JP2006094566A - 網目スクリーンの作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高品質な画像を生成することを可能とし、また、出力装置や出力媒体のドットゲインを考慮した高品質な画像を生成することのできる網目スクリーンの作成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スレッショールドアレーTkに対して閾値の初期値1、2を設定した後、前記閾値1、2から最も離れた位置を求め、その位置を閾値3の位置に決定する。この作業を繰り返すことにより、スレッショールドアレーT5の全閾値を決定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、多値画像信号を2値画像信号に変換するための閾値マトリクスからなる網目スクリーンの作成方法に関する。
多値画像信号を2値画像信号に変換する、いわゆる、網点化の方式は、ドット(画素)の大きさを多値画像信号に応じて変調する振幅変調方式(「AM方式」ともいう)と、ドットの大きさは同じで密度を多値画像信号に応じて変調する周波数変調方式(「FM方式」ともいう)との2つに大別することができる。この場合、前記周波数変調方式には、所定の閾値を用いて多値画像信号を2値画像信号に変換する際、前記多値画像信号と前記2値画像信号との間で生じる誤差をその周囲画素に拡散させることで所望の濃度からなる2値画像信号を生成する誤差拡散方式、ディザマトリクスとして設定された閾値を用いて多値画像信号を2値画像信号に変換するスレッショールド方式等がある。
ところで、複数のブロックに分割した画像の各領域に対応する分散型ディザマトリクス(ベイヤ(Bayer)のディザマトリクス)を用いた従来のスレッショールド方式では、目障りな規則的パターンが視認されてしまう場合がある。また、従来のスレッショールド方式では、画像を出力する出力装置や出力媒体によるドットゲインの影響を考慮しておらず、従って、ドットゲインが大きい場合には、画質が劣化してしまう問題がある。
一方、ディザマトリクスの行方向および列方向の配列の中、一方の方向に対する配列を他方の方向に対する配列よりも大きく設定し、前記他方の方向に対する配列を分割された画像のブロック毎に乱数的に繰り返し再配置することにより、当該ディザマトリクスの繰り返しによって発生する規則的パターンの視認を低下させるとともに、ディザマトリクスに要するメモリ容量を減少させるようにした方法がある(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法においても前記規則的パターンを完全に解消することはできず、また、ベイヤのディザマトリクスを用いた場合と同様に、出力装置に依存するドットゲインの影響による画質の劣化を回避することはできない。さらに、ディザマトリクスの配列を前記他方の方向に対して繰り返し再配置する処理を要するため、ベイヤのディザマトリクスを用いた場合よりも多くの処理時間が必要となる。
さらにまた、誤差拡散方式を用いたものとして、多値画像信号を2値画像信号に変換する際、当該画素の周辺画素において既に決定しているドット発生パターン(2値化パターン)に応じ、2値化による誤差をパターンテーブルメモリに記憶されている前記ドット発生パターンに対応した補正値を用いて補正し、その補正された誤差を新たな誤差として誤差拡散処理を行う方法がある(特許文献2参照)。
この場合、パターン化が可能な理想的なドット発生パターン、例えば、円形のドット発生パターンに対しては補正値を正確に設定することができ、これによって良好な画像を再現することが可能となるが、様々なドットゲイン特性を有する全ての出力装置や出力媒体に対して適用することができるものではない。また、誤差拡散方式であるため、相当な処理時間を必要とする不具合もある。
特開平6−311352号公報 特開平5−3540号公報
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであり、視覚特性や出力装置、出力媒体のドットゲインを考慮した高品質な画像を生成することのできる網目スクリーンの作成方法を提供することを目的とする。
本発明は、多値画像信号を2値画像信号に変換するための閾値マトリクスからなる網目スクリーンの作成方法において、
昇順あるいは降順に閾値を決める際、前記閾値マトリクスの周囲に配置される同一構成からなる他の閾値マトリクスを含め、既に決定された閾値の位置と新たに配置する閾値の位置との距離が最も離間するように前記新たな閾値の位置を決定することを特徴とする。
また、本発明は、多値画像信号を2値画像信号に変換するための閾値マトリクスからなる網目スクリーンの作成方法において、
昇順あるいは降順に閾値を決める際、前記閾値マトリクスの周囲に配置される同一構成からなる他の閾値マトリクスを含め、既に決定された閾値の位置を中心に所定の重み付けフィルタを作用させ、その重み付け値を累積加算あるいは累積減算することで前記閾値マトリクス内の前記重み付けフィルタによる重み付け分布を求め、前記重み付け分布の極小値あるいは極大値に相当する位置を新たな閾値の位置に設定することで、順次閾値の位置を決定することを特徴とする。
本発明では、閾値の位置を相互に最も離間する順に決定することで、この閾値マトリクスによる2値化誤差の空間周波数成分を高域側とすることができる。また、前記決定に際して、周囲の閾値マトリクスを構成する閾値の位置も考慮することで、閾値マトリクスの繰り返しによる周期性の視認を低下させることができる。
また、本発明では、例えば、視覚特性を考慮した点広がり関数を重み付けフィルタとして用い、この重み付けフィルタを既に決定された閾値の位置を中心に作用させて得られる重み付け分布のばらつきが最小となるように閾値の位置を順次決定することにより、画像における目障りな粒状性の視認を低下させることのできる閾値マトリクスを得ることができる。また、周囲の閾値マトリクスを考慮して閾値を決定することにより、周囲の閾値の不連続性によって生じる画像の周期性の視認を低下させることができる。
本発明では、閾値マトリクスを構成する閾値間の距離が離間する順に閾値を設定することにより、ドットパターンが片寄ることのない良好な2値画像を得ることができる。また、前記閾値の決定に際して、周囲の閾値マトリクスを構成する閾値の位置をも考慮しているため、作成された2値画像上に閾値マトリクスの繰り返しによる周期性が出現することがない。
また、本発明では、前記閾値の決定に際して、例えば、視覚特性から得られる点広がり関数を重み付けフィルタとし、この重み付けフィルタを既に決められた閾値の位置を中心に作用させ、それを累積加算あるいは累積減算することにより得られる重み付け分布が最小となる部分から順次閾値を決定するようにしている。この場合、粒状性や周期パターンの目立たない良好な2値画像を得ることができる。
さらに、所望の出力装置または所望の出力媒体を用いてテストパターンを作成することでドットゲインに対する補正量を求め、前記補正量で前記点広がり関数を補正した後、前記のようにして閾値マトリクスを求めることにより、ドットゲインを補正して、一層高精度な2値画像を作成することができる。
図1は、本発明に係る網目スクリーンの作成方法が適用されるシステムを示す。このシステムにおいて、先ず、印刷物Pを作成する手順について説明する。
外部装置からラスタイメージプロセッサ(RIP)10に供給された多値画像信号Iは、比較器12において、選択手段14によりスクリーン線数や出力媒体等の出力条件に従って選択され閾値マトリクス記憶部16から出力される閾値信号THと比較され、2値画像信号Bに変換される。なお、前記閾値信号THは、閾値マトリクス作成装置22において、後述するようにして作成されるが、この閾値マトリクス作成装置22は、RIP10と一体であってもよい。次いで、前記2値画像信号Bは、出力装置20に供給され、例えば、レーザビームをオン/オフ制御することでフイルムF上にフイルム原版となる網点画像が形成される。このフイルム原版から刷版が作成され、前記刷版が印刷機に設定されることで、記録媒体である所定の印刷用紙に対して所望の印刷物Pが形成される。
次に、前記のようにしてフイルムFあるいは印刷物Pを作成する際に使用される閾値マトリクス(網目スクリーン)の作成方法の各実施例を説明する。なお、以下の各実施例では、1〜25の閾値を設定するものとして説明しているが、任意の範囲からなる閾値を設定する場合にも拡張することができることは勿論である。
実施例1
図2〜図4は、実施例1の処理手順を示すフローチャートである。この実施例では、値の近い閾値が近接して配置されないように閾値マトリクスを設定することで、前記閾値マトリクスにより形成される画像のドットパターンが局所的に片寄らないようにして粒状性を低下させることができ、また、前記閾値マトリクスに隣接して設定される他の閾値マトリクスを考慮して閾値を配置することで、前記閾値マトリクスの繰り返しによる規則的パターンの出現を低減させることができる。
先ず、図5に示すように、所望の閾値マトリクスであるスレッショールドアレーT5と、前記スレッショールドアレーT5と同一の構成からなる周囲のスレッショールドアレーT1〜T4、T6〜T9とを定義する。また、前記各スレッショールドアレーTk(k=1〜9)を構成する25個の閾値t(Pkl)(k=1〜9、l=1〜25、t=1〜25)の各画素点Pklを定義する(ステップS100)。なお、前記各画素点Pklのx座標およびy座標をxkl、yklとする。
そこで、各スレッショールドアレーTkの全ての閾値t(Pkl)を0とした後(ステップS102)、各スレッショールドアレーTkから適当に離間した2つの画素点Pk1およびPk2を選択し、初期値として閾値t(Pk1)=1、t(Pk2)=2を設定する(ステップS104、図5参照)。
次に、3から25までの閾値t(Pkl)を設定する画素点Pklを求める。
先ず、z=3、2つの画素点Pkl間の距離の最大値Rmax=0、乱数RND=0、i=1とし(ステップS106、S108、S112、S114、S116)、閾値t(P5i)が0であれば(ステップS120)、当該画素点P5iと、その周囲の既に閾値t(Pkl)が設定された画素点Pklとの間の距離の最小値Rmin(i)を求める(ステップS122)。
前記最小値Rmin(i)は、図4に示すフローチャートに従って求めることができる。すなわち、最小値Rmin(i)の初期値を99999に設定した後(ステップS150)、ステップS152、S154、S156、S158、S160、S162を経て、0以外の閾値t(Pkl)が設定されている画素点Pklを抽出し(ステップS164)、その画素点Pklと当該画素点P5iとの間の距離RRを次の(1)式に従って求める(ステップS166)。
RR=√((xkl−x5i2+(ykl−y5i2) …(1)
そして、前記のようにして求めた距離RRと最小値Rmin(i)とを比較し(ステップS168)、RR<Rmin(i)であれば、Rmin(i)=RRとする(ステップS170)。この処理を全スレッショールドアレーTkの閾値t(Pkl)が0でない全ての画素点Pklに対して行うことにより、画素点P5iとその周囲の既に閾値t(Pkl)が設定された画素点Pklとの間の距離の最小値Rmin(i)を求めることができる。
次に、図3に戻り、前記のようにして求めた最小値Rmin(i)と最大値Rmaxとを比較する(ステップS124、S130)。この場合、i=1では、最大値Rmaxが0(ステップS112)であるから、Rmax=Rmin(i)に設定するとともに(ステップS126)、x5z=x5i、y5z=y5iとする(ステップS128)。そして、iを更新して(ステップS116)、再び最小値Rmin(i)を求め(ステップS122)、前記最小値Rmin(i)とステップS126で更新された最大値Rmaxとを比較する(ステップS124、S130)。
ここで、Rmin(i)>Rmaxである限り(ステップS124)、閾値t(P5i)=3(z=3)を設定する座標x5z、y5zを順次更新して行く。すなわち、この処理によって、既に閾値t(Pkl)が設定されているいずれの画素点Pklからも離間した座標x5z、y5zを求めることができる。
なお、ステップS130において、Rmin(i)=Rmaxと判定された場合には、図6に示すように、既に閾値t(Pkl)が設定されている画素点Pklからの距離が等しくなる画素点P5iが2つ以上あることになる(例えば、閾値t(P5i)=3となる画素点P5iが3A、3Bの2点となる場合)。この場合、0または1のいずれかの値を採る乱数NEWRNDを求め(ステップS132)、この乱数NEWRNDとステップS112で設定された乱数RNDとを比較し(ステップS134)、NEWRND>RNDであればRND=NEWRNDとし(ステップS136)、後から求めた座標x5i、y5iを閾値t(P5i)=3(z=3)を設定する座標x5z、y5zとする(ステップS138)。また、NEWRND≦RNDの場合には、最初に求めた座標x5i、y5iを閾値t(P5i)=3(z=3)を設定する座標x5z、y5zとする。この結果、図5に示す3A、3Bのいずれか一方が閾値t(P5i)=3(z=3)を設定すべき座標x5z、y5zとしてランダムに選択されることになる。
このようにして、スレッショールドアレーT5の全ての画素点P5lの中から、既に閾値t(Pkl)が設定されている他の画素点Pklより最も離間した位置にある画素点P5Zを抽出することができる。そこで、前記画素点P5Zを含む各スレッショールドアレーTkの画素点Pkzに対して閾値t(Pkz)=3(z=3)を設定する(ステップS118、S140)。
同様にして、ステップS108からの処理を繰り返し、閾値t(Pkl)=4〜25の設定を行うことで、スレッショールドアレーTk内の全ての画素点Pklに対して閾値t(Pkl)が設定される(ステップS110)。
前記のようにして決定されたスレッショールドアレーTkは、中心となるスレッショールドアレーT5のみが抽出され、閾値マトリクスとして図1に示す閾値マトリクス記憶部16に設定される。
そこで、RIP10では、選択手段14により閾値マトリクス記憶部16から前記閾値マトリクス(スレッショールドアレーT5)を選択して、その閾値信号TH(閾値t(P5l)に対応)を比較器12に供給し、多値画像信号Iと比較することにより2値画像信号Bを生成する。そして、前記2値画像信号は、出力装置20によってフイルムF上に網点画像として出力され、あるいは、前記フイルムFから印刷物Pが作成される。
この場合、前記閾値マトリクスは、値の近い閾値が近接しないように閾値が配置されているため、前記閾値マトリクスにより形成される画像のドットパターンが片寄ることがなく、粒状性が目立たない良好な網点画像を得ることができる。また、前記閾値マトリクスは、図5に示すスレッショールドアレーT1〜T4、T6〜T9のように、周囲に配設される他の閾値マトリクスを考慮して閾値が配置されているため、網点画像上には、前記閾値マトリクスの繰り返しによる規則的パターンが出現することが無く、一層良好な画像を得ることができる。
実施例2
実施例1では、閾値t(Pkl)を1、2、…のように昇順に設定しているが、この場合、大きな値の閾値t(Pkl)を設定する際、既に大部分の画素点Pklに対して閾値t(Pkl)が設定されているため、相互に近接した画素点Pklを選択せざるを得ない状態となることが懸念される。
そこで、実施例2では、図7に示すように、各スレッショールドアレーTkから適当に離間した4つの画素点Pk1、Pk2、Pk24、Pk25を選択し、初期値として閾値t(Pk1)=1、t(Pk2)=2、t(Pk24)=24、t(Pk25)=25を設定する。次いで、実施例1と同様にして、閾値t(Pk3)=3を設定する画素点Pk3を求めた後、閾値t(Pk23)=23を設定する画素点Pk23を求める。このように、閾値t(Pkl)をハイライト側およびシャドウ側から1つずつ交互に設定することで、スレッショールドアレーT5を求める。
前記のようにして設定されたスレッショールドアレーT5は、ハイライト側およびシャドウ側において、閾値t(Pkl)が十分に離間して配置されている。従って、このスレッショールドアレーT5からなる閾値マトリクスを用いて網点画像を形成した場合、ハイライト側およびシャドウ側の双方においてザラツキ感のない良好な網点画像を得ることができる。
実施例3
図8および図9は、実施例3の処理手順を示すフローチャートである。この実施例では、図15に示す視覚の空間周波数特性(MTF)を2次元フーリエ変換することにより、図10に示す点広がり関数を求め、閾値の位置に対応する位置に前記点広がり関数を作用させ、累積加算あるいは累積減算することにより、その閾値から得られる画像の仮想的濃度分布を求め、そのばらつきを最小とするように閾値マトリクスを設定することで、目障りな粒状性を最小限に抑制し、また、前記閾値マトリクスに隣接して設定される他の閾値マトリクスを考慮して閾値を配置することで、前記閾値マトリクスの不連続な繰り返しによる規則的パターンの出現を低減させることができる。
先ず、実施例1と同様に、スレッショールドアレーTkおよび画素点Pkl(k=1〜9、l=1〜25)を定義し(ステップS200)、全ての閾値t(Pkl)を0とした後(ステップS202)、各スレッショールドアレーTkから適当に離間した2つの画素点Pk1およびPk2を選択し、初期値として閾値t(Pk1)=1、t(Pk2)=2を設定する(ステップS204、図4参照)。
次に、z=2として(ステップS206)、図11に示す重み付けフィルタfkl(Pkz)を図5のスレッショールドアレーTkに作用させ、図12に示す重み付けされたスレッショールドアレーTkの濃度分布Dklを求める(ステップS208)。
すなわち、図11に示す重み付けフィルタfkl(Pkz)は、図10に示す点広がり関数の分布特性を5×5のマトリクスからなる2次元の濃度分布として表したものであり、この重み付けフィルタfkl(Pkz)をスレッショールドアレーTkの閾値t(Pkl)が設定されている画素点Pklを中心に作用させ、それらを加算することにより、図12に示す濃度分布Dklを得ることができる。この場合、前記濃度分布Dklのばらつきが最小(この場合は極小値に相当)となるように閾値t(Pkl)を順次設定することにより、目障りな粒状性を最小限に抑制させることができる。
先ず、z=3、濃度分布Dklの最小値Dmin=99999、乱数RND=0、i=1とし(ステップS210、S214、S216、S218)、閾値t(P5i)が0であれば(ステップS222)、当該画素点P5iの濃度分布D5iと最小値Dminとを比較する(ステップS224、S230)。この場合、i=1では、最小値Dminが99999(ステップS214)であるから、Dmin=D5iに設定するとともに(ステップS226)、x5z=x5i、y5z=y5iとする(ステップS228)。そして、iを更新して(ステップS218)、再び濃度分布D5iと最小値Dminとを比較する(ステップS224、S230)。
以下、実施例1のステップS124〜S138と同様にして処理を行い(ステップS224〜S238)、図12に示す濃度分布Dklの中から最も濃度が低い画素点P5Z(この場合は数値4の位置に相当)を抽出することができる。そこで、前記画素点P5Zを含む各スレッショールドアレーTkの画素点Pkzに対して閾値t(Pkz)=3(z=3)を設定する(ステップS220、S240)。
同様にして、ステップS208からの処理を繰り返し、閾値t(Pkl)=4〜25の設定を行うことで、スレッショールドアレーTk内の全ての画素点Pklに対して閾値t(Pkl)が設定される(ステップS212)。
前記のようにして設定されたスレッショールドアレーTkは、実施例1の場合と同様に、中心となるスレッショールドアレーT5のみが抽出され、閾値マトリクスとして図1に示す閾値マトリクス記憶部16に設定される。
このように設定された閾値マトリクスは、目障りな粒状性を最小限に抑制するように閾値が配置されているため、良好な網点画像を得ることができる。また、周囲に配設される他の閾値マトリクスを考慮して閾値が配置されているため、実施例1の場合と同様に、網点画像上には、前記閾値マトリクスの繰り返しによる規則的パターンが出現することが無く、一層良好な画像を得ることができる。
なお、この実施例3においても、実施例2のように、閾値をハイライト側およびシャドウ側から1つずつ交互に設定するようにすることで、一層、良好な網点画像を形成することが可能である。また、重み付けフィルタfkl(Pkz)を累積加算することで濃度分布Dklを求める代わりに、累積減算して濃度分布Dklを求めるようにしてもよい。
実施例4
ところで、前記実施例3では、視覚に対応する重み付けフィルタfkl(Pkz)が有限の大きさであり、この重み付けフィルタfkl(Pkz)が作用する範囲より閾値同士が離れているハイライト/シャドウ領域においては、濃度分布Dklを求めても極小値、極大値が一意的に決まらず、適切な閾値の位置を決定することができなくなるおそれがある。
そこで、実施例4では、閾値t(Pkl)のハイライト側(0<t(Pkl)≦THW)に対しては、実施例1の方法を用いて設定し(図2、図3のフローチャート参照)、閾値t(Pkl)の中間の値(THW<t(Pkl)≦THB)に対しては、実施例3の方法を用いて設定し(図8、図9のフローチャート参照)、さらに、閾値t(Pkl)のシャドウ側(THB<t(Pkl)≦THMAX)に対しては、再び実施例1の方法を用いて設定する。なお、0<THW<THB<THMAXであり、THMAXは、閾値t(Pkl)の最大値を表す。
この場合、ハイライトからシャドウに至る全範囲において粒状性や周期パターンの目立たない画像が形成可能な閾値マトリクスを得ることができる。
なお、この実施例4においても、実施例2のように、閾値をハイライト側およびシャドウ側から1つずつ交互に設定するようにすることで、一層、良好な網点画像を形成することが可能である。
実施例5
この実施例5では、出力媒体であるフイルムFまたは印刷物Pのドットゲインの影響を考慮し、実施例3における重み付けフィルタfkl(Pkz)を補正して閾値マトリクスを作成することにより、ドットゲインの補正された網点画像を得ることができる。
ここで、先ず、ドットゲインの補正量Cor(Q1、Q2、Q3、Q4)を求める方法について説明する。
この場合、図1に示すように、出力装置20を用いて、RIP10のテストパターン用データファイル24から供給されるテストデータTに基づき、図13に示すように、フイルムF上に3×3の画素から構成されるテストパターンを作成し、あるいは、印刷物Pを作成する。そして、前記各テストパターンを濃度測定器26を用いて測定し、その測定値から、図14に示すように、周辺画素Q1、Q2、Q3、Q4のオン(黒点)/オフ(白点)状態に対して、注目画素である中央の画素Qがオフからオンになるときの濃度差に基づき補正量Cor(Q1、Q2、Q3、Q4)を求める。ただし、図14の9画素の中、画素Q、Q1、Q2、Q3、Q4を除く4画素のオン/オフ状態は一定とする。なお、図13において、画素Qおよび周辺画素Q1、Q2、Q3、Q4がオフの場合を0とし、オンの場合を1とし、[Q1234−Q]=[0000−1]のように表すものとする。
そこで、先ず、[Q1234−1]の濃度D1および[Q1234−0]の濃度D0を濃度測定器26を用いて測定する。次に、閾値マトリクス作成装置22において、前記濃度D1、D0の差を各テストパターンの網%差Δ(%)として求める。すなわち、フイルムFあるいは印刷物Pの画像記録以前のベース濃度をDbとし、全体が黒化したときの最大濃度をDmaxとすると、網%差Δ(%)は、
Figure 2006094566
として求めることができる。この場合、図13に示すテストパターンにおけるドットゲイン等がない理想的な網%差Rは、
R=100/9(%) …(3)
であるから、補正量Cor(Q1、Q2、Q3、Q4)は、
Cor(Q1、Q2、Q3、Q4)=Δ/R−1 …(4)
として求めることができる。
前記のようにして求められた補正量Cor(Q1、Q2、Q3、Q4)は、閾値マトリクス作成装置22に供給され、実施例3と略同様にして閾値マトリクスが求められる。
すなわち、前記補正量Cor(Q1、Q2、Q3、Q4)は、図8のステップS208の直前の処理において、初期値として設定された閾値t(Pk1)=1、閾値t(Pk2)=2に対する重み付けフィルタfkl(Pkz)に作用される。この場合、閾値t(Pk1)、閾値t(Pk2)は、図5に示すように、その周辺画素を形成する閾値が0であるため、前記閾値t(Pk1)、閾値t(Pk2)に対応する画素のみがフイルムFまたは印刷物P上で黒化された場合に対するドットゲインの補正量Cor(Q1、Q2、Q3、Q4)は、図13のテストパターン[0000−0]および[0000−1]から得られる補正量Cor(0、0、0、0)となる。
そこで、1+補正量Cor(0、0、0、0)が、図11に示す重み付けフィルタfkl(Pkz)の各要素に乗算されることで、ドットゲインが考慮された補正後の重み付けフィルタfkl(Pkz)が得られる。
次に、前記のようにして求めたドットゲインの考慮された重み付けフィルタfkl(Pkz)を用いて図8、図9に示すステップS208以下の処理が行われ、閾値t(Pk3)=3を設定する画素点Pklが求められる(ステップS240)。同様にして、閾値t(Pkl)の設定された各画素点Pklの重み付けフィルタfkl(Pkz)をドットゲインを考慮して補正し、再度ステップS208以下の処理を行うことにより、所望の閾値マトリクスが作成される。
前記のようにして設定された閾値マトリクスは、出力装置20や出力媒体に応じて作成され、図1に示す閾値マトリクス記憶部16に設定される。選択手段14は、前記閾値マトリクス記憶部16から所望の閾値マトリクスを選択し、この閾値マトリクスを用いて多値画像信号Iから2値画像信号Bが生成される。そして、前記2値画像信号は、出力装置20によってフイルムF上に網点画像として出力され、あるいは、前記フイルムFから印刷物Pが作成される。
この場合、前記閾値マトリクスは、実施例3の場合と同様に、視覚特性に応じて閾値が配置されているため、目障りな粒状性が視認されることのない良好な網点画像を得ることができる。また、周囲に配設される他の閾値マトリクスを考慮して閾値が配置されているため、実施例1の場合と同様に、網点画像上には、前記閾値マトリクスの繰り返しによる規則的パターンが出現することが無く、一層良好な画像を得ることができる。さらに、フイルムFや印刷物P等の出力媒体に依存するドットゲインを補正することができるため、一層、高精度で粒状性が視認されることのない網点画像を得ることができる。
なお、この実施例5においても、実施例2のように、閾値をハイライト側およびシャドウ側から1つずつ交互に設定することで、一層、良好な網点画像を形成することが可能である。
また、上述した各実施例では、閾値の初期値を2つ以上設定しているが、初期値が1つであってもよいことは勿論である。
本発明に係る網目スクリーンの作成方法が適用されるシステムの構成ブロック図である。 実施例1の処理フローチャートである。 実施例1の処理フローチャートである。 実施例1の処理フローチャートである。 スレッショールドアレーおよびそれに設定された閾値の初期値の説明図である。 スレッショールドアレーに対して、3の閾値を設定する場合の説明図である。 スレッショールドアレーに対して、閾値を昇順および降順の交互に設定する実施例2の場合の説明図である。 実施例3の処理フローチャートである。 実施例3の処理フローチャートである。 実施例3における点広がり関数の説明図である。 実施例3における重み付けフィルタの説明図である。 実施例3において、スレッショールドアレーに対して重み付けフィルタを作用させた場合の説明図である。 実施例5におけるテストパターンの説明図である。 実施例5におけるテストパターンの注目画素およびその周囲画素の関係説明図である。 視覚特性の説明図である。
符号の説明
10…RIP 12…比較器
14…選択手段 16…閾値マトリクス記憶部
20…出力装置 22…閾値マトリクス作成装置
24…テストパターン用データファイル 26…濃度測定器

Claims (6)

  1. 多値画像信号を2値画像信号に変換するための閾値マトリクスからなる網目スクリーンの作成方法において、
    昇順あるいは降順に閾値を決める際、前記閾値マトリクスの周囲に配置される同一構成からなる他の閾値マトリクスを含め、既に決定された閾値の位置と新たに配置する閾値の位置との距離が最も離間するように前記新たな閾値の位置を決定することを特徴とする網目スクリーンの作成方法。
  2. 多値画像信号を2値画像信号に変換するための閾値マトリクスからなる網目スクリーンの作成方法において、
    昇順あるいは降順に閾値を決める際、前記閾値マトリクスの周囲に配置される同一構成からなる他の閾値マトリクスを含め、既に決定された閾値の位置を中心に所定の重み付けフィルタを作用させ、その重み付け値を累積加算あるいは累積減算することで前記閾値マトリクス内の前記重み付けフィルタによる重み付け分布を求め、前記重み付け分布の極小値あるいは極大値に相当する位置を新たな閾値の位置に設定することで、順次閾値の位置を決定することを特徴とする網目スクリーンの作成方法。
  3. 請求項2記載の方法において、
    予め所望の出力媒体上に注目画素およびその周囲画素がオン/オフ状態となる複数の組み合わせのテストパターンを形成し、前記各テストパターンの濃度あるいは網点面積率を測定することで、周囲画素のオン/オフ状態に依存した補正値を求めておき、次に、前記閾値マトリクスの周囲に配置される同一構成からなる他の閾値マトリクスを含め、既に決定された閾値の位置に前記補正値を対応させた後、既に決定された閾値の位置を中心に、前記補正値に対して前記重み付けフィルタを作用させることを特徴とする網目スクリーンの作成方法。
  4. 請求項2または3記載の方法において、
    重み付けフィルタは、視覚特性から得られる点広がり関数であることを特徴とする網目スクリーンの作成方法。
  5. 請求項3記載の方法において、
    前記テストパターンは、所望の印刷物として形成され、前記印刷物の濃度あるいは網点面積率を測定することで前記補正値を求めることを特徴とする網目スクリーンの作成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法において、
    前記位置は、閾値の昇順、降順、あるいは、昇順および降順交互に決定することを特徴とする網目スクリーンの作成方法。
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