JP2006094865A - リゾスフィンゴ脂質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】副生成物を生ずることなく、効率よくリゾスフィンゴ脂質を製造する方法を提供すること。上記製造方法により得られたリゾスフィンゴ脂質を提供すること。
【解決手段】スフィンゴ脂質のスフィンゴイドと脂肪酸との酸アミド結合を特異的に加水分解する酵素を用いたリゾスフィンゴ脂質の製造方法において、水相と分離相を形成する少なくとも1種類の有機溶媒を含有する2相系反応液中で、所望により海面活性剤の存在下に酵素反応を行うリゾスフィンゴ脂質の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、リゾスフィンゴ脂質の製造方法、さらに詳しくは、化粧料、医薬、スフィンゴ脂質工学および細胞工学等に有用なリゾスフィンゴ脂質の工業的に有用な製造方法ならびに該製造方法で得られたリゾスフィンゴ脂質に関する。
スフィンゴ脂質は、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質(スフィンゴホスホノリピドを含む)およびセラミド等のスフィンゴイド骨格を共通の構造として持つ脂質の総称である。また、スフィンゴイド骨格のアミノ基は不均一な鎖長の長鎖脂肪酸を酸アミド結合し、セラミドを形成している。
これらスフィンゴ脂質は、近年、下等動物から高等動物にまで広く分布し、細胞の増殖、分化誘導、アポトーシス等のような生物活性において重要な役割に関与していることが明らかにされつつある。また、細胞表層の構成成分であることから、化粧料や医薬等への添加物としても使用されつつある。
また、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドのアミノ基に酸アミド結合した脂肪酸を欠く、スフィンゴ脂質のN−脱アシル体(リゾ体)はリゾスフィンゴ脂質と呼ばれ、スフィンゴ脂質と同様な生物活性だけでなく、異なる活性をも持つことが明らかにされてきた。
リゾスフィンゴ脂質は、スフィンゴイドに遊離のアミノ基を持っており再アシル化によりリゾスフィンゴ脂質誘導体(スフィンゴ脂質誘導体、スフィンゴ脂質類縁体)を合成する際の出発原料として有用である。例えば、均一な脂肪酸組成を持つスフィンゴ脂質や、元のスフィンゴ脂質と脂肪酸鎖長の異なるスフィンゴ脂質またはドコサヘキサエン酸の様な機能性脂肪酸を含む新規なスフィンゴ脂質を合成することができる。また、発色団や放射性同位元素等で標識化されたスフィンゴ脂質を得ることが可能である。さらに、リゾスフィンゴ脂質の遊離のアミノ基を利用して担体に固定化することも可能である。
従来、リゾスフィンゴ脂質の製造方法として、化学的方法、酵素を用いる方法および微生物を用いる方法が知られている。
スフィンゴ糖脂質からリゾスフィンゴ脂質を得る化学的方法としては、ヒドラジン分解法やアルコール系溶媒中でのアルカリ加水分解法が知られている。しかし、これらの方法によると、例えば、シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質(ガングリオシド)の場合には、シアル酸部分の脱アシル化反応が同時に進行する。また、アミノ糖を含むスフィンゴ糖脂質の場合、N−アセチル基の脱離が起こり、デ−N−アセチルリゾ糖脂質が生じる。これらのような脱アシル化したリゾスフィンゴ糖脂質を天然と同じ糖鎖にするためには、脂質部分のアミノ基に保護基を選択的に導入した後、シアル酸部分の再アシル化を行った後に、さらに保護基を外す方法や、リポソームに取込ませて糖部分選択的再アシル化する方法のような非常に煩雑な操作が必要であった。さらに、これらの操作では様々な副生成物が生成する。このように化学的方法によるリゾスフィンゴ脂質の製造には多くの手間と技術的な熟練を要する。
また、スフィンゴリン脂質であるスフィンゴミエリンのリゾ体を化学的に得る方法としては、アルコール系溶媒中での塩酸加水分解による方法が一般に用いられる。しかし、この方法によると、スフィンゴイドが天然型のD−エリトロ(D−erythro)型(2S,3R)のものだけではなくL−トレオ(L−threo)型(2S,3S)の立体異性体が生じるなど、様々な副反応物が生じるため、目的とする天然型D−エリトロ体の収率が低いのみならず、反応物中よりD−エリトロ体のみを精製することは非常に困難であった。
一方、スフィンゴ脂質からリゾ体を生成する酵素を用いる方法がこれまで知られている。ノカルディア(Nocardia)属放線菌の生産するガングリオシド・セラミダーゼを用いる方法[非特許文献1;特許文献1]、ロドコッカス(Rhodococcus)属放線菌の生産する酵素または菌体処理物を用いる方法(特許文献2)、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを用いる方法[非特許文献2;特許文献3〕、非発酵性グラム陰性桿菌AI-2の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを用いる方法(特許文献4)、シュードモナス属細菌の生産するセラミダーゼを用いる方法(特許文献5)が知られている。
しかしながら、これらの酵素を用いる方法におけるリゾ体の反応収率は満足できるものではない。例えば、スフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを使用する場合、基質により異なるが、最も加水分解されやすい基質であるガングリオシドGM2でも最高約70%であり、ガングリオシドGM1では最高約60%である。
微生物またはその抽出物を用いるリゾスフィンゴ脂質の製造方法として、グリコスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを生産する能力を有するストレプトミセス(Streptomyces)属放線菌を用いる方法[非特許文献3;特許文献6]、スフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼを生産するシュードモナス属細菌あるいはシェワネラ(Shewanella)属細菌を用いる方法(特許文献7)が知られている。
しかしながら、培地中に添加する方法では、目的のリゾ体以外に培地あるいは菌体由来の色素、糖脂質等の不純物を大量に含むため、高純度なリゾ体を得るためには煩雑な精製操作が必要であった。さらに、この方法では、微量のスフィンゴ脂質を処理し、リゾ体を精製することは、上記のような理由により非常に困難であった。
これまで知られている酵素を用いる方法や微生物またはその抽出物を用いる方法によるリゾスフィンゴ脂質の製造方法は、いずれも水溶系のみでの反応であり、水相と、それに非混和性の分離相を形成する有機溶媒との2相系で行う方法は、これまで全く知られていなかった。
特開昭64−60379号公報 特開平6−78782号公報 特開平8−84587号公報 特開平10−257884号公報 特開平10−14563号公報 特開平7−107988号公報 特開平10−45792号公報 ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry)、第103巻、第1〜4頁(1988) ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry]、第270巻、第24370〜24374頁(1995) バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry)、第59巻、第2028〜2032頁(1995)
上記したように、従来の化学的あるいは酵素的にリゾスフィンゴ脂質を製造する方法および微生物を用いるリゾスフィンゴ脂質の製造方法は、望ましくない副産物ができたり、反応効率が低かったり、精製に多くの手間と技術的な熟練を要するなど効率の悪いものであった。
したがって、本発明の目的は、副生成物を生ずることなく、効率よくリゾスフィンゴ脂質を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記製造方法により得られたリゾスフィンゴ脂質を提供することにある。
本発明のこれら、および他の目的ならびに利点を、添付の図面を参照して、以下の記載により明らかにする。
本発明者らは、高純度な工業的に有利なリゾスフィンゴ脂質の大量調製法について検討を行った結果、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドと脂肪酸との酸アミド結合を特異的に加水分解する酵素を用いたリゾスフィンゴ脂質の製造方法において、水と混和しない有機溶媒を含有する2相系反応液中で、酵素反応を行うことにより、副生産物を生ずることなく、優れた反応効率で、しかも、高純度のリゾスフィンゴ脂質を製造できることを見出した。また、水と混和しない有機溶媒について鋭意検討した結果、驚くべきことに使用する脂溶性有機溶媒により、リゾスフィンゴ脂質の収率が大きく変動することを見いだした。さらに、上記の2相系反応液中に、1種以上の界面活性剤を加えることにより、さらに効率良くリゾスフィンゴ脂質を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1. スフィンゴ脂質のスフィンゴイドと脂肪酸との酸アミド結合を特異的に加水分解する酵素を用いたリゾスフィンゴ脂質の製造方法において、水相と分離相を形成する少なくとも1種類の有機溶媒を含有する2相系反応液中で、酵素反応を行うことを特徴とするリゾスフィンゴ脂質の製造方法、
2. 少なくとも1種類の界面活性剤の存在下に、酵素反応を行う上記1記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法、
3. 有機溶媒が、炭化水素、アルコール、エステルまたはエーテルから選択される有機溶媒である上記1または2記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法、
4. 炭化水素が、炭素数6以上の炭化水素である上記3記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法、
5. アルコールが、炭素数8以上のアルコールである上記3記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法、
6. エステルが、炭素数6以上のカルボン酸部分と、炭素数2以上のアルコールから構成されるエステルである上記3記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法、
7. エーテルが、フェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびビニルエチルエーテルからなる群から選択されるエーテルである上記3記載の製造方法、
8. 界面活性剤が、ステロイド骨格を有する界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される上記2記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法、および
9. 上記1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により得られるリゾスフィンゴ脂質
を提供するものである。
本明細書において、”TM”は商標名を意味する。
本発明の製造方法により、効率よく簡便に、かつ高純度なリゾスフィンゴ脂質を工業的に大量調製することが可能となった。
本発明において、基質として用いるスフィンゴ脂質とは、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質、セラミドを包含する長鎖塩基スフィンゴイドを有する天然物または合成物の単体あるいはそれらの混合物等が挙げられる。
また、本発明において、リゾスフィンゴ脂質とは、スフィンゴイドのアミノ基に酸アミド結合した脂肪酸を欠くスフィンゴ脂質のN−脱アシル体を意味する。
本発明において用いる、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドと脂肪酸との酸アミド結合を特異的に加水分解する酵素は、特に限定するものではなく、公知のスフィンゴ脂質から脂肪酸を遊離する作用をもつ酵素でよく、例えば、ノカルディア属放線菌の生産するガングリオシド・セラミダーゼ[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー、第103巻、第1〜4頁(1988);特開昭64−60379号公報]、ロドコッカス属放線菌の生産する酵素(特開平6−78782号公報)、ストレプトミセス属放線菌の生産するグリコスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼ[バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー、第59巻、第2028〜2032頁(1995);特開平7−107988号公報〕、シュードモナス属細菌の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報〕、シュワネラ属細菌の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ(特開平10−45792号公報)、シュードモナス属細菌の生産するセラミダーゼ(特開平10−14563号公報)、哺乳動物組織由来セラミダーゼ[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第241巻、第3731〜3737頁(1966);バイオケミストリー(Biochemistry)、第8巻、第1692〜1698頁(1969);バイオキミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)、第176巻、第339〜347頁(1969);サイエンス(Science)、第178巻、第1100〜1102頁(1972)]、無脊椎動物由来セラミダーゼ(国際公開WO98/03529号公報)等が挙げられる。
これらの中で、シュードモナス属細菌の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼおよびシュワネラ属細菌の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼは基質特異性が広く、いろいろなリゾスフィンゴ脂質を製造するのに特に好ましい。
スフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを生産するシュードモナス属細菌、Pseudomonas sp. TK−4株を、G−182と表示し、1994年6月24日(原寄託日)より、ブタペスト条約の下、受託番号FERM BP−5096で、また、スフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを生産するシュワネラ属細菌、Shewanella alga NS−589株を1996年6月26日より受託番号FERM P−15700(国際寄託番号FERM BP−7279)で、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託してある。
また、これら酵素は、酵素溶液として、または水不溶性の担体に固定化して用いることができる。
本発明に用いられる水相とは、水もしくは水溶液が挙げられ、特に、各種反応のための酵素、基質等を添加した緩衝液が好ましい。
分離相は、水と混和しない有機溶媒相である。該有機溶媒相と水相との間において、スフィンゴ脂質の分解産物である脂肪酸の有機溶媒相への分配比が水相よりも高く、基質であるスフィンゴ脂質の有機溶媒への分配比が水相よりも低い有機溶媒のうち炭化水素、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類から選択される。
このような有機溶媒として、特に限定するものではないが、例えば、炭化水素としてヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ペンタデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,2,3−トリメチルヘプタン、2,2,4−トリメチルヘプタン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、ペンタデセン、ヘプタデセン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロデカン、シクロヘキセン、シクロデセン等の脂肪族環状炭化水素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、塩化オクチル、塩化デシル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
また、アルコール類として、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オクテン−オール、デセン−オール、シクロデカノール等が挙げられる。
エステル類として、ヘキサン酸エチル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、ドデカン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、クエン酸ブチル、クエン酸エチル等が挙げれられる。
エーテル類として、フェニルエーテル、ビニルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、オクチルエーテル等が挙げられる。
ケトン類として、オクタノン、デカノン、ドデカノン等が挙げられる。
上記の有機溶媒のうち、炭素数6以上の炭化水素(脂肪族、環式、芳香族、ならびに含ハロゲン炭化水素を含む)、炭素数8以上のアルコール、炭素数6以上のカルボン酸部分と、炭素数2以上のアルコールから構成されるエステル、ならびにフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびビニルエチルエーテルから選択されるエーテルが、特に好適に本発明の方法に使用することができる。
さらに、本発明で用いる有機溶媒は、1種類に限定されるものではなく、2種類以上を混合し、使用することができる。
本発明における2相系には、水相と有機溶媒相が、例えば、攪拌状態のように、有機溶媒相に水相が分散された状態または水相に有機溶媒相が分散された状態、あるいは静置状態のように分散状態ではなく、2層に分離した状態で水相と有機溶媒相が接触している状態が包含される。
また、有機溶媒相および/または水相を、酵素反応を継続しながら随時交換してもよく、これにより、連続的にリゾスフィンゴ脂質を製造することも可能となる。添加される有機溶媒の量は、特に限定するものではないが、好ましくは水相の容量の50%以上、通常、5〜10倍量あればよい。
水相には各種塩類、界面活性剤、例えば、タウロデオキシコール酸ナトリウムやコール酸ナトリウムのようなステロイド骨格を持つ界面活性剤、トリトン系界面活性剤やNonidet P-40(登録商標)のようなポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、トゥイーン系界面活性剤のようなポリオキシエチレンソルビタンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤の内、少なくとも1種類を添加することができる。特に限定するものではないが、界面活性剤の量は、通常、反応系全体に対して0.1〜2重量%程度が好ましい。
反応条件も特に限定するものではないが、pH、温度等、各酵素の至適条件で反応を行うことにより、さらに効率よくリゾスフィンゴ脂質を製造することができる。
例えば、シュードモナス属細菌の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを用いた反応の場合、pH6〜10で、界面活性剤としてタウロデオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウムのようなステロイド骨格を持つ界面活性剤を添加することが好ましく、さらにTriton X-100(登録商標)やNonidet P-40(登録商標)のようなポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類を併用することによりより効率よくスフィンゴ脂質を加水分解することができる。
反応時間も、特に限定するものではなく、用いた基質、例えば、天然あるいは合成のスフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質、セラミド等のスフィンゴ脂質から、用いた酵素で所望の量のリゾスフィンゴ脂質が得られる時間、反応を行えば良い。
本発明により得られたリゾスフィンゴ脂質は通常の方法によって精製されることができる。
反応液からの有機溶媒の除去は、静置により2相を分離後、分液しても良いし、選択膜やカラムを使用しても良い。また、減圧濃縮や蒸留によって除いても良い。
このようにして得られた水相中のリゾ体を含む反応物は混在物が少ないため、通常の抽出法、例えば、逆相クロマトグラフィーやシリカゲルカラムの順相クロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーによって、簡単にリゾスフィンゴ脂質を精製することができる。
また、上記の除去操作により分離された有機溶媒相から有機溶媒を蒸発させることによりスフィンゴ脂質由来の脂肪酸を得ることも可能である。
精製したリゾスフィンゴ脂質の構造の確認は、薄層クロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー、質量分析、核磁気共鳴スペクトルなどの分析によって行うことができる。
このようにして、本発明の方法により、スフィンゴ脂質から目的のリゾスフィンゴ脂質に変換することができる。
さらに、本発明で得られたリゾスフィンゴ脂質を処理してリゾスフィンゴ脂質誘導体を製造することができる。リゾスフィンゴ脂質誘導体の製造は、例えば、以下のようにして行うことが可能である。
処理として再アシル化を行う場合、アミノ基の酸アミド化の常法に従って、化学的方法または酵素的方法によって行うことができる。
化学的に再アシル化を行う方法では、標識を有し、または有しない脂肪族カルボン酸またはその反応性誘導体を用いて反応を行えばよい。本発明において使用可能な脂肪族カルボン酸の例には、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸はもちろんのこと、それら脂肪酸の炭化水素鎖が、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ基、オキソ基、水酸基等の官能性基で置換されている酸、または当該炭化水素鎖中に酸素、硫黄、アミノ基を有する酸等の脂肪族性をもつカルボン酸が全て含まれる。
酵素的に再アシル化を行う方法としては、公知のリパーゼを用いる方法等があるが、特に有用な方法としては、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドと脂肪酸との酸アミド結合を特異的に加水分解する酵素、例えば、上記のスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼの逆反応(国際公開WO98/03529号公報)を利用することにより、容易に行うことが可能である。
処理として、得られたリゾスフィンゴ脂質のスフィンゴイドのアミノ基を標識する場合、該標識方法としては、標識する部分に、発色団を形成する物質、蛍光物質、ビオチン、放射性同位元素等を導入すれば良い。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
種々の有機溶媒の添加によるリゾスフィンゴ脂質の製造
シュードモナス属細菌、Pseudomonas sp. TK−4(FERM BP−5069)由来のスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ[SCDase;ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]2mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウム[ナカライテスク(nacalai tesque)社製]および10nmol GM1[マトレヤ(Matreya)社製]を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに、各種有機溶媒100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。なお、コントロールとして、有機溶媒を添加していないものも同様に反応させた。
得られた反応液を薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター[バイオ−ラッド(Bio-Rad)社製]で、GM1のリゾ体の収率の定量を行った。その結果を表1に示す。
なお、下記表1記載の有機溶媒中、シクロデカンはアルドリッチ(Aldrich Chem.)社製であり、その他はすべてナカライテスク社製である。
Figure 2006094865
Figure 2006094865
Figure 2006094865
実施例2
界面活性剤の検討
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]2mU、各種界面活性剤、10nmol GM1(マトレヤ社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μ1に、n−デカン(ナカライテスク社製)100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。
得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1のリゾ体の収率の定量を行った。その結果を表2に示す。
界面活性剤の最終濃度は反応系に対して0.8重量%で使用した。下記表2記載の界面活性剤中、Triton X-100(登録商標)はピアス(Pierce)社製であり、その他はすべてナカライテスク社製である。
Figure 2006094865
実施例3
タウロデオキシコール酸ナトリウム濃度の検討
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]2mUU、各種濃度のタウロデオキシコール酸ナトリウム(ナカライテスク社製)および10nmol GM1(マトレヤ社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μ1に、n−ヘプタデカン(ナカライテスク社製)100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。
得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1のリゾ体の収率の定量を行った。その結果を表3に示す。表3中の界面活性剤の濃度は反応系に対する最終濃度の重量%である。
Figure 2006094865
実施例4
至適pHの検討
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]2mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウム(ナカライテスク社製)および10nmol
GM1(マトレヤ社製)を含む50mMの各緩衝液10μlに、n−デカン(ナカライテスク社製)100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。緩衝液は、pH3〜6では酢酸緩衝液、pH6〜8ではリン酸緩衝液、pH8〜9ではトリス塩酸緩衝液、pH9〜10ではグリシンNaOH緩衝液を用いた。
得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1の分解率、すなわち、リゾ体の収率の定量を行った。その結果を図1に示す。
すなわち、図1は、有機溶媒存在下でのリゾ体の収率に寄与する至適pHを示す図である。図中、縦軸は分解率(%)、横軸はpHを示し、白丸印は酢酸緩衝液、黒丸印はリン酸緩衝液、白三角印はトリス塩酸緩衝液、黒四角印はグリシンNaOH緩衝液を示す。
実施例5
有機溶媒存在下での基質特異性
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]2mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウム(ナカライテスク社製)および10nmolの各基質を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに,n−ヘプタデカン(ナカライテスク社製)100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。また、コントロールとしてn−ヘプタデカンを添加しないものも調製した。基質は、セラミド(Cer)、ガラクトシルセラミド(GalCer)、スルファチド、GM1、アシアロGM1、GD1a、スフィンゴミエリン(全てマトレヤ社製)を使用した。
得られた反応液のうち、セラミドよりのリゾ体の収率の定量は、薄層クロマトグラフィーで展開し、ニンヒドリン試薬により生成したスフィンゴシンを発色させ行った。スフィンゴミエリンはクマシーブリリアントブルーにより生成したリゾスフィンゴミエリンを発色させ行った。その他の基質は、実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、各基質よりのリゾ体の収率の定量を行った。その結果を図2に示す。
すなわち、図2は、有機溶媒存在下および非存在下でのリゾ体の収率に寄与する基質特異性を示す図である。図中、縦軸は収率(%)、横軸は各基質を示し、黒棒グラフはn−ヘプタデカン存在下での分解率を示し、白棒グラフはn−ヘプタデカン非存在下での分解率を示す。
実施例6
タウロデオキシコール酸ナトリウム、Triton X-100(登録商標)、および有機溶媒存在下または非存在下でのリゾ体の収率の時間経過
下記反応条件(A)〜(D)で、37℃にて反応させ、0、0.5、1、2、6および16時間経過毎の収率を定量した。得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1の分解率、すなわち、リゾ体の収率の定量を行った。その結果を図3に示す。
すなわち、図3は、界面活性剤および有機溶媒存在下または非存在下でのGM1の分解率の時間経過を示す図である。図中、縦軸は分解率(%)、横軸は時間(hr)を示し、黒丸印はタウロデオキシコール酸ナトリウムおよびn-デカン存在下、白丸印はタウロデオキシコール酸ナトリウム存在下、黒四角印はTriton X-100(登録商標)およびn−デカン存在下、白三角印はTriton X-100(登録商標)存在下を示す。
反応条件(A):シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]2mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウム(ナカライテスク社製)および10nmol GM1(マトレヤ社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに、n−デカン(ナカライテスク社製)100μlを添加して反応を行う。
反応条件(B):シュードモナス属細菌由来SCDase2mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウムおよび100nmol GM1を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlで反応を行う。
反応条件(C):シュードモナス属細菌由来SCDase2mU、0.8%Triton X-100(登録商標)(ピアス社製)および10nmol GM1を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに、n−デカン100μlを添加して反応を行う。
反応条件(D):シュードモナス属細菌由来SCDase2mU、0.8%Triton X-100(登録商標)および10nmol GM1を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlで反応を行う。
実施例7
タウロデオキシコール酸ナトリウム、Triton X-100(登録商標)および有機溶媒存在下でのリゾ体の収率の検討
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報〕0.5mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウム(ナカライテスク社製)、0、0.1、0.4または0.8%Triton X-100(登録商標)(ピアス社製)および10nmol GM1(マトレヤ社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに,n−ヘプタデカン(ナカライテスク社製)100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。
得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1の分解率、すなわち、リゾ体の収率の定量を行った。その結果を図4に示す。
すなわち、図4は、タウロデオキシコール酸ナトリウム、各種Triton X-100(登録商標)および有機溶媒存在下、各種酵素量でのGM1の分解率を示す図である。図中、縦軸は分解率(%)、横軸はTriton X-100(登録商標)の濃度(%)を示す。
実施例8
有機溶媒量の検討
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]2mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウム(ナカライテスク社製)、0.1%Triton X-100(登録商標)(ピアス社製)、10nmol GM1(マトレヤ社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに、n−デカン(ナカライテスク社製)またはn−ヘプタデカン(ナカライテスク社製)の量を変化させて添加し、37℃で、16時間反応させた。
得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1の分解率、すなわち、リゾ体の収率の定量を行った。その結果を図5に示す。
すなわち、図5は、有機溶媒量とリゾ体の収率との関係を示す図である。図中、縦軸は分解率(%)、横軸は有機溶媒量(μl)を示し、白棒グラフはn−デカン、黒棒グラフはn−ヘプタデカンを示す。
実施例9
低濃度の酵素使用下での様々な界面活性剤の検討
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報]0.5mU、各種界面活性剤および10nmol GM1(マトレヤ社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに、n−ヘプタデカン(ナカライテスク社製)100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。
得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1のリゾ体の収率の定量を行った。その結果を表4に示す。
界面活性剤の最終濃度は反応系に対し、0.1重量%で使用した。下記表4記載の界面活性剤中、Triton X-100(登録商標)はピアス社製であり、その他はすべてナカライテスク社製である。
Figure 2006094865
実施例10
タウロデオキシコール酸ナトリウムと各種界面活性剤の混合によるリゾ体の収率の検討
シュードモナス属細菌由来SCDase[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995);特開平8−84587号公報〕0.5mU、0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウム、各種界面活性剤および10nmol GM1(マトレヤ社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに、n−ヘプタデカン(ナカライテスク社製)100μlを添加し、37℃で、16時間反応させた。なお、コントロールとして、タウロデオキシコール酸ナトリウムのみのものも同時に反応させた。
得られた反応液は実施例1と同様に、薄層クロマトグラフィーで展開し、オルシノール硫酸により発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオ−ラッド社製)で、GM1のリゾ体の収率の定量を行った。その結果を表5に示す。
混合した界面活性剤の最終濃度は反応系に対して0.1重量%で使用した。下記表5記載の界面活性剤中、Triton X-100(登録商標)はピアス社製であり、その他は全てナカライテスク社製である。
Figure 2006094865
実施例11
リゾガングリオシドGM3の生産
ガングリオシドGM3(マトレヤ社製)10mgを0.8%タウロデオキシコール酸ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10mlに溶解して200mlナシ型フラスコ中に入れ、ついでSCDase2Uを添加した。ここにn−デカン100mlを重層し、静置状態で16時間、37℃で保温した。水相にSCDase1Uを追加して、さらに16時間、37℃で保温した。このときのガングリオシドGM3の分解率は95%であった。
反応終了後、水相を回収して2等分し、これを逆相クロマトグラフィによる精製に供した。POROS R2H(φ4.6×100mm、パーセプティブ社製)カラムに水相を添加し、アセトニトリル:水=10:90からアセトニトリル:メタノール=10:90へのグラジエント溶出を行った。溶出されたリゾガングリオシドGM3画分を回収し濃縮乾燥した。その結果薄層クロマトグラフィーによる展開後オルシノール硫酸および重クロム酸・硫酸混液による発色で純度95%以上のリゾ体5.6mgを得ることができた。
以上記載したごとく、本発明の製造方法により、効率よく簡便に、かつ高純度なリゾスフィンゴ脂質を工業的に大量調製することが可能となった。
有機溶媒存在下でのリゾ体の収率に寄与する至適pHを示す図である。 有機溶媒存在下および非存在下でのリゾ体の収率に寄与する基質特異性を示す図である。 界面活性剤および有機溶媒存在下または非存在下でのリゾ体の収率の時間経過を示す図である。 有機溶媒存在下、各種酵素量でのリゾ体の収率を示す図である。 有機溶媒添加量とリゾ体の収率との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. スフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを用いたリゾスフィンゴ脂質の製造方法において、炭素数6以上の炭化水素、炭素数8以上のアルコール、炭素数6以上のカルボン酸部分と炭素数2以上のアルコールから構成されるエステル、フェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびビニルエチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶媒を含有する2相系反応液中で、静置状態で酵素反応を行うことを特徴とするリゾスフィンゴ脂質の製造方法。
  2. 少なくとも1種類の界面活性剤の存在下に、酵素反応を行う請求項1記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法。
  3. 界面活性剤が、ステロイド骨格を有する界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される請求項2記載のリゾスフィンゴ脂質の製造方法。
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