JP2006095824A - ポリフェニレンスルフィド複合フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】表面粗大突起を低減し表面平滑性を改良することにより、高機能膜の表面欠陥を減少させることのできる離型用フィルムとして好適なポリフェニレンスルフィドフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも2層のポリフェニレンスルフィド層が積層されてなるポリフェニレンスルフィド複合フィルムであって、少なくとも一方の最表面層(A層とする)のポリフェニレンスルフィドの粘度保持率(c−MFR/MFR)が下記式を満足することを特徴とするポリフェニレンスルフィド複合フィルム。
(c−MFR/MFR)≧0.70
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも2層のポリフェニレンスルフィド層が積層されてなるポリフェニレンスルフィド複合フィルムであって、少なくとも一方の最表面層(A層とする)のポリフェニレンスルフィドの粘度保持率(c−MFR/MFR)が下記式を満足することを特徴とするポリフェニレンスルフィド複合フィルム。
(c−MFR/MFR)≧0.70
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリフェニレンスルフィドフィルムに関するものであり、特に離型用フィルムとして好適なポリフェニレンスルフィド複合フィルムに関する。
電子機器、情報機器の発展に伴い、それらの表示装置として使用される液晶表示装置に対する高画質化の要求が高まっており、液晶表示装置の視野角拡大、位相差補正等のために使用される高機能膜の薄膜化、均質性、表面性(異物、傷、凹凸の少ないこと)などの要求が厳しくなっている。これらの高機能膜は、原料となる高分子材料を単独でシート状に成形するなどして製造することが困難であり、別の高分子シートやフィルム 、金属板、ガラス板などを離型材として、それらの離型材上に一旦高分子膜を形成したのち剥離して製造する場合が増加している。特に、電子機器や情報機器などの表示装置に使用される場合は、他の機材と貼り合わせたり、高機能膜上に別の樹脂を塗布したりする加工が入り、しかも連続加工される場合が多いため、離型材としては、高分子シートやフィルムが使用されることが多い。なお、離型とは、目的とする樹脂や樹脂組成物を別の基材に一旦塗布やラミネートなどの方法で設けた後、少なくとも一度剥離工程を設けて、目的とする高機能膜を該基材から剥離分離して得ることをいい、このような用途に用いられる基材フィルムを離型フィルムという。
したがって、離型材として用いられるシートやフィルム(以下、離型フィルムと総称することがある)に対する要求品質も厳しくなり、高機能膜の品質を阻害しないために、表面平滑性や平面性に優れることはもちろんのこと、加工時の作業性をよくするために、耐熱性、熱寸法安定性、耐薬品性、離型性、機械特性等を備えている必要がある。また生産性の観点からは、製膜安定性に優れ、破れなどを生じることなく連続して製膜できることが求められる。このうち特に、離型フィルムの表面欠陥が製品である高機能膜に転写してその欠陥となるため、離型フィルム表面の欠陥の少ないことが重要である。
従来この分野に用いられていたフィルムやシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、フッ素系樹脂などのフィルムまたはシートが挙げられる。特に、ポリフェニレンスルフィドフィルム(以下、「PPSフィルム」と略称することがある)は、耐熱性、熱寸法安定性、耐薬品性、機械特性、離型性において優れているため、これらの特性を要求する高機能膜では離型フィルムとして用いられる(例えば、特許文献1、2および3参照)。しかし、PPSフィルムには、フィルム表面の粗大突起などの表面欠陥が、高機能膜の表面欠陥や膜厚の斑を生じさせるという問題がある。
PPSフィルム表面の粗大突起などの表面欠陥を低減するための技術としては、PPSフィルムの厚み、表面粗さおよびフィッシュアイの個数を特定の範囲に規定することが提案されている(特許文献4参照)。ここで、フィッシュアイとは、膜成形時にフィルム中に生じる異物のことである。特許文献4には、PPS樹脂組成物中に含まれる高沸点不純物、塵埃、金属等の微粉、架橋劣化したPPS変性物などを除去することによって、フィッシュアイの発生を抑制し、フィルムの表面欠陥を低減できることが開示されている。しかし、特許文献4に開示の技術のように、高沸点不純物、塵埃、金属等の微粉、架橋劣化したPPS変性物などを除去するだけでは、フィッシュアイの発生を十分に抑えることはできず、フィルムの表面欠陥の低減には不十分であった。
特開平9−300365号公報
特開平9−278912号公報
特開平7−140326号公報
特開2000−34356号公報
本発明の目的は上記の問題点を解決すること、すなわち耐熱性、熱寸法安定性、耐薬品性、機械特性、離型性に優れるポリフェニレンスルフィドフィルムの平面性を改良し、高機能膜の表面欠陥を減少させると同時に製膜安定性に優れたポリフェニレンスルフィド複合フィルムを提供することである。
すなわち本発明は、少なくとも2層のポリフェニレンスルフィド層が積層されてなるポリフェニレンスルフィド複合フィルムであって、少なくとも一方の最表面層(A層とする)のポリフェニレンスルフィドの粘度保持率(c−MFR/MFR)が下記式を満足することを特徴とするポリフェニレンスルフィド複合フィルムである。
(c−MFR/MFR)≧0.70
また、この複合フィルムのA層の厚みtaは4μm≦ta≦50μmを満足することが好ましい。
(c−MFR/MFR)≧0.70
また、この複合フィルムのA層の厚みtaは4μm≦ta≦50μmを満足することが好ましい。
本発明は以上の構成としたため、フィルム表面の粗大突起を低減してフィルムの平面性を改良し、成形される高機能膜の表面欠陥を減少できるとともに、製膜安定性にも優れ、特に離型用フィルムとして好適なポリフェニレンスルフィド複合フィルムを提供することができる。
以下に、本発明を、好ましい実施の形態とともに詳細に説明する。 まず、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムは、少なくとも2層のポリフェニレンスルフィド層が積層された構造である必要がある。2層以上の積層構造にすることによって、製膜時の破れおよび厚みむらの発生を抑え、生産性を向上させることができる。2層以上であれば、3層でも4層でも構わないが、2層構造または3層構造の場合に本発明の効果がより一層良好となり好ましい。しかし、単層構造のフィルムでは製膜性や延伸性を満足させることはできない。
また、本発明においてポリフェニレンスルフィドとは、繰り返し単位の85モル%以上
(好ましくは90モル%以上)が下記構造式で示される構成単位からなる重合体をいう。かかる成分が85モル%未満ではポリマの結晶性、軟化点等が低下しPPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性等が損なわれる場合がある。
(好ましくは90モル%以上)が下記構造式で示される構成単位からなる重合体をいう。かかる成分が85モル%未満ではポリマの結晶性、軟化点等が低下しPPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性等が損なわれる場合がある。
上記PPSにおいて、繰り返し単位の15モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能なスルフィド結合を含有する単位が繰り返し単位として含まれていても差し支えない。該重合体の共重合の仕方はランダム、ブロック型を問わない。
本発明におけるc−MFR/MFR(以下、Crateと称する)は、酸化架橋の起こり易さを示す指標であり、この値が小さい程酸化架橋が進行し易い。ここでMFRとは、長さ8.00mm、穴直径2.095mmのオリフィスを用い、サンプル量7g、サンプル仕込み後測定開始までのプレヒート時間5分、荷重5000g、315.5℃の条件で測定されたメルトフローレートのことをいうものとする。またc−MFRとは、サンプルを空気雰囲気下、内温200℃のオーブン中で、5時間加熱して酸化架橋させた後、上記条件で測定されたメルトフローレートのことをいうものとする。
また、フィルム表面の粗大突起の低減を達成するためには、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの少なくとも一方の最表面層(A層)のPPSのCrateが0.70以上である必要がある。A層のPPSのCrateを0.70以上とすることによって、A層の酸化架橋を抑え、A層におけるフィッシュアイを低減し、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの最表面層であるA層表面の粗大突起の発生を抑制することができる。したがって、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムは、表面平滑性に優れ、離型フィルムとして好適である。一方、Crateが0.70未満では、膜成形時の加熱により酸化架橋が進んで部分的にゲル状となり、このゲル化物がフィッシュアイとなり、フィルム表面の粗大突起が増加するため、本発明の目的を達成できない。
A層のPPSのCrateは、より好ましくは0.72以上の範囲であり、さらに好ましくは0.75以上の範囲である。ただし、Crateを0.95を越える範囲にまで調整することは材料の特性上困難である。
A層のPPS、すなわちCrateが0.70以上である酸化架橋しにくいPPSとしては、
分岐構造のないポリマ(PPSの繰り返し単位の99モル%以上が前記構造式で示される構成単位からなるポリマ)を用いることが有効である。このようなPPSは、後述するように、モノマとして、ジクロロベンゼンなどのジハロベンゼンを使用し、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物を共重合しないで製造することによって得ることができる。またさらにCrateを0.72以上、0.75以上と高めるためには、重合後に得られたPPSに対し温水洗浄を施し、その際アルカリ土類金属塩を含む温水で洗浄すること、重合後に得られたPPSを有機アミド溶媒や有機ケトン類、アルコール類などの有機溶媒で室温から150℃の温度で洗浄することなどの手段などがあげられる。
分岐構造のないポリマ(PPSの繰り返し単位の99モル%以上が前記構造式で示される構成単位からなるポリマ)を用いることが有効である。このようなPPSは、後述するように、モノマとして、ジクロロベンゼンなどのジハロベンゼンを使用し、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物を共重合しないで製造することによって得ることができる。またさらにCrateを0.72以上、0.75以上と高めるためには、重合後に得られたPPSに対し温水洗浄を施し、その際アルカリ土類金属塩を含む温水で洗浄すること、重合後に得られたPPSを有機アミド溶媒や有機ケトン類、アルコール類などの有機溶媒で室温から150℃の温度で洗浄することなどの手段などがあげられる。
A層のPPSのMFRは、5〜300g/10分であることが好ましく、より好ましくは40〜250g/10分である。MFRがこの範囲内あることにより、加工性が向上し、フィルムとして容易に製膜ができやすくなるためである。
また、A層の厚みtaは、4μm≦ta≦50μmを満足することが好ましく、より好ましくは4μm≦ta≦40μmを満足することが本発明の効果を効率よく発揮でき好ましい。A層の厚みtaが4μm未満であると、A層の下層(B層とする)を充分に被覆することができず、B層表面に粗大突起が生じた場合に、その粗大突起によってA層に凹凸が生じ、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの表面平滑性が低下する恐れがある。一方、A層の厚みtaが50μmを超えた場合、製膜延伸工程での破れを引き起こしやすくするため好ましくない。A層に使用されるCrateが0.70以上のPPSは直鎖配向しやすく、A層の引裂強度が低下するために製膜中の破れが生じやすく、特にA層の厚みが50μmを越えると顕著になる。
また、B層のPPSとしては特に制限されず、形成しようとする複合フィルムの特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択して使用することができる。例えば、いわゆるリサイクルポリマをB層のPPSとして用いることもできる。ここで、リサイクルポリマとは、一度溶融押出成形されたPPSのことであり、たとえば製膜時などに生じるフィルム屑、製膜時や延伸時などに破れや未延伸部が生じたフィルムを粉砕したものなどが挙げられる。リサイクルポリマは、一度溶融されたものであるので、一度も溶融押出成形されていない、いわゆるバージンポリマに比べ、ポリマの熱劣化物を多く含む。このため、従来のPPSフィルムにおいてリサイクルポリマを用いると、フィルムの表面平滑性が低下するという問題が生じる。しかしながら、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムでは、B層は表面平滑性に優れるA層で被覆されるので、B層にリサイクルポリマを用いても、フィルム表面の粗大突起を防ぐことができる。したがって、本発明では、フィルムの表面平滑性を低下させることなく、B層にリサイクルポリマを用い、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの製造コストを低減することができる。
なお、加工性を考慮すると、B層のPPSのMFRは、5〜300g/10分であることが好ましく、より好ましくは40〜250g/10分である。MFRがこの範囲内にあることにより、加工性が向上し、容易に製膜することができる。
本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの各層には、本発明の特性を阻害しない範囲内で、PPS以外の樹脂(異種ポリマ)をブレンドしてもよく、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
[製造方法]
次に、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの製造方法について述べる。
次に、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの製造方法について述べる。
(1)ポリフェニレンスルフィド(PPS)
まず、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムに用いるポリフェニレンスルフィド(PPS)の製造方法について述べる。PPSは、アルカリ金属硫化物(硫化アルカリ)とジハロベンゼンとを重合させることによって製造することができる。
まず、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムに用いるポリフェニレンスルフィド(PPS)の製造方法について述べる。PPSは、アルカリ金属硫化物(硫化アルカリ)とジハロベンゼンとを重合させることによって製造することができる。
〔アルカリ金属硫化物〕
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどが挙げられ、その中でも硫化ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。また、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、たとえば、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とから調製されるアルカリ金属硫化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素とから調製されるアルカリ金属硫化物などを用いることもできる。アルカリ金属硫化物は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどが挙げられ、その中でも硫化ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。また、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、たとえば、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とから調製されるアルカリ金属硫化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素とから調製されるアルカリ金属硫化物などを用いることもできる。アルカリ金属硫化物は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
〔ジハロベンゼン〕
ジハロベンゼンとしては、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのp・ジハロベンゼン、m−ジクロロベンゼンなどのm−ジハロベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン原子以外の置換基を含むジハロベンゼンなどを挙げることができる。これらの中でも、p−ジハロベンゼンが好ましく、p−ジクロロベンゼンが特に好ましい。ジハロベンゼンは、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
ジハロベンゼンとしては、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのp・ジハロベンゼン、m−ジクロロベンゼンなどのm−ジハロベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン原子以外の置換基を含むジハロベンゼンなどを挙げることができる。これらの中でも、p−ジハロベンゼンが好ましく、p−ジクロロベンゼンが特に好ましい。ジハロベンゼンは、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
ジハロベンゼンの使用量(仕込み量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、好ましくは0.9〜2モル、より好ましくは1.0〜1.3モルの範囲であることが、高分子量のPPSを得るためには望ましい。この使用割合が0.9モル未満または2.0モル超過の場合には、加工に適した高粘度(高重合度)のPPSを得ることが困難となるので好ましくない。
〔ジハロベンゼン以外のハロゲン化化合物〕
本発明においては、生成PPSの末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、ジハロベンゼンと共に、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を併用することができる。また、分岐または架橋重合体を形成させるために、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン芳香族化合物及びハロゲン芳香族ニトロ化合物などを併用することも可能である。
本発明においては、生成PPSの末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、ジハロベンゼンと共に、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を併用することができる。また、分岐または架橋重合体を形成させるために、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン芳香族化合物及びハロゲン芳香族ニトロ化合物などを併用することも可能である。
〔重合助剤〕
本発明においては、重合度を調整するために、重合助剤を添加して反応させることが好ましい。重合助剤としては、一般にPPSの重合助剤として用いられる公知の重合助剤を用いることができ、例えば、アルカリ金属水酸化物(苛性アルカリ)、カルボン酸アルカリ金属塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物、カルボン酸アルカリ金属塩が好適に用いられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。カルボン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウムなどが挙げられ、その中でも安価で入手し易いことから、酢酸ナトリウムが好適に用いられる。カルボン酸のアルカリ金属塩は、無水物、水和物または水溶液として用いることができる。また、カルボン酸のアルカリ金属塩は、有機アミド溶媒中で、有機酸と、アルカリ金属水酸化物、炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。 重合助剤は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が組み合わされて用いられてもよい。重合助剤の使用量は、重合助剤そのものの種類、ならびにアルカリ金属硫化物およびジハロベンゼンの種類などに応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、0.01モル〜5モルの範囲が好ましく、0.1〜2モルの範囲がより好ましい。
本発明においては、重合度を調整するために、重合助剤を添加して反応させることが好ましい。重合助剤としては、一般にPPSの重合助剤として用いられる公知の重合助剤を用いることができ、例えば、アルカリ金属水酸化物(苛性アルカリ)、カルボン酸アルカリ金属塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物、カルボン酸アルカリ金属塩が好適に用いられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。カルボン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウムなどが挙げられ、その中でも安価で入手し易いことから、酢酸ナトリウムが好適に用いられる。カルボン酸のアルカリ金属塩は、無水物、水和物または水溶液として用いることができる。また、カルボン酸のアルカリ金属塩は、有機アミド溶媒中で、有機酸と、アルカリ金属水酸化物、炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。 重合助剤は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が組み合わされて用いられてもよい。重合助剤の使用量は、重合助剤そのものの種類、ならびにアルカリ金属硫化物およびジハロベンゼンの種類などに応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、0.01モル〜5モルの範囲が好ましく、0.1〜2モルの範囲がより好ましい。
〔重合溶媒〕
溶媒としては、有機アミド溶媒などの極性溶媒を使用することが好ましい。有機アミド溶媒の中でも、反応の安定性が高いことから、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒などのアミド系高沸点極性溶媒が好適に用いられる。これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する場合もある)が特に好適に用いられる。溶媒の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.2〜10モルの範囲が好ましく、2〜5モルの範囲がより好ましい。
溶媒としては、有機アミド溶媒などの極性溶媒を使用することが好ましい。有機アミド溶媒の中でも、反応の安定性が高いことから、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒などのアミド系高沸点極性溶媒が好適に用いられる。これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する場合もある)が特に好適に用いられる。溶媒の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.2〜10モルの範囲が好ましく、2〜5モルの範囲がより好ましい。
〔重合反応〕
本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムに用いられるPPSは、アルカリ金属硫化物およびジハロベンゼンの適量、ならびに必要に応じてジハロベンゼン以外のハロゲン化化合物および重合助剤の適量を、アミド系高沸点溶媒などの極性溶媒中に加え、高温高圧下に反応させることによって製造することができる。重合系内の圧力は、使用する助剤の種類や量、および所望する重合度等に応じて適宜選択される。また重合系内の温度および重合時間も、使用する助剤の種類や量、および所望する重合度等に応じて適宜選択されるけれども、好ましくは温度200〜300℃において20分〜50時間、より好ましくは温度230〜280℃において1〜10時間である。以上のようにして粉状または粒状のPPSを得る。次いで、得られた粉状または粒状のPPSを、水または/および溶媒で洗浄して、副製塩、重合助剤、未反応モノマ等を分離する。なお、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムのA層に用いるPPSは、Crateが0.70以上であることが必要であるので、A層に用いるPPSを製造する場合には、以下のようにしてPPSの酸化架橋を抑えることが好ましい。
(a)モノマとして、ジクロロベンゼンなどのジハロベンゼンを使用し、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物を共重合しない。トリハロ以上のポリハロ化合物は、少量であっても酸化架橋を促し、Crateが0.70未満になりやすいので、使用しないことが好ましい。なお、ジハロベンゼンには異性体化合物(トリハロベンゼン等)が混在している可能性があるので、ジハロベンゼンは、予め精製され、混在する異性体化合物(トリハロベンゼン等)をよく除いて用いることが好ましい。
(b)重合後に得られたPPSを、温水、好ましくはアルカリ土類金属塩を含む温水で洗浄する。作用機構は不明であるが、かかる洗浄を施すことにより酸化架橋を抑制することができる。
(c)重合後に得られたPPSを、温度20〜150℃の有機溶媒で洗浄する。これによって、副製塩、重合助剤、未反応モノマなどの不純物の残存を防ぐことができる。使用される有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒、アセトンなどの有機ケトン類、アルコール類などが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒が特に好ましい。洗浄時間は、浴比および有機溶媒の温度などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、好ましくは0.6時間以上、より好ましくは1時間以上である。また洗浄浴比は、洗浄時間および有機溶媒の温度などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、乾燥PPS1kgに対して、有機溶剤5.0kg以上を用いて洗浄することが好ましい。
本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムに用いられるPPSは、アルカリ金属硫化物およびジハロベンゼンの適量、ならびに必要に応じてジハロベンゼン以外のハロゲン化化合物および重合助剤の適量を、アミド系高沸点溶媒などの極性溶媒中に加え、高温高圧下に反応させることによって製造することができる。重合系内の圧力は、使用する助剤の種類や量、および所望する重合度等に応じて適宜選択される。また重合系内の温度および重合時間も、使用する助剤の種類や量、および所望する重合度等に応じて適宜選択されるけれども、好ましくは温度200〜300℃において20分〜50時間、より好ましくは温度230〜280℃において1〜10時間である。以上のようにして粉状または粒状のPPSを得る。次いで、得られた粉状または粒状のPPSを、水または/および溶媒で洗浄して、副製塩、重合助剤、未反応モノマ等を分離する。なお、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムのA層に用いるPPSは、Crateが0.70以上であることが必要であるので、A層に用いるPPSを製造する場合には、以下のようにしてPPSの酸化架橋を抑えることが好ましい。
(a)モノマとして、ジクロロベンゼンなどのジハロベンゼンを使用し、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物を共重合しない。トリハロ以上のポリハロ化合物は、少量であっても酸化架橋を促し、Crateが0.70未満になりやすいので、使用しないことが好ましい。なお、ジハロベンゼンには異性体化合物(トリハロベンゼン等)が混在している可能性があるので、ジハロベンゼンは、予め精製され、混在する異性体化合物(トリハロベンゼン等)をよく除いて用いることが好ましい。
(b)重合後に得られたPPSを、温水、好ましくはアルカリ土類金属塩を含む温水で洗浄する。作用機構は不明であるが、かかる洗浄を施すことにより酸化架橋を抑制することができる。
(c)重合後に得られたPPSを、温度20〜150℃の有機溶媒で洗浄する。これによって、副製塩、重合助剤、未反応モノマなどの不純物の残存を防ぐことができる。使用される有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒、アセトンなどの有機ケトン類、アルコール類などが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒が特に好ましい。洗浄時間は、浴比および有機溶媒の温度などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、好ましくは0.6時間以上、より好ましくは1時間以上である。また洗浄浴比は、洗浄時間および有機溶媒の温度などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、乾燥PPS1kgに対して、有機溶剤5.0kg以上を用いて洗浄することが好ましい。
(2)PPS樹脂組成物
得られたPPSには、強度、剛性、表面滑性を向上させるために、無機粒子または有機粒子などの滑剤を添加することが好ましい。この場合には、まず、無機粒子または有機粒子などの滑剤を、上記粉状または粒状のPPSに混ぜ、ヘンシェル等で均一混合する。また、PPS以外の樹脂(異種ポリマ)をブレンドする場合や酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加する場合にも、同様にしてPPSに混合する。本発明に用いる滑剤の平均粒径および添加量は特に制限されず、滑剤そのものの種類などの各種条件に応じて適宜選択することができるけれども、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの平面性を向上させるという観点からは、平均粒径3μm以下、添加量0.05〜3重量%の範囲であることが好ましい。なお、滑剤の粒形は特に規定されない。
得られたPPSには、強度、剛性、表面滑性を向上させるために、無機粒子または有機粒子などの滑剤を添加することが好ましい。この場合には、まず、無機粒子または有機粒子などの滑剤を、上記粉状または粒状のPPSに混ぜ、ヘンシェル等で均一混合する。また、PPS以外の樹脂(異種ポリマ)をブレンドする場合や酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加する場合にも、同様にしてPPSに混合する。本発明に用いる滑剤の平均粒径および添加量は特に制限されず、滑剤そのものの種類などの各種条件に応じて適宜選択することができるけれども、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの平面性を向上させるという観点からは、平均粒径3μm以下、添加量0.05〜3重量%の範囲であることが好ましい。なお、滑剤の粒形は特に規定されない。
次いで、得られた混合物を押出機(好ましくは一段以上のベント孔を有する押出機)に供給し、290〜360℃の温度で溶融混練して適当な口金から押し出し、PPS樹脂組成物を得る。またガット状に溶融成形して、長さ2〜10mm程度にカットし、ペレット状のPPS樹脂組成物としてもよい。得られたPPS樹脂組成物は、真空下の加熱式ドライヤで、温度100〜180℃、時間1〜5時間程度の条件で乾燥される。
なお、無機粒子または有機粒子などの滑剤を添加しない場合には、(1)で得られたPPSに必要に応じてPPS以外の樹脂(異種ポリマ)や酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を混合し、滑剤を含む混合物の場合と同様にして押出し成形または溶融成形し、PPS樹脂組成物として使用することができる。
このようにして製造されるPPS樹脂組成物は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。たとえば、滑剤が添加されたPPS樹脂ペレットと、滑剤が添加されていないPPS樹脂ペレットとを混合して用いることができる。
(3)ポリフェニレンスルフィド複合フィルム
次に、(2)で得られたPPS樹脂ペレットを用いて、少なくともA層およびB層が積層されてなる本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを製造する。(2)で得られたPPS樹脂ペレットを減圧下(好ましくは真空度が0〜50mmHg)で120〜230℃(好ましくは160℃から200℃)の温度に加熱しながらミキサーで攪拌し、3時間以上(好ましくは5〜10時間)乾燥する。PPS樹脂組成物の乾燥は、前述のようにしてPPS樹脂組成物を乾燥した後、徐冷して室温まで戻し、再度乾燥させるなど、多段階に分けて行ってもよい。ここで、乾燥温度が230℃を越えると、ポリマが熱劣化したり、乾燥原料が固まりフィルムの製膜に支障を来す懸念があり、また該温度が120℃未満では、PPS原料中の不純物、特に250℃程度にまで加熱して揮発するような高沸点化合物が残留し、フィルムの欠陥を引き起こすおそれがある。
次に、(2)で得られたPPS樹脂ペレットを用いて、少なくともA層およびB層が積層されてなる本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを製造する。(2)で得られたPPS樹脂ペレットを減圧下(好ましくは真空度が0〜50mmHg)で120〜230℃(好ましくは160℃から200℃)の温度に加熱しながらミキサーで攪拌し、3時間以上(好ましくは5〜10時間)乾燥する。PPS樹脂組成物の乾燥は、前述のようにしてPPS樹脂組成物を乾燥した後、徐冷して室温まで戻し、再度乾燥させるなど、多段階に分けて行ってもよい。ここで、乾燥温度が230℃を越えると、ポリマが熱劣化したり、乾燥原料が固まりフィルムの製膜に支障を来す懸念があり、また該温度が120℃未満では、PPS原料中の不純物、特に250℃程度にまで加熱して揮発するような高沸点化合物が残留し、フィルムの欠陥を引き起こすおそれがある。
次いで、乾燥されたPPS樹脂組成物を用いて本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製する。本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの各層を積層する方法としては、コーティング、ラミネートまたは共押出による方法などを用いることができるけれども、最表面層となるA層の厚みtaが前述の好適な範囲である4≦ta≦50μmになるようにA層を薄く形成するためには、コーティングまたは共押出による方法が好ましい。更に本発明においては、共押出による積層が、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを構成する各層の厚みコントロールの上で好ましい。
共押出による積層において、本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムの各層を形成するPPS樹脂組成物は、溶融押出装置と口金出口との間のポリマ流路内で合流積層されるけれども、口金よりもPPS樹脂組成物の流動方向上流側(たとえばマニホールド)で合流積層されることが好ましい。具体的には、2台または3台以上の溶融押出装置、および2層以上のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)などの合流装置を用いて以下のようにして積層することが好ましい。
まず、各層を形成するPPS樹脂組成物を溶融押出装置にそれぞれ供給し、各PPS樹脂組成物の融点以上(好ましくは290〜360℃)の温度に加熱して溶融する。次いで、この溶融物を溶融押出装置と口金出口との間に設けられた合流装置において溶融状態で2層以上に積層し、スリット状の口金出口から押出し、キャスティングロールと呼ばれる回転する金属ドラム上で冷却固化させる(キャストする)などの方法で急冷して未延伸フィルムを作製する。このとき、ポリマ流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置することが好ましい。
各層を二軸に配向させる際には、得られた未延伸フィルムを二軸延伸する。未延伸フィルムの延伸方法としては、ロール群とテンターとを用いて長手方向(縦方向)および幅方向(横方向)の延伸を順次行なう逐次二軸延伸法、長手方向および幅方向の延伸を同時に行なう同時二軸延伸法、チューブラー法等が挙げられ、その中でも逐次二軸延伸法が好ましい。
逐次二軸延伸法を用いる場合の延伸条件は、PPS樹脂組成物に含まれるPPSの種類、ならびにその他の樹脂や添加物の有無および種類などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、温度60〜150℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜110℃で、長手方向(縦方向)および幅方向(横方向)をそれぞれ2〜7倍、好ましくは2〜5倍、より好ましくは3〜5倍の倍率で延伸することが好ましい。
得られた延伸フィルムには、さらに熱処理を施すことが好ましい。このときの熱処理条件は、PPS樹脂組成物に含まれるPPSの種類、ならびにその他の樹脂や添加物の有無および種類などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、温度180〜(PPS樹脂組成物の融点)℃、好ましくは200〜(PPS樹脂組成物の融点−5)℃の範囲で、定長または15%以下の制限収縮下に1〜60秒間行なうことが、耐熱性、機械特性、熱的寸法安定性の点で好ましい。さらに該フィルムの熱寸法安定性を向上させるために、一方向もしくは二方向にリラックスしてもよい。
[特性の評価方法]
次に本発明の記述に用いた、特性の評価方法および評価の基準を述べる。
(1)MFR(メルトフローレート)
東洋精機社製メルトインデクサF−BO1(長さ8.00mm、穴直径2.095mmのオリフィス、サンプル量7g、サンプル仕込み後測定開始までのプレヒート時間5分、荷重5000g)を用い、315.5℃の条件で測定を行い、ポリマのメルトフローレートを比較した。
(2)積層厚み
日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトームST−201を用いて断面切削したフィルムのスライス片を透過光顕微鏡で観察し、各層の厚みを測定した。
(3)フィッシュアイ数(FE)
反射光下でフィルムを拡大して観察し、長径200μm以上の異物数を測定した。観察面積は1000cm2である。
(4)高機能膜の表面欠陥の評価
フィルムの表面をレーヨン布でラビング処理し、エステル系の液晶ポリマを塗布して乾燥(100℃、5分間)、熱処理(220℃、30分間)した後、塗布膜をフィルム から剥離してガラス板に挟み、偏光板からの距離が10cmで測定した明るさが2000LUXの偏光をかけて剥離膜の表面欠陥を確認した。評価は次の基準で行い、○以上を合格範囲とした。なお、評価サンプルは300mm×200mmとした。
◎:高機能膜に表面欠陥が認められない。
○:高機能膜の欠陥数1〜5箇所、ただし欠陥部分は薄い。
×:高機能膜の欠陥数6箇所以上で大半が濃い欠陥。
(5)製膜の安定性(破れ回数)
製膜の安定性の評価を下記の基準で行い、○以上を合格範囲とした。
◎:製膜時の破れがほとんどない(破れ回数0〜1回/24時間)
○:製膜時に時々破れが発生する(破れ回数2〜4回/24時間)
×:製膜時の破れが多く工業化は難しい(破れ回数5回以上/24時間)
次に本発明の記述に用いた、特性の評価方法および評価の基準を述べる。
(1)MFR(メルトフローレート)
東洋精機社製メルトインデクサF−BO1(長さ8.00mm、穴直径2.095mmのオリフィス、サンプル量7g、サンプル仕込み後測定開始までのプレヒート時間5分、荷重5000g)を用い、315.5℃の条件で測定を行い、ポリマのメルトフローレートを比較した。
(2)積層厚み
日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトームST−201を用いて断面切削したフィルムのスライス片を透過光顕微鏡で観察し、各層の厚みを測定した。
(3)フィッシュアイ数(FE)
反射光下でフィルムを拡大して観察し、長径200μm以上の異物数を測定した。観察面積は1000cm2である。
(4)高機能膜の表面欠陥の評価
フィルムの表面をレーヨン布でラビング処理し、エステル系の液晶ポリマを塗布して乾燥(100℃、5分間)、熱処理(220℃、30分間)した後、塗布膜をフィルム から剥離してガラス板に挟み、偏光板からの距離が10cmで測定した明るさが2000LUXの偏光をかけて剥離膜の表面欠陥を確認した。評価は次の基準で行い、○以上を合格範囲とした。なお、評価サンプルは300mm×200mmとした。
◎:高機能膜に表面欠陥が認められない。
○:高機能膜の欠陥数1〜5箇所、ただし欠陥部分は薄い。
×:高機能膜の欠陥数6箇所以上で大半が濃い欠陥。
(5)製膜の安定性(破れ回数)
製膜の安定性の評価を下記の基準で行い、○以上を合格範囲とした。
◎:製膜時の破れがほとんどない(破れ回数0〜1回/24時間)
○:製膜時に時々破れが発生する(破れ回数2〜4回/24時間)
×:製膜時の破れが多く工業化は難しい(破れ回数5回以上/24時間)
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(製造例1)
撹拌機付きの70Lのオートクレーブに、48重量%水硫化ナトリウム水溶液8.181kg(70.00モル)、純度96%の水酸化ナトリウム2.943kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.5モル)、無水酢酸ナトリウム2.239kg(27.30モル)、及びイオン交換水4.900kg(272.2モル)を仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.12kgおよびNMP0.14kgを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。なおこの反応における撹拌速度は240rpmとした。
仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて72.0モルであった。また、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.020モルの硫化水素が反応系外に飛散した。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10.29kg(69.97モル)、NMP9.090kg(91.70モル)を反応系に加えた。反応容器を窒素ガス下に密封した後、400rpmで撹拌しながら、200℃から227℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、次いで227℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、270℃で140分保持した。その後、イオン交換水2.346kg(130.3モル)を15分かけて系内に添加しながら、250℃まで徐々に反応系を冷却した。次いで250℃から200℃まで1.0℃/分の速度で徐々に反応系を冷却し、その後室温近傍まで急冷した。
得られたポリマを乾燥PPS1kg当たり、15kgのN−メチル−2−ピロリドン溶剤(浴比15)で90℃、1.5時間洗浄し、濾過を行った。得られたケークをイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で2回洗浄/濾過を行った後、酢酸カルシウムを1重量%含有するイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で洗浄/濾過し、再度イオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で2回洗浄/濾過を行った。得られたポリマを150℃、真空下で4日間乾燥した。得られたポリマのMFRは70g/10分、Crate=0.76であった。
得られたポリマに、平均粒径1μmの炭酸カルシウム粒子0.5重量%をブレンドして、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルタに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、PPS樹脂組成物のペレットを得た。得られたPPS樹脂組成物ペレットをPPSペレット−1とする。
撹拌機付きの70Lのオートクレーブに、48重量%水硫化ナトリウム水溶液8.181kg(70.00モル)、純度96%の水酸化ナトリウム2.943kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.5モル)、無水酢酸ナトリウム2.239kg(27.30モル)、及びイオン交換水4.900kg(272.2モル)を仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.12kgおよびNMP0.14kgを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。なおこの反応における撹拌速度は240rpmとした。
仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて72.0モルであった。また、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.020モルの硫化水素が反応系外に飛散した。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10.29kg(69.97モル)、NMP9.090kg(91.70モル)を反応系に加えた。反応容器を窒素ガス下に密封した後、400rpmで撹拌しながら、200℃から227℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、次いで227℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、270℃で140分保持した。その後、イオン交換水2.346kg(130.3モル)を15分かけて系内に添加しながら、250℃まで徐々に反応系を冷却した。次いで250℃から200℃まで1.0℃/分の速度で徐々に反応系を冷却し、その後室温近傍まで急冷した。
得られたポリマを乾燥PPS1kg当たり、15kgのN−メチル−2−ピロリドン溶剤(浴比15)で90℃、1.5時間洗浄し、濾過を行った。得られたケークをイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で2回洗浄/濾過を行った後、酢酸カルシウムを1重量%含有するイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で洗浄/濾過し、再度イオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で2回洗浄/濾過を行った。得られたポリマを150℃、真空下で4日間乾燥した。得られたポリマのMFRは70g/10分、Crate=0.76であった。
得られたポリマに、平均粒径1μmの炭酸カルシウム粒子0.5重量%をブレンドして、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルタに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、PPS樹脂組成物のペレットを得た。得られたPPS樹脂組成物ペレットをPPSペレット−1とする。
(製造例2)
製造例1と同様にして脱水工程および重合工程を行った。
得られたポリマを乾燥PPS1kg当たり、15kgのN−メチル−2−ピロリドン溶剤(浴比15)で90℃、1.5時間洗浄/濾過し、更にアセトン(浴比15)で30℃、1.5時間洗浄/濾過した。得られたケークをイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で1回洗浄/濾過を行った後、酢酸カルシウムを1重量%含有するイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で洗浄/濾過し、再度イオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で2回洗浄/濾過を行った。得られたポリマを150℃、真空下で4日間乾燥した。得られたポリマのMFRは68g/10分、Crate=0.79であった。得られたポリマを用い、製造例1と同様にしてPPS樹脂組成物ペレットを作製した。得られたPPS樹脂組成物ペレットをPPSペレット−2とする。
製造例1と同様にして脱水工程および重合工程を行った。
得られたポリマを乾燥PPS1kg当たり、15kgのN−メチル−2−ピロリドン溶剤(浴比15)で90℃、1.5時間洗浄/濾過し、更にアセトン(浴比15)で30℃、1.5時間洗浄/濾過した。得られたケークをイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で1回洗浄/濾過を行った後、酢酸カルシウムを1重量%含有するイオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で洗浄/濾過し、再度イオン交換水(浴比15)、70℃、1.5時間で2回洗浄/濾過を行った。得られたポリマを150℃、真空下で4日間乾燥した。得られたポリマのMFRは68g/10分、Crate=0.79であった。得られたポリマを用い、製造例1と同様にしてPPS樹脂組成物ペレットを作製した。得られたPPS樹脂組成物ペレットをPPSペレット−2とする。
(製造例3)
脱水工程における無水酢酸ナトリウムの仕込量を1.894kg(23.10モル)、重合工程におけるp−DCBの仕込量を10.34kg(70.32モル)とし、重合工程でp−DCBとともに1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を6.35g(0.0350モル)仕込んだこと、また、重合工程で添加するイオン交換水を1.235kg(68.60モル)とした以外は、製造例1と同様にしてPPSポリマを作製した。得られたポリマのMFRは65g/10分、Crate=0.64であった。得られたポリマを用い、製造例1と同様にしてPPS樹脂組成物ペレットを作製した。得られたPPS樹脂組成物ペレットをPPSペレット−3とする。
脱水工程における無水酢酸ナトリウムの仕込量を1.894kg(23.10モル)、重合工程におけるp−DCBの仕込量を10.34kg(70.32モル)とし、重合工程でp−DCBとともに1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を6.35g(0.0350モル)仕込んだこと、また、重合工程で添加するイオン交換水を1.235kg(68.60モル)とした以外は、製造例1と同様にしてPPSポリマを作製した。得られたポリマのMFRは65g/10分、Crate=0.64であった。得られたポリマを用い、製造例1と同様にしてPPS樹脂組成物ペレットを作製した。得られたPPS樹脂組成物ペレットをPPSペレット−3とする。
(実施例1)
製造例1で作製したPPSペレット−1を単軸押出機に供給し、310℃で溶融した(ポリマI)。また、製造例3で作製したPPSペレット−3を別のベント式二軸混練押出機に供給し、310℃で溶解した(ポリマII)。この2つのポリマを、それぞれ高精度濾過した後、矩形積層部を備えた3層合流ブロックにて、ポリマIIが基層部であるB層となり、基層部の両面表層にA層としてポリマIがくるように積層し、940mm幅でリップ間隙3mmの口金よりシート状にして押し出した。次いで、このシートを、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、厚み約920μmの未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを逐次二軸延伸法で長手方向に温度98℃で4.35倍延伸し、さらに幅方向に延伸するためにテンターを通し、温度100℃で3.5倍延伸した。さらに同一テンターに後続する熱処理室で260℃の温度で、10秒間熱処理し、5%の制限収縮下で幅方向にリラックスした。
以上のようにして、A層、B層、A層の順に積層された3層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを得た。得られたフィルムは、A層の厚みtaが15μmであり、B層の厚みtbが30μmであり、全体の厚みが60μmであった。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは4個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
製造例1で作製したPPSペレット−1を単軸押出機に供給し、310℃で溶融した(ポリマI)。また、製造例3で作製したPPSペレット−3を別のベント式二軸混練押出機に供給し、310℃で溶解した(ポリマII)。この2つのポリマを、それぞれ高精度濾過した後、矩形積層部を備えた3層合流ブロックにて、ポリマIIが基層部であるB層となり、基層部の両面表層にA層としてポリマIがくるように積層し、940mm幅でリップ間隙3mmの口金よりシート状にして押し出した。次いで、このシートを、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、厚み約920μmの未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを逐次二軸延伸法で長手方向に温度98℃で4.35倍延伸し、さらに幅方向に延伸するためにテンターを通し、温度100℃で3.5倍延伸した。さらに同一テンターに後続する熱処理室で260℃の温度で、10秒間熱処理し、5%の制限収縮下で幅方向にリラックスした。
以上のようにして、A層、B層、A層の順に積層された3層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを得た。得られたフィルムは、A層の厚みtaが15μmであり、B層の厚みtbが30μmであり、全体の厚みが60μmであった。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは4個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
(実施例2)
A層となるポリマIとして製造例2で作製したPPSペレット−2を用いる以外は実施例1と同様にしてポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは2個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
A層となるポリマIとして製造例2で作製したPPSペレット−2を用いる以外は実施例1と同様にしてポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは2個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
(実施例3)
押出し成形に際し、3層合流ブロックに代えて2層合流ブロックを用い、ポリマIIからなる基層部(B層)の片面表層にA層としてポリマIがくるように積層し、延伸後のA層の厚みtaが25μm、B層の厚みtbが35μmとなるようにポリマIおよびIIの吐出条件を調整する以外は実施例1と同様にして、A層、B層の順に積層された2層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは5個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
押出し成形に際し、3層合流ブロックに代えて2層合流ブロックを用い、ポリマIIからなる基層部(B層)の片面表層にA層としてポリマIがくるように積層し、延伸後のA層の厚みtaが25μm、B層の厚みtbが35μmとなるようにポリマIおよびIIの吐出条件を調整する以外は実施例1と同様にして、A層、B層の順に積層された2層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは5個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
(実施例4)
延伸後のA層の厚みtaが2μm、B層の厚みtbが56μmとなるようにポリマIおよびIIの吐出条件を調整する以外は実施例1と同様にして、A層、B層、A層の順に積層された3層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは12個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、5箇所の欠陥が認められたけれども、その欠陥部分は薄く、実用上問題とならない程度であった(評価○)。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
延伸後のA層の厚みtaが2μm、B層の厚みtbが56μmとなるようにポリマIおよびIIの吐出条件を調整する以外は実施例1と同様にして、A層、B層、A層の順に積層された3層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは12個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、5箇所の欠陥が認められたけれども、その欠陥部分は薄く、実用上問題とならない程度であった(評価○)。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
(実施例5)
押出し成形に際し、3層合流ブロックに代えて2層合流ブロックを用い、ポリマIIからなる基層部(B層)の片面表層にA層としてポリマIがくるように積層し、延伸後のA層の厚みtaが52μm、B層の厚みtbが8μmとなるようにポリマIおよびIIの吐出条件を調整する以外は実施例1と同様にして、A層、B層の順に積層された2層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは6個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、延伸工程において破れは生じたけれども、24時間中に3回発生しただけであった。
押出し成形に際し、3層合流ブロックに代えて2層合流ブロックを用い、ポリマIIからなる基層部(B層)の片面表層にA層としてポリマIがくるように積層し、延伸後のA層の厚みtaが52μm、B層の厚みtbが8μmとなるようにポリマIおよびIIの吐出条件を調整する以外は実施例1と同様にして、A層、B層の順に積層された2層構造のポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは6個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、延伸工程において破れは生じたけれども、24時間中に3回発生しただけであった。
(比較例1)
製造例1で作製したPPSペレット−1を単軸押出機に供給し、310℃で溶融した。このポリマを高精度濾過した後、940mm幅でリップ間隙3mmの口金よりシート状にして押し出した。このシートを実施例1と同様にして冷却固化し、厚み約610μmの未延伸フィルムを作製した。
製造例1で作製したPPSペレット−1を単軸押出機に供給し、310℃で溶融した。このポリマを高精度濾過した後、940mm幅でリップ間隙3mmの口金よりシート状にして押し出した。このシートを実施例1と同様にして冷却固化し、厚み約610μmの未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを実施例1と同様にして延伸した後、熱処理し、厚み40μmの単層フィルムを得た。このフィルムのフィッシュアイは5個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥は認められず、高機能膜の表面欠点の評価は◎であった。しかしながら、実施例1と同様にして製膜性試験を行ったところ、24時間中に延伸工程において6回の破れが生じ、連続して製膜することができなかった。
(比較例2)
製造例3で作製したPPSペレット−3を単軸押出機に供給し、310℃で溶融した。このポリマを高精度濾過した後、940mm幅でリップ間隙3mmの口金よりシート状にして押し出した。このシートを実施例1と同様にして冷却固化し、厚み約920μmの未延伸フィルムを作製した。
製造例3で作製したPPSペレット−3を単軸押出機に供給し、310℃で溶融した。このポリマを高精度濾過した後、940mm幅でリップ間隙3mmの口金よりシート状にして押し出した。このシートを実施例1と同様にして冷却固化し、厚み約920μmの未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを実施例1と同様にして延伸した後、熱処理し、厚み60μmの単層フィルムを得た。このフィルムのフィッシュアイは31個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥が17箇所あり、液晶表示板用途で使用できるレベルではなかった(評価×)。一方、実施例1と同様にして行った製膜性試験では、押出し成形時および延伸時のいずれにおいても破れを生じることなく、24時間連続して製膜することができた。
(比較例3)
A層となるポリマIとして製造例3で作製したPPSペレット−3を、またB層となるポリマIIとして製造例1で作製したPPSペレット・1を用いる以外は実施例1と同様にしてポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは25個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥が13箇所あり、液晶表示板用途で使用できるレベルではなかった(評価×)。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、延伸工程において破れは生じたけれども、24時間中に1回発生しただけであった。
A層となるポリマIとして製造例3で作製したPPSペレット−3を、またB層となるポリマIIとして製造例1で作製したPPSペレット・1を用いる以外は実施例1と同様にしてポリフェニレンスルフィド複合フィルムを作製した。このフィルムの最表面層であるA層のフィッシュアイは25個であった。このフィルムを離型フィルムとして高機能膜を作製し、偏光下で表面欠陥を目視評価したところ、欠陥が13箇所あり、液晶表示板用途で使用できるレベルではなかった(評価×)。また、このフィルムを24時間連続して作製する製膜性試験を行ったところ、延伸工程において破れは生じたけれども、24時間中に1回発生しただけであった。
以上の評価結果を表1に示す。
本発明のポリフェニレンスルフィド複合フィルムは、自動車、産業機器、電子部品機器等のシールド基材、放熱回路基板、絶縁保護基板等として使用することができ、特に、液晶膜、セラミック膜や高機能高分子膜等の微小な表面欠陥を嫌う膜を製造する際の離型基材として最適である。
Claims (2)
- 少なくとも2層のポリフェニレンスルフィド層が積層されてなるポリフェニレンスルフィド複合フィルムであって、少なくとも一方の最表面層(A層とする)のポリフェニレンスルフィドの粘度保持率(c−MFR/MFR)が下記式を満足することを特徴とするポリフェニレンスルフィド複合フィルム。
(c−MFR/MFR)≧0.70 - A層の厚みtaが4μm≦ta≦50μmを満足することを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスルフィド複合フィルム。
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JP2004283764A JP2006095824A (ja) | 2004-09-29 | 2004-09-29 | ポリフェニレンスルフィド複合フィルム |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2010116428A (ja) * | 2008-11-11 | 2010-05-27 | Tosoh Corp | 再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法 |
JP2017130868A (ja) * | 2016-01-22 | 2017-07-27 | 株式会社コルグ | 音響装置およびプログラム |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2956254B2 (ja) * | 1991-04-18 | 1999-10-04 | 東レ株式会社 | 積層ポリフェニレンスルフィドフイルムおよびその製造方法 |
-
2004
- 2004-09-29 JP JP2004283764A patent/JP2006095824A/ja active Pending
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