JP2006108586A - Iii族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

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俊也 上村
Katsuhisa Sawazaki
勝久 澤崎
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真仁 中井
Yoshihei Ikemoto
由平 池本
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Abstract

【課題】 III族窒化物系化合物半導体発光素子の多層積層構造の製造条件を最適化し、もって発光素子の発光効率向上を図る。
【解決手段】 InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)からなる第1の層とAlGa1−aN(0≦a≦1)からなる第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造を有するIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法であって、第1の層の上へ前記第2の層をMOCVD法により形成する際に、実質的に第1の層の成長温度で第2の層の成長を開始して、その後成長温度を上昇させ、第1の層の上に前記第2の層を所定の厚さに成長した後、キャリアガスに水素ガスを混入させる。
【選択図】 図1

Description

本発明はIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法に関する。
III族窒化物系化合物半導体発光素子はn型半導体層とp型半導体層との間に活性層が挟まれる構成である。かかる発光素子において発光効率の増大を図るため、活性層を多重量子井戸構造とすることがある。n型半導体層及びp型半導体層においても超格子構造が採用されることがある。n型半導体層及びp型半導体層に超格子構造を採用することにより各層の抵抗が低下して、活性層に対するそれぞれの電子注入効率及びホール注入効率が向上する。
これら超格子構造や多重量子井戸構造においては、比較的バンドギャップの小さいInを含む半導体層(InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1))と比較的バンドギャップの大きい半導体層(AlGa1−aN(0≦a≦1))とを繰り返し積層する構成とすることがある。
本発明に関連する文献として特許文献1〜特許文献5を参照されたい。
特開平10−326943号公報 特開平11−340509号公報 特開2002−198314号公報 特開2002−319743号公報 特開2003−17746号公報
しかしながら、Inを含む半導体層は熱的に劣化を来たしやすく、また雰囲気中に水素が存在すると、MOCVD法による成長時にInが取り込まれず、また成長後においても劣化を来たしてしまう。特にInを含む半導体層で多層積層構造を構成する場合には、各半導体層の膜厚が薄くなるので、既述の熱や水素によるダメージが深刻になる。
他方、Inを含まないバンドギャップの比較的大きい半導体層AlGa1−aN(0≦a≦1)は、Inを含む半導体より高温で形成することにより良質な結晶が得られる。また、成長時の雰囲気に水素ガスを存在させることにより、低温であっても高品質な半導体層AlGa1−aN(0≦a≦1)を成長させることができる。
従って、Inを含む半導体層とInを含まない半導体層とを繰り返し積層する場合には、各層の好適な製造条件が相反するものとなる。つまり、Inを含む半導体層の後にInを含まない半導体層を結晶性良く成長させるためにその成長温度を高くし及び/又は水素ガスを導入すると、Inを含む半導体層にダメージを来たしてしまう。かかるInを含む半導体層のダメージを防止するため、後者の半導体層を低温成長及び/又は水素非導入とすると、当該Inを含まない半導体層に高品質な結晶性を得られなくなる。
この発明はかかる課題を解決すべくなされたものである。即ち、
InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)からなる第1の層とAlGa1−aN(0≦a≦1)からなる第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造を有するIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
前記第1の層の上へ前記第2の層をMOCVD法により形成する際に、
実質的に前記第1の層の成長温度で前記第2の層の成長を開始して、その後成長温度を上昇させ、
前記第1の層の上に前記第2の層が所定の厚さに成長した後、キャリアガスに水素ガスを混入させる、ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法。
この発明のようにIII族窒化物系化合物半導体発光素子を製造すると、
(1)第1の層の上へ第2の層をMOCVD法により形成する際に、実質的に第1の層の成長温度で第2の層の成長を開始して、その後成長温度を上昇させるので、当初より第2の層の成長に適した成長温度(第1の層の成長温度より高い)で第1の層の上に第2の層を成長させる場合に比べ、第1の層に加わる熱量が低減される。従って、第1の層における熱ダメージが低減する。他方、成長温度を上昇させることにより第2の層も高品質に成長可能となる。
かつ、(2)第1の層の上へ第2の層をMOCVD法により形成する際に、先ず第1の層の上に第2の層が所定の厚さに成長させるので、この時点で試料の雰囲気に水素ガスが存在してもInを含む第1の層に何らダメージが生じない。このように第1の層が第2の層の材料で被覆された後にキャリアガスへ水素ガスを混入させると、第2の層はより低い成長温度であっても高品質な結晶構造となる。第2の層の成長温度を低下させることにより第1の層へ加わる熱ダメージも小さくなる。
以上により、第1の層と第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造の結晶性が全体的に高品質になる。
この発明の他の局面によれば、上記第1の局面において、第2の層を所定の厚さに成長した後、該第2の層の成長温度を上昇させる。
これにより、第1の層へ加えられる熱量の制御が容易となる。また、第1の層へ加えられる熱量を抑制することができる。
この発明の他の局面によれば、 InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)からなる第1の層とAlGa1−aN(0≦a≦1)からなる第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造を有するIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
前記第1の層の上へ前記第2の層をMOCVD法により形成する際に、
実質的に前記第1の層の成長温度で前記第2の層の成長を開始して、その後成長温度を上昇させる。
この局面のようにIII族窒化物系化合物半導体発光素子を製造すると、
(1)第1の層の上へ第2の層をMOCVD法により形成する際に、実質的に第1の層の成長温度で第2の層の成長を開始して、その後成長温度を上昇させるので、当初より第2の層の成長に適した成長温度(第1の層の成長温度より高い)で第1の層の上に第2の層を成長させる場合に比べ、第1の層に加わる熱量が低減される。従って、第1の層における熱ダメージが低減する。他方、成長温度を上昇させることにより第2の層も高品質に成長可能となる。
この発明の他の局面によれば、InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)からなる第1の層とAlGa1−aN(0≦a≦1)からなる第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造を有するIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
前記第1の層の上へ前記第2の層をMOCVD法により形成する際に、
前記第1の層の上に前記第2の層が所定の厚さに成長した後、キャリアガスに水素ガスを混入させる。
この局面のようにIII族窒化物系化合物半導体発光素子を製造すると、
第1の層の上へ第2の層をMOCVD法により形成する際に、先ず第1の層の上に第2の層を所定の厚さに成長させるので、この時点で試料の雰囲気に水素ガスが存在してもInを含む第1の層に何らダメージが生じない。このように第1の層が第2の層の材料で被覆された後にキャリアガスへ水素ガスを混入させると、第2の層はより低い成長温度であっても高品質な結晶構造となる。第2の層の成長温度を低下させることにより第1の層へ加わる熱ダメージも小さくなる。
以下、この発明を構成する各要素について詳細に説明する。
(第1の層、第2の層)
第1の層はInを含むIII族窒化物系化合物半導体からなり、一般式ではInAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)と表される。第2の層はInを含まないIII族窒化物系化合物半導体からなり、一般式ではAlGa1−aN(0≦a≦1)と表される。
これらIII族窒化物系化合物半導体において、III族元素の一部をボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の一部もリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換してもよい。これらIII族窒化物系化合物半導体層には不純物をドープすることができ、例えばn型不純物として、Si、Ge、Se、Te、C等を用いることができる。p型不純物として、Mg、Zn、Be、Ca、Sr、Ba等を用いることができる。なお、p型不純物をドープした後にIII族窒化物系化合物半導体を電子線照射、プラズマ照射若しくは炉による加熱にさらすことも可能である。
III族窒化物系化合物半導体層の形成方法としてこの発明では有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて多層積層構造を形成する。発光素子の他の層は当該MOCVD法のほか、周知の分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等によっても形成することができる。
第1の層と第2の層とは繰り返し積層されて多層積層構造を形成する。
当該多層積層構造がp型半導体層やn型半導体層を構成する超格子構造である場合には、第1の層及び第2の層の膜厚は1〜6nmとすることが好ましく、更に好ましくは2〜5nmである。第1の層と第2の層の積層繰り返し数は特に限定されるものではないが、4〜30回とすることが好ましい。
超格子構造の場合、第1の層と第2の層とのバンドギャップに差があっても、無くてもよい。
第1の層と第2の層とによる多層積層構造が活性層の多重量子井戸構造の場合、第1の層及び第2の層の膜厚はそれぞれ1〜5nm、5〜20nmとすることが好ましく、更に好ましくはそれぞれ1.5〜3.5nm、7〜15nmである。第1の層と第2の層の積層繰り返し数は特に限定されるものではないが、3〜10回とすることが好ましい。
多重量子井戸構造では第1の層が井戸層となり、第2の層がバリア層となるよう、第2の層のバンドギャップを第1の層のそれより大きくする。
なお、III族窒化物系化合物半導体発光素子のp型半導体層及び活性層を多層積層構造としたときには、それらを構成する各層は次の要件を満足することが好ましい。
p型半導体層はAlを含む第1の層と該第1の層と組成の異なる第2の層とを繰り返し積層してなる超格子構造である。
超格子構造とすることによりp型半導体層の抵抗が小さくなり、また結晶性も向上するので発光素子の発光効率増大に寄与する。
第1の層は少なくともIII族元素としてAlを含む。第2の層は一般式InxAlyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される。III族元素の一部をボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の一部もリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換してもよい。
この第2の層は第1の層と組成が異なるものとする。第1の層と第2の層とのバンドギャップエネルギーは同一であっても異なっていてもよい。
p型半導体層の超格子構造において、活性層に最も近い第1の層(好ましくは活性層に接している)のAl組成を他の第1の層のそれに比べて低くする。前者のAl組成は後者のそれの10〜80%とすることが好ましい。より好ましくは30〜60%である。
また、活性層の最上層がGaNからなり、このGaN層に既述の第1の層(活性層に最も近い層)が接するとき、第1の層のAl組成は5〜25%とすることが好ましい。これにより活性層と当該活性層に最も近い第1の層との間の格子不整合が実質的無くなり、当該第1の層を高い結晶性で形成可能となる。
活性層に最も近い第1の層におけるp型不純物のドープ量は活性層に対するp型不純物の拡散防止の見地から、ゼロ、即ちノンドープとすることが好ましい。なお、当該第1の層をノンドープで形成したとしても、これに接する他のp型半導体層からp型不純物が拡散するおそれがあり、その結果、当該活性層に最も近い第1の層がドープ状態になることがある。この場合においても当該活性層に最も近い第1の層のp型不純物ドープ濃度は他の第1の層のそれに比べて低くなる。勿論、意図的に当該活性層に最も近い第1の層のp型不純物ドープ濃度を他の第1の層のそれに比べて低くするようにしてもよい。
p型不純物として、Mg、Zn、Be、Ca、Sr、Ba等を用いることができる。なお、p型不純物をドープした後にIII族窒化物系化合物半導体を電子線照射、プラズマ照射若しくは炉による加熱にさらすことも可能である。
活性層に最も近い第1の層の成長温度を他の第1の層の成長温度より高くする。これにより、この第1の層が結晶性良く成長する結果として、その後に形成される他の第1の層を比較的低い温度で形成してもその結晶品質が充分なものとなる。また、他の第1の層を比較的低い温度で形成することにより、活性層にあたえる熱ダメージが小さくなる。
実施例では第1の層としてAlGaNが採用され、第2の層としてInGaNが採用されている。III族窒化物系化合物半導体層の形成方法は特に限定されないが、有機金属気相成長法(MOCVD法)のほか、周知の分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等によっても形成することができる。
(活性層)
活性層の構造は特に限定されないが、発光効率の見地から多重量子井戸構造を採用することが好ましい。勿論活性層は多重量子井戸構造のものに限定されず、シングルへテロ型、ダブルへテロ型及びホモ接合型のものなどを用いることができる。また、単一量子井戸構造を採用することもできる。
活性層はIII族窒化物系化合物半導体層から形成することができる。III族窒化物系化合物半導体は一般式としてInGaAl1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表され、AlN、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlGa1−xN、InAl1−xN及びInGa1−xN(以上において0<x<1)のいわゆる3元系を包含する。III族元素の一部をボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の一部もリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換できる。III族窒化物系化合物半導体層の形成方法は特に限定されないが、有機金属気相成長法(MOCVD法)のほか、周知の分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等によっても形成することができる。
活性層を多重量子井戸構造とした場合、その井戸層をInGaNとし、そのバリア層をGaNとすることが好ましい。即ち、活性層にはAlが含まれなくなる。その結果、当該活性層の上に形成されるp型の超格子構造において最初のAlを含む層(第1の層)におけるAl組成を小さくすることにより、半導体組成を出来る限り近似させて当該半導体層間の格子不整合を出来る限り小さくする。
多重量子井戸構造からなる活性層においてp型半導体層に近いバリア層を他のバリア層に比べて薄膜にする。好ましくは前者の膜厚を後者のそれの10〜80%とする。更に好ましくは20〜60%とする。なお、バリア層がその機能を奏するためには3nm程度の膜厚が必要である。
これによりp型半導体層からのホール注入効率が向上する。なお、このようにバリア層の薄膜化が可能になったのは、活性層に最も近い第1の層(好ましくは活性層に接している)のp型不純物ドープ量を低減若しくはゼロとすることによりp型半導体層から活性層に対するp型不純物の拡散が無くなるからである。
(第1の層及び第2の層の成長温度)
第1の層をその好適成長温度Aで成長させた後、材料ガスを切り替えて第2の層を形成する。このとき、第2の層の成長温度は、図1に示すように、当初(時間t0)、第1の層の成長温度Aと等しくする。その後、所定の時間t1まではその温度Aが維持される。所定の時間t1は任意に設定可能であるが、時間t1までに成長した第2の層の材料で被覆された第1の層に雰囲気中の水素ガスが影響しなくなるようにすることが好ましい。時間t1経過後は第2の層の成長温度を漸増させて第2の層の好適な成長温度Bに維持する。
第2の層が完成した後水素ガスの供給を停止するとともに試料を第1の層の好適成長温度Aまで放冷する。
図2の例では、第2の層は当初第1の層の成長温度Aと等しくするが、すぐにその温度を上昇させて第2の層の好適成長温度Bに維持する。
図2の例では、試料の温度が第2の層の好適成長温度Bに達した時点で水素ガスを導入している。水素ガスの導入のタイミングは、第1の層に対する第2の層による保護が充分であれば特に限定されない。
図1及び図2の例とも、水素の導入自体を行わないようにすることもできる。
図1及び図2の例とも、第2の層の好適成長温度Bは水素ガスが雰囲気中に存在することを条件としたものであり、水素ガスの存在しない条件では第2の層の好適成長温度は温度Bより高くなる(水素不存在雰囲気のおける好適成長温度C:図3参照)。
図3(a)の例では第1の層の形成が終了したのち、次の様にして第2の層を形成する。まず、水素不在雰囲気における好適成長温度Cにより第2の層を形成し、当該第2の層が所定の厚さになって第1の層に対する水素ガスの影響を防止できるものとなった時間t2において水素ガスを導入する。その後、試料の温度を温度B(水素存在雰囲気における好適成長温度)まで低下させ、第2の層の形成を続行する。第2の層の形成が完成した時点で水素ガスの供給を止め、試料を第1の温度まで放冷する。
この例では、時間t2後に成長温度を低下させることにより、第1の層に対する熱の影響が低減させている。
図3(a)の例では水素導入後に試料の温度を低下させているが、これをそのまま維持してもよい(図3(b)参照)。
以下、この発明の実施例について説明をする。
この実施例は発光ダイオード1であり、その構成を図4に示す。
基板2にはサファイアを採用し、そのa面へIII族窒化物系化合物半導体層を積層させた。基板材料としてサファイアの他、SiC(炭化シリコン)及びGaN(窒化ガリウム)等の六方晶材料、Si(シリコン)やGaP(リン化ガリウム)、GaAs(砒化ガリウム)などの立方晶材料を用いることが出来る。
サファイア基板2の上へスパッタによりAlNバッファ層3が形成されている。このバッファ層3をMOCVD法等の他の方法で形成することもできる。また、AlNの他GaN等の他のIII族窒化物系化合物半導体材料でバッファ層を形成することもできる。
このバッファ層3の上に、図1に示すIII族窒化物系化合物半導体層を常法(MOCVD法)に従い形成する。この成長法においては、アンモニアガスとIII族元素のアルキル化合物ガス、例えばトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)やトリメチルインジウム(TMI)とを適当な温度に加熱された基板上に供給して熱分解反応させ、もって所望の結晶を基板の上に成長させる。
n型半導体層はn型コンタクト層4とn型クラッド層5とからなる。
n型コンタクト層4は厚膜のn+GaN層41の上にGaN層42とn-GaN層43を順次積層したものである。
nクラッド層5はInGaN層51とn-GaN層52を繰り返し積層した構成である。
活性層6はInGaNからなる井戸層61とGaNからなるバリア層とを繰り返し積層した構成である。なお、活性層6においてp型半導体層に接するバリア層63(膜厚:4nm)は他のバリア層61(13nm)より薄膜に形成されている。これにより、p型層からのホール注入効率が向上し、活性層における発光効率が向上する。
p型半導体層はp型クラッド層7とp型コンタクト層8とからなる。
p型クラッド層7において活性層6に接する層はノンドープのAlGaN層71とされ、その上にp-InGaN層72及びp-AlGaN層73が繰り返し積層される。活性層7に接するAlGaN層71をノンドープとすることにより、p型半導体層に含まれるp型不純物(Mg)が活性層6内へ拡散しなくなる。よって、活性層6の結晶品質が安定する。
pクラッド層7においてノンドープのAlGaN層71のAl組成(15%)は他のAlGaN層73のAl組成(30%)に比べて小さい。活性層6の最上層はGaN層63であるので、これに接するAlGaN層71のAl組成を小さくすることにより、GaN層63とAlGaN層71との格子不整合が緩和される。もってAlGaN層71の結晶性が向上し、その結果その上に形成される半導体層の結晶性も向上する。
p型クラッド層7の上にはp型コンタクト層8が積層される。この実施例のp型コンタクト層8はp-GaN層81とp+GaN層82の2層構造とした。符号9は透光性電極であり金を含む透明な導電性金属からなる。この透光性電極9はp型クラッド層8のほぼ全面を被覆して積層される。p型電極10も金を含む材料で構成されており、蒸着により透光性電極9の上に形成される。
n電極11はエッチングにより露出されたn−GaN層41の面へ蒸着により形成される。
この実施例では、n型クラッド層5及び活性層6を構成する多層積層構造にはInGaNが含まれる。このInGaN層は熱的に劣化しやすい。従って比較的低温で成長させる必要がある。また雰囲気中の水素ガスの影響も受け易い。
他方、各多層積層構造においてInGaN層とペアになるGaN層は比較的高温で成長させることが好ましく。また、MOCVD法を実行するときのキャリアガスに水素を混入することにより、より低温で良質な結晶が得られることとなる。
そこでこの実施例では、nクラッド層5を構成する超格子構造においてInGaN層51の上へn−GaN層52を形成するとき、図5に示すとおり、当初InGaN層の成長温度800℃を維持し、n−GaN層52の材料でInGaN層51を被覆する(ステップ1)。この実施例ではt0−t1間を約1分とし、これにより約1nmのn−GaN層が形成された。このn−GaN層52は雰囲気中の水素がInGaN層51へ悪影響を及ぼすことを防止する。従って、時間t1の時点で水素ガスをキャリアガス(窒素ガス)中へ導入する。水素ガスの導入量は特に限定されるものではないが、窒素ガス:水素ガス=3〜4:1とすることが好ましい。その後、試料の温度を840℃まで上昇させ当該成長温度にて所望膜厚のn−GaN層52を形成する。n−GaN層52の形成が完了したら水素の導入を停止して、試料を放冷する。
活性層6の多層積層構造は次のように形成した。量子井戸層となるInGaN層61の上へバリア層となるGaN層62を形成するとき、図6に示すとおり、当初InGaN層71の成長温度770℃を維持し、GaN層62の材料でInGaN層61を被覆する(ステップ1)。この実施例ではt0−t1間を約1分とし、これにより約1nmのGaN層が形成された。このGaN層62は雰囲気中の水素がInGaN層61へ悪影響を及ぼすことを防止する。従って、時間t1の時点で水素ガスをキャリアガス(窒素ガス)へ導入する。水素ガスの導入量は特に限定されるものではないが、窒素ガス:水素ガス=3〜4:1とすることが好ましい。その後、試料の温度を840℃まで上昇させ当該成長温度にて所望膜厚のGaN層62を形成する。GaN層62が完成したら水素の供給を止めて試料を放冷する。
図7に比較例の発光素子を示す。図7において、図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
即ち、図7に示す比較例の発光素子101においては、活性層106においてp型クラッド層107に接する最終バリア層の膜厚を13nmとして他のバリア層62と同一構成とした。また、p型クラッド層107において活性層106に接するAlGaN層も他のAlGaN層73と同一構成及び同一成長温度とした。
nクラッド層105のn−GaN層152及び活性層106のGaN層162、163は一定の温度で形成されている。
図8の実施例1は図4に示す発光素子1において、活性層6のGaN層を形成するに当たり、途中での水素ガスの導入を行わなかったものである。また、nクラッド層5においてもGaN層を一定温度(840℃)で形成し、かつ途中での水素ガス導入も行われていない。
図8の結果から、活性層6の多重量子井戸構造を構成するGaN層の成長温度へ図6に示すような温度傾斜を持たせることにより、発光素子の発光出力が増大することがわかる。
図9の実施例2は図4に示す発光素子1において、活性層6のGaN層を形成するに当たり、成長温度を一定温度(840℃)として途中での水素ガスの導入のみを行なったものである(図10参照)。水素ガスの導入のタイミングは図4の例と同一である。また、nクラッド層5においてもGaN層を一定温度(840℃)で形成し、かつ途中での水素ガス導入も行われていない。
図9の結果から、活性層6の多重量子井戸構造を構成するGaN層を成長させるにあたり、途中で水素ガスを導入することにより、発光素子の発光出力が増大することがわかる。これは、途中で水素ガスを導入することより、InGaN層に何らダメージを与えることなくGaN層の結晶性が向上したためと考えられる。
図11の実施例3は図4に示す発光素子1において、活性層6においては温度傾斜及び水素ガスの途中導入を行うものの、nクラッド層5のGaN層を一定温度(840℃)で形成し、かつ途中での水素ガス導入も行っていないものである。
図11の結果から、活性層6の多重量子井戸構造を構成するGaN層を成長するにあたり、その成長温度に図6に示すような温度傾斜を持たせることにより、かつ途中で水素ガスを導入することにより、発光素子の発光出力が増大することがわかる。
図12の実施例4は図4に示す発光素子1において、n型クラッド層5において温度傾斜及び水素ガスの途中導入を行うものの、活性層6のGaN層62を一定温度(840℃)で形成し、かつ途中での水素ガス導入も行っていないものである。
図12の結果から、n型クラッド層5の超格子構造を構成するn−GaN層を成長するにあたり、そのn−GaN層の成長温度に図5に示すような温度傾斜を持たせることにより、かつ途中で水素ガスを導入することにより、発光素子の発光出力が増大することがわかる。
図13の実施例5は図4に示す発光素子1である。即ち、n型クラッド層5及び活性層6においてともに温度傾斜及び水素ガスの途中導入を行っている。
図13の結果から、図4に示す実施例5の発光素子1によればn型クラッド層5の超格子構造を構成するn−GaN層を成長するにあたり、そのn−GaN層の成長温度に図5に示すような温度傾斜を持たせることにより、かつ途中で水素ガスを導入することにより、更には、活性層6の多重量子井戸構造を構成するGaN層を成長するにあたり、その成長温度に図6に示すような温度傾斜を持たせることにより、かつ途中で水素ガスを導入することにより、発光素子の発光出力が増大することがわかる。
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
図1はこの発明における多層積層構造の形成方法の一例を示すチャートである。 図2はこの発明における発光素子の多層積層構造の形成方法の他の一例を示すチャートである。 図3はこの発明における発光素子の多層積層構造の形成方法の他の一例を示すチャートである。 図4はこの発明の実施例のIII族窒化物系化合物半導体発光素子の構成を示す模式図である。 図5は実施例の発光素子におけるnクラッド層の形成方法を示すチャートである。 図6は実施例の発光素子における活性層の形成方法を示すチャートでるあ。 図7は比較例のIII族窒化物系化合物半導体発光素子の構成を示す模式図である。 図8は活性層におけるGaN層の形成時に温度傾斜のみを実行したとき(実施例1)と比較例との発光出力の相違を示すグラフである。 図9は活性層におけるGaN層の形成時に途中水素導入のみを実行したとき(実施例2)と比較例との発光出力の相違を示すグラフである。 図10は実施例2における活性層の形成方法を示すチャートである。 図11は活性層におけるGaN層の形成時に温度傾斜及び途中水素導入を実行したとき(実施例3)と比較例との発光出力の相違を示すグラフである。 図12はnクラッド層におけるn−GaN層の形成時に温度傾斜及び途中水素導入を実行したとき(実施例4)と比較例との発光出力の相違を示すグラフである。 図13は活性層におけるGaN層の形成時に温度傾斜及び途中水素導入を実行し、かつnクラッド層におけるn−GaN層の形成時に温度傾斜及び途中水素導入を実行したとき(実施例5)と比較例との発光出力の相違を示すグラフである。
符号の説明
1、101 発光素子
2 サファイア基板
3 バッファ層
4 n型コンタクト層
5 n型クラッド層
6、106 活性層
7、107 p型クラッド層
8 p型コンタクト層

Claims (4)

  1. InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)からなる第1の層とAlGa1−aN(0≦a≦1)からなる第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造を有するIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
    前記第1の層の上へ前記第2の層をMOCVD法により形成する際に、
    実質的に前記第1の層の成長温度で前記第2の層の成長を開始して、その後成長温度を上昇させ、
    前記第1の層の上に前記第2の層が所定の厚さに成長した後、キャリアガスに水素ガスを混入させる、ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記第2の層が所定の厚さ成長した後、該第2の層の成長温度を上昇させる、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法。
  3. InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)からなる第1の層とAlGa1−aN(0≦a≦1)からなる第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造を有するIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
    前記第1の層の上へ前記第2の層をMOCVD法により形成する際に、
    実質的に前記第1の層の成長温度で前記第2の層の成長を開始して、その後成長温度を上昇させる、ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法。
  4. InAlGa1−(x+y)N(0<x≦1、0≦y≦1、0<(x+y)≦1)からなる第1の層とAlGa1−aN(0≦a≦1)からなる第2の層とを繰り返し積層してなる多層積層構造を有するIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
    前記第1の層の上へ前記第2の層をMOCVD法により形成する際に、
    前記第1の層の上に前記第2の層が所定の厚さに成長した後、キャリアガスに水素ガスを混入させる、ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法。
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