について説明する。図10は、選好値計算処理を示すフローチャートである。
選好値計算装置20は、操作入力部22で検出されたオペレータ操作、あるいは、通信I/F部21で受信した外部装置からの指示に応じて、図10の選好値計算処理を実行する。なお、選好値計算処理を実行に際し、操作入力部22または通信I/F部21を介して外部装置から入力された模範状況データ24Aと模範スケジュール24Bとが、予め記憶部24に設定されているものとする。
まず、選好出現検出部25Aは、模範状況データ24Aと模範スケジュール24Bとを記憶部24から取得し(ステップS150)、模範状況データ24Aに基づいて、模範スケジュール24Bの区間ごとに、当該区間tの工程と先行区間t’の工程とを比較して、選好項目ごとにその出現回数を模範出現回数として検出し、これら出現回数を全区間で合計することにより選好項目ごとに模範出現回数合計を計算する(ステップS151)。
例えば図6に示した模範スケジュールの例では、選好項目として「工程同一」、「オーダー同一」、および「種別同一」が設定されている場合が示されている。区間2の模範出現回数を検出する場合、区間1,2の工程のうち同一の工程21の組が2組存在しているから、選好項目「工程同一」で出現回数「2」と判定される。また区間1,2の工程のうち同じオーダーFの工程の組が1組存在しているから、「オーダー同一」で出現回数「1」と判定される。また、区間1,2の工程のうち同じ製品種別の工程の組が3組存在しているから、選好項目「種別同一」で出現回数「3」と判定される。
図11は、模範出現回数の検出例を示す説明図である。図6に示した模範スケジュールから検出した模範出現回数の検出例が示されている。前述のようにして、模範スケジュールの各区間について、選好項目ごとに模範出現回数が検出され、これらの合計値が模範出現回数合計として計算される。
次に、選好出現検出部25Aは、模範スケジュール24Bに関する模範状況データ24Aと、選好項目の間で等しい値、例えば「0」を示す基準選好値とに基づいて基準スケジュールを生成する(ステップS152)。
図12は、基準選好値の設定例を示す説明図である。ここでは、選好項目として「工程同一」、「オーダー同一」、および「種別同一」に対して値「0」の基準選好値が設定されている。
基準スケジュールの生成については、図7で説明した、対象状況データ14Aと模範選好値14Bとを用いた対象スケジュールの生成と同じ手法で生成できる。この際、対象状況データ14Aに代えて模範状況データ24Aを用い、模範選好値14Bに代えて基準選好値を用いればよい。
図13は、基準スケジュールの生成例を示す説明図である。具体的には、まず、区間tにおいてN個のオーダーのプロセスで実行すべきN個の候補工程を、模範状況データ24Aで規定された当該プロセスを構成する各工程の実行順序にしたがって抽出する(候補工程抽出部)。
次に、先行区間t’で実行したM個の実工程とを比較することにより、予め設定されている選好項目ごとに、N個の候補工程に対する適用状況を検出する(選好適用検出部)。続いて、得られた適用状況と基準選好値とから計算した選好項目の適用度合に基づいて、区間tに関する確率モデルを作成する(確率モデル作成部)。その後、区間ごとに、当該区間tにおける確率モデルに基づいて、当該区間tで実際に実行するM個の工程を選択することにより、オーダーの各工程を区間のそれぞれに割り当てた基準スケジュールを生成する(スケジュール生成部)。
続いて、選好出現検出部25Aは、基準スケジュールの区間ごとに、当該区間tの工程と先行区間t’の工程とを比較して、選好項目ごとにその出現回数を基準出現回数として検出し、これら基準出現回数を全区間で合計することにより、選好項目ごとの基準出現回数合計を計算する(ステップS153)。
図14は、模範出現回数の検出例を示す説明図である。図14には、図11に示した基準スケジュールから検出した基準出現回数の検出例が示されている。基準出現回数の検出については、模範出現回数の検出と同様にして実行すればよい。基準スケジュールの各区間について、選好項目ごとに基準出現回数が検出され、これらの合計値が基準出現回数合計として計算される。
この後、選好比率計算部25Bは、選好出現検出部25Aで得られた出現状況に基づいて、選好項目ごとに、各区間の当該選好項目の模範出現回数を合計して模範出現回数合計を計算するとともに、各区間の当該選好項目の基準出現回数を合計して基準出現回数合計を計算し、選好項目ごとに、模範出現回数合計と基準出現回数合計との比を選好比率として計算する(ステップS154)。
図15は、選好比率の計算例を示す説明図である。図15に示すように、選好項目「工程同一」の模範出現回数合計が「234」であり、基準出現回数合計が「84」である場合、その選好比率は「2.79(=234/84)」として計算される。また選好項目「オーダー同一」の模範出現回数合計が「174」であり、基準出現回数合計が「124」である場合、その選好比率は「1.40(=174/124)」として計算される。また選好項目「種別同一」の模範出現回数合計が「875」であり、基準出現回数合計が「501」である場合、その選好比率は「1.75(=875/501)」として計算される。
次に、仮選好値セット生成部25Cは、選好比率計算部25Bで計算した選好比率に応じた確率分布に基づいて、選好項目ごとに、当該選好項目の選好比率に応じた平均値と基準となる標準偏差とを有する正規分布からなる確率分布を生成する(ステップS155)。
図16は、確率分布の生成例を示す説明図である。図16の例では、基準となる標準偏差が「500」である正規分布を用意し、その分布平均値として選好比率に「500」を乗算した値を適用したものである。図15に示すように、選好項目「工程同一」の選好比率「2.79」に「500」を乗算すると分布平均値「1395」が求められる。これにより、図16に示すように、分布平均値が「1395」で標準偏差が「500」である、選好項目「工程同一」に関する確率分布が得られる。
また、選好項目「オーダー同一」の選好比率「1.40」に「500」を乗算すると分布平均値「700」が求められる。これにより、図16に示すように、分布平均値が「1700」で標準偏差が「500」である、選好項目「オーダー同一」に関する確率分布が得られる。また、選好項目「種別同一」の選好比率「1.75」に「500」を乗算すると分布平均値「875」が求められる。これにより、図16に示すように、分布平均値が「875」で標準偏差が「500」である、選好項目「種別同一」に関する確率分布が得られる。
この後、仮選好値セット生成部25Cは、選好項目ごとに、生成した確率分布が示す確率に基づいていずれか1つの仮の選好値を選択することにより、各選好項目に関する1組の仮の選好値を生成し、これを複数回繰り返し実行することにより、複数の仮選好値セットを生成する(ステップS156)。
図17は、仮選好値セットの選択例を示す説明図である。図17には、5つの仮選好値セットS1~S5を選択した例が示されている。一般に、正規分布の縦軸は確率密度を示しており、例えば図16のX±αに関する生起確率Pは、確率分布のうちX-αからX+αの範囲の面積の大きさで求められる。
次に、模範選好値推定部25Dは、仮選好値セット生成部25Cで生成した複数の仮選好値セットごとに仮スケジュールを生成し(ステップS157)、これら仮スケジュールごとに、模範スケジュール24Bとの類似度を計算する(ステップS158)。
仮スケジュールの生成については、選好出現検出部25Aの基準スケジュール生成と同様に、スケジュール生成装置10で説明した、対象状況データ14Aと模範選好値14Bとを用いた対象スケジュールの生成と同じ手法で生成できる。この際、対象状況データ14Aに代えて模範状況データ24Aを用い、模範選好値14Bに代えて仮選好値セットの選好値を用いればよい。
また、生成した仮スケジュールと模範スケジュール24Bとの類似度については、公知の手法により求めればよい。例えば、2つの標本についてそれぞれの母集団の確率分布が一致しているかどうかを検定する際に用いられるコルモゴロフ=スミルノフ検定(Kolmogorov-Smirnov test)における検定統計量を類似度として利用する方法が考えられる。
この後、模範選好値推定部25Dは、計算した仮スケジュールの類似度に基づいて、複数の仮選好値セットのうちから最良選好値セットを選択する最良選好値セット選択処理を実行し(ステップS159)、得られた最良選好値セットを構成する各選好値を模範選好値14Bとして推定して記憶部14に保存し(ステップS160)、一連の模範選好値計算処理を終了する。
最良選好値セットを選択する最良選好値セット選択処理については、仮選好値セット生成部25Cで生成した初期の複数の仮選好値セットから最良選好値セットを選択してもよいが、模範選好値推定部25Dにより、遺伝的アルゴリズムに基づいて世代交代させた仮選好値セットから最良選好値セットを選択してもよい。具体的には、仮選好値セット生成部25Cで生成した初期の複数の仮選好値セットを遺伝的アルゴリズムに基づいて複数回にわたり世代交代させることにより複数の新たな仮選好値セットを導出し、これら新たな仮選好値セットのうち、当該新たな仮選好値セットから仮スケジュールを生成すればよい。
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態にかかるスケジューリングシステム1は、選好値計算装置20が、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、予め設定されている選好項目ごとに演算し、スケジュール生成装置10が、複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれの選ばれやすさを、選好項目ごとの模範選好値に沿った確率モデルとして表現し、確率モデルに基づいて候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、1または複数のスケジュールを生成するようにしたものである。
具体的には、選好値計算装置20において、模範となる模範スケジュールと類似するスケジュールを生成する前記複数の工程の割り当てに関する選好の度合を示す模範選好値を、複数の仮選好値セットに基づいて生成した複数の仮スケジュールと前記模範スケジュールとの類似度が最も高くなるものを最良選好値セットとして選択し、前記最良選好値セットを構成する予め設定されている選好項目ごとの各選好値を前記模範選好値として推定し、スケジュール生成装置10において、前記複数の区間のそれぞれについて、当該区間における割り当て可能な候補工程それぞれについて前記模範選好値と割り当て済み工程との配置関係に基づいて選ばれやすさの度合を確率モデルとして表現し、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を選択することにより、前記スケジュールを生成するようにしたものである。
より具体的には、スケジュール生成装置10において、候補工程選択部15Bが、区間ごとに、当該区間tにおいてN個のプロセスで実行すべきN個の候補工程を、当該プロセスを構成する各工程の実行順序にしたがって抽出し、選好適用検出部15Cが、N個の候補工程と直前に実行したM個の実工程とを比較することにより、予め設定されている選好項目ごとに、N個の候補工程に対する適用状況を検出し、確率モデル作成部15Dが、得られた適用状況と選好項目に関する模範選好値とから計算した選好項目の適用度合に基づいて、区間tに関する、N個の候補工程のそれぞれの選択確率を示す確率モデルを作成し、スケジュール生成部15Eが、区間ごとに、当該区間tにおける確率モデルに基づいて、当該区間tで実際に実行するM個の工程を選択することにより、オーダーの各工程を各区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するようにしたものである。
また、選好値計算装置20において、選好出現検出部25Aが、模範となる模範スケジュールから、選好項目ごとに各区間の工程における出現状況を検出し、選好比率計算部25Bが、得られた出現状況に基づいて、模範スケジュールに関する選好項目の出現度合の比を示す選好比率を計算し、仮選好値セット生成部25Cが、選好比率に応じた確率分布に基づいて、選好項目に関する仮の選好値の組からなる、複数の仮選好値セットを生成し、模範選好値推定部25Dが、複数の仮選好値セットのうち、当該仮選好値セットに基づき生成した仮スケジュールと模範スケジュールとの類似度が最も高いものを最良選好値セットとして選択し、最良選好値セットを構成する各選好値を模範選好値として推定するようにしたものである。
これにより、模範となる生産計画者の選好が選好項目ごとに模範選好値として数値化され、この模範選好値が与えられた確率モデルに基づいて、各区間で実行する工程が順次選択されて、一連のスケジュールが生成されることになる。したがって、スケジュールが満たすべき制約やルールを人が予め定式化することなく、模範となる生産計画者の選好に沿ったスケジュールを自動生成することが可能となる。また、複数回繰り返してスケジュールを生成すれば、生産計画者の選好は同じであるが、スケジュール全体の評価値が違うというような、ある程度の幅を持つスケジュールを複数生成することができる。このため、これらスケジュールのうちから、例えばプロセスに係わる状況に合った最良のスケジュールを選択することができる。また、生産計画者の選好度を定量化できるため、熟練者から初心者に対する、スケジューリングに関するノウハウ伝承に用いることも可能である。
また、本実施の形態において、確率モデル作成部15Dで、選好項目ごとに、適用状況に含まれる適用回数と模範選好値とを乗算して適用度合を計算し、これら適用度合を区間tに関するN個の候補工程ごとに合計し、得られたN個の合計値をそれぞれの比重とした、当該区間tに関する確率モデルを作成するようにしてもよい。
これにより、確率モデルに対して模範選好値を適切に与えることができ、模範となる生産計画者の選好に沿ったスケジュールを精度よく生成することが可能となる。
また、本実施の形態において、スケジュール生成部15Eで、区間tで実際に実行するM個の工程を選択する際、当該区間tに関する確率モデルに基づいて、当該区間tにおけるN個の候補工程のうちから、M個の工程をルーレット選択により選択するようにしてもよい。
これにより、生産計画者の選好に沿ってはいるが、ある程度の幅を持つスケジュールを生成することができる。
また、本実施の形態において、選好出現検出部25Aが、模範スケジュールの区間ごとに、当該区間tの工程と先行区間t’の工程とを比較して、選好項目ごとにその出現回数を模範出現回数として検出し、模範スケジュールに関する生成条件と選好項目の間で等しい基準選好値とに基づいて基準スケジュールを生成し、得られた基準スケジュールの区間ごとに、当該区間tの工程と先行区間t’の工程とを比較して、選好項目ごとにその出現回数を基準出現回数として検出し、選好比率計算部25Bが、選好項目ごとに、各区間の当該選好項目の模範出現回数を合計して模範出現回数合計を計算するとともに、各区間の当該選好項目の基準出現回数を合計して基準出現回数合計を計算し、選好項目ごとに、模範出現回数合計と基準出現回数合計との比を選好比率として計算するようにしてもよい。
これにより、模範となる模範スケジュールから確率モデルの元となる選好比率を正確に検出することができ、模範となる生産計画者の選好に沿ったスケジュールを精度よく生成することが可能となる。
また、本実施の形態において、仮選好値セット生成部25Cが、選好項目ごとに、当該選好項目の選好比率に応じた平均値と基準となる標準偏差とを有する正規分布からなる確率分布を生成し、これら確率分布に基づいて選好項目に関する仮の選好値の組からなる、複数の仮選好値セットを生成するようにしてもよい。
これにより、選好比率が与えられた確率モデルを、正規分布からなる確率分布により正確に具現化でき、模範となる生産計画者の選好に沿うとともに、ある程度の幅を持った複数の仮選好値セットを生成することができる。
また、本実施の形態において、模範選好値推定部25Dが、複数の仮選好値セットを遺伝的アルゴリズムに基づいて世代交代させることにより複数の新たな仮選好値セットを導出し、これら新たな仮選好値セットのうち、当該新たな仮選好値セットから仮スケジュールを生成するようにしてもよい。
これにより、仮選好値セット生成部25Cで生成された仮選好値を用いてスケジューリングする場合と比較して、より模範スケジュールに類似したスケジュールを生成することができる。
なお、本実施の形態では、前述のように、ある時間から工程順序に沿って計算する「フォワードスケジューリング(Forward Scheduling)」という方式での説明となっているが、この方式に限定されるものではない。スケジューリングには、完成させる時間(未来)から遡りながら割り当てて行く「バックワードスケジューリング(Backward Scheduling)」という方式もある。本実施の形態は、このようなバックワードスケジューリング、さらにはフォワード型(Forward Type)とバックワード型(Backward Type)とが混在するスケジューリング等の様々なスケジューリングの方式にも対応可能である。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるスケジューリングシステム1について説明する。第1の実施の形態では、物の生産プロセスに関するスケジュールを生成する場合を例として説明した。本実施の形態では、これ以外の例の1つとして、物の運搬プロセスに関するスケジュールを生成する場合を例として説明する。本実施の形態にかかる、スケジューリングシステム1、スケジュール生成装置10、および選好値計算装置20の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
図18は、第2の実施の形態にかかる運搬システムを示す説明図である。図18に示すように、本実施の形態にかかる運搬システムは、設備として3つの荷積場X1,X2,X3と3つの荷降場Y1,Y2,Y3を備えている。このうち、荷積場X1,X2,X3は、それぞれ荷降場Y1,Y2,Y3と対をなし、それぞれ種別の異なる製品V1,V2,V3の荷物の積み降ろしに使用される。これら設備の間を3つのトラックT1,T2,T3が行き来して製品を運搬するが、設備とトラックとの対応関係は固定されていない。
図19は、運搬プロセスに関するオーダーと設備に関する規定例を示す説明図である。対象状況データ14Aには、図19に示すようなオーダーと設備を規定するオーダーデータが含まれている。このオーダーでは、運搬する製品とオーダー数(運搬個数)、および運搬を完了すべき要求期間(納期)が規定されている。図19の例では、製品V1,V2,V3のオーダー数がそれぞれ4個で、全部で12個(N=12)の製品をなるべく早くという要求期間で運搬する必要があること、および、設備(トラック)が3つ(M=3)で並列的に独立して作業可能であることが規定されている。
図20は、積み降ろし工程を規定する工程データの構成例を示す説明図である。対象状況データ14Aには、図20に示すようなプロセスを構成する工程を規定する工程データが含まれている。工程データでは、プロセスで運搬する製品種別ごとに、工程作業に要する時間が規定されている。図20の例では、製品V1は、荷積場X1での荷積工程に「1時間」を要し、荷降場Y1での荷降工程に「2時間」を要することが規定されている。また、製品V2は、荷積場X2での荷積工程に「2時間」を要し、荷降場Y2での荷降工程に「1時間」を要することが規定されている。また、製品V3は、荷積場X3での荷積工程に「2時間」を要し、荷降場Y3での荷降工程に「2時間」を要することが規定されている。なお、荷積工程および荷降工程には「移動」に関する工程も含むものとする。
本実施の形態では、対象状況データ14Aにおいて、工程に関し以下のような工程条件が規定されているものとする。
1.各トラックは一度に1オーダー分しか運搬できない。
2.各荷積場および荷降場は、同時にトラック1台しか作用できない。
図21は、運搬プロセスに関する模範選好値の構成例を示す説明図である。模範選好値14Bは、予め設定されている各選好項目に関する、区間に対する工程の割り当てに関する模範となる選好の度合を示すデータである。図21の例では、選好項目として、「工程同一」、「オーダー同一」、および「種別同一」が用いられており、それぞれの模範選好値として「0」,「1389」,「0」が設定されている。
[第2の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかるスケジューリングシステム1の動作として、選好値計算装置20による選好値計算動作と、スケジュール生成装置10によるスケジュール生成動作とを実行する。本実施の形態にかかるこれら動作は、図10で説明した選好値計算処理、および、図7で説明したスケジュール生成処理と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
まず、選好値計算装置20は、操作入力部22で検出されたオペレータ操作、あるいは、通信I/F部21で受信した外部装置からの指示に応じて、図10の選好値計算処理を実行する。なお、選好値計算処理を実行に際し、操作入力部12または通信I/F部11を介して外部装置から入力された模範状況データ24Aと模範スケジュール24Bとが、予め記憶部24に設定されているものとする。
図22は、運搬プロセスに関する模範スケジュールの構成例を示す説明図である。図22には、A~Lの12個のオーダーごとに、区間1~14にそれぞれの製品種別のプロセスを構成する工程を割り当てた模範とするスケジュールが示されている。ここでは、1区間が1時間に相当している。
図22において、例えばオーダーAについては、区間1,2の2時間分で工程X1T1を2つ続けて実行し、区間3で工程Y1T1を実行することを示している。工程X1T1は、荷積場X1でトラックT1に荷積を行う工程を示しており、工程Y1T1は、荷降場Y1でトラックT1から荷降を行う工程を示している。なお、トラックT1の走行工程についてはスケジューリングに直接関与しないため、本実施の形態では省略する。
図23は、運搬プロセスに関する基準スケジュールの構成例を示す説明図である。図23には、図22の模範スケジュールと同様に、A~Lの12個のオーダーごとに、区間1~15にそれぞれの製品種別のプロセスを構成する工程を割り当てた模範とするスケジュールが示されている。
選好値計算装置20において、選好出現検出部25Aは、予め設定された模範状況データ24Aおよび図22の模範スケジュール24Bと、模範状況データ24Aから生成した図23の基準スケジュールとから、選好項目ごとに各区間の工程における出現状況を検出する(図10:ステップS151-S153)。選好項目については、図21と同様に、「工程同一」、「オーダー同一」、および「種別同一」が用いられるものとする。
選好比率計算部25Bは、得られた出現状況に基づいて、模範スケジュール24Bに関する選好項目の出現度合の比を示す選好比率を計算し、仮選好値セット生成部25Cは、選好比率に応じた確率分布に基づいて、選好項目に関する仮の選好値の組からなる、複数の仮選好値セットを生成する(図10:ステップS154-S156)。
この後、模範選好値推定部25Dは、複数の仮選好値セットのうち、当該仮選好値セットに基づき生成した仮スケジュールと模範スケジュール24Bとの類似度が最も高いものを最良選好値セットとして選択し、最良選好値セットを構成する各選好値を模範選好値24Cとして推定する(図10:ステップS157-S160)。
次に、スケジュール生成装置10は、操作入力部12で検出されたオペレータ操作、あるいは、通信I/F部11で受信した外部装置からの指示に応じて、図7のスケジュール生成処理を実行する。
スケジュール生成装置10において、候補工程抽出部15Bは、予め設定された対象状況データ14A、および、選好値計算装置20から取得した模範選好値14B(24C)に基づいて、区間ごとに、当該区間tにおいてN個のオーダーのプロセスで実行すべきN個の候補工程を、当該プロセスを構成する各工程の実行順序にしたがって抽出する(図7:ステップS101-S102)。
次に、選好適用検出部15Cは、N個の候補工程と直前に実行したM個の実工程とを比較することにより、予め設定されている選好項目ごとに、N個の候補工程に対する適用状況を検出する(ステップS103)。
続いて、確率モデル作成部15Dは、得られた適用状況と選好項目に関する模範選好値とから計算した選好項目の適用度合に基づいて、区間tにおける、N個の候補工程の選択確率を示す確率モデルを作成する(ステップS104-S105)。
この後、スケジュール生成部15Eは、区間ごとに、当該区間tにおける確率モデルに基づいて、当該区間tで実際に実行するM個の工程を選択することにより、オーダーの各工程を区間のそれぞれに割り当てたスケジュールを生成する(ステップS106-S108)。
図24は、運搬プロセスに関する対象スケジュールの構成例を示す説明図である。図24には、図22の模範スケジュール24Bと同様に、A~Lの12個のオーダーごとに、区間1~14にそれぞれの製品種別のプロセスを構成する工程を割り当てた対象スケジュール14Cが示されている。図24によれば、対象スケジュール14Cとして、模範スケジュール24Bと類似する内容のスケジュールが得られていることが分かる。
このように、本発明にかかるスケジューリングシステム1は、物の生産プロセスに関するスケジュールの生成に限定されず、物の運搬プロセスに関するスケジュールなど、他のプロセスに関するスケジュールであっても、模範スケジュールに内在する模範となる生産計画者の選好に沿ったスケジュールを自動生成することができる。
[第3の実施の形態]
次に、図25を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるスケジューリングシステム1について説明する。図25は、第3の実施の形態にかかるスケジューリングシステムの構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、図1に示すように、スケジュール生成装置10とは、別個の選好値計算装置20で、選好値を推定する構成を例として説明したが、スケジュール生成装置10と選好値計算装置20の構成を1つのスケジュール生成装置30内に実装してもよい。本実施の形態にかかるスケジューリングシステム1は、通信回線Lに接続された、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなるスケジュール生成装置30から構成されている。
図25には、選好値計算処理とスケジュール生成処理とを行うスケジュール生成装置30が示されている。このスケジュール生成装置30は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、主な構成として、通信I/F部31、操作入力部32、画面表示部33、記憶部34、および演算処理部40を備えており、内部バスBを介して相互にデータやり取り可能に接続されている。
通信I/F部31、操作入力部32、画面表示部33、および記憶部34は、図1の通信I/F部11,21、操作入力部12,22、画面表示部13,23、および記憶部14,24に相当している。
また、記憶部34には、プログラム34Pのほか、主な処理データとして、模範状況データ34A、模範スケジュール34B、模範選好値34C、基準選好値34D、対象状況データ34E、対象スケジュール34Fが記憶されている。
記憶部34の模範状況データ34A、模範スケジュール34B、模範選好値34C、基準選好値34D、対象状況データ34E、および対象スケジュール34Fは、図1の模範状況データ24A、模範スケジュール24B、模範選好値24C(14B)、基準選好値24D、対象状況データ14A、および対象スケジュール14Cに相当している。また、プログラム34Pは、図1のプログラム14Pとプログラム24Pに相当している。
演算処理部40は、CPUとその周辺回路からなり、CPUとプログラム34Pとが協働することにより、運転監視処理を行う各種の処理部を実現する回路部である。
演算処理部40で実現される主な処理部として、選好出現検出部41、選好比率計算部42、仮選好値セット生成部43、模範選好値推定部44、候補工程抽出部45、選好適用検出部46、確率モデル作成部47、およびスケジュール生成部48がある。
これら処理部のうち、選好出現検出部41、選好比率計算部42、仮選好値セット生成部43、および模範選好値推定部44は、図1の選好出現検出部25A、選好比率計算部25B、仮選好値セット生成部25C、および模範選好値推定部25Dに相当している。また、候補工程抽出部45、選好適用検出部46、確率モデル作成部47、およびスケジュール生成部48は、図1の候補工程抽出部15B、選好適用検出部15C、確率モデル作成部15D、およびスケジュール生成部15Eに相当している。
このように、スケジュール生成装置10と選好値計算装置20の構成を1つのスケジュール生成装置30内に実装することにより、スケジューリングシステム1の構成を簡素化することが可能となる。また、模範選好値のやり取りに要する配信処理部25Eやデータ取得部15Aなどの構成を省くことができるとともに、その所要時間を削減することができる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
1…スケジューリングシステム、10…スケジュール生成装置、11…通信I/F部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…記憶部、14A…対象状況データ、14B…模範選好値、14C…対象スケジュール、14P…プログラム、15…演算処理部、15A…データ取得部、15B…候補工程抽出部、15C…選好適用検出部、15D…確率モデル作成部、15E…スケジュール生成部、20…選好値計算装置、21…通信I/F部、22…操作入力部、23…画面表示部、24…記憶部、24A…模範状況データ、24B…模範スケジュール、24C…模範選好値、24D…基準選好値、24P…プログラム、25…演算処理部、25A…選好出現検出部、25B…選好比率計算部、25C…仮選好値セット生成部、25D…模範選好値推定部、25E…配信処理部、30…スケジュール生成装置、31…通信I/F部、32…操作入力部、33…画面表示部、34…記憶部、40…演算処理部、41…選好出現検出部、42…選好比率計算部、43…仮選好値セット生成部、44…模範選好値推定部、45…候補工程抽出部、46…選好適用検出部、47…確率モデル作成部、48…スケジュール生成部、L…通信回線。

Claims (8)

  1. 事前に定義された順序にしたがって複数の工程のそれぞれを複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジュール生成装置であって、
    模範の計画者による、前記複数の工程のうちのどの工程を前記複数の区間のうちのどの区間に割り当てるかの選好の度合いを、前記工程の予め設定された割当状況である選好項目ごとに数値化した模範選好値を取得する取得手段と、
    複数の工程の実行順序を規定する工程データ、スケジュールの生成条件を規定する条件データ、及び、前記選好項目ごとの前記模範選好値に基づいて、前記複数の工程のそれぞれを前記複数の区間のいずれかに割り当てた1または複数のスケジュールを生成する生成手段と、を備え、
    前記生成手段は、
    前記複数の区間のうちの2番目以降の区間のそれぞれについて、当該区間に割り当て可能な候補工程を前記工程データから抽出する第1手段と、
    前記2番目以降の区間のそれぞれについて、前記選好項目ごとの前記模範選好値に基づいて、当該区間に割り当てる前記候補工程の選択確率を示す確率モデルを作成する第2手段と、
    前記2番目以降の区間のそれぞれについて、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を前記選択確率で選択する第3手段と、を含み、
    前記第2手段は、前記2番目以降の区間のそれぞれについて、前記候補工程のそれぞれの前記選択確率を、当該区間に当該候補工程を割り当てたときの当該区間及び当該区間よりも前の先行区間に対する工程の割当状況に合致する前記選好項目の前記模範選好値に基づいて算出することにより前記確率モデルを作成する、
    スケジュール生成装置。
  2. 前記第2手段は、前記選択項目の合致数と前記模範選好値とを乗算した値に基づいて前記選択確率を算出する、
    請求項1に記載のスケジュール生成装置。
  3. 請求項1に記載のスケジュール生成装置と、
    仮に設定された選好項目ごとの選好値に基づいて生成された複数の仮スケジュールのうち、前記計画者により作成された模範スケジュールに最も類似する仮スケジュールの生成に使用された前記選好項目ごとの選好値を前記選好項目ごとの前記模範選好値として算出する選好値算出装置と、
    を備える、スケジューリングシステム。
  4. 請求項1に記載のスケジュール生成装置で取得される前記模範選好値の算出装置であって、
    仮に設定された選好項目ごとの選好値に基づいて生成された複数の仮スケジュールのうち、前記計画者により作成された模範スケジュールに最も類似する仮スケジュールの生成に使用された前記選好項目ごとの選好値を前記選好項目ごとの前記模範選好値として算出する手段を備える、
    選好値算出装置。
  5. コンピュータを請求項1に記載のスケジュール生成装置として機能させるプログラム。
  6. コンピュータを請求項4に記載の選好値算出装置として機能させるプログラム。
  7. 事前に定義された順序にしたがって複数の工程のそれぞれを複数の区間のいずれかに割り当てたスケジュールを生成するスケジュール生成方法であって、
    模範の計画者による、前記複数の工程のうちのどの工程を前記複数の区間のうちのどの区間に割り当てるかの選好の度合いを、前記工程の予め設定された割当状況である選好項目ごとに数値化した模範選好値を取得する取得ステップと、
    複数の工程の実行順序を規定する工程データ、スケジュールの生成条件を規定する条件データ、及び、前記選好項目ごとの前記模範選好値に基づいて、前記複数の工程のそれぞれを前記複数の区間のいずれかに割り当てた1または複数のスケジュールを生成する生成ステップと、を備え、
    前記生成ステップは、
    前記複数の区間のうちの2番目以降の区間のそれぞれについて、当該区間に割り当て可能な候補工程を前記工程データから抽出する第1ステップと、
    前記2番目以降の区間のそれぞれについて、前記選好項目ごとの前記模範選好値に基づいて、当該区間に割り当てる前記候補工程の選択確率を示す確率モデルを作成する第2ステップと、
    前記2番目以降の区間のそれぞれについて、前記確率モデルに基づいて前記候補工程のうちから当該区間に割り当てる工程を前記選択確率で選択する第3ステップと、を含み、
    前記第2ステップは、前記2番目以降の区間のそれぞれについて、前記候補工程のそれぞれの前記選択確率を、当該区間に当該候補工程を割り当てたときの当該区間及び当該区間よりも前の先行区間に対する工程の割当状況に合致する前記選好項目の前記模範選好値に基づいて算出することにより前記確率モデルを作成する、
    スケジュール生成方法。
  8. 請求項7に記載のスケジュール生成方法で取得される前記模範選好値の算出方法であって、
    仮に設定された選好項目ごとの選好値に基づいて生成された複数の仮スケジュールのうち、前記計画者により作成された模範スケジュールに最も類似する仮スケジュールの生成に使用された前記選好項目ごとの選好値を前記選好項目ごとの前記模範選好値として算出するステップを備える、
    選好値算出方法。
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