JP2006103021A - 高周波電流の電極装置 - Google Patents

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則明 池上
Hirotsugu Sekiguchi
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Abstract

【課題】接着剤が塗布された2枚の板材の突き合わせ部に高周波電流を印加することによって、この突き合わせ部の強度および耐久性を向上させることができるとともに、見映え良く接着することができる高周波電流の電極装置。
【解決手段】それぞれ一方の側端面を所定角度に切断して接着剤Aを塗布した2枚の板材2、3を突き合わせ、高周波誘電加熱によって接着する際に、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4に高周波電流を印加する高周波電流の電極装置1において、前記突き合わせ部4にV溝部5を形成し、先端部6aを前記V溝部5に近接する電極本体6を備え、この電極本体6の先端部6aに、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かってはみ出した接着剤Aの一部A1を、前記V溝部5に保持するとともに前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に密着させる電極面7を形成している。
【選択図】図1

Description

本発明は、接着剤が塗布された2枚の板材を突き合わせ、高周波誘電加熱によって接着する際に、板材どうしの突き合わせ部に電流を印加する高周波電流の電極装置に関する。
従来、住宅等の建物のコーナ部分に取り付けられるコーナ用壁面材を加工するには、突き合わせ部分に例えばエポキシ系接着剤を塗布し、2枚の板材を所定の角度に保持させる型にセットして、加圧状態(コールドプレス)に1〜2日間保持して接着剤の硬化を待っていた。しかし、このような方法では生産効率が悪いため、側端面を一定角度に切断した2枚の板材どうしを、接着剤を介して突き合わせて押圧するとともに、その押圧状態を保持しながら高周波誘電加熱によって短時間に加熱接着することができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような技術によって製造されるコーナ用壁面材は、接着すべき2枚の板材が長寸法のものであっても、その全長にわたって正確な位置関係であって、かつ均等な接着圧がかかった状態で高周波誘電加熱を行うことができ、部分的な接着不良などがなく、均質に接着されている。
特開2000−145094号公報
ところが、2枚の板材を突き合わせて形成されるコーナ用壁面材は、その突き合わせ部から板材の表面に向かって接着剤がはみ出すことがあり、見映えの問題に加えて、はみ出した接着剤の拭き取り等の処理作業に手間がかかる場合があった。
また、このようなコーナ用壁面材は、突き合わせ部分の突き合わせ面に接着剤を塗布して形成されているだけである。このことから、さらに強度および耐久性を向上させることができる技術の開発も望まれていた。
本発明の課題は、接着剤が塗布された2枚の板材の突き合わせ部に高周波電流を印加することによって、この突き合わせ部の強度および耐久性を向上させることができるとともに、見映え良く接着することができる高周波電流の電極装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、それぞれ一方の側端面を所定角度に切断して接着剤Aを塗布した2枚の板材2、3を突き合わせ、高周波誘電加熱によって接着する際に、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4に高周波電流を印加する高周波電流の電極装置1において、
前記突き合わせ部4に形成されたV溝部5に、先端部6aを近接する電極本体6を備え、この電極本体6の先端部6aに、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かってはみ出した接着剤Aの一部A1を、前記V溝部5に保持するとともに前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に密着させる電極面7を形成していることを前記課題の解決手段とした。
ここで、前記所定角度とは、突き合わせた2枚の板材2、3間の角度を、所望する角度にするための、前記2枚の板材2、3の側端面の切断角度を示しており、例えば、この切断角度を45度に設定した場合、突き合わせた2枚の板材2、3間の角度を直角にすることができ、60度に設定した場合には、突き合わせた2枚の板材2、3間の角度を120度にすることができる。すなわち、前記所定角度は、前記2枚の板材2、3を取り付けるべき被取り付け部分の角度に合わせて可変であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
請求項1に記載の発明によれば、電極本体6の先端部6aに、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かってはみ出した接着剤Aの一部A1を、前記V溝部5に保持するとともに前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に密着させる電極面7を形成していることから、従来とは異なり、前記2枚の板材2、3の突き合わせ面2a、3aだけを接着するのではなく、前記V溝部5に接着剤Aの一部A1をはみ出させ、このはみ出した接着材A1によって前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面を密着することができるので、突き合わせ部4の強度および耐久性を向上させることができる。
また、前記電極本体6の先端部6aに形成された電極面7によって、前記はみ出した接着剤A1を前記V溝部5に保持させるので、このはみ出した接着剤A1の表面を前記電極面7の形状に合わせて形成することができ、見映えが良い。
さらに、電極本体6の先端部6aを、前記2枚の板材2、3の側面に近接させており、これによって、この先端部6aと前記2枚の板材2、3の側面との間に隙間S、Sを形成していることから、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かって接着剤Aの一部A1をはみ出させる際に、V溝部5内の空気も排出することができるので、前記はみ出した接着剤A1の表面に気泡痕等が生じず、更に見映えが良い。
その上、前記接着剤Aの一部A1を意図的にはみ出させて高周波誘電加熱で接着することによって、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4の強度および耐久性を向上させるとともに見映え良く接着することができるので、従来とは異なり、はみ出した接着剤A1の拭き取り等の処理作業の手間を省くことができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1に記載の高周波電流の電極装置1において、
前記電極面7は、両端部を前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に近接する凸曲面で形成していることを前記課題の解決手段とした。
請求項2に記載の発明によれば、電極面7をその両端部が前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に近接する凸曲面で形成していることから、前記V溝部5に保持される前記接着剤Aの一部A1の表面を凹曲面状に形成することができるので、前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に対する密着範囲が広がり、突き合わせ部4の強度および耐久性を向上させることができる。また、V溝部5にはみ出した接着剤A1が凸曲面で押圧されて、前記両端部の隙間S、Sから板材2、3の側面に沿って押し出されて広がるので、板材2、3の側面に対する密着範囲が更に広がる。
さらに、前記接着剤Aの一部A1の表面を凹曲面状に形成することができるので、従来とは異なり、2枚の板材2、3を見映え良く接着することができる。
そして、前記電極面7の両端部を、前記2枚の板材2、3の側面に近接させており、これによって、この電極面7の両端部と前記2枚の板材2、3の側面との間に隙間S、Sを形成していることから、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かって接着剤Aの一部A1をはみ出させる際に、V溝部5内の空気も排出することができるので、前記はみ出した接着剤A1の表面に気泡痕等が生じず、更に見映えが良い。
請求項3に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項1に記載の高周波電流の電極装置1において、
前記電極面7は、両端部を前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に近接する凹曲面で形成していることを前記課題の解決手段とした。
請求項3に記載の発明によれば、電極面7をその両端部が前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に近接する凹曲面で形成していることから、前記V溝部5に保持される前記接着剤Aの一部A1の表面を凸曲面状に形成することができるので、前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に対する密着範囲が広がり、突き合わせ部4の強度および耐久性を向上させることができる。また、前記電極面7が凹曲面であるので、前記V溝部5にはみ出した接着剤A1が比較的多くても、それを確実に前記V溝部5に保持することができる。
さらに、前記接着剤Aの一部A1の表面を凸曲面状に形成することができるので、従来とは異なり、2枚の板材2、3を見映え良く接着することができる。
そして、前記電極面7の両端部を、前記2枚の板材2、3の側面に近接させており、これによって、この電極面7の両端部と前記2枚の板材2、3の側面との間に隙間S、Sを形成していることから、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かって接着剤Aの一部A1をはみ出させる際に、V溝部5内の空気も排出することができるので、前記はみ出した接着剤A1の表面に気泡痕等が生じず、更に見映えが良い。
請求項4に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1に記載の高周波電流の電極装置1において、
前記電極面7は、両端部を前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に近接する平面で形成していることを前記課題の解決手段とした。
請求項4に記載の発明によれば、電極面7をその両端部が前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に近接する平面で形成していることから、前記V溝部5に保持される前記接着剤Aの一部A1の表面も平面状に形成することができるので、前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に対する密着範囲が広がり、突き合わせ部4の強度および耐久性を向上させることができる。
また、前記接着剤Aの一部A1の表面を平面状に形成することができるので、従来とは異なり、2枚の板材2、3を見映え良く接着することができる。
さらに、前記電極面7の両端部を、前記2枚の板材2、3の側面に近接させており、これによって、この電極面7の両端部と前記2枚の板材2、3の側面との間に隙間S、Sを形成していることから、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かって接着剤Aの一部A1をはみ出させる際に、V溝部5内の空気も排出することができるので、前記はみ出した接着剤A1の表面に気泡痕等が生じず、更に見映えが良い。
請求項5に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高周波電流の電極装置1において、
前記電極面7に、絶縁性テープBを貼り付けていることを前記課題の解決手段とした。
請求項5に記載の発明によれば、前記電極面7に、絶縁性テープBを貼り付けることによって、この電極面7の表面電位が低下し、放電を抑制することができるので、例えば、高周波加熱により発生する水蒸気によって電極面7がスパークすることがない。
その上、この絶縁性テープBが貼り付けられた電極面7と前記V溝部5との間に前記はみ出した接着剤A1を保持することから、前記はみ出した接着剤A1の表面を平滑に形成することができるので見映えが良い。
請求項6に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高周波電流の電極装置1において、
前記電極面7を、前記V溝部5の長手方向に沿って長尺に形成していることを前記課題の解決手段とした。
請求項6に記載の発明によれば、前記電極面7を、前記V溝部5の長手方向に沿って長尺に形成していることから、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4の長手方向に沿って高周波電流を印加することができるので、この突き合わせ部4を均一に接着することができる。
本発明の高周波電流の電極装置によれば、前記2枚の板材の突き合わせ面だけを接着するのではなく、前記V溝部に接着剤の一部をはみ出させ、このはみ出した接着剤によって前記突き合わせ部における2枚の板材の側面を密着することができるので、突き合わせ部の強度および耐久性を向上させることができる。
また、前記電極本体の先端部に形成された電極面によって、前記はみ出した接着剤を前記V溝部に保持させるので、このはみ出した接着剤の表面を前記電極面の形状に合わせて形成することができる。すなわち、前記電極面の形状が凸曲面の場合には、前記はみ出した接着剤の表面を凹曲面状に形成することができ、前記電極面の形状が凹曲面の場合には、はみ出した接着剤の表面は凸曲面状となり、前記電極面の形状が平面だった場合には平面状の接着剤表面となるので、前記2枚の板材の突き合わせ部を見映えが良く接着することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る高周波電流の電極装置1の実施の形態について説明する。
なお、図5に示すように、本実施の形態における2枚の板材2、3を高周波誘電加熱によって接着する手段として、高周波誘電加熱装置Kが用いられている。
本実施の形態の高周波電流の電極装置1は、図1に示すように、それぞれ一方の側端面を所定角度に切断して接着剤Aを塗布した2枚の板材2、3を突き合わせ、高周波誘電加熱によって接着する際に、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4に高周波電流を印加する高周波電流の電極装置1において、
前記突き合わせ部4にV溝部5を形成し、先端部6aを前記V溝部5に近接する電極本体6を備え、この電極本体6の先端部6aに、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かってはみ出した接着剤Aの一部A1を、前記V溝部5に保持するとともに前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面に密着させる電極面7を形成している。
前記2枚の板材2、3は、それぞれ一方の側端面が所定角度に切断されており、この切断された一方の側端面どうしが突き合わされて、前記コーナ用壁面材Cを構成している。
なお、これら板材2、3の材質としては、例えば、木製板や合板、硬質木片セメント板、珪酸カルシウム板、繊維強化セメント板等の様々な板材が挙げられるが、本実施の形態では硬質木片セメント板が使用されている。
また、前記所定角度とは、切断された2枚の板材2、3の各側端面に接着剤Aが塗布され、突き合わされた際に、これら突き合わされた側端面を基端として前記2枚の板材2、3どうしが、取り付けられるべき被取り付け部分の角度と同一になるように設定されている角度を示している。
前記突き合わせ部4は、突き合わせ面2a、3aに接着剤Aが塗布された前記2枚の板材2、3どうしを突き合わせた部位であり、図6(a)に示すように、突き合わせ面2a、3aの一方の側辺2b、3bどうしが突き合わされた後、これら一方の側辺2b、3bどうしが突き合わされたまま他方の側辺2c、3cどうしが突き合わされて、図6(b)に示すように、突き合わせ部4が形成されている。
そして、この突き合わせ部4内の接着剤Aは、その一部A1が一方の側辺2b、3bから他方の側辺2c、3cに向かって所定量分はみ出ている。このように、一方の側辺2b、3bから他方の側辺2c、3cに向かって接着剤Aがはみ出されることによって、従来とは異なり、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4だけを接着するのではなく、前記はみ出した接着剤A1によっても2枚の板材2、3を接着することができる。しかも、他方の側辺2c、3cに向かって意図的に接着剤Aがはみ出されて、かつ、このはみ出された接着剤A1が前記2枚の板材2、3を接着させるために用いられるので、はみ出した接着剤A1の処理作業を行う必要もなく、手間を省くことができて好ましい。
前記V溝部5は、前記突き合わせ部4近傍に形成され、前記2枚の板材2、3の内角部に位置するV字状の溝部であり、前記2枚の板材2、3を突き合わせた直後は、図6(b)に示すような不定形の接着剤A1が溜まった状態となっている。そして、この不定形な接着剤A1の表面を見映え良く形成したものが、図1および図5に示すように、このV溝部5の長さ方向に沿って、前記2枚の板材2、3に接着されている。
前記電極本体6は、前記突き合わせ部4に高周波電流を印加するための電源電極であり、図1〜図3に示すように、この電極本体6の先端部6aに形成された電極面7には、絶縁性テープBが予め貼り付けられている。図中に示すように、電極面7に貼り付けられた絶縁性テープBは様々な形状の面に合わせて貼り付けることができるので、この絶縁性テープBが貼り付けられた電極面7に合わせて、前記はみ出した接着剤A1の表面形状が形成されている。
すなわち、図1に示すように、前記電極面7の形状が凸曲面の場合には、前記はみ出した接着剤A1の表面を凹曲面状に形成することができ、前記2枚の板材2、3の側面に対する密着範囲が広がる。また、図2に示すように、前記電極面7の形状が凹曲面の場合には、はみ出した接着剤A1の表面は凸曲面状となり、前記V溝部5にはみ出した接着剤A1が比較的多くても、それを確実にV溝部5内に保持することができる。そして、図3に示すように、前記電極面7の形状が平面だった場合には平面状の接着剤A1表面となるので、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4を見映え良く接着することができる。
このように、前記電極面7の形状が異なる場合には、それぞれの形状ごとに特有の利点が生じるので、適宜変更可能であるとともに、任意の形状を選択することが望ましい。
また、前記電極本体6の電極面7は、前述のようにV溝部5の近傍に位置しており、換言すれば、この電極面7の両端部と前記2枚の板材2、3の側面との間に隙間S、Sが形成されており、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かって接着剤Aの一部A1がはみ出た際に、V溝部5内の空気も排出されるので、前記はみ出した接着剤A1の表面に気泡痕等が生じず、更に見映えが良い。
さらに、前記電極面7は、図4に示すように、前記V溝部5の長手方向に沿って長尺に形成されていることから、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4の長手方向に沿って高周波電流を印加することができるので、この突き合わせ部4を均一に接着することができる。
なお、本実施の形態の先端部6aの電極面7は、図1に示すように、断面略半円状の凸曲面の形状に形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、断面略台形状(図示せず)のように、前記2枚の板材2、3を接着する際に、前記接着剤A1を凹状に形成することができれば良く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
前記接着剤Aは、本実施の形態に使用されるものとして、例えば湿気硬化型ウレタン系接着剤Aが挙げられる。
この湿気硬化型ウレタン系接着剤とは、ポリウレタン樹脂となる原料(例えば、ポリオールとジイソシアネートやトリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物)と、触媒とからなる混合物を主成分とする接着剤で、硬質木片セメント板等の外壁材に含まれている水分や空気中の湿気を吸収すると急速に重合してポリウレタン樹脂となって種々な被接着物を強固に接着させることができるものである。また、セメント製品や木製品を強固に接着させることができるので、かかる製品にも多く使用される。
さらに、この湿気硬化型ウレタン系接着剤を高周波加熱した場合には、硬質木片セメント板等の外壁材の中に含まれている水分と反応して急速に接着される特徴を有している。
なお、以上の湿気硬化型ウレタン系接着剤の他にも、エポキシ系接着剤等が挙げられるが、いずれの接着剤においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
前記接着剤A1は、図6(a)、(b)に示すように、前記突き合わせ部4から前記V溝部5に向かってはみ出した接着剤A1であり、前記接着剤Aと同一の接着剤A1である。この接着剤A1は前記V溝部5の長さ方向に沿って所定量分はみ出すとともに、前記2枚の板材2、3の双方に対して接着されている。
なお、ここで、所定量とは、このはみ出した接着剤A1によって前記2枚の板材2、3を強固に接着、補強することができる量である。また、これとともに、前記2枚の板材2、3が加熱接着されて製造されるコーナ用壁面材Cを実際に建物のコーナ部分に取り付ける際に、例えば、はみ出した接着剤A1の量が多いことによってコーナ用壁面材Cと壁パネル(図示せず)との取り付けが妨げられるような過分な量ではなく、前記コーナ用壁面材Cと壁パネルとの取り付けに適した量を示していることは言うまでもない。
前記絶縁性テープBは、上述のように、前記電極本体6の電極面7に貼り付けられており、前記2枚の板材2、3の一方の側辺2b、3bから他方の側辺2c、3cに向かってはみ出した接着剤A1を前記V溝部5内に保持している。
なお、ここで、前記絶縁性テープBとして、例えば、テフロン(登録商標)テープ等に代表されるフッ素樹脂テープ等が挙げられる。このフッ素樹脂テープは、上記のような優れた絶縁性に加えて、耐熱性にも優れており、本実施の形態の高周波誘電加熱装置Kの一部に用いる場合にも適している。また、本実施の形態の絶縁性テープBは、上記のようにテフロンテープを用いるが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、本実施の形態の絶縁性テープBの他方の面にはシリコン系粘着剤(図示せず)が塗布されており、前記電極面7と絶縁性テープBとの離型性が優れる。すなわち、この絶縁性テープBの一方の面は、コーナ用壁面材C製造中においては常に接着剤A1が接している状態となっているので、残留し硬化した接着剤A1や汚れを取り除かなければならない。しかし、接着剤A1や汚れの洗浄や拭き取りは手間がかかるため、上述のように、他方の面に離型性に優れる粘着材が塗布されている絶縁性テープBを用いれば、絶縁性テープB自体を貼りかえるだけで洗浄作業や拭き取り作業を省くことができるので手間がかからず好ましい。
さらに、前記電極本体6と相対する位置に設けられたアース電極1aは、本実施の形態においては、図5に示すような棒状部材によって形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、先端部1bの左右両側に、この先端部1bよりも板材2、3に向かって突出する合成樹脂製ガード部材(図示せず)を取り付けるなどして、万が一、前記先端部1bの表面に接着剤Aがはみ出した際に、この接着剤Aの付着を防ぐようにしても良い。これによれば、前記先端部1b側に接着剤Aがはみ出した場合においても該先端部1bには接着剤Aが付着せず、接着剤Aを拭き取る手間が省くことができるので好ましい。
前記高周波誘電加熱装置Kは、図5に示すように、前記2枚の板材2、3を所定の角度に支受し、これら2枚の板材2、3の突き合わせ面2a、3aどうしが向き合うように載置する架台8と、この架台8の中心線上に設けられ、前記2枚の板材2、3のV溝部5近傍の位置に電極本体6と、前記架台8の上方に設けられ、シリンダ(図示せず)によって昇降駆動される昇降フレーム9と、この昇降フレーム9の中心線上に、かつ、前記電極本体6と相対する位置に設けられたアース電極1aと、このアース電極1aの左右両側方に設けられ、前記架台8上の板材2、3をシリンダ10aによって上方から押圧する複数の上下方向押圧手段10と、前記2枚の板材2、3をシリンダ11aによって横方向から押圧する複数の左右方向押圧手段11とから概略構成されている。
なお、ここで、前記2枚の板材2、3が載置される架台8の所定の角度とは、コーナ用壁面材Cを製造するに際し、このコーナ用壁面材Cが取り付けられるべき建物のコーナ部分の角度であり、本実施の形態では、この所定の角度を直角とし、製造されるコーナ用壁面材Cの2枚の板材2、3が直角に突き合わされるよう設定されている。また、建物のコーナ部分が直角ではない場合においても、前記架台8の設定角度を変更することにより対応することが容易に可能であることは言うまでもない。
以上のような2枚の板材2、3を高周波誘電加熱によって接着するには、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4に高周波電流を印加する高周波電流の電極装置1を備えた高周波誘電加熱装置Kを用いるが、その際には、図5に示すように、それぞれ一方の側端面を所定角度に切断して接着剤Aを塗布した2枚の板材2、3を突き合わせ、この突き合わせ部4に形成したV溝部5に、前記接着剤Aの一部A1をこのV溝部5の長さ方向に沿ってはみ出させるとともに、予め絶縁性テープBを貼り付けた前記電極本体6の電極面7を近接するように位置させる。そして、前記はみ出した接着剤A1を、前記V溝部5に保持した状態で、前記電極本体6の電極面7によって高周波電流を印加して、前記2枚の板材2、3を接着するようにする。
すなわち、まず、それぞれ一方の側端面を所定角度に切断して接着剤Aを塗布した2枚の板材2、3を突き合わせる。これら2枚の板材2、3を突き合わせる際には、図6(a)、(b)に示すように、前記突き合わせ面2a、3aの一方の側辺2b、3bどうしを突き合わせた後、これら一方の側辺2b、3bどうしを突き合わせたまま他方の側辺2c、3cどうしを突き合わせ、2枚の板材2、3に形成されたV溝部5に向かって接着剤Aの一部A1をはみ出させる。
一方、これら2枚の板材2、3に形成されたV溝部5に向かって接着剤Aの一部A1をはみ出させた際に、前記突き合わせ面2a、3aどうしが向き合うように前記高周波誘電加熱装置Kに設けられた架台8上に載置する作業も行う。
この時、前記電極本体6の電極面7を、図1に示すように、前記V溝部5に近接するように位置させるが、この電極本体6の電極面7には絶縁性テープBを予め貼り付けておき、これによって、この電極面7の表面電位が低下し、放電を抑制することができるので、例えば、高周波加熱により発生する水蒸気によって電極がスパークすることがない。したがって、電極がスパークすることによって被加工物の表面が焼け焦げる等の障害が起こり難い。
その上、この電極面7は、前記2枚の板材2、3のV溝部5近傍に位置しているので、V溝部5に充填された前記接着剤A1が絶縁性テープBに密接して、コーナ用壁面材C製造後、該接着剤A1の表面を見映え良く形成することができる。
そして、前記絶縁性テープBを電極面7に貼り付ける際に、前記電極本体6の先端部6aの形状は、図1に示す形状に限られず、図2または図3に示すような形状であっても良く、このような先端部6aに合わせて前記絶縁性テープBを貼り付けることができる。
これによって、コーナ用壁面材C製造後における2枚の板材2、3に対する接着剤A1の接着形状を様々な種類の形状にすることが可能となる。すなわち、この接着形状によって前記2枚の板材2、3を接着する接着強度に多少の差を生じさせることもできる。これは、例えば、はみ出した接着剤A1が図1に示すような凹曲面の場合、図2に示すような凸曲面の接着剤A1に比して、前記2枚の板材2、3を接着している部分が若干広い範囲に亘っているため、前記2枚の板材2、3の接着強度を向上させることが可能となる。
また、上述のように、図1に示すように、絶縁性テープBを貼り付けた前記電極面7の形状が凸曲面の場合には、前記はみ出した接着剤A1の表面を凹曲面状に形成することができ、図2に示すように、絶縁性テープBを貼り付けた前記電極面7の形状が凹曲面の場合には、はみ出した接着剤A1の表面は凸曲面状となり、図3に示すように、絶縁性テープBを貼り付けた前記電極面7の形状が平面だった場合には平面状の接着剤A1表面となるので、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4を見映え良く接着することができる。
次に、前記2枚の板材2、3を、前記押圧手段10、11によって押圧しながら、前記V溝部5内に前記接着剤Aの一部A1を保持させた状態で、前記電極本体6の電極面7と、前記アース電極1aとの間に高周波電流を印加して高周波誘電加熱によって接着する。
前記押圧手段10、11は、上述のように上下方向押圧手段10と、左右方向押圧手段11とを主体として構成している。すなわち、前記上下方向押圧手段10によって上方から押圧する力は、前記2枚の板材2、3を下方に押圧する分力と突き合わせ部4を押しつける分力として作用する。一方、左右方向押圧手段11によって横方向から押圧する力は、前記2枚の板材2、3を、これら各板材2、3に沿って、斜め上方に押し上げる分力と突き合わせ部4を押しつける分力として作用する。したがって、これら分力のうち2枚の板材2、3を斜め下方に押し出す分力と、2枚の板材2、3を斜め上方に押し上げる分力とは打ち消し合って、板材2、3全体には突き合わせ部4を押しつける大きな力が作用することになる。
なお、これら押圧手段10、11はシリンダ10a、11aによって押圧力を得ており、これらシリンダ10a、11aは、本実施の形態ではエアシリンダが用いられているが、これに限られるものではなく、例えば、油圧シリンダ等でも良く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
そして、前記電極本体6の電極面7と、この電極本体6と相対する位置に設けられたアース電極1aとの間に高周波電流を印加する。この時、上述のような押圧手段10、11によって前記2枚の板材2、3が強固に押圧された状態で高周波電流を印加するので、これら2枚の板材2、3の接着状態において位置ずれ等を生じさせることなく、しかも容易に加熱接着することができる。
以上のような作業によって、高周波電流の電極装置1を用いて高周波電流を印加し、前記2枚の板材2、3を高周波誘電加熱によって接着することができる。
このように、本実施の形態の高周波電流の電極装置1によれば、前記2枚の板材2、3の突き合わせ面2a、3aだけを接着するのではなく、前記V溝部5に接着剤Aの一部A1をはみ出させ、このはみ出した接着剤A1によって前記突き合わせ部4における2枚の板材2、3の側面を密着することができるので、突き合わせ部4の強度および耐久性を向上させることができる。
また、前記電極本体6の先端部6aに形成された電極面7によって、前記はみ出した接着剤A1を前記V溝部5に保持させるので、このはみ出した接着剤A1の表面を前記電極面7の形状に合わせて形成することができる。すなわち、前記電極面7の形状が凸曲面の場合には、前記はみ出した接着剤A1の表面を凹曲面状に形成することができ、前記電極面7の形状が凹曲面の場合には、はみ出した接着剤A1の表面は凸曲面状となり、前記電極面7の形状が平面だった場合には平面状の接着剤A1表面となるので、前記2枚の板材2、3の突き合わせ部4を見映えが良く接着することができる。
また、前記2枚の板材2、3を突き合わせて接着するに際し、前記高周波誘電加熱装置Kを用いることによって、前記2枚の板材2、3を強固に接着することができるとともに、これら2枚の板材2、3の位置ずれや接着強度のばらつき等が無く、見映えの良い接着剤A1表面に形成された突き合わせ部4を構成することが可能となる。
本発明の高周波電流の電極装置を示す正面図である。 図1に示す高周波電流の電極装置の電極面を凹曲面とした際の正面図である。 図1に示す高周波電流の電極装置の電極面を平面とした際の正面図である。 図1に示す高周波電流の電極装置がV溝部に沿って長尺であることを示す側面図である。 コーナ用壁面材を構成する2枚の板材を加熱接着する高周波誘電加熱装置を示す正面図である。 コーナ用壁面材を構成する2枚の板材の突き合わせ態様を示す正面図であり、(a)は突き合わせ面の一部を突き合わせた状態を示し、(b)は突き合わせ面全体を突き合わせたことを示す。
符号の説明
A 接着剤
A1 接着剤
B 絶縁性テープ
C コーナ用壁面材
K 高周波誘電加熱装置
1 高周波電流の電極装置
2 板材
3 板材
4 突き合わせ部
5 V溝部
6 電極本体
6a 先端部
7 電極面

Claims (6)

  1. それぞれ一方の側端面を所定角度に切断して接着剤が塗布された2枚の板材が突き合わされ、高周波誘電加熱によって接着される際に、前記2枚の板材の突き合わせ部に高周波電流を印加する高周波電流の電極装置において、
    前記突き合わせ部に形成されたV溝部に、先端部が近接される電極本体を備え、この電極本体の先端部には、前記突き合わせ部から前記V溝部に向かってはみ出した接着剤の一部を、前記V溝部に保持するとともに前記突き合わせ部における2枚の板材の側面に密着させる電極面が形成されていることを特徴とする高周波電流の電極装置。
  2. 請求項1に記載の高周波電流の電極装置において、
    前記電極面は、両端部が前記突き合わせ部における2枚の板材の側面に近接する凸曲面で形成されていることを特徴とする高周波電流の電極装置。
  3. 請求項1に記載の高周波電流の電極装置において、
    前記電極面は、両端部が前記突き合わせ部における2枚の板材の側面に近接する凹曲面で形成されていることを特徴とする高周波電流の電極装置。
  4. 請求項1に記載の高周波電流の電極装置において、
    前記電極面は、両端部が前記突き合わせ部における2枚の板材の側面に近接する平面で形成されていることを特徴とする高周波電流の電極装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の高周波電流の電極装置において、
    前記電極面には、絶縁性テープが貼り付けられていることを特徴とする高周波電流の電極装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の高周波電流の電極装置において、
    前記電極面は、前記V溝部の長手方向に沿って長尺に形成されていることを特徴とする高周波電流の電極装置。
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