JP2006095578A - ベルトホイール式連続鋳造機用リングモールド、ベルトホイール式連続鋳造機、荒引線の製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リングモールド41の凹溝42における底面43と側面44,44との交差部45,45に、この交差部45,45側からの溶湯の凝固の進行方向を制御するR部46,46を設ける。凹溝42の長手方向に直交する断面で見たときに、凹溝42の深さHを45mm〜70mmとし、R部46,46の曲率半径Rを15mm〜35mmとする。
【選択図】 図4
Description
ベルトホイール式連続鋳造機は、その主要部が、周回移動する無端ベルトとこの無端ベルトに外周の一部を接触させて回転するリングモールドとから構成されたものであり、ベルトとリングモールドの外周に形成された凹溝の底面及び側面との間に鋳型が画成されている。
また、このようなベルトホイール式連続鋳造機においては、一般的に、無端ベルトとリングモールドにおける凹溝の底面及び側面とに対して、アセチレンが燃焼して発生するススを離型剤及び冷却剤として塗布するようになっている(特許文献1参照)。
しかしながら、凹溝における底面と側面との交差部には、依然としてススが塗布され難いままであり、これら交差部に接触する溶湯の冷却を十分に行うことができず、冷却ムラを生じさせてしまうのであった。
とくに、SCR方式の荒引線の製造装置のように、鋳造直後の鋳塊が真っ直ぐに伸ばされてから圧延される場合、凹溝の底面及び交差部によって成形される部分に著しい負荷が加わるため、鋳塊の割れが生じやすくなる問題がより顕著になる。
なお、引け巣の発生には至らないような軽度な冷却ムラであっても、溶湯が凝固していくときの組織成長のバランスが崩れ、不均一な凝固組織となることは容易に推測できる。
本発明者らは、鋳塊の品質を向上させることができるベルトホイール式連続鋳造機を発明するにあたり、まず、金属の溶湯が凝固していくときの組織成長について着目した。
これにより、まず、凝固シェルが形成され、次いで、無端ベルト1側から凝固組織S1が成長し、リングモールド2における凹溝3の底面3A側から凝固組織S2が成長し、かつ、リングモールド2における凹溝3の側面3B,3B側から凝固組織S3,S3が成長していく。最終的に、4方向から成長してきた凝固組織S1,S2,S3,S3同士が会合して、溶湯の凝固が完了することにより、鋳塊Sが鋳造される。
また、異なる方向から成長してきた凝固組織S1,S2,S3,S3同士が会合する界面には、例えば上述したSCR方式の荒引線の製造装置において、鋳造直後の鋳塊Sをすぐに圧延するときには、鋳造組織の連続性がなく、歪みも蓄積されやすいため、この界面が圧延割れを引き起こす起点になることがある。
したがって、鋳造された鋳塊の凝固割れの発生を防止することができ、かつ、上述したような3重点を消失させて潜在的な凝固組織の不健全性をなくすことができるので、高品質の鋳塊を連続的に鋳造していくことが可能となる。
本実施形態による荒引線(例えば低酸素銅線)の製造装置10は、図1に示すように、その主要部が、溶解炉Aと、保持炉Bと、鋳造樋Cと、ベルトホイール式連続鋳造機Dと、圧延機Eと、コイラーFとから構成されている。
鋳造樋Cは、保持炉Bから送られた溶湯を、非酸化雰囲気でシールしてタンディッシュ20まで移送する。シールは、鋳造樋Cの溶湯流路の上面を、カバーにより覆うことでなされ、非酸化雰囲気は、不活性ガスや還元性ガスを鋳造樋C内に吹き込むことで形成される。
ベルトホイール式連続鋳造機Dは、図2に示すように、その主要部が、周回移動する無端ベルト40と、この無端ベルト40に外周の一部を接触させて回転するリングモールド41とから構成されている。
そして、無端ベルト40が、凹溝42の開口部を閉塞するようにして、リングモールド41の外周の一部に接触していることにより、無端ベルト40とリングモールド41における凹溝42の底面43及び側面44,44との間に鋳型47が画成されている。
さらに、上記横断面で見たときには、凹溝42の深さHが45mm〜70mmとされ、R部46,46の曲率半径Rが15mm〜35mmとされている。
塗布手段48,49は、例えばアセチレンガスを燃焼させながら吹き付けることによって、無端ベルト40とリングモールド41における凹溝42の底面43及び側面44,44とに対して離型剤及び冷却剤としてのススを塗布するものである。
圧延機Eは、ベルトホイール式連続鋳造機Dから導出された鋳塊Sを圧延して荒引線60とするものであり、探傷器70を介してコイラーFに連結されている。
ベルトホイール式連続鋳造機Dにおいては、鋳型47内に供給される金属の溶湯に接触する前の状態にある無端ベルト40とリングモールド41における凹溝42の底面43及び側面44,44とに対して、塗布手段48,49によって離型剤及び冷却剤としてのススが塗布される。
これにより、まず、凝固シェルが形成され、次いで、無端ベルト40側から凝固組織S1が成長し、リングモールド41における凹溝42の底面43側から凝固組織S2が成長し、かつ、リングモールド41における凹溝42の側面44,44側から凝固組織S3,S3が成長していく。
そして、ベルトホイール式連続鋳造機Dから導出された鋳塊Sが、圧延機Eによって圧延されることで荒引線(例えば低酸素銅線)60となり、探傷器70で傷の有無が検知されながらコイラーFに巻回される。
そのため、鋳造された鋳塊Sの凝固割れの発生を防止することができ、かつ、潜在的な凝固組織の不健全性をなくすことができるので、高品質の鋳塊Sを連続的に鋳造していくことが可能となる。
また、具体的な実験例として、図7に、従来のベルトホイール式連続鋳造機で鋳造された鋳塊のマクロ組織を示し、図8に、本発明のベルトホイール式連続鋳造機で鋳造された鋳塊のマクロ組織を示す。
本発明の一例によるベルトホイール式連続鋳造機を用いて銅の鋳塊を鋳造し、SCR方式の荒引線の製造装置によって低酸素銅線を製造した。また、従来のベルトホイール式連続鋳造機を用いて銅の鋳塊を鋳造し、SCR方式の荒引線の製造装置によって低酸素銅線を製造した。これらの線材について捻回試験(線材を両端固定した状態で捻回し、捻じ切れるまでの回数を計測)を行った。
本発明の一例によるベルトホイール式連続鋳造機を用い、凝固割れ感受性の比較的高いてタフピッチ銅ベースの銀入合金及びリン脱酸銅の鋳塊を鋳造し、SCR方式の荒引線の造装置によって荒引線を製造した。また、従来のベルトホイール式連続鋳造機を用いてタフピッチ銅ベースの銀入合金及びリン脱酸銅の鋳塊を鋳造し、SCR方式の荒引線の製造装置によって荒引線を製造した。これらの線材について圧延工程を出た後の線表面を渦流探傷装置((株)日本エステック製 RP−7000)で連続全面検査した。
その結果を以下の表2に示すが、この表2からも分かるように、本発明が凝固割れに対して優位性があることが分かる。
40 無端ベルト
41 リングモールド
42 凹溝
43 底面
44 側面
45 交差部
46 R部
47 鋳型
48,49 塗布手段
A 溶解炉
B 保持炉
C 鋳造樋
D ベルトホイール式連続鋳造機
E 圧延機
F コイラー
S 鋳塊
Claims (4)
- ベルトホイール式連続鋳造機に用いられ、深さHが45mm〜70mmとされた凹溝が外周に形成されたリングモールドであって、
前記凹溝における底面と側面との交差部に、この交差部側からの溶湯の凝固の進行方向を制御するR部が設けられていて、
前記凹溝の長手方向に直交する断面で見たときに、前記R部の曲率半径Rが15mm〜35mmとされていることを特徴とするベルトホイール式連続鋳造機用リングモールド。 - ベルトとこのベルトに外周の一部を接触させて回転する請求項1に記載のリングモールドとを備え、前記ベルトと前記リングモールドの外周に形成された凹溝の底面及び側面との間に画成される鋳型内に、金属の溶湯が供給されることによって鋳塊を連続的に鋳造することを特徴とするベルトホイール式連続鋳造機。
- 請求項2に記載のベルトホイール式連続鋳造機と、このベルトホイール式連続鋳造機から導出される前記鋳塊を圧延する圧延機とを備え、荒引線を連続的に製造することを特徴とする荒引線の製造装置。
- 請求項3に記載の荒引線の製造装置を用いて、荒引線を連続的に製造することを特徴とする荒引線の製造方法。
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