JP2006110583A - パルスレーザ光による加工方法およびパルスレーザ光による加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パルスレーザ光の照射に、未発光ショットが発生しても、その場で再発光操作させ、正確で欠陥のない加工が可能なパルスレーザ光によるレーザ加工方法およびその装置を得ること。
【解決手段】レーザ光源41からパルス発振されたレーザ光40を被加工体47に照射して加工するレーザ加工方法およびレーザ加工装置において、加工状態を光検出器49で監視し、ミスレーザ照射を検出したとき、その場で再度レーザ光源41を発振制御してレーザ加工する。正常加工を検出したとき、次の加工位置にレーザ照射する。
【選択図】 図2

Description

本発明は,パルスレーザ光による加工方法、並びにこの方法を実施するためのパルスレーザ光による加工装置に関するものである。
パルスレーザ光であるエキシマレーザを用いた加工技術は、アブレーション(蒸散)、加熱、溶融などのプロセス用途に広く研究開発されている。近年、特にアブレーション技術は、プラスチックなどのやわらかい有機物や、難加工材と呼ばれるセラミック、石英など、広範囲に検討されている。エキシマレーザは高いフォトンエネルギー(5eV以上)を持つため分子間の結合に直接作用することから、高い加工性能が実現される。応用例として、ファイバーグレーティング形成のための石英アブレーション、インクジェットプリンタなどのノズル加工などが挙げられる。
通常レーザ加工においては、連続処理が成されるものであり、仮にレーザ照射の光強度が正常でなくても、処理は継続され、後ほど、再度その部分を加工(修復)する方法がとられている。例えば、レーザ光の照射光強度が正常でなければ、正常でない加工点に戻って再度レーザ照射をする加工法が特許文献1に記載されている。
また近年、特に非晶質膜を多結晶化するためのエキシマレーザアニール(この場合、レーザ加工は加熱によるものである)技術はパルスレーザ光による加工技術として、液晶ディスプレイなどの駆動素子に用いられている薄膜トランジスタの高性能化技術に利用されている。
特開2001−246484号公報。
いずれの応用においても、ミクロンオーダーの微細加工が求められており、1回のレーザ照射に何らかの原因でレーザ発振に不具合があった場合、レーザ装置に何らフィードバックされなければ、加工不良の問題が生じる。具体的にはレーザ照射がされなかった場合やレーザ照射の光強度が設定値より低かった場合に加工の不十分な領域が発生し、最終製品の良品率(歩留まり)の低下を招いている。
また他のパルスレーザ加工用途であるレーザアニールによる結晶化においても、レーザ光が照射されなかった部分があったり、レーザ光の照射光強度が少なかった部分があったりすると、その部分が全く結晶化しなかったり、結晶化や活性化が不十分となるため目標とする特性の均一性や電気特性が得られず、大きな問題となっている。
また半導体分野以外でレーザ加工方法を使用している分野、例えばインクジェットプリンタにおけるインクジェットヘッドのインク吐出孔部分の加工にレーザ加工方法を使用している場合には、一部についてレーザ光が照射されなかったり、レーザ光の照射光強度が少なかったりすると、孔の開口がなされなかったり、孔加工が不十分であったりし、ここでも歩留まりの低下を招き大きな問題となっている。
通常、エキシマレーザにおいては、紫外光の加工性の高さを持つ半面、発振特性に不安定さを持っている。具体的には外部よりトリガー信号を入力しているにもかかわらず発振しない、又は光強度が極端に弱い(例えば設定値の半分以下)という問題が発生している。これはエキシマレーザがガス中での高電圧放電によるシステムでパルス発振するためで、エキシマレーザに使用している「サイラトロン」という電流素子の特性であり、現在防ぎ様が無い。サイラトロンを使用しないエキシマレーザも開発されてきているが、電源回路に負担が大きいために信頼性低下やコストの上昇が生じる。
この問題は、加工プロセスにおいて、加工形態の大きなばらつきとなって現れるため、量産化の支障となっている。
ここで言う「未発光ショット」とは、加工が不完全となるショットを示しており、「完全にレーザ光が発生しない場合」と、「光強度が低かったり発光時間が短かったりする場合」の両方を含んでいる。
レーザ光のショットが、未発光ショットか否かを判定する方法には、特許文献1に記載されているような、レーザ光源と被加工材の間にレーザ光強度監視用に光を一部分岐させる光学部品を置いて分岐光の監視を行う方法が一般的である。監視された分岐光の強度が正常でないと判定されれば、正常でない加工点に戻って再度レーザ照射をする加工が考えられる。しかしながら上記文献での加工方法は、以下の2点の問題がある。すなわち、第1に、レーザ光強度の監視位置が被加工材表面ではないから、正確な被加工材表面でのレーザ光強度が把握できないという問題がある。第2に、X−Yステージを移動させて異常な加工点に戻って再度レーザ照射をすることは、数十μmの粗い加工であれば問題ないが、0.1〜1.0μm程度の加工ポイントの位置精度が必要な微細加工では、機械的精度に限界があるから、均一な加工ができない課題がある。
本発明は上記の課題に基づいてなされたもので、その目的は、レーザ光源によるパルスレーザ光の照射に、未発光ショットが発生してもその場で再発光操作させ正確で欠陥のない加工が可能なパルスレーザ光によるレーザ加工方法およびパルスレーザ光によるレーザ加工装置を提供することである。
かくして、本発明の一態様に係わるレーザ光源から出射されたパルスレーザ光を被加工体の予め定められた位置に、前記パルスレーザ光による照射位置と前記被加工体とを相対的に移動させて、順次照射して加工する加工方法は、前記レーザ光源から出射された前記パルスレーザ光毎に、前記被加工体によって反射された光の光強度を監視する工程と、前記監視された前記光強度が正常のとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する工程と、前記監視の結果、前記光強度が不足のとき、再度前記被加工体の不足位置に照射する工程と、前記光強度が不足のときの前記パルスレーザ光による前記照射位置を光強度不足照射位置情報として記憶する工程と、を具備してなることを特徴とする。
上記のような方法によれば、従来の欠点が解決され、例えば、歩留まりが優れた被加工体を提供する。
前記パルスレーザ光毎に光強度を監視する工程は、好ましくは、監視する光強度があらかじめ設定された光強度以下のとき前記光強度が不足と判定する。
上記のような方法によれば、従来の欠点が解決され、例えば、歩留まりが優れた被加工体を提供する。
前記被加工体によって反射された光は、好ましくは、前記被加工体によって反射される前記パルスレーザ光、または前記レーザ光源とは異なるプローブ光源から発せられた光が前記被加工体によって反射されたものである。
前記被加工体に照射されるパルスレーザ光は、好ましくは、ホモジナイズ光学系により前記パルスレーザ光の2次元平面の強度が均一化されている。
上記のような方法によれば、従来の欠点が解決され、例えば、歩留まりが優れた被加工体を提供する。
前記監視の結果は、好ましくは加工中に表示され、記憶媒体に記録され、並びに/またはプリンタに出力される。
上記のような方法によれば、従来の欠点が解決され、加工中に装置に表示され、又はレーザ加工装置、記録媒体、並びに/またはプリンタ出力に処理履歴が残ることにより、不良や歩留まり解析が容易になることにより、優れた被加工体を提供する。
本発明の他の態様に係わるレーザ光源から出射されたパルスレーザ光を被加工体の予め定められた位置に、前記パルスレーザ光による照射位置と前記被加工体とを相対的に移動させて、順次照射して加工する加工方法は、前記レーザ光源から出射された前記パルスレーザ光毎に照射位置の加工状態を光学的に監視する工程と、前記監視の結果、正常加工のとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する工程と、
前記監視の結果、非正常加工とき、再度前記被加工体の非正常加工位置に照射する工程と、前記非正常加工のときの前記パルスレーザ光による前記照射位置を非正常加工照射位置情報として記憶する工程と、を具備してなることを特徴とする。
上記のような方法によれば、従来の欠点が解決され、例えば、歩留まりが優れた被加工体を提供する。
本発明の更に他の態様に係わるパルスレーザ光による加工装置は、パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、このレーザ光源が発振するレーザ光のニ次元平面の強度を均一化するためのホモジナイザ光学系と、前記被加工体によって反射された光の強度を監視する監視手段と、前記監視手段により監視の結果、前記光強度が正常と判定したとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する手段と、前記監視の結果、前記光強度が不足と判定したとき、再度前記被加工体の不足位置に照射する手段と、を具備してなることを特徴とする。
本発明の更に他の態様に係わるパルスレーザ光による加工装置は、パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、このレーザ光源から出射されたレーザ光の2次元平面の強度を均一化するためのホモジナイザ光学系と、均一化されたレーザ光を被加工体に照射してこの被加工体をレーザ加工する加工手段と、前記レーザ光源から出射された前記パルスレーザ光毎に照射位置の加工状態を光学的に監視する光学的監視部と、前記監視の結果、正常加工のとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する第1の照射手段と、前記監視の結果、非正常加工とき、再度前記被加工体の非正常加工位置に照射する第2の照射手段と、を具備してなることを特徴とする。
上記のような方法によれば、従来の欠点が解決され、例えば、歩留まりが優れた被加工体を提供する。
本発明によれば、レーザ光源によるパルスレーザ光の照射に、未発光ショットが発生しても、その場で再発光操作させ、正確で欠陥のない加工が可能なパルスレーザ光によるレーザ加工方法およびパルスレーザ光によるレーザ加工装置を得ることができる。
次に、本発明実施形態の目的について、図1を参照して説明する。まず初めに、本エキシマレーザ加工装置における良・不良、すなわちレーザ光の照射光強度が正常か異常かを判定する基準となる判別実験について記載する。光源からのレーザ光をホモジナイザなどによって均一化し、図1(a)に示す2次元平面において矩形の、レーザ光強度の均一なビーム31に整形した。このとき、32の線で示す方向の一次元光強度分布を図1(b)に、33の線で示す方向の一次元光強度分布を図1(c)に示す。このようなビーム31を、一定の光強度、例えば700mJ/cm2のレーザ光強度で被加工体47例えばプラスチック基板やポリイミド基板等の樹脂基板(この場合はポリイミド基板)に照射してアブレーション加工を行った。
上記被加工体47上では、図1(d)に示すように左上から1ショットの照射を行方向に上記基板とビーム31とを相対的に移動させて行い、1行の1ショットの照射列が終わると既に照射した領域に重ならない位置まで列方向に移動させたのち次の行方向へ移動して再び1ショットづつ順次行方向に照射位置「1」「2」…と移動させて一定の間隔で照射した。そして2行目も右端まで到達したら、次の下列の3行目左端に移動し、同様に再び右端まで照射した。このように、同一の強度でステージX,Yを連動させて一定の間隔で照射した。その様子を図1(d)に示す。この照射とあわせて、レーザ装置の各パルス発振出力の光強度を、レーザショットの照射位置と対応付けてメモリに加工履歴として記録した。
ここで上記したプロセスで照射された被加工体47を検査してみると、図1(d)の34に示す照射位置でアブレーションが、全く起こっていないショットが存在することが明らかになった。このショット位置での、レーザ装置の発振強度の記録と照合したところ、エキシマレーザの発振強度が極端に小さいことが判明した。詳査した結果、34に示す照射位置は、未発光ショットが原因であった。
本願発明者は、このような未発光ショットには、加工の為の光強度が不足することが原因でアブレーション処理による加工が出来ない場合や、アブレーション面積が小さいもしくはアブレーションが不十分な部分の発生などの非正常加工が発生する場合のあることが判った。
このような非正常加工を防止するために、次のようなパルスレーザによる加工装置やパルスレーザによる加工方法は、正確に欠陥のない加工が可能なレーザ加工面を全面に渡って得ることが出来る。さらに、歩留まりが優れた被加工体を得ることができ、更に具体的には、アブレーション加工工程に用いれば、アブレーションされない部分やアブレーションが不十分な部分が低減又は皆無となり、歩留まりを改善することができる。
第1の実施の形態
次に、パルスレーザ光によるレーザ加工装置およびパルスレーザ光によるレーザ加工方法を、図2を参照して説明する。図2は、パルスレーザ光によるレーザ加工装置のシステム構成図である。これら例では,パルスレーザ光源として大出力のエキシマレーザ光源41(例えば,XeCl,KrF,ArFなど)を用いるが、必ずしもこれらに限定されることはなく、QスイッチのYAGレーザの3次高調波、4次高調波など、固体レーザを用いても良い。
図2に示すように、パルスレーザ光40を射出するエキシマレーザ光源41の出射光路には、パルスレーザ光40の光強度を制御するためのアッテネータ42と,レーザ光の2次元平面の強度を均一化するホモジナイズ光学系43とを順次配設する。
尚、符号55で示す位置は,ホモジナイズ光学系43の一次結像面(焦点面)であり、この位置にホモジナイズ光学系で均一化されたレーザ光の強度分布を整形する光学素子44を配置する。光学素子44は光強度分布を整形する機能を有した光学部品であり、例えば矩形状に開口部を有する金属マスクや、石英等の透過光学部品に非透過性の材料を蒸着し、矩形状に非透過性材料をエッチング除去した石英等を母材とした光学マスクでも良い。また石英等の母材の表面をエッチングや膜堆積などを行って凸凹形状とした位相変調素子や光学回折素子でもよい。
ホモジナイズ光学系43の射出側光路には、パルスレーザ光40の90度反射を行うミラー45を設けている。このミラー45で反射されたパルスレーザ光40は投影レンズ46を通過し、この投影レンズ46の焦点位置に設けられた被加工体47である基板の表面で再び結像する(2次結像面56)。その結果、X−Yステージ48に載置された被加工体47は加工される。
また一方、被加工体47にて反射したパルスレーザ光40の一部40Aは、レンズ40Bで集光されて光強度を検出するための光検出器49にて受光される。ここで反射は、180度に反射する反射光が一番強度が強いが、照射されるパルスレーザ光は強度が強く、また被加工体47の表面状態や構造により、他の角度に対しても反射光を生じるので、この反射光には被加工体47の加工状態の情報が含まれている。
その受光光信号強度は、信号線50を介して光強度検出信号の分析および結晶化装置を自動的にプロセスを実行させるための制御を行うコンピュータ51に入力される。
この光強度検出信号の分析結果をコンピュータ51が判定し、この判定結果によりコンピュータ51は、信号線53を介してステージ48を移動制御するための駆動機構DMへ移動信号を送ったり、信号線52を介してレーザ光源41へ発振制御信号を送ったりする。コンピュータ51が判定の結果、光強度が既定値以上の正常と判定したときレーザ光40と被加工体47とを相対的に移動させて次の照射位置に移動制御する。
レーザ光照射位置が、次の被加工位置に位置決めされたとき、コンピュータ51は、レーザ光源41を発振制御する。他方、コンピュータ51が判定の結果、光強度が不足と判定したときコンピュータ51は、レーザ光40と被加工体47との相対的位置を停止状態でレーザ光源41を再度発振制御する。
次に、この実施形態の装置の特徴である光検出器49について詳しく述べる。ここで光検出器49に反射光40Aを集光するレンズ40Bは、光検出器49に光を導く方法の1つで、凸レンズでもシリンドリカルレンズでもよい。また被加工体47と光検出器49との間には、検出感度をコントロールするために減光板を挿入したり、波長フィルタを挿入したりしても良い。
光検出器は例えばOPHIR社製、型番:PE50BBなるパワーメータを使用している。しかしながら光検出器49はこの機種に限定されるものではなく、十分な光感度とダイナミックレンジを有する光検出器であればよい。またエキシマレーザ光に対し光感度を有さなくても、通常の可視光領域に検出感度を有し、当該光検出器49の前面に、紫外を可視光に変換するフィルタや紫外光照射によりエキシマレーザ波長より長波長側の可視光領域の蛍光を発する蛍光物質が塗布された波長変換板を使用することによりエキシマレーザ光を可視光として検出することとした光検出器を用いても良い。
光検出器49にて検出された光強度値は、コンピュータ51に入力される。コンピュータ51は、予め定められた被加工体47をアブレーション加工するために必要な光強度である既定値と比較し、既定値以上か、不足かで予め定められた処理の制御をする。そのプロセスフローチャートを示したものを図3に示し、次に図3のフローチャートを参照して説明する。図1および図2と同一部分には、同一符号を付与し、その説明は、重複するので省略する。
はじめに、コンピュータ51は、処理される被加工体47である基板の処理情報例えば照射位置情報たる例えば図1(d)に示すようなx−yの座標情報をステージ48の制御データとして呼び出すプロセス61(P−61)を行う。次に、予め決められた正常照射値である上記既定値を呼び出すプロセス62(P−62)を行う。これらの呼び出しは、サブルーチンを介して行う。上記既定値のデータに関しては、コンピュータ51内に設けられている記憶装置(フロッピー(登録商標)ディスク、シリコンメモリ、ハードディスク(HD)、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)、DVD等の記憶媒体)に予め記憶されている。上記呼び出しは、この記憶装置から読み出す。
次に、コンピュータ51は、被加工体47がレーザ照射を受けるべき位置となるよう、ステージ48を予め定められたプログラムにより指定のX、Yの座標位置へ移動させるプロセス63(P−63)を行う。
次に、コンピュータ51は、レーザ光源41を発振制御し、1回目のレーザ照射プロセス64(P−64)を行う。それと同時に、レーザ光強度を光検出器49にて測定するプロセス65(P−65)を行い、その検出された値(光検出値)を、信号線50を介してコンピュータ51に送り表示するプロセス66(P−66)を行う。
そして、光検出器49が検出した光検出値は、上記既定値の範囲内かを判定する(P−67)。プロセス67(P−67)での判定は、光検出器49が検出した光検出値と、上記既定値と比較し、比較された光検出値が上記既定値の範囲内にある場合(正常照射)、コンピュータ51はプログラムの終了を判定するプロセス68(P−68)を行う。プロセス68(P−68)による判定の結果、加工プロセスが終了でなければ、次の照射位置の加工プロセスを実行する。即ち、再び被加工体47が次のレーザ照射を受けるべき位置となるように、次の照射位置への照射工程を行うため、ステージ48を移動させる指令信号を送出し、駆動装置DMはその指令に従いステージ48を移動させて処理を継続する。
一方、検出された光検出値が既定値の範囲内に無い場合(非正常照射)、つまりレーザ照射が起こっていないか、又はそのレーザ光強度が既定値に比べて小さい場合、その場で再度レーザ光源41に対してレーザ光を照射させるために、コンピュータ51は、次の制御を行う。コンピュータ51は、駆動装置DMに対しステージ48への移動の指令信号は送らず、再度レーザ照射を行うアラート表示のプロセス69(P−69)を行った後、被加工体47は移動させずに、再度パルスレーザ照射のプロセス64(P−64)を行う。その際にも光検出器49は、パルスレーザ光の光強度を検出し、正常照射か非正常照射かの判定をする。
コンピュータ51は、検出された光強度値と既定値と比較照合して判定し、既定値の範囲内にある場合には、次プロセスのため、ステージ48を動かす指令信号を駆動装置DMに送出する。この駆動装置DMは、その指令に従いステージ48を動作させ次の被加工位置に被加工体47を移動させる。被加工体47の移動を確認したのち、コンピュータ51は、レーザ光源41を発振制御してレーザ光40を発生させ次のアブレーション処理を継続する。
ここで、連続して未発光ショットが発生したり、同一被加工体47内で、未発光ショット回数が通常処理と比較して異常に多い場合には、レーザ発振、光学部品等に何らかの問題がある事が考えられるので、コンピュータ51は警告(アラート)に表示し、作業者に知らせたり、装置稼働状況を管理しているコンピュータ51に警告信号を送出する機能を有しても良い。警告(アラート)表示は、レーザ光源41の発振制御回数に対する検出された光強度値が既定値の範囲内に無い場合の確立を計算し、常に表示するようにしてもよい。
更にパルスレーザ光の照射光強度が、既定値の範囲外にある場合には、当該加工位置情報をコンピュータ51の記憶装置に記憶する。この加工位置情報の記憶は、加工後の検査工程において、再確認する際に有効である。
被加工体47の処理すべき全ての部分に対し処理がなされた場合には、終了判断がなされ、当該被加工体47である基板の処理を終了する。その場合、被加工体47に対する処理状況および処理履歴を残すために、被加工体47に対する処理の際の既定値、光検出器の光検出値をデータとして、記憶装置(フロッピー(登録商標)ディスク、シリコンメモリ、ハードディスク、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)、DVD等の記憶媒体)に保存し、またプリンタ等へ出力する工程を経て、その後、当該被加工体47は回収され、次の被加工体47がステージ48に載置され同様な処理が継続される。
ここで予め定められた既定値は、実験により事前に求められた値、もしくは実験値に基づく近似計算式によって与えられた値又は前回の加工値などである。既定値は対象とする被加工体47の作製条件(組成など)の影響を受ける。これはレーザアブレーション現象が、当該被加工体47の光化学的反応と大きく関係する為であり、その状況は構成分子の結合状態の影響を受けるためと考えられる。
さらに日々の環境変数(温度、湿度等)とエキシマレーザ光源41の個体差、使用頻度や劣化状況、個々の光学部品の反射率、透過率の個体差などの値もこの既定値に反映されるものであり、個々の加工装置ごとに異なる値が設定される。またこの既定値は日々変化するものでもあるので(環境変数やレーザの使用頻度、劣化状況が関係しているため)処理された被加工体47の処理状況をフィードバックされるものでもある。実際には被加工体47のアブレーションの状況をモニタリング用の標準基板を用意し、定期的に断差評価(接触型段差計、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡、干渉顕微鏡)、アブレーション状況(処理前後の光反射率の変化)などの評価実験を行い確認して、既定値に反映される。
次に、図2のコンピュータ51によるアブレーション工程の制御系を、図4を参照して説明する。図4は、コンピュータ51のシステム構成図である。図2と同一部分には、同一符号を付与し、その詳細な説明は、省略する。
バスライン300には、入・出力手段301が接続され、予め記憶された操作プログラムにより結晶化プロセスを実行する中央制御装置(以下CPUと略す)302が接続され、予め定められた操作プログラムを記憶するメモリ303が接続され、入・出力情報を表示する表示装置304が接続されている。
バスライン300には、さらにアブレーション加工するための制御信号を出力する制御・分析用の計算機(PC)305が接続され、被処理基板が載置されるステージを予め定められた手順で自動的に移動するためのプログラムが記憶されたステージ駆動機構情報記憶装置306が接続され、アブレーション加工のためのパルスレーザ光を出力するパルスレーザ光源41を制御するプログラムが記憶されたレーザ装置制御用情報記憶装置307が接続されている。
さらに、バスライン300には、パルスレーザ光源41から出射された各パルスレーザ光の光強度を測定し、この測定値から次の照射位置にパルスレーザ光を出射するか、再びパルスレーザ光を出射するかを判定するプログラムが記憶された測定・分析用情報記憶装置308が接続されている。さらにまた、バスライン300には、予め求められたアブレーション加工するための光強度を正常光強度情報として記憶する正常レーザ光情報記憶装置309が接続されている。
次に、図2および図4を参照してアブレーション加工工程の実施形態を説明する。先ず、アブレーション加工工程を実行する前にCPU302は、メモリ303に記憶されているプログラムを読み出しレーザ光40の光路から被加工体47や、この被加工体47を支持するステージ48を予め定められた退避位置に移動制御し、被加工体47の位置合わせをする。次に、CPU302は、メモリ303からアブレーション加工プログラムを読み出し、レーザ光源41からアブレーション加工用の光強度に設定されたパルスレーザ光の出射制御をする。
出射されたレーザ光は、光学系を介して被加工体47に出射されると共に被加工体47から反射した一部のレーザ光は、光検出器49により検出される。CPU302は、この光検出器49により検出された光強度情報を、入・出力手段301を介してメモリ303に記憶する。CPU302は、測定・分析用情報記憶装置308から読み出したプログラムにより、正常レーザ光情報記憶装置309から結晶化のために予め求められた正常光強度情報を読み出し、上記検出された光強度情報と比較照合し、正常範囲内の光強度か、外かの判定情報を出力し、メモリ303に照射位置情報に関連付けて記憶する。
CPU302は、正常範囲内の光強度と判定したとき、この結果を表示装置304に表示すると共に、正常レーザ光情報記憶装置309に記憶する。と同時に、CPU302は、ステージ駆動機構情報記憶装置306からステージ48を移動するためのプログラムを読み出し、次の照射位置にステージ48を移動させる制御情報を駆動機構DMに出力する。
他方、CPU302は、正常範囲外の光強度と判定したとき、この判定情報を出力異常として、この結果を表示装置に表示すると共に、測定・分析用情報記憶装置308に記憶する。と同時に、CPU302は、レーザ装置制御用情報記憶装置307からレーザ装置制御用プログラムを読み出し、レーザ光源41を制御して再度レーザ光の出射制御をする。
このとき、CPU302は、ステージ48を停止駆動して、再打ち込み制御するか、次のレーザ光の出射期間内に再打ち込み操作を実行することができる。このような加工工程を繰り返して、広範囲のアブレーション加工工程を実行する。
次にアブレーション加工の例において既定値決定の手順を、フローチャートとして図5を参照して説明する。図1〜3と同一部分には、同一符号を付与して説明する。既定値の決定は、レーザ光源41から被加工体47にレーザ光強度F(レーザフルエンスF)を順番に増加させて照射し、加工が十分になされる既定値たる閾値の値を実測にて決定するものである。この場合、レーザ照射によってアブレーション加工されて、被処理体には窪み(深さ)が形成される。
まず、レーザ光強度の上記増加量(ΔF)を決定する(P―72)。この値は、レーザ光源41のショット間バラツキ値よりも十分大きいことが望まれる。次に、加工目的のレーザ加工に必要なレーザ光強度の上限値(Fup)を決定する(P―73)。このレーザ光強度の上限値は、レーザ光源41例えばエキシマレーザ光源の発振能力、連続加工処理時の適正範囲、加工マージン等を考慮し決定される。被加工体47に対し増加量ΔFを順次加えたレーザ光強度の照射を行い(P―74、P―75)、そのとき光検出器49にて光強度を測定しの出力値を記憶する(P−76)。ステージ48を順次移動させて(P―77)、加工(処理)を継続しレーザ光強度が上限値Fupに達したところで(P―78)加工(処理)を中止する。被加工体47を取り出し、評価を次工程で行った(P―79)。これはoff−ライン評価であり、今回はレーザ顕微鏡にて加工された状態を評価した。
処理された被加工体47である基板を図6に示す。1,2,3,4・・と記載した数字は処理した順番を示し、矩形1つ1つが一回のレーザ照射による処理領域を示す。1から数字が増加するに従って、ΔFだけレーザ光強度を上昇させて処理を行っている。数字1、2符号が付された領域は、全くアブレーション加工が生じていなかったが、3から5へ符号が増加するに従ってアブレーション加工の深さが増加して、6番目以降においては深さが一定となった。従って、6番目に処理した時のレーザ光強度が、十分な加工を行うための下限値である。この下限値を下回るレーザ光強度であれば加工が不十分となるから、この下限値での光検出器49の値を規定値として決定する(P―80)。この場合は6番目以降で一定の深さとなったが、加工材料によっては必ずしも一定の深さとならない。その場合は、特定の深さに達したら十分な加工ができたとして下限値を決定し、この下限値での光検出器49の値を規定値として決定すればよい。
具体的な実験結果を図7に示す。図7は、横軸に本実験で使用したレーザ加工装置の光検出器49の検出した値を示す。縦軸には、上記アブレーション加工の段差形状を、最適値以上で一定の段差となることから、この一定の段差に対する加工された段差の比率として規格化し、加工度として示したものである。光検出器49の測定値に対応して加工度が上昇することが分かった。
評価に用いた被加工体47は、同一のポリイミド基板3種(A,B,C)であり、これら3種の基板を用いて、アブレーション加工実験を行った。評価装置は、加工処理するレーザ加工装置を使用し、環境変数の影響を極力受けないように、加工処理当日の同一日に連続して処理される被加工体47を用いて実験がなされた。その結果、光検出器49による光検出値で1.9mW以上の領域が良好な加工形状を得る為に必要なレーザ照射量に対応した値であり、これを既定値として定めた。
本実験はアブレーション加工における規定値を求めるために、レーザ顕微鏡によって加工形態を評価し、それにより光検出値の既定値を定めたが、この方法に限られる必要はなく、例えば、処理後の表面を、触針型段差計で評価する方法などもある。さらに、既定値の決定は、前回の既定値を記憶しておき今回の既定値として採用してもよい。
また、上記評価実験においては、その評価に時間がかかるため、現状の処理工程においてすぐにフィードバックすることは困難を要する。
また未発光ショット発生原因の殆どが、トリガー信号を入力しても、レーザの発振が起こらない場合であれば、レーザ光源41が発振したか発振しなかったかを判断できるレーザ光源41の電源回路に放電電流検知回路による電流値に既定値を設定すればよく、必ずしも上記記載の加工形態を測定する実験によらなくても、既定値を定めることが出来る。その場合の既定値の設定方法を、図8を使用して説明する。
図8はレーザ照射前と照射中の光検出器49の光検出値を示す。ここでレーザ光照射前は25(arbitrary unit :a.u.)を中心にふらついている信号を出力している。これは光検出器49のノイズに起因する出力信号であり、光検出器49の性能、個体差、光検出器の周囲の環境(温度、湿度、迷光等)に依存するものである。
ここでレーザ発振されていない場合も、我々はこのノイズを光検出器49の検出値と称しており、実際にはレーザ光は検出していないが光検出器49からの出力信号を検出値と呼んでいる。これは光検出器49の検出値はレーザ光を照射しない場合、微弱光を照射する場合等いろいろなレーザ発振の場合が想定されるため、光検出器49からの信号を、総じて検出値としているためである。
レーザ光が照射されると、光検出器49の検出値は増大し、図8の場合、65(a.u.)程度の信号を出力している。この信号強度の増大は光検出器49のS/N比(信号対ノイズ比)、光学部品から分離された光の光量等に依存する。レーザ光が照射されたかどうか判断するためには、このレーザ照射前の検出値とレーザ照射中の検出値の差が有ればあるほど、精度の良い判断がされるが、最低でも1.50倍程度の信号の増大が必要とされる。
光検出器49に入射される光学部品から分離されたレーザ光の光量は、増加しても、検出値は増大する。がしかし、あまり強いレーザ光が光検出器49に入射すると、エキシマレーザ光は短波長でありエネルギが高いため、光検出器49の感度を劣化させてしまう。従って、光検出器49が、あまりに高い値の検出値を出力するのは好ましくない。
レーザが照射されたかどうかを判断する既定値としては、レーザ照射前の検出値の最低でも1.20倍の検出値に対応する値を既定値として定めないと、正常な判断がされなかった。
第1の実施形態は、図2に示すように、被加工体47から生じる反射したパルスレーザ光40Aを光検出器49で検出し、その光検出値の信号を、信号線50を通じてコンピュータ51に送出している。
第2の実施の形態
第2の実施形態は、被加工体47の加工された状態を光学的に観察し、所望する加工状態と未加工状態とを判定する例である。図9は、被加工体47の加工された状態(結果)を光学的に観察し評価するアブレーション装置の実施形態を説明するためのシステム構成図である。図1乃至図8と同一部分には、同一符号を附与し、その詳細な説明は省略する。
第2の実施形態は図9に示すように、レーザ光源41からのパルスレーザ光40による被加工体47の加工後の被加工位置に、別に用意した光学的観察手段により照明して加工結果を観察する例である。プローブ光源54は、ランプでもよいし、連続発振の半導体レーザでもよい。このプローブ光源54から放射されるレーザ光を上記被加工位置に照射する。
プローブ光源54からのレーザ光が被加工体47の上記被加工位置からの反射光を受光する位置に光検出器49を配置する。この光検出器49は、上記被加工位置の加工状態の評価情報を検出する。光検出器49は、その検出信号を、信号線50を通じてコンピュータ51に送出している。この実施形態の評価法では、パルスレーザ光40と異なったプローブ光源54を用い、レーザ光によって正常に加工された場合の上記被加工位置からの例えば反射率と、正常でない加工の場合の上記被加工位置からの反射率とが異なることを利用するものである。
従って、光検出器49が監視する信号値が、正常な加工が行われたときの値か否かで(非正常)加工かの良否を把握して判定するものである。
以上説明したように、上記実施形態によれば光検出器49が被加工体47での加工状況を十分に反映した値を取得できる。従って、光路途中の一部の光強度で判定(判断)するこれまでの方法では排除し切れなかった、レーザ光強度の監視位置から被加工体47間のトラブル(光学部品の劣化、突発的なごみの付着など)から開放される。その結果、長期間安定した被加工体47の、材料の加工の良否判定を、正確に行うことができる。
第3の実施形態
第3の実施形態は図10に示すように、レーザ光源41と2台目のレーザ光源404を用意し、被加工体47の加工後の被加工位置に別に用意した光学的観察手段により照明して各加工結果を都度観察する例である。レーザ光源41から出射されるパルスレーザ光401と、レーザ光源404から出射されるパルスレーザ光402は、ハーフミラー403で合成されるようになっていて、いずれのレーザ光源から発せられたレーザ光も、ハーフミラー403を透過後、パルスレーザ光40となる。通常は、レーザ光源41またはレーザ光源404いずれか1台を使用して加工を行う。
光検出器49は、上記被加工位置の加工状態の評価情報を検出し、光検出器49が監視する信号値が、正常な加工が行われたときの値か否かで(非正常)加工かの良否を把握して判定するものである。もし、光検出器49の値が加工不足と判定した場合、同一個所の加工(リトライ)を繰り返し行う。1台のレーザ光源のみの場合、レーザ光源にトラブルが有った場合は加工不足によるリトライを延々と行うことになるため、所定の回数のリトライが合った場合、装置を停止しなければならない。しかし、本実施例では、所定の回数のリトライが有った場合はレーザ光源の異常が発生したとしてもう一台のレーザにより加工を再開することができる。例えば、レーザ光源41を使用していて加工不足によるリトライが頻発した場合、コンピュータ51が判断して、レーザ光源41を停止して、第2のレーザ光源404に切り替えることによって、スループットを向上させることができる。
以上説明した実施の形態においては、アブレーション加工について説明したが、他にも、半導体装置としてTFTに用いる、非単結晶半導体薄膜から結晶性半導体薄膜を形成する加工方法についても本発明は適用可能である。また半導体薄膜に対する処理として、結晶化方法に限定する必要はなく、例えば、レーザ加工方法として、レーザアニールによる半導体注入層の活性化(アクティベーション)についても使用することが出来る。以下ではレーザ加工方法の他の適用であるレーザアニールによる活性化について記載する。
第4の実施の形態
この実施形態は、半導体薄膜の浅い領域にpn接合を形成するにあたって、不純物の活性化手段としてエキシマレーザを用いて、従来よりも優れた、極浅pn接合を形成する工程に適用した例である。
図11を参照して、n型薄膜トランジスタの不純物活性化を例に、半導体の不純物活性化法について説明する。図11(a)には、イオン注入前の薄膜トランジスタの断面構造図を示している。基板例えばガラス基板179上に下地絶縁膜180がおよそ1μmの厚さで設けられ、この下地絶縁膜180上にアイランド状にポリシリコン膜170がおよそ50nmの膜厚で形成されている。このポリシリコン膜は、レーザによってアモルファスシリコンをポリシリコンに変えたもの、炉アニールによってアモルファスシリコンをポリシリコンに変えたもの、CVD(化学気相堆積法)によってポリシリコンを直接堆積したものいずれの方法でも良い。さらにこのポリシリコン膜の上部には、ゲート絶縁膜192たとえばSiO2が100nm堆積されている。ポリシリコン膜170の上には、このゲート絶縁膜192を介してゲート電極191、例えばアルミニウム(膜厚200nm)が形成されている。さらにその上部には、パッシベーション膜としてSiO2が100nmの膜厚で、CVDによって堆積されている。
次に図11(b)に示すように、不純物としてリンのイオン注入194を行う。するとポリシリコン膜170は、ゲート電極194をマスクとして、直下のチャネル領域172はポリシリコンのままとなり、リンが注入されてアモルファス化ソース領域171とアモルファス化ドレイン領域173が形成される。一般的な方法では、このあと炉アニールを行い、ソース領域171とドレイン領域173の結晶性を回復させて不純物の活性化を図るが、レーザ活性化は次のように処理する。
図11(c)に示すように、レーザ195を続いて照射する。すると、アモルファス化ソース領域171は再結晶化してリンドープされたソース領域174、アモルファス化ドレイン領域173は再結晶化してリンドープされたドレイン領域175となる。これは、ソースおよびドレイン領域が、レーザ照射によって加熱されたため、結晶性が回復して高濃度にリンがドープされて活性化したからである。
上記、通常のレーザ光照射(図11(c))のレーザアニールによる活性化の場合においても、未発光ショットは歩留まり低下の大きな問題となっていた。未発光ショットの部分は、発光がないか、活性化に必要な発光強度がないため活性化されず、電気特性が著しく劣化した素子が形成されてしまうこととなった。
この問題を解決する方法として、前記実施形態1、2のレーザ加工装置を用いたレーザ加工方法を行うことにより、活性化が行われていない部分が存在しない良好な素子の形成を達成することが出来、問題が解決した。レーザ加工方法において、光検出値の既定値は、活性化評価実験によって求められる。活性化評価実験とは、例えば、不純物が注入された被加工体47を試験用基板とし、レーザ照射により不純物注入層のシート抵抗の変化を四端子法で測定し、十分活性化が達成されている場合、低抵抗値を示すことより、その値において素子作成において満足すべき値であるかどうかを基準に既定値を定める。活性化評価実験は本方法に限定されるものではなく、活性化を何らかの方法、例えば電気的測定、物理的測定によって求めることが出来、それらの方法を用いて定めるものでおる。
以上、半導体素子、及び半導体素子を使用する表示装置としては液晶表示装置について本願発明は使用できるが、これに限定されることはなく、例えば、有機EL表示装置にも適用できる。
第5の実施の形態
以上説明した実施の形態においては、半導体分野において使用されるレーザ加工方法、レーザ加工装置について説明してきたが、さらに、エキシマレーザを用いた結晶化においても、未発光ショットの問題は同じように重要な問題である。
発明者は、レーザ加工として使用されるレーザアニール装置による加工においても、本願発明のレーザ加工装置、レーザ加工方法が有効であることを見いだした。
第6の実施の形態
次に、本発明を用いたエキシマレーザ結晶化装置について説明する。図1乃至図11と同一部分には、同一符号を附与し、その詳細な説明は省略する。一定のレーザ光強度(350mJ/cm2)で被加工体47上に堆積した非単結晶半導体薄膜(この場合には、非晶質シリコン薄膜)に照射させて結晶化(この場合には、多結晶シリコン)させた。被加工体上では、左上から1ショットの照射を行い、1ショットの照射が終わると既に照射した領域に重ならない位置まで右端方向へ移動して再び1ショット照射する。
そして右端まで到達したら、次の下列の左端に移動し、同様に再び右端まで照射する。このように、同一の強度でステージ48をX,Y方向に連動させて照射位置を順次間欠移動させ一定の間隔で照射した。その様子を図12に示す。この照射と合わせて、レーザ装置の発振強度の記録を、ショットの照射位置と対応できるように行った。
ここで照射基板の処理状況を追ってみる。図12の被加工体47は、表面にアモルファスシリコン膜が100nm堆積されたものである。図1(a)に示すように矩形に整形されたパルスレーザビームが、左上から付与番号1、2、3の順に間欠的に照射するように被加工体47を移動し、1ショット毎にアニール処理する。この工程において、例えば付与番号3と10の加工時にレーザ表示装置にアラートが表示されたとき被加工体47が移動せず、同一個所に2ショット目のレーザ照射をする。上記アラート表示されたショット位置での、レーザ光源41の発振強度の記録と照合したところ、エキシマレーザの発振強度が極端に小さいことが判った。従って、上記したように非正常を検出したとき、500で示すショットは、未レーザ発光ショットによってレーザアニール不良すなわちレーザ加工不良を防ぐことができた。
(a)から(c)は本発明の実施形態を説明するためのレーザ強度分布を示す図であり、(d)は加工体の加工状態を示す図である。 本発明の第1の実施形態であるレーザ加工装置を説明するためのシステム構成図である。 本発明の、実施形態の方法を工程順に説明するためのフローチャートである。 図2のコンピュータの構成を説明するためのシステム構成図である。 本発明の、実施形態の既定値を決定する方法を工程順に説明するためのフローチャートである。 図2のレーザ加工装置により既定値を定める工程を説明するための被加工体の加工状態を示す平面図である。 図2のレーザ加工装置による光検出器の検出値に対する上記アブレーション加工の段差形状を規格化して示す加工度の関係を示す特性図である。 図2のレーザ加工装置既定値を定める工程を説明するためのレーザ光を照射したときの光検出器出力波形図である。 本発明の第2の実施形態であるレーザ加工装置を説明するためのシステム構成図である。 本発明の第3の実施形態であるレーザ加工装置を説明するためのシステム構成図である。 本発明の第4の実施形態を説明するための断面図である。 本発明の第6の実施形態である結晶化された被加工体を説明するための平面図である。
符号の説明
40…レーザ光、41…レーザ光源、42…アッテネータ、43…ホモジナイズ光学系、44…光学素子、45…ミラー、46…投影レンズ、47…被加工体、48…ステージ、49…光検出器、51…コンピュータ、191…ゲート電極、192…ゲート絶縁膜、193…レーザ光、195…不純物注入層、300…バスライン、301…入・出力手段、302…中央制御装置、302…CPU、303…メモリ、304…表示装置、306…ステージ駆動機構情報記憶装置、307…レーザ装置制御用情報記憶装置、308…測定・分析用情報記憶装置、309…正常レーザ光情報記憶装置。

Claims (9)

  1. レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を被加工体の予め定められた位置に、前記パルスレーザ光による照射位置と前記被加工体とを相対的に移動させて、順次照射して加工する加工方法であって、
    前記レーザ光源から出射された前記パルスレーザ光毎に、
    前記被加工体によって反射された光の光強度を監視する工程と、
    前記監視された前記光強度が正常のとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する工程と、
    前記監視の結果、前記光強度が不足のとき、再度前記被加工体の不足位置に照射する工程と、
    前記光強度が不足のときの前記パルスレーザ光による前記照射位置を光強度不足照射位置情報として記憶する工程と、
    を具備してなることを特徴とするパルスレーザ光による加工方法。
  2. 前記パルスレーザ光毎に光強度を監視する工程は、監視する光強度があらかじめ設定された光強度以下のとき前記光強度が不足と判定することを特徴とする請求項1に記載のパルスレーザ光による加工方法。
  3. 前記被加工体によって反射された光は、前記被加工体によって反射される前記パルスレーザ光であることを特徴とする請求項1または2のパルスレーザ光による加工方法。
  4. 前記被加工体によって反射された光は、前記レーザ光源とは異なるプローブ光源から発せられた光が前記被加工体によって反射されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパルスレーザ光による加工方法。
  5. 前記被加工体に照射されるパルスレーザ光は、ホモジナイズ光学系により前記パルスレーザ光の2次元平面の強度が均一化されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパルスレーザ光による加工方法。
  6. 前記監視の結果は、加工中に表示され、記憶媒体に記録され、並びに/またはプリンタに出力されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパルスレーザ光による加工方法。
  7. レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を被加工体の予め定められた位置に、前記パルスレーザ光による照射位置と前記被加工体とを相対的に移動させて、順次照射して加工する加工方法であって、
    前記レーザ光源から出射された前記パルスレーザ光毎に照射位置の加工状態を光学的に監視する工程と、
    前記監視の結果、正常加工のとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する工程と、
    前記監視の結果、非正常加工とき、再度前記被加工体の非正常加工位置に照射する工程と、
    前記非正常加工のときの前記パルスレーザ光による前記照射位置を非正常加工照射位置情報として記憶する工程と、を具備してなることを特徴とするパルスレーザ光による加工方法。
  8. パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、
    このレーザ光源が出射した前記レーザ光の2次元平面の強度を均一化するためのホモジナイザ光学系と、
    前記被加工体によって反射された光の強度を監視する監視手段と、
    前記監視手段により監視の結果、前記光強度が正常と判定したとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する手段と、
    前記監視の結果、前記光強度が不足と判定したとき、再度前記被加工体の不足位置に照射する手段と、を具備してなることを特徴とするパルスレーザ光による加工装置。
  9. パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、
    このレーザ光源から出射された前記レーザ光の2次元平面の強度を均一化するためのホモジナイザ光学系と、
    均一化されたレーザ光を被加工体に照射してこの被加工体をレーザ加工する加工手段と、
    前記レーザ光源から出射された前記パルスレーザ光毎に照射位置の加工状態を光学的に監視する光学的監視部と、
    前記監視の結果、正常加工のとき、前記被加工体の次の照射位置に前記パルスレーザ光を照射する第1の照射手段と、
    前記監視の結果、非正常加工とき、再度前記被加工体の非正常加工位置に照射する第2の照射手段と、を具備してなることを特徴とするパルスレーザ光による加工装置。
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