JP2006111528A - 固体水酸化ナトリウム製造における腐蝕を減少させる方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体水酸化ナトリウムを製造するために使用されるエバポレーターにおける腐蝕を減少させる方法を提供する。
【解決手段】本法は、水素化ホウ素ナトリウムを水酸化ナトリウム水溶液に添加すること、及び300℃から450℃の温度を有する接触表面上で該水酸化ナトリウム水溶液から水を蒸発させることを含む、固体水酸化ナトリウムを製造するために使用されるエバポレーターにおける腐蝕を減少させる方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、一般的には、水酸化ナトリウム水溶液の濃縮により固体水酸化ナトリウムを製造するために使用される装置における腐蝕を減少させるための方法に関する。
濃縮された水酸化ナトリウム水溶液(苛性アルカリ)は、食塩水の電気分解、及び濃縮(45〜50%)水酸化ナトリウム水溶液を製造するためのエバポレーター中での濃縮により商業的に製造される。水素化ホウ素ナトリウムの添加による、エバポレーターにおける腐蝕を減少させるための方法は、米国特許第4,585,579号に開示されている。固体水酸化ナトリウムは、約75%までの初期蒸発、その後、固体を取り扱うよう設計されたエバポレーター中での更なる濃縮を伴う、たいてい二段階の、苛性アルカリから水の更なる蒸発により、典型的には約98%の純度で製造される。固体物質を製造するのに使用されるエバポレーターは、他のエバポレーターより高い濃度の水酸化ナトリウム水溶液と接触し、且つ固体水酸化ナトリウムとも接触する。更に、液体水酸化ナトリウム製品は100〜165℃において稼動するエバポレーターにおいて製造されるのに対し、固体水酸化ナトリウムを製造するのに使用されるエバポレーターでは、よりかなり高い温度が採用される。また、固体水酸化ナトリウムの製造には、かなり高い乱れが付随する。固体生成物を製造するのに使用されるエバポレーターにおいてニッケル又はニッケル含有合金の腐蝕は、固体水酸化ナトリウム中に望ましくないニッケル汚染を引き起こす。腐蝕された装置の保全及び交換は、費用が嵩み、生産高に対し悪影響を及ぼし得る。
米国特許第4,585,579号明細書
本発明において検討される課題は、固体水酸化ナトリウムを製造するのに使用される極端な条件下のエバポレーター装置の腐蝕である。
本発明は、固体水酸化ナトリウムを製造するために使用されるエバポレーターにおける腐蝕を減少させる方法に関する。本法は、水素化ホウ素ナトリウムを水酸化ナトリウム水溶液に添加すること、及び300℃〜450℃の温度を有する接触表面上で、水酸化ナトリウム水溶液から水を蒸発させることを含む。
他に特別の断りのない限り、本明細書における全てのパーセンテージは重量パーセンテージで規定され、温度は℃である。
水素化ホウ素ナトリウムは、濃縮された水酸化ナトリウム水溶液(苛性アルカリ)に任意の形態で添加され得る。例えば、水酸化ナトリウムを含有する、水素化ホウ素ナトリウムの安定化された水溶液ばかりでなく、固体の水素化ホウ素ナトリウムも使用され得る。好ましくは、これらの安定化された溶液は、1〜25%水素化ホウ素ナトリウム及び15〜50%水酸化ナトリウムを含有する。より好ましくは、水素化ホウ素ナトリウムの安定化された水溶液は、10〜25%の水素化ホウ素ナトリウム及び15〜45%水酸化ナトリウムを含有する。安定化された水素化ホウ素ナトリウム溶液の一例は、約12%水素化ホウ素ナトリウム及び40%水酸化ナトリウムを含有する溶液である。約20%水素化ホウ素ナトリウム及び20%水酸化ナトリウムを含む、他の安定化された水素化ホウ素ナトリウム溶液も好適であろう。上記した形態のいずれかにおいて提供される水素化ホウ素ナトリウムは、苛性アルカリ生成物流への添加の前又は過程において水酸化ナトリウム水溶液で希釈され得る。
本発明の方法において、水素化ホウ素ナトリウムは苛性アルカリ中少なくとも10ppmではあるが、500ppmを超えない水素化ホウ素ナトリウム濃度を生成するに十分な量で苛性アルカリに添加される。添加された水素化ホウ素ナトリウムの濃度は、エバポレーターの的確な稼動条件に応じてこの範囲内で変化する。好ましくは、添加される水素化ホウ素ナトリウムの濃度は少なくとも15ppmであり、より好ましくは少なくとも20ppmである。好ましくは、添加される水素化ホウ素ナトリウムの濃度は200ppmより高くなく、及び最も好ましくは100ppmより高くない。添加後の苛性アルカリ中の水素化ホウ素ナトリウムの実際の濃度は、水素化ホウ素ナトリウムを消費する反応により、上記の値よりは低いと思われ、零の可能性もある。典型的には、液体水素化ホウ素ナトリウムは苛性アルカリ抵抗性の投与ポンプを使用して添加される。水酸化ナトリウム水溶液、例えば、20〜40%水酸化ナトリウムでの液体水素化ホウ素ナトリウムの希釈は、水素化ホウ素ナトリウムの物質移行を改善するという利便性を増加することができる。水素化ホウ素ナトリウム含有溶液は、装置が添加剤の導入を許容する任意の点において苛性アルカリ処理流に注入することができる。一つの好ましい添加点は、蒸気熱交換器の前である。好ましくは、添加は、約75%までの苛性アルカリの予備濃縮後に行われる。
本発明の方法は、接触表面、即ち液体水酸化ナトリウムと接触し、300℃〜450℃の温度を有する表面を有し、水酸化ナトリウムによる腐蝕を受ける任意のエバポレーターに適用可能である。エバポレーター接触表面用の構成材料としては、例えば、低‐炭素ニッケルをはじめとするニッケル合金;ニッケル;及びE‐Brite(商標)をはじめとするステンレス鋼が挙げられる。本発明の好ましい態様において、接触表面は低‐炭素ニッケルで構成される。固体水酸化ナトリウムの製造に使用される典型的なエバポレーターは強制通風エバポレーターである。
本発明の方法は、300℃から450℃の接触表面温度において運転されるエバポレーターに適用可能である。好ましくは、温度は少なくとも350℃である。好ましくは、温度は400℃より高くない。
濃縮された苛性アルカリ(75%NaOH)は、12%水素化ホウ素ナトリウム及び40%水酸化ナトリウムを含有する溶液、20%水素化ホウ素ナトリウム及び20%水酸化ナトリウムを含有する溶液、及び蟻酸(水性水素化ホウ素ナトリウム製造装置における腐蝕を減少するのに公知の化合物)で処理された。処理された苛性アルカリは380℃の接触表面温度において強制通風エバポレーター中において蒸発させられた。苛性アルカリの任意の処理なしで、蟻酸による処理により生成された固体水酸化ナトリウム生成物及び水素化ホウ素ナトリウムによる処理により生成された固体水酸化ナトリウム生成物は、高周波誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP)により、処理前(初期Ni濃度)及び処理後(最終Ni濃度)においてニッケル含量が分析され、下記表において示される結果を与えた。
Figure 2006111528
備考:生成物中のNi初期濃度は幾分変化した、おそらくこれは、少なくとも部分的には、75%苛性アルカリ中に存在するNiのレベル変動に由来するものである。報告された最終Ni濃度は、NaBHの添加後、通常は数日後に達成されたほぼ定常状態のレベルの平均である。逆算した、固体苛性アルカリ中のホウ素濃度の分析は、多少のホウ素がエバポレーター表面との反応において消費されることを見出した。例えば、75%苛性アルカリを基準にした23ppmNaBHの処理速度から、全てのホウ素が濃縮されて、固体NaOH中に残存すれば、最終固体NaOH生成物において31ppmのホウ素(NaBHとして計算)を与えるであろうと予期される。代わりに、固体NaOH生成物中の総ホウ素を基準にすると、NaBHの濃度は14ppmであった。同様に、液体苛性アルカリにおいて30ppmの処理速度は、固体NaOH中に40ppmをあたえることが予期される。しかしながら、実際のホウ素含量はNaBHとして計算して、僅か24ppmであった。

Claims (7)

  1. 水素化ホウ素ナトリウムを水酸化ナトリウム水溶液に添加すること、及び300℃から450℃の温度を有する接触表面上で該水酸化ナトリウム水溶液から水を蒸発させることを含む、固体水酸化ナトリウムを製造するために使用されるエバポレーターにおける腐蝕を減少させる方法。
  2. 水素化ホウ素ナトリウムが、該水酸化ナトリウム水溶液中において少なくとも10ppm、かつ500ppmを超えない濃度で該水酸化ナトリウム水溶液に添加される、請求項1に記載の方法。
  3. 水素化ホウ素ナトリウムが安定化された水溶液として提供される、請求項2に記載の方法。
  4. 温度が350℃〜400℃である、請求項3に記載の方法。
  5. エバポレーターの接触表面がニッケル合金で構成される、請求項4に記載の方法。
  6. 安定化された水溶液が1〜25%の水素化ホウ素ナトリウム及び15〜50%水酸化ナトリウムを含有する、請求項5に記載の方法。
  7. 該水酸化ナトリウム水溶液が75%の初期濃度を有する、請求項6に記載の方法。
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