JP2006096019A - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低反射率、密着性、面状及び耐擦傷性に優れる長尺状の積層フィルムを効率よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体の上に、直接又は他の層を介して、ゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗工して屈折率1.4以下の低屈折率層を形成したフィルムを得、次いでこれをロール状に巻き取り、その後、少なくとも1時間、温度40〜95℃、相対湿度10〜90%の雰囲気下に置く。

Description

本発明は、積層フィルムを製造する方法に関し、さらに詳しくは陰極線管(CRT)や液晶表示装置(LCD)などの表示装置に用いる積層フィルムを製造する方法に関する。
近年、陰極線管(CRT)や液晶表示装置(LCD)などに代表される表示装置では、画像が表示されるパネルの表面に、接着剤を介して機能フィルムが貼着されている。この機能フィルムは、帯電防止効果、反射防止効果、防汚効果などの各種の機能を有した膜を適宜組み合わせてこれらを基材となる樹脂基材上に積層し、形成されたもので、その一例として樹脂基材上にハードコート層、透明導電層、反射防止層、防汚層などを順に積層したものが知られている。
ここで、反射防止層としては、透明支持体上に高屈折率の無機材料と低屈折率の無機材料とを蒸着により交互に積層したものが知られているが、製造コストや反射防止性の面で問題が残る。他に、透明支持体上に1.55以上の屈折率層を有するハードコート層と1.55未満の屈折率層を有する低屈折率層を湿式法により形成させる方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。これによれば高い反射防止機能を有することが記されている。
しかしながら、反射防止層を形成する過程において、目的とする積層フィルムが特に長尺状である場合に、密着性や耐擦傷性が低下する場合があり、さらなる改善が求められている。さらに、長尺状のものを所望の大きさに裁断して使用するにあたって、基材が脆くなったり、変形したりする問題がある。
特開2000−111706号公報
従って、本発明の目的は、低反射率、密着性、面状及び耐擦傷性に優れる長尺状の積層フィルムを効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体の上に、直接又は他の層を介して、ゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗工して屈折率1.4以下の低屈折率層を形成したフィルムを得、次いでこれをロール状に巻き取り、その後、一定時間、特定の雰囲気下に置くことにより、上記目的を達成しうることを見いだし、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、
(1)透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体の上に、直接又は他の層を介して、ゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗工して屈折率1.4以下の低屈折率層を形成したフィルムを得、次いでこれをロール状に巻き取り、その後、少なくとも1時間、温度40〜95℃、相対湿度10〜90%の雰囲気下に置くことを特徴とする長尺状の積層フィルムの製造方法;
(2)屈折率1.4以下の低屈折率層がシリカエアロゲルからなるものである前記(1)記載の製造方法;
(3)前記支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設ける請求項1又は2記載の製造方法;
及び
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法により得られた積層フィルムを有する光学素子;
がそれぞれ提供される。
本発明によれば、反射率が低く、耐擦傷性、面状及び密着性に優れる長尺状の積層フィルムを効率よく製造することができる。
本発明では、透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体の上に、直接又は他の層を介して、ゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗工して屈折率1.4以下の低屈折率層を形成したフィルムを得る。
本発明において、長尺状とは、支持体の幅方向に対し少なくとも5倍程度以上の長さを有するものを言い、実際には10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するものを言う。
本発明に用いる長尺状の支持体は、透明樹脂を含有してなる。
透明樹脂としては、1mm厚で全光線透過率が80%以上になるものであればよく、具体的には、脂環式構造含有重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂等が挙げられる。これらの透明樹脂は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、強度が高く、透明性に優れることから、脂環式構造含有重合体樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;が好ましく、透明性、着色が少ない、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体樹脂、トリアセチルセルロース及びポリエチレンテレフタレートがより好ましく、脂環式構造含有重合体樹脂が特に好ましい。
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数は特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた支持体を得ることができる。
脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン系重合体、(iii)環状共役ジエン系重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加共重合体等が挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物やノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素化物が特に好ましい。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8-ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα-オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4-ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、α-オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体を挙げることができる。
また、環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体を挙げることができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α-メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香環部分の水素化物等が挙げられる。
また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物とこれと共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体、及びこれらの水素化物;ビニル芳香族炭化水素化合物とこれと共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体やブロック共重合体の芳香環部分の水素化物;であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限はない。
透明樹脂の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲であるときに、支持体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
透明樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある透明樹脂からなる支持体は、高温・高湿度下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
本発明に用いる支持体には、透明樹脂の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、他の配合剤を含んでいてもよい。他の配合剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の配合剤が挙げられる。前記配合剤の配合量は、透明な樹脂100重量部に対して、通常0〜5重量部、好ましくは0〜3重量部である。
本発明に用いる支持体は、上記透明樹脂を公知の成形方法によりフィルム状に成形することにより得ることができる。
透明樹脂をフィルム状に成形する方法としては、溶液流延法や溶融押出成形法が挙げられる。なかでも、フィルム中の揮発性成分の含有量や厚みむらを少なくできる点から、溶融押出成形法が好ましい。さらに溶融押出成形法としては、Tダイ等のダイスを用いる方法やインフレーション法等が挙げられるが、生産性や厚み精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
フィルム状に成形する方法として、Tダイを用いる方法を採用する場合、Tダイを有する押出機における透明樹脂の溶融温度は、透明樹脂のガラス転移温度よりも80〜180℃高い温度にすることが好ましく、100〜150℃高い温度にすることがより好ましい。押出機での溶融温度が過度に低いと透明樹脂の流動性が不足するおそれがあり、逆に溶融温度が過度に高いと樹脂が劣化する可能性がある。
さらに、フィルム状に成形する前に、用いる透明樹脂を予備乾燥しておくことが好ましい。予備乾燥は、例えば原料をペレット等の形態にして、熱風乾燥機等を用いて行われる。乾燥温度は100℃以上が好ましく、乾燥時間は2時間以上が好ましい。予備乾燥を行うことにより、フィルム中の揮発性成分量を低減させることができ、さらに押出す透明樹脂の発泡を防ぐことができる。
また、支持体としては、片面又は両面に表面改質処理を施したものを使用することができる。表面改質処理を行うことにより、低屈折率層や後述するその他の層との密着性を向上させることができる。表面改質処理としては、エネルギー線照射処理や薬品処理等が挙げられる。
エネルギー線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。薬品処理としては、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸等の酸化剤水溶液中に、浸漬し、その後充分に水で洗浄すればよい。浸漬した状態で振盪すると効果的であるが、長期間処理すると表面が溶解したり、透明性が低下したりするといった問題があり、用いる薬品の反応性、濃度等に応じて、処理時間等を調整する必要がある。
本発明で使用する塗工液は、ゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる。
ゾルゲル法は、一般に金属アルコキシドからなるゾルを加水分解・重縮合反応により、流動性を失ったゲルとし、このゲルを加熱して酸化物を得る方法である。ゾルゲル法により得られるケイ素酸化物は、分子中に、−(O-Si)−O−(式中、mは自然数を表す。)結合を有するものである。
ゾルゲル反応を行うケイ素化合物としては、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
(a)式(1):SiXで表される化合物。
(b)前記式(1)で表される化合物の少なくとも1種の部分加水分解生成物。
(c)前記式(1)で表される化合物の少なくとも1種の完全加水分解生成物。
前記(a)の式(1)で表される化合物において、式(1)中、Xは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;置換基を有していてもよい一価の炭化水
素基;酸素原子;酢酸根、硝酸根等の有機酸根;アセチルアセトナート等のβ-ジケトナート基;硝酸根、硫酸根等の無機酸根;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基等のアルコキシ基;または水酸基を表す。また、nは前記ケイ素の原子価を表す。
これらの中でも、前記式(1)で表される化合物としては、
式(2):RSiY4-a
〔式中、Rは置換基を有していてもよい一価の炭化水素基を表し、aは0〜2の整数を表し、aが2のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよい。Yは加水分解性基を表し、Yは同一であっても相異なっていてもよい。〕
で表されるケイ素化合物が特に好ましい。
置換基を有していてもよい一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、4-メチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、γ-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロアルキル基;γ-メタクリロキシプロピル基等のアルケニルカルボニルオキシアルキル基;γ-グリシドキシプロピル基、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ基を有するアルキル基;γ-メルカプトプロピル基等のメルカプト基を有するアルキル基;3-アミノプロピル基等のアミノ基を有するアルキル基;トリフルオロメチル基等のパーフルオロアルキル基等を例示することができる。これらの中でも、合成の容易性、入手容易性から、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、パーフルオロアルキル基が好ましく、防汚性に優れる点からパーフルオロアルキル基がより好ましい。
Yは加水分解性基を表す。ここで、加水分解性基は、所望により酸または塩基触媒の存在下に加水分解して、-(O-Si)-O-結合を生じせしめる基をいう。
加水分解性基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基;オキシム基(-O-N=C-R’(R”))、エノキシ基(-O-C(R’)=C(R”)R''')、アミノ基、アミノキシ基(-O-N(R’)R”)、アミド基(-N(R’)-C(=O)-R”)等が挙げられる。これらの基において、R’、R”、R'''は、それぞれ独立して水素原子又は一価の炭化水素基を表す。これらの中でも、Yとしては、入手容易性等からアルコキシ基が好ましい。
前記式(2)で表されるケイ素化合物としては、式(2)中、aが0〜2の整数であるケイ素化合物が好ましい。その具体例としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラン類等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さからアルコキシシラン類がより好ましい。
前記式(2)中、aが0であるテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を例示でき、aが1であるオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等を例示できる。また、aが2であるジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等を例示できる。
前記式(1)で表される化合物の分子量は特に制限されないが、40〜300であるのが好ましく、100〜200であるのがより好ましい。
前記(b)の式(1)で表される化合物の少なくとも1種の部分加水分解生成物(以下、「化合物(3)」という。)、及び(c)の式(1)で表される化合物の少なくとも1種の完全加水分解生成物(以下、「化合物(4)」という。)は、前記式(1)で表される化合物の1種またはそれ以上を、全部又は部分的に加水分解、縮合させることによって得ることができる。
化合物(3)及び化合物(4)は、例えば、Si(Or)(rは1価の炭化水素基を表す。)で表されるシリコンテトラアルコキシドを、モル比[HO]/[Or]が1.0以上、例えば1.0〜5.0、好ましくは1.0〜3.0となる量の水の存在下、加水分解して得ることができる。
加水分解は、5〜100℃の温度で、2〜100時間、全容を撹拌することにより行うことができる。
前記式(1)で表される化合物を加水分解する場合、必要に応じて触媒を使用してよい。使用する触媒としては、特に限定されるものではないが、得られる部分加水分解物及び/あるいは加水分解物が2次元架橋構造になりやすく、その縮合化合物が多孔質化しやすい点、及び加水分解に要する時間を短縮する点から、酸触媒が好ましい。
用いる酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸;塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機酸;酸性コロイダルシリカ、酸化チタニアゾル等の酸性ゾル状フィラー;を挙げることができる。これらの酸触媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記酸触媒の代わりに、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液、アンモニア水、アミン類の水溶液等の塩基触媒を用いてもよい。
化合物(3)及び化合物(4)の分子量は特に制限されないが、通常、その重量平均分子量が200〜5000の範囲である。
本発明で使用するゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液には、ケイ素化合物の他に溶剤を含有する。
前記溶剤としては、水または水と他の有機溶剤との混合物を含むのが好ましい。
用いる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、n-ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;ジアセトンアルコール;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等の親水性有機溶剤が挙げられる。
また、前記親水性有機溶剤と併用して、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のセルソルブ類;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等を使用することができる。
前記塗工液中の溶剤の含有量は、通常80〜99重量%、好ましくは90〜99重量%である。
前記塗工液は、上記(a)及び(b)の化合物を含む場合、硬化触媒を含むのが好ましい。これによって、組成物を支持体表面に塗布して塗膜を形成して乾燥する際に、縮合反応が促進されて被膜中の架橋密度が高くなり、被膜の耐水性及び耐アルカリ性を向上させることができる効果を得ることができる。
用いる硬化触媒としては、Tiキレート化合物、Zrキレート化合物等の金属キレート化合物;有機酸等が挙げられる。
また、前記塗工液は、公知のシランカップリング剤を更に含んでいてもよい。シランカップリング剤を含む塗工液を用いて支持体上に低屈折率層を形成する場合、支持体と低屈折率層との間の密着性を向上させることができる。他に含んでいてもよいものとしては、シリコーンオイル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。
透明樹脂を含有してなる支持体上に前記塗工液を塗工する方法は特に制限されず、公知の塗工法を採用することができる。塗工法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体上にゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗工するときの温度は、通常10〜40℃、好ましくは20〜30℃であり、相対湿度は、通常10〜80%、好ましくは40〜70%である。
透明樹脂を含有してなる支持体上にゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗工することにより塗工層を得、その後、該塗工層を乾燥する場合は、乾燥温度20〜130℃、相対湿度0〜80%の条件で乾燥することが好ましく、該塗工層中に残留する溶剤量が5%になるまで20〜80℃、相対湿度0〜80%の条件で乾燥し、次いで塗工層中に残留する溶剤量が5%未満になったら80〜130℃、相対湿度0〜20%の条件で乾燥することが好ましい。
低屈折率層の厚みは、通常10〜1000nm、好ましくは50〜500nmである。
本発明においては、屈折率1.4以下の低屈折率層がシリカエアロゲルからなるものであることが好ましい。シリカエアロゲルを用いることにより、比較的安価で、かつ屈曲性に優れる低屈折率層を形成することができる。
シリカエアロゲルは、マトリックス中に微小な気泡が分散した透明性多孔質体である。気泡の大きさは大部分が200nm以下であり、気泡の含有量は通常10体積%以上60体積%以下、好ましくは20体積%以上40体積%以下である。
低屈折率層がシリカエアロゲルである場合、疎水性が付与されていることが好ましい。疎水性を付与することにより、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
疎水性は、ケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗布する際、塗布した後に疎水化処理を行うことにより付与することができる。疎水化処理は、ケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗布した後のゲル状化合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって疎水化するものである。疎水化処理を行う手法としては、疎水化処理剤を溶媒に溶解させた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどしてゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱して、疎水化反応を行わせる方法があげられる。
疎水化処理に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎水化処理前のゲルが含有する溶媒と置換可能なものであればよく、これらに限定されるものではない。
本発明においては、透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体と低屈折率層との間に、プライマー層や高屈折率層などの他の層を設けることが好ましく、他の層の中でも高屈折率層を設けることがさらに好ましい。透明樹脂を含有してなる支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けることにより、反射防止性に優れた積層フィルムを得ることができる。
プライマー層は、透明樹脂を含有してなる支持体と他の層との密着性の付与及び向上を目的として形成される。プライマー層を構成する材料としては、例えば、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、これらの重合体に極性基を導入した変性物等が挙げられる。これらの中で、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂の変性物及び環化ゴムの変性物を好適に用いることができる。
主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂としては、ポリブタジエン骨格又は少なくともその一部に水素添加したポリブタジエン骨格を有する樹脂が挙げられ、具体的には、ポリブタジエン樹脂、水添ポリブタジエン樹脂、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS共重合体)等が挙げられる。なかでも、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物の変性物を好適に用いることができる。
重合体の変性物を得るために用いる極性基を導入するための化合物としては、カルボン酸又はその誘導体が好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸;塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物による変性物は、密着性に優れるので、好適に用いることができる。不飽和カルボン酸又はその無水物の中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの不飽和カルボン酸等は、2種以上を混合して用い、変性することもできる。
プライマー層の形成方法は特に制限されず、プライマー層形成用塗工液を公知の塗工方法により、支持体上に塗工して形成する方法等が挙げられる。プライマー層の厚みは特に制限されないが、通常0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
高屈折率層は、透明樹脂を含有してなる支持体及び低屈折率層の屈折率に比して大きな屈折率を有する層である。
高屈折率層を構成する材料としては、層全体として、透明樹脂を含有してなる支持体、低屈折率層及び他の層に比して大きな屈折率を有する合成樹脂であれば特に制限されないが、透明性及び機械的強度に優れる観点から、熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂を含有することが好ましく、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有することがより好ましい。
前記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられ、なかでも、表面硬度、耐繰り返し疲労性及び耐擦傷性に優れる観点から、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂が好ましい。
また、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーが、エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は紫外線又は電子線を用いる。
前記分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート等のアクリレート類、もしくはカチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
前記分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するモノマーの例としては、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸-2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸-2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類;エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等の多官能性アクリレート類;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート等の、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール類;エポキシグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有するモノマー;等が挙げられる。本発明においては、これら分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、高屈折率層は前記活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂に加えて、導電性微粒子を含有してなるのが好ましい。活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂に導電性微粒子を含有させることにより、帯電防止膜としての機能を有すると同時に、機械的強度に優れた高屈折率層を形成することができる。
導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば特に制約はないが、透明性に優れることから、金属酸化物の微粒子が好ましい。
導電性の金属酸化物としては、例えば、5酸化アンチモン、リンがドープされた酸化スズ(PTO)、酸化スズ、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、亜鉛がドープされた酸化インジウム(IZO)、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(AZO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム、アンチモン酸亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れること等から、5酸化アンチモン及び/又はリンがドープされた酸化スズの使用が好ましい。
また本発明においては、導電性の金属酸化物微粒子として、導電性を持たない金属酸化物微粒子に、導電性金属酸化物を被覆することによって、導電性を付与したものを使用することもできる。例えば、屈折率は高いが導電性を有しない酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子の表面に、前記導電性金属酸化物を被覆して導電性を付与して用いることができる。
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、高屈折率層の透明性を低下させないために、通常200nm以下、好ましくは50nm以下である。200nmより大きいとヘイズ(濁り度)が大きくなる。粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視により、又は動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。
導電性微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂からなる高屈折率層は、前記導電性微粒子、前記プレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマー、並びに適当な溶媒を含有する高屈折率層を形成するための塗工液を、透明樹脂を含有してなる支持体又は該支持体の表面に形成されたその他の層上に塗布し、得られた塗膜に、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する場合は活性エネルギー線を照射することにより、熱硬化型樹脂を含有する場合は加熱することにより、形成することができる。
前記高屈折率層を形成するための塗工液は、前記導電性微粒子、並びに前記分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを、適当な有機溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。
用いる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、等のアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のセルソルブ類;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等が挙げられる。
高屈折率層を形成するための塗工液における前記プレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーの含有量は、特に制限されないが、優れた塗布適性が得られることから、前記プレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを5重量%〜95重量%含有するものが好ましい。
高屈折率層を形成するための塗工液における導電性微粒子の含有量は、特に制限されないが、好ましくは高屈折率層の全固形分中の30体積%以上、より好ましくは40体積%〜70体積%である。導電性微粒子の配合量が30体積%未満であると、得られる積層フィルムの帯電防止性が不良となる。
また、高屈折率層を形成するための塗工液の硬化が紫外線照射により行われるときは、該組成物に光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合性開始剤;芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等のカチオン重合性開始剤;等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の添加量は、高屈折率層を形成するための分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマー100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部である。また、この組成物中に光増感剤としてn-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn-ブチルホスフィン等を混合して用いることができる
高屈折率層を形成するための塗工液には、塗膜の均一性や密着性向上等を目的として、レベリング剤や分散剤を適宜添加することができる。用いるレベリング剤としては、シリコーンオイル、フッ素化ポリオレフィン、ポリアクリル酸エステル等の表面張力を低下させる化合物が挙げられ、分散剤としては、界面活性剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
高屈折率層を形成するための塗工液には、防眩性を付与する目的で、防眩性を付与する粒子を添加してもよい。防眩性を付与する粒子としては、高屈折率層の表面に凸凹が形成されれば特に限定されない。また、該粒子の平均粒径は、高屈折率層の表面に有効に凸凹を形成するために、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。
防眩性を付与する粒子を構成する材料としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の樹脂粒子、又はTiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ZrO、ITO、MgF、SiO、アルミノシリケート等の無機粒子が挙げられる。
高屈折率層を形成するための塗工液を、透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体上に直接又は他の層を介して塗工する方法は、特に制限されず、公知の塗工法が採用できる。塗工法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
高屈折率層を形成するための塗工液を透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体上に塗工した後は、乾燥し、熱硬化型樹脂を含有する場合には加熱することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する場合には、活性エネルギー線を照射することにより、それぞれ硬化させて高屈折率層を形成することができる。
加熱温度及び加熱時間、活性エネルギー線の照射強度及び照射時間は、特に限定されず、用いる高屈折率層を構成する材料の組成に応じて適宜設定することができる。
高屈折率層の厚みは、通常0.5〜30μm、好ましくは1〜10μmである。高屈折率層の厚みが0.5μmより薄いと層の硬度、機械的強度が不良となり、一方30μmより厚いと塗布する際に厚みムラが生じ易くなり、加工性が悪くなるおそれがある。
高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上である。屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメーターを用いて測定して求めることができる。
本発明において、高屈折率層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬度を示すことが好ましい。高屈折率層の鉛筆硬度が前記範囲であることにより、高屈折率層がハードコート層を兼ねることができ、部材を薄くすることができる。
本発明において、高屈折率層が導電性微粒子を含有する場合には、帯電防止性能を有する。帯電防止性能を有する高屈折率層の表面抵抗値は、好ましくは1.0×1010Ω/□以下、より好ましくは5.0×10Ω/□以下である。
なお、表面抵抗値は、抵抗率計を用いて測定することができる。
本発明においては、長尺状の積層フィルムを巻き取る。長尺状の積層フィルム又は必要に応じて後述する他の層を積層して得られる積層フィルムは、通常ロール状に巻き取られる。巻き取り装置としては、公知の巻き取り装置を用いることができ、巻き取り方法も積層フィルムが破断しない範囲の条件で適宜調整して巻き取ればよい。
本発明においては、低屈折率層を形成した長尺状の積層フィルムを巻き取る前に、紫外線を照射することが好ましい。紫外線を照射することにより、耐擦傷性がより向上する。
紫外線の照射量は、好ましくは50〜1000mJ/cm、さらに好ましくは100〜500mJ/cmである。
本発明においては、低屈折率層を形成した長尺状の積層フィルムを巻き取る前に、乾燥させることにより、積層フィルムに付着している水を除去することができる。
本発明において、低屈折率層の形成に用いる装置の一例の模式図を示す。図1に示す装置は、巻回状態のフィルムを連続的に巻き出すための巻き出し機1、フィルムの表面改質処理を行うための表面改質処理機2、低屈折率層を形成するための塗工液をフィルムに塗工するための塗工機3、フィルムを乾燥するための乾燥装置4、フィルムに紫外線を照射するための紫外線照射機5、フィルムを連続的に巻き取るための巻き取り機6、及びガイドロール7〜11とからなり、これらは一連の工程を行えるように連結されている。
まず、巻きだし機1により巻回状態のフィルムが連続的に巻き出される。次に、ガイドロール7をへて、表面改質処理機2によりフィルムの表面の改質処理が行われ、さらにガイドロール8をへて、塗工機3によりフィルムに低屈折率層を形成するための塗工液が塗工されて、低屈折率層が形成されたフィルムが得られる。そして、低屈折率層が形成されたフィルムは、ガイドロール9をへて乾燥装置4において乾燥処理が行われ、その後ガイドロール10をへて、紫外線照射機5により紫外線が照射され、ガイドロール11をへて、巻き取り機6により巻き取られる。
表面改質処理、低屈折率層を形成するための塗工液の塗工方法、低屈折率層が形成されたフィルムの乾燥方法、紫外線の照射方法は、上述したとおりである。
本発明においては、他の層、例えば高屈折率層を形成する際にも、低屈折率層を形成する際に用いる装置を用いてもよい。
本発明においては、低屈折率層の上に他の層を設けてもよい。他の層としては、防汚層が挙げられる。防汚層は、低屈折率層を保護し、かつ、防汚性能を高めるために設けるものである。
防汚層の形成材料としては、低屈折率層の機能が阻害されず、防汚層としての要求性能が満たされる限り特に制限はない。通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用できる。
具体的な例としてはパーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用することができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは、20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
本発明においては、低屈折率層を形成したフィルムを得た後、これを巻き取る。長尺状の低屈折率層を形成したフィルム又は必要に応じて後述する他の層を積層して得られる積層フィルムは、通常ロール状に巻き取られる。巻き取り装置としては、公知の巻き取り装置を用いることができ、巻き取り方法も積層フィルムが破断しない範囲の条件で適宜調整して巻き取ればよい。
本発明では、ロール状に巻き取った低屈折率層を形成したフィルムを少なくとも1時間、温度40〜95℃、相対湿度10〜90%の雰囲気下におく。
ロール状に巻き取った低屈折率層を形成したフィルムを置く雰囲気の温度は、40〜95℃、好ましくは50〜90℃である。この温度が前記範囲よりも低いと耐擦傷性が向上せず、逆に前記範囲よりも高いと相対湿度を後述の範囲にすることが難しくなり、耐擦傷性が向上しない。
ロール状に巻き取った低屈折率層を形成したフィルムを置く雰囲気の相対湿度は、10〜90%、好ましくは20〜85%、さらに好ましくは35〜80%である。この相対湿度が前記範囲よりも小さいと耐擦傷性が向上せず、逆に大きいと低屈折層表面に水が付着して面状が悪くなる。本発明においては、ロール状に巻き取った低屈折率層を形成したフィルムを置く雰囲気の温度が40〜60℃である場合には、相対湿度は50〜90%であることが特に好ましい。
ロール状に巻き取った低屈折率層を形成したフィルムを上記雰囲気下に置く時間は、少なくとも1時間であればよいが、積層フィルムの面状や生産性の観点から1時間〜24時間が好ましく、6〜24時間が特に好ましい。ロール状に巻き取った低屈折率層を形成したフィルム上記雰囲気下に置く時間が1時間よりも短いと耐擦傷性が向上しない。逆に長すぎると生産性や面状が悪くなる。
本発明により得られる積層フィルムは、反射防止性に優れる。具体的には、入射角5°における反射率が、波長430〜700nmにおいて1.4%以下でかつ波長550nmにおいて0.7%以下である。反射率が上記範囲であることにより、反射光による表面のギラツキがないので、表示内容の視認性に優れる。さらに反射率が広帯域にわたり小さいので、反射光が着色することなく、表示内容の色調を正確に再現することができる。
また、本発明により得られる積層フィルムは耐擦傷性に優れる。具体的には、スチールウール試験後の透過率の変動が20%以内、好ましくは10%以内である。スチールウール試験後の透過率の変動とは、スチールウールに0.025MPaの荷重をかけた状態で積層フィルムの表面を10往復擦る試験を行う前と後で測定した透過率の変化の割合(ΔT)をいい、スチールウール試験前の透過率をT、スチールウール試験後の透過率をTとすると、次式により求めることができる。
ΔT=(T−T)/T×100
前記ΔTが小さいほど、耐擦傷性に優れる。
透過率は、例えば、公知の濁度計を用いて、全光線透過率を測定し、これを透過率として求めることができる。
本発明により得られる長尺状の積層フィルムは、上記反射防止性の他に、密着性、面状及び耐擦傷性に優れるので、様々な光学素子として用いることができる。中でも反射防止性保護フィルムとして用いることが好ましい。
反射防止性保護フィルムは、一般に液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、EL素子、陰極管表示装置などの画像表示装置やタッチパネル等の光学装置において、外光の反射によるコントラストの低下や像の映り込みを防止するために用いられている。これらの反射防止性保護フィルムは、通常各光学装置における視認側最上層に形成されている光学部材の反射防止性保護フィルムとして設けられることが多い。この中でも、特に液晶表示装置における偏光板の保護フィルムに適用することが好ましい。
なお、本発明により得られる積層フィルムは長尺状であるので、上記光学素子に用いる場合には、用途や所望の大きさに応じて裁断して用いられる。
本発明を、実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行った。
なお、後述する評価に際しては、得られる積層フィルムは長尺状であるので、全巻き取り長のちょうど半分の長さの位置の幅方向における中央部分を裁断して用いた。
(1)屈折率(低屈折率層、高屈折率層)
高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M−2000U)を用いて、測定波長245〜1000nm、入射角55°、60°及び65°で測定し、その測定値を元に算出した値を屈折率とした。
(2)反射率
支持体の低屈折率層などが設けられていない方の面に、黒ビニルテープNo.21(日東電工社製)を貼り、分光光度計(日本分光社製:「紫外可視近赤外分光光度計 V−570」)を用い、入射角5°で反射スペクトルを測定し、波長550nmにおける反射率を求めた。
(3)全光線透過率、ヘイズ
JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計NDH−300A」を用いて測定した。
(4)耐擦傷性
積層フィルムの表面(低屈折率層が設けられている方の面)に、スチールウール♯0000に荷重0.025MPaをかけた状態でその表面を10往復させる。そして、10往復後のフィルムの表面を目視で観察し、以下の基準で評価を行った。
◎:傷はまったく認められない。
○:注意深く観察するとわずかに弱い傷が認められる。
×:傷が認められる。
(5)密着性
JIS D0202−1998に準拠して、碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(ニチバン社製、商品名:CT24)を用い、これを指の腹で積層フィルムの表面(低屈折率層が設けられている方の面)に密着させた後、セロハンテープを剥離した。判定は、100マスの内、剥離しないマス目の数で表し、剥離しない場合を100/100、完全に剥離する場合を0/100として表した。剥離しないマス目の数が大きいほど密着性に優れる。
(6)面状
積層フィルムの表面(低屈折率層が設けられている方の面)を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:まったく汚れが認められない。
○:全面積の10%未満の部分に汚れが認められる。
×:全面積の10%以上の部分に汚れが認められる。
なお、ここでいう汚れとは、水の跡などの汚れのことである。
1)透明樹脂を含有してなる支持体
(1)支持体1
支持体1として、ノルボルネン系重合体からなるフィルム(商品名:ゼオノアフィルムZF14―40、日本ゼオン社製、長さ1000m、幅650mm、厚み40μm)を用いた。
(2)支持体2
支持体2として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:ルミラーT60#38、東レ社製、長さ1000m、幅650mm、厚み38μm)を用いた。
(3)支持体3
支持体3として、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(商品名;KC4UX2M、コニカ・ミノルタ社製、長さ1000m、幅650mm、厚み40μm)を用いた。
2)高屈折率層を形成するための塗工液(高屈折率層形成用塗工液)の調製
(1)高屈折率層形成用塗工液−1の調製
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:NKオリゴ U−6HA、新中村化学社製)30部、ブチルアクリレート40部、イソボロニルメタクリレート(商品名:NK エステル IB、新中村化学社製)30部、2,2-ジフェニルエタン−1−オン10部をホモジナイザーで混合して、紫外線硬化性組成物からなる高屈折率層形成用塗工液−1を調製した。
(2)高屈折率層形成用塗工液−2の調製
上記高屈折率層形成用塗工液−1に、五酸化アンチモン微粒子の40%MIBK溶液(平均粒子径20nm:水酸基がパイロクロア構造の表面に現われているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)を、五酸化アンチモン微粒子の重量が高屈折率層形成用塗工液全固形分の50重量%占める割合で混合して、高屈折率層形成用塗工液−2を調製した。
3)低屈折率層を形成するための塗工液(低屈折率層形成用塗工液)の調製
(1)低屈折率層形成用塗工液−1の調製
テトラエトキシシラン208部にメタノール356部を加え、更に水18部及び0.01Nの塩酸水溶液18部(「HO」/「OR」=0.5)を加え、これをディスパーを用いてよく混合して混合液を得た。この混合液を25℃恒温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量を850に調整することによりシリコーンレジン溶液を得た。次に、中空シリカ微粒子として中空シリカIPA(イソプロパノール)分散ゾル(固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm、触媒化成工業製)を用い、これを上記シリコーンレジン溶液に加え、中空シリカ微粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で重量比が70/30となるように添加し、さらに全固形分が1%になるようにメタノールで希釈して、低屈折率層形成用塗工液−1を調製した。
(2)低屈折率層形成用塗工液−2の調製
テトラメトキシシラン152部にメタノール412部を加え、さらに水18部及び0.01Nの塩酸18部(「HO」/「OR」=0.5)を混合し、これをディスパーを用いてよく混合した。この混合液を25℃恒温槽中で2時間攪拌して、重量平均分子量を850に調整することにより、シリコーンレジンを得た。次に、このシリコーンレジン溶液に、シリカメタノールゾル/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で重量比が80/20となるように添加し、さらに全固形分が3%になるようにメタノールで希釈し、低屈折率層形成用塗工液−2を調製した。
(3)低屈折率層形成用塗工液−3の調製
テトラエトキシシランのオリゴマー(「メチルシリケート51」、コルコート社製)と、メタノールを重量比で47:75の割合で混合してA液を調整した。水、アンモニア水(28重量%)、メタノールを重量比で60:1.2:97.2の割合で混合してB液を調整した。前記A液とB液とを重量比で16:17の割合で混合して、低屈折率層形成用塗工液−3を調製した。
(製造例1)高屈折率層を形成したフィルム1aの製造
図1に示す装置を用いて、長尺状の支持体1を巻きだし機1に装填し、巻きだし機1より支持体を巻きだし、ガイドロール7に沿って、表面改質処理機2へ供給し、ここでコロナ放電処理を出力0.8kWの条件で行った。次に、ガイドロール8に沿って、塗工機3(本実施例では、マイクログラビア塗工機)へ供給し、ここで高屈折率層形成用塗工液−2を支持体上に乾燥後の膜厚が5μmとなるように25℃、相対湿度60%の条件で塗工した。ガイドロール9に沿って、乾燥装置4へ供給し乾燥を行った(なお、本実施例では、多段乾燥を行い、第1段では80℃、第2段では100℃、第3段では120℃とした。相対湿度は5%以下となるようにした。)。この後、ガイドロール10に沿って、紫外線照射機5へ供給し、紫外線を出力320W/cm、照射距離60mmの条件で照射し、巻き取り機6により巻き取ることにより、高屈折率層を形成したフィルム1aを得た。
(製造例2)高屈折率層を形成したフィルム1bの製造
高屈折率層形成用塗工液として高屈折率層形成用塗工液−1を用いた他は、製造例1と同様の操作を行うことにより、高屈折率層を形成したフィルム1bを得た。
(製造例3)高屈折率層を形成したフィルム2aの製造
支持体として、支持体1のかわりに支持体2を用いた他は、製造例1と同様の操作を行うことにより、高屈折率層を形成したフィルム2aを得た。
(製造例4)高屈折率層を形成したフィルム3aの製造
支持体として、支持体1のかわりに支持体3を用いた他は、製造例1と同様の操作を行うことにより、高屈折率層を形成したフィルム3aを得た。
(実施例1)積層フィルム1Aの製造
図1に示す装置を用いて、製造例1で得られた高屈折率層を形成したフィルム1aを巻きだし機1に装填し、巻きだし機1よりフィルム1aを巻きだし、ガイドロール7に沿って、表面改質処理機2へ供給し、ここで出力1.6kWの条件でコロナ放電処理を行った。そして、ガイドロール8に沿って塗工機3(本実施例では、マイクログラビア塗工機)へ供給し、低屈折率層形成用塗工液−1をフィルム1aに最終膜厚が100nmとなるように25℃、相対湿度60%の条件で塗工した。次いで、これをガイドロール9に沿って乾燥装置4へ供給し乾燥を行った(なお、本実施例では、多段乾燥を行い、第1段では40℃、第2段では120℃、第3段では120℃とした。相対湿度は3段とも5%以下となるようにした)。そして、ガイドロール10に沿って、紫外線照射機5へ供給し、紫外線を出力160W/cm、照射距離60mmの条件で照射し、ガイドロール11に沿って、巻き取り機6によりロール状に巻き取った。この巻き取ったロール状の積層フィルムを温度80℃、相対湿度70%の条件にした恒温恒湿室に12時間入れることにより、積層フィルム1Aを得た。
得られた積層フィルム1Aにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例2)積層フィルム2Aの製造
高屈折率層を形成したフィルムとして、フィルム1aのかわりに製造例3で得られたフィルム2aを用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム2Aを得た。
得られた積層フィルム2Aにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例3)積層フィルム3Aの製造
高屈折率層を形成したフィルムとして、フィルム1aのかわりに製造例4で得られたフィルム3aを用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム3Aを得た。
得られた積層フィルム3Aにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表す。
(実施例4)積層フィルム1Bの製造
高屈折率層を形成したフィルムとしてフィルム1aのかわりに製造例2で得られたフィルム1bを用い、低屈折率層形成用塗工液として低屈折率層形成用塗工液−1のかわりに低屈折率層形成用塗工液−3を用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Bを得た。
得られた積層フィルム1Bにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例5)積層フィルム1Cの製造
恒温恒湿室の温度を50℃、相対湿度を60%とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Cを得た。
得られた積層フィルム1Cにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例6)積層フィルム1Dの製造
恒温恒湿室の温度を90℃、相対湿度を80%とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Dを得た。
得られた積層フィルム1Dにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例7)積層フィルム1Eの製造
恒温恒湿室に置く時間を12時間から6時間に変えた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Eを得た。
得られた積層フィルム1Eにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例8)積層フィルム1Fの製造
恒温恒湿室の相対湿度を40%とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Fを得た。
得られた積層フィルム1Fにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例1)積層フィルム1Gの製造
恒温恒湿室の温度を25℃とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Gを得た。
得られた積層フィルム1Gにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例2)積層フィルム1Hの製造
恒温恒湿室の相対湿度を5%とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Hを得た。
得られた積層フィルム1Hにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例3)積層フィルム1Iの製造
恒温恒湿室におく時間を30分とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Iを得た。
得られた積層フィルム1Iにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例4)積層フィルム1Jの製造
恒温恒湿室の相対湿度を95%とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Jを得た。
得られた積層フィルム1Jにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例5)積層フィルム1Kの製造
低屈折率層形成用塗工液として、低屈折率層形成用塗工液−2を用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、積層フィルム1Kを得た。
得られた積層フィルム1Kにつき、上述の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
Figure 2006096019
表1の結果から以下のことがわかる。本発明により得られた積層フィルムは、実施例(実施例1〜8)に示すように、反射率、透明性(全光線透過率、ヘイズ)、耐擦傷性、密着性、面状及び生産性のすべてに優れている。実施例の中でも、低屈折率層の屈折率が1.36で、温度80℃、相対湿度70%で12時間処理したもの(実施例1〜3)や低屈折率層の屈折率が1.36で、温度90℃、相対湿度80%で12時間処理したもの(実施例6)や低屈折率層の屈折率が1.36で温度80℃、相対湿度40%で12時間処理したもの(実施例8)は、耐擦傷性や面状が特に優れている。
一方、比較例に示すように、ロール状に巻き取った低屈折率層を形成したフィルムを置く恒温恒湿室の雰囲気の条件が、本発明の範囲からはずれているもの(比較例1〜4))は、耐擦傷性、密着性、面状の少なくとも1つにおいて不具合が発生している。低屈折率層の屈折率1.4を超えているもの(比較例5)は、反射率が高い。
図1は、低屈折率層の形成に用いる装置の一例である。
符号の説明
1:巻きだし機、2:表面改質処理機、3:塗工機、4:乾燥装置、5:紫外線照射機、6:巻き取り機、7,8,9,10,11:ガイドロール

Claims (4)

  1. 透明樹脂を含有してなる長尺状の支持体の上に、直接又は他の層を介して、ゾルゲル反応を行うケイ素化合物を含有してなる塗工液を塗工して屈折率1.4以下の低屈折率層を形成したフィルムを得、次いでこれをロール状に巻き取り、その後、少なくとも1時間、温度40〜95℃、相対湿度10〜90%の雰囲気下に置くことを特徴とする長尺状の積層フィルムの製造方法。
  2. 屈折率1.4以下の低屈折率層がシリカエアロゲルからなるものである請求項1記載の製造方法。
  3. 前記支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設ける請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により得られた長尺状の積層フィルムを有する光学素子。
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