JP2006108312A - 気相成長装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガス導入部から反応室内に導入する原料ガス等の流れを最適化することができるとともに、ガス導入部の温度上昇を抑えて原料ガスを熱分解させずに基板上に供給することができる気相成長装置を提供する。
【解決手段】 円盤状の基板保持台11と、該基板保持台に対向配置されて基板保持台との間に偏平円筒状の反応室13を形成する隔壁12と、該隔壁の中央部に設けられたガス導入部15と、前記反応室の外周に設けられたガス導出部16と、前記基板保持台の同一円周上に配設された複数の基板保持部19と、該基板保持部に保持した基板18を加熱するヒーター21とを備えた気相成長装置において、前記基板保持台の中央部に前記基板保持部の反応室内面よりも反応室外側方向に窪ませた凹部25を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、気相成長装置に関し、詳しくは、円周上に配置した複数の基板上に同時に半導体薄膜を成長させるための気相成長装置であって、特に、原料ガスの一つに有機金属化合物を使用したMOCVDに最適な気相成長装置に関する。
気相成長装置として、円形の上板と下板とによって偏平円筒状に形成した反応室の中央部にガス導入部を配設するとともに、反応室内の同一円周上に複数の基板を配置し、加熱手段で基板を所定温度に加熱してガス導入部から原料ガスを反応室内に導入することにより、同時に複数の基板上に薄膜を成長させる装置が知られている。さらに、このような装置では、各基板を保持する基板ホルダーを回転(自転、公転あるいは自公転)させることにより、複数の基板上に成長させる薄膜の均一化を図ることも行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3376809号公報
しかし、前述のような構造の気相成長装置では、高温に加熱された基板等からの熱輻射や対流伝熱によってガス導入部の先端温度が上昇し、熱分解温度が低い原料ガスがガス導入部から噴出する際に熱分解して所定の薄膜成長を行えなくなることがあった。特に、ガス導入部外周の円周上に複数の基板を配置するものでは、ガス導入部が周囲から加熱されるために、一般的な横型反応室のガス導入部よりも高温になりやすく、原料ガスの熱分解も生じやすくなっている。このため、ガス導入部自体を冷却することも考えられるが、反応室内に複数種のガスを導入するものでは、構造が複雑になって、ガス流れなどに悪影響を及ぼすことがある。
そこで本発明は、ガス導入部から反応室内に導入する原料ガス等の流れを安定化させることができるとともに、ガス導入部の温度上昇を抑えて原料ガスを熱分解させずに基板上に供給することができる気相成長装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の気相成長装置は、円盤状の基板保持台と、該基板保持台に対向配置されて基板保持台との間に偏平円筒状の反応室を形成する隔壁と、該隔壁の中央部に設けられたガス導入部と、前記反応室の外周に設けられたガス導出部と、前記基板保持台の同一円周上に配設された複数の基板保持部と、該基板保持部に保持した基板を加熱する加熱手段とを備えた気相成長装置において、前記ガス導入部に対向する基板保持台の中央部に、前記基板保持部の反応室内面よりも反応室外側方向に窪ませた凹部を形成したことを特徴としている。
さらに、本発明の気相成長装置は、上記構成において、前記凹部を形成した部分の外周に輻射防止部材及び低熱伝導部材の少なくともいずれか一方の部材を有する断熱部を設けたことを特徴としている。また、前記ガス導入部が、反応室の軸線を中心とした多重管構造を有し、該多重管の反応室内の先端部に、該多重管により区画されたガス導入経路を通ってそれぞれ導入されるガスを反応室の外周方向に向けてガイドするための外縁が円形のガイド板を設けるとともに、該ガイド板を前記凹部内に配置したことを特徴としている。さらに、前記凹部の反応室外部側に、該凹部の反応室内側面を冷却する冷却手段が設けられていることを特徴としている。
本発明の気相成長装置によれば、凹部を設けることによってガス流れを安定化できるとともに、高温に加熱された基板等からの熱輻射や対流伝熱によってガス導入部の先端温度が上昇することを抑えることができるので、原料ガスに熱分解温度が低いものを使用した場合でも、ガス導入部の温度が前記熱分解温度以上になることを防止できる。特に、ガスをガイドするためのガイド板を凹部内に配置することにより、熱輻射によるガイド板の温度上昇を効果的に抑制できる。さらに、断熱部や冷却手段を設けることにより、ガス導入部の温度上昇を確実に防止できる。
図1及び図2は本発明の気相成長装置の第1形態例を示すもので、図1は概略縦断面図、図2は基板保持台の平面図である。
この気相成長装置は、円盤状の基板保持台(サセプタ)11と、円盤状の隔壁12とを水平方向に向けて所定間隔で対向配置することにより、基板保持台11と円盤状の隔壁12との間に偏平円筒状の反応室13を形成したものであって、隔壁12の中央部には、ガス導入管14を接続したガス導入部15が設けられ、反応室13の外周にはガス導出部16が設けられている。また、隔壁12の外周は基板保持台11の周囲を囲むように屈曲しており、基板保持台11と隔壁外周壁12aとの間に下方に向かう排気通路16aが形成されている。
基板保持台11は、ガス導入部15に対向する中央部分に冷却手段17を配設するための円形の開口11aを有しており、基板保持台11の外周部分には、基板18を保持する複数の基板保持部(基板ホルダー)19が同一円周上に等間隔で配置されている。基板保持台11は、鉛直線を回転軸として冷却手段17と一体に、あるいは別体に回転するように形成されており、基板保持部19は、基板保持台11に装着された状態で回転するように形成されている。また、基板保持部19の下方には、基板18を加熱するための加熱手段として、リフレクター20に収納されたヒーター21がリング状に配設されている。
さらに、基板保持台11の上面は、外周部カバー22a及び基板保持部19を装着する部分に開口を設けた内周部カバー22bで覆われており、基板保持部19の上面は、基板18を保持する開口を設けた保持部カバー22cで覆われている。これらのカバー22a,22b,22cは、石英ガラス、アルミナ、サファイア、窒化ホウ素等で形成され、着脱が容易に行えるように設けられている。また、カバー22a,22b,22cは、主として基板保持台11を保護し、上面に反応生成物が付着したときの清掃作業を容易にするために設けられるものであって、省略することも可能である。
前記ガス導入管14は、小径管14a、中径管14b及び大径管14cを同心上に配置した三重管構造を有しており、小径管14aの内部に第1ガス導入経路23aが、小径管14aと中径管14bとの間に第2ガス導入経路23bが、中径管14bと大径管14cとの間に第3ガス導入経路23cがそれぞれ形成されている。さらに、最外周で先端が隔壁12に接続した状態となる大径管14cを除く小径管14a及び中径管14bの反応室13内の先端部には、各ガス導入経路23a,23b,23cを通ってそれぞれ導入されるガスを反応室13の外周方向に向けて均等にガイドするための外縁が円形のガイド板24a,24bがそれぞれ設けられている。
そして、基板保持台11の反応室内側中央部に位置し、ガス導入部15に対向する冷却手段17の冷却面17aには、前記基板保持部19の反応室内面よりも反応室外側方向に窪ませた凹部25が形成されている。この凹部25は、その外周縁が各基板18から等距離となるように平面視が円形に形成されており、直径は前記ガイド板24a,24bの直径よりも十分に大きな直径とし、深さは前記ガイド板24a,24bの少なくとも下方のガイド板24aを収納可能な深さに形成することが好ましい。また、凹部25の上面は、少なくともその周辺部が基板保持台11の上面と面一あるいは滑らかに接続していることが望ましく、隙間も最小限に設定しておくことが望ましい。
このような凹部25を設けるとにより、反応室13の高さ寸法に比べてガス導入部15の部分の高さ寸法を拡大することができるので、ガスを反応室13の外周方向にガイドするガイド板24a,24bの位置や形状の自由度が高まり、ガス導入部15から反応室13に向けてより均等に、より安定した状態で各ガスを導入することができる。特に、大気圧成長においても十分に早い流速を実現できるようにキャリヤガス流量を増やしても流れに乱れを発生することが少ない。
また、ガイド板24a,24bを凹部25内に収納するように配置することにより、高温に加熱された基板18や基板保持台11からガイド板24a,24bへの熱輻射を抑制することができ、ガイド板24a,24bの温度上昇を抑制して熱分解温度の低い原料ガスが熱分解することを防止できる。
さらに、凹部25を形成した部分、本形態例では冷却手段17の外周に断熱部26を設けることにより、凹部25の温度上昇を抑制することができ、ガイド板24a,24bの温度上昇をより効果的に抑制できる。断熱部26は、熱輻射を防止する輻射防止部材や熱伝導を防止する低熱伝導部材のいずれか一方あるいは双方を使用することができる。輻射防止部材としては、高融点金属であるタングステンやタンタルを使用することができ、低熱伝導部材としては、石英ガラス、アルミナ、サファイア、窒化ホウ素等のセラミックス耐熱材料を使用することができる。
また、必要に応じて凹部25の反応室外部側に前記冷却手段17を設けることにより、該凹部25の反応室内側面を介してガイド板24a,24bを冷却することができるので、ガイド板24a,24bの温度上昇をより確実に防止できる。冷却手段17は、要求される冷却能力に応じて任意の構造で形成することができ、例えば、内部を空洞とし、上面に冷却面17aを設けた円筒状容器17bに、冷却媒体、例えば冷却水や低温ガスの導入管と導出管とを接続し、円筒状容器内に冷却媒体を流通させる構造を採用することができる。このとき、基板保持台11側から直接的に加熱されるガイド板24a,24bの周縁を冷却するだけで十分な場合には、冷却面17aをリング状に形成することもできる。
また、冷却手段17は、円盤状の基板保持台11の中央部背面に前述のような冷却媒体循環用の容器を配置して基板保持台11の中央部を間接的に冷却するようにしてもよく、円盤状の基板保持台11の中央部背面に冷却媒体、例えば低温窒素ガスを吹き付けて基板保持台11の中央部を直接冷却することも可能であり、冷却媒体が流通する通路を基板保持台11と一体に形成することも可能である。
このような冷却手段17で使用する冷却媒体は、要求される冷却能力に応じて適宜な気体や液体を使用可能であり、冷却媒体の温度も任意に設定することができ、必要に応じてガイド板24a,24bの上面部分に対応する隔壁12を冷却するようにしてもよい。
さらに、凹部25及び断熱部26の反応室内側面を、熱伝導率の小さな材料、例えば、石英ガラス、アルミナ、サファイア、窒化ホウ素等の加工可能なセラミックス耐熱材料で形成したカバー31a,31bで覆い、該カバー31a,31bを着脱が容易に形成しておくことにより、上面に反応生成物が付着したときの清掃作業を容易に行うことができる。
この気相成長装置で基板18上に薄膜を成長させる際には、前記ヒーター21を作動させて基板18を所定温度に加熱するとともに、冷却手段17を作動させて冷却状態とし、前記ガス導入管14の各ガス導入経路23a,23b,23cに所定のガスを供給する。各ガス導入経路23a,23b,23cに供給するガス種は特に限定されるものではなく、第1ガス導入経路23aには、水素又は窒素、アンモニアと水素との混合ガス、アンモニアと窒素との混合ガス、アンモニアと水素と窒素との混合ガスを供給し、第2ガス導入経路23bには、有機金属化合物と水素との混合ガス、有機金属化合物と窒素との混合ガス、有機金属化合物と窒素と水素との混合ガスを供給し、第3ガス導入経路23cには、アンモニアと窒素との混合ガス、アンモニアと水素との混合ガス、アンモニアと窒素と水素との混合ガスをそれぞれ供給し、ガイド板24a,24bによってこれらのガスを反応室13の外周方向に向けて導入する。
このとき、有機金属化合物として熱分解温度が低いものを使用しても、前述のようにガイド板24a,24bを凹部25内に収納するように配置しておくことにより、基板18や基板保持台11からの熱輻射によってガイド板24a,24bが温度上昇することを抑制できるので、熱分解温度が低い有機金属化合物も熱分解することなく基板18上に供給され、所望の薄膜を成長させることができる。さらに、必要に応じて前記冷却手段17を設けておくことにより、ガス導入部15をより確実に冷却することができる。基板18上を通過したガスは、反応室13外周のガス導出部16に向かって流れ、排気通路16aを通って装置下方に排出される。
図3は本発明の気相成長装置の第2形態例を示す概略縦断面図である。なお、以下の説明において、前記第1形態例で示した気相成長装置における構成要素と同一の構成要素には、それぞれ同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本形態例に示す気相成長装置は、ガイド板24a,24bを凹部25内に収納しない状態を示している。このように、凹部25内にガイド板24a,24bを収納しない場合でも、前述のように、反応室13の高さ寸法に比べてガス導入部15の部分の高さ寸法を拡大することができるので、ガスを反応室13の外周方向にガイドするガイド板24a,24bの位置や形状の自由度が高まり、ガス導入部15から反応室13に向けてより均等に、より安定した状態でガスを導入することができる。
また、本形態例では、断熱部26として、高融点のタングステンやタンタルを使用した輻射防止部材32と、前述のようなセラミックス耐熱材料を使用した低熱伝導部材33とを設置し、これらの上面には、輻射防止部材32を構成する材料よりも熱伝導率が小さい石英ガラス、アルミナ、サファイア、窒化ホウ素等のセラミックス耐熱材料で形成した断熱部カバー34を設け、金属製の輻射防止部材32を保護するとともに、清掃を容易に行えるようにしている。
なお、各形態例では、基板保持部19の上面に基板18を保持する構造を示したが、前記特許文献1に記載されているように、基板保持部の下面に基板を保持する構造とし、反応室の下方からガスを供給するように、上下を反転させた状態に形成することもできる。さらに、隔壁12の全体あるいは一部を基板保持台11に近付く方向に傾斜させるようにしてもよい。また、ガス導入部の構造、ガス導入経路の設置数、ガイド板24a,24bの有無や形状は、成長させる薄膜に応じた原料ガスの種類や、必要に応じて導入されるパージガス等の補助的なガスの種類によって任意の経路数を選択することができる。
さらに、基板18を自転させるとともに公転させる構造で説明したが、自転のみ、公転のみであってもよく、基板を回転させないものにも適用できる。加えて、各部の構造や形状は、基板の大きさやガス流量等の各種条件に応じて設計することができ、各形態例に示した構造、形状に限定されるものではない。
本発明の気相成長装置の第1形態例を示す概略縦断面図である。 基板保持台の平面図である。 本発明の気相成長装置の第2形態例を示す概略縦断面図である。
符号の説明
11…基板保持台、11a…開口、12…隔壁、12a…隔壁外周壁、13…反応室、14…ガス導入管、14a…小径管、14b…中径管、14c…大径管、15…ガス導入部、16…ガス導出部、16a…排気通路、17…冷却手段、17a…冷却面、17b…冷却容器、18…基板、19…基板保持部、20…リフレクター、21…ヒーター、22a…外周部カバー、22b…内周部カバー、22c…保持部カバー、23a…第1ガス導入経路、23b…第2ガス導入経路、23c…第3ガス導入経路、24a,24b…ガイド板、25…凹部、26…断熱部、31a,31b…カバー、32…輻射防止部材、33…低熱伝導部材、34…断熱部カバー

Claims (4)

  1. 円盤状の基板保持台と、該基板保持台に対向配置されて基板保持台との間に偏平円筒状の反応室を形成する隔壁と、該隔壁の中央部に設けられたガス導入部と、前記反応室の外周に設けられたガス導出部と、前記基板保持台の同一円周上に配設された複数の基板保持部と、該基板保持部に保持した基板を加熱する加熱手段とを備えた気相成長装置において、前記ガス導入部に対向する基板保持台の中央部に、前記基板保持部の反応室内面よりも反応室外側方向に窪ませた凹部を形成したことを特徴とする気相成長装置。
  2. 前記凹部を形成した部分の外周に、輻射防止部材及び低熱伝導部材の少なくともいずれか一方の部材を有する断熱部を設けたことを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
  3. 前記ガス導入部は、反応室の軸線を中心とした多重管構造を有し、該多重管の反応室内の先端部に、該多重管により区画されたガス導入経路を通ってそれぞれ導入されるガスを反応室の外周方向に向けてガイドするための外縁が円形のガイド板を設けるとともに、該ガイド板を前記凹部内に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の気相成長装置。
  4. 前記凹部の反応室外部側に、該凹部の反応室内側面を冷却する冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気相成長装置。
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