JP2006104192A - サリチル酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い収率でサリチル酸エステルを製造することができ、反応後の蒸留残渣中に析出を発生させるなど取り扱いに問題を生じさせることことなく、また使用する触媒の再利用が可能であるサリチル酸エステルの新規な製造方法を提供すること。
【解決手段】スズ系触媒の存在下、サリチル酸低級アルキルエステルを、ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールとエステル交換反応させる香料用サリチル酸エステルの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】スズ系触媒の存在下、サリチル酸低級アルキルエステルを、ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールとエステル交換反応させる香料用サリチル酸エステルの製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、サリチル酸エステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、香料成分として用いられるサリチル酸エステルを製造する改善された方法に関する。
サリチル酸エステルは種々の用途に用いられており、その用途の一つとして香料用がある。例えばサリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸ブチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸ペンチル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸フェニルエチルなどが香料用として実用化されている。
サリチル酸エステルの製造方法としては、サリチル酸とアルコールを直接エステル化反応させて製造する方法と、サリチル酸メチルなどのサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールのエステル交換反応により製造する方法が知られている。
サリチル酸メチルやサリチル酸エチルなどのサリチル酸低級アルキルエステルは、サリチル酸と対応するアルコールとを直接エステル化反応させても容易にエステル化が進行し、高収率で得ることができる。これに対し、エステル部分が炭素数3以上の鎖状脂肪族基や環状脂肪族基などの炭素数の多い有機基であるサリチル酸エステルは、サリチル酸と対応するアルコールとを直接エステル化反応させた場合に、エステル化速度が遅く、また、エステル化速度を速めるために反応温度を高くすると、副反応などが生じ収率が低下するという問題がある。したがって、このようなサリチル酸エステルの製造においては、一般に、サリチル酸メチルやサリチル酸エチルなどの低級アルキルエステルと対応するアルコールのエステル交換反応により、目的のエステルを得る方法が採られている。
サリチル酸エステルの製造方法としては、サリチル酸とアルコールを直接エステル化反応させて製造する方法と、サリチル酸メチルなどのサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールのエステル交換反応により製造する方法が知られている。
サリチル酸メチルやサリチル酸エチルなどのサリチル酸低級アルキルエステルは、サリチル酸と対応するアルコールとを直接エステル化反応させても容易にエステル化が進行し、高収率で得ることができる。これに対し、エステル部分が炭素数3以上の鎖状脂肪族基や環状脂肪族基などの炭素数の多い有機基であるサリチル酸エステルは、サリチル酸と対応するアルコールとを直接エステル化反応させた場合に、エステル化速度が遅く、また、エステル化速度を速めるために反応温度を高くすると、副反応などが生じ収率が低下するという問題がある。したがって、このようなサリチル酸エステルの製造においては、一般に、サリチル酸メチルやサリチル酸エチルなどの低級アルキルエステルと対応するアルコールのエステル交換反応により、目的のエステルを得る方法が採られている。
エステル交換反応によりサリチル酸エステルを製造する場合、一般にエステル交換反応触媒が用いられており、例えば触媒としてナトリウムメトキシドを用いる方法(例えば、特許文献1参照)や、炭酸カリウムを用いる方法(例えば、特許文献2参照)が開示されている。しかしながら、これらの塩基性触媒を用いる方法においては、副反応物の抑制が困難で、かつ、反応終了液より目的のサリチル酸エステルを効率よく回収するためには水洗処理が必要である。一方で、このような水洗処理を伴う製造方法においては、水洗処理による反応液の流失等により収率が低下することがあると共に、洗浄液の廃棄処理が必要となり、また、使用した触媒を再利用できないなどの欠点がある。
一方、反応系に可溶なチタン系触媒を用いたヒドロキシ安息香酸エステルの製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このチタン系触媒は、反応系中で失活が起こりやすく、触媒の再利用が困難であり、製造コストが高くなるのを免れない上、反応後の蒸留残渣物の粘度が上昇したり、蒸留残渣中に固形物が析出するなど、取扱いに問題がある。
一方、反応系に可溶なチタン系触媒を用いたヒドロキシ安息香酸エステルの製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このチタン系触媒は、反応系中で失活が起こりやすく、触媒の再利用が困難であり、製造コストが高くなるのを免れない上、反応後の蒸留残渣物の粘度が上昇したり、蒸留残渣中に固形物が析出するなど、取扱いに問題がある。
本発明は、高い収率でサリチル酸エステルを製造することができ、反応後の蒸留残渣中に析出を発生させるなど取り扱いに問題を生じさせることがなく、また使用する触媒の再利用が可能であるサリチル酸エステルの新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、サリチル酸エステルの製造において、反応触媒としてスズ系触媒を用い、サリチル酸低級アルキルエステルを、特定のアルコールでエステル交換反応させることにより上記目的を達成しうることを見出した。
すなわち、本発明は、スズ系触媒の存在下、サリチル酸低級アルキルエステルを、ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールとエステル交換反応させる香料用サリチル酸エステルの製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、スズ系触媒の存在下、サリチル酸低級アルキルエステルを、ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールとエステル交換反応させる香料用サリチル酸エステルの製造方法を提供する。
本発明によれば、サリチル酸エステルを高い収率で工業的に有利に製造する方法を提供することができる。また、反応後の蒸留残渣中に析出が発生するなどの問題を生じさせることなく、反応に使用する触媒の再利用が可能となる。
本発明の香料用サリチル酸エステルの製造方法においては、サリチル酸低級アルキルエステルと特定のアルコールとを、スズ系触媒の存在下にエステル交換反応させる方法が用いられる。
前記サリチル酸低級アルキルエステルとしては、一般式(6)
前記サリチル酸低級アルキルエステルとしては、一般式(6)
(式中、R’は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
で表される化合物を用いることができる。
前記一般式(6)において、R’で示される炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
このサリチル酸低級アルキルエステルは、エステル部分のアルキル基の炭素数が、エステル交換反応に用いられるアルコールの炭素数よりも小さいものが一般に用いられるが、エステル交換反応性の点から、サリチル酸メチルおよびサリチル酸エチルが好ましく、特にサリチル酸メチルが好適である。
で表される化合物を用いることができる。
前記一般式(6)において、R’で示される炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
このサリチル酸低級アルキルエステルは、エステル部分のアルキル基の炭素数が、エステル交換反応に用いられるアルコールの炭素数よりも小さいものが一般に用いられるが、エステル交換反応性の点から、サリチル酸メチルおよびサリチル酸エチルが好ましく、特にサリチル酸メチルが好適である。
一方、前記サリチル酸低級アルキルエステルとエステル交換反応させるアルコールとしては、ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールが用いられる。
このようなアルコールとしては、前記構造を有し、かつエステル交換反応によって香料用のサリチル酸エステルを形成し得るものであればよく、炭素数3〜20の飽和もしくは不飽和の、鎖式脂肪族アルコール又は環式脂肪族アルコール、炭素数3〜20の飽和もしくは不飽和の複素環式アルコール、あるいは炭素数8〜20のアリールアルキルアルコールなどを用いることができる。
本発明においては、これらのアルコールの中で、一般式(2)
R−OH (2)
(式中、Rは炭素数3〜20、好ましくは3〜10の飽和もしくは不飽和の、鎖式脂肪族基または環式脂肪族基を表す。)
で表され、かつヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールがエステル交換反応の反応性の面から好適である。
このようなアルコールとしては、前記構造を有し、かつエステル交換反応によって香料用のサリチル酸エステルを形成し得るものであればよく、炭素数3〜20の飽和もしくは不飽和の、鎖式脂肪族アルコール又は環式脂肪族アルコール、炭素数3〜20の飽和もしくは不飽和の複素環式アルコール、あるいは炭素数8〜20のアリールアルキルアルコールなどを用いることができる。
本発明においては、これらのアルコールの中で、一般式(2)
R−OH (2)
(式中、Rは炭素数3〜20、好ましくは3〜10の飽和もしくは不飽和の、鎖式脂肪族基または環式脂肪族基を表す。)
で表され、かつヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールがエステル交換反応の反応性の面から好適である。
前記アルコールの中で、飽和鎖式脂肪族アルコールとしては、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−イソプロポキシエタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、ヘプタノール、2−または3−ヘプタノール、オクタノール、2−または3−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、2−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチルヘプタノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、デカノール、ウンデカノール、2−ウンデカノール、ドデカノール、3,4,5,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタノール(コヒノール:IFF社(International Flavors & Fragrances Inc.)商品名)などを例示することができる。
不飽和鎖式脂肪族アルコールとしては、プレノール(3−メチル−2−ブテン−1−オール)、1−ペンテン−3−オール、cis−3−ヘキセノール(青葉アルコール)、trans−2−ヘキセノール、trans−3−ヘキセノール、cis−4−ヘキセノール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、1−オクテン−3−オール(マッタケオール)、cis−6−ノネノール、2,6−ノナジエノール、1−ノネン−3−オール、9−デセノール、1−ウンデセノール、4−メチル−3−デセン−5−オール、3,7−ジメトキシ−7−メトキシ−2−オクタノール、シトロネロール(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オール)、ゲラニオール(2−trans−3,7−ジメチルー2,6−オクタジエン−1−オール)、ネロール(cis−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール)、ラバンジュロール(2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン−1−オール)、イソジヒドロラバンジュロール(2−イソプロピル−5−メチル−2−ヘキセン−1−オール)、ノナディル(6,8−ジメチル−2−ノナノール)、ファルネソール(3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール)、などを例示することができる。
飽和環式脂肪族アルコールとしては、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、2−シクロヘキシルエタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、2−tert−ブチルシクロヘキサノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキサンメタノール(マイヨール(IFF社商品名))、5−メチル−2−イソプロピルシクロヘキサノール(メントール)、3−ツヤノール(4−メチル−1−イソプロピルビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オール)、α−フェンキルアルコール(フェンコール;1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール)、ボルネオール(endo−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール;2−カンファノール)、イソボルネオール(exo−2−カンファノール)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルシクロペンタノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロデカノール、デカヒドロ−β−ナフトール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、トリメチルノルボルナンメタノール(カメコール(IFF社商品名);α,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−メタノール)、イソカンフィルシクロヘキサノール[3−(5,5,6−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)シクロヘキサノール]などを例示することができる。
不飽和環式脂肪族アルコールとしては、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール(フロラロール(IFF社商品名))、カルベオール(1−メチル−4−イソプロペニル−6−シクロヘキセン−2−オール)、ジヒドロカルベオール(6−メチル−3−イソプロペニルシクロヘキサノール)、ペリラアルコール(ジヒドロクミニルアルコール)、イソシクロゲラニオール(2,4,6−トリメチルシクロヘキス−3−エン−1−メタノール)、ノポール(6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−2−エン−2−エタノール)、3,3−ジメチル−Δ2,β−ノルボルナン−2−エタノール(パコミント(IFF社商品名))、シクロメチレンシトロネロール[3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)ブタノール]、アンブリノール(2,5,5−トリメチル−オクタヒドロ−2−ナフトール)、シクロオクト−4−エン−オールなどを例示することができる。
さらに、前記一般式(2)で表されるアルコール以外のアルコールとして、例えば2−フェニルエチルアルコール、ヒドラトロパアルコール(2−フェニルプロピルアルコール)、2−トリルエチルアルコール(ホータノール(IFF社商品名))、2−フェノキシエタノール、2−メトキシ−2−フェニルエチルアルコール、1−フェニル−2−ペンタノール、4−メチル−1−フェニル−2−ペンタノール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、3−メチル−5−フェニルペンタノール−1などのアリールアルキルアルコール等も用いることができる。
前記アルコールの中で、本発明においては、炭素数3〜10のものが好ましく用いられ、このようなものとして、例えばプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、2−イソプロポキシエタノール、プレノール(3−メチル−2−ブテン−1−オール)、trans−2−へキセノール、cis−3−ヘキセノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、5−メチル−2−イソプロピルシクロヘキサノール(メントール)、ボルネオール(2−カンファノール)、イソボルネオール(exo−2−カンファノール)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルシクロペンタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、シクロオクタノール、シクロオクト−4−エン−オールおよび2−フェニルエチルアルコールが好ましく、特にペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、cis−3−ヘキセノール及びシクロヘキサノールが好適に用いられる。
これらのアルコールの中で、第2級アルコール、特にシクロヘキサノールがエステル交換反応の反応性の面で好ましい。また、不飽和アルコール、特にcis−3−ヘキセノールも同様の面で好ましく用いられる。
これらのアルコールの中で、第2級アルコール、特にシクロヘキサノールがエステル交換反応の反応性の面で好ましい。また、不飽和アルコール、特にcis−3−ヘキセノールも同様の面で好ましく用いられる。
本発明において、エステル交換反応により得られるサリチル酸エステルとしては、一般式(1)
(式中、Rは一般式(2)において定義したものと同義である。)
で表されるサリチル酸エステルを好ましく挙げることができる。
前記一般式(1)で表されるサリチル酸エステルとしては、例えばサリチル酸プロピル、サリチル酸ブチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸ペンチル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、サリチル酸2−イソプロポキシエチル、サリチル酸プレニル、サリチル酸trans−2−ヘキセニル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、サリチル酸シクロペンチル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸とメントールのエステル、サリチル酸とボルネオールのエステル、サリチル酸とイソボルネオールのエステル、サリチル酸2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルシクロペンチル、サリチル酸4−イソプロピルシクロヘキシル、サリチル酸シクロヘキシルメチル、サリチル酸シクロオクチル、サリチル酸シクロオクト−4−エニルを挙げることができる。また、アリールアルキルアルコールである2−フェニルエチルアルコールを用いて得られたサリチル酸2−フェニルエチルも例示することができる。これらの中で、本発明においては、Rの炭素数が3〜10のものが好ましく、特に、サリチル酸ペンチル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸cis−3−ヘキシセニル及びサリチル酸シクロヘキシルを好ましいものとして挙げることができ、とりわけサリチル酸cis−3−ヘキシセニルまたはサリチル酸シクロヘキシルが好ましい。
で表されるサリチル酸エステルを好ましく挙げることができる。
前記一般式(1)で表されるサリチル酸エステルとしては、例えばサリチル酸プロピル、サリチル酸ブチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸ペンチル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、サリチル酸2−イソプロポキシエチル、サリチル酸プレニル、サリチル酸trans−2−ヘキセニル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、サリチル酸シクロペンチル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸とメントールのエステル、サリチル酸とボルネオールのエステル、サリチル酸とイソボルネオールのエステル、サリチル酸2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルシクロペンチル、サリチル酸4−イソプロピルシクロヘキシル、サリチル酸シクロヘキシルメチル、サリチル酸シクロオクチル、サリチル酸シクロオクト−4−エニルを挙げることができる。また、アリールアルキルアルコールである2−フェニルエチルアルコールを用いて得られたサリチル酸2−フェニルエチルも例示することができる。これらの中で、本発明においては、Rの炭素数が3〜10のものが好ましく、特に、サリチル酸ペンチル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸cis−3−ヘキシセニル及びサリチル酸シクロヘキシルを好ましいものとして挙げることができ、とりわけサリチル酸cis−3−ヘキシセニルまたはサリチル酸シクロヘキシルが好ましい。
本発明の香料用サリチル酸エステルの製造方法において、エステル交換反応触媒であるスズ系触媒としては、例えば一般式(3)
(式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、X1〜X3は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。)で表されるスズ化合物またはその縮合体、一般式(4)
(式中、R2はアルキル基またはアリール基、X4はアルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表し、X5は硫黄原子または酸素原子を表す。)で表されるスズ化合物またはその縮合体、一般式(5)
X6−Sn−X7 (5)
(式中、X6およびX7は、それぞれ独立にアシルオキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。)で表されるスズ化合物またはその縮合体、あるいはSnOを用いることができる。
X6−Sn−X7 (5)
(式中、X6およびX7は、それぞれ独立にアシルオキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。)で表されるスズ化合物またはその縮合体、あるいはSnOを用いることができる。
前記一般式(3)におけるR1およびX1〜X3、一般式(4)におけるR2およびX4において、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基などを挙げることができる。また、アリール基としては、環上に置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などを挙げることができる。
また、一般式(3)におけるX1〜X3、一般式(4)におけるX4のうちのアルコキシル基およびアリールオキシ基としては、それぞれ前述のアルキル基およびアリール基を有するものを例示することができる。
また、一般式(3)におけるX1〜X3、一般式(4)におけるX4のうちのアルコキシル基およびアリールオキシ基としては、それぞれ前述のアルキル基およびアリール基を有するものを例示することができる。
さらに、一般式(3)におけるX1〜X3、一般式(4)におけるX4、一般式(5)におけるX6およびX7において、アシルオキシ基としては、炭素数が2〜20の脂肪族アシルオキシ基や環上に置換基を有していてもよい炭素数7〜20の芳香族アシルオキシ基、具体的にはアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、マレオイルジオキシ基、フマロイルジオキシ基、ベンゾイルオキシ基、フタロイルジオキシ基、サリチロイルオキシ基などを挙げることができる。シクロアルキル基としては、環上に置換基を有していてもよい炭素数5〜20のシクロアルキル基、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。さらに、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、好ましくは塩素原子である。
本発明においては、スズ系触媒として、前記一般式(3)、一般式(4)および一般式(5)で表されるスズ化合物それぞれの縮合体も用いることができる。
本発明においては、スズ系触媒として、前記一般式(3)、一般式(4)および一般式(5)で表されるスズ化合物それぞれの縮合体も用いることができる。
本発明においては、スズ系触媒として、具体的にはジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズヒドロキシド、トリフェニルスズヒドロキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロリド、ジブチルスズジクロリド、トリブチルスズクロリド、ジブチルスズスルフィド、ブチルヒドロキシスズオキシド、オクタン酸スズ、シュウ酸スズ、塩化スズ、酸化スズなどを用いることができる。本発明においては、これらのスズ系触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記スズ系触媒の使用量については特に制限はないが、原料サリチル酸エステルに対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲で選定される。
エステル交換反応におけるサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールの使用割合については特に制限はないが、収率および経済性などの面から、化学量論的量の近傍が好ましく、具体的には、サリチル酸低級アルキルエステルに対し、アルコールを、通常0.7〜1.7倍モル程度、好ましくは0.8〜1.5倍モル、より好ましくは0.9〜1.3倍モルの割合で用いるのが有利である。
エステル交換反応におけるサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールの使用割合については特に制限はないが、収率および経済性などの面から、化学量論的量の近傍が好ましく、具体的には、サリチル酸低級アルキルエステルに対し、アルコールを、通常0.7〜1.7倍モル程度、好ましくは0.8〜1.5倍モル、より好ましくは0.9〜1.3倍モルの割合で用いるのが有利である。
前記スズ系触媒の添加時期については特に制限はなく、エステル交換反応の直前に添加してもよく、あるいは反応初期から反応終了までの任意の段階で添加してもよい。なお、該スズ系触媒は、エステル交換反応に用いる前に、予めエステル交換反応に使用するサリチル酸低級アルキルエステル、アルコールおよび場合によりサリチル酸を含む混合液に接触処理させることにより、初期触媒活性を向上させておいてもよい。
エステル化反応は、常圧から圧力13.3kPa(100mmHg)程度までの減圧下で行うことができる。また、反応温度は、通常80〜220℃の範囲で選定されるが、本発明においては、反応速度および副反応の抑制などの面から、130℃以上180℃未満、更に140〜170℃の範囲であることが好ましい。
このエステル交換反応は、反応によって遊離した低級アルコールを反応系外へ除去することにより進行するので、該低級アルコールを系外へ除去し得るような反応圧力及び反応温度を、前記範囲内で適宜選定することが肝要である。
エステル化反応は、常圧から圧力13.3kPa(100mmHg)程度までの減圧下で行うことができる。また、反応温度は、通常80〜220℃の範囲で選定されるが、本発明においては、反応速度および副反応の抑制などの面から、130℃以上180℃未満、更に140〜170℃の範囲であることが好ましい。
このエステル交換反応は、反応によって遊離した低級アルコールを反応系外へ除去することにより進行するので、該低級アルコールを系外へ除去し得るような反応圧力及び反応温度を、前記範囲内で適宜選定することが肝要である。
反応時間は、使用する触媒の種類や量、反応温度、反応圧力などによって左右され、一概に定めることはできないが、通常2〜20時間程度で十分である。また、このエステル交換反応は、所望により、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することができる。
このようにして得られた反応終了液は、洗浄処理を施すことなく、そのまま減圧蒸留などの蒸留処理を施し、未反応のアルコールおよび未反応のサリチル酸低級アルキルエステルを回収すると共に、製品のサリチル酸エステルを得る。
蒸留条件については特に制限はなく、適当な段数の蒸留塔を用い、留出させる未反応アルコール、未反応サリチル酸低級アルキルエステルおよび製品のサリチル酸エステルの種類に応じて、それぞれ塔頂の温度と減圧度、および還流比などを適宜選定すればよい。
このようにして得られた反応終了液は、洗浄処理を施すことなく、そのまま減圧蒸留などの蒸留処理を施し、未反応のアルコールおよび未反応のサリチル酸低級アルキルエステルを回収すると共に、製品のサリチル酸エステルを得る。
蒸留条件については特に制限はなく、適当な段数の蒸留塔を用い、留出させる未反応アルコール、未反応サリチル酸低級アルキルエステルおよび製品のサリチル酸エステルの種類に応じて、それぞれ塔頂の温度と減圧度、および還流比などを適宜選定すればよい。
本発明においては、触媒を含む蒸留残渣物は液状で取り扱い性がよく、触媒として繰り返し使用することが可能である。本願においては、(a)上記本発明の製造方法によりサリチル酸エステルを得る工程、及び(b)(a)のエステル交換反応の反応生成物から少なくとも上記サリチル酸エステルを留去して得られた蒸留残渣に、少なくともサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールを添加してエステル交換反応させてサリチル酸エステルを得る工程、を含む香料用サリチル酸エステルの製造方法をも提供する。
すなわち、上記のように得られた蒸留残渣物は、これに少なくともサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールを添加して前述と同様のエステル交換反応を行うことによりサリチル酸エステルを高い収率で製造することができる。このような繰り返し使用は、残渣物中の触媒が使用可能である限り、何度でも制限なく行うことができる。なお、繰り返し使用において用いるサリチル酸低級エステルとアルコールについては、その種類に特に制限はないが、前記初回エステル交換反応に用いたものを好ましく使用することができる。
すなわち、上記のように得られた蒸留残渣物は、これに少なくともサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールを添加して前述と同様のエステル交換反応を行うことによりサリチル酸エステルを高い収率で製造することができる。このような繰り返し使用は、残渣物中の触媒が使用可能である限り、何度でも制限なく行うことができる。なお、繰り返し使用において用いるサリチル酸低級エステルとアルコールについては、その種類に特に制限はないが、前記初回エステル交換反応に用いたものを好ましく使用することができる。
本発明におけるように、触媒としてスズ系触媒を用いてサリチル酸エステルを製造する場合、例えば1回目の繰り返し使用におけるサリチル酸エステルの反応収率としては触媒の最初の使用の際の収率とほとんど変わらないものが得られる。これに対し、触媒としてチタン系触媒を用いてサリチル酸エステルを製造する場合、蒸留残渣物は、粘度が高くて取扱い性が悪く、壁面に一部固形物が付着するなど、好ましくない事態を招来する。
また、触媒としてナトリウムメトキシドや炭酸カリウムなどの塩基性化合物を用いる従来技術の場合、反応終了液の洗浄工程が必要であり、それに伴い製品収率の低下をもたらすと共に、触媒の再利用が困難となる。
このような従来の技術に対し、本発明の方法によれば、エステル交換反応により、香料用途として有用な各種のサリチル酸エステルを、高い収率で効率よく得ることができると共に、操作が簡単で、かつ触媒の再利用が可能である。
このような従来の技術に対し、本発明の方法によれば、エステル交換反応により、香料用途として有用な各種のサリチル酸エステルを、高い収率で効率よく得ることができると共に、操作が簡単で、かつ触媒の再利用が可能である。
実施例1
ガラス製四つ口フラスコに、サリチル酸メチル228.50g(1.5モル)およびシクロヘキサノール165.24g(1.65モル)を仕込み、攪拌下にジ−n−ブチルスズジアセテート2.65g(0.0075モル/0.5モル%対サリチル酸メチル)を添加した。常圧下、140℃より170℃まで徐々に昇温し、この間に遊離したメタノールは反応系外に留去させた。反応液の温度が170℃に達したのち、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シクロヘキシルの定量分析を行ったところ、その反応収率は86.7%であった。
この反応終了液を10段蒸留塔を用いて、まず未反応のシクロヘキサノールを1.3kPa、95〜145℃、還流比1で9.27g留去し、さらにサリチル酸メチルを1.3kPa、145〜160℃、還流比10で11.19g留去した。次いで、サリチル酸シクロヘキシルを1.3kPa、160〜164℃で減圧蒸留し254.06gを得た。
蒸留残渣物は、19.26g(6.4重量%対仕込み)で液状であり、取り扱い性は良好で、その組成は、スズ触媒を含むサリチル酸シクロヘキシルを主成分とするものであった。
ガラス製四つ口フラスコに、サリチル酸メチル228.50g(1.5モル)およびシクロヘキサノール165.24g(1.65モル)を仕込み、攪拌下にジ−n−ブチルスズジアセテート2.65g(0.0075モル/0.5モル%対サリチル酸メチル)を添加した。常圧下、140℃より170℃まで徐々に昇温し、この間に遊離したメタノールは反応系外に留去させた。反応液の温度が170℃に達したのち、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シクロヘキシルの定量分析を行ったところ、その反応収率は86.7%であった。
この反応終了液を10段蒸留塔を用いて、まず未反応のシクロヘキサノールを1.3kPa、95〜145℃、還流比1で9.27g留去し、さらにサリチル酸メチルを1.3kPa、145〜160℃、還流比10で11.19g留去した。次いで、サリチル酸シクロヘキシルを1.3kPa、160〜164℃で減圧蒸留し254.06gを得た。
蒸留残渣物は、19.26g(6.4重量%対仕込み)で液状であり、取り扱い性は良好で、その組成は、スズ触媒を含むサリチル酸シクロヘキシルを主成分とするものであった。
実施例2
実施例1で得られた蒸留残渣物18.26gに、サリチル酸メチル228.58g(1.5モル)、シクロヘキサノール165.59g(1.65モル)のみを加え、攪拌しながら140℃から170℃まで徐々に昇温し、遊離するメタノールを留去させた。液温が170℃に達したのち、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シクロヘキシルの定量分析を行い、蒸留残渣物中のサリチル酸シクロヘキシルの量を差し引いて反応収率を求めたところ、反応収率は88.8%であった。
実施例1で得られた蒸留残渣物18.26gに、サリチル酸メチル228.58g(1.5モル)、シクロヘキサノール165.59g(1.65モル)のみを加え、攪拌しながら140℃から170℃まで徐々に昇温し、遊離するメタノールを留去させた。液温が170℃に達したのち、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シクロヘキシルの定量分析を行い、蒸留残渣物中のサリチル酸シクロヘキシルの量を差し引いて反応収率を求めたところ、反応収率は88.8%であった。
実施例3
ガラス製四つ口フラスコに、サリチル酸メチル228.20g(1.5モル)およびシス−3−ヘキセノール166.49g(1.66モル)を仕込み、攪拌下にジ−n−ブチルスズジアセテート2.64g(0.0075モル/0.50モル%対サリチル酸メチル)を添加した。常圧下、140℃より170℃まで徐々に昇温し、この間に遊離したメタノールは反応系外に留去させた。反応液の温度が170℃に達した後、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シス−3−ヘキセニルの定量分析を行ったところ、その反応収率は、92.2%であった。
この反応終了液を10段蒸留塔を用いて、まず未反応のシス−3−ヘキセノールを1.3kPa、87〜130℃、還流比1で18.24g留去し、さらにサリチル酸メチルを1.3kPa、130〜159℃、還流比1で14.71g留去した。その後1.3kPa、160℃、還流比5で残ったサリチル酸メチルを含む初留留分25.52gを留去し、次いで、サリチル酸シス−3−ヘキセニルを1.3kPa、160〜163℃で減圧蒸留し、258.88gを得た。
蒸留残渣物は、15.94g(4.7wt%対仕込み)で液状であり、取り扱い性は良好で、その組成は、スズ触媒を含むサリチル酸シス−3−ヘキセニルを主成分とするものであった。
ガラス製四つ口フラスコに、サリチル酸メチル228.20g(1.5モル)およびシス−3−ヘキセノール166.49g(1.66モル)を仕込み、攪拌下にジ−n−ブチルスズジアセテート2.64g(0.0075モル/0.50モル%対サリチル酸メチル)を添加した。常圧下、140℃より170℃まで徐々に昇温し、この間に遊離したメタノールは反応系外に留去させた。反応液の温度が170℃に達した後、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シス−3−ヘキセニルの定量分析を行ったところ、その反応収率は、92.2%であった。
この反応終了液を10段蒸留塔を用いて、まず未反応のシス−3−ヘキセノールを1.3kPa、87〜130℃、還流比1で18.24g留去し、さらにサリチル酸メチルを1.3kPa、130〜159℃、還流比1で14.71g留去した。その後1.3kPa、160℃、還流比5で残ったサリチル酸メチルを含む初留留分25.52gを留去し、次いで、サリチル酸シス−3−ヘキセニルを1.3kPa、160〜163℃で減圧蒸留し、258.88gを得た。
蒸留残渣物は、15.94g(4.7wt%対仕込み)で液状であり、取り扱い性は良好で、その組成は、スズ触媒を含むサリチル酸シス−3−ヘキセニルを主成分とするものであった。
実施例4
実施例3で得られた蒸留残渣物14.50gに、サリチル酸メチル228.58g(1.5モル)、シス−3−ヘキセノール166.47g(1.66モル)のみを加え、攪拌しながら140℃から170℃まで徐々に昇温し、遊離するメタノールを留去させた。液温が170℃に達したのち、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シス−3−ヘキセニルの定量分析を行い、蒸留残渣物中のサリチル酸シス−3−ヘキセニルの量を差し引いて反応収率を求めたところ、反応収率は89.2%であった。
実施例3で得られた蒸留残渣物14.50gに、サリチル酸メチル228.58g(1.5モル)、シス−3−ヘキセノール166.47g(1.66モル)のみを加え、攪拌しながら140℃から170℃まで徐々に昇温し、遊離するメタノールを留去させた。液温が170℃に達したのち、93.3kPaまで減圧し、160〜170℃で加熱保持し、引続き遊離するメタノールを留去させながら、約2時間反応させた。反応終了液について、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸シス−3−ヘキセニルの定量分析を行い、蒸留残渣物中のサリチル酸シス−3−ヘキセニルの量を差し引いて反応収率を求めたところ、反応収率は89.2%であった。
比較例1
実施例1において、ジ−n−ブチルスズジアセテートの代わりにチタンイソプロポキシド2.13g(0.50モル%対サリチル酸メチル)を用い、サリチル酸メチル228.58g(1.5モル)およびシクロヘキサノール165.88g(1.66モル)を仕込み、実施例1と同様に、140〜170℃でエステル交換反応を実施し、反応液の温度が170℃に達したのち、160〜170℃で加熱保持し、93.3kPaまで減圧して2時間反応させた。この反応系でのサリチル酸シクロヘキシルの収率は86.4%であった。
反応終了液について、実施例1と同様な操作を施してシクロヘキサノール、サリチル酸メチルを留去し、さらにサリチル酸シクロヘキシルを減圧蒸留した。蒸留残渣物24.89g(7.5重量%対仕込み)が得られた。しかしながら、その粘度は高く、フラスコ壁面に一部固形物が付着していた。この固形物は、水のほか、アセトン、ヘキサン、イソプロパノールなどの有機溶剤への溶解性も悪かった。以上より、このチタン触媒を含む残渣物の回収性は悪く、リサイクル使用は困難である。
実施例1において、ジ−n−ブチルスズジアセテートの代わりにチタンイソプロポキシド2.13g(0.50モル%対サリチル酸メチル)を用い、サリチル酸メチル228.58g(1.5モル)およびシクロヘキサノール165.88g(1.66モル)を仕込み、実施例1と同様に、140〜170℃でエステル交換反応を実施し、反応液の温度が170℃に達したのち、160〜170℃で加熱保持し、93.3kPaまで減圧して2時間反応させた。この反応系でのサリチル酸シクロヘキシルの収率は86.4%であった。
反応終了液について、実施例1と同様な操作を施してシクロヘキサノール、サリチル酸メチルを留去し、さらにサリチル酸シクロヘキシルを減圧蒸留した。蒸留残渣物24.89g(7.5重量%対仕込み)が得られた。しかしながら、その粘度は高く、フラスコ壁面に一部固形物が付着していた。この固形物は、水のほか、アセトン、ヘキサン、イソプロパノールなどの有機溶剤への溶解性も悪かった。以上より、このチタン触媒を含む残渣物の回収性は悪く、リサイクル使用は困難である。
比較例2
比較例1を行った後、回収した蒸留残渣物21.88gを用いて、実施例2と同量のサリチル酸メチル、シクロヘキサノールのみを加えて同様の反応条件に供した。その結果、反応収率は78.5%であり、比較例1の収率より低下していた。
比較例1を行った後、回収した蒸留残渣物21.88gを用いて、実施例2と同量のサリチル酸メチル、シクロヘキサノールのみを加えて同様の反応条件に供した。その結果、反応収率は78.5%であり、比較例1の収率より低下していた。
本発明の製造方法によれば各種のサリチル酸エステルを、高い収率で効率よく、工業的に有利に製造することができ、得られた各種のサリチル酸エステルは、香料用として有用である。
Claims (12)
- スズ系触媒の存在下、サリチル酸低級アルキルエステルを、ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールとエステル交換反応させる香料用サリチル酸エステルの製造方法。
- サリチル酸エステルが、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ペンチル、サリチル酸イソペンチル及びサリチル酸cis−3−ヘキセニルから選ばれる群からなる少なくとも一種である請求項1または2に記載の製造方法。
- サリチル酸エステルが、サリチル酸シクロヘキシルまたはサリチル酸cis−3−ヘキセニルである請求項1または2に記載の製造方法。
- ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールが、一般式(2)
R−OH (2)
(式中、Rは炭素数3〜10の飽和もしくは不飽和の、鎖式脂肪族基又は環式の脂肪族基を表す。)
で表される請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。 - ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールが、第2級アルコールである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールが、シクロヘキサノールである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールが、不飽和アルコールである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- ヒドロキシル基を有する炭素原子に隣接した炭素原子の少なくとも1つに1つ以上の水素原子を有するアルコールが、cis−3−ヘキセノールである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- スズ系触媒が、一般式(3)
X6−Sn−X7 (5)
(式中、X6およびX7は、それぞれ独立にアシルオキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。)で表されるスズ化合物またはその縮合体、及びSnOから選ばれる少なくとも一種からなる請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。 - エステル交換反応を130℃以上180℃未満の範囲内の温度で行う請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- (a)請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法によりサリチル酸エステルを得る工程、及び(b)(a)のエステル交換反応の反応生成物から少なくとも上記サリチル酸エステルを留去して得られた蒸留残渣に、少なくともサリチル酸低級アルキルエステルとアルコールを添加してエステル交換反応させてサリチル酸エステルを得る工程、を含む香料用サリチル酸エステルの製造方法。
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-
2005
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