JP2006101806A - 鉄、マグネシウム又は亜鉛成分に対する食品用マスキング剤 - Google Patents

鉄、マグネシウム又は亜鉛成分に対する食品用マスキング剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 鉄、マグネシウム又は亜鉛成分に対する食品用マスキング剤を提供する。
【解決手段】 食品用マスキング剤として、多価カルボン酸とグルコースポリマーとのエステル化により形成されたカルボキシル基含有グルコースポリマーを使用する。

Description

本発明は、機能性食品等の食品用に使用されるマスキング剤に関する。
鉄や、マグネシウム、亜鉛などの金属を含むミネラルは、生物が生きていく上で、不可欠な栄養素と言え、不足するといろいろな問題が生じる。例えば、鉄分と貧血、マグネシウムと循環器系疾患、亜鉛と味覚低下の関係が知られている。「平成10年版 国民栄養の現状」(第一出版株式会社、1998年)によれば、日本人の鉄分摂取量は、昭和50年以降、所要量の充足率100%前後を横ばいで推移している現状にあり、食事上、鉄分は必要不可欠な栄養素と言える。特に若年から中年の女性ではその充足率は80%程度であり、若中年層女性の鉄不足が指摘されている。
また、マグネシウムの欠乏が、高血圧や、虚血性心疾患(狭心症、急性心筋梗塞)、不整脈、動脈硬化、高脂血症と言った現代人の大きな課題である成人病の発生への関与が指摘されている。更に、マグネシウムの欠乏が、糖尿病と関連することも注目されている(FOOD Style21:食品化学新聞社)。
更に、亜鉛の欠乏は、皮膚萎縮や、脱毛、創傷治癒遅延、性腺機能低下、食欲及び味覚低下、免疫機能低下などをもたらすとの報告があり、これらは老化の症状に類似しているとの指摘がある(FOOD Style21:食品化学新聞社)。
現代人の食生活において、これら金属を含むミネラルを正しく摂取することは、非常に困難である。鉄や、マグネシウム、亜鉛等のミネラルの多くは、食事内容で摂取量に差が出やすく、更に鉄においては消化管内で酸化を受けると沈殿を形成しやすく、これにより吸収されにくくなる。また、成長期の子供や妊婦においては、特に金属を多く摂取する必要があり、一般人でもダイエットや偏食により、ミネラル不足が指摘されている。そこで、食事以外においてもミネラルを補給する必要があり、一般食品だけではなく、嗜好食品においてもこれら金属を含むミネラルの生体への吸収を考慮した食品が期待される。
現在、食品への金属塩類の供給素材としては、クエン酸第一鉄や、塩化第二鉄、ピロリン酸第二鉄、炭酸マグネシウム、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛などが利用されているが、これら供給素材の多くは水への溶解性が低く、沈殿の生じるものが多く、清涼飲料などの透明性を要求される食品だけではなく、一般食品での利用を制限している。また、鉄剤として、一般的に利用されているクエン酸鉄や硫酸第一鉄等の無機鉄の多くが飲料等の食品に用いた場合、鉄に特有の厭味を呈し、食品への利用を制限している。また、ヘム鉄を用いた場合でも、独特の金属成分の厭味が生じる。
鉄剤以外のマグネシウムや亜鉛についても、その金属成分に特有の厭味を呈するため、嗜好性食品への展開が制限されている。
本発明者らは、グルコースポリマーを多価カルボン酸でエステル化したカルボキシル基含有グルコースポリマーを用いることにより、食品中に、鉄や、マグネシウム、亜鉛を多量に配合しても、それらの金属成分に由来する特有の厭味をマスクすることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
従って、本発明は、鉄、マグネシウム又は亜鉛成分に対する食品用マスキング剤及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、グルコースポリマーを多価カルボン酸でエステル化したカルボキシル基含有グルコースポリマーを用いることにより、食品中に、鉄や、マグネシウム、亜鉛を多量に配合しても、それらの金属に特有の厭味をマスクすることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、多価カルボン酸とグルコースポリマーとのエステル化反応により形成された、カルキシル基含有グルコースポリマーを含有する、鉄、マグネシウム又は亜鉛成分に対する食品用マスキング剤、及びその製造方法に関するものである。
本発明によれば、食品中に、鉄や、マグネシウム、亜鉛をより多くの配合できるとともに、それらの金属成分に特有の厭味をマスクすることができるため、特に、中年以降の人々や、成長期の子供たち、妊婦、更には、病気療養中の患者等に非常に有益である。
また、本発明に使用されるカルボキシル基含有グルコースポリマーは、食品である酸化澱粉や、澱粉分解物、還元澱粉分解物、難消化性澱粉分解物、還元難消化性澱粉分解物と、有機酸等とを原料として調製されたものであり、安全性が高いと考えられる。
以下、本発明について説明する。
本発明のカルボキシル基含有グルコースポリマーは、グルコースポリマーと、多価カルボン酸とのエステル化反応により調製される。
原料のグルコースポリマーとしては、グルコースを構成単位とするポリマーであれば特に制限されず、各種のグルコースポリマーを使用することができる。このようなグルコースポリマーとしては、一般的な澱粉加工品、特に、酸化澱粉や、澱粉分解物、還元澱粉分解物、難消化性澱粉分解物、還元難消化性澱粉分解物等から選択することができる。特に好ましいグルコースポリマーは、還元澱粉分解物及び還元難消化性澱粉分解物であり、これらの分解物は、反応中の着色が少ないため、得られるグルコースポリマーも着色が少なく好ましい。
グルコースポリマーとして澱粉を使用する場合、特にその種類が限定されるものではなく、例えば、ジャガイモ澱粉や、カンショ澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉などが、いずれも、効果的な原料澱粉として用いることができる。
グルコースポリマーの重合度は、目的とするカルボキシル基含有グルコースポリマーの用途や特性に応じて適宜選択することができる。平均重合度は、例えば、4〜123、好ましくは、4〜18であり、特に好ましくは、6〜10であることが適当である。
本発明においては、カルボキシル基含有グルコースポリマーは、配合しようとする鉄等の元素を、イオン交換作用によりカルボキシル基含有グルコースポリマーのカルボキシル基と結合させて食品に配合して使用されるが、原料のグルコースポリマーの平均重合度が上記範囲を外れると、得られるカルボキシル基含有グルコースポリマーが、鉄等の元素をより多く食品中に配合することができなくなる傾向にある。
本発明のカルボキシル基含有グルコースポリマーを調製するのに使用される多価カルボン酸は、官能基としてカルボキシル基を分子内に2つ以上有するものである。その具体例としては、例えば、クエン酸や、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸等が好適に挙げられる。
本発明のカルボキシル基含有グルコースポリマーにおいては、グルコースポリマー分子中の各グルコース環は、それぞれ、3個まで、又は末端グルコース環については、4個までのカルボキシル基を有することができるが、鉄、マグネシウム又は亜鉛と塩を形成して、鉄、マグネシウム又は亜鉛成分の溶解性を向上できる限り、種々の態様でカルボキシル基が存在していてもよい。例えば、グルコースポリマー1分子において、カルボキシル基が、各グルコース環に存在している必要はなく、例えば、クエン酸の場合には、グルコース環1個あたり、0.1〜6個、好ましくは、0.2〜2個存在することができる。
なお、鉄、マグネシウム又は亜鉛成分を溶解できるカルボキシル基が存在する限り、グルコースポリマーの分子内で、1分子の多価カルボン酸により、エステル結合が生じていてもよく、また、グルコースポリマーの分子間で、1分子の多価カルボン酸により、エステル結合が生じていてもよい。
また、グルコースポリマーを構成するグルコース単位の数をM、末端グルコース環の総数をZとし、多価カルボン酸の酸残基数をNとする時、グルコースポリマー1分子あたりの多価カルボン酸の分子数は、1/(N-1)〜(3M+Z)個であるのが好ましく、より好ましくは、1〜(3M+Z)個であり、更に好ましくは、1〜M個である。
本発明のマスキング剤が適用される金属元素は、鉄、マグネシウム又は亜鉛である。これらの金属元素は、人間にとって不可欠なミネラルであるが、より多量に食品に配合しようとすると、その金属成分に特有の厭味が強まる性質を有する。本発明は、このような金属成分をより多量に配合する場合に、その特有の厭味をマスクするための技術である。
これらの金属成分は、食品に配合する場合には、カルボキシル基含有グルコースポリマーとの塩の形態で配合することが適当である。なお、食品中におけるpHや、状態、例えば、食品が液体か、固体状か等の状態の相違、金属が由来する塩等と、使用すカルボキシル基含有グルコースポリマーの構成等の関係により、特に、ドリンク剤等の液体状態の食品等については、金属成分を含む塩等と、本発明のカルボキシル基含有グルコースポリマーとを別々に食品に添加してもよい。
このような金属成分は、塩化物や、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩等として使用される。そして、これらの化合物は、予め、又は食品中において、カルボキシル基含有グルコースポリマーと反応して、鉄、カルシウム又は亜鉛の塩を形成し、食品中に配合される。
鉄等の金属成分は、食品に配合される場合に、鉄等の金属がカルボキシル基含有グルコースポリマーのカルボン酸の少なくとも1個の酸残基と結合していればよく、多価カルボン酸の酸残基数をNとし、グルコースポリマーを構成するグルコース単位数をM、末端グルコース環の総数をZとした場合に、グルコースポリマー1分子あたりの金属元素数が1/(N−1)〜(N-1)×(3M+Z)個であるのが好ましく、より好ましくは、1〜(N-1)×(3M+Z)個、更に好ましくは、1〜3M+Z個であることが適当である。
本発明のカルボキシル基含有グルコースポリマーは、種々の方法により合成することが出来る。一例として、下記の方法を説明するが、本発明の範囲が、これらの方法により限定されるものではない。
グルコースポリマーと、多価カルボン酸の一種又は二種以上とを、例えば、モル比10:1〜1.5:1、好ましくは、2:1〜1.5:1で水に溶解して水溶液とし、得られた水溶液を、例えば、95℃〜110℃で、1〜10時間程度乾燥して均一な粉末、通常、均一な非晶質粉末を得る。この粉末を、粉末状態のままで、例えば、100℃〜160℃で、例えば、2〜15時間加熱することにより、カルボキシル基含有グルコースポリマーが得られる。
グルコースポリマーと多価カルボン酸との混合水溶液から、均一な粉末を得るために乾燥粉末化する方法としては、例えば、スプレードライや、ドラムドライ、凍結乾燥等のいずれもが効果的に採用できる。
次に、グルコースポリマーと多価カルボン酸との均一な粉末を加熱する。加熱装置としては、一般的な各種の装置、例えば、オイルバスや、ロータリー・キルンなど、連続的に加熱できる装置、例えば、真空焙焼装置や、エクストルーダー、ドラムドライヤ、流動床加熱装置等が効果的に使用できる。
本発明における加熱は、例えば、100℃〜160℃、好ましくは、100℃〜125℃とすることが適当である。加熱処理時間は特に制限はないが、グルコースポリマーの平均重合度や、多価カルボン酸との混合比、加熱時の温度、目的とする生成物の特性等を考慮して適切な時間を選択するが、通常は、1〜20時間であり、好ましくは、2〜10時間であることが適当である。
続いて、加熱反応生成物は、一般的な糖類の精製に使用される方法や装置、例えば、濾過装置や、イオン交換樹脂、膜分離装置等を使用して効果的に未反応の多価カルボン酸や未反応のグルコースポリマーを除去する。
精製されたカルボキシル基含有グルコースポリマーは、好ましい態様として、鉄等の金属成分を食品に配合するため、カルボキシル基含有グルコースポリマーと金属との塩の形態で使用される。カルボキシル基含有グルコースポリマーの塩を製造する方法としては、例えば、(1)カルボキシル基含有グルコースポリマーをアニオン交換樹脂に吸着させてから、金属の塩化物や、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩等の溶液で、カルボキシル基含有グルコースポリマーの金属塩を溶出する方法や、(2)金属の塩化物や、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩等の溶液をカチオン交換樹脂に通液することにより、金属型カチオン交換樹脂を作製し、そこにカルボキシル基含有グルコースポリマーを流し、その塩を得る方法、(3)カルボキシル基含有グルコースポリマーの溶液に金属の塩化物や、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩等を加えて、その金属を調製する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
得られたカルボキシル基含有グルコースポリマーの金属塩の溶液をこのまま濃縮して食品添加用の製品とすることができる。更に、脱色処理や脱塩処理を行って、純度を高めることも可能である。精製の方法としては、例えば、活性炭処理や、膜処理など、通常の処理方法が使用できる。また、カルボキシル基含有グルコースポリマーの金属塩の溶液をスプレードライヤー等で乾燥して粉末とすることも可能である。
本発明のカルボキシル基含有グルコースポリマーは、鉄、マグネシウム又は亜鉛を食品に添加する際に、マスキング剤として機能する。即ち、鉄等をより多量に配合する場合に生じる、金属特有の厭味をマスクすることができる。
次に、実施例により本発明について、更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(グルコースポリマーの調製1)
デキストリン(松谷化学工業株式会社製試作品1:DE(Dextrose Equivalent)16、多分散度7.466のデキストリンの低分子画分を分子篩によって除去した、DE10、多分散度3.440のデキストリン)とクエン酸とを、イオン交換水中に一旦溶解することにより均一化した水溶液を、スプレー乾燥機により粉末化し、120℃で加熱することにより、デキストリンをクエン酸でモノエステル化(モノエステル結合:単位グルコースあたり0.14)した。得られたデキストリンクエン酸エステルをイオン交換水中に再度溶解して、未反応クエン酸を膜分画装置を用いて、クロスフロー法により除去し、再度スプレー乾燥機にて粉末化させた後、カルボキシル基含有グルコースポリマーとして、デキストリンクエン酸エステルを調製した。得られたデキストリンクエン酸エステルは、100gあたり、0.15当量のカルボン酸残基を有していた。更に、その純度又は構成を評価するために、得られたデキストリンクエン酸エステル1gを0.5Mトリス緩衝液(pH10.8)にてアルカリ加水分解した後、高速液体クロマトグラフィーにて分析した。なお、高速液体クロマトグラフィーに使用したカラムは、昭和電工(株)製Shodex RS-pak KC-811(H+型)、移動層は15mM HClO4を用いた。
分析の結果、得られたデキストリンクエン酸エステルを加水分解することにより、デキストリン及びクエン酸のみが確認された。それらの含有量は、下記表1の通りであった。
Figure 2006101806
*デキストリン中のグルコース重合度を、10(分子量:1650)とした。
上記の分析結果より、得られたデキストリンクエン酸エステルは、デキストリンとクエン酸からなる化合物であることが確認され、デキストリン1分子あたり、平均約1.41分子のクエン酸が結合していることが確認された。
実施例2(グルコースポリマーの調製2)
難消化性デキストリン(松谷化学工業株式会社製Fibersol-2:DE10の分岐構造の発達した難消化性澱粉分解物)とクエン酸とをイオン交換水に一旦溶解することにより均一化した溶液を、スプレー乾燥機により粉末化し、120℃にて加熱することにより、難消化性デキストリンにクエン酸をモノエステル化(モノエステル結合:単位グルコースあたり0.14)させた。得られた難消化性デキストリンクエン酸エステルをイオン交換水中に再度溶解して、未反応クエン酸を膜分画装置を用いて、クロスフロー法により除去し、再度スプレー乾燥機にて粉末化させた後、カルボキシル基含有グルコースポリマーとして、難消化性デキストリンクエン酸エステルを調製した。得られた難消化性デキストリンクエン酸エステルは、100gあたり、0.15当量のカルボン酸残基を有していた。更に、その純度又は構成を評価するために、得られたデキストリンクエン酸エステル1gを0.5Mトリス緩衝液(pH10.8)にてアルカリ加水分解した後、高速液体クロマトグラフィーにて分析した。なお、高速液体クロマトグラフィーに使用したカラムは、昭和電工(株)製Shodex RS-pak KC-811(H+型)、移動層は15mM HClO4を用いた。
分析の結果、得られた難消化性デキストリンクエン酸エステルを加水分解することにより、デキストリン及びクエン酸のみが確認された。それらの含有量は、下記表2の通りであった。
Figure 2006101806
*難消化性デキストリン中のグルコース重合度を、10(分子量:1650)とした。
上記の分析結果より、難消化性デキストリンクエン酸エステルは、難消化性デキストリンとクエン酸とからなる化合物であることが確認され、難消化性デキストリン1分子あたり、平均約1.44分子のクエン酸が結合していることが確認された。
実施例3(カルボキシル基含有グルコースポリマーの鉄塩の調製)
塩化第二鉄16gをイオン交換水に溶解した後、カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社製 IRC-76)に通液し、カチオン交換樹脂に鉄イオンを置換し、十分にイオン交換水で洗浄した後、実施例2で調製した難消化性デキストリンクエン酸エステル1gを通液した。得られた溶液を透析膜にて脱塩した後、凍結乾燥機にて粉末化し、難消化性デキストリンクエン酸エステルの鉄塩を得た。原子吸光度計により分析した結果、難消化性デキストリンクエン酸エステルの鉄塩の鉄イオン量は、試料100gあたり387mgであった。
実施例4(カルボキシル基含有グルコースポリマーのマグネシウム塩の調製)
実施例2で調製した難消化性デキストリンクエン酸エステル10gをイオン交換水100mlに溶解し、水酸化マグネシウム 440mgを少しずつ添加し、室温にて15時間攪拌を保持した。pH6〜7付近を確認した後、0.45μフィルターにて濾過し、透析膜にて脱塩し、凍結乾燥機にて粉末化し、難消化性デキストリンクエン酸エステルのマグネシウム塩を得た。得られたマグネシウム塩を原子吸光度計により分析した結果、難消化性デキストリンクエン酸エステルのマグネシウム塩のマグネシウムイオン量は、試料100gあたり1.28gであった
実施例5(カルボキシル基含有グルコースポリマーの亜鉛塩の調製)
実施例2で調製した難消化性デキストリンクエン酸エステル10gをイオン交換水100mlに溶解し、水酸化亜鉛 750mgを少しずつ添加し、室温にて15時間攪拌を保持した。pH6〜7付近を確認した後、0.45μフィルターにて濾過し、透析膜にて脱塩し、凍結乾燥機にて粉末化し、難消化性デキストリンクエン酸エステルの亜鉛塩を得た。得られた亜鉛塩を原子吸光度計により分析した結果、難消化性デキストリンクエン酸エステルの亜鉛塩の亜鉛イオン量は、試料100gあたり2.17gであった。
溶解性試験
実施例3〜5で得られた難消化性デキストリンクエン酸エステル金属塩の水に対する溶解性及び安定性について、以下の試験に基づいて評価した。
試験1
別々の50ml共栓比色管に、実施例3で製造した難消化性デキストリンクエン酸エステルの鉄塩、ピロリン酸第二鉄、又はクエン酸鉄を、それぞれ鉄イオン濃度が1mg/40mlとなるようにイオン交換水に添加し、一定時間(60秒間)攪拌し、室温で放置し、経時変化を肉眼で観察する。また、開始時と、30日後との上清中の鉄イオン濃度を原子吸光度計にて測定する。結果を表3に示す。なお、原子吸光度計により測定した上清中の鉄イオン濃度を最初に添加した試料中の鉄イオン濃度で割ることにより可溶化鉄(Fe)%を算出した。
試験2
別々の50ml共栓比色管に、実施例4で得られた難消化性デキストリンクエン酸エステルのマグネシウム塩又はクエン酸マグネシウムを、それぞれマグネシウムイオン濃度が120mg/40mlとなるようにイオン交換水に添加し、一定時間(60秒間)攪拌し、室温で120分間放置し、経時変化を肉眼で観察する。また、上清中の亜鉛イオン濃度を原子吸光度計にて測定する。結果を表4に示す。なお、原子吸光度計により測定した上清中のマグネシウムイオン濃度を最初に添加した試料中のマグネシウムイオン濃度で割ることにより可溶化マグネシウム(Mg)%を算出した。
試験3
別々の50ml共栓比色管に、実施例5で得られた難消化性デキストリンクエン酸エステルの亜鉛塩、グルコン酸亜鉛、又はクエン酸亜鉛を、それぞれ亜鉛イオン濃度が120mg/40mlとなるようにイオン交換水に添加し、一定時間(60秒間)攪拌し、室温で120分間放置し、経時変化を肉眼で観察する。また、上清中の亜鉛イオン濃度を原子吸光度計にて測定する。結果を表5に示す。なお、原子吸光度計により測定した上清中の亜鉛イオン濃度を最初に添加した試料中の亜鉛イオン濃度で割ることにより可溶化亜鉛(Zn)%を算出した。
Figure 2006101806
Figure 2006101806
Figure 2006101806
上記の試験結果より、食品への金属塩類の供給素材として利用されている従来の各種金属塩に比べ、本発明のマスキング剤を使用すると、鉄等の金属成分を効率よく水中に溶解させることができ、また、顕著な安定性が確認された。
参考例1
実施例1で調製したデキストリンクエン酸エステル10gをイオン交換水100mlに溶解し、水酸化ナトリウム 340mgを少しずつ添加し、室温にて15時間攪拌を保持した。pH6〜7付近を確認後、0.45μフィルターにて濾過し、透析膜にて脱塩し、凍結乾燥機にて粉末化し、デキストリンクエン酸エステルのナトリウム塩を得た。得られたナトリウム塩を原子吸光度計により分析した結果、ナトリウム塩のナトリウムイオン量は、試料100gあたり3.3gであった。
生分解性
本発明のマスキング剤が生分解性に優れたものであることを確認するために、以下の生分解性試験を行った。
カルボキシル基含有グルコースポリマーの金属塩として、参考例1で調製したデキストリンクエン酸エステルナトリウム塩を用い、生物化学的酸素要求量(BOD)をウインクラー・アジ化ナトリウム変法を用いて測定することにより、生分解性を評価した。
JIS K 0102に従い、20℃、5日間静置した時に消費される溶存酸素量よりBODを算出した。なお、植種液としては、尼崎市下水処理場の処理前の水を用い、溶存酸素の定量にはウインクラー・アジ化ナトリウム変法を適用した。試料0.1gを水100mlに溶解し、分析したところ、BODは、デキストリンクエン酸Na 200mg/Lであった。
この値は、比較として、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC Na)のBOD 35mg/Lに比べ、顕著に高い値であり、生物資化性に優れており、生分解性が優れていることを示している。
従って、本発明のマスキング剤は、生分解性に優れていることが考えられる。
処方例1
実施例3で調製された難消化性デキストリンクエン酸エステル鉄塩を使用して、鉄強化飲料として、以下の配合例1及び2を調製した。配合例1及び2は、それぞれ、500mlあたり、10mg又は5mgの鉄イオンを含んでいた。
Figure 2006101806
処方例2
従来より食品添加物として使用されているクエン酸鉄を使用して、鉄強化飲料として、以下の配合例3及び4を調製した。配合例3及び4は、それぞれ、500mlあたり、10mg又は5mgの鉄イオンを含んでいた。








Figure 2006101806
官能試験1
配合例1〜4について、パネル試験を行った。即ち、配合例1〜4の鉄強化飲料を、パネリスト10人に飲んでもらい、鉄臭について、以下の評価基準に基づいて評価した。結果は、各人の評価点を平均することにより、算出した。点数の大きいものほど、鉄臭のひどいことを示す。
評価基準
4:鉄臭がひどい。
3:鉄臭がやや感じられる。
2:鉄臭がほどんど感じられない。
1:鉄臭が全く感じられない。
結果を以下の表8に示す。
Figure 2006101806
上記の結果から、本発明のカルボキシル基含有グルコースポリマーをマスキング剤として使用する場合には、従来の配合量よりも、鉄、マグネシウム又は亜鉛成分の含有量を多くしても、金属成分に基づく厭味を殆ど感じることがない。

Claims (14)

  1. 多価カルボン酸とグルコースポリマーとのエステル化により形成されたカルボキシル基含有グルコースポリマーを含有することを特徴とする、鉄、マグネシウム又は亜鉛成分に対する食品用マスキング剤。
  2. 前記グルコースポリマーが、酸化澱粉、澱粉分解物及び還元澱粉分解物からなる群から選ばれる請求項1に記載のマスキング剤。
  3. 前記グルコースポリマーの平均重合度が、4〜123である請求項1に記載のマスキング剤。
  4. 前記平均重合度が、4〜18である請求項3に記載のマスキング剤。
  5. 前記グルコースポリマーが、難消化性澱粉分解物又は還元難消化性澱粉分解物である請求項2記載のマスキング剤。
  6. 前記多価カルボン酸が、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸及び酒石酸からなる群から選ばれる請求項2記載のマスキング剤。
  7. 前記グルコースポリマーを構成するグルコース単位数をM、末端グルコース環の総数をZとし、多価カルボン酸の酸残基数をNとした場合に、該グルコースポリマー1分子あたりの多価カルボン酸の分子数が、1/(N-1)〜(3M+Z)個である請求項1記載のマスキング剤。
  8. グルコースポリマーと多価カルボン酸とをエステル化してカルボキシル基を有するグルコースポリマーを調製することを特徴とする、鉄、マグネシウム又は亜鉛成分に対するマスキング剤の製造方法。
  9. 前記グルコースポリマーが、酸化澱粉、澱粉分解物及び還元澱粉分解物からなる群から選ばれる請求項8記載の方法。
  10. 前記グルコースポリマーの平均重合度が、4〜123である請求項8に記載の方法。
  11. 前記平均重合度が、4〜18である請求項10に記載の方法。
  12. 前記グルコースポリマーが、難消化性澱粉分解物又は還元難消化性澱粉分解物である請求項8に記載の方法。
  13. 前記多価カルボン酸が、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸及び酒石酸からなる群から選ばれる請求項8記載の方法。
  14. 前記グルコースポリマーを構成するグルコース単位数をM、末端グルコース環の総数をZとし、多価カルボン酸の酸残基数をNとする場合、前記グルコースポリマー1分子あたりの多価カルボン酸の分子数が、1/(N-1)〜(3M+Z)個である、請求項8記載の方法。
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