JP4650206B2 - 生分解性複合繊維、および、これを用いた繊維構造物と吸収性物品 - Google Patents

生分解性複合繊維、および、これを用いた繊維構造物と吸収性物品 Download PDF

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Description

本発明は、生分解性複合繊維、および、これを用いた繊維構造物と吸収性物品に関する。
生分解性繊維は、土壌中に埋めることで、微生物によって短期間に二酸化炭素と水等とに分解されて、廃棄処理される際の環境に対する負荷が少ない。なかでも、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等の生分解性の脂肪族ポリエステル共重合体からなる生分解性繊維は、汎用の合成繊維に近い繊維物性を有することから、一部の用途向けに製品化され始めている。最近では、良好な熱融着性能を付与するために、生分解性の複合繊維の開発が進められている。
異なる生分解性樹脂を用いて複合繊維を製造した場合、紡糸工程において結晶化速度に差のある生分解性樹脂同士を使用すると、結晶化速度の速い生分解性樹脂が結晶化する際に発生する熱で、結晶化速度の遅い生分解性樹脂の冷却を阻害する。したがって、結晶化速度の遅い生分解性樹脂が繊維表面部分を大きく占める場合には、紡糸工程で複合繊維同士の膠着が発生し、曳糸性や開繊性が悪化する。その結果、前記複合繊維から得られる繊維構造物の風合いに悪影響を及ぼすという問題がある。
融点102℃のポリエチレンサクシネートと融点118℃のポリブチレンサクシネートとからなる複合繊維が提案されている(例えば、特開平6−207320号公報(特許文献1)、特開平6−207324号公報(特許文献2)参照)。この複合繊維は、前記脂肪族ポリエステル共重合体の融点差が小さいことから、繊維形成成分であるポリブチレンサクシネートを溶融せずに、接着成分であるポリエチレンサクシネートを充分に熱溶融させることができず、その結果、接着性が不十分になり、また、ポリエチレンサクシネートが低い引張強度を示すことから、充分な強度を有する生分解性複合繊維や該複合繊維を用いて更に繊維構造物を得ることが困難である。
また、融点の異なる2種類のポリ乳酸系重合体からなる熱融着性複合繊維が提案されている(例えば、特開平7−310236号公報(特許文献3)参照)。この複合繊維は、優れた熱接着性を有するものの、感触が硬く、風合いと柔軟性に乏しかった。
さらに、30℃以上の融点差のある2種類の脂肪族ポリエステル共重合体からなり、両者が共通のセグメント鎖を持った複合繊維も提案されている(例えば、特開平9−157952号公報(特許文献4)参照)。具体的には、ポリカプロラクトンが約5%ブロック共重合されたポリ乳酸(融点169℃)と、ポリ乳酸が約5%ブロック共重合されたポリカプロラクトン(融点58℃)とからなる複合繊維が提案されている。前記ポリカプロラクトンが前記ポリ乳酸に比べて100℃以上低い融点を有するので、この複合繊維は優れた熱接着性を有する。しかし、この複合繊維は、耐熱性に乏しく、更に膠着し易いという欠点を有していることから、良好な品質の繊維構造物が得られにくいという問題がある。また、共重合させるポリ乳酸の量を増やし、前記ポリカプロラクトンの融点を上昇させることで、耐熱性は増すものの、得られる複合繊維の感触が硬くなるといった問題がある。そのため、得られる繊維構造物の風合い、柔軟性を悪化するため実用的ではなかった。
また本出願人らは、紡糸工程における繊維膠着を、第2成分に長鎖分岐構造を持つ脂肪族芳香族ポリエステル共重合体を使用することにより改善する方法、または特定の生分解性樹脂に特定の芳香族ポリエステルを添加して複合紡糸することによって改善する方法を見出し、提案している(例えば、特開2004−3073号公報(特許文献5)、特開2005−89937号公報(特許文献6)参照)。
特開平6−207320号公報 特開平6−207324号公報 特開平7−310236号公報 特開平9−157952号公報 特開2004−3073号公報 特開2005−89937号公報
上記の状況の下、例えば、紡糸工程において複合繊維同士の膠着がなく、高い引張強度を持ち、好ましくはさらに風合い、柔軟性および耐熱性等に優れた生分解性複合繊維、および、これを用いた繊維構造物や吸収性物品が求められている。
本発明者等は、繊維の表面側の少なくとも一部を構成する生分解性成分の半結晶化時間が、そのほかの生分解性成分の半結晶化時間に比べて長い生分解性複合繊維の繊維としての好ましい特性を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
本発明は以下のような、生分解性複合繊維、および、これを用いた繊維構造物や吸収性物品等を提供する。
[1]生分解性の第1成分と第2成分とを含む生分解性複合繊維であって、(a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、(b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(d)複合繊維の紡糸工程で、複合繊維同士の膠着が発生しない程度に、第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも長い、生分解性複合繊維。
[2]生分解性の第1成分と第2成分とを含む生分解性複合繊維であって、(a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、(b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(d)第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも100秒以上長い、生分解性複合繊維。
[3]生分解性の第1成分と第2成分とを含む生分解性複合繊維であって、(a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、(b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(d)第2成分の85℃における半結晶化時間が180秒以上であり、第1成分の85℃における半結晶化時間が100秒以下である、生分解性複合繊維。
[4]生分解性の第1成分と第2成分とからなる生分解性複合繊維であって、(a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、(b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(d)第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも100秒以上長い、生分解性複合繊維。
[5]生分解性の第1成分と第2成分とからなる生分解性複合繊維であって、(a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、(b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(d)第2成分の85℃における半結晶化時間が180秒以上であり、第1成分の85℃における半結晶化時間が100秒以下である、生分解性複合繊維。
[6]第1成分の85℃における半結晶化時間が60秒以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の生分解性複合繊維。
[7]第1成分に含まれる脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であり、第2成分に含まれる脂肪族ポリエステルが、ポリブチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネート・アジペートである、[1]〜[6]のいずれかに記載の生分解性複合繊維。
[8]繊維成形前の第1成分と第2成分とのMFR比[(第2成分のメルトマスフローレイト)/(第1成分のメルトマスフローレイト)]が2以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の生分解性複合繊維。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の生分解性複合繊維を用いた繊維構造物。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の生分解性複合繊維の繊維接点が熱接合された不織布、ネット状物、編物および織物から選ばれる少なくとも一種の布帛で構成された繊維構造物。
[11][1]〜[8]のいずれかに記載の生分解性複合繊維を用いた吸収性物品。
[12][9]または[10]に記載の繊維構造物を用いた吸収性物品。
本明細書において、「繊維構造物」としては、例えば、不織布、ネット状物、編物、織物等が挙げられる。
本発明の好ましい態様に係る生分解性複合繊維は、例えば、紡糸工程等における複合繊維の膠着を防止できる。
また、本発明の好ましい態様では、熱処理によって高い接着力を持たせることができるので、例えば、引張強度の高い丈夫な不織布等の繊維構造物を提供することができ、高強度が求められる土木シート、フィルター等の産業資材分野に好適に用いることができる。さらに、本発明の好ましい態様の繊維構造物は、高い引張強度と良好な風合を兼ね備えており、例えば、引っ張り強度と風合とのバランスが要求される紙オムツ、生理用品等の衛生材料分野に適している。
また、本発明の好ましい態様の吸収性物品は、例えば、日常生活における温度の変化程度では収縮や膠着等が生じにくく、製品として実用性に優れている。
本発明の好ましい態様に係る生分解性複合繊維、繊維構造物、および吸収性物品等は生分解性成分を含んでいるから、それを廃棄する場合でも微生物等により完全に分解される。したがって、土壌中への埋立て等によって廃棄する際に、環境に負荷を与えない。
また、本発明の好ましい態様に係る生分解性複合繊維、繊維構造物、および吸収性物品等は、それを焼却する場合、樹脂原料に起因する有毒ガスの発生もない。また、本発明の好ましい態様に係る生分解性複合繊維、繊維構造物、および吸収性物品等は、発熱量が小さいので、高温で焼却炉を傷める等の問題が生じにくい。このように本発明の本発明の好ましい態様に係る生分解性複合繊維、繊維構造物、および吸収性物品等は、環境対応型の繊維製品に広く好適に用いることができる。
本発明の生分解性の第1成分と第2成分とを含む生分解性複合繊維であって、(a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、(b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、(d)複合繊維の紡糸工程で、複合繊維同士の膠着が発生しない程度に、第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも長い、生分解性複合繊維である。
複合繊維の紡糸工程で、複合繊維同士の膠着が発生しないようにするために、例えば、第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも100秒以上長いように設計することができ、その他の例として、第2成分の85℃における半結晶化時間が180秒以上であり、第1成分の85℃における半結晶化時間が100秒以下であるように設計することができる。
また、本発明の生分解性複合繊維では、生分解性の第1成分と生分解性の第2成分とからなる複合繊維でもよい。
1.第1成分
本発明の生分解性複合繊維に含まれる第1成分は、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステル、または該脂肪族ポリエステル共重合体を含む。
この第1成分に用いられる脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)等のポリグリコール酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)等のポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロレート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエート等を挙げることができる。
第1成分に用いられる脂肪族ポリエステル共重合体としては、例えば、前記脂肪族ポリエステルと、ポリ−3−ヒドロキシバリレートまたはポリ−4−ヒドロキシブチレートとの共重合体がある。具体的には、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ乳酸またはポリ乳酸とポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンテレフタレート・アジペートなどとの共重合体、ポリエチレンテレフタレート・グルタレート等を挙げることができる。
また、第1成分に用いられる脂肪族ポリエステル共重合体としては、グリコールとジカルボン酸との縮合重合体も用いられる。具体的には、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートおよびその共重合体等を挙げることができる。
また、第1成分に用いられる脂肪族ポリエステル共重合体としては、脂肪族ポリエステルアミド系共重合体等の前記脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリアミドとの共縮重合体も用いられる。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウロラクタミド(ナイロン12)等を挙げることができる。
第1成分に用いられる脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル共重合体のなかでも、ポリ乳酸が最も好ましく用いられる。
本発明の第1成分にポリ乳酸を使用する場合には、得られる生分解性複合繊維の引裂き強度および引張伸度をより向上させるために、特定の割合の糖アルコールおよび/または安息香酸類の混合物を配合した樹脂組成物をさらに用いることが好ましい。
上記ポリ乳酸に配合される糖アルコールとしては、糖を還元して得られる直鎖状ポリオールを用いることができ、炭素数3〜6の直鎖状ポリオールが好ましい。配合される糖アルコールの例として、具体的には、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトールおよびソルビトール等を挙げることができる。これらの中でも、ポリ乳酸の可塑化効率、糖アルコール自体の不揮発性等の点から、ソルビトールが最も好ましい。引裂き強度および引張伸度の点から、糖アルコールの配合割合は、ポリ乳酸100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1〜3重量部がさらに好ましい。
また、上記ポリ乳酸に配合される安息香酸類としては、例えば、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−アミル安息香酸、p−t−オクチル安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、アニス酸、無水安息香酸、無水o−トルイル酸、無水m−トルイル酸、無水p−トルイル酸、無水p−t−ブチル安息香酸、無水p−t−アミル安息香酸、無水p−t−オクチル安息香酸、無水o−メトキシ安息香酸、無水m−メトキシ安息香酸および無水アニス酸等が挙げられる。これらの中でも、安息香酸が最も好ましく用いられる。引裂き強度および引張伸度の点から、安息香酸類の配合割合は、ポリ乳酸100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、2〜6重量部がさらに好ましい。
第1成分には、脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリエステル共重合体以外に、例えば、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸等、これらの低級アルキル、低級アルコキシもしくはハロゲン置換体等、または、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールを含有していてもよい。第1成分における脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリエステル共重合体以外の成分は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
2.第2成分
本発明の生分解性複合繊維に含まれる第2成分は、脂肪族ポリエステル共重合体を含み、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する。第2成分は生分解性を有しない成分を含んでも良いが、生分解性を有する成分からなることが好ましい。
この第2成分に用いられる脂肪族ポリエステル共重合体としては、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート・アジペート、ポリエチレンテレフタレート・グルタレート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンテレフタレート・アジペート、ポリブチレンテレフタレート・グルタレート、ポリカプロラクトン等を挙げることができる。
これら共重合体は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンサクシネート・アジペートは、複合繊維および複合繊維を用いて得られる繊維構造物等の引張強度や風合いを向上できるので好ましい。
第2成分には、脂肪族ポリエステル共重合体以外に、例えば、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸等、これらの低級アルキル、低級アルコキシもしくはハロゲン置換体等、または、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールを含有していてもよい。第1成分における脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリエステル共重合体以外の成分は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
2.1 第2成分の好ましい態様
本発明の第2成分に用いられる脂肪族ポリエステル共重合体の好ましい態様は、脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族もしくは脂環式ジオール、および、脂肪族ジカルボン酸もしくはその誘導体とを含む脂肪族ポリエステルである。具体的には、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位0.02〜30mol%、下記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位(但し、エチレングリコール単位を除く)35〜49.99mol%、および下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位35〜49.99molを含み、かつ、数平均分子量が1万〜20万であるものが挙げられる。特にポリブチレンサクシネートなどが、このような構成を有しているのが好ましい。
(I)−O−R−CO−(式中、Rは2価の脂肪族炭化水素基)
(II)−O−R−O−(式中、Rは2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
(III)−O−R−CO−(式中、Rは直接結合または2価の脂肪族炭化水素基)
第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体は、触媒の存在下、重縮合反応により脂肪族または脂環式ジオールおよび脂肪族カルボン酸またはその誘導体を反応させて、数平均分子量1万〜20万の脂肪族ポリエステル共重合体を製造するに際して、脂肪族オキシカルボン酸を脂肪族カルボン酸またはその誘導体100molに対し、0.04〜60mol共重合させることにより製造できる。
第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体を製造する場合に、上記(I)式の脂肪族オキシカルボン酸単位に相当する脂肪族オキシカルボン酸としては、分子中に1個の水酸基とカルボン酸基を有する脂肪族化合物であれば特に限定されるものではなく、(IV)式
HO−R−COOH (IV)
(式中、Rは2価の脂肪族炭化水素基)
で表されるものをいう。
更には、(V)式、
(化1)
HO−CH−COOH
| (V)
2x+1

(式中、xは0または1〜10、好ましくは0または1〜5の整数である)
で示される脂肪族オキシカルボン酸は、重合反応性の向上が認められる点で特に好ましい。
第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体を構成する脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれでもよく、その形態は固体、液体、または水溶液であってもよい。これらの中で好ましいのは、使用時の重合速度の増大が顕著な乳酸またはグリコール酸である。これらは、30〜95%の水溶液が容易に入手できるので好ましい。これらの脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
上記(II)式の脂肪族または脂環式ジオール単位に相当するジオールは、特に限定されないが、下記式
HO−R−OH
(Rは、2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基を示す)
で表される化合物をいう。
において、好ましい2価の脂肪族炭化水素基としては例えば
−(CH
(nは2〜10の整数)
で表される脂肪族炭化水素基が挙げられる。上記式で表されるRの中でも特に好ましいのは、nが2〜6の脂肪族炭化水素基である。好ましい2価の脂環式炭化水素基としては、上記式のRが炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であり、それらの中でも特に好ましいのは、4〜6の2価の脂環式炭化水素基である。
上記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位の具体例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール等が好適に挙げられる。得られる、本発明の第2成分に好ましく用いられる脂肪族ポリエステル共重合体の物性面から、1,4−ブタンジオールであることが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
上記(III)式の脂肪族ジカルボン酸単位に相当する脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体としては、例えば、下記式
HOO−R−COH
(式中、Rは単結合または2価の脂肪族炭化水素基で表され、好ましくは、−(CH−、ただしmは0または1〜10の整数、好ましくは0または1〜6の整数)
で表されるものが挙げられる。
さらに、上記(III)式の脂肪族ジカルボン酸単位に相当する脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体として、例えば、上記式で表される脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体における炭素数1〜4の低級アルコールエステルが挙げられる。具体的には、ジメチルエステル等、またはそれらの酸無水物が挙げられる。
上記(III)式の脂肪族ジカルボン酸単位に相当する脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、およびそれらの低級アルコールエステル、無水コハク酸、無水アジピン酸、等が挙げられる。得られる共重合体の物性の面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、またはこれらの無水物、およびこれらの低級アルコールエステルが好ましく、特にはコハク酸、無水コハク酸、またはこれらの混合物が好ましい。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族もしくは脂環式ジオール、および、脂肪族ジカルボン酸もしくはその誘導体とを含む、第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体の製造は、公知技術で行うことができる。この脂肪族ポリエステルを製造する際の重合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体を製造する際の脂肪族または脂環式ジオールの使用量は、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体の使用量と実質的に等molであるが、エステル化中に、脂肪族または脂環式ジオールは留出することが一般的であるから、1〜20mol%過剰に用いられることが好ましい。この脂肪族ポリエステル共重合体を製造する際に、添加される脂肪族オキシカルボン酸が少なすぎると添加効果が現れず、多すぎると結晶性が失われ成形上好ましくなく、耐熱性、機械特性などが不十分になる。また、この脂肪族ポリエステル共重合体を製造する際の脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体100molに対して、好ましくは0.04〜60mol、より好ましくは1.0〜40mol、特に好ましくは2〜20molである。
第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体を製造する際の、脂肪族オキシカルボン酸の添加時期・方法は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、例えば、(1)あらかじめ触媒を脂肪族オキシカルボン酸溶液に溶解させた状態で添加する方法、(2)原料仕込み時触媒を添加すると同時に添加する方法、などが挙げられる。
本発明の第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体は、重合触媒の存在下で製造されることが好ましい。触媒としては、ゲルマニウム化合物が好適である。ゲルマニウム化合物は、特に制限されるものではなく、酸化ゲルマニウム、テトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物、塩化ゲルマニウムなどの無機ゲルマニウム化合物が挙げられる。価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特には、酸化ゲルマニウムが好適である。また、上記触媒と他の触媒の併用も可能である。
触媒の使用量は、使用するモノマー量に対して0.001〜3wt%、より好ましくは0.005〜1.5wt%である。触媒の添加時期は、重縮合以前であれば特に限定されないが、原料仕込み時に添加しておいてよく、減圧開始時に添加してもよい。原料仕込み時に乳酸、グリコール酸などの脂肪族オキシカルボン酸と同時に添加するか、または、脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して添加する方法が好ましく、特には、触媒の保存性が良好となる点で脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して添加する方法が好ましい。
また、第2成分として好ましい態様の上記脂肪族ポリエステル共重合体の数平均分子量は10,000〜200,000、好ましくは30,000〜200,000である。
また、この脂肪族ポリエステル共重合体に、他の共重合成分を導入することができる。他の共重合成分としては、たとえば、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸類、ビスフェノールA等の芳香族ジオール類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、またはトリメチロールプロパン、グリセリンなどの多価アルコール、多価カルボン酸またはその無水物、リンゴ酸などの多価オキシカルボン酸等が挙げられる。
3.第1成分と第2成分との組み合わせ
第1成分と第2成分との組み合わせは、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含む第1成分と、脂肪族ポリエステル共重合体を含む第2成分であれば、その組み合わせは特に限定されない。具体的には、上記列挙した第1成分の具体例と第2成分の具体例を適宜組み合わせて用いることができる。これらの組み合わせの中でも、好ましい組み合わせ(第1成分/第2成分)は、ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート,ポリエチレンテレフタレート・グレタレート/ポリブチレンサクシネート,ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート・アジペート,ポリ乳酸/ポリエチレンサクシネート,ポリエチレンテレフタレート・グルタレート/ポリエチレンサクシネートであり、特に好ましい組み合わせ(第1成分/第2成分)はポリ乳酸/ポリブチレンサクシネートまたはポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート・アジペートである。
4.添加剤
本発明の生分解性複合繊維の第1成分、第2成分に好適に用いられる脂肪族ポリエステル共重合体には、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、親水剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
5.第1成分と第2成分のメルトマスフローレイト
本発明生分解性複合繊維に含まれる第1成分および第2成分の繊維成形前のペレット状態でのメルトマスフローレイト(JIS K 7210の附属書A表1の条件Dにて測定。以下、「MFR」と略す。)は、紡糸可能な範囲のMFRであれば特に限定されることはないが、1〜100g/10分の範囲が好ましく、3〜70g/10分の範囲が更に好ましい。また、下記式で求められる、繊維成形前のペレット状態で測定した第1成分と第2成分とのMFRの比(MFR比)を2以下に調節することが好ましく、1.4以下に調整するとさらに好ましい。
MFR比=(第2成分のMFR)/(第1成分のMFR)
MFR比が2以下であれば、紡糸工程において汎用の冷却装置を用いて冷却することで複合繊維同士の膠着を抑えることができる。また、これにより複合繊維の開繊性が良好になることから、複合繊維からなる繊維構造物の風合いを良好にできる。
また、本発明の生分解性複合繊維は、繊維成形後の第1成分のMFRを10〜100g/10分の範囲に調節することで曳糸性が良くなり、10〜70g/10分の範囲になるように、押出機、ノズルの温度などを調節することで更に良好となる。同様に、繊維成形後の第2成分の成形後のMFRを10〜100g/10分の範囲になるように、押出機、ノズルの温度などを調節することで曳糸性がよくなり、10〜70g/10分の範囲に調節することで更に良好となる。
さらに、繊維成形後に測定した第1成分と第2成分との成形後MFR比[(第2成分の成形後MFR)/(第1成分の成形後MFR)]を2以下に調節することが好ましく、1.5以下に調節するとさらに好ましく、0.7以下に調節するともっとも好ましい。通常、成形後は、成分が熱劣化を受けているので、繊維成形前のMFRに比べて繊維成形後のMFRは大きくなる。また、第1成分の成形後MFRに比べて第2成分の成形後MFRの方が、その増加傾向は大きい。したがって、繊維成形前のMFR比より繊維成形後のMFR比の方が数値が大きくなり易い。繊維成形後のMFR比が2以下の範囲であれば、紡糸工程で複合繊維同士の膠着を防止できるだけでなく、本発明の第1成分と第2成分とをスパンボンド法を用いて加工した場合でも、サクションでの複合繊維同士の膠着等が発生せず、複合繊維の開繊性を良好に保つことができるので、複合繊維からなる繊維構造物の風合いを良好にできる。尚、繊維成形後のMFR比を2以下に保つには、紡糸時の第1成分および第2成分の押出機温度、両成分に共通するノズル温度を調整し、第2成分の成形後MFRが高くならないようにする必要がある。
6.第1成分と第2成分の半結晶化時間
異なる生分解性樹脂を用いて複合繊維を製造した場合、互いに結晶化速度に差の小さい生分解性樹脂同士を使用すると、紡糸工程において、半結晶化時間の短い生分解性樹脂が結晶化する際に発生する熱で、半結晶化時間の長い生分解性樹脂の冷却が阻害される。したがって、半結晶化時間の長い生分解性樹脂が繊維表面部分を大きく占める場合には、紡糸工程で複合繊維同士の膠着が発生し、曳糸性や開繊性が悪化する。その結果、前記複合繊維から得られる繊維構造物の風合いに悪影響を及ぼすという問題がある。
そこで、本発明の生分解性複合繊維に含まれる第1成分と第2成分の半結晶化時間の差を大きくし、それによって、半結晶化時間の短い生分解性樹脂が結晶化する際に発生する熱で、半結晶化時間の長い生分解性樹脂の冷却を阻害しないようにする。
具体的には、第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも100秒以上長くなるように、第1成分と第2成分を選択すると、紡糸工程において第1成分の結晶化が完了した後に第2成分が結晶化する為、結晶化速度の速い第1成分の結晶化する際に発生する熱で、結晶化速度の遅い第2成分の冷却を阻害しにくくなる。そして、第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも120秒以上長くなると好ましく、150秒以上長くなるとさらに好ましい。
同様に、第2成分の85℃における半結晶化時間は、好ましくは180秒以上、第1成分の85℃における半結晶化時間は100秒以下であると、結晶化速度の速い第1成分の結晶化する際に発生する熱で、結晶化速度の遅い第2成分の冷却を阻害しにくくなる。
第1成分の85℃における半結晶化時間は、好ましくは60秒以下、更に好ましくは30秒以下である。これによって、結晶化速度の遅い第2成分が、繊維表面部分の多くを占めている場合でも、紡糸工程で固化不足に起因する複合繊維同士の膠着を低減させることができ、その結果、曳糸性は良好になる。
7.生分解性複合繊維
本発明の生分解性複合繊維に含まれる第1成分と第2成分との組合せによって、風合い、柔軟性および耐熱性等の種々の性質を生分解性複合繊維に任意に付与することが可能である。
また、第1成分と第2成分の融点差が一定以上あると、複合繊維同士の熱接着性および引張強度を良好に保つことができる。そのため、両者の融点差は、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることが更に好ましい。
本発明の生分解性複合繊維は、第1成分と第2成分がその繊維長さ方向に連続しており、第2成分が繊維表面の少なくとも一部を繊維長さ方向に連続して形成された構造である。また、本発明の生分解性複合繊維の断面は、同心型、偏心型、並列型、木目型、多芯型、モザイク型、海島型、星雲型、中空型、両成分が放射状に交互に配列された放射型等の構造を有しているのが好ましく、これらの中でも、熱接着性の点から同心型、並列型の繊維断面構造を有する複合繊維が好ましい。
本発明の生分解性複合繊維に含まれる第1成分と第2成分との容量比は、紡糸可能な範囲であれば特に限定されないが、30:70〜70:30の範囲が好ましい。
尚、本発明の生分解性複合繊維は、第1成分および第2成分以外に、他の成分を含んでもよい。たとえば、本発明の繊維は、他の成分として熱可塑性成分を含む多成分繊維であってもよく、これらは通常採用される方法で製造され得る。他の熱可塑性成分としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル等が例示できる。
本発明の生分解性複合繊維の単糸繊度は、特に限定されることはなく、用途に応じて適宣選択できる。紡糸工程での曳糸性、および、風合い等の点から、生分解性複合繊維の繊度は、0.1〜10デシテックスであることが好ましく、0.5〜6デシテックスがより好ましい。
静電気防止性、開繊性、平滑性等の機能を本発明の生分解性複合繊維に付与するためには、その表面に界面活性剤を付着させることが好ましい。複合繊維に界面活性剤を付着させる方法としては、ローラー法、浸漬法、パットドライ法等が利用できる。その際、用途に合わせて、界面活性剤の種類、その濃度を調整して利用することが好ましい。界面活性剤を付着させる段階は、紡糸、延伸、捲縮のいずれの工程で行ってもよく、必要に応じて、繊維構造物とした後にその表面に界面活性剤を付着させてもよい。界面活性剤としては、アルキルフォスフェートカリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が例示できる。
本発明の生分解性複合繊維の繊維長は、特に限定されることはなく、用途に応じて適宜選択できる。カード機を用いてウェブを作製するカード法の場合には、一般に20〜76mmの範囲の繊維長が好ましく、抄紙法やエアレイド法の場合では、一般に2mm〜20mmの範囲の繊維長が好ましい。繊維長が2mm以上であれば、複合繊維同士を熱融着させて得られる繊維構造物に充分な引張強力を付与することができる。また、繊度によっても異なるが、繊維長が20〜76mmの範囲であれば、カード法でウェブを作製した場合に、均一な地合のウェブを得ることができる。尚、本発明の生分解性複合繊維は、これらの短繊維加工のみでなく、スパンボンド法、メルトブロー法などの長繊維加工にも好適に用いることができる。
8.繊維構造物
本発明の生分解性複合繊維を用いて、不織布等の繊維構造物を製造することができる。
本発明の繊維構造物を製造する際、第2成分の融点以上、第1成分の融点未満の温度で、生分解性複合繊維からなるウェブ等の繊維集合体を熱処理することが好ましい。この温度範囲であれば、第1成分が熱による影響を殆ど受けないので、繊維強度を低下させることなく、複合繊維同士を強固に融着させることができる。エンボスロール等の加圧ロールを用いる場合には、第2成分の軟化点以上、第1成分の融点未満の温度で点熱圧着処理することが好ましい。
また、本発明の繊維構造物を製造する際、本発明の生分解性複合繊維を単独で使用してもよいが、必要に応じて他の繊維と混繊または積層し、混合物にして使用してもよい。他の繊維として、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル等の合成繊維、綿、羊毛、麻等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生繊維、半合成繊維等、ポリ乳酸繊維、ポリブチレンサクシネート繊維等の生分解性繊維が利用できる。これらの中でも、特に、ポリ乳酸繊維、ポリブチレンサクシネート繊維等の生分解性繊維との混繊が好ましい。また、本発明の生分解性複合繊維において、第1成分の融点第2成分の融点に対して40℃以上高い場合には、熱融着性を有しない生分解性繊維同士を熱融着させるためのバインダー繊維として使用することが可能である。
本発明の繊維構造物は、本発明の生分解性複合繊維を少なくとも一部に用いた繊維構造物であり、該生分解性複合繊維の繊維接点が熱接合された不織布、ネット状物、編物および織物から選ばれる少なくとも一種の布帛で構成された構造物であることが好ましい。また、本発明の繊維構造物に、他のウェブ、織物、編物、不織布を種々積層して用いてもよい。
本発明の生分解性複合繊維は、紡糸工程で複合繊維同士の膠着が発生せず、良好な曳糸性を示し、カード機を用いる際の開繊性に優れているので、これを用いて得られる繊維構造物は、従来の曳糸性に劣る生分解性複合繊維を用いて得られる繊維構造物と比較して、風合いに優れ、高い機械的強度を有する、実用性の高い繊維構造物である。
本発明の繊維構造物は、土木シート、農業用べたがけシート等の用途に利用できる。また、本発明の繊維構造物は、フィルター、ボードにも利用することができる。
また、良好な生分解性を有し環境に優しく、更に高い衛生性を有していることから、衛生材料分野をはじめ、医療分野、産業資材分野にも好適に使用できる。
9.吸収性物品
本発明の生分解性複合繊維または繊維構造物を少なくとも一部に用いて、吸収性物品を製造することができる。
例えば、本発明の生分解性複合繊維からなる繊維構造物の好ましい態様は、風合いに優れ、高い引張強度を有することから低目付化を図ることができる。したがって、このような繊維構造物を紙オムツや生理用品等の吸収性物品に使用すると、他の生分解性複合繊維を使用した場合と比較して低コスト化が可能となり好ましい。
10.生分解性複合繊維と繊維構造物の製造方法
本発明の生分解性複合繊維は、通常の溶融複合紡糸機を用いて、第1成分と第2成分を含む生分解性を有する複合繊維を紡出して製造される。複合繊維を紡出に際し、紡糸温度は120〜330℃の範囲で紡糸することが好ましく、引き取り速度は40m/分〜1500m/分程度とするのがよい。本発明の複合繊維の延伸は必要に応じて多段延伸を行ってもよく、延伸倍率は通常1.2〜9.0倍程度とするのがよく、延伸温度は、通常、複合繊維が融着しない程度の温度で加熱するのがよい。
本発明の複合繊維に対し、必要に応じてスタッフィングボックス等のクリンパーで捲縮を付与した後、所定長に切断して短繊維とし、公知のカード法、エアレイド法、乾式パルプ法、湿式抄紙法等によりウェブとすることができる。また、複合繊維を所定長に切断せずにトウの状態で分繊ガイド等によりウェブとすることもできる。更に公知のスパンボンド法やメルトブロー法により紡糸工程から直接ウェブにしてもよい。
得られたウェブは必要に応じてニードルパンチ法、高圧液体流処理等の公知の高次加工工程、熱風または熱ロール等の公知の熱処理工程を経て、種々の用途に応じた繊維構造物に成形される。また、紡糸延伸後、フィラメント糸条として巻き取り、これを編成または織成して編織物とし、熱処理工程を通して繊維構造物としてもよく、前記短繊維を紡績糸とした後、これを編成または織成して編織物とし、熱処理工程を通して繊維構造物に成形してもよい。更にカード法、エアレイド法、スパンボンド法、抄紙法等の方法で均一にしたウェブ、織物、編物、不織布、フィルム等からなる他の構造物を、本発明の生分解性複合繊維からなる前記ウェブまたは繊維構造物に対して種々積層し、熱処理工程を通して繊維構造物としてもよい。
上記熱処理工程では、熱風ドライヤー、サクションバンドドライヤー、ヤンキードライヤー等のドライヤーを用いる方法や、フラットカレンダーロール、エンボスロール等の加圧ロールを用いる方法が使用できる。熱処理温度は、生分解性複合繊維の第2成分の融点以上、第1成分の融点未満の温度が好ましく、用いる脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル共重合体の種類にもよるが、60〜165℃の範囲が適当である。また、処理時間は前記ドライヤー等を用いる場合は約5秒以上が、前記加圧ロールを用いる場合は5秒以下が一般的である。
以下、本発明を実施例等を用いて説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例と比較例における用語と物性の測定方法は以下の通りである。
(半結晶化時間)
TAInstrument社製熱分析装置DSC Q10(商品名)を用い、試料を融点以上まで加熱、溶融させた後、温度設定を85℃として、試料を結晶化させた。結晶化工程のサーモグラムからΔHcが1/2となるポイントを読み取り、結晶化が始まったポイントからΔHcが1/2となるポイントまでの時間(秒数)を測定した。この測定を3回繰り返し、その平均値を半結晶化時間とした。
(繊維成形前のメルトマスフローレイト)
JIS K 7210の附属書A表1の条件D(温度190℃、荷重2.16kg)に準拠し、繊維成形前の第1成分と第2成分のメルトマスフローレイト(MFR)を測定した。
(繊維成形後のメルトマスフローレイト)
任意の紡糸温度で第1成分のみを繊維化し、JIS K 7210の附属書A表1の条件D(試験温度190℃、荷重2.16kg)に準拠して、繊維成形後のメルトマスフローレイト(MFR)を測定した。また、同様に繊維成形後の第2成分のMFRを測定した。
(融点)
TAInstrument社製熱分析装置DSC Q10(商品名)を用い、JIS K 7122に準拠し、融点を測定した。
(曳糸性評価)
繊維を溶融紡糸する際に、曳糸性を評価した。評価基準は、紡糸した生分解性複合繊維の膠着の発生状態により、次の3段階で評価した。
A:繊維膠着が全く発生せず、操作性が良好である。
B:若干の繊維膠着が見られるが、操作上問題がない。
C:明らかな繊維膠着が見られ、操作上問題がある。
(引張強度)
幅25mm、長さ150mmの短冊状に切断した不織布(繊維構造物)をサンプルとして、(株)島津製作所製オートグラフ AGS500D(商品名)を用い、サンプルの破断強度を測定した。この測定値を引張強度とした。試験条件は、室温下、引張速度100mm/分で実施した。なお、引張強度の値は下記式により目付30g/m2換算値で表した。
引張強度=(引張強度実測値)×(30/目付実測値)
(不織布風合い評価)
不織布を用いて、5人のパネリストによる官能試験を行なった。判定基準は、しわ等によるガサツキ感がなく、しかもソフトであると全員が判定した場合を優(A)、3名〜4名が同様に判定した場合を良(B)、3名以上がしわ等によるガサツキ感があるかまたはソフト感に欠けると判定した場合を不可(C)とした。
(生分解性能評価)
不織布(繊維構造物)を土中に埋没して6ヶ月後に取り出し、不織布がその形態を保持しておらず埋没後の引張強度が測定不可能である場合を優(A)、不織布はその形態を保持しているが埋没後の引張強度が埋没前の引張強度初期値に対して50%未満まで低下している場合を良(B)、不織布の埋没後の引張強度が埋没前の引張強度初期値に対して50%以上を示している場合を不可(C)と評価した。
(カード通過性)
生分解性複合繊維を、カード機で梳綿しウェブとする工程で、得られたウェブの生分解性複合繊維の絡み具合を、次の3段階の評価基準で判定した。
A:繊維同士の絡みが強く、操作性が良好である。
B:繊維同士の絡みが若干弱い。
C:繊維同士の絡みが非常に弱く、操作上問題がある。
(耐熱性試験)
吸収性物品の耐熱性を測定した。吸収性物品を70℃に設定した恒温槽内中に30分間放置し、吸収性物品の熱劣化(特に、膠着状態)を観察し、判断した。
(原料樹脂)
原料として用いられた樹脂の略語は以下の通りである。
PLA−1:ポリ乳酸(トヨタ自動車製 商品名:U´z B4 融点168℃、MFR15 条件D)。
PLA−2:ポリ乳酸(島津製作所製 商品名:ラクティ 9031 融点132℃、MFR6 条件D)。
PBS−1:ポリブチレンサクシネート(三菱化学社製 商品名:GSpla AZ71T 融点110℃、MFR20 条件D)。
PBS−2:ポリブチレンサクシネート(三菱化学社製 商品名:GSpla AZ81T 融点110℃、MFR8 条件D)。
PBS−3:ポリブチレンサクシネート(昭和高分子製 商品名:ビオノーレ 1020 融点114℃、MFR26 条件D)。
PBSA:ポリブチレンサクシネート・アジペート(三菱化学製 商品名:GSpla AD82W 融点86℃、MFR8 条件D)
PES:ポリエチレンサクシネート(日本触媒製 商品名:ルナーレSE 融点102℃、MFR28 条件D)。
PETG:ポリエチレンテレフタレート・グルタレート(デュポン製 商品名:Biomax 4026 融点199℃、MFR22 条件M)。
PBTA:ポリブチレンテレフタレート・アジペート(イーストマン・ケミカル製 商品名:EASTAR BIO GP 融点108℃、MFR28 条件D)
実施例1(繊維・不織布)
鞘芯型複合紡糸用口金を取り付けた、2機の押出機を有する複合紡糸装置を使用し、鞘芯型複合繊維を製造した。ホッパの芯成分側に、第1成分としてPLA−1を投入し、鞘成分側に、第2成分としてPBS−1を投入して、230℃の紡糸温度で、第1成分と第2成分との容積比率が50/50の同心型の繊維断面形状となるように複合繊維を吐出し、ワインダーによってこれを引き取った。なお、前記引き取り工程において、吐出された複合繊維の表面に、界面活性剤としてアルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。次に、ワインダーで巻き取った複合繊維(未延伸糸)を延伸機によって、3.0倍(延伸温度80℃)に延伸した後、スタッフィングボックスに通して機械捲縮を付与させ、次いで長さ51mmに切断し、捲縮の施された1.0デシテックスのスフを得た。次に、得られたスフをカード機でカーディングしてウェブとし、該ウェブを熱風貫通型ドライヤーで、温度110℃、処理時間1分40秒の条件で熱処理して、複合繊維の交点が熱融着された不織布(繊維構造物)を得た。
原料樹脂である第1成分と第2成分の半結晶化時間および繊維形成前MFR比、製造された繊維の繊維成形後第1成分MFR、繊維成形後第2成分MFR、繊維成形後MFR比、断面形状(型)、曳糸性およびカード通過性、並びに、製造された不織布の目付、引張強度、風合い評価、生分解性能は表1に示したとおりであった。
表1から明らかなように、実施例1の生分解性複合繊維は、その製造時において、複合繊維同士の膠着が認められず、曳糸性も良好であった。更に得られた複合繊維はカード通過性がよく、得られた不織布(本発明の繊維構造物)は、高い引張強度、良好な風合いおよび良好な生分解性能を併せ持っていた。
実施例2〜9(繊維・不織布)
表1に示した原料樹脂の組合せ、および繊維の断面形状以外は、実施例1と同じ条件で、実施例2〜9の生分解性複合繊維と不織布を製造した。但し、実施例7では、第2成分の紡糸温度を実施例1よりも30℃高く設定して紡糸を行った。
実施例2〜9における原料樹脂、製造された繊維および不織布の性質は表1に示したとおりであった。
表1から明らかなように、実施例2〜9の生分解性複合繊維は、その製造時において、複合繊維同士の膠着が認められず、曳糸性も良好であった。更に得られた複合繊維はカード通過性がよく、得られた不織布(本発明の繊維構造物)は、高い引張強度、良好な風合いおよび良好な生分解性能を併せ持っていた。
実施例10(繊維・不織布)
実施例1で用いた第1成分および第2成分を使用し、芯成分に第1成分が、鞘成分に第2成分が配置される同心型の断面形状を有する生分解性複合長繊維を紡糸した。第1成分側と第2成分側の紡糸温度条件は共に240℃である。紡糸された長繊維群をスロット型エアーサッカーで牽引し、捕集装置にウェブを捕集した。吹き付けたエアーは捕集装置に備えた吸引装置から吸引され、ウェブをコンベアに密着させた。得られたウェブを熱圧着装置に移送し、エンボスロール温度100℃、フラットロール95℃、線圧50N/mmの条件で熱圧着処理し、目付31g/m2の長繊維不織布(繊維構造物)を得た。
この不織布の風合い評価は優(A)であり、引張強度は30N/2.5cmを示し、実用性の非常に高い不織布であることがわかった。また、この不織布の生分解性評価は優(A)であった。
比較例1〜3(繊維・不織布)
表2に示した原料樹脂の組合せ、および繊維の断面形状以外は、実施例1に準拠した製造方法と同じ条件で、生分解性複合繊維と不織布を製造した。但し、比較例1では、延伸温度を90℃に変更し、熱風貫通型ドライヤーの温度を140℃に変更した。
比較例1〜3における原料樹脂である第1成分と第2成分の半結晶化時間と繊維形成前MFR比は、表1に示すとおりであった。
半結晶化時間に関して、比較例1の生分解性複合繊維は、融点差のあるポリ乳酸からなる複合繊維であり、原料樹脂の第2成分の85℃における半結晶化時間(25秒)は、第1成分の85℃における半結晶化時間(16秒)よりも9秒だけしか長くなかった。比較例2の生分解性複合繊維における原料樹脂の第2成分の85℃における半結晶化時間(66秒)は、第1成分の85℃における半結晶化時間(16秒)よりも50秒だけしか長くなかった。比較例3の生分解性複合繊維における原料樹脂の第2成分の85℃における半結晶化時間(55秒)は、第1成分の85℃における半結晶化時間(16秒)よりも39秒だけしか長くなかった。
そして、比較例1〜3において製造された繊維の繊維成形後第1成分MFR、繊維成形後第2成分MFR、繊維成形後MFR比、断面形状(型)、曳糸性およびカード通過性、並びに、製造された不織布の目付、引張強度、風合い評価、生分解性能は表2に示したとおりであった。
具体的には、比較例1の複合繊維を用いて得られた不織布(繊維構造物)は、硬い感触を有する極めて悪い風合いであり、人の手や皮膚に直接接触する用途に対して、実用性が低かった。
比較例2と比較例3では、複合繊維製造時において、複合繊維同士の膠着が発生し曳糸性が悪かった。また、この複合繊維を用いて得た不織布(繊維構造物)は、極めて風合いが悪かった。
比較例4(繊維・不織布)
原料樹脂として、比較例3で用いた第1成分および第2成分を使用し、芯成分に第1成分が、鞘成分に第2成分が配置される同心型の断面形状を有する生分解性複合長繊維を紡糸した。紡糸温度条件は第1成分側、第2成分側共に240℃であった。紡糸された長繊維群をスロット型エアーサッカーで牽引し、捕集装置にウェブを捕集した。吹き付けたエアーは捕集装置に備えた吸引装置から吸引しウェブをコンベアに密着した。ウェブを熱圧着装置に移送し、エンボスロール温度100℃、フラットロール95℃、線圧50N/mmの条件で熱圧着処理し、目付30g/m2の長繊維不織布(繊維構造物)を得た。この際、紡糸段階で複合繊維同士の膠着が発生したため、得られた目付30g/m2の不織布は風合いが悪化しており、不織布の風合い評価は、不可(D)の実用性の低いものであった。
実施例11(吸収性物品)
実施例1で得られた不織布(繊維構造物)をトップシート層およびバックシート層に用い、両層間にパルプ繊維を使用した吸収材を挟み込んで、吸収性物品を作製した。得られた吸収性物品は日本国内の一般的な真夏の車中の状態を想定した耐熱性試験においても該吸収性物品の収縮、膠着等が発生しなかった。
比較例5(吸収性物品)
第2成分として、PBS−1の代わりにPCLを用い、延伸温度を80℃から50℃に、熱風貫通型ドライヤーの温度を110℃から65℃に変更した以外は、実施例1に準拠して複合繊維を製造し、実施例1に準拠して目付31g/m2の不織布を作製した。次に、この不織布をトップシート層およびバックシート層に用い、両層間にパルプ繊維を使用した吸収材を挟み込んで、吸収性物品を作製した。得られた吸収性物品は、日本国内の一般的な真夏の車中の状態を想定した耐熱性試験において収縮、膠着が発生し、製品として使用することが困難であることが判明した。
実施例11で得られた吸収性物品は、吸収性物品として良好な性能を持ち合わせており、実用性に優れているのに対して、比較例5で得られた吸収性物品は、耐熱性に乏しく、熱によって容易に吸収性物品が収縮、膠着する製品であり、実用性の低いことが判明した。
本発明の繊維、繊維構造物(不織布等)の活用法として、例えば、土木シート、農業用べたがけシート、フィルター、ボードに利用することができる。また、これらの物品は、医療分野や産業資材分野にも好適に利用できる。また、本発明の繊維構造物を用いた吸収性物品は、例えば、紙オムツや生理用品等にも利用できる。

Claims (12)

  1. 生分解性の第1成分と第2成分とを含む(但し、ポリ乳酸系重合体が葉部を形成し、共重合脂肪族ポリエステルが芯部を形成してなる多葉型複合断面を除く)生分解性複合繊維であって、複合繊維が、並列型または鞘芯型の繊維断面構造を有しており、
    (a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、
    (b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (d)第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも100秒以上長い、
    生分解性複合繊維。
  2. 生分解性の第1成分と第2成分とを含む(但し、ポリ乳酸系重合体が葉部を形成し、共重合脂肪族ポリエステルが芯部を形成してなる多葉型複合断面を除く)生分解性複合繊維であって、複合繊維が、並列型または鞘芯型の繊維断面構造を有しており、
    (a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、
    (b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (d)第2成分の85℃における半結晶化時間が180秒以上であり、第1成分の85℃における半結晶化時間が100秒以下である、
    生分解性複合繊維。
  3. 生分解性の第1成分と第2成分とを含む(但し、ポリ乳酸系重合体が葉部を形成し、共重合脂肪族ポリエステルが芯部を形成してなる多葉型複合断面を除く)生分解性複合繊維であって、複合繊維が、並列型または鞘芯型の繊維断面構造を有しており、
    (a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、
    (b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (d)第2成分の85℃における半結晶化時間が、第1成分の85℃における半結晶化時間よりも100秒以上長い、
    生分解性複合繊維。
  4. 生分解性の第1成分と第2成分とを含む(但し、ポリ乳酸系重合体が葉部を形成し、共重合脂肪族ポリエステルが芯部を形成してなる多葉型複合断面を除く)生分解性複合繊維であって、複合繊維が、並列型または鞘芯型の繊維断面構造を有しており、
    (a)第1成分と第2成分が、繊維の長さ方向に連続しており、
    (b)第2成分が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (c)第1成分が、第2成分よりも融点の高い脂肪族ポリエステルまたは該脂肪族ポリエステル共重合体を含み、
    (d)第2成分の85℃における半結晶化時間が180秒以上であり、第1成分の85℃における半結晶化時間が100秒以下である、
    生分解性複合繊維。
  5. 複合繊維が、同心型、偏心型、または、並列型の繊維断面構造を有している、請求項1〜4のいずれかに記載の生分解性複合繊維。
  6. 第1成分の85℃における半結晶化時間が60秒以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性複合繊維。
  7. 第1成分に含まれる脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であり、第2成分に含まれる脂肪族ポリエステルが、ポリブチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネート・アジペートである、請求項1〜6のいずれかに記載の生分解性複合繊維。
  8. 繊維成形前の第1成分と第2成分とのMFR比[(第2成分のメルトマスフローレイト)/(第1成分のメルトマスフローレイト)]が2以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の生分解性複合繊維。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の生分解性複合繊維を用いた繊維構造物。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の生分解性複合繊維の繊維接点が熱接合された不織布、ネット状物、編物および織物から選ばれる少なくとも一種の布帛で構成された繊維構造物。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の生分解性複合繊維を用いた吸収性物品。
  12. 請求項9または10に記載の繊維構造物を用いた吸収性物品。
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