JP2006093665A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光特性、耐久性、蒸着性が良好な有機電界発光素子の提供する。
【解決手段】一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、sp炭素と金属イオンが結合している化合物の少なくとも一種を有機層に含有する有機電界発光素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の構造を有する金属錯体、又はsp炭素−金属結合を含有する金属錯体を含有する有機電界発光素子(以下、発光素子、又はEL素子と称する)に関する。
近年のEL素子開発において外部量子効率向上の研究が種々行われている。中でもオクタエチルポルフィリン白金錯体等の4座配位白金錯体(例えば、特許文献1、2)を含有するEL素子が高い効率を有する。耐久性の点でさらに改良された錯体を含有するEL素子が求められている。
米国特許第6,303,238B1号明細書 米国特許第6,653,564B1号明細書
本発明の目的は、発光特性(発光輝度、発光効率)、耐久性、蒸着性が良好な発光素子の提供にある。
上記の課題は下記手段によって達成された。
(1) 一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を前記有機層に含有する有機電界発光素子。
一般式(I)
Figure 2006093665
(式中、Mは金属イオンを表す。R、RおよびRは各々独立に水素原子又は置換基を表す。ただし、R、R、Rのすべてが同時に水素原子であることはない。R、R、Rが置換基を有する場合、互いに結合し環を形成してもよい。nは1以上の整数を表す。nが2以上の整数の場合、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、複数存在するR、RおよびRが置換基を有する場合、R同士、R同士、R同士、RとR、RとRまたはRとRは互いに結合し、環を形成してもよい。Aは配位性の分子または配位性の基を表す。Aが置換可能な場合、さらに置換基を有していても良く、AとR、AとRまたはAとRは互いに結合し、環を形成してもよい。mは0以上の整数を表す。mが2以上の場合で、複数存在するAが置換可能な場合、互いに結合して環を形成してもよい。pは1以上の整数を表す。Xはアニオン性の基を表し、qは0以上の整数を表す。)
(2) 前記金属が第三周期以降の元素から選ばれる(1)に記載の有機電界発光素子。
(3) 前記金属が、マグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルテニウム、ロジウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、セリウム、ユウロピウム、テルビウムより選ばれる(1)又は(2)に記載の有機電界発光素子。
(4) 前記金属が、第四周期以降の元素から選ばれる(1)又は(2)に記載の有機電界発光素子。
(5) 前記金属が、第四周期以降でかつ第3族から第16族の元素から選ばれる(1)、(2)又は(4)に記載の有機電界発光素子。
(6) 前記金属が、イリジウム、白金、金、ユウロピウムより選ばれる(1)〜(5)のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
(7) 前記一般式(I)において、nが2以上であり、複数存在するR、R、Rの少なくともいずれかが互いに結合し、環を形成していることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(8) 前記一般式(I)において、Aが置換基を有する配位性の基を表し、mが2以上であり、互いに結合して環を形成していることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(9) 一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、sp炭素と金属イオンが結合している化合物の少なくとも一種を前記有機層に含有する有機電界発光素子。
(10) 前記金属が周期表において第3周期以降の元素から選ばれる前記(9)に記載の有機電界発光素子。
(11) 前記金属が周期表の第四周期以降の原子から選ばれる前記(9)又は(10)に記載の有機電界発光素子。
(12) 前記金属が周期表の第四周期以降でかつ第3族から第16族の元素から選ばれる前記(9)〜(11)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(13) 前記sp炭素と金属イオンが結合している化合物が(1)に記載の一般式(I)で表される前記(9)〜(12)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(14) 前記金属がマグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルテニウム、ロジウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、セリウム、ユウロピウム、テルビウムより選ばれる前記(9)または(10)に記載の有機電界発光素子
(15) 前記金属がイリジウム、白金、金、ユウロピウムより選ばれる(9)〜(14)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(16) 前記金属がイリジウムまたは白金より選ばれる(9)〜(15)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(17) 前記一般式(I)において、nが2以上であり、複数存在するR、R、Rの少なくともいずれかが互いに結合し、環を形成していることを特徴とする(9)〜(16)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(18) 前記一般式(I)において、Aが置換基を有する配位性の基を表し、mが2以上であり、互いに結合して環を形成していることを特徴とする(9)〜(17)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(19)前記一般式(I)が下記一般式(II)又は(III)で表される(1)〜(18)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
一般式(II)
Figure 2006093665
(式中、Z、Z、Z、Z及びZは、各々独立に炭素、窒素、珪素から選択される原子を表す。Z、Z、Z、Z、Z及びN原子から形成される6員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。Z、Z、Z、Z及びZが、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。Lは単結合、連結基、水素原子あるいは置換基を表し、RおよびRは、各々独立に水素原子または置換基を表す。Lは単結合、又は連結基を表す。rは1以上の整数を表す。Mは一般式(I)のMと同義である。)
一般式(III)
Figure 2006093665
(式中、Z、Z、Z及びZは、各々独立に炭素、窒素、珪素から選択される原子を表す。Z、Z、Z、Z及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。Z、Z、Z及びZが、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。Mは一般式(I)のMと同義であり、r、R、R、L、Lは一般式(II)のそれらと同義である。)
本発明の発光素子は、発光特性、耐久性、蒸着性に優れる。
本発明は、特定の構造を有する金属錯体(前記一般式(I)で表される化合物)を含有する有機電界発光素子に関する。さらに本発明は、sp炭素−金属結合を含有する金属錯体(前記sp炭素と金属イオンが結合している化合物)を含有する有機電界発光素子に関する。
一般式(I)について説明する。一般式(I)において、Mは金属イオンを表す。その金属イオンの金属としては、周期表における第三周期以降の元素(好ましくは第三周期以降の元素、より好ましくは第三周期以降の元素でかつ第3族から第16族の元素)を表し、例えば、マグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、テルル、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス等が挙げられる。
本明細書において置換基群Aとは以下のように定義される。
置換基群Aとは、下記の置換基をSuとすると、Suで表される置換基、2つのSuが共同して形成される環(下記に示す)、並びに前記Suで表される置換基及び前記環の中で水素原子を有するものが更に上記の置換基Suで置換されたもの、を含むこととする。
Suとしては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数3〜10であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(アルキル基、アリール基もしくはヘテロ環基で置換されたアミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、
シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。
また、2つのSuが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、ベンズイミダゾール環、イミダゾピリジン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、またはフェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
、RおよびRは各々が独立に水素原子または置換基群Aを表す。ただし、R、R、Rすべてが水素原子であることはない。R、R、Rが置換基を有する場合、互いに結合し環を形成することが好ましい。nは1以上の整数を表す。nが2以上の整数の場合、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、複数存在するR、RおよびRが置換基を有する場合、R同士、R同士、R同士、RとR、RとRまたはRとRは互いに結合し、環を形成してもよい。その置換基としては前記置換基群Aと同じ意味を表す。
Aは配位性の分子あるいは配位性の基を表す。Aが置換可能な場合、さらに置換基を有していても良く、AとR、AとRまたはAとRは互いに結合し、環を形成してもよい。mは0以上の整数を表す。mが2以上の場合で、複数存在するAが置換可能な場合、互いに結合して環を形成してもよい。
配位性の分子の例としては、水や一酸化炭素、ニトロシル、アミン(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは、炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えば、アンモニア、テトラメチルエチレンジアミン、シクロヘキサンジアミンなど)、アルケン(好ましくは、炭素数2〜30、より好ましくは、炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、シクロオクタジエンなど)、エーテル(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは、炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなど)、チオエーテル(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは、炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、ジエチルスルフィドなど)、ヘテロ環化合物(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジン、ビピリジン、キノリン、フェナントロリンなどが挙げられる。)、有機リン化合物(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜18であり、例えばトリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィンなどが挙げられる。)、スルホキシド(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜18であり、例えばジメチルスルホキシドなどが挙げられる。)、ウレア(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜18であり、例えば尿素などが挙げられる。)などが挙げられる。
Aが配位性の基を表す場合、その基としては、前記R〜Rで挙げた置換基を表す基が挙げられる。Aが置換可能な場合、さらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としては前記の置換基と同義である。
mは0以上の整数を表す。mが2以上の場合で、複数存在するAが置換可能な場合、互いに結合して環を形成し、2座、3座といった多座配位子を形成してもよい。pは1以上の整数を表す。Xはアニオン性の基を表す。Xの例としては、広く有機酸および無機酸のアニオンであり、例えばハロゲンイオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、ハロゲン酸イオン(例えば、過塩素酸イオン、次亜塩素酸イオンなどが挙げられる。)スルホン酸イオン(例えば、硫酸イオン、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどが挙げられる。)、スルフィン酸イオン(例えば、ベンゼンスルフィン酸イオンなどが挙げられる。)などが挙げられる。qは0以上の整数を表す。qが2以上の場合、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。
AとMとの結合はいかなる結合であっても良い。Aが配位性の分子の場合、AとMとの間の結合は点線で表され、配位結合を表す。Aが配位性の基を表す場合、AとMとの間の結合は実線で表され、配位結合を表す。
配位結合については、例えば、松林玄悦、黒沢英夫、芳賀正明、松下隆之著「錯体・有機金属の化学」32−35頁(丸善株式会社)、基礎錯体工学研究会編「新版 錯体化学 基礎と最新の展開」11頁(講談社サイエンティフィク)等の成書に詳しく解説されている。
一般式(I)において、複数存在するAあるいはR、R、Rが置換基を有し、金属イオンと配位可能である場合、さらに別の金属イオンと配位していてもよく、その金属イオンは一般式(I)におけるMを表す金属イオンと同一でも異なっていてもよい。
次に一般式(I)で表される化合物の好ましい範囲について説明する。
一般式(I)において、金属は好ましくは、マグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、錫、アンチモン、テルル、ランタン、セリウム、ユウロピウム、テルビウム、ガドリウム、タングステン、レニウム、イリジウム、白金または金であり、より好ましくは、マグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルテニウム、ロジウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、セリウム、ユウロピウムまたはテルビウムであり、さらに好ましくは、銅、ルテニウム、ロジウム、ユウロピウム、レニウム、イリジウム、白金または金であり、特に好ましくは、金属は、ユウロピウム、イリジウム、白金または金であり、最も好ましくは、金属はイリジウムまたは白金である。
一般式(I)において、R、RおよびRは、各々独立に好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、またはシリル基である。これらの基の好ましい例としては、置換基で説明した好ましい基と同義であり、より好ましくは、R、RおよびRは各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のスルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、最も好ましくは、R、RおよびRは各々独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。
一般式(I)において、Aは、好ましくは、一酸化炭素、アミン、アルケン、エーテル、チオエーテル、ヘテロ環、有機リン化合物、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ヘテロ環基であり、これらの分子あるいは置換基の好ましい例としては、一般式(I)のR、R、Rで説明した置換基あるいは、Aで説明した分子の説明における好ましい例と同義であり、さらに好ましくは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のスルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルフィノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、またはシリル基であり、Aは、チオエーテル、ヘテロ環、有機リン化合物、アリール基、ハロゲン原子、またはヘテロ環基であり、より好ましくは、Aは、ヘテロ環、有機リン化合物、アリール基、またはヘテロ環基であり、最も好ましくは、有機リン化合物、アリール基、またはヘテロ環基である。
一般式(I)において、mは好ましくは、1以上の整数であり、さらに好ましくは、mは2〜6の整数であり、最も好ましくは、mは2〜4の整数であり、複数存在するAが、互いに結合して環を形成し、2座、3座といった多座配位子を形成している場合である。
一般式(I)において、pは好ましくは、1〜4の整数であり、さらに好ましくは、pは1〜3の整数であり、より好ましくは、pは1〜2の整数であり、最も好ましくは、pは1である。
一般式(I)において、Xは好ましくは、ハロゲンイオン、ハロゲン酸イオン、スルホン酸イオンであり、さらに好ましくは、ハロゲンイオン、ハロゲン酸イオン、スルホン酸イオンである。
一般式(I)において、qは好ましくは、0〜3の整数であり、さらに好ましくは、qは0〜1の整数であり、最も好ましくは、qは0であり、一般式(I)で表される化合物が中性分子であることが最も好ましい。
本発明における一般式の関係は以下の通りである。一般式(I)は好ましくは一般式(II)又は(III)である。
一般式(II)について説明する。一般式(II)において、Lは単結合、連結基、水素原子あるいは置換基を表す。連結基としては特に限定されないが、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びそれらの組合せからなる連結基が特に好ましく、下記の連結基群Aより選択される基が特に好ましい。
連結基群A
Figure 2006093665
連結基群Aにおいて、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17(R乃至R17)は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R、Rが置換基を表す場合、該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。R、Rが置換可能な場合、さらに置換基を有していてもよく、RとR、RとR、R10とR11、RとR10、RとR11、RとR11、RとR11、R12とR13あるいはR14とR15がそれぞれ互いに結合し環を形成してもよい。
は好ましくは水素原子、置換基又は連結基群Aより選択される連結基であり、このうち水素原子、連結基群Aより選択される−C(R)(R)−、−C(R)(R)C(R10)(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−N(R16)−、−O−、−S−、−SO−、−SO−又は−CO−が好ましく、水素原子、−C(R)(R)−、−C(R)(R)C(R10)(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−O−、又は−S−がより好ましく、−C(R)(R)−がさらに好ましい。
前記C(R)(R)−において、R及びRは、それぞれ独立に好ましくは水素原子又は下記置換基群Bから選ばれる置換基である。
(置換基群B)
置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、又はハロゲン原子であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子であり、さらに好ましくはアルキル基、又はアリール基である。
前記−C(R)(R)C(R10)(R11)−において、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
前記−Si(R12)(R13)−において、R12及びR13は、それぞれ独立に好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
前記−Ge(R14)(R15)−において、R14及びR15は、それぞれ独立に好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
前記−N(R16)−において、R16は好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは、アルキル基、又はアリール基であり、さらに好ましくはアリール基である。
前記−P(R17)−において、R17はR16の好ましい範囲と同義である。
一般式(II)において、Lは単結合、又は連結基を表す。連結基としては特に限定されないが、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子からなる連結基が好ましく、前記連結基群Aより選択される基がより好ましく、単結合、−C(R)(R)−、−C(R)(R)C(R10)(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−N(R16)−、−O−、−S−、又は−CO−がさらに好ましく、単結合、−C(R)(R)−又は−O−が特に好ましい。Lが−C(R)(R)−、−C(R)(R)C(R10)(R11)−、−Si(R12)(R13)−、−Ge(R14)(R15)−、−N(R16)−及びP(R17)−を表す場合、その好ましい範囲は、前記Lで説明した好ましい範囲と同義である。
一般式(II)において、Z、Z、Z、Z及びZは、各々独立に炭素、窒素、珪素から選択される原子を表し、好ましくは炭素又は窒素原子である。Z、Z、Z、Z、Z及びN原子から形成される6員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。
一般式(II)において、Z、Z、Z、Z及びZは、さらに置換可能な場合、前記置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい。その好ましい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、又はシリル基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はヘテロ環基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基である。
一般式(II)において、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R、Rが置換基を表す場合、該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。RおよびRは好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、又はニトロ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はシアノ基であることがさらに好ましい。
一般式(II)において、rは1以上の整数を表す。好ましくは1〜4の整数であり、さらに好ましくはrは2である。Mは一般式(I)と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(III)について説明する。一般式(III)において、Z、Z、Z及びZは、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表し、炭素又は窒素原子が好ましい。Z、Z、Z、Z及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。Z及びZはさらに置換可能な場合置換基を有していてもよい。その好ましい置換基としては、前記一般式(II)において、Z、Z、Z、Z及びZがさらに置換基を有する場合に、好ましい基として挙げた基と同様である。一般式(III)において、Mは一般式(I)と同義であり、R、R、L、L及びrは一般式(II)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同じである。
sp3性 については、例えば、中崎正雄著「立体化学I 対称を中心に」16〜17頁(東京化学同人)、モリソン・ボイド著、中平靖弘、黒野昌庸、中西香爾訳「有機化学 上 第6版」21〜25頁(東京化学同人)、ボルハルト・ショアー著、古賀憲司、野依良治、村橋俊一監訳「現代有機化学 上 第4版」38〜39頁(化学同人)等の成書に詳しく解説されている。
本発明の化合物は低分子化合物であっても良く、また、オリゴマー化合物、ポリマー化合物(重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であっても良い。ポリマー化合物の場合、一般式(1)で表される構造がポリマー主鎖中に含まれても良く、また、ポリマー側鎖に含まれていても良い。また、ポリマー化合物の場合、ホモポリマー化合物であっても良く、共重合体であっても良い。本発明の化合物は低分子化合物が好ましい。
本発明の化合物(前記一般式(I)で表される化合物及び前記sp炭素と金属イオンが結合している化合物を以降、「本発明の化合物」と表示することあり)は、有機EL素子に適用可能であり、発光材料、電子輸送材料、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔ブロック材料、電子ブロック材料、励起子ブロック材料のいずれに用いることも可能であるが、好ましくは正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロック材料、または発光材料であり、より好ましくは正孔注入材料、または発光材料であり、さらに好ましくは発光材料である。発光材料として用いる場合、紫外発光、可視光発光、赤外発光であってもよく、また蛍光発光であっても燐光発光であってもよい。
次に本発明の化合物の化合物例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2006093665
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本発明の一般式(I)で表される化合物はThe Journal of Chemical Society, 5008,(1952)に記載の方法、またはThe Journal of Organic Chemistry, 53, 4, 786-790(1988)に記載の方法等を参照とし合成することができる。
本発明の一般式(I)で表される化合物は種々の手法で合成することができる。例えば、配位子、またはその解離体と金属イオンMを含有する化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、又は溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキサイド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、もしくは、塩基非存在下、室温以下、もしくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
本発明の一般式(I)で表される化合物を合成する際の反応時間は反応の活性により異なり、特に限定されないが、1分以上5日以下が好ましく、5分以上3日以下がより好ましく、10分以上24時間以下がさらに好ましい。
本発明の一般式(I)で表される化合物を合成する際の反応温度は反応の活性により異なり、特に限定されないが、0℃以上300℃以下が好ましく、5℃以上250℃以下がより好ましく、10℃以上200℃以下がさらに好ましい。
本発明の一般式(I)で表される化合物は、目的とする錯体の部分構造を形成している配位子を金属イオンMを含有する化合物に対し、好ましくは0.1当量〜10当量、より好ましくは0.3当量〜6当量、さらに好ましくは0.5当量〜4当量加えて合成することができる。
前記の金属イオンMを含有する化合物としては、金属ハロゲン化物(例えば、塩化白金、塩化イリジウム等)、金属アセテート(例えば、酢酸パラジウム等)、金属アセチルアセトナート(例えば、ユーロピウムアセチルアセトナート等)、又はそれらの水和物などがあげられる。
次に本発明の前記一般式(I)で表される化合物のうち、例示化合物(I−51)の具体的な合成例を示すが、この方法に限定されるものではない。
Figure 2006093665
文献Journal of Organic Chemistry,53,4,786−790(1988)に記載の方法により合成した(1)1.84g(5.62mmol)を窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに入れた。さらに無水N,N−ジメチルホルムアミド9.2mlに溶解させ、氷冷下で攪拌しているところにtert−ブトキシカリウム0.64g(5.7mmol)を加え、氷冷下で30分、室温下で30分攪拌した。再び氷冷下で攪拌しているところにヨウ化メチル0.62 mlを加え、そのまま30分攪拌した。この操作を2回繰り返した。反応の終結を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(以下TLC)で確認したのち、水を加えた。水層を酢酸エチルで抽出し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。無機塩を濾別したあと有機層をロータリーエバポレーターで濃縮し2.0gの(2)を得た。この(2)はこれ以上精製することなく、次工程に用いた。H−NMR(400 MHz,inCDCl)δ=1.77(s,6H),7.14(dd,J=0.8,7.6Hz,2H),7.29(br.d,J=7.6Hz,2H),7.42(t,J=7.6Hz,2H).
200ml三口フラスコに、ベンジルニトリル0.95ml(8.3mmol)、無水ジメチルスルホキシド3ml、水酸化カリウム1.60g(28.5mmol)を加え、窒素気流下、50℃〜60℃で攪拌しているところに、前述の方法により合成した(2)2.00gの無水ジメチルスルホキシド溶液2.5mlを加え、60℃でさらに3時間攪拌した。反応の終結をTLCで確認した後、水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、無機塩を濾別したあと有機層をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、(3)を1.55g(収率70%、2段階)得た。
H−NMR(400MHz,inCDCl)δ=1.77(s,6H),5.23(s,1H),7.12(dd,J=0.8,7.6Hz,2H),7.16(dd,2H,J=4.0,7.6Hz),7.26−7.42(m,5H),7.58(t,J=7.6Hz,2H).
500ml三口フラスコに、(3)1.55g(3.95mmol)、酢酸40ml、濃硫酸4mlを加えて、加熱還流下で3.5時間攪拌した。反応の終結をTLCで確認した後、反応混合物を室温まで冷却した。さらに氷冷下で水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加えて、反応系を塩基性にした。水層を酢酸エチルで抽出し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。無機塩を濾別したあと有機層をロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1.20g(収率83%)の(4)を得た。
H−NMR(400MHz,inCDCl)δ=1.77(s,6H),4.08(s,2H),6.89(br.d,1H,J=7.6Hz),7.02(br.d,1H,J=7.6Hz),7.05(dd,J=0.8,7.6Hz,2H),7.16−7.22(m,1H),7.22−7.28(m,5H),7.35(t,1H,J=7.6Hz),7.45(t,1H,J=7.6Hz).
500ml三口フラスコに、(4)500mg(1.36mmol)、フェニルホウ酸232mg(1.91mmol)、酢酸パラジウム7.6mg(0.034mmol)、トリフェニルホスフィン37mg(0.14mmol)、1,2−ジメトキシエタン7ml、炭酸カリウム508mg(3.67mmol)、水10mlを加えて、加熱還流下で3.5時間攪拌した。反応の終結をTLCで確認した後、反応混合物を室温まで冷却した。水層を酢酸エチルで抽出し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。無機塩を濾別したあと有機層をロータリーエバポレーターで濃縮し、490mgの(4)を得た。この(4)はこれ以上精製することなく、次工程に用いた。
窒素雰囲気下、100mlの3口フラスコに、(4)0.45g(1.23mmol)、無水テトラヒドロフラン25mlを加え、室温で、1.8MのリチウムN,N−ジイソプロピルアミド溶液(1.64mL、以下LDA)を滴下した後、10分後にヨウ化メチル(0.23mL)を加えて、そのまま30分間、攪拌した。同じように、この反応溶液に対して、さらに同量のリチウムLDA溶液、ヨウ化メチルを加える操作を5回繰り返して行った。
TLCで反応の終結を確認した後、反応溶液に水を加えた。水層を酢酸エチルで抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し無機塩を除去した。ロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)で精製し、配位子(6)を単黄色油状化合物として、0.39g得た。(収率69%、2段階)
H−NMR(300MHz,inCDCl)δ=1.73(s,6H),1.88(s,6H),6.83(br.dd,1H,J=0.8,7.8Hz),7.00(br.dd,1H,J=0.8,7.6Hz),7.08(br.dd,1H,J=2.1,6.6Hz),7.11−7.29(m,5H),7.34−7.49(m,4H),7.51−7.60(m,2H),8.04−8.12(m,2H).
窒素雰囲気下、50mlのナスフラスコに、(6)を50mg(0.127mmol)、塩化白金34 mg(0.127mmol)、ベンゾニトリル2.5mlを加え、150℃で7時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却後、ヘキサンを加え、析出した茶褐色固体を濾取した。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)で精製した後、クロロホルム−メタノールより再結晶し、を黄色固体として10mg得た。(収率13%)
H−NMR(300MHz,inCDCl)δ=2.05(s,3H),2.12(s,3H),2.19(s,3H),3.76(d,1H,J=9.0Hz),4.41(d,1H,J=9.0Hz),6.73(dd,1H,2.4,6.6Hz),7.09−7.17(m,1H),7.19−7.32(m,3H),7.36(br.t,2H,J=7.6Hz),7.61−7.75(m,6H),7.92−7.96(m,2H).
次に、本発明の化合物を含有する発光素子に関して説明する。本発明の有機電界発光素子は、本発明の化合物を利用する素子である点以外は通常の発光システム、駆動方法、利用形態などに用いることができる。一般式(I)で表される化合物を発光材料、正孔注入材料または正孔輸送材料として利用することが好ましい。発光材料として用いる場合は、紫外発光であっても赤外発光であっても良く、また蛍光発光であってもりん光発光であっても良い。代表的な発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を挙げることができる。
本発明の有機電界発光素子は、種々の公知の手法により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
本発明の有機電界発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆる、トップエミッション方式(特開2003−208109号公報、2003−248441号公報、2003−257651号公報、2003−282261号公報などに記載)であっても良い。
本発明の有機電界発光素子で用いられる基材は、特に限定されないが、ジルコニア安定化イットリウム、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子量材料であっても良い。
本発明の有機電界発光素子は、青色蛍光発光化合物を含有しても良いし、また、青色蛍光化合物を含有する青色発光素子と本発明の発光素子を同時に用いて、マルチカラー発光デバイス、フルカラー発光デバイスを作製しても良い。
本発明の有機電界発光素子は、ホスト材料が一種であっても良いし、二種以上有していても良い。ホスト材料としては、アリールアミン誘導体(トリフェニルアミン誘導体、ベンジジン誘導体など)、芳香族炭化水素化合物(トリフェニルベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、フェナンスレン誘導体、ナフタレン誘導体、テトラフェニレン誘導体など)、芳香族含窒素ヘテロ環化合物(ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピラゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピロール誘導体など)、または金属錯体(亜鉛錯体、アルミニウム錯体、ガリウム錯体など)が好ましい。
本発明の有機電界発光素子は陰極と発光層の間にイオン化ポテンシャル5.9eV以上(より好ましくは6.0eV以上)の化合物を含有する層を用いるのが好ましく、イオン化ポテンシャル5.9eV以上の電子輸送層を用いるのがより好ましい。
本発明の化合物を含有する有機電界発光素子の有機層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スプレーコート法、ディップコート法、含浸法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、フローコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、エアードクターコート、ブレードコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、キスコート法、キャストコート法、エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーンコート法等)、インクジェット法、印刷法、転写法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法、転写法が好ましい。上記のいずれかの形成方法によって基板上に本発明の化合物の層を形成するが、その厚さは特に制限するものではない。好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上5μm以下である。
本発明の有機電界発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物膜を形成した素子であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm以上5μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm以上1μm以下であり、更に好ましくは100nm以上500nm以下である。
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。
陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。
陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)及びそのフッ化物または酸化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物または酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記金属、合金、化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記これらを含む積層構造を取ることもできる。例えば、アルミニウム/フッ化リチウム、アルミニウム/酸化リチウムの積層構造が好ましい。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法、転写法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよく、本発明の化合物のほか、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノールの金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、イリジウムトリスフェニルピリジン錯体、及び、白金ポルフィリン錯体に代表される遷移金属錯体、及び、それらの誘導体等が挙げられる。発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm以上5μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm以上1μm以下であり、更に好ましくは10nm以上500nm以下である。
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法、LB法、転写法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
発光層は単一化合物で形成されても良いし、複数の化合物で形成されても良い。また、発光層は一つであっても複数であっても良く、それぞれの層が異なる発光色で発光して、例えば、白色を発光しても良い。単一の発光層から白色を発光しても良い。発光層が複数の場合は、それぞれの発光層は単一材料で形成されていても良いし、複数の化合物で形成されていても良い。
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、本発明の化合物、及び、それらの誘導体等が挙げられる。正孔注入層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm以上5nm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは1nm以上100nm以下であり、更に好ましくは1nm以上10nm以下である。正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm以上5μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm以上1μm以下であり、更に好ましくは10nm以上500nm以下である。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記正孔注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノールの金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン、及び、それらの誘導体等が挙げられる。電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm以上5μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm以上1μm以下であり、更に好ましくは10nm以上500nm以下である。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、SiN、SiOなどの窒化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
[実施例]
以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明の実施の態様はこれらに限定されない。
(比較例1)
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、NPDを50nm蒸着し、この上にCBP及びPtOEP(米国特許第6303238号明細書に記載の化合物)を10:1の質量比で40nm蒸着し、さらにこの上にBAlqを10nm、さらにこの上にAlqを30nm蒸着した。得られた有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積が4mm×5mmとなる)を設置し、フッ化リチウムを3nm蒸着した後アルミニウムを60nm蒸着して比較例1の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子に直流定電圧(5V)を印加したところ、発光が観測された。輝度300cd/m2で10時間発光させた。
Figure 2006093665
比較例1において、PtOEPの代わりに、本発明の化合物(I-51)を用いた以外は比較例1と同様にして実施例1の有機EL素子を作成した。得られた有機EL素子に直流定電圧(5V)を印加したところ、発光が観測された。輝度300cd/m2で10時間発光させたところ、比較例1と比較して耐久性が良好であった。
同様に、他の本発明の化合物を用いても、耐久性の高い発光素子を作製することができる。本発明の化合物は、電荷輸送材料、電荷注入層、電荷ブロック層、ホスト材料としても適用可能であり、さらには青〜緑のりん光発光が可能であり、本発明の化合物を有する青〜緑発光素子を作製することができる。

Claims (9)

  1. 一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を前記有機層に含有する有機電界発光素子。
    一般式(I)
    Figure 2006093665
    (式中、Mは金属イオンを表す。R、RおよびRは各々独立に水素原子又は置換基を表す。ただし、R、R、Rのすべてが同時に水素原子であることはない。R、R、Rが置換基を有する場合、互いに結合し環を形成してもよい。nは1以上の整数を表す。nが2以上の整数の場合、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、複数存在するR、RおよびRが置換基を有する場合、R同士、R同士、R同士、RとR、RとRまたはRとRは互いに結合し、環を形成してもよい。Aは配位性の分子または配位性の基を表す。Aが置換可能な場合、さらに置換基を有していても良く、AとR、AとRまたはAとRは互いに結合し、環を形成してもよい。mは0以上の整数を表す。mが2以上の場合で、複数存在するAが置換可能な場合、互いに結合して環を形成してもよい。pは1以上の整数を表す。Xはアニオン性の基を表し、qは0以上の整数を表す。)
  2. 前記金属が第三周期以降の元素から選ばれる請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記金属が、マグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルテニウム、ロジウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、セリウム、ユウロピウム、テルビウムより選ばれる請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記金属が、第四周期以降の元素から選ばれる請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記金属が、第四周期以降でかつ第3族から第16族の元素から選ばれる請求項1、2又は4に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記金属が、イリジウム、白金、金、ユウロピウムより選ばれる請求項1〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  7. 前記一般式(I)において、nが2以上であり、複数存在するR、R、Rの少なくともいずれかが互いに結合し、環を形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  8. 前記一般式(I)において、Aが置換基を有する配位性の基を表し、mが2以上であり、互いに結合して環を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  9. 一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、sp3炭素と金属イオンが結合している化合物の少なくとも一種を前記有機層に含有する有機電界発光素子。
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