JP2006101847A - 気管支喘息の遺伝的素因検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気管支喘息に関連した遺伝子多型およびハプロタイプを明らかにし、気管支喘息の遺伝的素因の検査方法を提供することを主な目的とする。
【解決手段】(a)被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する部位の遺伝子多型を検出する工程、 (i)ヒトIL12B遺伝子のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位 (ii)ヒトIL12B遺伝子の配列の第27677番目(b)上記(i)および/または(ii)の部位について、被験者由来の核酸から特定された配列と上記に記載の配列とを比較する工程、により得られた遺伝子多型情報に基づき、気管支喘息の遺伝的素因、気管支喘息に対する罹患性等を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、気管支喘息に対する遺伝的素因の検査方法に関するものであり、詳しくは所定の遺伝子多型およびハプロタイプ(haplotype)に基づき気管支喘息に罹りやすいか否かについての情報を得る方法に関する。
ヒトゲノム中の塩基配列において、各個体間で多くの部位において配列の相違があることが明らかになっている。この相違が遺伝子多型である。この配列の相違は、個体毎の表現型や疾患への罹患しやすさ(罹患性)等の多様性を生じる一因と考えられている。一塩基多型(SNP:Single Nucleotide Polymorphismともいう)は、個体間のDNA塩基配列上の1塩基の違いが生じている部位において、人口中1%以上の頻度で存在するものと定義される遺伝子多型であり、ヒトゲノム中に300〜1000万カ所あると言われる。SNPは遺伝子発現の質的・量的変化をもたらす原因となりうるとともに、ゲノム中に高頻度存在することから遺伝子解析におけるマーカーとして重要であり、遺伝子機能との関連検討や疾患関連遺伝子の探索において利用が図られている。
一塩基多型を含む遺伝子多型を利用したゲノム解析により、疾患と強く連関した一塩基多型、疾患に対する罹患性の差異の原因となる遺伝子多型などを明らかにする研究が行われている。疾患の原因となる一塩基多型部位や遺伝子同定による原因物質の明確化により、遺伝子多型の塩基配列の差異を判定して、疾患への罹患リスクの判定、疾患発症の機構解明、疾患に対する予防指針の提示、疾患の発症機構や標的明確化による創薬開発など多くの展開の可能性があることから遺伝子多型による疾患関連遺伝子探索・同定の研究が注目を集めている。
気管支喘息(Bronchial asthma)は遺伝的要因や環境的要因の組み合わせにより引き起こされる複雑性疾患(complex disease)である。気管支喘息は様々な刺激に対する気管支系の過剰な反応性亢進によって引き起こされる発作性、可逆性の気管支閉塞を特徴とする疾患であり、気道炎症、上皮損傷、気道平滑筋肥厚、および気道過敏症などの症状をもたらす。気管支喘息における遺伝的素因の存在は、分子生物学的手法の確立以前から双生児や家系の研究等により研究が重ねられており、一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも形質の一致率が高いことなど多くの報告において遺伝的素因の関与が示されてきた。気管支喘息患者は世界的に増加傾向にあり、米国立衛生研究所(NIH)によると、世界全体の気管支喘息患者数は1億5000万人以上である。日本における気管支喘息患者は、300万人以上、罹患率は30年前の2倍以上と顕著な増加を示しており、発作による呼吸困難などで1年間におよそ6000人が亡くなっている。
最近の研究によれば、インターロイキン12B(以下、「IL12B」とも表記する)のTaq Iによる制限酵素断片多型が、インスリン依存性糖尿病(insulin‐dependent diabetes mellitus(IDDM))および筋無力症症候群(myasthenic syndrome(MS)の双方の感受性や、変性IL12分泌物と関連性があることが報告されている(例えば非特許文献1)。また、IL12Bのプロモーター多型が、子供のアトピー性および非アトピー性喘息の強さに関わる危険因子であることも示唆されている(例えば非特許文献1)。
さらに、最近の研究によって、上皮由来のIL12 p40が、気道炎症の程度に大きな影響があることが報告されている(非特許文献2)。なお、IL12はp40およびp35により形成されるヘテロダイマーである。
Morahan G, Huang D, Wu M, Holt BJ, White GP, Kendall GE, Sly PD, Holt PG. Association of IL12B promoter polymorphism with severity of atopic and non-atopic asthma in children. Lancet 2002; 360:455-9. Walter MJ, Kajiwara N, Karanja P, Castro M, Holtzman MJ. Interleukin 12 p40 production by barrier epithelial cells during airway inflammation. J Exp Med 2001; 193: 339-51.
上記のように、気管支喘息の予防/治療や発症機序の解明が望まれている。気管支喘息は、遺伝的素因が関与すると考えられるが、患者の発症リスクや重症度の予測が可能になれば、個々の体質を考慮した効果的な生活指導や予防対策を行うことが可能となる。また、気管支喘息に関与する遺伝子の特定は、より有効な治療方法や治療薬開発の重要な指針となる。
上記のような状況の下、本発明は、気管支喘息に関連した遺伝子多型およびハプロタイプを明らかにし、気管支喘息の遺伝的素因の検査方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、気管支喘息の罹患性と関連する遺伝子としてIL12Bに着目し、そのSNPを探索したところ、新規な遺伝子多型およびハプロタイプを同定した。本発明は係る知見に基づいて完成されたものである。したがって、上記の課題は以下に述べる本発明によって解決される。すなわち、本発明は、気管支喘息の遺伝的素因マーカー(発症危険因子)としてのIL12B遺伝子多型および気管支喘息の罹患性検査等を提供するものであり、特定的には下記の〔1〕〜〔11〕である。
〔1〕被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程を含む喘息の遺伝的素因検査方法。
(i)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位
(ii)配列番号1に記載の配列の第27677番目
〔2〕さらに、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における遺伝子多型部位の塩基形態とを比較する工程を含む、上記〔1〕に記載の遺伝的素因検査方法。
〔3〕下記(a)および(b)の工程を含む気管支喘息の罹患性検査方法。
(a)被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程
(i)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位
(ii)配列番号1に記載の配列の第27677番目
(b)被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態から気管支喘息に罹る遺伝的危険性を判定する工程
〔4〕上記(b)において、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における遺伝子多型部位の塩基形態とを比較する、上記〔3〕に記載の気管支喘息の罹患性検査方法。
〔5〕上記(b)において、(i)の遺伝子多型部位の塩基形態がGCである場合および(ii)の遺伝子多型部位の塩基形態がAである場合のうち少なくとも一方に該当する場合は、気管支喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に高いと判定する、上記〔3〕に記載の罹患性検査方法。
〔6〕上記(b)において、(i)の遺伝子多型部位の塩基形態がCTCTAAである場合および(ii)の遺伝子多型部位の塩基形態がCである場合のうち少なくとも一方に該当する場合は、気管支喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に低いと判定する、上記〔3〕に記載の罹患性検査方法。
〔7〕小児気管支喘息の罹患性を検査する、上記〔3〕から〔6〕のいずれか一項に記載の罹患性検査方法。
〔8〕下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸である遺伝的素因マーカー。
(I)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(II)配列番号1に記載の配列の第27677番目の遺伝子多型部位を含む核酸
(III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
〔9〕下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の少なくとも1種と特異的にハイブリダイズする、塩基長が10以上の核酸。
(I)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(II)配列番号1に記載の配列の第27677番目の遺伝子多型部位を含む核酸
(III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
〔10〕気管支喘息の遺伝的素因マーカーを検出するプライマーおよび/またはプローブである、上記〔9〕に記載の核酸。
〔11〕上記〔10〕のプライマーおよび/またはプローブを備える気管支喘息の遺伝的素因検出キット。
〔12〕気管支喘息の予防および/または治療薬のスクリーニング方法であって、ヒトIL12B遺伝子の発現調節領域と、前記発現調節領域により発現が制御される検出可能な発現産物をコードする塩基配列とを備えた組換え核酸を含む発現細胞系に候補薬剤を投与し、前記発現産物の発現を検出することを特徴とするスクリーニング方法。
〔13〕前記発現調節領域にはプロモーター領域が含まれており、プロモーター領域内の遺伝子多型部位の塩基形態が(iv)または(v)のいずれかである、上記〔12〕に記載のスクリーニング方法。
(iv)CTCTAA
(v)GC
本発明により、気管支喘息の遺伝的素因を検査することが可能である。本発明の検査方法を利用すると、被験者の気管支喘息に対する罹患性(易罹患性)を予測できるので、気管支喘息の予防のための生活指導等が可能となる。さらに、気管支喘息発症の遅延、早期発見をも可能とする。また、本発明で得られた知見は、気管支喘息の発症機序の解明および治療薬の開発にも応用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において使用する、「ポリヌクレオチド」とは、2個以上のヌクレオチドがホスホジエステル結合で結合されてなる物質を意味する。「ポリヌクレオチド」には、「リボヌクレオチド(RNA)」と、「デオキシリボヌクレオチド(DNA)」がある。ここでDNAはcDNAおよびゲノムDNAを含む。また、「ポリヌクレオチド」は、これらに限定されず、ペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸、S−オリゴ核酸などの人工合成核酸をも包含する。本明細書で使用する「核酸」という用語は、前記「ポリヌクレオチド」と、同義的若しくは、交換的に使用し、DNAまたはRNAを意味する。さらに、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、特に断らない限り単離された核酸およびポリヌクレオチドを指し、これは組換えDNA技術などにより調製された場合は細胞物質、培養培地を実質的に含有せず、化学合成された場合には前駆体化学物質またはその他の化学物質を実質的に含まない、核酸またはポリヌクレオチドを指す。
本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩基形態、核酸などの略号による表示は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)またはIUBMB(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)による規定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)および当該分野における慣用記号に従うものとする。本明細書において「塩基形態」とは、塩基の種類または配列のことである。また、ポリヌクレオチドがDNA場合のチミン(t)はRNAについてはウラシル(u)であり、特に断らない限り、相互に相互に読み替え可能とする。また、塩基形態やアミノ酸配列などの情報は、電子化してコンピューター上で扱うことができる。
本明細書において使用する、「遺伝子多型」とは、ヒトゲノム上の塩基配列が各個体間において異なること又は異なる配列の型を意味するものである。「一塩基多型(SNP)」とは、このような遺伝子多型の中で、一塩基の核酸の変異として現れるものを指す。さらに、「核酸断片」とは、核酸の部分配列および/または全長配列を有するものを指す。「遺伝子領域」とは、タンパク質をコードする翻訳領域および/またはタンパク質コード領域以外の転写領域、プロモーター、イントロン領域、該遺伝子近傍の機能未同定領域などの非翻訳領域を指す。
本明細書において「遺伝子多型部位」とは、上記遺伝子多型として検出される塩基形態の違いが存在する部位のことをいう。多型は、1つの基準となる塩基配列に対し、塩基の置換、欠失、付加などの変異として特定することができる。欠失、付加などにより、配列の塩基数に相違を生じる場合があるが、この場合、基準とする配列に対応する部位として配列相互のアライメントを行うことにより特定し得る。アライメントをとる一形態として、コンピューター上で塩基配列を電子情報として処理し、配列のアライメントをとることが可能である。例えば、FASTA、BLASTなどのホモロジー検索で用いられる各種のアルゴリズムおよびソフトウエアを利用することにより、2種の配列をアライメントし、相互に対応する部位を特定することができる。また、Sequencherプログラムにより各個体の塩基配列を比較することによっても特定できる。
本明細書において使用する、「特異的にハイブリダイズする」とは、当業者に認識されている、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語と同義であり、2つの核酸(または断片)が、サムブルックら(Sambrook, J.)の「大腸菌におけるクローン遺伝子の発現(Expression of cloned genes in E. coli)」,モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory manual),米国,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),1989年,pp. 9.47-9.62,pp. 11.45-11.61に記載されたハイブリダイゼーション条件下で、相互にハイブリダイズすることを意味する。
より具体的には、前記「ストリンジェントな条件」とは、約45℃において6.6×SSCでハイブリダイゼーションを行った後に、50℃で2.0×SSCで洗浄することを指す。ストリンジェンシーの選択のため、洗浄工程における塩濃度を、例えば低ストリンジェンシーとしての約2.0×SSC、50℃から、高ストリンジェンシーとしての約0.2×SSC、50℃まで選択することができる。さらに、洗浄工程の温度を低ストリンジェエンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで高くすることができる。
本発明において使用する核酸被検試料(検体ともいう)の起源は、任意の生物学的試料であればその部位は限定されない。例えば、試料の採取しやすさ、含有量および抽出用試薬の種類などから、血液、皮膚、組織、口腔粘膜細胞などが好適に用いられる。また、試料は抽出したゲノムDNAのほかにも、ゲノムDNAの一部塩基配列を含むものでもよい。すなわち、一塩基多型部位の分析前に、試料核酸中の目的に合致する全部または一部塩基配列(DNA断片)を任意の好適な方法、例えばPCRなどで増幅した試料を核酸被検試料として使用してもよい。なお、DNAの抽出は、公知の方法、例えば、「QIAamp mono kit」(QIAGEN社製)などの市販の抽出キットを用いて行うことができる。
本発明において使用するプライマーは、化学合成法など任意の好適な作成方法で調製できる。プライマーには、IL12B遺伝子領域上の遺伝子多型がプライマー内に含まれるもの、およびプライマー内に遺伝子多型部位を含まないが、例えばPCRなどにより遺伝子多型部位の1塩基の上下流または近傍にあるように設計したプライマーが好ましい。プライマーは、使用する検出方法等に合致した任意の好適な長さでよいが、連続する10ヌクレオチド以上、好ましくは15〜50ヌクレオチド、より好ましくは15〜30ヌクレオチドである。具体的には、このようなプライマーは、一塩基多型部位および/またはその近傍の塩基配列情報に基づいてフォワード・プライマーおよびリバース・プライマーとして、例えば自動合成装置を用いて、合成できる。
プライマーは、必要ならば1個以上の標識を保有してもよい。好ましい標識としては、酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団などが挙げられる。プライマーは、鋳型となる核酸と相補的な配列を有することが望ましいが、必要ならばそのプライマー内に、望ましくない影響が生じない限り1箇所以上の相補的でない塩基対(ミスマッチ)を導入してもよい。
本発明において使用するポリヌクレオチドプローブは、任意の好適な合成方法で調製できる。ポリヌクレオチドプローブは、検出方法等に合致した任意の好適な長さでよいが、連続する10ヌクレオチド以上、好ましくは15〜50ヌクレオチド、より好ましくは15〜30ヌクレオチドである。プローブは、IL12B遺伝子領域中の対応する遺伝子多型部位のいずれか一方のアレル(allele)に相補的な塩基配列を含む。ただし、必要ならば、そのポリヌクレオチドプローブに望ましくない影響が生じない限り、1箇所以上の相補的でない塩基対を導入してもよい。また、プローブは、プライマーと同様に、1個以上の標識を保有してもよい。
本発明には、遺伝子多型部位1箇所以上を含む核酸断片も包含される。例えば、遺伝子多型部位を含まないその近傍の配列を有するプライマーを用いてPCRなどにより、該遺伝子多型部位を含むように増幅した核酸などである。1箇所以上の遺伝子多型部位を含む核酸は、マルチプライマーPCR増幅産物のように各遺伝子多型が別個の核酸断片上にあっても、または連続した核酸断片上に複数の遺伝子多型が存在してもよい。PCRにおける試料の増幅可能な長さの限界、伸長反応での塩基の相補性の正確さ、解析の容易さなどの条件から、核酸断片の長さは15b〜1kbが望ましい。このような核酸断片は、例えば塩基配列解析(シークエンス)やSSCPなどの試料として遺伝子多型部位の判定のための試料、チップ・マイクロアレイ用のプローブ等に使用できる。核酸断片は、必要ならば1個以上の標識を保有してもよい。
遺伝子多型の検出方法としては数多くの方法が知られている。例えば、塩基配列解析(シークエンス)、インベーダーアッセイ、TaqmanPCR、MS(Mass Spectrometer)による塩基判定、パイロシークエンシング、SnaPshot、アレル特異的プライマー法、制限酵素断片長多型(RFLP:Restriction Flagment Length Polymorphisms)、DNAマイクロアレイ等ハイブリダイゼーションによる遺伝子多型検出、SPR(表面プラズモン共鳴)、SSCP(Single Strand Conformation Polymorphism)、ヘテロ2本鎖分析、WAVEシステム(クロマトグラフィーによる塩基の相違検出)、分子ビーコン(Sniper法など)などが挙げられる。
インベーダーアッセイは、Cleavase、アレル特異的プローブおよびFRETプローブによる検出反応を用い、アレル特異的プローブが多型部位に相補的で3重鎖が形成されれば、Cleavaseによる反応が進行して蛍光が発生するという方法である。
TaqmanPCRは、遺伝子多型部分の各アレルに相補的な配列をプローブ内に有するTaqmanプローブとPCRプライマーを使用したPCRであり、Taqmanプローブ中の一塩基多型部位の塩基配列が相補的な場合に蛍光が発生するという方法である。
MSによる塩基判定は、遺伝子多型部分直前までのプライマーを用いて一塩基伸長反応を行い、伸長した塩基をMSで質量分析する方法である。
パイロシークエンシングは、塩基伸長反応で発生するピロリン酸をATPに転換し生物発光で測定、発光により相補鎖合成の有無を判定する方法である。
SnaPshotは、遺伝子多型部位直前までのプライマ一を用いて標識ddNTP(4種類の塩基毎に異なる標識)による一塩基伸長反応を行い、伸長した塩基を標識の種類で判別する方法である。
アレル特異的プライマー法は、遺伝子多型部位の配列が、相補的な場合はPCRで伸長し、ミスマッチの場合には伸長しない配列のプライマーを設計して、PCRにおけるプライマーと増幅産物の有無を対照して遺伝子多型を判定する方法である。
このような公知であるいずれかの検出方法において、本発明のプローブ、および/またはプライマー、および/またはポリヌクレオチドなどを用いて、本発明の検査方法に従い所望の遺伝子多型部位を検出することができる。
本発明の1つの実施の形態において、気管支喘息の発症と関連する遺伝子多型は、例えば以下のようにして検出できる。
気管支喘息患者(例えば、小児喘息患者)群からの検体を用いて、遺伝子多型を決定し、その中から、1次候補多型を選抜する(1次スクリーニング)。さらに、検体数を増やして候補多型を絞り込む(2次スクリーニング)。一方、健常者の対照群からの検体も同様に候補多型部位の遺伝子多型を決定する。これら遺伝子多型の高密度遺伝子多型マップの作成、患者対照研究等の関連解析による疾患関連遺伝子多型探索結果から、気管支喘息と関連する遺伝子多型を特定する。すなわち、これらの解析により疾患と関連がある遺伝子多型は、気管支喘息患者群と対照群の間のアレル出現頻度に有意差が生じる。
このようにして、本発明において、以下の(i)および(ii)に示すIL12B遺伝子のプロモーター領域および非翻訳領域にそれぞれ遺伝的な多型が特定された。
(i)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位
(ii)配列番号1に記載の配列の第27677番目
配列番号1の配列はIL12B遺伝子を含む塩基配列である。配列番号1の配列は、NCBI(National Center for Biothechnology Information)などのデータベースにおいてアクセッション番号:AC011418としてアクセス可能である。
図1にIL12B遺伝子における多型部位を示す。図1中、第1の遺伝子多型部位10は構造遺伝子30に関連するプロモーター領域内に含まれている(i)の遺伝子多型部位を示す。また図1中、第2の遺伝子多型部位20は、構造遺伝子30より下流の3’非翻訳領域(3'UTR)内に含まれている(ii)の遺伝子多型部位を示す。
本明細書において「CTCTAA部位」というときは遺伝子多型の存在する場所を特定するための表記であり、配列が「CTCTAA」であることのみに限定しているものではない。以下にさらに説明するとおり、この部位に異なる塩基形態からなる遺伝子多型が見出された。
配列番号1の配列においてIL12Bの翻訳開始点であるメチオニンをコードするATGのA(アデニン)は16837番目の塩基「A」であり、この16837番目の「A」を第1位(起点)と定めて数えた場合、配列番号1の10422番目〜10427番目にあたる上記(i)「CTCTAA部位」は、上記起点から起算して−第6415位から−第6410位に存在する。また、配列番号1の第27677番目にあたる上記(ii)の塩基は、上記起点から起算して第10841位に該当する。配列番号1の配列中に含まれる、IL12BをコードするmRNAの塩基配列(アクセッション番号:NM_002187)においては、上記(ii)の第27677番目の塩基は、第1188番目の部位に該当する。また、配列番号1の配列において、第26932〜26934番目(起点から数えて第10072〜10074位)の「TAG」がIL12B翻訳の終始コドンである。
本発明の検査方法では、被験者から核酸を採取し、その核酸における(i)および/または(ii)に対応するIL12B遺伝子多型部位について塩基形態を検出する。上記(i)および(ii)の記載は、IL12B遺伝子における遺伝子多型の現れる場所を特定したものである。上記(i)および(ii)に対応する部位の特定は、配列アライメントを行うことにより可能である。配列アライメントについては上記で説明の通りである。また、(i)および(ii)は部位を特定するものであり、配列番号1の配列全体を用いて部位を特定してもよいし、配列番号1の塩基配列において、当該部位を含む10から30塩基程度からなる配列、より具体的には、当該部位を挟む前後約5から15塩基、より好ましくは前後約10塩基からなる塩基配列を抜き出し核酸断片として特定することも可能である。
本発明の検査方法では、被験者由来の核酸における遺伝子多型部位の塩基形態を特定し、喘息についての遺伝的素因を判別することができる。判別の具体的な手段としては、例えば、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における塩基形態とを比較する。配列番号1の配列における塩基形態は、(i)としては「CTCTAA」であり、(ii)としては「C」であり、これらの塩基形態と被験者由来の核酸において(i)および/または(ii)に対応する部位の塩基形態とを比較することになる。
上記に列挙した塩基形態からなる、或いはそれを含むポリヌクレオチドは、気管支喘息の遺伝的素因マーカーであり、各マーカーを本発明の検査方法において、検出することにより気管支喘息、より好適な対象としては小児気管支喘息についての遺伝的素因を検査することが可能となる。
下記実施例にて詳説するが、本発明者らは上記の遺伝的素因と気管支喘息に対する罹患性との関係を明らかにした。すなわち、上記被験者の遺伝的素因マーカーを特定することにより、遺伝学的な見地から被験者の気管支喘息に対する罹患性を検査することができる。
(i)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位の場合、塩基形態が「CTCTAA」の遺伝子多型は健常者に多く見られる。これに対し、CTCTAA部位の6塩基がCTCTAAではない場合、特にGCの塩基からなる遺伝子多型は、気管支喘息の患者に多く見られる。したがって、被験者のCTCTAA部位の塩基形態が「CTCTAA」であれば、気管支喘息に罹る遺伝的な危険性は相対的に低いと判定できる。これに対し、被験者のCTCTAA部位の塩基形態が「GC」であれば、気管支喘息に罹る遺伝的な危険性は相対的に高いと判定することができる。
(ii)配列番号1に記載の配列の第27677番目の遺伝子多型については、健常者の場合「C」が多く、気管支喘息の患者には「A」が多い。したがって、被験者の第27677番目の塩基形態が「C」である場合、気管支喘息に罹る遺伝的な危険性は相対的に低いと判定できる。これに対し、被験者の第27677番目の塩基形態が「A」であれば、気管支喘息に罹る遺伝的な危険性は相対的に高いと判定できる。
(i)および(ii)の多型については、いずれか一方についてのみ検査してもよいし、より好ましくは(i)および(ii)の双方について検査してもよい。CTCTAA部位が「CTCTAA」であり第27677番目が「C」である組み合わせからなるハプロタイプ、およびCTCTAA部位が「GC」であり第27677番目が「A」である組み合わせからなるハプロタイプはそれぞれ強い連鎖不平衡が見出されており、特にCTCTAA部位が「CTCTAA」であり且つ第27677番目が「A」であるハプロタイプを有する被験者の場合、遺伝的な見地からの気管支喘息に罹る確率は相対的に低いといえる。
本発明の別の実施の形態に従えば、前記検査は以下のように行うことができる。
被験者から核酸試料(例えば、組織、細胞、血液など)を採取し、常法に従いDNAまたはゲノムDNAを抽出する。得られたDNAサンプルをPCR法により増幅し(遺伝的素因マーカーを含む領域)、各種の一塩基多型の検出方法を用いて、IL12B遺伝子領域の各多型部位(i)および(ii)のうち、1箇所以上における遺伝子多型の塩基の種類を決定する。上記のようにして、関連解析から得られたSNPsと気管支喘息の病態(重症度を含む)との相関関係から、決定したIL12B遺伝子多型を参照してその個体の状態を判定する。
より具体的には、前記DNAサンプルの遺伝的素因マーカーを含む領域で、PCRを行い、1)SSCP法で塩基の種類を決定する、または2)該PCR増幅産物を直接シークエンス(Sanger法やMaxam-Gilbert法)する。或いは、遺伝的素因マーカーを含む領域に特異的にハイブリダイズするプローブを使用して、前記DNAサンプルまたはそのPCR増幅産物から多型部位を直接検出する(インベーダーアッセイなど)。さらに、遺伝的素因マーカー近傍(直前)までの配列を有するプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行い、伸長した塩基をMS(質量分析器)で解析する。
前記の多型部位の検出、解析には、本発明のポリヌクレオチドが好適である。すなわち、プローブまたはプライマーとしては、下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の少なくとも1種と特異的にハイブリダイズするもの、および下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の少なくとも1種を増幅産物中に含むことができるプライマーである。プロモーターおよびプライマーの塩基長など具体的な形態については上記での説明と同様である。
(I)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位の遺伝子多型部位を含む核酸
(II)配列番号1に記載の配列の第27677番目の遺伝子多型部位を含む核酸
(III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
本発明において、本発明のプローブおよびプライマーは、それらの各々を有効成分とする検査用キットとして好ましくは提供される。特に、プライマーを含んでなる本発明の検査用キットは、DNAポリメラーゼ、4種類のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)およびサイズマーカー等を含んでよい。さらに、適当な緩衝剤、洗浄剤、反応停止液などが含まれてもよい。
くわえて、IL12B遺伝子の遺伝子多型に特異的な抗体を検出に使用することもできる。
本発明の検査用キットは、気管支喘息の遺伝的素因マーカーの検出を企図するものであるが、必要ならば他の疾患関連因子(マーカー)の検査用キットと組み合わせて、その検査結果から被験者の複合的な状態を判定することができる。
上記(i)の多型は、IL12Bのプロモーター領域に含まれており、IL12Bの転写活性と関連があることが明らかとなった。具体的には、CTCTAA部位の配列が「CTCTAA」の場合よりも、「GC」の場合のほうが転写活性が増加することが確認された。かかる知見に基づき、本発明は、気管支喘息の予防および/または治療薬のスクリーニング方法をも提供する。本発明のスクリーニング方法は、ヒトIL12B遺伝子の発現調節領域と前記発現領域により発現が調節される検出可能なタンパク質をコードする塩基配列とを備えた組換え核酸を含む細胞系に候補薬剤を投与し、前記タンパク質の発現を検出することを特徴とする。好ましい実施形態としては、前記ヒトIL12B遺伝子のプロモーター領域に(iv)または(v)のいずれかの塩基配列を含む。創薬過程においては何重にもスクリーニングが繰り返されるが、本発明は比較的初期段階のスクリーニング方法の1つとして好適である。
(iv)CTCTAA
(v)GC
すなわち、本発明のスクリーニング方法は、検出可能な発現産物を組み込んだ形質転換体を作製し、そのタンパク質の発現量を測定することにより、候補化合物の効果等を推定するための情報を得るものである。プロモーター領域のCTCTAA部位には、上記(iv)または(v)の配列を組み込む。また、検出可能な発現産物は、その発現が検出可能なものであれば特に限定はなく、例えば、各種の蛍光タンパク質、発光タンパク質、生成酵素、分解酵素、耐性遺伝子などが例示される。発現ベクター、形質転換体の作製など、タンパク質等の発現細胞系の構築は、Molecular Cloning(3rd.ed, Cold Spring Harbor Laboratory Press)などに記載の定法に従って行うことができる。
一つの好ましい形態としては、例えば、(iv)CTCTAAの配列を有する遺伝子を発現させる場合において、候補薬剤の存在により、発現量が低下した場合には、IL12Bの過剰発現が関連する疾患、より具体的には、気管支喘息などの予防/治療薬となり得る。また、他の実施形態として、(iv)および(v)のそれぞれの発現系について候補薬剤の投与による発現量の差異を検定することにより、個人差による薬剤の効果の違いを検定することも可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ILB12の遺伝的変異体が気管支喘息の感受性に関連するかを評価するために、IL12Bの2つの遺伝的多型のハプロタイプ分析を行った。
喘息を煩う被験者全員は、国立衛生研究所(National Institute of Health)の診断基準を若干改変したものを基準として診断した(国立衛生研究所、国立心肺血液研究所1997年)。アトピー性喘息の診断は、1種または複数のアレルゲンに対して陽性であるかあるいは血清中の総IgE 400kU/L以上であるかに基づいた(下記参考文献2)。試料として、大阪府立羽曳野病院(現・大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)の小児アトピー性喘息外来患者331人から末梢血を得た(年齢幅1才から15才、平均年齢は9.6才;男:女=1.63:1.0、血清中総IgE値の平均は1084U/ml;ダニRAST(mite radioallergosorbent test)陽性者80.0%)。コントロール(対照区)として、アトピー性関連疾患を持たない個人を母集団から、無作為に559人を選んだ(年齢幅18−83才、平均年齢44才;男:女=2.61:1.0)。人種はすべて日本人であり、理化学研究所遺伝子多型研究センター(Physical and Chemical Research, SNP Research Center)における研究倫理委員会の規則に従って、全員から研究に参加することについて書面によるインフォームドコンセントを得た(なお、16才未満の個人については親から承諾を得た)。
TaqMan system(Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)を用いた遺伝子型判定(ゲノタイピング:genotyping)によって、プロモーターの多型「CTCTAAまたはGC」を検出した。ゲノタイピングの具体的な手法は添付のマニュアルに従った。また、上記Taq Iを用いたPCR-RFLP(PCR restriction fragment length polymorphism)分析による遺伝子型判定(ゲノタイピング、genotyping)を行い、3’末端の非翻訳領域(UTR)内に「CまたはA」の多型部位を検出した。この3’末端の非翻訳領域内の遺伝子多型部位は、配列番号1の配列における第27677番目(翻訳開始点を起点として、第10841位)の部位として特定される(このような変異を「C10841A」とも示す)。PCR-RFLPは定法に従って行った。PCRについては、Molecular Cloning(3rd.ed),Cold Spring Harbor Laboratory Pressなど、制限酵素切断については、Molecular Cloning(2nd.ed),Cold Spring Harbor Laboratory Pressなどに説明されている。また、PCRプライマーとして配列番号3および4のプライマーを用いた。
FW:5'-GAAAGCCTCTGGCAAGCATG-3'(配列番号2)
RV:5'-GATGGCACTGGTATCAG-3'(配列番号3)
喘息の場合およびコントロールにおけるアレル頻度を、分割表を作成しカイ二乗検定によって比較した。本調査におけるコントロール集団についてのすべての遺伝子型頻度はハーディー−ワインベルグ平衡に従った。コントロール559人および小児喘息を患う403人から採取されたサンプルについて、SNP疾患関係解析ソフト、SNP Alyze(Dynacom社製, 日本国千葉県)を用い、maximaum-likelihood法(最尤度法)によるハプロタイプ分析を行った。
Figure 2006101847
表1に示すように、3'UTR多型は小児喘息と高い関連性があった(オッズ比=1.48、95%信頼限界(95%Cl:95% confidence limit):1.22−1.79、p(有意確率)=0.000058)。プロモーター多型は、3'UTR多型と強い連鎖不平衡関係にあり(D'=0.982)、また小児喘息と高い関連性があった(オッズ比=1.30、95%Cl:1.07−1.58、p=0.0073)。
さらに2つの座位のハプロタイプについて、上記の多型を利用して分析を行った。表1に示すように、本発明者らは、小児喘息に関連のある4つの各ハプロタイプについて調べ、陽性ハプロタイプ;「CTCTAA」と「C」の組み合わせ(p=0.00022)を検出した。
さらに、プロモーター多型がIL12Bの発現レベルに影響するかを調べるため、レポーター遺伝子アッセイを行った。レポーター遺伝子アッセイの諸条件は下記参考文献3に記載された方法に従った。下記DNA断片を3連に結合したコピーをpGL3-basicベクター(Promega社製、Madison, WI, USA)にクローニングした。
DNA断片は、それぞれ次のものを用いた。
CTCTAAアレル用:5'-agagaggctctaatgtggcc-3'(配列番号4)
GCアレル用:5'-agagagggctgtggcc-3'(配列番号5)
上記のようにして構築したベクター各2μgおよび40ngのpRL-TKベクター(Promega社製)を293細胞(2×106個)にトランスフェクトした。24時間後、細胞を回収し、Dual-Luciferase Reporter Assay System(Promega社製)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。図2に示すように、GCアレルを有するクローンは他のクローンと比べて2.4倍の転写活性を示した(Student's t-testによる2つのアレルの比較において、p=0.00019、それぞれ2.82[SD(標準偏差):0.27]対6.66[SD:0.42])。プロモーター多型はIL12Bの発現レベルに影響を及ぼすことが確認された。
従前の研究によりmRNAの多型は転写安定性に寄与することが報告されている(下記参考文献4)。そこで、IL12Bアレルおよび小児性気管支喘息の関連性について更に研究を進めるために、コード領域における多型がIL12BのmRNAに影響を及ぼすか検定した。それぞれの合成RNA0.5μgと、1:1500に希釈されたU937細胞の全細胞抽出物とを混合して、室温にインキュベートした。図3に示すように、Aアレル(感受性)からのRNAはGアレル(非感受性)のRNAよりも分解が遅く、より安定していた。
IL12Bは、ヘテロ二量体からなる炎症性サイトカイン(proinflammatory cytokine)であり、インターフェロン−γの産生を誘導し、Th1細胞(T helper 1 cells)の分化を促進し、並びに、自然免疫(innate immunity)および獲得免疫(adaptive immunity)を連係する。喘息症状は、しばしば呼吸感染により引き起こされ、感染時にIL12Bが誘導されることはよく知られている。上記のように本発明者らは喘息の感受性に関わる2つの多型を同定し、IL12Bの転写の安定性に影響を与えてその発現レベルと関連することを明らかにした。近年IL12Bの過剰発現がよりTh2型の炎症を引き起こすことが示された。IL12Bのハプロタイプは、Th1細胞の活性化に影響を与えることによる小児喘息への感受性を解明し、喘息症の予防および治療に貢献することが期待される。
本発明は、気管支喘息に関連する検査、診断、予防または治療等の分野において有用である。
REFERENCE;
参考文献1(非特許文献1);Morahan G, Huang D, Wu M, Holt BJ, White GP, Kendall GE, Sly PD, Holt PG. Association of IL12B promoter polymorphism with severity of atopic and non-atopic asthma in children. Lancet 2002; 360:455-9.
参考文献2;Mao XQ, Shirakawa T, Yoshikawa T, Yoshikawa K, Kawai M, Sasaki S, Enomoto T, Hashimoto T, Furuyama J, Hopkin JM, Morimoto K. Association between genetic variants of mast-cell chymase and eczema. Lancet 1996; 348: 581-3.
参考文献3;Ozaki K, Ohnishi Y, Iida A, Sekine A, Yamada R, Tsunoda T, Sato H, Sato H, Hori M, Nakamura Y, Tanaka T. Functional SNPs in the lymphotoxin-alpha gene that are associated with susceptibility to myocardial infarction. Nat Genet 2002; 32: 650-4.
参考文献4;Suzuki A, Yamada R, Chang X, Tokuhiro S, Sawada T, Suzuki M, Nagasaki M, Nakayama-Hamada M, Kawaida R, Ono M, Ohtsuki M, Furukawa H, Yoshino S, Yukioka M, Tohma S, Matsubara T, Wakitani S, Teshima R, Nishioka Y, Sekine A, Iida A, Takahashi A, Tsunoda T, Nakamura Y, Yamamoto K. Functional haplotypes of PADI4, encoding citrullinating enzyme peptidylarginine deiminase 4, are associated with rheumatoid arthritis. Nat Genet 2003; 34: 395-402.
参考文献5(非特許文献2);Walter MJ, Kajiwara N, Karanja P, Castro M, Holtzman MJ. Interleukin 12 p40 production by barrier epithelial cells during airway inflammation. J Exp Med 2001; 193: 339-51.
IL12B遺伝子の多型部位を示す図である。 RNAの安定性を測定した結果を示すグラフである。 プロモーター領域の変異による発現量の変化を示すグラフである。
符号の説明
10 第1の遺伝子多型部位
20 第2の遺伝子多型部位
30 構造遺伝子

Claims (13)

  1. 被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程を含む喘息の遺伝的素因検査方法。
    (i)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位
    (ii)配列番号1に記載の配列の第27677番目
  2. さらに、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における遺伝子多型部位の塩基形態とを比較する工程を含む、請求項1に記載の遺伝的素因検査方法。
  3. 下記(a)および(b)の工程を含む気管支喘息の罹患性検査方法。
    (a)被験者から採取された核酸における、下記(i)および/または(ii)に対応する遺伝子多型部位の塩基形態を検出する工程
    (i)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位
    (ii)配列番号1に記載の配列の第27677番目
    (b)被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態から気管支喘息に罹る遺伝的危険性を判定する工程
  4. 上記(b)において、被験者由来の核酸から特定された遺伝子多型部位の塩基形態と配列番号1に記載の配列における遺伝子多型部位の塩基形態とを比較する、請求項3に記載の気管支喘息の罹患性検査方法。
  5. 上記(b)において、(i)の遺伝子多型部位の塩基形態がGCである場合および(ii)の遺伝子多型部位の塩基形態がAである場合のうち少なくとも一方に該当する場合は、気管支喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に高いと判定する、請求項3に記載の罹患性検査方法。
  6. 上記(b)において、(i)の遺伝子多型部位の塩基形態がCTCTAAである場合および(ii)の遺伝子多型部位の塩基形態がCである場合のうち少なくとも一方に該当する場合は、気管支喘息に罹る遺伝的危険性が相対的に低いと判定する、請求項3に記載の罹患性検査方法。
  7. 小児気管支喘息の罹患性を検査する、請求項3から6のいずれか一項に記載の罹患性検査方法。
  8. 下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸である遺伝的素因マーカー。
    (I)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位の遺伝子多型部位を含む核酸
    (II)配列番号1に記載の配列の第27677番目の遺伝子多型部位を含む核酸
    (III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
  9. 下記(I)、(II)および(III)からなる群より選ばれる核酸の少なくとも1種と特異的にハイブリダイズする、塩基長が10以上の核酸。
    (I)配列番号1に記載の配列のプロモーター領域に含まれるCTCTAA部位の遺伝子多型部位を含む核酸
    (II)配列番号1に記載の配列の第27677番目の遺伝子多型部位を含む核酸
    (III)上記(I)および(II)のいずれかの核酸に対して相補的な配列を有する核酸
  10. 気管支喘息の遺伝的素因マーカーを検出するプライマーおよび/またはプローブである、請求項9に記載の核酸。
  11. 請求項10のプライマーおよび/またはプローブを備える気管支喘息の遺伝的素因検出キット。
  12. 気管支喘息の予防および/または治療薬のスクリーニング方法であって、ヒトIL12B遺伝子の発現調節領域と、前記発現調節領域により発現が制御される検出可能な発現産物をコードする塩基配列とを備えた組換え核酸を含む発現細胞系に候補薬剤を投与し、前記発現産物の発現を検出することを特徴とするスクリーニング方法。
  13. 前記発現調節領域にはプロモーター領域が含まれており、プロモーター領域内の遺伝子多型部位の塩基形態が(iv)または(v)のいずれかである、請求項12に記載のスクリーニング方法。
    (iv)CTCTAA
    (v)GC
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