JP2006116847A - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、低コストで、光沢、カール耐性及びコックリング耐性に優れたインクジェット記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 紙基材の片面にキャストコート層を有し、さらに該キャストコート層上にインク吸収層を有し、該紙基材を挟んで該インク吸収層の塗設面とは反対側の面に、有機溶剤に可溶の樹脂を含有するバックコート層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のインクジェット記録媒体及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ、紙などの記録媒体に付着させて画像や文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点により、近年、各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等の様々な分野で急速に普及している。
このインクジェット記録方式で使用される記録媒体としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかで、ぼけがないこと等が一般的には要求されている。また、印字画像の保存性についても、近年著しい向上が見られており、総じて画像品質及び画像保存性は、銀塩写真の品質に急速に接近しつつある。
これらに加え、いわゆる銀塩写真様の高画質をインクジェット記録により達成する上では、記録媒体表面の光沢性、写像性もまた重要な要素である。光沢、写像性が低いと画像の鮮明感が低下し、また立体感、奥行き感に欠けた画像として認識されることが多い。このため、写真画質を謳うインクジェット用光沢用紙においては、多くの場合、銀塩写真に適用されている紙支持体の両面をオレフィン樹脂等で被覆したレジンコート支持体が用いられている。このレジンコート支持体は、表面平滑性が高く、高光沢で写像性に優れると共に、耐水性を有するため、支持体上にインク吸収層等を塗布する際に、支持体への塗布液の浸透が起こらず、支持体のコックリングによる平滑性の低下や、光沢、写像性の低下も発生しない。
しかしながら、このような高品質のレジンコート支持体は、その用途も限定されることもあり、また特殊な構成をとるため、通常の紙支持体に比較して高価であり、従って、写真画質仕様のインクジェット記録媒体の価格もそれに伴い高くならざるを得ない。
一方、レジンコート支持体に代わり、吸水性の紙支持体上にインク吸収層を塗布し、その後、キャスト工程あるいはカレンダー処理工程を施すことで記録媒体表面の平滑性を高め、光沢と写像性を高めたインクジェット記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。この様なインクジェット記録媒体は、インクジェット用キャストコート紙と呼ばれるものであり、レジンコート支持体を用いた記録媒体より安価で提供することが可能である。しかしながら、基材が紙でありキャスト処理されたインク吸収層のインク浸透性が高いため、インク溶媒が支持体中に浸透しコックリングを誘発するため、特に画像形成部分において光沢、写像性が低下するという問題がある。
本発明者の上記課題に対し検討を進めた結果、レジンコート紙の代わりにレジンコート紙同等の平滑性を持ち、インク吸収性の比較的低いキャストコート紙を基材として使用して、その上にインク吸収層を形成することで光沢、写像性にすぐれたインクジェット記録媒体が得られることを見出した。しかしながら、キャストコート紙のキャストコート層の上側にインク吸収層を形成すると、インク吸収層を設けた面と、基材を挟んでインク吸収層を塗設面とは反対側の面との収縮応力に差が生じ、その結果、カールが大きくなり、プリンター搬送時に不具合を生じてしまうという問題が発生した。
一般に、表裏面の収縮バランスの崩れにより生じる上記のようなカールに対しては、インク吸収層とは基材を挟んで反対側の面(以下、裏面ともいう)にバックコート層を設けることで、表裏の収縮応力の差をなくす方法が知られている(例えば、特許文献4、5参照。)。これらのバックコート層の形成に用いる塗布液の多くは、水溶性の樹脂や水分散性の樹脂、あるいは水に分散する無機微粒子などから構成されており、バックコート層は水溶性塗布液を塗布することで形成される。しかしながら、基材として使用するキャストコート紙の裏面は紙基材が露出した状態であるため、水溶性のバックコート層塗布液を塗布する際に、基材が吸水してコックリングを生じてしまい、品位を損なうという課題を抱えている。
一方、インクジェット用キャストコート紙の裏面に、紙基材に対して非膨潤性の塗布液を用いてガスバリア層を付与することで、裏面塗布時の吸水によるコックリングの発生を防止した技術が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、表面側に設けるインクを吸収させる層はキャストコート層が担うこととなり、前述したように、着弾したインクの溶媒(特に、水成分)が紙基材まで浸透してコックリングを生じてしまうという課題は解決されない。
従って、より低コストで高品質な画像、即ちレジンコート支持体を用いた場合と同様の高光沢で、かつ良好な写像性を備え、カール耐性やコックリング耐性に優れたインクジェット記録媒体の提供が望まれている。
特開昭62−95285号公報 特開昭63−265680号公報 特開平5−59694号公報 特開平8−310111号公報 特開2001−180106号公報 特開2003−72232号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、低コストで、光沢、カール耐性及びコックリング耐性に優れたインクジェット記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
紙基材の片面にキャストコート層を有し、さらに該キャストコート層上にインク吸収層を有し、該紙基材を挟んで該インク吸収層の塗設面とは反対側の面に、有機溶剤に可溶の樹脂を含有するバックコート層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
(請求項2)
紙基材の片面にキャストコート層を有し、さらに該キャストコート層上にインク吸収層を有し、該紙基材を挟んで該インク吸収層の塗設面とは反対側の面に、有機溶剤系塗布液を用いて形成されたバックコート層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
(請求項3)
前記バックコート層が、有機溶剤に分散可能な無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項4)
前記インク吸収層が、空隙構造を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項5)
前記空隙構造が、少なくとも無機微粒子と有機バインダー樹脂とから形成されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項6)
紙基材の片面にキャストコート層を形成した時の該キャストコート層面のJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87;「紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)」に準じて測定される接触時間10秒における吸水量が15ml/m2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体を製造するインクジェット記録媒体の製造方法であって、紙基材にキャストコート層を形成し、次いで有機溶剤系塗布液を用いてバックコート層を塗布、乾燥した後にインク吸収層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
本発明によれば、低コストで、光沢、カール耐性及びコックリング耐性に優れたインクジェット記録媒体及びその製造方法をを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、紙基材の片面にキャストコート層を有し、さらに該キャストコート層上にインク吸収層を有し、該紙基材を挟んで該インク吸収層の塗設面とは反対側の面に、有機溶剤に可溶の樹脂を含有するバックコート層、あるいは有機溶剤系塗布液を用いて形成されたバックコート層を有するインクジェット記録媒体により、低コストで、光沢、カール耐性及びコックリング耐性に優れたインクジェット記録媒体を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)にもちいる紙基材について説明する。
本発明で用いることのできる紙基材の原料としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
紙基材中には、必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。サイズ剤としては、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等が、顔料としては炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等が、紙力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等が挙げられるが、本発明に係る紙基材においては、これに限定されるものではない。
紙基材は、上記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて、抄紙段階あるいは抄紙後にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理をしたり、各種コート処理をしたり、カレンダー処理したりすることができる。
本発明の記録媒体においては、上記紙基材上にキャストコート層を設けることを特徴の1つとする。
本発明に係るキャストコート層の形成は、通常のキャストコーティング法と同様の方法で塗設することができる。
本発明に適用可能なキャストコーティング法としては、例えば、塗設層を湿潤状態で、加熱された鏡面ロールに圧接して乾燥させる直接法(ウエット法とも言う)、塗設層を湿潤状態で凝固液により凝固させた後、加熱された鏡面ロールに圧接して乾燥させる凝固法(ゲル化法とも言う)、塗設層を乾燥した後、更に湿潤液を塗布して再度塗設層を湿潤状態にした後、加熱された鏡面ロールに圧接して乾燥させる再湿潤法(リウエット法とも言う)のいずれかの方法がある。
本発明に係るキャストコート層は、主として微粒子とバインダーから構成される。
本発明で用いることのできる微粒子としては、カオリン、タルク、軟質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、サチンホワイト、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化マグネシウム、ゼオライト、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、加水ハロサイト、リトポンなどの無機微粒子と、プラスチックピグメントなどの有機微粒子が挙げられる。
本発明で用いることのできるバインダーとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、酸化デンプン、エーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプンなどのデンプン誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−マレイン酸樹脂及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル系共重合体、酢酸ビニル系共重合体などが挙げられる。
本発明に係るキャストコート層表面は、ブリストー法により測定される接触時間10秒における吸水量が15ml/m2以下であることが好ましい。
本発明でいうブリストー法とは、短時間での紙及び板紙の液体吸収挙動を測定する方法であり、詳しくは、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87;「紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)」に準じて測定される。接触時間10秒における吸水量が15ml/m2以下であれば、インク吸収層を塗布する際にキャストコート層を通して基材の紙への吸水を防止でき、コックリングの発生を抑制することができる。通常、インクジェット用キャストコート紙として知られているものはインクの吸収性を高めているため、ブリストー法の接触時間10秒における吸水量は、15ml/m2より多い。ブリストー法の接触時間10秒における吸水量が15ml/m2以下のキャストコート紙として市場にあるものとしては、印刷用キャストコート紙などがあり、例えば、王子製紙製ミラーコート、日本製紙製エスプリコートなどが挙げられる。
本発明の記録媒体においては、後述するインク吸収層を設けた面とは反対側の面(裏面)に、有機溶剤に可溶の樹脂を含有するバックコート層を有することを特徴とする。
本発明に係るバックコート層に用いることのできる有機溶剤に可溶な樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ブチラール樹脂、ロジン系樹脂、ハロゲン化ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、尿素樹脂、マレイン酸樹脂、石油系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、アクリルニトリルブタジエン系樹脂、塩酢ビ系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、フマル酸樹脂等が挙げられる。
また、本発明の記録媒体においては、後述するインク吸収層の設けた面とは反対側の面(裏面)に、有機溶剤系塗布液を用いて形成されたバックコート層を有することを特徴とする。
本発明に係るバックコート層を形成する塗布液の調製に用いられる有機溶剤、あるいは上記の樹脂を溶解することができる有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1、2−ジメトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルチミン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸系溶剤、エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等のアミド系溶剤、アセトン、メチエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のセルソルブ系溶剤、スルホキシド系溶剤の他、ピリジン、トリエチルアミン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフランなどを使用できる。これら1種または2種以上を混合して使用してもよい。
上述したような各種有機溶剤が適用することができるが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンのように紙基材中の水素結合性を変化させてる有機溶媒は、むしろカール特性を劣化される恐れがあるため、使用することは好ましくない。
本発明に係るバックコート層においては、有機溶剤に分散可能な無機微粒子を含有することが好ましく、本発明に適用可能な無機微粒子としては、例えば、カオリン、タルク、軟質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、サチンホワイト、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化マグネシウム、ゼオライト、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、加水ハロサイト、リトポンなどを挙げることができる。この際、表面が親水性のものに関しては、あらかじめ疎水化処理をして使用される。上記無機微粒子は、単独でも複数混合して使用してもよい。
本発明の記録媒体において、有機溶剤に可溶な樹脂と有機溶剤に分散可能な無機微粒子で構成される層をバックコート層として付与することにより、インク吸収層が無機微粒子と有機バインダー樹脂からなる空隙型の場合に、表裏の層間での弾性率や吸湿膨張係数が近い値になり、優れたカールバランスを設定しやすくなる。
本発明に係るバックコート層を形成する方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、グラビアコート、ワイヤーバーコート、エアーナイフコート、スライドホッパーコート、カーテンコート、押し出しコート、スプレーコート、ロールコートなどの各種塗布方法が挙げられる。
本発明に係るバックコート層は、紙基材上にキャストコート層を塗布、乾燥させた後に付与することが好ましい。この形成順序を取ることにより、インク吸収層を塗布する際の製造時のカール抑制に対し、好ましい効果を発揮させることができる。
次いで、キャストコート層上に形成されるインク吸収層について説明する。
一般に、インクジェット記録媒体のインク吸収層としては、膨潤型インク吸収層、空隙型インク吸収層が知られているが、本発明においてはいずれの形態も適用することができる。
膨潤型インク吸収層は、主として親水性樹脂から構成されており、親水性樹脂が膨潤することによりインクを吸収する。
膨潤型インク吸収層に適用される親水性樹脂としては、好ましくは、架橋したゼラチンが用いられるが、それ以外の親水性高分子も用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル等のごときセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、セルロース硫酸エステル、デキストリン、デキストラン、デキストラン硫酸塩などの糖誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あるいは、共重合体の如き多種の合成親水性高分子の架橋体を用いることができる。ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを併用してもよく、さらにゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物を用いることもできる。これらの親水性樹脂は、単独で用いても複数の種類を用いても良い。
空隙型インク吸収層は、主に無機微粒子と有機バインダー樹脂とから空隙を形成するもの、異種ポリマーの相分離から空隙を形成するもの、有機微粒子と有機バインダー樹脂で空隙を形成するものなどがある。
本発明においては、空隙層としては平均粒径が100nm以下の各種無機微粒子と有機バインダー樹脂から空隙を形成するものが、インク吸収速度の点から特に好ましい。
インク吸収層の空隙を形成するのに使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の無機顔料が用いられる。
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙型のインク吸収層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径はその投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
濃度の高い画像、鮮明な画像、低コスト化等の観点からすると、無機微粒子としては、気相法により合成された微粒子シリカ、コロイダルシリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子等任意の形状のものを使用することができる。現在、このような気相法によって合成された微粒子シリカには、日本アエロジル社の各種のアエロジルがある。
無機微粒子の平均粒径は、特に制限はないが、100nm以下であることが好ましく、空隙層を形成するために最も適する平均粒径は化合物によって異なる。例えば、上記気相法シリカの場合、無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、4〜20nmが最も好ましい。
本発明に係る空隙層で用いることのできる有機バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの有機バインダー樹脂は、二種以上併用することも可能である。また電離放射線により架橋または重合される有機バインダー樹脂を使用することもできる。
空隙層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機顔料の種類、有機バインダー樹脂の種類に大きく依存するが、一般には、記録媒体1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
本発明に係るインク吸収層において、有機バインダー樹脂(B)に対する無機微粒子(F)の比率(F/B)は3〜50であることが好ましい。質量比が3倍以上であれば、インク吸収層の空隙率は良好であり、充分な空隙容量が得やすい。一方、この比率が50倍以下であれば、インク吸収層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましい有機バインダー樹脂に対する無機微粒子の比率F/Bは、5〜20倍である。
また、ポリマー相分離により空隙を形成する方法としては、ポリマーを良溶媒に溶解した溶液をインク吸収層上に塗布した後、塗布層上に前記ポリマーの貧溶媒をオーバーコートすることで空隙を形成する湿式相転換法、ポリマーと、このポリマーの良溶剤と、この良溶剤よりも沸点が高く、前記ポリマーの貧溶剤を含む塗布液を塗布した後、溶媒を蒸発させて乾燥することによりミクロ相分離を生じて空隙を形成する乾式相転換法がある。
上記方法に適用可能なポリマーとしては、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシドから誘導されるポリマー、セルロース誘導体などが挙げられる。
有機微粒子とバインダー樹脂からなる空隙層において使用される有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。また、バインダー樹脂は、無機微粒子と有機バインダー樹脂からなる空隙層と同様のものが使用できる。
本発明に係る空隙型インク吸収層は、塗膜の単位面積あたり15〜40ml/m2の空隙容量を持つことが好ましい。ここでいう空隙容量とは、単位体積の塗膜を水につけたときに発生した気泡の体積、塗膜が吸収しうる水の体積、または最終的に得られる記録媒体を、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87に規定される「紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)」で測定したときの、接触時間が2秒における液体転移量などで定義される。
本発明に係るインク吸収層には、例えば、染料インクの定着剤や無機微粒子の分散助剤としてカチオン性ポリマーを用いることができる。カチオン性ポリマー例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
また、無機微粒子の分散剤としては上記カチオンポリマーの他に、ポリアクリル酸などのノニオン性、アニオン性のものも使用できる。この場合、染料インクの定着剤は、インク吸収層を塗布した後に上記カチオンポリマーや多価金属塩をオーバーコートすることで付与することができる。
本発明のインクジェット記録媒体のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン、カチオン、非イオン、両性の各界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
インク吸収層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。
本発明の記録媒体のインク吸収層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種のインク吸収層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもできる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
本発明のインクジェット記録媒体を用いた画像記録においては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、本発明では、水性インクを用いる記録方法が好ましい。
本発明でいう水性インクとは、下記の着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体を意味する。本発明のインクジェット記録媒体を用いる、インクとして水性インクを使用した場合に、特に、印字後のコックリングを顕著に改良することができ、本発明の目的効果をいかんなく発揮させる観点から好ましい。
本発明で用いることのできる着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素等の水溶性染料又は水分散性顔料を使用することができる。
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。
その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤などが挙げられる。
水性インク液は、記録媒体に対する濡れ性の観点で、20℃で25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの表面張力を有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体を用いた画像記録に用いることのできるインクジェットプリンタは、インクジェットヘッドとしては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《シリカ分散液S−1の調製》
10%のカチオン性ポリマーP−1水溶液(n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する)の150gに、予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約7nmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を23%含有するシリカ分散液(pH2.6、エタノール0.5%含有)の435gと、ホウ酸3.6g及びホウ砂0.8gを室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、シリカ含有量が18%になるように全量を純水で仕上げて、シリカ分散液S−1を得た。得られたシリカ分散液S−1を、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。シリカ微粒子の平均二次粒径を測定したところ、39nmであった。なお、平均二次粒径は、シリカ分散液を50倍に希釈し動的光散乱法式粒子径測定装置ゼータサイザー1000HS(マルバーン社製)を用いて測定した値である。
Figure 2006116847
《記録媒体の作製》
〔記録媒体1の作製〕
500gの上記シリカ分散液S−1を40℃で攪拌しながら、重合度3500のポリビニルアルコール(クラレ製PVA235)の8%水溶液263gを徐々に加え、最後に純水で全量を1000gに仕上げて、インク吸収層塗布液1を調製した。
次いで、上記インク吸収層塗布液1を上質紙(しらおい 米坪157g 日本大昭和板紙製)に、湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、20℃〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録媒体1を作製した。
〔記録媒体2の作製〕
記録媒体1の作製に用いたインク吸収層塗布液1を、印刷用キャストコート紙(ミラーコートサテン金藤、米坪209.3g 王子製紙製)のキャストコート層上に、湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、20℃〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録媒体2を作製した。
〔記録媒体3の作製〕
酸性処理ゼラチン100gを純水900g中に膨潤させた後、50℃に加温して溶解し、更にテトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン5gを添加して、バックコート層塗布液1を調製した。
上記バックコート層塗布液1を、印刷用キャストコート紙(ミラーコートサテン金藤、米坪209.3g 王子製紙製)のキャストコート層とは反対側の面に、湿潤膜厚が50μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、20℃〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥させてバックコート層を形成した。その後、キャストコート層上に、上記インク吸収層塗布液1を湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、20℃〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録媒体3を作製した。
〔記録媒体4の作製〕
ポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業社製#6000C)100gをメチルエチルケトン900gに溶解してバックコート層塗布液2を調製した。
上記バックコート層塗布液2を、印刷用キャストコート紙(ミラーコートサテン金藤、米坪209.3g 王子製紙製)のキャストコート層とは反対側の面に、湿潤膜厚が50μmになるようにワイヤーバーを使用して塗布、乾燥させてバックコート層を形成した。その後、キャストコート層上に、上記インク吸収層塗布液1を湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、20℃〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録媒体4を作製した。
〔記録媒体5の作製〕
メチル基により疎水処理された一次粒子の平均粒径が12nmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;R−974)200gをメチルエチルケトン800gに攪拌分散させてシリカ分散液S−2を調製した。
メチルエチルケトン400gに、上記シリカ分散液S−2の400gとバックコート層塗布液2の200gを混合してバックコート層塗布液3を調製した。
上記バックコート層塗布液2を、印刷用キャストコート紙(ミラーコートサテン金藤、米坪209.3g 王子製紙製)のキャストコート層とは反対側の面に湿潤膜厚が10μmになるようにワイヤーバーを使用して塗布、乾燥させて、バックコート層を形成した。更に、バックコート層上に、バックコート層塗布液2を湿潤膜厚が40μmになるようにワイヤーバーを使用して塗布し乾燥させた。
その後、キャストコート層上に、上記インク吸収層塗布液1を湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、20℃〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録媒体5を作製した。
〔記録媒体6の作製〕
上記記録媒体4の作製において、印刷用キャストコート紙をインクジェット用キャストコート紙(セイコーエプソン社製フォトプリント紙2)に変更した以外は同様にして、記録媒体6を作製した。
〔記録媒体7の作製〕
純水800gに、フェニルカルバモイル化ゼラチンを40g、ポリビニルピロリドン(分子量36万)を25g、ポリエチレンオキサイド(分子量10万)を12g、界面活性剤(花王製エマルゲン120)を1g、テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタンを2.1g、順次混合、溶解してインク吸収層塗布液2を調製した。
前記バックコート層塗布液2を、印刷用キャストコート紙(ミラーコートサテン金藤、米坪209.3g 王子製紙製)のキャストコート層とは反対側の面に湿潤膜厚が50μmになるようにワイヤーバーを使用して
次いで、キャストコート層上に、上記調製したインク吸収層塗布液2を湿潤膜厚が100μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、20℃〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、膨潤型のインク吸収層を形成して記録媒体7を作製した。
〔記録媒体8の作製〕
酢酸セルロース(酢化度55、粘度平均重合度170)のメチルセロソルブ8%溶液100gに、シクロヘキサノール45gを加えてインク吸収層塗布液3を調製した。
前記バックコート層塗布液2を、印刷用キャストコート紙(ミラーコートサテン金藤、米坪209.3g 王子製紙製)のキャストコート層とは反対側の面に湿潤膜厚が50μmになるようにワイヤーバーを使用して塗布、乾燥して、バックコート層を形成した。
次いで、キャストコート層上に、上記調製したインク吸収層塗布液3を乾燥膜厚が40μmになるように塗布し、35℃、90%RHの雰囲気下で5分間乾燥させた後、120℃で3分乾燥させて、ポリマー層分離型の空隙層を有するインク吸収層を形成して記録媒体8を作製した。なお、得られたインク吸収層の空隙率は55%であった。
《インクの調製》
以下の組成からなる水溶性インクであるシアンインクを作製した。
水 68.5部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12部
ジエチレングリコール 10部
グリセリン 8部
C.I.Direct Blue 86 1部
界面活性剤(信越化学製 サーフィノール465) 0.5部
《インクジェット画像印字》
上記シアンインクを、インクジェットプリンターPM−950C(セイコーエプソン社製)に搭載し、記録媒体1〜8の印字面(インク吸収層塗設面)にシアンのベタ画像を印字した。この画像を、23℃、55%RHの環境下で1時間乾燥させた。なお、各記録媒体は、23℃で1日保存したものを用いて印字した。
《画像の評価》
〔光沢感の評価〕
一般に、光沢感は、表面反射、写像性など複数の要素が関係するため、本発明では銀塩写真(カラーペーパー)の光沢タイプと相対比較し、下記の基準に従って光沢感の評価を行った。
1:銀塩写真以上の光沢感を有している
2:銀塩写真とほぼ同等の光沢感である
3:銀塩写真にはやや劣るが、光沢感は十分感じられる
4:銀塩写真には明らかに劣るが、光沢感はわずかに感じられる
5:光沢感がまったく感じられない
〔吸液量の測定〕
上記記録媒体の作製において、インク吸収層を付与する前のキャストコート層の液体吸収性について、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87;「紙または板紙の液体吸収性試験方法」に準じて、ブリストー法により、接触時間10秒での水転移量(ml/m2)を測定した。
〔カールの測定〕
カールは、各記録媒体を塗布方向を縦方向にしてA4サイズに断裁し、23℃で相対湿度が20%、55%、80%の各環境条件下で、水平な台の上に1時間および1日放置し、4隅の持ち上がりの高さを測定し、各測定条件を通じて、その最大値をカール(mm単位)とした。なお、各記録媒体は4隅が持ち上がる状態になる向きに放置し、インク吸収層面を上にしたときに4隅が持ち上がる場合を+カール、この逆向きを−カールとして表示した。カールの絶対値が10mm以上になると、プリンターでの印字時にヘッドと接触して、端部がインクで汚れてしまうという故障が発生しやすくなる。
〔コックリング耐性の評価〕
シアンのベタ画像を印字した面及び未印字面を目視観察し、下記の基準に従ってコックリング耐性の評価を行った。△以上であれば実用上許容範囲にあると判断した。
○:表面のうねりは全く認められず、美観を損なうことはない
△:表面に僅かなうねりは認められるが、美観を損なうことはない
×:表面に大きなうねりが認められ、明らかに美観を損なう
〔インク吸収性の評価〕
各記録媒体のシアンのベタ画像印字部を目視観察し、下記の判定基準に従いビーディング耐性の評価を行い、これをインク吸収性の尺度とした。1〜3のランクであれば実用上許容の範囲であると判断した。
1:30cmの観察距離でも印字画像のムラが全く認められない
2:30cmの観察距離では印字画像のムラがやや認められるが、45cmの観察距離では印字画像のムラは全く認められない
3:45cmの観察距離では印字画像のムラがやや認められるが、60cmの観察距離では印字画像のムラは全く認められない
4:60cmの観察距離では印字画像のムラがやや認められる
5:60cmの観察距離では印字画像のムラがはっきりと認められる
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2006116847
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の記録媒体は、比較例に対し、近似のインク吸収性を有し、カール、光沢感、コックリング耐性に優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. 紙基材の片面にキャストコート層を有し、さらに該キャストコート層上にインク吸収層を有し、該紙基材を挟んで該インク吸収層の塗設面とは反対側の面に、有機溶剤に可溶の樹脂を含有するバックコート層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 紙基材の片面にキャストコート層を有し、さらに該キャストコート層上にインク吸収層を有し、該紙基材を挟んで該インク吸収層の塗設面とは反対側の面に、有機溶剤系塗布液を用いて形成されたバックコート層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  3. 前記バックコート層が、有機溶剤に分散可能な無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記インク吸収層が、空隙構造を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記空隙構造が、少なくとも無機微粒子と有機バインダー樹脂とから形成されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 紙基材の片面にキャストコート層を形成した時の該キャストコート層面のJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87;「紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)」に準じて測定される接触時間10秒における吸水量が15ml/m2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体を製造するインクジェット記録媒体の製造方法であって、紙基材にキャストコート層を形成し、次いで有機溶剤系塗布液を用いてバックコート層を塗布、乾燥した後にインク吸収層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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