JP2006110207A - 小型電動車両の走行支援制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 障害物の状態に応じたきめ細かな走行支援制御を行うことができる小型電動車両の走行支援制御方法を提供する。
【解決手段】 対象物速度Vonが−1.0km/h<Von<1.0km/hである場合は(ステップS5でYES)、対象物距離Lnに応じて車両1の速度を制御し、目標停止距離に達した場合に車両1を停止する通常停止モードで車両1を制御し(ステップS6)、対象物速度Vonが1.0km/h≦Vonである場合は(ステップS7でYES)、対象物に対して一定追従間隔を保ちながら対象物を追従するように車両1の速度を制御する追従モードで車両1を制御し(ステップS8)、対象物速度VonがVon≦−1.0km/hである場合は、接近してくる対象物との衝突を回避すべく車両1を即座に停止する対向モードで車両1を制御する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、小型電動車両の走行支援制御方法に関し、特に、身体障害者や老人が使用する小型電動車両の走行支援制御方法に関する。
従来から、歩行が困難である身体障害者や老人が移動手段として使用している小型電動車両が存在する。従来の小型電動車両として、障害物との距離を測定してこの測定した距離に応じて小型電動車両の速度を自動制御したり、障害物を検知して障害物から離れる方向に移動するように制御したりする走行支援制御を行うものがあった(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開平02−23007号公報 特開2003−334218号公報
しかしながら、上述の従来の小型電動車両における走行支援制御は、障害物が壁や木などの停止しているものに対しては衝突防止のために有効な制御であるが、障害物が動いている場合には、衝突を回避できなかったり、離れている歩行者に対して行う必要のない減速や停止制御を行ってしまうなど、運転者(乗員)の意思に反する走行支援制御がなされるという問題があった。
本発明の目的は、障害物の状態に応じたきめ細かな走行支援制御を行うことができる小型電動車両の走行支援制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の小型電動車両の走行支援制御方法は、アクセルレバーを有し前輪を操舵するハンドルと、該ハンドルの後方で車体後部に乗員が着座する着座シートと、当該着座シートの下方に搭載されたバッテリーと、該バッテリーの電力で後輪を駆動する電動モータとを備える小型電動車両の走行支援制御方法であって、障害物を検知すると共に該障害物までの距離を測定する距離測定ステップと、当該測定された障害物までの距離に基づいて前記障害物の速度を算出する障害物速度算出ステップと、当該算出された障害物の速度に応じて複数の動作モードから1つの動作モードを設定して該設定された1つの動作モードによって前記電動モータを制御する制御ステップとを備え、前記複数の動作モードは、前記障害物までの距離が所定の距離以下になった場合に前記小型電動車両を停止させる通常停止モードと、前記障害物に前記小型電動車両を追従させる追従モードとを有することを特徴とする。
請求項2記載の制御方法は、請求項1記載の制御方法において、前記複数の動作モードは更に前記小型電動車両を即座に停止させる対向モードを有することを特徴とする。
請求項3記載の制御方法は、請求項2記載の制御方法において、前記障害物速度算出ステップは、前記測定された障害物までの距離に基づいて前記障害物の相対速度を算出して該算出された相対速度と自車速度に基づいて前記障害物の速度を算出し、前記対向モードでは、前記小型電動車両を即座に停止させる前記障害物からの停止距離が、前記算出された相対速度に応じて設定されることを特徴とする。
請求項4記載の制御方法は、請求項3記載の制御方法において、前記対向モードにおける、前記停止距離は、前記追従モードにおける追従間隔より大きいことを特徴とする。
本発明によれば、障害物の速度に応じて複数の動作モードから1つの動作モードを設定して該設定された1つの動作モードによって電動モータを制御するので、障害物の状態に応じたきめ細かな走行支援制御を行うことができる。また、これにより、衝突回避性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る走行支援制御方法を実行する走行支援装置を備える小型電動車両の右側面図であり、図2は、図1の小型電動車両の平面図であり、図3は、図1の小型電動車両の正面図であり、図4は、図1の小型電動車両の後面図である。以降、本小型電動車両の左右及び前後方向は、乗員を基準として呼称する。
本小型電動車両1(以下、「車両1」と称呼する)は、図1〜図4に示すように、車体フレーム2と、車体フレーム2の前端部の左右両側にサスペンションを有する図示しない前輪懸架部を介して夫々取り付けられている左右に操舵可能な一対の前輪3と、車体フレーム2の後端部の左右両側にサスペンションを有する図示しない後輪懸架部を介して夫々取り付けられている一対の後輪4と、車体フレーム2の後部分に形成されているシート支持フレーム5と、車体フレーム2の前端部の幅方向中央部に立設されたステアリングシャフト6とを備える。
また、車両1は、シート支持フレーム5の上部に水平面において回動可能に支持されている着座シート7と、ステアリングシャフト6の上端に取り付けられているハンドル8とを備える。乗員Dは、ハンドル8を左右に回動させることによりステアリングシャフト6を介して前輪3を左右に操舵することができる。
車体フレーム2は、例えば前後方向に延びる左右一対のメインパイプと、一対のメインパイプの間が複数のクロスメンバーで連結されて略プラットフォーム型に形成されている。また、車体フレーム2は、その前部分に足載せプレート9が形成されている。
着座シート7は、単座シートであり、バックレスト10と、垂直平面において(図1の矢印方向に)回動可能に軸支された左右一対のアームレスト11とを備えている。また、着座シート7は、図示しない角度決め機構により所定の向きに固定可能とされて搭乗者の乗降性が高められている。
足載せプレート9上には、図2に示すように、例えば合成樹脂製のフロア板12が載置されており、これによりハンドル8と着座シート7との間に低床式の足載せフロア13が形成されている。また、足載せプレート9の前端部には、ステアリングシャフト6を内包するレッグシールド14が立設されている。また足載せプレート9の後方であって着座シート7の下方には、シート支持フレーム5を覆っている合成樹脂製のカバー部材であるリアボディー15が形成されている。
レッグシールド14は、合成樹脂製のフロントカバー部材16とリアカバー部材17とが組み合わされて構成されており、乗員Dの脚部を前方において保護している。レッグシールド14の下部には、前方に突出して一対の前輪3の上方を夫々覆う左右一対のフロントフェンダー18が形成されており、レッグシールド14のフロントカバー部材16の前面には荷物積載用のフロントバスケット19が配設されている。
また、レッグシールド14のフロントカバー部材16には、着座シート7の着座面より下方であってフロントフェンダー18の上方において、後述する図6の前方用距離測定センサ20が取り付けられている(図3参照)。車両1の前側上部は側面視(図1)において、フロントバスケット19の前端が最も前方に位置しており、次いでフロントフェンダー18の前端が、次いでレッグシールド14のフロントカバー16が位置しており、前方用距離測定センサ20は、車両1においてフロントバスケット19及びフロントフェンダー18に測定領域が干渉しない範囲で、これらの前端よりも後方に位置している。
前方用距離測定センサ20は、1つのロングレンジセンサである前方用距離測定センサ20a(ロングレンジセンサ20a)と、2つのショートレンジセンサである前方用距離測定センサ20b,20c(ショートレンジセンサ20b、20c)とから構成されており、ロングレンジセンサ20a及びショートレンジセンサ20b,20cは、水平面上に配置されている(図3参照)。また、レッグシールド14の幅方向においてロングレンジセンサ20aが中央に、ショートレンジセンサ20b,20cが左右に夫々配置されており、前方用距離測定センサ20は、車両1の前方の障害物を広い範囲で検知してその対象物までの距離を測定することができるように構成されている。
上述のように、前方用距離測定センサ20は、レッグシールド14のフロントカバー部材16において着座シート7の着座面より下方に取り付けられているので、乗員Dの視界から外れている障害物をも検知することができる。また、前方用距離測定センサ20は、車両1においてフロントバスケット19及びフロントフェンダー18の後方に配置されており、車両1が障害物に衝突した場合であっても、フロントバスケット19及びフロントフェンダー18によって保護される。このように、車両1は、衝突による前方用距離測定センサ20の故障を防止することができるように構成されている。
また、レッグシールド14の前面下部には、フロントバスケット19の下方であってフロントフェンダー18の直上であり、レッグシールド14の幅方向中央部に前照灯21が配設されている。また、レッグシールド14の前面下部においてヘッドライト21の左右両側には、一対のフロントターンシグナルランプ22が配設されている。このフロントターンシグナルランプ22はレッグシールド14の前面から左右両側面に回り込む略L字形に形成されているので、車両1の前方および側方から視認可能である。
図1,2に示すように、リアボディー15の内部には、電動モータ24を備えるパワーユニット23と、左右一対の電源用バッテリー25と、電動モータ24等を制御する後述する図6の制御ユニット26と、図示しないバッテリー充電器等の機器類とが配設されている。パワーユニット23は、電動モータ24の駆動力を後輪4に伝える。また、図4に示すように、リアボディー15の後端の左右両角部には、一対のリアターンシグナルランプ27が配設されており、リアターンシグナルランプ27もフロントターンシグナルランプ22と同様に、リアボディー15の後面から左右両側面に回り込む略L字形に形成されている。
また、図4に示すように、リアボディー15の後面には、前方用距離測定センサ20と略同じ高さの位置に、前方用距離測定センサ20と同様の後方用距離測定センサ28が取り付けられている。後方用距離測定センサ28は、1つのロングレンジセンサである後方用距離測定センサ28a(ロングレンジセンサ28a)と、2つのショートレンジセンサである後方用距離測定センサ28b,28c(ショートレンジセンサ28b、28c)とから構成されており、ロングレンジセンサ28a及びショートレンジセンサ28b,28cは、水平面上に配置されている(図4参照)。また、リアボディー15の幅方向においてロングレンジセンサ28aが中央に、ショートレンジセンサ28b,28cが左右に夫々配置されており、後方用距離測定センサ28は、車両1の後方の障害物を広い範囲で検知してその対象物までの距離を測定することができるように構成されている。
上述のように、前方用距離測定センサ20及び後方用距離測定センサ28は、車両1の幅方向において中央に配設された各1つのロングレンジセンサ20a,28aと、ロングレンジセンサ20a,28aの左右両側に夫々配設されたショートレンジセンサ20b,20c及び28b,28cとから夫々構成されているので、指向性の強い超音波を用いても幅広い範囲で障害物を検知することができ、幅広い範囲の障害物に対して障害物距離Lを測定することができると共に、障害物までの測定距離の信頼性を向上させることができる。これは、強い超音波を送信するロングレンジセンサ20a,28aでは正確に検知できない車両1の近傍に位置する障害物をショートレンジセンサ20b,20c,28b,28cによって正確に検知することができるからである。
図5は、車両1のハンドル8の斜視図である。
ハンドル8は、図5に示すように、基部31と、基部31の左右両側面に取り付けられている略U字型の一対の握り32と、基部31の右側面に取り付けられているアクセルレバー33と、基部31の左側面に取り付けられているブレーキレバー34と、基部31の上面に取り付けられている左右一対のバックミラー35と、基部31の上面に形成されている制御パネル36とを備える。握り32は、所謂ティラーハンドルタイプのものである。
乗員Dは、アクセルレバー33を操作することにより電動モータ24の出力を制御することができ、これにより車両1の電動モータ24の出力を制御することができる。また、乗員Dは、ブレーキレバー34を操作することにより、車両1を制動させることができる。
制御パネル36には、車両1の最高速度を任意の速度に調整することができる最高速度調整スイッチ37と、車両1の進行方向を前進と後進との間で切り換えることができる進行方向切換スイッチ38と、図7で後述する走行支援処理を実行するか否かを選択することができる走行支援制御ON/OFFスイッチ39とを備える。これらのスイッチ37〜39としては、例えばダイヤルスイッチが用いられており、乗員Dが容易且つ的確にスイッチ操作することができるようになっている。また、最高速度調整スイッチ37により、例えば時速7km以下の範囲で最高速度を設定することができる。
また、ハンドル8は、基部31の後面にフロントターンシグナルランプ22及びリアターンシグナルランプ27を左右夫々作動させるためのターンシグナルランプスイッチ40と、図示しない警報機を作動させるための警報機スイッチ41と、車両1を作動させるためのメインイスイッチ42とを備える。
図6は、車両1の制御ユニット26の概略構成を示すブロック図である。
制御ユニット26は、図6に示すように、車両1の各部を制御するコントローラ51と、乗員Dによるアクセルレバー33の操作量を検出するアクセルレバー操作量検出センサ52と、車両1の車速を検出する車速センサ53と、車両1の前方の障害物を検知すると共に車両1から障害物までの距離を測定するための前方用距離測定センサ20と、車両1の後方の障害物を検知すると共に車両1から障害物までの距離を測定するための後方用距離測定センサ28と、図5の走行支援制御ON/OFFスイッチ39とを備える。
また、制御ユニット26は、図5の最高速度設定スイッチ37、及び進行方向切換スイッチ38を備える。前方用距離測定センサ20、後方用距離測定センサ28、最高速度設定スイッチ37、進行方向切換スイッチ38、走行支援制御ON/OFFスイッチ39、メインスイッチ42、アクセルレバー操作量検出センサ52、及び車速センサ53はメインコントローラ51に接続されている。また、メインコントローラ51は電動モータ24に接続されている。
前方用距離測定センサ20としての、前方用距離測定センサ20a,20b,20cは、各々、超音波送信部と超音波受信部とから構成されており、図8で後述するように、超音波送信部から超音波を送信した時から、この送信した超音波が障害物によって反射された後に超音波受信部に受信される時までの経過時間に基づいて車両1から前方の障害物までの距離を算出することができる。後方用距離測定センサ28も、前方用距離測定センサ20と同様の構成であり、上記前方用距離測定センサ20と同様に車両1から後方の障害物までの距離を算出することができる。
次いで、車両1が備える走行支援装置が実行する走行支援処理について説明する。以下の走行支援処理は、進行方向切換スイッチ38が前進側に設定されている場合について説明する。
本実施の形態においては、図6の制御ユニット26が走行支援装置を構成する。
図7は、走行支援装置が実行する走行支援処理のフローチャートである。
本処理は、走行支援制御ON/OFFスイッチ39がON状態である場合にコントローラ51によって実行される。走行支援制御ON/OFFスイッチ39がOFF状態である場合には、コントローラ51は、アクセルレバー操作量検出センサ52によって検出される乗員Dのアクセルレバー33の操作量に基づいて電動モータ24の出力を制御し、最高速度設定スイッチ37により設定された最高速度の範囲内で車両1の車速を制御する。また、本処理は一定間隔毎、例えば100ms毎に実行される。
また、走行支援制御ON/OFFスイッチ39がOFF状態である場合には、コントローラ51が、例えば、車両1が障害物(対象物)に対して目標停止距離の間隔で停止することができるように目標停止距離に近づくに連れて電動モータ24の出力が小さくなるように予め設定されている前方用距離測定センサ20の測定距離と電動モータ24の出力値との関係を表わす式やマップから、測定距離に基づいて電動モータ24の出力値を設定し、この設定した出力値で電動モータ24を制御するようにしてもよい。
走行支援制御ON/OFFスイッチ39がON状態である場合には、まず、前方用距離測定センサ20、後方用距離測定センサ28、最高速度設定スイッチ37、進行方向切換スイッチ38、アクセルレバー操作量検出センサ52、及び車速センサ53から、各情報を取得する(ステップS1)。次いで、ステップS1において取得した車速センサ53からの情報に基づいて車両1の車速(自車速度)Vnを算出する(ステップS2)。
次いで、対象物までの距離(対象物距離)Lnと、対象物の車両1に対する相対速度Vrnを算出する(ステップS3)。ステップS3における対象物距離Ln及び相対速度Vrnの算出は以降のように行う。まず進行方向切換スイッチ38からの情報に基づいて車両1の進行方向を判別する。上述のように本説明においては、進行方向切換スイッチ38は前進側に設定されているので、前方用距離測定センサ20からの情報に基づいて対象物距離Ln及び相対速度Vrnを算出する。尚、進行方向切換スイッチ38が後進側に設定されている場合は、後方用距離測定センサ28からの情報に基づいて対象物距離Ln及び相対速度Vrnを算出する。
具体的には、まず図8に示すように、前方用距離測定センサ20の超音波送信部から超音波を送信した時間(送信時間)Tn1と、この送信した超音波が対象物によって反射された後に超音波受信部に受信される時間(受信時間)Tn2とを前方用距離測定センサ20によって検知し、この検知された送信時間Tn1及び受信時間T2から超音波の送信から受信までの工程時間Tを算出する(Tn=Tn2−Tn1)。次いで、この算出した工程時間Tに超音波の伝播速度(音速Va)を乗算して、超音波の工程距離Lnaを算出し(Lna=Vna×Tn)、この算出した工程距離Lnaに1/2を乗算することにより対象物距離Lnを算出する(Ln=Lna×1/2)。
次いで、今回の本処理のステップS1において算出された対象物距離Lnと前回の本処理のステップS1において算出された対象物距離Ln−1との差から、前回の本処理から今回の本処理までの間の対象物距離の変位である対象物変位ΔLn(ΔLn=Ln−Ln−1)を算出する。そして、この対象物変位ΔLnを前回の処理から今回の処理までの時間Δtで除算することにより相対速度Vrnを算出する(Vrn=ΔLn/Δt)。時間Δtは、本処理が実行される間隔である100msである。
上述のように、ステップS3において対象物距離Ln及び相対速度Vrnを算出すると、次いで、対象物の絶対速度である対象物速度Vonを算出する(ステップS4)。対象物速度Vonは、自車速度Vnに相対速度Vrnを加算することにより算出する(Von=Vn+Vrn)。
次いで、ステップS4において算出した対象物速度Vonに基づいて、通常停止モード、追従モード、及び対向モードの3種類の動作モードで電動モータ24の出力、即ち車両1の速度を制御する。
まずステップS4において算出した対象物速度Vonが、−1.0km/h<Von<1.0km/hの条件(以下「通常停止モード条件」と称する)を満たすか否かを判別する(ステップS5)。対象物速度Vonが通常停止モード条件を満たす場合は、対象物速度Vonが低いので対象物が停止又は略停止しているもの、例えば壁やエレベータと想定して、通常停止モードで電動モータ24を制御する(ステップS6)。
通常停止モードは、対象物距離Lnに応じて電動モータ24を制御して車両1の速度を制御し、予め設定されている目標停止距離以下となった場合に電動モータ24の駆動を停止して車両1を停止させる動作モードである。目標停止距離は任意に設定することができ、例えば20cmに設定されており、車両1を対象物の近傍に停止させることができる。
一方、ステップS5において通常停止モード条件を満たさない場合は、対象物速度Vonが、1.0km/h≦Vonの条件(以下「追従モード条件」と称する)を満たすか否かを判別する(ステップS7)。対象物速度Vonが追従モード条件を満たす場合は、対象物が車両1から遠ざかっていくもの、例えば車両1と同じ進行方向に歩行している歩行者や走行している車両と想定して、追従モードで電動モータ24を制御する(ステップS8)。
追従モードは、対象物に対して一定の距離、例えば2mの追従間隔を保ちながら対象物を追従するように電動モータ24を制御して車両1の速度を制御する動作モードである。追従間隔は、自車速度Vn又は対象物速度Vonに応じて、又は乗員によって任意に設定することができる。また、追従モードにおける車両1の速度は、乗員のアクセルレバー操作量や最高速度設定スイッチにより設定される速度に応じて設定される。
一方、ステップS7において追従モード条件を満たさない場合は、対象物速度Vonが、Von≦−1.0km/hの条件(以下「対向モード条件」と称する)を満たすので、対象物が車両1から接近しているもの、例えば車両1と逆進行方向に歩行している歩行者や走行している車両と想定して、対向モードで電動モータ24を制御し(ステップS9)、本処理を終了する。
対向モードは、接近してくる対象物との衝突を回避すべく電動モータ24の駆動を即座に停止して車両1を即座に停止する動作モードである。
上述のように、本走行支援処理によれば、対象物速度Vonが−1.0km/h<Von<1.0km/h(通常停止モード条件)である場合は(ステップS5でYES)、対象物距離Lnに応じて電動モータ24を制御して車両1の速度を制御し、予め設定されている目標停止距離以下となった場合に電動モータ24の駆動を停止して車両1を停止する通常停止モードで車両1を制御し(ステップS6)、対象物速度Vonが1.0km/h≦Von(追従モード条件)である場合は(ステップS7でYES)、対象物に対して一定距離の追従間隔を保ちながら対象物を追従するように電動モータ24を制御して車両1の速度を制御する追従モードで車両1を制御し(ステップS8)、対象物速度VonがVon≦−1.0km/h(対向モード条件)である場合は、接近してくる対象物との衝突を回避すべく電動モータ24の駆動を即座に停止して車両1を即座に停止する対向モードで車両1を制御するので(ステップS9)、対象物速度Vonに応じたきめ細かな車両1の走行支援制御を行うことができる。従って、車両1の衝突回避性能を向上させることができる。
本処理において、通常停止モード条件、追従モード条件、及び対向モード条件は上述の条件に限るものではなく、他の条件を設定してもよい。また、ステップS2における自車速度Vnの算出は上述の方法に限るものではなく、例えば、所定回数前から算出された自車速度を平均化して算出する方法であってもよい。
また、本処理ステップS9における対向モードは、車両1を即座に停止させるものとしたが、対向モードはこれに限るものではなく、例えば、相対速度Vrnに応じて停止距離を設定し、車両1と対象物との間隔がこの設定された停止距離以下となった場合に車両1を即座に停止させるようにしてもよい、この場合、車両1は対象物から相対速度Vrnに応じて設定された停止距離離れた位置に停止させられる。この停止距離としては、例えば、追従モードにおける追従間隔や目標停止距離等がある。
また、上述の説明においては、進行方向切換スイッチ38が前進側に設定されている場合、即ち車両1が前進する場合に実行される走行支援処理について説明したが、進行方向切換スイッチ38が後進側に設定されている場合、即ち車両1が後進する場合も、ステップS1〜S9と同様に処理が実行される。
上述のように、本実施の形態によれば、対象物速度等の対象物の状態に応じたきめ細かな車両1の走行支援制御を行うことができる。これにより、車両の前方及び後方における障害物に対する衝突回避性能を向上させることができる。
尚、本発明に係る走行支援装置を備える小型電動車両は、上述の本実施の形態に係る車両1に限るものではなく、例えば他の構成であってもよい。
本発明の実施の形態に係る走行支援制御方法を実行する走行支援装置を備える小型電動車両の右側面図である。 図1の小型電動車両の平面図である。 図1の小型電動車両の正面図である。 図1の小型電動車両の後面図である。 図1の小型電動車両のハンドルの斜視図である。 図1の小型電動車両の制御ユニットの概略構成を示すブロック図である。 図1の小型電動車両が備える走行支援装置が実行する走行支援処理のフローチャートである。 図7の走行支援処理において実行される障害物距離の測定処理を説明するための図である。
符号の説明
1 小型電動車両
20 前方用距離測定センサ
20a,28a ロングレンジセンサ
20b,20c,28b,28c ショートレンジセンサ
23 パワーユニット
24 電動モータ
26 制御ユニット
28 後方用距離測定センサ
33 アクセルレバー
36 制御パネル
37 最高速度設定スイッチ
38 進行方向切換スイッチ
39 走行支援制御ON/OFFスイッチ
51 コントローラ
52 アクセルレバー操作量検出センサ
53 車速センサ

Claims (4)

  1. アクセルレバーを有し前輪を操舵するハンドルと、該ハンドルの後方で車体後部に乗員が着座する着座シートと、当該着座シートの下方に搭載されたバッテリーと、該バッテリーの電力で後輪を駆動する電動モータとを備える小型電動車両の走行支援制御方法であって、
    障害物を検知すると共に該障害物までの距離を測定する距離測定ステップと、
    当該測定された障害物までの距離に基づいて前記障害物の速度を算出する障害物速度算出ステップと、
    当該算出された障害物の速度に応じて複数の動作モードから1つの動作モードを設定して該設定された1つの動作モードによって前記電動モータを制御する制御ステップとを備え、
    前記複数の動作モードは、前記障害物までの距離が所定の距離以下になった場合に前記小型電動車両を停止させる通常停止モードと、前記障害物に前記小型電動車両を追従させる追従モードとを有することを特徴とする小型電動車両の走行支援制御方法。
  2. 前記複数の動作モードは更に前記小型電動車両を即座に停止させる対向モードを有することを特徴とする請求項1記載の小型電動車両の走行支援制御方法。
  3. 前記障害物速度算出ステップは、前記測定された障害物までの距離に基づいて前記障害物の相対速度を算出して該算出された相対速度と自車速度に基づいて前記障害物の速度を算出し、
    前記対向モードでは、前記小型電動車両を即座に停止させる前記障害物からの停止距離が、前記算出された相対速度に応じて設定されることを特徴とする請求項2記載の小型電動車両の走行支援制御方法。
  4. 前記対向モードにおける、前記停止距離は、前記追従モードにおける追従間隔より大きいことを特徴とする請求項3記載の小型電動車両の走行支援制御方法。
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