JP2006097148A - 生分解性を有する芯鞘型複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着強力が高く、表面の風合いがよく、かつ、熱接着加工性に優れた、生分解性を有する芯鞘型複合繊維を提供する。
【解決手段】鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、鞘部ポリマの融点と芯部ポリマの融点に20〜80℃の差があり、かつ芯部ポリマの融点分布および鞘部ポリマの融点分布がそれぞれ重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とする芯鞘型複合繊維。
【選択図】図1
【解決手段】鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、鞘部ポリマの融点と芯部ポリマの融点に20〜80℃の差があり、かつ芯部ポリマの融点分布および鞘部ポリマの融点分布がそれぞれ重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とする芯鞘型複合繊維。
【選択図】図1
Description
本発明は、微生物による生分解性を有し、機械的強度と寸法安定性を有し、かつ柔軟性が高く、表面風合いに優れており、不織布加工性にも優れた、不織布を得るに最適な生分解性を有する芯鞘型複合繊維に関するものである。さらに詳しくは、従来熱接着性に劣っていた生分解性熱接着繊維に比べ、熱接着性や工程安定性を向上させることが可能な生分解性を有する芯鞘型複合繊維に関するものである。
従来、おむつ、お尻拭き、生理用ナプキン等の衛生資材や、ワイピングクロス、ウエットティッシュ等の生活資材や、土木、農業、漁業といった産業資材や、自動車用の内装材や、カーペットなどにポリエステルや、ポリアミド、ポリオレフィン等の合成繊維が用いられている。これらの繊維は使用後に自然界に放置しても分解されないため、環境に悪影響を与えることが懸念されている。そこで、埋め立てによる処分等が行われて入れるが、埋め立てでは微生物による分解に長時間を要するので、環境面での改善が地球レベルで問題視されている。
そこで、熱可塑性の生分解性ポリマで芯鞘型熱接着原綿を作成することが検討されている。例えば特許文献1では、熱可塑性の生分解繊維として、芯部または鞘部に融点の異なる生分解性ポリマを用いた芯鞘型原綿が提案されている。また、特許文献2には、芯部に高融点ポリマとしてLポリ乳酸を、鞘部にLポリ乳酸とDポリ乳酸の共重合体を用いた生分解性複合原綿が提案されている。また、特許文献3では、芯部に高融点ポリマを、鞘部に低融点ポリマを配置し、圧接面積率を規定した生分解性複合原綿が提案されている。また、特許文献4では、芯部に高融点ポリマとしての脂肪族ポリエステルを、鞘部の低融点ポリマとしての脂肪族ポリエステルを配置した生分解性複合原綿が提案されている。
特開平7−133511号公報
特許第3355026号公報
特許第3264720号公報
特開平8−260320号公報
しかしながら、生分解性熱可塑性ポリマは、その特徴として生分解を受けやすいことから、分子量の分布等にばらつきが見られ、融点分布が幅広く存在することとなる。例えば、特許文献1では、芯部に平均分子量8万のポリ乳酸を、鞘部に平均分子量5万にε―カプロラクトンの共重合体を配置し、特許文献2では、芯部にポリ乳酸を、鞘部にLポリ乳酸とDポリ乳酸の共重合体を用いている。特許文献3では芯部にポリブチレンサクシネートを、鞘部にポリエチレンサクシネートを配置している。特許文献4でも芯部にポリブチレンサクシネートまたはその共重合体を、鞘部にポリエチレンサクシネートまたはその共重合体を配置している。
しかし、上記ポリマをそれぞれ熱接着原綿として利用した際に、芯部に高融点ポリマを配置し、鞘部に低融点ポリマを配置したときに、特許文献1や特許文献2では、鞘部ポリマの融点範囲が幅広いので不織布の熱接着加工時に鞘部が溶けきれない接着不良をおこす。また、接着性を上げるために温度を上げると、鞘部ポリマが溶けすぎて水状になり“たれ”が発生するので、接着不良と表面風合いの低下も起こる。さらに特許文献3や特許文献4では、鞘部ポリマの融点分布と芯部ポリマの融点分布における温度が重なると、熱接着時に、鞘部ばかりか芯部も溶け出し、接着不良が起こる。
以上のことから、融点分布が広い生分解性ポリマを用いると、熱接着原綿の加工性に著しい不具合を起こすことになるし、融点分布が狭い生分解性ポリマでも、芯部ポリマと鞘部ポリマの融点分布における温度が近すぎたり重なったりすると、同じく加工性に著しい不具合を起こすことになる。さらに、加工性に劣った生分解性熱接着原綿からなる不織布は、接着強力に劣り、また表面風合いも劣ることとなる。
本発明の課題は、このような事情のもとで、接着強力が高く、表面の風合いがよく、かつ、熱接着加工性に優れた、生分解性を有する芯鞘型複合繊維を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る芯鞘型複合繊維は、鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、鞘部ポリマの融点が芯部ポリマの融点よりも20〜80℃低く、かつ鞘部ポリマの融点分布が重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とするものからなる。
また、本発明に係る芯鞘型複合繊維は、鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、芯部ポリマの融点が鞘部ポリマの融点よりも20〜80℃高く、かつ芯部ポリマの融点分布が重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とするものからなる。
さらに、本発明に係る芯鞘型複合繊維は、鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、鞘部ポリマの融点と芯部ポリマの融点に20〜80℃の差があり、かつ芯部ポリマの融点分布および鞘部ポリマの融点分布がそれぞれ重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とするものからなる。
つまり、芯鞘型の熱接着繊維において、芯部ポリマと鞘部ポリマの融点に所定値以上所定値以下の温度差があり、かつ、この条件下で融点の温度分布が狭いポリマ用いると芯部ポリマと鞘部ポリマの融点が重ならないことから、安定した熱接着加工ができ、かつ風合いに優れた不織布が得られるようにしたものである。
なお、ポリマ融点とは融点分布の中で、ポリマが軟化するピークに達した温度をいう。また融点分布とは、ポリマの中で融点開始温度から融点終了温度までの範囲とする。
上記のような本発明に係る生分解性を有する芯鞘型複合繊維においては、鞘部ポリマの融点終了温度が、芯部ポリマの融点開始温度よりも10〜80℃低いことが好ましい。重量90%以上において±10℃と融点の温度分布が狭いポリマを用い、かつ、鞘部ポリマの融点終了温度が、芯部ポリマの融点開始温度と差があるようにすることで、芯部と鞘部のポリマ融点が重ならずより安定した熱接着加工ができ、かつ風合いに優れた不織布が提供される。
また、鞘部または芯部の少なくとも1成分のポリマの分子量が25万〜35万であることが好ましい。分子量が平均して25万〜35万であることによって、安定したポリマの融点分布が提供され、それによって、より安定した熱接着加工ができ、かつ風合いに優れた不織布が提供される。
また、本発明に係る芯鞘型複合繊維においては、生分解性ポリマが脂肪族ポリエステルまたは脂肪族ポリエステルアミド、あるいは、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルアミドであることが好ましい。生分解性ポリマを用いて繊維化する際に、このような熱安定性に優れたポリマを用いることで融点分布が狭くなり、より安定した熱接着加工ができ、かつ風合いに優れた不織布が提供される。
さらに、本発明に係る芯鞘型複合繊維においては、芯部が多数の島構造でかつ、鞘部が海構造であることが好ましい。つまり、本発明に係る複合繊維は、同心円型の芯鞘繊維だけでなく、複数の島部を有する海島構造繊維でも、風合いに優れた不織布を提供することができる。
このように本発明に係る芯鞘型複合繊維によれば、熱接着加工性に優れ、表面風合いに優れた不織布を容易に得ることができる、生分解性ポリマを用いた熱接着性を有する芯鞘型複合繊維を提供することができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、詳細に説明する。
本発明者らは、前述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、融点分布の範囲を限定した生分解性ポリマを選択することで、熱接着加工時の接着不良を抑え、かつ接着強力が高く、表面風合いに優れた生分解性繊維を提供できることを見出した。つまり、生分解性ポリマを用いた複合繊維において、鞘部の融点温度と芯部の融点温度とを望ましい差と望ましい範囲とに保ち、かつ、少なくとも一方のポリマに融点の温度分布を所定の範囲内に限定したポリマを用いることである。
本発明者らは、前述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、融点分布の範囲を限定した生分解性ポリマを選択することで、熱接着加工時の接着不良を抑え、かつ接着強力が高く、表面風合いに優れた生分解性繊維を提供できることを見出した。つまり、生分解性ポリマを用いた複合繊維において、鞘部の融点温度と芯部の融点温度とを望ましい差と望ましい範囲とに保ち、かつ、少なくとも一方のポリマに融点の温度分布を所定の範囲内に限定したポリマを用いることである。
本発明に用いられる生分解性を有するポリマとしては、以下のようなポリマを使用できる。まず、脂肪族ポリエステル系ポリマを使用でき、例えば、ポリ乳酸、ポリ(α−ヒドロキシ酸)からなるポリマや、これらの共重合体などが挙げられる。また、グリコールとジカルボン酸の縮重合体ポリマからなるものとして、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、コポリエステルまたはこれらの共重合体などが挙げられる。さらに、前記脂肪族エステルと脂肪族ポリアミドとの共縮重合体ポリマであるポリエステルアミド系共重合体ポリマを使用でき、例えばポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリウンデカナミド(ナイロン1,1)、ポリラウロラクタミアミド(ナイロン12)または、これらの共重合体が挙げられる。また、芳香族ポリエステルで生分解性を有するものでもよく、さらにその共重合体、例えば芳香族ポリエステルアミド等でもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネートの共重合体などが挙げられる。本発明においては、上述したポリマ以外であっても、それが生分解性を有していれば用いることができる。さらに必要に応じて、ポリマへの各種添加剤、例えば酸化防止剤や加水分解防止剤、光安定剤、熱安定剤、耐候剤、顔料、滑剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
本発明における生分解性を有する複合繊維は、上記のようなポリマの中から選択された1成分以上のポリマが用いられ、ポリマ間の融点差が20℃以上80℃以下であるポリマから構成されるもので、鞘部のポリマ融点が芯部のポリマよりも融点が低くなるように配置されたものである。
この芯鞘型複合繊維において、不織布を作製する場合、例えば、鞘部の融点よりも若干高温のエアー等を吹き付けることにより、芯部の形態を保ちながら、鞘部が軟化した際に、隣接する同じ複合繊維や他の繊維と接着させることができる。その後、雰囲気温度が下がることにより、鞘部が固化し同じ複合繊維や他の繊維と固定されることで熱接着繊維が得られる。
鞘部のポリマ、芯部のポリマ間の融点差が20℃未満であると、熱接着加工時において、接着工程全体を通して、温度を狭い温度分布の中で制御する必要があり、目標とする温度よりも低融点だと、鞘部ポリマの軟化が起こりにくいので、接着不足となる。一方、目標とする温度よりも高すぎると、鞘部ポリマばかりか芯部ポリマまでも軟化し、その結果、繊維全体が軟化し不織布全体の構造が、保てなくなる。そこで、鞘部ポリマと芯部ポリマの融点の温度差を、20℃以上とし、良好な熱接着加工性を保ち、容易に目標とする風合いに優れた不織布が得られるようにしたものである。
一方、鞘部ポリマと芯部ポリマの融点の温度差が80℃を越えると、複合紡糸する際に、芯部ポリマの融点まで温度を上げたときに、低融点の鞘部ポリマが熱分解を起こし、繊維化できない不具合が起こるおそれがある。したがって、上記融点の温度差を80℃以下としたものである。
また、生分解性を有するポリマが、微生物による捕食を受けるために、ポリマの分子量にバラツキなどがあり、融点が30℃以上の広範囲にわたることもある。特に鞘部ポリマの融点分布が広範囲にわたると、接着工程の温度を高めに設定することとなり、その結果、融点の低いポリマ部分が軟化しすぎて、ポリマが低粘度化し液だれする。その結果、隣接する繊維との接着不良が起こり、好ましくない。また、得られる不織布も風合いに劣るものとなる。
そこで、本発明では、生分解性ポリマの融点分布が、ポリマ重量の90%以上において±10℃の範囲内に集中していると、熱接着加工時において、低粘度化し液だれすることなく安定して隣接する繊維と接着することができ、また芯部ポリマと20℃〜80℃の温度差があるので、芯部ポリマも軟化することなく良好な接着繊維を提供することができることを見出した。ポリマ重量の90%以上において±10℃の範囲内に集中しているとさらに好ましい。
なお、本発明においては、鞘部ポリマと芯部ポリマの融点温度差が30℃以上60℃以下であることが、複合紡糸の際の安定性や、不織布の熱接着性工程での安定性、さらには接着強力や表面風合いの点でより好ましい。
不織布形成、固定のための熱接着処理としては、公知の方法を用いることができる。例えば、不織布に熱風を上下吹き付ける方法や、加熱したロール間に不織布を通す方法、超音波接着する方法などを用いることができる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって、何ら限定されるものではない。下記の実施例において、各特性値の測定は次の方法により実施した。
(1)融点(℃)
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線においてピークを与える温度を融点とした。
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線においてピークを与える温度を融点とした。
(2)融点分布
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において、定線よりも上のカーブもつ範囲を融点分布とした。
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において、定線よりも上のカーブもつ範囲を融点分布とした。
(3)融点開始温度
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において、定線よりも右上がりのカーブもつ最初の部分を融点開始点とした。
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において、定線よりも右上がりのカーブもつ最初の部分を融点開始点とした。
(4)融点終了温度
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において、定線よりも右下がりのカーブもつ最後の部分を融点終了点とした。
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度は10℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において、定線よりも右下がりのカーブもつ最後の部分を融点終了点とした。
(5)不織布の接着強力(不織布のKGSM引張強力(kg))
JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定した。すなわち試験長が10cm、試験幅が5cmの試験片10点を作成し、各試験片毎に不織布の縦方向について、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンTMI−RTM100型)を用い、引張速度10cm/分で伸長し、得られた切断時加重(kg)の平均値を目付100g/m2 当たりに換算してKGSM引張試験強力(kg)とした。
JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定した。すなわち試験長が10cm、試験幅が5cmの試験片10点を作成し、各試験片毎に不織布の縦方向について、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンTMI−RTM100型)を用い、引張速度10cm/分で伸長し、得られた切断時加重(kg)の平均値を目付100g/m2 当たりに換算してKGSM引張試験強力(kg)とした。
(6)面収縮率
一定の温度に加熱されたエアーを、10m/分の風速で20分間吹き付けて得られた不織布について、初期の面積を100%としたときの収縮した面積の割合として算出した。
一定の温度に加熱されたエアーを、10m/分の風速で20分間吹き付けて得られた不織布について、初期の面積を100%としたときの収縮した面積の割合として算出した。
(7)厚み
ピーコック厚み計を用いて測定した。
ピーコック厚み計を用いて測定した。
実施例1
ポリマ融点が114℃で、ポリマの融点分布の重量90%において114℃±5℃の範囲にある、メルトフローレートが10g/分(190℃)のポリブチレンサクシネートを鞘部ポリマとし、ポリマ融点が165℃で、融点分布が重量90%において165℃±10℃の範囲にある、メルトフローレートが20g/分(210℃)のL−ポリ乳酸を芯部ポリマとし、これら両ポリマを溶融し、ホール径0.5mmの複合紡糸孔470ホールからなる紡糸口金を通して紡糸温度240℃にてかつ複合比を(重量比)芯部60:鞘部40の割合で同心芯鞘型に溶融複合紡糸し、口金より紡糸された繊維を20℃の空気を20m/分の風速で流して冷却した後、油剤を付与し、巻取速度1000m/分で一旦、缶に納めることで未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を3.8倍の延伸倍率にて、温度80℃の加熱ロールを用いて1段延伸を施し、得られた延伸糸にスタフイングボックスを用いて15個/25mmの機械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、短繊維繊度が2.0dTexの同心芯鞘型複合短繊維を得た。
ポリマ融点が114℃で、ポリマの融点分布の重量90%において114℃±5℃の範囲にある、メルトフローレートが10g/分(190℃)のポリブチレンサクシネートを鞘部ポリマとし、ポリマ融点が165℃で、融点分布が重量90%において165℃±10℃の範囲にある、メルトフローレートが20g/分(210℃)のL−ポリ乳酸を芯部ポリマとし、これら両ポリマを溶融し、ホール径0.5mmの複合紡糸孔470ホールからなる紡糸口金を通して紡糸温度240℃にてかつ複合比を(重量比)芯部60:鞘部40の割合で同心芯鞘型に溶融複合紡糸し、口金より紡糸された繊維を20℃の空気を20m/分の風速で流して冷却した後、油剤を付与し、巻取速度1000m/分で一旦、缶に納めることで未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を3.8倍の延伸倍率にて、温度80℃の加熱ロールを用いて1段延伸を施し、得られた延伸糸にスタフイングボックスを用いて15個/25mmの機械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、短繊維繊度が2.0dTexの同心芯鞘型複合短繊維を得た。
図1に示すように、得られた芯鞘型複合短繊維1は、鞘部ポリマ2と芯部ポリマ3からなる。また、該繊維1の熱分析データを示した図2において、鞘部ポリマ2のポリマ融点4が114℃で、重量90%における融点分布が114℃±3℃で、鞘部ポリマ2の融点終了点5が118℃である。芯部ポリマ3のポリマ融点6が165℃で、重量90%における融点分布が165℃±8℃で、芯部ポリマ3の融点開始点7が145℃である。芯部ポリマの融点4と鞘部ポリマの融点6の差は51℃で、芯部ポリマ融点開始温度7と鞘部ポリマの融点終了温度5の差が27℃ある。
得られた複合短繊維は、引張強度が3.8g/dTexで実用的に十分な機械的強度を有するものであった。また、この短繊維を3ヶ月間土中に埋没した後に、取り出して観察したところ、繊維としての形態は消失しており、優れた生分解性を有することが認められた。
上記のようにして得られた短繊維を繊維として、改繊機を用いてカーデイングして得られた目付で100g/m2 、厚み1.1mmのカードウェブを温度120℃に加熱されたエアーを10m/分の風速で吹き付けることで、不織布を得た。
得られた不織布はKGSM引張強度が縦方向で9.0kg/cm、横方向6.8kg/cmで厚み1.0mmと機械的強度と寸法安定性に優れたものであった。また、得られた不織布の収縮率は10%であった。また、この不織布を3ヶ月間土中に埋没した後に、取り出して観察したところ、繊維としての形態は消失しており、優れた生分解性を有することが認められた。
比較例1
融点が135℃で、融点分布が重量90%において135℃±25℃の範囲にある、メルトフローレートが25g/分(210℃)のDポリ乳酸を8%mol含むLポリ乳酸を鞘部のポリマとし、融点が165℃で、融点分布が重量90%において165℃±10℃の範囲にある、メルトフローレートが20g/分(210℃)のLポリ乳酸を芯部ポリマとし、これら両ポリマを溶融し、ホール径0.5mmの複合紡糸孔300ホールからなる紡糸口金を通して紡糸温度240℃にてかつ複合比を(重量比)芯部60:鞘部40の割合で同心芯鞘型に溶融複合紡糸した。口金より紡糸された繊維を20℃の空気を20m/分の流れで冷却した後、油剤を付与し、巻取速度1000m/分で一旦、缶に納めることで未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を3.8倍の延伸倍率にて、温度80℃の加熱ロールを用いて1段延伸を施し、得られた延伸糸にスタフイングボックスを用いて15個/25mmの機械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、短繊維繊度が1.8dTexの同心芯鞘型複合短繊維を得た。
融点が135℃で、融点分布が重量90%において135℃±25℃の範囲にある、メルトフローレートが25g/分(210℃)のDポリ乳酸を8%mol含むLポリ乳酸を鞘部のポリマとし、融点が165℃で、融点分布が重量90%において165℃±10℃の範囲にある、メルトフローレートが20g/分(210℃)のLポリ乳酸を芯部ポリマとし、これら両ポリマを溶融し、ホール径0.5mmの複合紡糸孔300ホールからなる紡糸口金を通して紡糸温度240℃にてかつ複合比を(重量比)芯部60:鞘部40の割合で同心芯鞘型に溶融複合紡糸した。口金より紡糸された繊維を20℃の空気を20m/分の流れで冷却した後、油剤を付与し、巻取速度1000m/分で一旦、缶に納めることで未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を3.8倍の延伸倍率にて、温度80℃の加熱ロールを用いて1段延伸を施し、得られた延伸糸にスタフイングボックスを用いて15個/25mmの機械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、短繊維繊度が1.8dTexの同心芯鞘型複合短繊維を得た。
図3に示すように、得られた繊維8は、鞘部ポリマ9と芯部ポリマ10からなる。また、該繊維8の熱分析データを示した図4において、鞘部ポリマ9のポリマ融点11が135℃で、重量90%における融点分布が130℃±20℃で、鞘部ポリマ8の融点終了点12が149℃である。芯部ポリマ10のポリマ融点13が165℃で、重量90%における融点分布が165℃±8℃で、芯部ポリマ10の融点開始点14が150℃である。芯部ポリマの融点13と鞘部ポリマの融点11の差は30℃で、芯部ポリマ融点開始温度14と鞘部ポリマの融点終了温度12の差が1℃である。
得られた複合短繊維は、引張強度が3.7g/dTexで実用的に十分な機械的強度を有するものであった。また、この短繊維を3ヶ月間土中に埋没した後に、取り出して観察したところ、繊維としての形態は消失しており、優れた生分解性を有することが認められた。
上記のようにして得られた短繊維を繊維として、改繊機を用いてカーデイングして得られた目付で100g/m2 、厚み1.1mmのカードウェブを温度140℃に加熱されたエアーを10m/分の風速で吹き付けた。
しかしながら、該芯鞘繊維の鞘部ポリマの融点幅が広いため、十分に鞘部が軟化せず接着不良が起こり、得られた不織布はKGSM引張強度が縦方向で2.0kg/cm、横方向1.6kg/cmで、厚み1.1mmであり、機械的強度と寸法安定性に劣るものであった。
次に、上記のようにして得られたカードウェブを温度160度に加熱されたエアーを10m/分の風速で吹き付けた。
しかしながら、該芯鞘繊維の鞘部は軟化したが、鞘部の低温領域のポリマが液だれを起こした。また芯部の融点まで達していることから、鞘部も軟化がおこり、得られた不織布は厚み0.4mmと形状を維持できないものであった。また、不織布の収縮率は50%もあり、不織布形成において硬くなるばかりか、不具合となる。
このように、本発明に係る生分解性複合繊維は、鞘部ポリマ、芯部ポリマの融点差を所定の一定範囲で保ち、融点分布の範囲を限定したポリマからなるもので、生分解性を有しつつ、機械的強度と寸法安定性が優れ、また表面風合いに優れ、柔軟性に富むものであり、しかも、熱接着加工性に優れた不織布を得るのに好適なものである。
さらに、上記した不織布は、おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料やワイピングクロス、おしぼり等の生活資材や、土木、農業、漁業といった産業資材や、自動車用の内装材などの素材に好適である。しかも、上記繊維から得られる不織布は、使用後に土中など埋没した際に、土中の微生物による分解を受け最終的には、水と二酸化炭素に分解され環境面からも有益である。さらには、堆肥としても利用可能であり資源の再利用の点からも有益な素材である。
1、8 芯鞘型複合繊維
2、9 鞘部ポリマ
3、10 芯部ポリマ
4、11 鞘部ポリマ融点
5、12 鞘部ポリマ融点終了点
6、13 芯部ポリマ融点
7、14 芯部ポリマ融点開始点
2、9 鞘部ポリマ
3、10 芯部ポリマ
4、11 鞘部ポリマ融点
5、12 鞘部ポリマ融点終了点
6、13 芯部ポリマ融点
7、14 芯部ポリマ融点開始点
Claims (7)
- 鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、鞘部ポリマの融点が芯部ポリマの融点よりも20〜80℃低く、かつ鞘部ポリマの融点分布が重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とする芯鞘型複合繊維。
- 鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、芯部ポリマの融点が鞘部ポリマの融点よりも20〜80℃高く、かつ芯部ポリマの融点分布が重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とする芯鞘型複合繊維。
- 鞘部または芯部の少なくとも1成分に生分解性ポリマを用いてなる芯鞘型複合繊維であって、鞘部ポリマの融点と芯部ポリマの融点に20〜80℃の差があり、かつ芯部ポリマの融点分布および鞘部ポリマの融点分布がそれぞれ重量90%以上において±10℃の範囲内にあることを特徴とする芯鞘型複合繊維。
- 鞘部ポリマの融点終了温度が、芯部ポリマの融点開始温度よりも10〜80℃低いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の芯鞘型複合繊維。
- 鞘部または芯部の少なくとも1成分のポリマの分子量が25万〜35万であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘型複合繊維。
- 生分解性ポリマが脂肪族ポリエステルまたは脂肪族ポリエステルアミド、あるいは、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルアミドであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の芯鞘型複合繊維。
- 芯部が多数の島構造でかつ、鞘部が海構造であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の芯鞘型複合繊維。
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