JP2006104949A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮機の騒音を抑えると共に、圧縮機としての性能を向上させるようにした圧縮機を提供する。
【解決手段】密閉容器1の内部に駆動要素2と圧縮要素3が配置されており、圧縮要素3は支持部材7とシリンダ8とが一体化されている。シリンダ8の側部に設けた切欠部8bと、この切欠部8bに対応させて支持部材7の側部に設けた切欠部7eと、シリンダ8の底面に取り付けた仕切板24と、密閉容器1の側壁とで囲まれた空間によりマフラ23を構成する。又、支持部材7にはマフラ23の出口7fが、駆動装置2のステータ4とロータ6との間の僅かな隙間Sの下方位置に近接して設けられる。シリンダ8における切欠部8bの側壁に吐出バルブ12が取り付けられ、シリンダ8の内部に形成されている通路8aを開閉する。通路8aは支持部材7に設けられている高圧冷媒ガス吐出口(図略)を介してシリンダ8内部の圧縮空間20に連通している。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷媒ガス等の流体を圧縮して吐出する密閉型の圧縮機であって、特に回転軸と共に同心軸回転してシリンダ内の冷媒ガス等を圧縮する圧縮部材に特徴を有する圧縮機に関するものである。
圧縮機としては、従来種々の方式・形態のものが知られており、そのうち回転式圧縮機(ロータリ圧縮機)は密閉容器内に駆動要素と圧縮要素とが配置され、駆動要素のステータに通電してロータを軸回転させ、このロータに軸着されている回転軸によって圧縮要素のシリンダ内でローラを偏心回転させ、このローラの外周面に常時当接しているベーンによりシリンダ内が低圧室と高圧室とに区分されており、低圧室に吸入した冷媒ガスを圧縮して密閉容器内に吐出すると共に、この密閉容器から高圧冷媒ガスを吐出させて冷媒回路に供給するように構成したものである(例えば、特許文献1)。
上記従来の回転式圧縮機は、前記駆動要素のロータに軸着された回転軸の端部近傍に偏心円盤部を設け、この偏心円盤部の外周にローラを回転自在に配設している。そして、前記のように回転軸が軸回転すると、偏心円盤部の偏心回転に伴ってローラがシリンダの圧縮空間内を偏心回転し、シリンダ内の冷媒ガスを低圧室から高圧室に移動させながら圧縮するのである。
このような構造の回転式圧縮機では、回転軸に偏心円盤部を形成しなければならず、且つこの偏心円盤部の外周にローラを回転自在に設ける必要があることから、加工性が低下し且つ部品が増えてコストアップの原因の一つになっている。又、偏心円盤部を介してローラが偏心回転するため、振動とトルク変動が大きくなる傾向がある。
上記従来構造の回転圧縮機における加工性の低下、部品の増大及び振動とトルク変動の増大を防止するために、回転軸の偏心円盤部とローラとの組み合わせを用いず、回転軸に対して同心軸に圧縮部材を取り付け、この圧縮部材をシリンダの圧縮空間内を回転させることで吸入した冷媒ガスを圧縮できるようにした圧縮機が知られている(例えば、特許文献2)。
回転軸と同心軸回転する圧縮部材を備えた上記圧縮機は、圧縮部材として傾斜板が用いられており、この傾斜板の両面側で冷媒ガスを圧縮するためシリンダの圧縮空間に冷媒ガスを導く吸入路及び圧縮後の冷媒ガスを吐出するための吐出路を2つずつ設けなければならない。このような構造であると、シリンダ内全域において傾斜板の上下で高圧室と低圧室とが隣接する形となるため、高低圧差が大きくなり、冷媒ガスリークによる効率悪化が問題となる。これを防止するために、本出願人は圧縮部材を比較的肉厚な部材で形成し、片面側で冷媒ガスを圧縮するようにした圧縮機を開発して先に特許出願した(特願2004−003142号)。
特開平6−307363号公報 特願2004−003142号
上記先行出願に係る圧縮機は、回転軸に対してほぼ円柱状の圧縮部材を同心軸に設け、この圧縮部材の上面に特殊形状の傾斜面を形成することにより冷媒ガスを圧縮できるようにしたもので、駆動要素のステータに通電してロータを回転させ、このロータに軸着されている回転軸によって圧縮要素におけるシリンダ内で圧縮部材を同心軸回転させ、この圧縮部材の傾斜面に常時当接しているベーンを介してシリンダ内が低圧室と高圧室とに区分されており、低圧室に吸入した冷媒ガスを圧縮して密閉容器内に吐出すると共に、この密閉容器から高圧冷媒ガスを吐出させて冷媒回路に供給するものである。
この先行出願に係る圧縮機の構成を概略説明すると、前記圧縮要素は密閉容器に固定されて駆動要素のロータに固定した回転軸を貫通させて軸支する支持部材と、この支持部材に固定されて圧縮空間を形成するシリンダと、回転軸に同心軸固定されてシリンダの圧縮空間内を回転し一面が回転軸を中心として一周すると最も高くなる上死点から最も低くなる下死点を経て上死点に戻る略正弦波形状の傾斜面に形成された圧縮部材と、前記支持部材に設けられたベーンスロットにコイルバネを介して装着され先端が圧縮部材の傾斜面に常時当接して圧縮空間内を低圧室と高圧室とに区分するベーンとを備えている。
しかしながら、上記圧縮機はシリンダの高圧室から密閉容器内に吐出される高圧冷媒ガスに起因する騒音が発生し、又高圧冷媒ガスに対する流路抵抗により圧縮機としての性能が低下する問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、圧縮機の騒音を抑えると共に、高圧冷媒ガスに対する流路抵抗を抑えて圧縮機としての性能を向上させるようにした圧縮機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1の圧縮機は、密閉容器内に駆動要素と、この駆動要素により駆動される圧縮要素とが配置され、前記圧縮要素は前記密閉容器に固定され前記駆動要素のロータに固定した回転軸を貫通させて軸支する支持部材と、この支持部材に固定されて圧縮空間を形成するシリンダと、前記回転軸に同軸心に固定されて前記シリンダの圧縮空間内を回転し一面が前記回転軸を中心として一周すると最も高くなる上死点から最も低くなる下死点を経て上死点に戻る略正弦波形状の傾斜面に形成された圧縮部材と、前記支持部材に設けられたベーンスロットにバネを介して装着され先端が前記圧縮部材の傾斜面に常時接触して前記圧縮空間内を低圧室と高圧室とに区分するベーンとを備え、前記低圧室に吸入した流体を前記圧縮部材により圧縮して前記高圧室から吐出する圧縮機であって、前記圧縮要素の側部に、前記高圧室から吐出される冷媒ガスを消音するためのマフラを設けたことを特徴とする。
本発明に係る請求項2の圧縮機は、請求項1において、前記マフラは、シリンダの側部に設けた切欠部と、このシリンダの上に位置する支持部材の側部に前記切欠部に対応させて設けた切欠部と、前記シリンダの底面に取り付けた仕切板と、前記密閉容器の側壁とで囲まれた空間により構成されることを特徴とする。
本発明に係る請求項3の圧縮機は、請求項1又は請求項2において、前記マフラの出口は、支持部材に駆動要素のステータとロータとの僅かな隙間の下方位置に近接させて設けたことを特徴とする。
上記請求項1の発明によれば、圧縮機の密閉容器内における圧縮要素の側部にマフラを設けたので、シリンダの高圧室から吐出される冷媒ガスを消音することができる。これにより、圧縮機の騒音を低く抑えることができる。
上記請求項2の発明によれば、シリンダの側部に設けた切欠部と、このシリンダの上に位置する支持部材の側部に前記切欠部に対応させて設けた切欠部と、前記シリンダの底面に取り付けた仕切板と、前記密閉容器の側壁とで囲まれた空間によりマフラを容易に構成することができる。
上記請求項3の発明によれば、マフラの出口を、支持部材に駆動要素のステータとロータとの僅かな隙間の下方位置に近接させて設けたので、マフラ出口から吐出される高圧冷媒ガスを、高圧冷媒ガスに対する流路抵抗の低い駆動要素の僅かな隙間を介して密閉容器内の上部領域に導くことができる。これにより、密閉容器上端の吐出配管から吐出すべき高圧冷媒ガスを十分確保することができ、且つ吐出ガスに含まれるオイルを効率良く分離でき、圧縮機としての性能を向上させることが可能となる。
次に、本発明に係る圧縮機の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る圧縮機の実施形態を示す概略縦断面図である。図2は本発明に係る圧縮機の実施形態におけるベーンの箇所を通る概略縦断面図である。図3は本発明に係る圧縮機の実施形態における概略横断面図である。各図において、1は密閉容器であり、有底円筒状の鉄製収納部材の上端部に、有蓋略円筒状の鉄製被覆部材を溶接することで構成され、この密閉容器1内の上方部には駆動要素2が、下方部には駆動要素2により駆動される圧縮要素3がそれぞれ配置されている。
上記駆動要素2は、密閉容器1の内壁に固定されたステータ4と、このステータ4の内側に配設されたロータ6とから電動モータが構成されており、ロータ6の中心軸部には回転軸5の上端部が軸着されている。この駆動要素2のステータ4の外周部と密閉容器1との間には上下の空間部を連通する隙間10が複数箇所に形成されている。尚、図示は省略したが、前記密閉容器1における鉄製被覆部材には取付部材を介して端子が装着され、この端子とステータ4とが内部リード線で接続される。そして、端子には外部電源からの外部リード線が接続されて、ステータ4に通電するように構成される。
上記圧縮要素3は、密閉容器1の内壁に固定された支持部材7と、この支持部材7の下にボルト(図略)により取り付けられたシリンダ8と、このシリンダ8内に配置された圧縮部材9(本実施形態では、スワッシュ部材と称する)と、支持部材7に対して上下動可能に装着されたベーン11と、シリンダ8の切欠部8b(図3)の側面に取り付けられた吐出バルブ12等から構成されている。又、支持部材7の上面中央部は同心円柱状に上方に突出して回転軸5の主軸受け部13が形成され、下面中央部は同心円柱状に下方へ突出して突出部14が形成されており、その下面14aは平滑面になっている。
上記支持部材7にはベーンスロット16が設けられ、このベーンスロット16内に前記ベーン11が上下動可能に装着されている。このベーンスロット16の上部にはベーン11に密閉容器1内の高圧を背圧として印加するための背圧孔15が形成されると共に、ベーンスロット16の中央部にはバネ装着孔17が設けられ、ベーン11を下方に常時付勢するためのコイルバネ18が装着されている。
前記シリンダ8の中央部は下方に凹陥しており、この凹陥部19内に圧縮空間20が構成されている。又、シリンダ8の凹陥部19の底面中央部には回転軸5を支持する副軸受け部21が開口状態にて形成されている。尚、図6に示すように、シリンダ8の中央部に上面から下面に貫通する空所を設け、シリンダ8の下面にカバー板部材27を取り付けて上記圧縮空間20を構成し、且つカバー板部材27の中央部に副軸受け部となる軸孔27aを設けて回転軸5の下端部を回転自在に軸支するように構成してもよい。
図1に示すように、前記支持部材7の内部には管接続口7aと、この管接続口7aに連通する通路7b及び吸入口7cが設けられ、吸入口7cの端部は前記圧縮空間20に開口している。又、密閉容器1に取り付けた吸込配管22の端部が支持部材7の管接続口7aに挿入固定されている。これにより、吸込配管22から供給される冷媒ガスは、支持部材7の通路7bを通って吸入口7cから圧縮空間20内に吸い込まれる。
図3に示すように、支持部材7における突出部14の下端縁部には、突出部14の下面14a側から外周面側に抜ける吐出口7dが設けられ、この吐出口7dの下面側は前記圧縮空間20に開口し、吐出口7dの外周面側はシリンダ8の内部に設けられた通路8aに連通している。図1のように、シリンダ8の通路8aは前記切欠部8bに開口している。そして、シリンダ8の切欠部8bの側面には前記吐出バルブ12が取り付けられており、この吐出バルブ12によって通路8aが開閉される。これにより、圧縮空間20内で圧縮された高圧冷媒ガスは、支持部材7の吐出口7cからシリンダ8の通路8aを通り、吐出バルブ12を介してマフラ23内に吐出される。
上記マフラ23は圧縮要素3の側部に設けられており、図4に示すようにシリンダ8の切欠部8bに対応させて支持部材7に切欠部7eを設け、シリンダ8の底面に仕切板24を取り付けることにより、シリンダ8の切欠部8bと、支持部材7の切欠部7eと、仕切板24と、密閉容器1の側壁とで囲まれた空間により構成されている(図1参照)。そして、支持部材7に出口7fを設けることで、マフラ23内の空間と密閉容器1内の空間とを連通させてある。又、支持部材7の出口7fは、前記駆動要素2のステータ4とロータ6との僅かな隙間Sの下方位置に近接させて設けてある。これにより、前記吐出バルブ12を介してマフラ23内に吐出される高圧冷媒ガスは、このマフラ23により消音されると共に支持部材7の出口7fから密閉容器1内に吐出され、大部分はステータ4とロータ6との僅かな隙間Sを通って密閉容器1内の上部領域に流入することになる。
前記ベーン11は略矩形の板状に形成されており、図3に示すように圧縮空間20に開口している支持部材7の吸入口7cと吐出口7dとの中間に位置しており、このベーン11によって圧縮空間20内が低圧室と高圧室とに区分されている。
前記回転軸5の下部にはスワッシュ部材9が一体に設けられ、このスワッシュ部材9は、全体形状としては回転軸5と同心軸の略円柱状を呈している。図5(a)、(b)はスワッシュ部材9を含む回転軸5の側面図をそれぞれ示しており、一側の肉厚部9aとこれに対向する他側の肉薄部9bとを有し、円周方向に沿う上面9cは肉厚部9aにて高く、肉薄部9bにて低い連続する傾斜面に形成されている。即ち、スワッシュ部材9の上面9cは、回転軸5を中心として円周方向に一周すると最も高くなる上死点Pから最も低くなる下死点Qを経て上死点Pに戻る略正弦波形状を呈している。又、回転軸5を通る上面9cの断面形状は、回転軸5を中心として360度何れの角度の切断面においても前記支持部材7における突出部14の下面14aと平行であり、この上面9cと突出部14の下面14aとの間が前記圧縮空間20となる。
上記スワッシュ部材9の上死点Pが支持部材7の突出部14の下面14aに微少なクリアラスを介して移動自在に対向する。このクリアランスは密閉容器1内に封入されたオイルによってシールされる。又、前記ベーン11は下端が先鋭の矢型に形成されて、板幅方向に沿って直線状の稜線となっており、その直線状の稜線がスワッシュ部材9の上面9cに常時当接している。前記コイルバネ18はベーン11を常時下向きに押圧することで、ベーン11の下端がスワッシュ部材9の上面9cから離れないように保持し、且つベーン11が支持部材7のベーンスロット16に沿って円滑に上下動するのを制御する作用をなす。
又、図2のように、スワッシュ部材9の外周面はシリンダ8における凹陥部19の内壁面との間に微少なクリアランスを形成し、スワッシュ部材9が回転自在とされている。このクリアランスも、密閉容器1内に封入されたオイルによってシールされる。冷媒ガスのリークを防止するためである。
前記密閉容器1の上端には、図1及び図2に示すように吐出配管25が取り付けられており、前記密閉容器1内の上部領域に溜まる高圧冷媒ガスを外部に吐出する。この吐出配管25から吐出された高圧冷媒ガスは、図示を省略した冷媒回路に供給され、この冷媒回路を循環して低圧となった冷媒ガスは、前記吸込配管22から圧縮機に戻される。
尚、密閉容器1の内底部にはオイル溜め26が構成され、このオイル溜め26内のオイルが回転軸5を介して圧縮要素3の所要部位に供給される。更に、密閉容器1内には例えば二酸化炭素、R134a、或はHC系の冷媒ガスが所定量封入される。
以上のように構成された本発明に係る圧縮機の動作に付いて説明する。この圧縮機は、駆動要素2のステータ4のコイルに通電するとロータ6が回転する。このロータ6の回転は、回転軸5を介してスワッシュ部材9に伝達され、これによりスワッシュ部材9はシリンダ8内において回転軸5と同心軸回転する。そして、スワッシュ部材9の上面9cの上死点Pがベーン11を境にして吐出側にある時、ベーン11を境にして吸入口7c側でシリンダ8、支持部材7、スワッシュ部材9及びベーン11で囲まれた空間(低圧室)内に吸込配管22、支持部材7の通路7b及び吸入口7cを介して冷媒ガスが吸い込まれる。
この状態からスワッシュ部材9が回転していくと、上死点Pがベーン11、吸入口7cを過ぎた段階からスワッシュ部材9の上面9cの傾斜により低圧室の体積は狭められていき、高圧室内の冷媒ガスは圧縮されていく。これにより、上死点Pが支持部材7の吐出口7dを通過するまで高圧室内の高圧冷媒ガスは吐出口7dから吐出される。そして、上死点Pが支持部材7の吸入口7cを通過すると、低圧室の体積は拡大していくので吸入口7cから冷媒ガスが低圧室内に吸い込まれていく。
高圧室から支持部材7の吐出口7dに吐出された高圧冷媒ガスは、前記のようにシリンダ8の通路8aを通り吐出バルブ12を開いてマフラ23内に吐出され、ここで消音されて支持部材7の出口7fから密閉容器1内に吐出される。密閉容器1内に吐出された高圧冷媒ガスは駆動要素2の隙間Sを通過して密閉容器1内の上部領域に至り、ここでオイルと分離され、吐出配管25から吐出されて冷媒回路に供給される。一方、高圧冷媒ガスから分離されたオイルは、密閉容器1とステータ4との間に形成されている前記隙間10から流下し、前記オイル溜め26に戻る。
前記のようにマフラ23の出口7fは駆動要素2の僅かな隙間Sの下方位置に近接して設けられているため、その出口7fから吐出される高圧冷媒ガスの大部分は隙間S内に流入する。高圧冷媒ガスの一部は前記隙間10内に流入するが、この隙間10は前記のようにオイルの戻り流路となっているため高圧冷媒ガスに対する流路抵抗が大きくなっており、高圧冷媒ガスが通過し難い。これに対して、上記隙間Sは高圧冷媒ガスに対する流路抵抗が小さいため、大部分の高圧冷媒ガスが通過する。これにより、吐出配管25から吐出する高圧冷媒ガス量を密閉容器1の上部領域に十分確保することができ、圧縮機としての性能を向上させることが可能となる。
本発明に係る圧縮機は、小型で構造が簡単でありながら十分な圧縮機能を発揮することが可能である。前記のようにスワッシュ部材9は連続する肉厚部9aと肉薄部9bを有して、その上面9cが略正弦波形状を呈して傾斜しているので、シリンダ8の高圧室に対応することになる肉厚部9aにおいて圧縮空間20の内壁面との間のシール寸法を十分に確保することができる。これにより、スワッシュ部材9とシリンダ8間における冷媒ガスリークの発生を効果的に防止できるようになり、圧縮効率の高い運転が可能となる。又、スワッシュ部材9はフライホイールの役割を果たすので、トルク変動も少なくなる。
上記実施形態で、シリンダ8が回転軸5の副軸受け部21を有している場合には、回転軸5の副軸受け用支持部材を別途設ける必要がなくなり、部品点数の削減と更なる小型化が可能となる。又、支持部材7にベーン11を装着するためのベーンスロット16とバネ装着孔17を設けたので、高い加工精度が必要となるシリンダ8にベーン装着機構を設ける必要がなくなり、加工性が改善される。更に、上記実施形態のごとくスワッシュ部材9を回転軸5に一体に形成すれば、スワッシュ部材9を回転軸5に取り付けるための部材が不要となり、更なる部品点数の削減が可能となる。
尚、上記実施形態では、冷凍機の冷媒回路に組み込んで使用する圧縮機について説明したが、これに限定されずに例えば空気を吸い込んで圧縮するエアーコンプレッサ等にも本発明を有効に適用することができる。
本発明は、特に冷媒ガスを圧縮して冷凍機等の冷媒回路に供給するための圧縮機として最適に利用することができる。
本発明に係る圧縮機の実施形態を示す概略縦断面図である。 本発明に係る圧縮機の実施形態におけるベーンの箇所を通る概略縦断面図である。 本発明に係る圧縮機の実施形態における概略横断面図である。 本発明に係る圧縮機の実施形態における駆動要素と圧縮要素との結合状態を示す斜視図である。 (a)、(b)はいずれも本発明に係る圧縮機の実施形態におけるスワッシュ部材を含む回転軸の側面図である。 本発明に係る圧縮機の他の実施形態における一部の概略縦断面図である。
符号の説明
1 密閉容器
2 駆動要素
3 圧縮要素
4 ステータ
5 回転軸
6 ロータ
7 支持部材
7e 切欠部
7f 出口
8 シリンダ
8a 通路
8b 切欠部
9 スワッシュ部材(圧縮部材)
10 隙間
11 ベーン
12 吐出バルブ
13 主軸受け部
13b スリット状切欠部
14 突出部
15 背圧孔
16 ベーンスロット
17 バネ装着孔
18 コイルバネ
19 凹陥部
20 圧縮空間
21 副軸受け部
22 吸込配管
23 マフラ
24 仕切板
25 吐出配管
26 オイル溜め
27 カバー板部材
S 駆動要素の僅かな隙間

Claims (3)

  1. 密閉容器内に駆動要素と、この駆動要素により駆動される圧縮要素とが配置され、前記圧縮要素は前記密閉容器に固定され前記駆動要素のロータに固定した回転軸を貫通させて軸支する支持部材と、この支持部材に固定されて圧縮空間を形成するシリンダと、前記回転軸に同軸心に固定されて前記シリンダの圧縮空間内を回転し一面が前記回転軸を中心として一周すると最も高くなる上死点から最も低くなる下死点を経て上死点に戻る略正弦波形状の傾斜面に形成された圧縮部材と、前記支持部材に設けられたベーンスロットにバネを介して装着され先端が前記圧縮部材の傾斜面に常時接触して前記圧縮空間内を低圧室と高圧室とに区分するベーンとを備え、前記低圧室に吸入した流体を前記圧縮部材により圧縮して前記高圧室から吐出する圧縮機であって、前記圧縮要素の側部に、前記高圧室から吐出される冷媒ガスを消音するためのマフラを設けたことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記マフラは、シリンダの側部に設けた切欠部と、このシリンダの上に位置する支持部材の側部に前記切欠部に対応させて設けた切欠部と、前記シリンダの底面に取り付けた仕切板と、前記密閉容器の側壁とで囲まれた空間により構成されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記マフラの出口は、支持部材に駆動要素のステータとロータとの僅かな隙間の下方位置に近接させて設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧縮機。
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