JP2006095764A - 印刷装置、印刷方法、プログラム、および印刷システム - Google Patents

印刷装置、印刷方法、プログラム、および印刷システム Download PDF

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Abstract

【課題】 ユーザーにより印刷画像の画質改善を図れるようにする。
【解決手段】 印刷装置が、(A)インクを吐出させるための動作を行う素子と、(B)前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、(C)ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラとを備える。
【選択図】 図16

Description

本発明は、媒体に向けてインクを吐出して印刷する印刷装置、印刷方法、プログラムおよび印刷システムに関する。
各種用紙やフィルム、布などの媒体に対して印刷を施す印刷装置として、インクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、ノズルから媒体に向けてインクを吐出して媒体上にドットを形成して、媒体に画像を形成して印刷を施す。ここで、ノズルから吐出されるインクの速度が遅すぎると、ノズルから吐出されたインクから吐出時に分離して生じた小さなインク滴によって媒体上に形成された非常に小さなドット(以下、サテライトともいう)が大きく目立って生じてしまい、粒状性の悪化等、印刷される画像の画質に大きな影響を及ぼすことがあった。
そこで、このようなサテライトが目立たないようにするために、インクジェットプリンタにあっては、プリンタの製造段階において、ノズルから吐出されるインクの速度が個体毎に大きくばらつかないように、所定の許容範囲内に収まるように設定が行われている(特許文献1参照)。
特開2000−218786号公報
しかしながら、インクの速度については、周囲の温度環境等から影響を受けて変化することがある。このため、例えば、インクの吐出速度が所定の許容範囲ぎりぎりに設定されていた場合などにおいて、周囲の温度環境等の影響を受けて、インクの吐出速度が所定の許容範囲から外れて、サテライトが大きく目立って発生してしまうことがあった。このようにサテライトが大きく目立って発生した場合、従来のインクジェットプリンタでは、インクの吐出速度をユーザーにより変更することができず、このため、サテライトの発生を防止して画質改善を図ることはできなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ユーザーによりインクの吐出速度をアップして印刷画像の画質改善を図れるようにすることにある。
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)インクを吐出させるための動作を行う素子と、
(B)前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、
(C)ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラと、
(D)を備えたことを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(A)インクを吐出させるための動作を行う素子と、
(B)前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、
(C)ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラと、
(D)を備えたことを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置にあっては、ユーザーからの設定情報に応じて、信号出力部により出力される信号を第1駆動信号から第2駆動信号へと切り替えられるため、インクの吐出速度をユーザーによりアップすることができる。
かかる印刷装置にあっては、前記素子は、圧電素子からなっても良い。このように素子が圧電素子からなれば、インクを吐出させるための動作を簡単に行うことができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記素子は、インクを吐出するための前記動作を行う際に、変形しても良い。このようにインクを吐出するための動作を行う際に、素子が変形すれば、簡単にインクを吐出することができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記第1駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量と、前記第2駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量とが等しくても良い。このように第1駆動信号によって素子が動作したときに吐出されるインクの量と、第2駆動信号によって素子が動作したときに吐出されるインクの量とが等しければ、印刷される画像の画質に大きな影響を及ぼさずに済む。
また、かかる印刷装置にあっては、前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、信号の波形がそれぞれ異なっても良い。このように第1駆動信号と第2駆動信号とでそれぞれ信号の波形が異なれば、それぞれ素子に対して異なる速度にてインクを吐出する動作を行わせることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、記第1駆動信号および前記第2駆動信号は、前記素子をある状態に保持しておくために、信号レベルが一定に保持される期間を有しても良い。このような期間を有することで、素子によりインクを吐出させるための動作をスムーズに行うことができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記期間として、前記信号レベルが前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値と最小値との間の所定のレベルに設定される期間を有しても良い。このような期間を有することで、素子によりインクを吐出させるための動作をスムーズに行うことができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、前記所定のレベルがそれぞれ異なっても良い。このように所定のレベルが異なれば、インクの吐出速度を簡単に異ならせることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値および最小値が等しくても良い。このようにインクを吐出する動作を素子に行わせるときの信号レベルの最大値および最小値が、第1駆動信号と第2駆動信号とで等しければ、第1駆動信号によって素子が動作したときに吐出されるインクの量と、第2駆動信号によって素子が動作したときに吐出されるインクの量とを等しくすることが可能である。
また、かかる印刷装置にあっては、前記信号出力部は、前記第2駆動信号として、異なる速度で前記インクを吐出させるための動作を前記素子に行わせるための2種類以上の駆動信号を出力可能であっても良い。このように第2駆動信号として、2種類以上の駆動信号を出力可能であれば、インクの吐出速度を2以上の異なる速度に切り替えることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記コントローラは、前記設定情報に応じて、前記2種類以上の駆動信号の中から適切な駆動信号を選択して切り替えても良い。このように適切な駆動信号を選択して切り替えれば、印刷される画像の画質向上をスムーズに図ることができる。
(A)インクを吐出させるための動作を行う素子と、
(B)前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、
(C)ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラと、
(D)を備え、
(E)前記素子は、圧電素子からなり、インクを吐出するための前記動作を行う際に、変形し、
(F)前記第1駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量と、前記第2駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量とが等しく、
(G)前記第1駆動信号および前記第2駆動信号は、前記素子をある状態に保持しておくために、信号レベルが一定に保持される期間を有し、前記期間として、前記信号レベルが前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値と最小値との間の所定のレベルに設定される期間を有し、前記所定のレベルが前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでそれぞれ異なり、
(H)前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値および最小値が等しく、
(I)前記信号出力部は、前記第2駆動信号として、異なる速度で前記インクを吐出させるための動作を前記素子に行わせるための2種類以上の駆動信号を出力可能であり、
(J)前記コントローラは、前記設定情報に応じて、前記2種類以上の駆動信号の中から適切な駆動信号を選択して切り替える、
(K)ことを特徴とする印刷装置。
インクを吐出させるための動作を素子により行わせて印刷をする方法であって、
前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号を信号出力部から出力し、
ユーザーからの設定情報に応じて、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号を前記信号出力部から出力することを特徴とする印刷方法。
印刷装置において実行されるプログラムであって、
インクを吐出させるための動作を素子に行わせるステップと、
インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号を信号出力部から出力するステップと、
前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号を前記信号出力部から出力するステップと、
ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるステップとを実行することを特徴とするプログラム。
コンピュータと、このコンピュータと通信可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、
前記印刷装置は、インクを吐出させるための動作を行う素子と、
前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、
ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラとを備えたことを特徴とする印刷システム。
===印刷装置の概要===
印刷装置の実施の形態について、インクジェットプリンタ1を例にとり説明する。
図1は、そのインクジェットプリンタ1を示したものである。インクジェットプリンタ1は、コンピュータ152と有線または無線等により通信可能に接続される。なお、これらインクジェットプリンタ1と、コンピュータ152とにより構成されるシステム150は、「印刷システム」に相当する。
インクジェットプリンタ1は、背面から供給された印刷用紙等の媒体Sを前面から排出する構造を備えている。その背面部には、印刷される媒体Sがセットされる給紙部4が設けられている。この給紙部4には、媒体Sを支持するための給紙トレー8が設けられている。また、インクジェットプリンタ1の前面部には、印刷された媒体Sが排出される排紙部3が設けられている。この排紙部3には、排出された印刷済みの媒体Sを保持するための排紙トレー7が設けられている。
一方、コンピュータ152は、パーソナルコンピュータなどをはじめとする各種コンピュータであり、一般に、CPUをはじめとする各種演算処理装置や、RAMやROM等の各種メモリ、ハードディスク装置(図示外)やCD−ROMドライブ装置153、FDD装置154等の各種ドライブ装置などを内部に備えている。また、この他に、コンピュータ152には、CRTディスプレイ等の表示装置155と、キーボード156やマウス157等の入力装置が接続されている。
コンピュータ152は、各種メモリや各種ドライブ装置からプログラムを読み出して、各種オペーレーティングシステム(Operating System:OS)の下にて各種プログラムを実行する。ここで実行されるプログラムの中には、各種アプリケーションプログラムなども含まれている他、コンピュータ152に接続されたインクジェットプリンタ1を制御するプログラムとしてプリンタドライバが含まれている。
プリンタドライバは、インターネット等の通信回線またはCD−ROM、フロッピーディスク(FD)などの記憶媒体等を通じて、コンピュータ152にインストールされたプログラムである。このプリンタドライバがコンピュータ152にインストールされることによって、コンピュータ152は、インクジェットプリンタ1(印刷装置)を制御する、いわゆる印刷制御装置としての機能を発揮する。
<コンピュータの構成>
図2は、コンピュータ152のシステム構成の一例を説明したブロック構成図である。コンピュータ152は、FDD装置154やCD−ROMドライブ装置153の他に、CPU162と、メモリ163と、ハードディスクドライブ装置158と、ビデオメモリ159と、操作入力インターフェース164と、外部通信インターフェース165とを備えている。
CPU162は、コンピュータ152の全体の制御を行う。また、メモリ163は、CPU162が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。このメモリ163は、RAM、EEPROM、ROM等により構成される。ハードディスクドライブ装置158には、本実施形態のインクジェットプリンタ1を制御するためのプログラムとして、プリンタドライバなどがインストールされている。CPU162は、ハードディスクドライブ装置158に記憶されたプリンタドライバなどのプログラムを読み込んで、プログラムに従って動作する。また、CPU162は、ビデオメモリ159を通じて表示装置155に向けて画面を映し出すための映像信号を出力する。また、CPU162は、操作入力インターフェース164を介して、キーボード156やマウス157等の入力装置160からの操作入力を受け付ける。また、CPU162は、外部通信インターフェース165を介して、インクジェットプリンタ1と接続されて、インクジェットプリンタ1との間でデータのやりとりをする。
<プリンタドライバ>
図3は、プリンタドライバの設定画面の一例を示したものである。この設定画面は、表示装置155に表示される。ユーザーは、キーボード156やマウス157を通じてプリンタドライバの各種の設定を行うことができる。具体的には、この画面から、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)を選択することができる。例えば、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度として720dpiや360dpiを選択することができる。プリンタドライバは、選択された解像度に応じて解像度変換処理を行い、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いられる印刷用紙(媒体)を選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷媒体として、普通紙や光沢紙を選択することができる。媒体の種類(紙種)が異なれば、インクの滲み方や乾き方も異なるため、印刷に適したインク量も異なる。そのため、プリンタドライバは、選択された紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷する画像の種類を選択することができる。ここでは、例えば、印刷する画像の種類を「カラー印刷」にするのか、「モノクロ印刷」にするのかを選択することができる。
このほかに、ユーザーは、この画面上から、印刷モードを選択することができる。プリンタドライバは、ユーザーにより選択された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。
プリンタドライバは、このようにユーザにより設定された条件に従って、アプリケーションプログラムから受け取った画像データを印刷データに変換し、変換した印刷データをインクジェットプリンタ1に送信する。ここで行われる変換処理は、次のような処理である。
まず、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体Sに印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を行う。この解像度変換処理とは、例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。ここで、生成される画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。
次に、得られた画像データをCMYK色空間により表されるCMYKデータ(インクジェットプリンタ1が有するインクの色に対応したデータ)に変換する色変換処理を行う。その後、このCMYKデータをインクジェットプリンタ1が形成可能な階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う。このハーフトーン処理では、例えば、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。そして、こうして得られたデータを、インクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う。これにより生成されたデータが印刷データとしてインクジェットプリンタ1に向けて出力される。
===インクジェットプリンタの構成===
<印刷部>
次に本実施形態に係るインクジェットプリンタ1の構成について説明する。図4は、本実施形態のインクジェットプリンタ1の内部構成を示したものである。
このインクジェットプリンタ1の内部には、同図に示すように、キャリッジ41が設けられている。このキャリッジ41は、左右方向に沿って相対的に移動可能に設けられている。キャリッジ41の周辺には、キャリッジモータ42と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とが設けられている。キャリッジモータ42は、DCモータなどにより構成され、キャリッジ41を左右方向(以下、キャリッジ移動方向ともいう)に沿って相対的に移動させるための駆動源である。タイミングベルト45は、プーリ44を介してキャリッジモータ42に接続されるとともに、その一部がキャリッジ41に接続され、キャリッジモータ42の回転駆動によってキャリッジ41をキャリッジ移動方向(左右方向)に沿って相対的に移動させる。ガイドレール46は、キャリッジ41をキャリッジ移動方向(左右方向)に沿って案内する。
この他に、キャリッジ41の周辺には、キャリッジ41の位置を検出するリニア式エンコーダ51と、媒体Sをキャリッジ41の移動方向と交差する方向(図中、前後方向。以下、搬送方向ともいう)に沿って搬送するための搬送ローラ17Aと、この搬送ローラ17Aを回転駆動させる搬送モータ15とが設けられている。
一方、キャリッジ41には、各種インクを収容したインクカートリッジ48と、媒体Sに対して印刷を行うヘッド21とが設けられている。インクカートリッジ48は、例えば、イエロ(Y)やマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各色のインクを収容しており、キャリッジ41に設けられたカートリッジ装着部49に着脱可能に装着されている。また、ヘッド21は、本実施形態では、媒体Sに対してインクを吐出して印刷を施す。このために、ヘッド21には、インクを吐出するための多数のノズルが設けられている。
この他に、このインクジェットプリンタ1の内部には、ヘッド21のノズルの目詰まりを解消するためにノズルからインクを吸い出すポンプ装置31や、ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するために、印刷を行わないとき(待機時など)にヘッド21のノズルを封止するキャッピング装置35などが設けられている。
<搬送部>
図5は、インクジェットプリンタ1の搬送部の構成を説明するものである。この搬送部には、同図に示すように、給紙ローラ13と、紙検知センサ53と、搬送ローラ17Aと、排紙ローラ17Bと、プラテン14と、フリーローラ18A、18Bとが設けられている。
印刷される媒体Sは、給紙トレイ8にセットされる。給紙トレイ8にセットされた媒体Sは、断面略D形状に成形された給紙ローラ13により、図中矢印A方向に沿って搬送されて、インクジェットプリンタ1の内部へと送られる。インクジェットプリンタ1の内部に送られてきた媒体Sは、紙検知センサ53と接触する。この紙検知センサ53は、給紙ローラ13と、搬送ローラ17Aとの間に設置されたもので、給紙ローラ13により給紙された媒体Sを検知する。
紙検知センサ53により検知された媒体Sは、搬送ローラ17Aによって、印刷が実施されるプラテン14へと順次搬送される。搬送ローラ17Aの対向位置には、フリーローラ18Aが設けられている。このフリーローラ18Aと搬送ローラ17Aとの間に、媒体Sを挟み込むことによって、媒体Sをスムーズに搬送する。
プラテン14へと送り込まれた媒体Sは、ヘッド21から吐出されたインクによって順次印刷される。プラテン14は、ヘッド21と対向して設けられ、印刷される媒体Sを下側から支持する。
印刷が施された媒体Sは、排紙ローラ17Bにより順次、プリンタ外部へと排出される。排紙ローラ17Bは、搬送モータ15と同期に駆動されていて、当該排紙ローラ17Bに対向して設けられたフリーローラ18Bとの間に媒体Sを挟み込んで、媒体Sをプリンタ外部へと排出する。
<システム構成>
図6は、インクジェットプリンタ1のシステム構成を説明するものである。このインクジェットプリンタ1は、同図に示すように、バッファメモリ122と、イメージバッファ124と、コントローラ126と、メインメモリ127と、通信インターフェース129と、キャリッジモータ制御部128と、搬送制御部130と、ヘッド駆動部132とを備えている。
通信インターフェース129は、当該インクジェットプリンタ1が、例えばパーソナルコンピュータ等の外部のコンピュータ152とデータのやりとりを行うたものである。通信インターフェース129は、外部のコンピュータ152と有線または無線等により通信可能に接続され、コンピュータ152から送信された印刷データ等の各種データを受信する。
バッファメモリ122には、通信インターフェース129により受信された印刷データ等の各種データが一時的に記憶される。また、イメージバッファ124には、バッファメモリに記憶された印刷データが順次記憶される。イメージバッファ124に記憶された印刷データは、順次、ヘッド駆動部132へと送られる。また、メインメモリ127は、ROMやRAM、EEPROMなどにより構成される。メインメモリ127には、当該インクジェットプリンタ1を制御するための各種プログラムや各種設定データなどが記憶される。
コントローラ126は、メインメモリ127から制御用プログラムや各設定データなどを読み出して、当該制御用プログラムや各種設定データに従ってインクジェットプリンタ1全体の制御を行う。また、コントローラ126には、ロータリ式エンコーダ134やリニア式エンコーダ51、紙検知センサ53などの各種センサからの検出信号が入力される。
コントローラ126は、外部のコンピュータ152から送られてきた印刷データ等の各種データが通信インターフェース129により受信されてバッファメモリ122に格納されると、その格納されたデータの中から必要な情報をバッファメモリ122から読み出す。コントローラ126は、その読み出した情報に基づき、リニア式エンコーダ51やロータリ式エンコーダ134からの出力を参照しながら、制御用プログラムに従って、キャリッジモータ制御部128や搬送制御部130、ヘッド駆動部132などを各々制御する。
キャリッジモータ制御部128は、コントローラ126からの命令に従って、キャリッジモータ42の回転方向や回転数、トルクなどを駆動制御する。搬送制御部130は、コントローラ126からの命令に従って、搬送ローラ17Aを回転駆動する搬送モータ15などの駆動を制御する。
ヘッド駆動部132は、コントローラ126からの命令に従って、イメージバッファ124に格納された印刷データに基づき、ヘッド21に設けられた各色のノズルを駆動制御する。
<ヘッド>
図7は、ヘッド21の下面部に設けられたインクのノズルの配列を示した図である。ヘッド21の下面部には、同図に示すように、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯180からなるノズル群、即ちシアンノズル群211C、マゼンダノズル群211M、イエロノズル群211Y、ブラックノズル群211Kが設けられている。
各ノズル群211C、211M、211Y、211Kの各ノズル♯1〜♯180は、媒体Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル群211C、211M、211Y、211Kは、ヘッド21の移動方向(走査方向)に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯180には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(「圧電振動子」ともいう。図示外)が設けられている。なお、このピエゾ素子は、「素子」および「圧電素子」に相当する。
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色のノズル群211C、211M、211Y、211Kの各ノズル♯1〜♯180から吐出される。このピエゾ素子によるインクの吐出動作については、後で詳しく説明する。
===印刷動作===
次に前述したインクジェットプリンタ1の印刷動作について説明する。ここでは、「双方向印刷」を例にして説明する。図8は、インクジェットプリンタ1の印刷動作の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下で説明される各処理は、コントローラ126が、メインメモリ127からプログラムを読み出して、当該プログラムに従って、キャリッジモータ制御部128や搬送制御部130、ヘッド駆動部132などを各々制御することにより実行される。
コントローラ126は、コンピュータ152から印刷データを受信すると、その印刷データに基づき印刷を実行すべく、まず、給紙処理を行う(S102)。給紙処理は、印刷しようとする媒体Sをインクジェットプリンタ1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)まで搬送する処理である。コントローラ126は、給紙ローラ13を回転させて、印刷しようとする媒体Sを搬送ローラ17Aまで送る。コントローラ126は、搬送ローラ17Aを回転させて、給紙ローラ13から送られてきた媒体Sを印刷開始位置(プラテン14の上方付近)に位置決めする。
次に、コントローラ126は、キャリッジモータ制御部128を通じてキャリッジモータ42を駆動して、キャリッジ41を媒体Sに対して相対的に移動させて媒体Sに対して印刷を施す印刷処理を実行する。ここでは、まず、キャリッジ41をガイドレール46に沿って一の方向に向かって移動させながら、ヘッド21からインクを吐出する往路印刷を実行する(S104)。コントローラ126は、キャリッジモータ42を駆動してキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインクを吐出する。ヘッド21から吐出されたインクは、媒体Sに到達してドットとして形成される。
このようにして印刷を行った後、次に、コントローラ126は、媒体Sを所定量だけ搬送する搬送処理を実行する(S106)。ここでは、コントローラ126は、搬送制御部130を通じて搬送モータ15を駆動して搬送ローラ17Aを回転させて、媒体Sをヘッド21に対して相対的に搬送方向に所定量だけ搬送する。この搬送処理により、ヘッド21は、先ほどの印刷した領域とは異なる領域に印刷をすることが可能になる。
このようにして搬送処理を行った後、コントローラ126は、排紙すべきか否か排紙判断を実行する(S108)。ここで、コントローラ126は、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。一方、コントローラ126は、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、復路印刷を実行する(S110)。この復路印刷は、キャリッジ41をガイドレール46に沿って先ほどの往路印刷とは反対の方向に移動させて印刷を行う。ここでも、コントローラ126は、キャリッジモータ制御部128を通じてキャリッジモータ42を先ほどとは逆に回転駆動させてキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインクを吐出して、印刷を施す。
復路印刷を実行した後、搬送処理を実行し(S112)、その後、排紙判断を行う(S114)。ここで、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、ステップS104に戻って、再度往路印刷を実行する(S104)。一方、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。
排紙処理を行った後、次に、印刷終了か否かを判断する印刷終了判断を実行する(S118)。ここでは、次にコンピュータ152から印刷データに基づき、次に印刷すべき媒体Sがないかどうかチェックする。ここで、次に印刷すべき媒体Sがある場合には、ステップS102に戻り、再び給紙処理を実行して、印刷を開始する。一方、次に印刷すべき媒体Sがない場合には、印刷処理を終了する。
===ヘッドの駆動回路===
図9は、ヘッド21の駆動回路220の一例を示したものである。また、図10は、この駆動回路220の各信号を説明したタイミングチャートである。
この駆動回路220は、ヘッド21に設けられたノズル♯1〜♯180から各々インクを吐出するために設けられたもので、各ノズル♯1〜♯180にそれぞれ対応して設けられた180個のピエゾ素子PZT(1)〜(180)を駆動する。ピエゾ素子PZT(1)〜(180)の駆動は、当該駆動回路220に入力される印刷信号PRTSに基づき行われる。なお、同図中に各信号又は構成部の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号又は構成部が対応するノズルの番号1〜180を示している。
本実施形態では、このような駆動回路220が、ヘッド21に設けられた各ノズル群211Y、211M、211C、211Kごとに個別に設けられている。すなわち、イエロノズル群211Y、マゼンダノズル群211M、シアンノズル群211Cおよびブラックノズル群211Kにそれぞれ対応して4つのノズル駆動回路220が設けられている。
駆動回路220の構成について説明する。駆動回路220は、図9に示すように、駆動信号ODRVを発生する駆動信号生成回路222と、180個の第1シフトレジスタ224(1)〜(180)と、180個の第2シフトレジスタ226(1)〜(180)と、ラッチ回路群228と、データセレクタ230と、180個のスイッチSW(1)〜(180)とを備えている。なお、駆動信号生成回路222は、「信号出力部」に相当する。また、駆動信号ODRVは、「第1駆動信号」および「第2駆動信号」に相当する。
駆動信号生成回路222は、各ノズル♯1〜♯180に共通して用いられる駆動信号ODRVを生成する。この駆動信号ODRVは、各ノズル♯1〜♯180にそれぞれ対応して設けられた各ピエゾ素子PZT(1)〜(180)を駆動するための信号である。この駆動信号ODRVは、図10に示すように、一画素分の主走査期間内(キャリッジ41が一画素の間隔を横切る時間内)に複数のパルス、ここでは、第1パルスW1および第2パルスW2を有する信号である。駆動信号ODRVでは、これら複数のパルス(第1パルスW1および第2パルスW2)が所定の周期にて繰り返し発生する。駆動信号生成回路222で生成された駆動信号ODRVは、各スイッチSW(1)〜(180)に向けて出力されている。
一方、印刷信号PRTS(図9参照)は、各ピエゾ素子(1)〜(180)を駆動するための180個の2ビットデータを含むデータ信号であり、各ノズル♯1〜♯180からのインクの吐出の有無や、吐出するインクの大きさなどを指示する信号である。このような印刷信号PRTSは、駆動回路220へとシリアル伝送され、そして、180個の第1シフトレジスタ224(1)〜(180)に入力される。次に、印刷信号PRTSは、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に入力される。ここで、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)には、180個の2ビットデータのうち、1ビット目のデータがそれぞれ入力される。また、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)には、180個の2ビットデータのうち、2ビット目のデータがそれぞれ入力される。
ラッチ回路群228は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータをラッチして、「0(Low)」または「1(High)」の信号として取り出す。そして、ラッチ回路群228は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに基づき抽出された信号をそれぞれデータセレクタ230へと出力する。ラッチ回路群228のラッチタイミングは、当該ラッチ回路群228に入力されるラッチ信号(LAT)により制御される。すなわち、ラッチ回路群228に対して、ラッチ信号(LAT)として、図10に示すようなパルスが入力されると、ラッチ回路群228は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータをラッチする。ラッチ回路群228は、ラッチ信号(LAT)としてパルスが入力される都度、ラッチする。
一方、データセレクタ230は、ラッチ回路群228から出力された信号(「0(Low)」または「1(High)」の信号)から、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)のうちのいずれか一方に対応する信号を選択して、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)にそれぞれ出力する。データセレクタ230が選択する信号の切り替えは、当該データセレクタ230に入力されるラッチ信号(LAT信号)およびチェンジ信号(CH信号)の双方により行われる。
ここで、ラッチ信号(LAT信号)として、図10に示すようなパルスがデータセレクタ230に入力されると、データセレクタ230は、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号を選択して、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)にそれぞれ出力する。また、チェンジ信号(CH信号)として、図10に示すようなパルスがデータセレクタ230に入力されると、データセレクタ230は、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号から、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号へと、選択する信号を切り替えて、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)に出力する。そして、再び、ラッチ信号(LAT信号)としてパルスが入力されたときには、データセレクタ230は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号から、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号へと、選択する信号を切り替えて、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)に出力する。
ここで、ラッチ信号(LAT信号)には、図10に示すように、1画素単位の周期にてパルスが発生する。また、チェンジ信号(CH信号)には、図10に示すように、1画素分の周期のちょうど真ん中のタイミングにてパルスが発生する。このことから、スイッチSW(1)〜(180)には、それぞれ1画素分に対応する2ビットのデータがシリアルに伝送されることになる。すなわち、「00」や「01」、「10」、「11」といった2ビットデータが、1画素分の周期毎に、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)にそれぞれ入力される。
スイッチSW(1)〜(180)は、データセレクタ230から出力された印刷信号PRT(1)〜(180)、即ち、「00」や「01」、「10」、「11」といった2ビットデータに基づき、駆動信号生成回路222から入力された駆動信号ODRVを通過させるか否かを決定する。すなわち、印刷信号PRT(i)のレベルが「1(High)」のときには、駆動信号ODRVの対応する駆動パルス(第1パルスW1または第2パルスW2)をそのまま通過させて実駆動信号DRV(i)とする。一方、印刷信号PRT(i)のレベルが「0(Low)」のときには、スイッチSW(1)〜(180)は、駆動信号ODRVの対応する駆動パルス(第1パルスW1または第2パルスW2)を遮断する。
したがって、スイッチSW(1)〜(180)からピエゾ素子PZT(1)〜(180)へと入力される実駆動信号DRV(i)は、図10に示すように、データセレクタ230からスイッチSW(1)〜(180)に対して入力される印刷信号PRT(1)〜(180)、即ち、「00」や「01」、「10」、「11」といった2ビットデータに応じて異なる。
ここで、印刷信号PRT(i)として「10」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第1パルスW1のみがスイッチSW(i)を通過してピエゾ素子PZT(i)に入力される。ピエゾ素子PZT(i)は、この第1パルスW1にて駆動されて、ノズルからは、小さいサイズのインク滴(以下では、小インク滴とも言う)が吐出される。これにより、媒体Sには、小さいサイズのドット(中ドット)が形成される。
また、印刷信号PRT(i)として「01」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第2パルスW2のみがスイッチSW(i)を通過してピエゾ素子PZT(i)に入力される。ピエゾ素子PZT(i)は、この第2パルスW2にて駆動されて、ノズルからは、先の小さいサイズのインク滴よりも大きいサイズのインク滴(以下では、中インク滴とも言う)が吐出される。これにより、媒体Sには、中くらいのサイズのドット(中ドット)が形成される。
また、印刷信号PRT(i)として「11」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第1パルスW1および第2パルスW2の双方がスイッチSW(i)を通過してピエゾ素子PZT(i)に入力される。ピエゾ素子PZT(i)は、これら第1パルスW1および第2パルスW2にて駆動されて、ノズルからは、小インク滴と中インク滴とが吐出される。ここで、小インク滴と中インク滴とは、所定の時間差をあけて連続的に吐出される。これにより、媒体Sには、小インク滴により形成された小ドットと、中インク滴により形成された中ドットとが形成される。これら小ドットと中ドットとにより、媒体S上に擬似的に大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。
また、印刷信号PRT(i)として「00」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第1パルスW1および第2パルスW2のどちらもスイッチSW(i)を通過せず、ピエゾ素子PZT(i)には、何ら駆動パルスが入力されない。これにより、ノズルからは、インク滴が吐出されず、媒体Sにはドットが形成されない。
===インクの吐出機構===
図11は、ヘッド21の内部のインク吐出機構の一例を詳しく示したものである。ヘッド21は、同図に示すように、箱体状のケース240と、流路ユニット241とを備えている。流路ユニット241は、箱体状のケース240の先端部に接合されている。また、箱体状のケース240の内部には、振動子ユニット242が配設されている。この振動子ユニット242は、流路ユニット241内の圧力室243に圧力変動を生じさせてノズルn(♯1〜♯180)から滴状のインク(インク滴ともいう)を吐出させるようになっている。
ケース240は、例えば樹脂材などにより形成され、その内部には、振動子ユニット242を収容するための収容室244を備えている。この収容室244は、流路ユニット241との接合面側の開口から反対面にわたり画成されている。
流路ユニット241は、流路形成基板245の一方の面にノズルプレート246を、他方の面に振動板247を接合した構成とされる。ここで、流路形成基板245は、例えば、シリコンウエハーによって形成されており、これをエッチング加工することにより所定パターンに区画されていて、各ノズルn(♯1〜♯180)と連通する複数の圧力室243,共通インク室248,共通インク室248と各圧力室243とを連通する複数のインク供給路249等が適宜に形成されている。なお、共通インク室248には、インク供給管250と接続される接続口が設けられており、インクカートリッジ48に蓄えられたインクがインク供給管250を通じて共通インク室248に供給される。また、ノズルプレート246には、所定のピッチにて複数のノズルnが設けられている。
振動板247は、ステンレス板251にPPS膜等の弾性体膜252を積層した二重構造を採り、各圧力室243に対応する部分はステンレス板251側が環状にエッチング加工されて、環内にアイランド部253が形成されている。
振動子ユニット242は、圧力発生素子の一種であるピエゾ素子254(PZT(1)〜(180))と、このピエゾ素子254が接合される固定部材255とから構成されている。ピエゾ素子254は、圧電体と電極層とを交互に積層した一枚のピエゾ素子板に、流路ユニット241の各圧力室243に対応した所定ピッチでスリット部を形成することにより櫛歯状に構成される。また、固定部材255は、この櫛歯状振動子の基端部分に固着される。この振動子ユニット242は、ピエゾ素子254の先端が開口から臨む姿勢でケース240の収容室244内に挿入されて、固定部材255を収容室244の内壁へ固着させることにより収容される。この収容状態において、ピエゾ素子254の各先端は、振動板247の対応するアイランド部253に当接し接合される。
各ピエゾ素子254は、対向する電極間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮し、圧力室243を区画する弾性体膜252を変位させる。即ち、このヘッド21では、ピエゾ素子254を素子長手方向に伸長させることにより、アイランド部253がノズルプレート246側へ押され、アイランド部周辺の弾性体膜252が変形して圧力室243が収縮する。また、ピエゾ素子254を素子長手方向に収縮させると、弾性体膜252の変位により圧力室243が膨張する。この圧力室243の膨張や収縮に伴って圧力室243内に充填されたインクに圧力変動が生じ、流路ユニット241のノズルn(♯1〜♯180)からインク滴が吐出される。
===駆動信号===
このようなピエゾ素子254を駆動して、ノズルn(♯1〜♯180)からインクを吐出させるための動作を行わせるための駆動信号ODRVについて説明する。図12は、その駆動信号ODRVの一例の一部分を示したものである。
この駆動信号ODRVは、同図に示すような駆動パルスPSを有している。この駆動パルスPSは、中間電位VMから最大電位VHまで一定勾配で電位を上昇させる膨張要素P1と、最大電位VHを所定時間保持する膨張ホールド要素P2と、最大電位VHから最小電位VLまで急勾配で電位を下降させる吐出要素P3と、最小電位VLを所定時間保持する収縮ホールド要素P4と、最小電位VLから中間電位VMまで電位を上昇させる制振要素P5とを含んでいる。なお、ここで、中間電位VMは、「所定のレベル」に相当する。
このような駆動パルスPSをピエゾ素子254に加えると、駆動パルスPSがそのピエゾ素子254に加えられる毎に、所定量(例えば、15ng)のインクがノズルn(♯1〜♯180)から吐出される。
すなわち、ここで、ピエゾ素子254は、前述したような駆動パルスPSが加えられると、膨張要素P1の供給に伴って期間T1にわたり、ピエゾ素子254が大きく収縮する。これにより、圧力室243は、中間電位VMに対応する定常容積から、最大電位VHに対応する最大容積まで膨張する。この膨張に伴って圧力室243内が減圧されて、共通インク室248のインクがインク供給路249を通じて圧力室243に流入する。この圧力室243の膨張状態は、膨張ホールド要素P2の供給期間T2にわたって維持される。
続いて、吐出要素P3がピエゾ素子254に供給されると、ピエゾ素子254が期間T3にわたり大きく伸長する。そして、圧力室243は最小容積まで急激に収縮する。この収縮に伴い、圧力室243内のインクが加圧されて、ノズルn(♯1〜♯180)から所定量のインクが吐出される。吐出要素P3に続いて収縮ホールド要素P4がピエゾ素子254に供給されると、圧力室243の収縮状態が期間T4の間、維持される。そして、圧力室243の収縮状態において、メニスカス(ノズル開口で露出しているインクの自由表面)は、インクの吐出の影響を受けて大きく振動する。
その後、メニスカスの振動を抑制し得るタイミングで制振要素P5が供給され、圧力室243が期間T5にわたって定常容積まで膨張復帰する。すなわち、圧力室243内のインク圧力を相殺すべく、圧力室243を膨張させてインク圧力を減圧する。これにより、メニスカスの振動を短時間で抑制することができる。したがって、次のインクの吐出を安定させることができる。
このような駆動パルスが複数、連続的に生成されて、1つの駆動信号ODRVを構成している。
===駆動信号生成回路===
次にこのような駆動信号ODRVを生成する駆動信号生成回路222について説明する。図13は、駆動信号生成回路222の一例を説明する構成図である。この駆動信号生成回路222は、メモリ302と、第1ラッチ回路304と、加算器306と、第2ラッチ回路308と、D/A変換器310(デジタルアナログ変換器)と、電圧増幅回路312とを有する。メモリ302は、複数種類のレベル変化量のデータを、アドレスに対応させて記憶する。このメモリ302は、第1クロック信号の入力端子と、データ信号の入力端子と、アドレス信号の入力端子と、イネーブル信号の入力端子と、データ信号の出力端子とを有する。
データ信号は、駆動信号ODRVの単位時間当たりの変化量を示すものである。アドレス信号は、その信号の変化量のデータが格納される格納アドレス、或いは、読み出されるレベル変化量のデータの読み出しアドレスを示すものである。そして、メモリ302は、アドレス信号で指定される格納アドレスに、信号の変化量のデータを格納する。この信号の変化量のデータは、第1クロック信号の入力端子、データ信号の入力端子、アドレス信号の入力端子、及びイネーブル信号の入力端子から必要な信号を入力することで格納される。また、メモリ302は、読み出しアドレスで指定される信号の変化量のデータを、第1ラッチ回路304に出力する。この読み出しアドレスも、アドレス信号の入力端子から入力されたアドレス信号で指定される。
第1ラッチ回路304は、メモリ302に電気的に接続されており、第2クロック信号が入力される毎に、メモリ302に格納された信号の変化量のデータを読み出す。言い換えれば、メモリ302から出力されている信号の変化量のデータをラッチする。加算器306には、第1ラッチ回路304の出力と第2ラッチ回路308の出力とが入力される。そして、加算器306の出力は、第2ラッチ回路308に入力されている。すなわち、この加算器306は、第1ラッチ回路304の出力と第2ラッチ回路308の出力とを加算した加算値を出力する。第2ラッチ回路308は、第3クロック信号が入力される毎に、加算器306から出力される加算値をラッチする。
D/A変換器310は、第2ラッチ回路308からの出力、すなわち、加算器306から出力された加算値をアナログ信号に変換する。電圧増幅回路312は、D/A変換器310の出力と電気的に接続されている。この電圧増幅回路312は、D/A変換器310から出力されたアナログ信号の電圧を、ピエゾ素子254が駆動可能な電圧に増幅する。
次に、この駆動信号生成回路222の動作の具体例について説明する。詳しくは、メモリ302と、第1ラッチ回路304と、加算器306と、第2ラッチ回路308との動作について説明する。図14は、この駆動信号生成回路222の動作を説明する図である。
コントローラ126は、アドレス信号をメモリ302に出力する。メモリ302は、アドレス信号で指定された読み出しアドレスのデータを出力する(t0〜)。この例において、コントローラ126は、アドレスBを示すアドレス信号を出力し、メモリ302は、信号の変化量のデータとして変化量△V1を出力する。次に、コントローラ126は、第2クロック信号をHレベルに切り換える(t1)。つまり、クロックパルスを出力する。このクロックパルスを受け取った第1ラッチ回路304は、変化量△V1をラッチする。その後、コントローラ126は、読み出しアドレスを変更する(t3〜)。これにより、コントローラ126は、アドレスAを示すアドレス信号を出力する。メモリ302は、信号の変化量のデータとして電圧値0を出力する。また、コントローラ126は、第3クロック信号を周期△T毎にHレベルに切り換える。つまり、クロックパルスを出力する。このクロックパルスを受け取る毎に、第2ラッチ回路308の出力は変化量△V1だけ上昇する(t2,t4,t5)。
次に、コントローラ126は、第2クロック信号をHレベルに切り換える(t6)。このクロックパルスを受け取った第1ラッチ回路304は、アドレスAに対応する電圧値0をラッチする。このため、第3クロック信号がHレベルに切り換わっても、第2ラッチ回路308の出力は一定電位を維持する(t7,t9)。また、コントローラ126は、読み出しアドレスをアドレスCに変更し(t8〜)、信号の変化量のデータとして変化量−△V2をメモリ302から出力させる。この変化量−△V2は、次に第2クロック信号がHレベルとなったタイミング(t10)で、第1ラッチ回路304にラッチされる。このため、第3クロック信号がHレベルになる毎に、第2ラッチ回路308の出力は変化量−△V2だけ降下する(t11〜)。
図15は、図12に示すような駆動信号ODRVを駆動信号生成回路222にて生成するときに、メモリ302に記憶されるデータの一例を示したものである。ここでは、アドレスAには、膨張ホールド要素P2および収縮ホールド要素P4に対応するデータ『0』が格納される。また、アドレスBには、膨張要素P1に対応するデータ『ΔV1』が格納される。また、アドレスCには、吐出要素P3に対応するデータ『−ΔV2』が格納される。また、アドレスDには、制振要素P5に対応するデータ『ΔV3』が格納される。
コントローラ126は、このようなデータが格納された駆動信号生成回路222のメモリ302の読み出しアドレスをアドレス信号により適宜指定して、図12に示すような駆動信号ODRVを生成する。すなわち、コントローラ126は、膨張要素P1に対応する期間T1においては、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスとして、アドレスBを指定する。また、コントローラ126は、膨張ホールド要素P2に対応する期間T2においては、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスとして、アドレスAを指定する。また、コントローラ126は、吐出要素P3に対応する期間T3においては、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスとして、アドレスCを指定する。また、コントローラ126は、収縮ホールド要素P4に対応する期間T4においては、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスとして、アドレスAを指定する。また、コントローラ126は、制振要素P5に対応する期間T5においては、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスとして、アドレスDを指定する。
===課題とその解決方法===
ノズル♯1〜♯180から吐出されるインクの速度が遅すぎた場合に、吐出時に分離して生じた小さなインク滴によって媒体上に非常に小さなドット(以下、サテライトともいう)が形成されてしまい、粒状性の悪化等、印刷される画像の画質に大きな影響を及ぼす場合がある。そこで、プリンタの製造段階において、ノズルから吐出されるインクの速度が個体毎に大きくばらつかないように、所定の許容範囲内に収まるように設定が行われている。
しかしながら、インクの速度については、周囲の温度環境等から影響を受けて変化することがある。このため、例えば、インクの吐出速度が所定の許容範囲ぎりぎりに設定されていた場合などにおいて、周囲の温度環境等の影響を受けて、インクの吐出速度が所定の許容範囲から外れて、サテライトが大きく目立って発生してしまうことがあった。このようにサテライトが大きく目立って発生した場合、従来のインクジェットプリンタでは、インクの吐出速度をユーザーにより変更することができず、このため、サテライトの発生を防止して画質改善を図ることはできなかった。
そこで、本実施形態では、ユーザーにより、ノズルからのインクの吐出速度をアップさせることができるようにする。以下に、本実施形態に係るインクジェットプリンタにおいて、ユーザーにより、インクの吐出速度をアップさせることを可能にする方法について詳しく説明する。
===インク吐出速度のアップ===
本実施形態では、ノズルからインクが吐出される速度をアップするために、駆動信号生成回路222からヘッド駆動部132へと出力される駆動信号ODRVを、標準の駆動信号(「第1駆動信号」に相当。以下、「第1駆動信号」ともいう)から別の駆動信号(「第2駆動信号」に相当。以下、「第2駆動信号」ともいう)に切り替える。
図16は、別の駆動信号、即ち、第2駆動信号の一例を説明したものである。なお、ここでは、切替え前の標準の駆動信号、即ち、第1駆動信号については破線で示している。
この第2駆動信号は、同図に示すような形状の駆動パルスPS’を有している。この駆動パルスPS’は、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)と比べて、中間電位VMのレベルのみを変更して生成されたものである。つまり、中間電位VM’のレベルが、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)の中間電位VMのレベルよりも低いレベルに設定されている。この駆動パルスPS’の最大電位VHおよび最小電位VLは、切替え前の標準の駆動信号とほぼ等しいレベルに設定されている。
このため、この駆動パルスPS’は、中間電位VM’から最大電位VHまでのピエゾ素子254が収縮して圧力室243が膨張する膨張要素P1’の傾斜が、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)に比べて、急峻になっている。また、この駆動パルスPS’では、最小電位VLから中間電位VM’までの圧力室243が定常容積まで膨張復帰する制振要素P5’の傾斜も、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)に比べて、急峻になっている。なお、最大電位VHから最小電位VLまでのピエゾ素子254が伸長して圧力室243が急激に収縮して、ノズルn(♯1〜♯180)からインクが吐出される吐出要素P3’の傾斜については、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)に比べて変化がないようになっている。
なお、各要素P1’〜P5’に割り当てられた時間T1’〜T5’は、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)とほぼ等しく設定されている。
このような駆動信号(第2駆動信号)にあっては、ノズルn(♯1〜♯180)から吐出されるインクの速度をアップさせることができる。ここで、このような駆動信号(第2駆動信号)によりインクの吐出速度をアップさせることができる理由については、次の理由が考えられる。すなわち、中間電位VM’は、圧力室243の定常容積を規定するものである。そして、ピエゾ素子254は、電位の上昇に伴って収縮して圧力室を膨張させ、電位の下降に伴って伸長して、圧力室243を収縮させるので、中間電位VM’を切替え前よりも低く設定すると、定常容積は、切替え前に比べて減少する。
ここで、中間電位VM’のみを変更した場合には、最大電位VHは中間電位VM’の切替え前と切替え後で同じとなるため、中間電位VM’を切替え前よりも低く設定すると、切替え後の中間電位VM’から最大電位VHまでの電位差ΔVd’が、切替え前の中間電位VMから最大電位VHまでの電位差ΔVdよりも大きくなり、膨張代が大きくなる。この膨張代は、圧力室243内への液体の流入量を規定する。膨張代が大きくなると、共通インク室から圧力室243内へのインクの流入量が多くなる。
また、中間電位VM’のみを変更した場合には、膨張要素P1’の期間T1’も切替え前と切替え後で同じとなるため、中間電位VM’を切替え前よりも低く設定すると、膨張要素P1’をピエゾ素子254に供給した際に、圧力室243の膨張速度が速くなる。
圧力室243の膨張代は、膨張要素P1’の供給直後における圧力室243内のインク圧力に影響を及ぼす。すなわち、膨張代が大きくなれば、膨張要素P1’の供給直後において圧力室243内のインク圧力は大きく低下する。このため、圧力室243内へのインクの流入量が増える他に、その流入速度が速くなり、圧力室243のインクの圧力振動が大きくなる。この圧力振動が、正圧になるタイミングに合わせて吐出要素P3’を供給して圧力室243を収縮させると、吐出要素P3’の電位差(最大電位VHと最小電位VLの間の電位差)や傾きがほぼ同じであっても、ノズルからのインクの吐出量を増やすことができるとともに、ノズルからのインクの吐出速度を速くすることができる。
この場合、インクの吐出速度は、中間電位VMの変化に対応して比較的大きく変化する。一方、インクの吐出量は、中間電位VMの変化に対応する変動が比較的小さい。これは、インクの吐出量は、主として駆動パルスPS’の駆動電圧、即ちここでは最大電位VHによって規定されるものと考えられる。
このようなことから、切替え後の駆動信号(第2駆動信号)にあっては、中間電位VM’のみが、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)に比べて低いレベルに設定されたものであるから、ノズルn(♯1〜♯180)から吐出されるインクの量をほぼ一定に保ちつつ、ノズルn(♯1〜♯180)からのインクの吐出速度をアップさせることができる。
===駆動信号の切替え===
駆動信号の切替えは、コントローラ126により行う。コントローラ126は、駆動信号生成回路222で生成される駆動信号を切り替えることができる。コントローラ126による駆動信号の切替え方法について以下に詳しく説明する。
コントローラ126は、駆動信号生成回路222からヘッド駆動部132へと出力される駆動信号を切り替えるため、切替え前の標準の駆動信号(第1駆動信号)の他に、切替え後の別の駆動信号(第2駆動信号)のレベル変化量のデータを駆動信号生成回路222のメモリ302に記憶する。そして、コントローラ126は、駆動信号生成回路222から出力される駆動信号を切り替える場合には、アドレス信号により、メモリ302から第1ラッチ回路304へと読み出されるデータが格納されたアドレスを、別の駆動信号(第2駆動信号)に対応するレベル変化量のデータが格納されたアドレスに切り替える。
図17は、第1駆動信号および第2駆動信号が駆動信号生成回路222にて生成される場合に、メモリ302に記憶されるデータの一例を示したものである。ここでは、アドレスA、B、C、Dには、切替前の標準の駆動信号(第1駆動信号)を生成するためのデータが格納される。また、アドレスA’、B’、C’、D’には、切替え後の別の駆動信号(第2駆動信号)を生成するためのデータが格納される。
アドレスAには、切替前の標準の駆動信号(第1駆動信号)の駆動パルスPSの膨張ホールド要素P2および収縮ホールド要素P4に対応するデータ『0』が格納されている。また、アドレスBには、切替前の標準の駆動信号(第1駆動信号)の駆動パルスPSの膨張要素P1に対応するデータ『ΔV1』が格納されている。また、アドレスCには、切替前の標準の駆動信号(第1駆動信号)の駆動パルスPSの吐出要素P3に対応するデータ『−ΔV2』が格納されている。また、アドレスDには、切替前の標準の駆動信号(第1駆動信号)の駆動パルスPSの制振要素P5に対応するデータ『ΔV3』が格納されている。
一方、アドレスA’には、切替後の別の駆動信号(第2駆動信号)の駆動パルスPS’の膨張ホールド要素P2’および収縮ホールド要素P4’に対応するデータ『0』が格納されている。また、アドレスB’には、切替後の別の駆動信号(第2駆動信号)の駆動パルスPS’の膨張要素P1’に対応するデータ『ΔV1’』が格納されている。また、アドレスC’には、切替後の別の駆動信号(第2駆動信号)の駆動パルスPS’の吐出要素P3’に対応するデータ『−ΔV2’』が格納されている。また、アドレスD’には、切替後の別の駆動信号(第2駆動信号)の駆動パルスPS’の制振要素P5’に対応するデータ『ΔV3’』が格納されている。
コントローラ126は、切替前の標準の駆動信号(第1駆動信号)を生成する場合には、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスとして、アドレス信号により、アドレスA、B、C、Dの中から適宜アドレスを指定して、切替前の標準の駆動信号(第1駆動信号)を生成する。
また、コントローラ126は、切替後の別の駆動信号(第2駆動信号)を生成する場合には、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスとして、アドレス信号により、アドレスA’、B’、C’、D’の中から適宜アドレスを指定して、切替後の別の駆動信号(第2駆動信号)を生成する。
すなわち、コントローラ126は、駆動信号生成回路222のメモリ302から第1ラッチ回路304へとデータが読み出されるアドレスをアドレス信号により適宜指定することによって、駆動信号生成回路222で生成される駆動信号を、標準の駆動信号(第1駆動信号)から別の駆動信号(第2駆動信号)へと切り替えることができる。
<その他の例>
前述した実施の形態では、コントローラ126により、切替前の標準の駆動信号から切り替えられる駆動信号として、1種類の駆動信号のみしかない場合を例にして説明したが、このような場合に限らない。すなわち、切替前の標準の駆動信号から切り替えられる駆動信号として、異なる速度にてインクを吐出させるべくピエゾ素子を動作させる波形の異なる2種類以上の駆動信号の中から選択することができるようにしても良い。
図18は、駆動信号生成回路222にて、駆動信号ODRVとして、波形の異なる3種類の駆動信号を生成することができる場合の駆動信号(A)〜(C)の一例を示したものである。各駆動信号(A)〜(C)は、それぞれ異なる速度にてインクを吐出させるべくピエゾ素子を動作させる。各駆動信号(A)〜(C)の中間電位VM、VM’、VM’’は、それぞれ異なっている。最大電位VHおよび最小電位VLは、各駆動信号(A)〜(C)共に、ほぼ等しいレベルになるように設定されている。
このように駆動信号生成回路222にて、波形の異なる3種類の駆動信号を生成することができれば、印刷画像の画質に応じて適宜、ノズルからのインクの吐出速度を切り替えて最適なインクの吐出速度を設定して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
なお、駆動信号として、4種類以上の駆動信号を出力することができるようになっていても構わない。
===ユーザーによる設定===
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、ユーザーは、コンピュータにインストールされたプリンタドライバの設定画面にて、インクの吐出速度を変更することができる。
図19Aおよび図19Bは、プリンタドライバにおけるインクの吐出速度の設定画面の一例をそれぞれ示したものである。図19Aは、設定画面350上に表示されたつまみ352を左右に移動させて、インクの吐出速度を設定する場合の設定画面の一例を示している。ここでは、つまみ352を左右に移動させて、画質改善レベルを『高』側、または『低』側に設定する。この場合、画質改善レベルが『高』側に設定された場合には、インクの吐出速度が速くなるように設定される。また、画質改善レベルが『低』側に設定された場合には、インクの吐出速度が遅くなるように設定される。
図19Bは、印刷される画像のざらつき具合から、インクの吐出速度を設定する場合の設定画面360の一例を示している。ここでは、印刷される画像のざらつき具合をユーザーが調査して、実際の画像のざらつき具合に最も合致するさらつき度をユーザーに選択させる。ここでは、印刷される画像のざらつき度に応じて、『大』、『中』、『小』、『なし』の4つの段階から選択可能である。ここで、『大』は、ざらつき具合が非常に大きい場合をいう。また、『中』は、ざらつき具合が中くらいの場合をいう、また、『小』は、ざらつき具合が小さい場合をいう。また、『なし』は、ざらつき具合がほとんどない場合をいう。ユーザーは、4つの段階の中から最も適合な段階を1つ選出して、各段階に対応するチェック362A、362B、362C、362D欄の中から該当するチェック欄(ここでは、チェック欄362C)に、チェックマーク364を付す。
このようにしてプリンタドライバを通じてユーザーにより行われた、ノズルからのインクの吐出速度の変更等の各種設定情報は、コンピュータ152側からインクジェットプリンタ1側へと速やかに伝達される。インクジェットプリンタ1側では、このような各種設定情報をコンピュータ152から受信すると、コントローラ126がその設定情報をメインメモリ127等の適宜な記憶部に記憶する。そして、インクジェットプリンタ1では、印刷時に、コントローラ126によりメインメモリ127からこれに記憶された各種設定情報が読み出されて、当該各種設定情報に基づき印刷処理が実行される。すなわち、メインメモリ127に記憶されたインクの吐出速度に関する設定情報に基づき、コントローラ126により、出力すべき駆動信号の選択が行われ、その選択された駆動信号が駆動信号生成回路222にて生成されてヘッド駆動部132へと出力される。
なお、各ノズルn(♯1〜♯180)からのインクの吐出速度については、デフォルトで、工場等における製造段階で設定された吐出速度に設定されている。つまり、ユーザー等からの要望がない限り、通常、インクの吐出速度の変更は行われないようになっている。
<他の方法>
この他に、ユーザーにより設定を行う方法としては、インクジェットプリンタ1に設けられた液晶表示画面等の各種設定画面やディップスイッチ等の設定部を通じて、プリンタに対して直接設定を行う方法などがある。このような方法により設定された情報についても、「ユーザーからの設定情報」に含まれる。
===コントローラの処理===
コントローラ126は、このようにプリンタドライバ等の設定画面を通じてユーザーにより設定された情報(「ユーザーからの設定情報」に相当)に基づき、駆動信号生成回路から出力される駆動信号を、標準の駆動信号(第1駆動信号)からこれとは別の駆動信号(第2駆動信号)へと切り替える。
図20は、このときのコントローラ126の処理手順の一例を示したフローチャートである。コントローラ126は、コンピュータ152から送信された印刷データを受信した後(S200)、インクの吐出速度に関するユーザーからの設定情報をメインメモリ127等から取得する(S202)。次に、コントローラ126は、取得した設定情報に基づき、ユーザーからのインクの吐出速度の変更指示があるか無いかを調べる(S304)。ここで、ユーザーからのインクの吐出速度の変更指示が無かった場合には、コントローラ126は、ステップS206へと進み、駆動信号生成回路222にて生成する駆動信号として、標準の駆動信号、即ち、第1駆動信号を選択する。一方、ユーザーからのインクの吐出速度の変更指示があった場合には、コントローラ126は、ステップS208へと進み、駆動信号生成回路222にて生成する駆動信号として、別の駆動信号、即ち、第2駆動信号を選択する。
このようにして駆動信号生成回路にて生成すべき駆動信号の選択を終了した後、コントローラは、生成すべき駆動信号を駆動信号生成回路222にて生成するために必要なデータを駆動信号生成回路222のメモリ302にセットする(S210)。そして、コントローラは、印刷を開始し(S212)、駆動信号の生成を開始する(S214)。ここでは、コントローラ126により選択された駆動信号が駆動信号生成回路222にて生成され、ヘッド駆動部132へと出力される。その後、コントローラ126は、印刷処理を終了し(S216)する。そして、コントローラ126の処理が終了する。
===まとめ===
以上本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、プリンタドライバ等を通じてユーザーによりインクの吐出速度を変更する旨の設定がなされた場合に、駆動信号生成回路にて生成される駆動信号を切り替えて、ノズルからのインクの吐出速度が速くなるような駆動信号を生成することから、ユーザーにより簡単にインクの吐出速度を変更することができ、サテライトの発生等を防止して、画質向上を図ることができる。
また、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、駆動信号の中間電位のみを変更することで、インクの吐出量をほぼ同一に保ったまま、インクの吐出速度をアップすることができる。このことから、本実施形態では、印刷される画像にあまり影響を及ぼすことなく、印刷を実行することができる。
===その他の駆動信号===
図21は、ピエゾ素子254(圧電振動子)に対してインクを吐出する動作を行わせるための他の駆動信号の一例を示したものである。この駆動信号ODRVは、同図に示すような駆動パルスPS2を有している。この駆動パルスPS2は、最小電位VLから最大電位VHまで期間T1にわたって急勾配にて電位を上昇させる膨張要素P21と、最大電位VHを所定期間T2保持する膨張ホールド要素P22と、最大電位VHから中間電位VLまで期間T3にわたって一定勾配にて電位を下降させる吐出要素P23と、中間電位VMを所定期間T4保持する吐出ホールド要素P24と、中間電位VMから最小電位VLまで期間T5にて一定勾配にて電位を下降させる制振要素P25とを含む。
このような駆動パルスPS2をピエゾ素子254に加えると、駆動パルスPS2がそのピエゾ素子254に加えられる毎に、所定量(例えば、15ng)のインクがノズルn(♯1〜♯180)から吐出される。
このような駆動パルスPS2を有する駆動信号において、ノズルからインクが吐出される速度をアップするときには、前述した実施形態の場合と同様に、中間電位VMのレベルのみを変更する。すなわち、同図に示すように、中間電位VMのレベルをこれよりも低いレベル、即ち、中間電位VM’に変更する。変更後の駆動信号の波形を図中破線で示す。これにより、ノズルn(♯1〜♯180)から吐出されるインクの量をほぼ一定に保ちつつ、ノズルn(♯1〜♯180)からのインクの吐出速度をアップさせることができる。
なお、ここで、最大電位VHおよび最小電位VLは、変更前とほぼ等しいレベルに設定される。また、各要素P21〜P25に割り当てられた時間T1〜T5も、変更前と変更後でほぼ等しく設定される。
このように波形が異なる駆動信号であっても、中間電位を変更することで、ノズルn(♯1〜♯180)から吐出されるインクの量をほぼ一定に保ちつつ、ノズルn(♯1〜♯180)からのインクの吐出速度をアップさせることができる。
===他の駆動信号生成回路===
図22Aおよび図22Bは、他のタイプの駆動信号生成回路232を説明するものである。図22Aは、その駆動信号生成回路232の構成を説明するためのブロック構成図である。図22Bは、この駆動信号生成回路232に入力されるデータ(DAC値という)と、この駆動信号生成回路から出力される出力電圧との関係を説明したものである。
駆動信号生成回路232は、図22Aに示すように、D/A変換器234(デジタルアナログ変換器)と、電圧増幅回路236とを備えている。D/A変換器234は、当該D/A変換器234に入力されるデジタルデータ、即ちDAC値に応じた電圧信号を出力する。ここで、DAC値は、電圧増幅回路236から出力させる電圧のレベルを指示するための情報であり、コントローラ126から出力された情報である。D/A変換器234には、駆動信号生成回路232にて生成される駆動信号の信号レベルに関するデータが、コントローラ126からDAC値として逐次リアルタイムに入力される。そして、D/A変換器234は、コントローラから送られてきたデジタルデータ、即ちDAC値を逐次リアルタイムに変換してアナログ信号として電圧増幅回路236に出力する。
電圧増幅回路236は、D/A変換器234からの出力電圧を、ピエゾ素子254の動作に適した電圧まで増幅する。本実施形態の電圧増幅回路236では、図22Bに示すように、D/A変換器234からの出力電圧を、最大40数Vまで増幅する。そして、増幅後の出力電圧は、駆動信号ODRVとして駆動信号生成回路232からヘッド駆動部132へと出力される。
このような駆動信号生成回路232により駆動信号の切替えを行う場合には、コントローラ126から駆動信号生成回路へと送られる、生成すべき駆動信号の信号レベルに関するデータを、別の駆動信号を生成するためのデータに切り替えることによって、駆動信号生成回路232にて生成される駆動信号を簡単に別の駆動信号に切り替えることができる。
===Bi−d調整===
ノズルn(♯1〜♯180)から吐出されるインクの速度を変更した場合には、Bi−d調整を新しく行う必要がある。ここで、Bi−d調整とは、ヘッド21の往路と復路におけるインクの吐出タイミングの調整のことである。すなわち、「双方向印刷」において、キャリッジ41をガイドレール46(走査方向)に沿って往復移動させながら、その往路および復路の双方においてインクを吐出して印刷を行うときに、往路および復路におけるインクの到達位置のズレが発生する。このズレが生じないようにするために、インクを吐出するタイミングを調整することを本実施形態では「Bi−d調整」という。
図23Aは、ヘッド21の往路と復路におけるインクの吐出タイミングのずれについて説明した図である。ヘッド21からインクが吐出されてから媒体Sに到達するまでの往路及び復路における到達経路が示されている。
ヘッド21と媒体Sとは、ギャップMを隔てて対向して配置されている。キャリッジ41が移動しながらヘッド21から媒体Sに向けてインク滴が吐出されると、吐出されたインク滴が慣性力によりキャリッジ41の移動方向に沿って相対的に移動しながら、ギャップMを移動して媒体Sに到達する。このため、インク滴の吐出位置Rと実際の媒体Sへの到達位置Qとの間には、ズレが発生する。
目標位置にインク滴を到達させるためには、その目標位置よりも手前でインク滴を吐出する必要がある。復路においても同様で、キャリッジ41の移動中にインク滴が吐出されるから、目標位置にインク滴を到達させるためには、その目標位置よりも手前でインク滴を吐出する必要がある。しかし、往路と復路とでは、キャリッジ41の移動方向が異なるため、同じ目標位置にインク滴を到達させる場合には、往路と復路とで異なる位置でインク滴を吐出しなければならない。
そこで、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、実際にヘッド21からインクを吐出して、媒体S上に調査用パターンを形成して、往路と復路とでインク滴が到達する位置が一致するように、インクの吐出タイミングを調整するようになっている。
図23Bは、ここで形成される調査用パターンの一例を示したものである。この調査用パターンは、往路において形成された縦線状のパターンP01と、復路において形成された縦線状のパターンP02とを有している。このようなパターンP01、P02を形成したときに、これらパターンP01、P02の間の間隔Xが可及的に小さくするように、インクの吐出タイミングを変更する。
インクの吐出タイミングの変更は、コントローラ126により行う。コントローラ126は、駆動信号生成回路222、232にて生成される駆動信号の生成タイミングを変更するなどして、各ノズル♯1〜♯180からのインクの吐出タイミングの変更を行う。
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、プリンタドライバ等を通じてユーザーにより、ノズルからのインクの吐出速度の変更が行われたときに、「Bi−d調整」をユーザーに促したり、また自動的に「Bi−d調整」を行うための画面に移行したりする。また、もちろんプリンタに自動的に「Bi−d調整」を行えるような構成が備えられていれば、インクの吐出速度の変更後、自動的に「Bi−d調整」を行っても良い。
この他に、このような「Bi−d調整」以外に、インクの吐出速度に大きく影響を受けるような調整があれば、その調整を自動的に実施したり、またユーザーに促すなどして、調整を速やかに実行するようにした方が望ましい。
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、インクジェットプリンタ等の印刷装置について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に係る印刷装置に含まれるものである。
<素子について>
前述した実施の形態では、「インクを吐出させるための動作を行う素子」として、ピエゾ素子(圧電振動子)を用いた場合を例にして説明したが、「素子」にあっては、このようなピエゾ素子に限らない。つまり、インクを吐出させるための動作を行う素子であれば、どのような素子であっても構わない。
また、「素子」については、「第1駆動信号」や「第2駆動信号」等の各種電気信号により、インクを吐出させるための動作を行うものであれば、どのようなものも、「素子」に含まれる。
<インクを吐出させるための動作について>
前述した実施の形態では、「インクを吐出させるための動作」について、素子が伸縮する動作として説明していたが、「インクを吐出させるための動作」にあっては、必ずしもこのような動作に限られない。すなわち、ノズル等から「インクを吐出させるための動作」であれば、いかなる動作も「インクを吐出させるための動作」に含まれる。
<駆動信号について>
前述した実施の形態では、「駆動信号(第1駆動信号及び第2駆動信号)」として、図12や図16、図18、図21に示すような形状の波形を有する駆動信号を例にして説明したが、「駆動信号」にあっては、このような形状の波形を有する駆動信号に限られない。すなわち、他の波形を有する駆動信号であっても、「インクを吐出させるための動作を素子に行わせるための信号」であれば、「駆動信号」に含まれる。
<信号出力部について>
前述した実施の形態では、「信号出力部」として、図13や図22に示されるような駆動信号生成回路222、232を例にして説明したが、「信号出力部」にあっては、必ずしもこのような駆動信号生成回路222、232に限られない。すなわち、「駆動信号(第1駆動信号および第2駆動信号)」を出力可能であれば、どのような信号出力部であっても構わない。もちろん、「駆動信号(第1駆動信号および第2駆動信号)」を生成する必要はない。
<インクの吐出機構について>
前述の実施形態では、圧電素子としてピエゾ素子を用いてインクを吐出する機構が紹介されていたが、インクを吐出する機構にあっては、このような方式によりインクを吐出する機構に限られず、インクを吐出する機構であれば、例えば、熱等によりノズル内に泡を発生させることによってインクを吐出する方式や、その他各種方式、インクを吐出する機構であれば、どのような方式を採用していても構わない。
<インクについて>
使用するインクについては、顔料インクであっても良く、また染料インクなど、その他各種インクであっても良い。
インクの色については、前述したイエロ(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の他に、ライトシアン(LC)やライトマゼンダ(LM)、ダークイエロ(DY)をはじめ、例えば、レッドやバイオレット、ブルー、グリーンなど、その他の色のインクを使用しても良い。
<印刷装置について>
前述した実施の形態では、印刷装置としては、前述したようなインクジェットプリンタ1の場合を例にして説明したが、このような印刷装置に限らず、他の方式によりインクを吐出するインクジェットプリンタであっても良い。
<媒体について>
媒体Sについては、普通紙やマット紙、カット紙、光沢紙、ロール紙、用紙、写真用紙、ロールタイプ写真用紙等をはじめ、これらの他に、OHPフィルムや光沢フィルム等のフィルム材や布材、金属板材などであっても構わない。すなわち、印刷対象となり得るものであれば、どのような媒体であっても構わない。
本発明に係る印刷装置および印刷システムの一実施形態の斜視図。 コンピュータの構成の一例を説明する説明図。 プリンタドライバの設定画面の一例を説明する説明図。 本実施形態に係る印刷装置の内部構成を示す斜視図。 本実施形態に係る印刷装置の内部構成を示す縦断面図。 本実施形態に係る印刷装置のシステム構成を示すブロック構成図。 本実施形態に係る印刷装置の印刷部の構成を説明する説明図。 本実施形態に係る印刷装置の印刷処理の一例を説明する説明図。 ノズルの駆動回路の説明図。 各信号の説明のためのタイミングチャート。 インクの吐出機構の一例を説明する説明図。 素子の駆動信号の波形の一例を説明する説明図。 駆動信号生成回路の一例を説明する構成図。 駆動信号生成回路の動作を説明する説明図。 駆動信号生成回路のメモリの格納データの一例を説明する説明図。 第2駆動信号の信号波形を説明する説明図。 第2駆動信号を生成するために駆動信号生成回路のメモリに格納されるデータの一例を説明する説明図。 3種類の駆動信号が生成される場合の一例を説明する説明図。 インクの吐出速度の設定画面の一例を示す説明図。 インクの吐出速度の設定画面の一例を示す説明図。 コントローラの処理手順の一例を説明するフローチャート。 駆動信号の他の実施形態を説明する説明図。 図22Aは、駆動信号生成回路の他の構成例を説明する説明図であり、図22Bは、駆動信号生成回路に入力されるデータ(DAC値)と、駆動信号生成回路から出力される出力電圧値との関係を説明する説明図である。 図23Aは、双方方向印刷時の往路と復路におけるインクの吐出タイミングのずれについて説明した説明図であり、図23Bは、このずれを調査するために形成される調査用パターンの一例を説明した説明図である。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ、3 排紙部、4 給紙部、7 排紙トレー、
8 給紙トレー、13 給紙ローラ、14 プラテン、15 搬送モータ、
17A 搬送ローラ、17B 排紙ローラ、18A フリーローラ、
18B フリーローラ、21 ヘッド、31 ポンプ装置、35 キャッピング装置、
41 キャリッジ、42 キャリッジモータ、44 プーリ、45 タイミングベルト、
46 ガイドレール、48 インクカートリッジ、49 カートリッジ装着部、
51 リニア式エンコーダ、53 紙検知センサ、122 バッファメモリ、
124 イメージバッファ、126 コントローラ、127 メインメモリ、
128 キャリッジモータ制御部、129 通信インターフェース、
130 搬送制御部、132 ヘッド駆動部、134 ロータリ式エンコーダ、
150 システム、152 コンピュータ、153 CD−ROMドライブ装置、
154 FDD装置、155 表示装置、156 キーボード、157 マウス、
158 ハードディスクドライブ装置、159 ビデオメモリ、
160 入力装置、162 CPU、163 メモリ、
164 操作入力インターフェース、165 外部通信インターフェース、
211Y イエロノズル群、211M マゼンダノズル群、
211C シアンノズル群、211K ブラックノズル群、222 駆動信号生成回路、
224 第1シフトレジスタ、226 第2シフトレジスタ、228 ラッチ回路群、
230 データセレクタ、232 駆動信号生成回路、234 D/A変換器、
236 電圧増幅回路、240 ケース、241 流路ユニット、
242 振動子ユニット、243 圧力室、244 収容室、245 流路形成基板、
246 ノズルプレート、247 振動板、248 共通インク室、
249 インク供給路、250 インク供給管、251 ステンレス板、
252 弾性体膜、253 アイランド部、254 ピエゾ素子、255 固定部材、
302 メモリ、304 第1ラッチ回路、306 加算器、
308 第2ラッチ回路、310 D/A変換器、312 電圧増幅回路、
350 設定画面、352 つまみ、360 設定画面、362A チェック欄、
362B チェック欄、362C チェック欄、362D チェック欄、
364 チェックマーク、ODRV 駆動信号、PZT ピエゾ素子、
PRTS 印刷信号、PRT 印刷信号、SW スイッチ、n ノズル、

Claims (15)

  1. (A)インクを吐出させるための動作を行う素子と、
    (B)前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、
    (C)ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラと、
    (D)を備えたことを特徴とする印刷装置。
  2. 前記素子は、圧電素子からなることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記素子は、インクを吐出するための前記動作を行う際に、変形することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 前記第1駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量と、前記第2駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量とが等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷装置。
  5. 前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、信号の波形がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷装置。
  6. 前記第1駆動信号および前記第2駆動信号は、前記素子をある状態に保持しておくために、信号レベルが一定に保持される期間を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷装置。
  7. 前記期間として、前記信号レベルが前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値と最小値との間の所定のレベルに設定される期間を有することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
  8. 前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、前記所定のレベルがそれぞれ異なることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
  9. 前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値および最小値が等しいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷装置。
  10. 前記信号出力部は、前記第2駆動信号として、異なる速度で前記インクを吐出させるための動作を前記素子に行わせるための2種類以上の駆動信号を出力可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷装置。
  11. 前記コントローラは、前記設定情報に応じて、前記2種類以上の駆動信号の中から適切な駆動信号を選択して切り替えることを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
  12. (A)インクを吐出させるための動作を行う素子と、
    (B)前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、
    (C)ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラと、
    (D)を備え、
    (E)前記素子は、圧電素子からなり、インクを吐出するための前記動作を行う際に、変形し、
    (F)前記第1駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量と、前記第2駆動信号によって前記素子が動作したときに吐出されるインクの量とが等しく、
    (G)前記第1駆動信号および前記第2駆動信号は、前記素子をある状態に保持しておくために、信号レベルが一定に保持される期間を有し、前記期間として、前記信号レベルが前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値と最小値との間の所定のレベルに設定される期間を有し、前記所定のレベルが前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでそれぞれ異なり、
    (H)前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とでは、前記素子に前記動作を行わせるときの信号レベルの最大値および最小値が等しく、
    (I)前記信号出力部は、前記第2駆動信号として、異なる速度で前記インクを吐出させるための動作を前記素子に行わせるための2種類以上の駆動信号を出力可能であり、
    (J)前記コントローラは、前記設定情報に応じて、前記2種類以上の駆動信号の中から適切な駆動信号を選択して切り替える、
    (K)ことを特徴とする印刷装置。
  13. インクを吐出させるための動作を素子により行わせて印刷をする方法であって、
    前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号を信号出力部から出力し、
    ユーザーからの設定情報に応じて、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号を前記信号出力部から出力することを特徴とする印刷方法。
  14. 印刷装置において実行されるプログラムであって、
    インクを吐出させるための動作を素子に行わせるステップと、
    インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号を信号出力部から出力するステップと、
    前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号を前記信号出力部から出力するステップと、
    ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるステップとを実行することを特徴とするプログラム。
  15. コンピュータと、このコンピュータと通信可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、
    前記印刷装置は、インクを吐出させるための動作を行う素子と、
    前記インクを所定の速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第1駆動信号と、前記インクを前記所定の速度よりも速い速度にて吐出させるための動作を前記素子に行わせるための第2駆動信号とを出力可能な信号出力部と、
    ユーザーからの設定情報に応じて、前記信号出力部により出力される信号を前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へと切り替えるコントローラとを備えたことを特徴とする印刷システム。
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