JP2006117450A - 高吸水性の透水性、保水性レンガの製造法および高吸水性の透水性、保水性レンガ - Google Patents
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Abstract
【課題】高吸水性の、透水性、保水性レンガの製造方法および高吸水性の、透水性、保水性レンガを提供する。
【解決手段】粘土、長石などのケイ酸とアルミナを主成分とする窯業用原料に、火山灰土壌「シラス」、リン酸と酸化カルシウムを含有するや骨灰、焼却灰などの物質や、シラスバルーン、パーライトなどの中空材料、或いは炭、木屑などの可燃性材料を添加して混合成形し、高温で焼成することによって、高吸水性の透水性、保水性を有するレンガが得られる。
【解決手段】粘土、長石などのケイ酸とアルミナを主成分とする窯業用原料に、火山灰土壌「シラス」、リン酸と酸化カルシウムを含有するや骨灰、焼却灰などの物質や、シラスバルーン、パーライトなどの中空材料、或いは炭、木屑などの可燃性材料を添加して混合成形し、高温で焼成することによって、高吸水性の透水性、保水性を有するレンガが得られる。
Description
本発明は、通常のレンガ原料にリン酸とカルシウムを含有する骨灰あるいは焼却灰等を添加することにより、高温焼成後にレンガ表面からの吸水性を示し、透水性、保水性を有することを特徴とする、高吸水性の透水性、保水性を持つレンガの製造方法および、それにより得られた高吸水性の透水性、保水性レンガに関する。
近年、地球温暖化の影響で都市部のヒートアイランド現象が著しく、夏期の都市環境対策が必要となってきている。この対策法として、ビルの屋上の緑化や外断熱構造の外装材、および透水性を有する舗装材を使用することが考えられる。ビルの屋上の緑化を行う場合には、土壌基盤材として透水性コンクリートが使用されつつあるが、コンクリートは保水性に問題があり、植物が乾燥にさらされやすい。また、材料内部のpHもアルカリ性が強く植物がコンクリート部分に根付きにくいという問題もある。
一方従来の一般的なレンガは、種々の窯業原料を混合し高温で焼成して製造されており、高温による焼結あるいは釉薬等の使用により、レンガの表面は防水性を示し、吸水性を示さないように製造されるため、屋上緑化のための土壌基盤材料として効果的に使用できないものとなっている。また、レンガ内に吸水して保水される水が無いので、水の気化蒸発によるレンガ自体の温度低下と周囲の気温の低下が生じない。
これに対し、現在、焼却灰をレンガ骨材と混合し、高温で焼却灰をガラス化してレンガの骨材を接合させた透水性、保水性を持つレンガが提案されている(特許文献1参照。)。
しかし上記特許文献1、のレンガは高い透水性を有するように製造されているが、保水性については骨材の空隙に保水される程度であり、レンガ自体の吸水性、保水性は高いものではない。
上記の問題点に鑑み本発明者らは、窯業原料のSiO2−Al2O3 −Na2O−K2O組成系にリン酸三カルシウムと炭酸カルシウムを添加して製造されるセラミックの焼成条件において、水を著しく吸水し、透水性を有する焼結体を得る組成を見出し、鋭意研究の結果、粘土、長石、火山灰土壌「シラス」などのケイ酸とアルミナを主成分とする窯業原料に、リン酸と炭酸カルシウムを含有する物質を添加して混合し高温焼成することによって、レンガ表面からの吸水性を示し、透水性、保水性を有することを特徴とする高吸水性の透水性、保水性を持つレンガの製造方法および、それにより得られた高吸水性の透水性、保水性レンガを提供するに至った。
このため本発明では、粘土、長石などのケイ酸とアルミナを主成分とする窯業用原料に、リン酸と酸化カルシウムを含有する物質を添加して混合成形し、高温で焼成して製造されることを第1の特徴とする。
また、火山灰土壌「シラス」などの、ケイ酸とアルミナを含有する火山噴出物を原料に添加して製造されることを第2の特徴とする。
また、骨灰、焼却灰など、リン酸と酸化カルシウムを含有する原料を混合して使用することにより、高温焼成後にレンガ表面からの吸水性を示し、透水性、保水性を有することを第3の特徴とする。
そして、上記原料に、中空材料、或いは炭、コーヒー抽出残渣、おが屑、木屑などの可燃性材料を混入して製造し、軽量化したことを第4の特徴とする。
ここで、前記骨灰は、ボーンチャイナの原料として古くから使用されており、窯業原料としてはポピュラーなものである。また火山灰土壌「シラス」は特に南九州に広く分布する未利用資源であり、世界中に火山噴出物として類似のものが広く分布しているものであるが、その有効利用法は少なく、中空ガラスであるシラスバルーンの製造、タイルの副原料、釉薬、研磨剤などとして利用されているに過ぎない。
本発明によれば、ビル屋上緑化に使用される土壌の乾燥を長期間防止し、植栽植物が根付きやすい透水性、保水性を有する土壌基盤材料として軽量レンガが提供されるという効果がある。
また、レンガが保水する水の気化蒸発により、レンガ自体の温度と周囲の気温を低下させる働きを持ち得るために、ヒートアイランド対策用の外断熱構造の外装材、および透水性を有する舗装材などとしても利用可能であるという効果を有する。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のレンガの製造工程の概要を述べると、本発明では、火山灰土壌「シラス」、粘土、ベントナイト、長石、ガラス粉末、骨灰、鶏糞焼却灰、炭酸カルシウム、シラスバルーン等の原料を所定量秤り取り、固形物は粉砕して混合する。次に、混合物をレンガ型枠中に入れ、プレス機にてプレス成形する。プレス成形法としては、前記混合物に水を添加せずそのままプレスする乾式法と、前記混合物に適量の水を添加してプレスする湿式法があり、いずれの方法とも使用可能である。プレス成形終了後、成形物をレンガ型枠より離型し、乾燥させ、加熱焼成を行う。加熱焼成方法は、一般的なレンガ製品と同様であり、ガス炉あるいは電気炉を使用し、常温からゆっくり昇温して、最終的に950℃〜1200℃の温度で焼成し焼結させる。その後ゆっくり放冷して、レンガを得る。
火山灰土壌「シラス」は宮崎県内で採取され、篩分けして精製されたもの、粘土は宮崎県内産出の粘土、ガラス粉末はソーダライム系瓶ガラスを150ミクロン以下に粉砕したもの、鶏糞焼却灰は(南国興産株式会社製)をそれぞれ使用し、ベントナイト、骨灰、長石、炭酸カルシウム等については市販のものをそれぞれ使用する。シラスバルーンはシラスバルーン粉末(株式会社アクシーズケミカル製)を使用する。それぞれの原料の化学組成は蛍光X−線法により予め測定した。使用した各原料の含有酸化物組成を示すと、それぞれ重量%で、シラスは75.0%SiO2−13.3%Al2O3−2.4%Na2O−3.9%K2O−2.3%CaO−2.0%Fe2O3−1.1%その他酸化物。粘土は68.5%SiO2−20.6%Al2O3−3.7%K2O−0.4%CaO−1.9%MgO−3.7%Fe2O3−0.9%TiO2−0.3%その他酸化物。ベントナイトは、72.0%SiO2−15.1%Al2O3−1.7%Na2O−1.3%K2O−4.2%CaO−3.0%MgO−2.4%Fe2O3−0.3%その他酸化物。骨灰は、0.6%SiO2−53.6%CaO−43.2%P2O5−2.6%その他酸化物。長石は、69.3%SiO2−16.7%Al2O3−2.9%Na2O−10.6%K2O−0.1%CaO−0.4%その他酸化物。ガラス粉末は、70.3%SiO2−2.2%Al2O3−12.3%Na2O−1.4%K2O−12.0%CaO−0.6%MgO−0.6%Fe2O3−0.6%その他酸化物。鶏糞焼却灰は、2.4%SiO2−0.5%Al2O3−2.9%Na2O−22.0%K2O−34.6%CaO−6.2%MgO−15.0%P2O5−0.6%Fe2O3−8.2%SO3−6.8%Cl−0.8%その他酸化物、であった。
上記の化学組成を有する原料を使用し、重量パーセントで、シラス0〜60%、粘土0〜60%、ベントナイト0〜20%、長石0〜20%、骨灰5〜25%、炭酸カルシウム0〜10%、シラスバルーン0〜20%の各原料パーセント範囲で調合し、混合する。この原料組成を化学組成に置き換えると、主要化学成分のモルパーセントで、50〜70%SiO2−5〜12%Al2O3−2〜5%Na2O−2〜5%K2O−10〜20%CaO−1〜5%P2O5の組成範囲にあり、この組成範囲に原料組成が調整される。
次に、前記調合された原料をボールミル等によって十分混合し、直方体形状のブロック用型枠に入れ、プレス機によって加圧し成形した後、型枠から離型し自然乾燥をさせガス炉あるいは電気炉を使用して焼成を行う。焼成条件としては常温から徐々に昇温し、最終的に950℃〜1200℃の温度に保持して焼成し焼結させる。望ましい焼結温度と保持時間は、980℃〜1100℃で数時間であった。
製造されたレンガは、直方体の各面から水を良く吸収し、その吸収率は、レンガの絶乾燥重量をA(g)とし、水に24時間浸漬して十分吸水させた後の表乾状態の重量をB(g)として、(B−A)/Aで評価したところ、レンガの乾燥重量に対して、30〜60%の高い吸水率を示した。代表的な実施組成例と製造したレンガの吸水率を表1に示す。
上記の化学組成を有する原料を使用し、重量パーセントで、シラス0〜60%、粘土0〜60%、ベントナイト0〜20%、長石0〜20%、骨灰5〜25%、炭酸カルシウム0〜10%、シラスバルーン0〜20%の各原料パーセント範囲で調合し、混合する。この原料組成を化学組成に置き換えると、主要化学成分のモルパーセントで、50〜70%SiO2−5〜12%Al2O3−2〜5%Na2O−2〜5%K2O−10〜20%CaO−1〜5%P2O5の組成範囲にあり、この組成範囲に原料組成が調整される。
次に、前記調合された原料をボールミル等によって十分混合し、直方体形状のブロック用型枠に入れ、プレス機によって加圧し成形した後、型枠から離型し自然乾燥をさせガス炉あるいは電気炉を使用して焼成を行う。焼成条件としては常温から徐々に昇温し、最終的に950℃〜1200℃の温度に保持して焼成し焼結させる。望ましい焼結温度と保持時間は、980℃〜1100℃で数時間であった。
製造されたレンガは、直方体の各面から水を良く吸収し、その吸収率は、レンガの絶乾燥重量をA(g)とし、水に24時間浸漬して十分吸水させた後の表乾状態の重量をB(g)として、(B−A)/Aで評価したところ、レンガの乾燥重量に対して、30〜60%の高い吸水率を示した。代表的な実施組成例と製造したレンガの吸水率を表1に示す。
以上の通り、本発明は、特許請求の範囲に記載の通りの透水性、保水性レンガの製造法であるので、ビル等の屋上緑化に使用される土壌の乾燥を長期間防止し、植栽植物が根付きやすい透水性、保水性を有する土壌基盤材としての軽量レンガが提供できる。また、保水性のレンガは含有する水の気化蒸発により、レンガそのものの温度と周囲の気温を低下させる働きを持ち得るために、ヒートアイランド対策用の外断熱構造の外装材、および透水性を有する舗装材としても利用可能である。また、炭などの可燃物を使用し、焼成後にできる空隙によって吸水した水の凍結によるレンガの崩壊を防ぐ機能も利用できる。
Claims (4)
- 粘土、長石などのケイ酸とアルミナを主成分とする窯業用原料に、リン酸と酸化カルシウムを含有する物質を添加して混合成形し、高温で焼成して製造される、高い吸水性を示し、透水性、保水性を持つレンガ。
- 火山灰土壌「シラス」などの、ケイ酸とアルミナを含有する火山噴出物を前記窯業用原料に添加して製造される請求項1記載の高吸水性の透水性、保水性レンガの製造方法。
- 骨灰、焼却灰など、リン酸と酸化カルシウムを含有する物質を混合して使用することにより、高温焼成後にレンガ表面からの吸水性を示し、透水性、保水性を有することを特徴とする請求項1記載の高吸水性の透水性、保水性レンガの製造方法。
- 上記窯業用原料に、中空材料、或いは炭、おが屑、木屑などの可燃性材料を混入して製造し、軽量化した請求項1記載の高吸水性の透水性、保水性レンガの製造方法。
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