JP2008196031A - 気相成長装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料ガスやパージガスが他方に漏れ出すことを簡単な構造で確実に抑制することができる気相成長装置を提供する。
【解決手段】中央部材11及び基板ホルダー15の表面外周部に鍔部21a,22aをそれぞれ突設するとともに、サセプタの内周、サセプタの凹部内周及び仕切り壁の内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部をリング状部材23,24,25によりそれぞれ突設形成し、鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させ、鍔部とリング状部材との間に、上下方向が狭く、水平方向が広い隙間を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】中央部材11及び基板ホルダー15の表面外周部に鍔部21a,22aをそれぞれ突設するとともに、サセプタの内周、サセプタの凹部内周及び仕切り壁の内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部をリング状部材23,24,25によりそれぞれ突設形成し、鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させ、鍔部とリング状部材との間に、上下方向が狭く、水平方向が広い隙間を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、気相成長装置に関し、詳しくは、チャンバー内で回転するサセプタの外周部に配置した基板ホルダーを自公転させる機構を備えた自公転方式の気相成長装置に関する。
気相成長装置として、偏平円筒状に形成したチャンバー内の下部にサセプタを回転可能に配設し、該サセプタの外周部に基板を保持する基板ホルダーを自公転可能に配置するとともに、チャンバー内の上部にサセプタ中心部から外周部に向けて原料ガスを導入するガス導入部を配設した、いわゆる自公転方式の気相成長装置が知られている。この気相成長装置は、所定温度に加熱したサセプタを回転させることによって前記基板ホルダーに保持した基板を自公転させながら、前記ガス導入部から所定の原料ガスをチャンバー内に導入することにより、基板面上に薄膜を成長させる(例えば、特許文献1参照。)。
また、気相成長装置では、サセプタの裏面に配置したヒーター等の部分に原料ガスが流入することを抑えるため、サセプタの裏面側にパージガスを流すようにしているが、サセプタを回転させるためには、サセプタの周囲にサセプタの回転を妨げないための隙間を設けておかなければならず、この隙間を通って原料ガスやパージガスが他方に漏れ出すことがあり、原料ガスがサセプタ裏面側に漏れ出すとヒーター等が腐食してしまい、逆にパージガスがサセプタ表面側に漏れ出すと薄膜の品質低下を招いてしまう。
このため、サセプタの原料ガス側とパージガス側との圧力を等しくしてガスの漏れ出しを抑制したり、パージガス側を僅かに低い圧力にすることで薄膜の品質低下を防止したりすることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、フローチャンネルに設けた円形の開口に下方からサセプタを挿入する構造の気相成長装置では、サセプタの外周にフローチャンネル下面に沿う方向の鍔部を突出させ、フローチャンネルとの間の流路面積を拡げることで原料ガスの漏れ出しを抑制することも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2006−108312号公報
特開2006−93276号公報
特開2005−243766号公報
しかし、基板ホルダーを自公転させる構造を有する気相成長装置では、回転する基板ホルダーやサセプタの周囲にガスが漏れ出しやすい隙間が多く、歯車のかみ合わせ部分も考慮しなければならない。また、比較的大きなサセプタが回転し、回転に伴って気流が発生するため、特許文献2に記載されているように、サセプタの原料ガス側とパージガス側との圧力を制御してもガスの漏れ出しを防止することは困難である。さらに、特許文献3に記載されている自転するのみのサセプタとフローチャンネルとの間の構造を基板ホルダーが自公転する構造にそのまま適用することはできない。
そこで本発明は、自公転機構を有する気相成長装置において、原料ガスやパージガスが他方に漏れ出すことを簡単な構造で確実に抑制することができる気相成長装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の気相成長装置における第1の構成は、偏平円筒状のチャンバー内に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に設けられた凹部内に回転可能に収容された複数の円盤状の基板ホルダーと、前記サセプタの外周を覆うリング状の仕切り壁と、該仕切り壁の内周に設けられて前記基板ホルダーの外周に設けられた歯車に歯合する内歯車部材とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記基板ホルダーの表面外周部に鍔部を突設するとともに、前記サセプタの凹部内周及び前記仕切り壁の内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部を設け、前記鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させたことを特徴としている。
本発明の気相成長装置における第2の構成は、偏平円筒状のチャンバー内の中央部に設けられた中央部材と、該中央部材の外周に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に設けられた凹部内に回転可能に収容された複数の円盤状の基板ホルダーと、前記サセプタの外周を覆うリング状の仕切り壁と、該仕切り壁の内周に設けられて前記基板ホルダーの外周に設けられた歯車に歯合する内歯車部材とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記中央部材の表面外周部に鍔部を突設するとともに、前記サセプタの内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部を設け、前記鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させたことを特徴としている。
本発明の気相成長装置における第3の構成は、偏平円筒状のチャンバー内の中央部に設けられた中央部材と、該中央部材の外周に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に設けられた凹部内に回転可能に収容された複数の円盤状の基板ホルダーと、前記サセプタの外周を覆うリング状の仕切り壁と、該仕切り壁の内周に設けられて前記基板ホルダーの外周に設けられた歯車に歯合する内歯車部材とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記中央部材及び前記基板ホルダーの表面外周部に鍔部をそれぞれ突設するとともに、前記サセプタの内周、前記サセプタの凹部内周及び前記仕切り壁の内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部をそれぞれ突設し、前記鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させたことを特徴としている。
さらに、上記各構成の気相成長装置における前記鍔部と張り出し部とが重合する部分の面間寸法に対し、鍔部と張り出し部とが重合する部分の寸法が5倍以上に設定されていることを特徴としている。
本発明の気相成長装置によれば、鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させているので、サセプタや基板ホルダーの円滑な回転を損なうことなく、鍔部と張り出し部とが重合した部分のコンダクタンスを小さくすることができ、サセプタ表面側から裏面側への原料ガスの漏れ出しや、サセプタ裏面側から表面側へのパージガスの漏れ出しを防止することができる。すなわち、単に小さな隙間を設けてガスの流通を抑制するのではなく、ガスが流通する部分のコンダクタンスを制御したことにより、大きなサセプタ内での局所的なガスの出入りも防ぐことができる。
図1は本発明の気相成長装置の一形態例を示す要部の断面図、図2は同じく要部の平面図、図3は図1のIII−III断面図である。
この気相成長装置は、図示しない偏平円筒状のチャンバー内中央下部に冷却構造を備えた中央部材11を配置するとともに、該中央部材11の外周に回転可能に設けられた円盤状で中央に貫通孔12を有するサセプタ13と、該サセプタ13の外周部の同心円上に等間隔で設けられた円形凹部14内に回転可能に収容された複数の円盤状の基板ホルダー15と、前記サセプタ13の外周を覆うリング状の仕切り壁16と、該仕切り壁16の内周に設けられて前記基板ホルダー15の外周に形成された外歯車17に歯合する内歯車部材18とを備えた自公転機構を有する気相成長装置であって、中央部材11の直上には図示しない原料ガス導入ノズルが設けられ、仕切り壁16の外周には排気通路がリング状に設けられている。また、サセプタ13の裏面には、加熱手段であるヒーターやランプ、サセプタ13を回転させるための駆動機構等が設けられるとともに、これらが腐食性を有する原料ガスに接触することを防止するためのパージガスが流通している。前記中央部材11の下部中央には、中央部材11内に冷却水を導入、導出するための二重管からなる冷却配管19が設けられている。なお、これらの構造は、従来からの種々の自公転方式の気相成長装置と同様の構造を採用することができ、構造や形状は特に限定されるものではない。
このような自公転方式の気相成長装置において、本形態例では、前記中央部材11の表面(上面)及び基板ホルダー15の表面(上面)に円盤状の薄板21,22をそれぞれ載置し、各薄板21,22の直径を中央部材11や基板ホルダー15よりも大径とすることにより、中央部材11及び基板ホルダー15の表面外周部に鍔部21a,22aをそれぞれ突設させた状態としている。基板ホルダー15上に載置される薄板22の中央には、基板を収容可能な円形の開口22bが設けられており、気相成長中の基板は、開口22b内に保持されて状態で基板ホルダー15と共に自公転する。
また、前記薄板21,22の厚さは、基板ホルダー15に保持される基板と同じ厚さとされ、さらに、サセプタ13は、各薄板21,22の間を凸面13a、各薄板21,22の裏面部分を凹面13bとし、凸面13aは各薄板21,22の表面と面一になるように形成することにより、原料ガスが流れる面を基板表面を含めて平滑な面になるように形成している。
前記凹面13bは、前記中央部材11が貫通するサセプタ13中央の前記貫通孔12の内周面上部と、前記基板ホルダー15を収容する前記円形凹部14の内周面上部にそれぞれ段状に形成され、凹面13b上には、前記薄板21,22の鍔部21a,22aの一面(下面)に平行な面を有するリング状部材23,24がそれぞれ載置されるとともに、サセプタ13の外周を囲む前記仕切り壁16の内周には、鍔部22aの下面に平行な面を有するリング状部材25が取り付けられている。これらの薄板21,22やリング状部材23,24,25は、高温での原料ガス中の腐食性成分との接触に耐えられる材料、例えば、石英、SiC、BN等で形成することが好ましい。
サセプタ13の内周に設けられたリング状部材23は、サセプタ13の内周から鍔部21aの下方に張り出し、鍔部21aに対して非接触状態で重合するように配置され、鍔部21aの下面とリング状部材23の上面との間に、上下方向が狭く、水平方向が広い隙間26を形成している。また、円形凹部14の内周に設けられたリング状部材24は、仕切り壁16に取り付けたリング状部材25と干渉する外周部分が切り欠かれたC字状に形成されており、円形凹部14の内周から鍔部22aの下方に張り出し、鍔部22aに対して非接触状態で重合するように配置され、鍔部22aの下面とリング状部材24の上面との間に、上下方向が狭く、水平方向が広い隙間27を形成している。さらに、仕切り壁16に設けられたリング状部材25は、仕切り壁16の内周から鍔部22aの下方に張り出し、鍔部22aに対して非接触状態で重合するように配置され、鍔部22aの下面とリング状部材25の上面との間に、上下方向が狭く、水平方向が広い隙間28を形成している。
このように、回転する部材とその周囲の部材との間に生じる隙間の部分に鍔部21a,22aを突設するとともに、該鍔部21a,22aの下面に平行な面を有するリング状部材23,24,25を張り出させ、鍔部21a,22aとリング状部材23,24,25と間に上下方向が狭く、水平方向が広い隙間26,27,28をそれぞれ形成することにより、サセプタ13や基板ホルダー15の回転に悪影響を与えることなく、隙間部分のコンダクタンスを低くしてガスが流れにくい状態とすることができるので、サセプタ13の表面側と裏面側とで圧力が多少異なっていても、サセプタ13の表面側を流れる原料ガスがサセプタ13の裏面側に漏れ出すことを防止でき、同様に、サセプタ13の裏面側を流れるパージガスがサセプタ13の表面側に漏れ出すことを確実に防止できる。
これにより、サセプタ13の裏面側に配置されているヒーター等が腐食性を有する原料ガスと接触して腐食することを防止できるとともに、原料ガス中にパージガスが混入して薄膜の品質を劣化させることを防止でき、高品質な薄膜を長期にわたって連続的に製造することができ、装置のメンテナンスコストの削減も図れる。
さらに、鍔部や張り出し部をサセプタ13や基板ホルダー15、仕切り壁16と一体形成することも可能であるが、前記薄板21,22や前記リング状部材23,24,25を使用して鍔部や張り出し部を形成することにより、これらが汚れたときの交換、清掃を容易に行うことができる。
なお、本発明は、基板表面を下方に向けたフェースダウン方式の気相成長装置にも適用することができ、基板ホルダー15部分のガスの遮断を他の手段で行うときには、中央部材11とサセプタ13との間だけを上記構成とすればよく、サセプタ13が中央部を含めて一体形成されている場合は、基板ホルダー15の周囲だけを上記構成とすればよい。また、隙間26,27,28における上下間の寸法は、各部材が熱変形しても接触しない程度に設定すればよく、水平方向の寸法は、サセプタ13の直径や基板ホルダー15の直径、配置数に応じてできるだけ長く設定すべきであり、上下の面間寸法に対する重合部分の水平方向の寸法は5倍以上に設定することが好ましく、上下間の寸法が小さくても水平方向の寸法が小さい場合には、単にガスの流通路を狭めただけとなってコンダクタンスを十分に低くすることができなくなる。
11…中央部材、12…貫通孔、13…サセプタ、13a…凸面、13b…凹面、14…円形凹部、15…基板ホルダー、16…仕切り壁、17…外歯車、18…内歯車部材、19…冷却配管、21,22…薄板、21a,22a…鍔部、22b…開口、23,24,25…リング状部材、26,27,28…隙間
Claims (4)
- 偏平円筒状のチャンバー内に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に設けられた凹部内に回転可能に収容された複数の円盤状の基板ホルダーと、前記サセプタの外周を覆うリング状の仕切り壁と、該仕切り壁の内周に設けられて前記基板ホルダーの外周に設けられた歯車に歯合する内歯車部材とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記基板ホルダーの表面外周部に鍔部を突設するとともに、前記サセプタの凹部内周及び前記仕切り壁の内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部を設け、前記鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させたことを特徴とする気相成長装置。
- 偏平円筒状のチャンバー内の中央部に設けられた中央部材と、該中央部材の外周に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に設けられた凹部内に回転可能に収容された複数の円盤状の基板ホルダーと、前記サセプタの外周を覆うリング状の仕切り壁と、該仕切り壁の内周に設けられて前記基板ホルダーの外周に設けられた歯車に歯合する内歯車部材とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記中央部材の表面外周部に鍔部を突設するとともに、前記サセプタの内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部を設け、前記鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させたことを特徴とする気相成長装置。
- 偏平円筒状のチャンバー内の中央部に設けられた中央部材と、該中央部材の外周に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に設けられた凹部内に回転可能に収容された複数の円盤状の基板ホルダーと、前記サセプタの外周を覆うリング状の仕切り壁と、該仕切り壁の内周に設けられて前記基板ホルダーの外周に設けられた歯車に歯合する内歯車部材とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記中央部材及び前記基板ホルダーの表面外周部に鍔部をそれぞれ突設するとともに、前記サセプタの内周、前記サセプタの凹部内周及び前記仕切り壁の内周に前記鍔部の一面に平行な面を有する張り出し部をそれぞれ突設し、前記鍔部と張り出し部とを非接触状態で重合させたことを特徴とする気相成長装置。
- 前記鍔部と張り出し部とが重合する部分の面間寸法に対し、鍔部と張り出し部とが重合する部分の寸法が5倍以上に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気相成長装置。
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