JP2006092847A - 電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムとこれを用いる電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の製造に際しては、電極シートとセパレータとを仮接着して、電極シート/セパレータ積層体として、電極シートとセパレータの相互のずり移動なく、電池を効率よく製造することができ、しかも、電池の製造後は、電極シートとの間に接着性にすぐれる強固な接着を有する電極シート/セパレータ接合体を形成して、電池性能の安定化と安全性に寄与することができる電池用セパレータための反応性ポリマー担持多孔質フィルムを提供する。
【解決手段】本発明によれば、エポキシ基を有するモノマーと多官能性モノマーとこれらに共重合性を有するモノマーとをラジカル共重合してなる架橋構造を有する反応性ポリマーをエポキシ樹脂硬化剤を内包したマイクロカプセルと共に基材多孔質フィルムに担持させてなることを特徴とする電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムが提供される。
【選択図】なし
【解決手段】本発明によれば、エポキシ基を有するモノマーと多官能性モノマーとこれらに共重合性を有するモノマーとをラジカル共重合してなる架橋構造を有する反応性ポリマーをエポキシ樹脂硬化剤を内包したマイクロカプセルと共に基材多孔質フィルムに担持させてなることを特徴とする電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムが提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は、電池の製造に有用であると共に、そのように製造した電池において、電極シートとの接着性にすぐれ、電池の安全性に寄与することができる電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムとこれを用いる電池の製造方法に関する。
従来、電池の製造方法として、正極シートと負極シートとの間にこれら電極シート間の短絡を防止するためのセパレータを挟んで積層し、又は正(負)極シート、セパレータ、負(正)極シート及びセパレータをこの順序に積層し、捲回して、電極シート/セパレータ積層体とし、この電極シート/セパレータ積層体を電池容器内に仕込んだ後、この電池容器内に電解液を注入して、封口する方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、このような電池の製造方法においては、電極シート/セパレータ積層体の保管時や搬送時に電極シートとセパレータが相互にずり移動を起こしやすく、その結果、電池製造の生産性が低く、また、不良品が発生しやすい等の問題があった。また、このようにして得られた電池によれば、その使用時に電極が膨張又は収縮して、電極シートとセパレータとの間の密着性が悪くなって、電池特性が低下したり、また、内部短絡を生じて、電池が発熱昇温し、場合によっては、破壊するおそれさえあった。
他方、特に、積層型の電池の製造においては、多くの場合、電極シートは、フッ化ビニリデン樹脂の溶液を接着剤として用いて、電極シートをセパレータに接着した後、減圧下に上記接着剤中の溶媒を除去する方法が採用されている。しかし、この方法によれば、工程が煩雑であるうえに、得られる製品の品質が安定し難く、更に、セパレータと電極シートとの接着が十分でないという問題もあった(例えば、特許文献3参照)。
特開平09−161814号公報
特開平11−329439号公報
特開平10−172606号公報
本発明は、従来の電池の製造における上述したような問題を解決するためになされたものであって、電池の製造に際しては、電極シートとセパレータとを仮接着して、電極シート/セパレータ積層体として、電極シートとセパレータの相互のずり移動なく、電池を効率よく製造することができ、しかも、電池の製造後は、電極シートとの間に強固な接着を有する電極シート/セパレータ接合体を形成して、電池の使用時に電極が膨張又は収縮しても、電極シート/セパレータ間の接着が保たれ、かくして、電池性能を安定させ、更に、過充電の場合の昇温時にも、セパレータの熱収縮が小さく、内部短絡の発生を抑えて、電池の安全性を高めることができる電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムを提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような電池用セパレータための反応性ポリマー担持多孔質フィルムを用いる電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、エポキシ基を有するモノマーと多官能性モノマーとこれらに共重合性を有するモノマーとをラジカル共重合してなる架橋構造を有する反応性ポリマーをエポキシ樹脂硬化剤を内包したマイクロカプセルと共に基材多孔質フィルムに担持させてなることを特徴とする電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムが提供される。
更に、本発明によれば、上記反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極シートを積層し、圧着して、電極シート/多孔質フィルム積層体とし、この電極シート/多孔質フィルム積層体を電池容器内に仕込んだ後、この電池容器内に電解液を注入し、加熱して、エポキシ樹脂硬化剤を活性化して、反応性ポリマーをそのエポキシ基によって架橋、硬化させて、電極シートを多孔質フィルムに接着することを特徴とする電池の製造方法が提供される。
本発明による電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、架橋構造を有する反応性ポリマーとエポキシ樹脂硬化剤を内包したマイクロカプセルとを基材多孔質フィルムに担持させてなるものであり、上記反応性ポリマーを利用して、多孔質フィルム(セパレータ)に電極シートを貼り合わせ、いわば仮接着して、電極シート/反応性ポリマー担持多孔質フィルム(セパレータ)とするので、電極シートとセパレータとを相互の間にずり移動なしに取り扱うことができ、電池の製造における作業性を高める一方、反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、上記エポキシ樹脂硬化剤がマイクロカプセルから電解液中に溶出し、加熱されるまでは活性化しない(即ち、反応性ポリマー中のエポキシ基の硬化反応を引き起こさない)ので、保存安定性にもすぐれる。
更に、このような電極シート/反応性ポリマー担持多孔質フィルムを電池缶内に仕込んだ後、この電池缶内に電解液を注入し、加熱して、上記電極シート/反応性ポリマー担持多孔質フィルム中のエポキシ樹脂硬化剤を活性化させ、反応性ポリマーを架橋、硬化させ、かくして、電極シートとセパレータとを強く接着させ、電極シート/セパレータ接合体を形成させるので、得られる電池が特性にすぐれるのみならず、例えば、過充電のように電池が高温に加熱された場合にも、セパレータの熱収縮が小さいので、内部短絡の発生が抑えられて、安全性にすぐれる電池を得ることができる。
本発明において、基材多孔質フィルムは、電池において、セパレータとしての役割を担うものであるので、その厚みは、通常、5〜200μmの範囲である。基材多孔質フィルムの厚みが5μmよりも小さいときは、強度が不十分であって、電池の内部短絡を起こすおそれがあり、他方、厚みが200μmよりも大きいときは、電極間距離が大きすぎて、電池の内部抵抗が大きくなる。また、基材多孔質フィルムの有する平均孔径は0.01〜5μmの範囲が好ましい。本発明において、基材多孔質フィルムは、このような特性を有すれば、特に限定されるものではないが、耐溶媒性や耐酸化還元性等を考慮すれば、ポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルム、なかでも、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂からなる多孔質フィルムが好適である。特に、基材多孔質フィルムは、加熱されたとき、樹脂が溶融して、細孔が閉塞する性質を有し、従って、電池に所謂シャットダウン機能を有せしめることができることから、ポリエチレンからなるものが好適である。ここに、ポリエチレンはエチレンのホモポリマーでもよく、プロピレン、ブテン、ヘキセン等との共重合体であってもよい。また、耐熱性を得るために、ポリテトラフルオロエチレンやポリイミド等の多孔質フィルムと上記ポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムとの積層フィルムも好適に用いられる。
本発明において、反応性ポリマーとは、エポキシ基を有すると共に、架橋構造を有するポリマーをいい、本発明による電池用セパレータのための多孔質フィルムは、上述したような基材多孔質フィルム上にこのような反応性ポリマーをエポキシ樹脂硬化剤を内包したマイクロカプセルと共に担持させてなるものである。
本発明において、上記反応性ポリマーは、エポキシ基を有するモノマーと多官能性モノマーとこれらに共重合性を有するその他のモノマーとを常法に従ってラジカル共重合させることによって得ることができる。
このようなエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーと多官能性のラジカル重合性モノマーとこれらに共重合性を有するその他のラジカル重合性モノマーをラジカル共重合させるには、一つの方法として、これらのモノマーを水中でエマルション重合させることによって得ることができる。例えば、乳化剤としてノニオン界面活性剤のような界面活性剤を用い、重合開始剤として水溶性の過硫酸塩、例えば、過硫酸カリウム等を用いて、上記モノマーを重合させることによって得ることができる。この場合において、例えば、チオグリコールのような連鎖移動剤を用いて、得られるポリマーの重合度を調節することができる。本発明によれば、このようにして得られる反応性ポリマーは、その可溶分の重量平均分子量が、通常、20万から300万の範囲にあることが好ましい。
エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3 ,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
多官能性のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができるが、これらのなかでは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
上記エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーとエポキシ基を有するラジカル重合性モノマー以外のその他のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、好ましくは、アルキル基の炭素原子数が1〜20のメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖でもよい。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリドン等を挙げることができる。
本発明において、上記(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルはアクリロイル又はメタクリロイルを意味するものとする。
更に、上記(メタ)アクリレート系モノマー以外にも、種々のビニルモノマーをその他のラジカル重合性モノマーとして用いることができる。このようなビニルモノマーとして、例えば、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。
本発明において、反応性ポリマーの製造において、上記エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーは、全モノマー中の0.1〜30重量%の割合を占めることが好ましい。全モノマー中、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの割合が0.1重量%よりも少ないときは、得られる反応性ポリマーを用いて、反応性ポリマー担持多孔質フィルムと電極シートとの積層体を形成し、この積層体中の反応性ポリマーに電解液中でエポキシ樹脂硬化剤を作用させても、反応性ポリマーが十分に架橋、硬化しないので、電極シートを多孔質フィルム(セパレータ)に強く接着させることができない。他方、全モノマー中、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの割合が30重量%よりも多いときは、反応性ポリマーの製造時にゲルが生成しやすいほか、反応性ポリマー担持多孔質フィルムと電極シートとの積層体中の反応性ポリマーを電解液中、エポキシ樹脂硬化剤を活性化させて、このエポキシ樹脂硬化剤の作用によって架橋、硬化させる際に、架橋が過度となるためであるとみられるが、得られる電池の特性が低下する。
また、多官能モノマーは、全モノマー中、0.01〜1重量%の範囲であることが好ましい。モノマー全量中、多官能モノマーの割合が0.01重量%よりも少ないときは、得られる反応性ポリマーの架橋度が小さすぎて、得られる反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極シートを積層し、これを電解液に接触させたとき、反応性ポリマーが電解液中に溶出しやすく、電極シート/多孔質フィルムが分離するおそれがある。他方、1重量%を越えるときは、反応性ポリマーが過度に架橋しているので、得られる反応性ポリマーを介して電極シートを多孔質フィルムに圧着することが困難となるおそれがある。
また、本発明によれば、反応性ポリマーは、30〜100℃、好ましくは、40〜80℃の範囲の熱賦活温度を有することが好ましい。ここに、熱賦活温度とは、後述するように、剥離性シート上に形成した反応性ポリマーの層を基材多孔質フィルムに転写することができる最低の温度である。反応性ポリマーがこのような範囲の熱賦活温度を有するとき、このような反応性ポリマーを基材多孔質フィルムに担持させて、反応性ポリマー担持多孔質フィルムとすれば、これをロールとし、又は重ねるときにブロッキングを生じないのみならず、反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極シートを加熱下に圧着することによって容易に多孔質フィルムに電極シートを貼り合わせて、いわば仮接着することができる。
本発明において、上記エポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルは、好ましくは、50℃以上の温度でエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤、即ち、50℃以上の温度で活性化する硬化剤を内包しており、この硬化剤を電解液中で溶出させるものである。このようなエポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルとして、例えば、旭化成(株)製のノバキュアHX−3722やHX−3748が好ましく用いられる。本発明において、マイクロカプセル中のエポキシ樹脂硬化剤が電解液中で溶出する機構は必ずしも明らかではないが、電解液によってマイクロカプセル壁が溶解し、亀裂を生じて、マイクロカプセル内の硬化剤が電解液中に溶出するか、又はマイクロカプセル内に電解液が浸透し、マイクロカプセル内に浸透した電解液によって硬化剤が膨潤し、マイクロカプセル壁を破壊して、硬化剤が電解液中に溶出するものとみられる。上記マイクロカプセルに内包する硬化剤としては、例えば、酸無水物が用いられる。
本発明によれば、前述した反応性ポリマーとエポキシ樹脂硬化剤を内包したマイクロカプセルとを基材多孔質フィルムに担持させて、電池用セパレータのための多孔質フィルムを得る。
本発明によれば、反応性ポリマーは、10〜100%、好ましくは、20〜80%の範囲のゲル分率を有すると共に、10倍以上の膨潤度を有することが好ましい。反応性ポリマーのゲル分率が10%よりも少ないときは、このような反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムと電極シートとの積層体を電解液に接触させたとき、反応性ポリマーが電極シート/多孔質フィルム積層体から溶出しやすく、電極シートを多孔質フィルム(セパレータ)に強く接着した電極シート/セパレータ接合体を得ることができない。
また、本発明によれば、反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムと電極シートとの積層体を電解液に接触させたとき、電極シートの多孔質フィルムへの仮接着を維持しつつ、反応性ポリマーが電解液に膨潤すると共に、エポキシ樹脂硬化剤によって架橋、硬化して、電極シートが多孔質フィルムに接着されるので、反応性ポリマーの膨潤度が10倍よりも小さいときは、電極シートが多孔質フィルムに十分に接着しないおそれがある。膨潤度の上限は、通常、100倍程度である。
本発明において、上記ゲル分率とは、多孔質フィルムに反応性ポリマーA重量部を担持させ、このようにして得られた反応性ポリマー担持多孔質フィルムを電池製造に用いる電解液のための溶媒に23℃で7日間浸漬した後、引き上げて、酢酸エチルやテトラヒドロフランのような易揮発性の有機溶媒に置換し、乾燥させて、多孔質フィルム上に残存する反応性ポリマーをB重量部とすれば、(B/A)×100(%)として定義される。
また、膨潤度とは、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを電池製造に用いる電解液のための溶媒シクロヘキサノンに23℃で7日間浸漬した後、引き上げたとき、反応性ポリマーの膨潤状態での重量をC重量部とし、次いで、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを乾燥させて、多孔質フィルム上に残存する反応性ポリマーをD重量部とすれば、C/Dとして定義される。
本発明において、このように、10〜100%の範囲のゲル分率と10倍以上の膨潤度とを有する反応性ポリマーを得るには、限定されるものではないが、前述したように、エポキシ基を有するモノマーと多官能性モノマーとこれらに共重合性を有するモノマーとをラジカル共重合する際に、多官能性モノマーを全モノマー中、0.01〜1重量%の割合で用いることによって得ることができる。
本発明において、このような架橋構造を有する反応性ポリマーをエポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルと共に基材多孔質フィルムに担持させて、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得るには、例えば、一つの方法として、反応性ポリマーを適宜の溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液に上記エポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルを分散させて、塗布用組成物となし、これを基材多孔質フィルム上に塗布し、乾燥させて、反応性ポリマーとエポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルとからなる混合物の層を多孔質フィルム上に形成すればよい。
また、別の方法として、反応性ポリマーを適宜の溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液に上記エポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルを分散させて、塗布用組成物となし、これを適宜の剥離性シート上に塗布し、乾燥させて、反応性ポリマーとエポキシ樹脂マイクロカプセルとからなる混合物の層を剥離性シート上に形成し、次いで、この反応性ポリマーとエポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルとからなる混合物の層を剥離性シートから基材多孔質フィルム上に転写すればよい。
このようにして、反応性ポリマーを基材多孔質フィルムに担持させるに際して、多孔質フィルムの表裏両面の全面にわたって担持させてもよく、また、筋状や斑点状に部分的に担持させてもよいが、本発明によれば、得られる電池が望ましい特性を有するように、多孔質フィルムの一表面当たり、その20〜90%の範囲、好ましくは、30〜80%の範囲で担持させるのが好ましい。また、反応性ポリマー層の厚みは、通常、0.2〜100μmの範囲であり、好ましくは、0.5〜10μmの範囲である。反応性ポリマー層の厚みが余りに薄いときは、多孔質フィルム(セパレータ)と電極シートとの間に強い接着を得ることができず、他方、余りに厚いときは、得られる電池が特性に劣る。
本発明によれば、このようにして、基材多孔質フィルムの表裏両面に反応性ポリマーと上記エポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセルとの混合物を担持させて、反応性ポリマー担持多孔質フィルムとし、その表裏両面に電極シート、即ち、負極シートと正極シートをそれぞれ、必要に応じて、例えば、40〜80℃の温度に加熱しつつ、圧着し、仮接着して、電極シート/多孔質フィルム積層体を得ることができる。また、基材多孔質フィルムの一方の表面にのみ、反応性ポリマーを担持させて、反応性ポリマー担持多孔質フィルムとし、その一方の表面にのみ、電極シート、即ち、負極シート又は正極シートを、必要に応じて、例えば、40〜80℃の温度に加熱しつつ、圧着し、仮接着して、電極シート/多孔質フィルム積層体を得ることができる。勿論、正(負) 極シート/多孔質フィルム/負(正) 極シート/多孔質フィルムの構成を有する積層体とすることもできる。
このような電極シート/多孔質フィルム積層体を用いることによって、電池を効率よく組み立てることができる。即ち、電極シート/多孔質フィルム積層体を電池容器内に仕込んだ後、この電池容器に電解液を注入し、加熱することによって、電極シート/多孔質フィルムの仮接着を維持したまま、反応性ポリマーを膨潤させると共に、反応性ポリマー中に分散させた前記エポキシ樹脂硬化剤をマイクロカプセルから溶出、活性化させ、反応性ポリマーを架橋、硬化させて、電極シートと多孔質フィルムとの間に一層強い接着を形成させ、かくして、電極シート/多孔質フィルム(セパレータ)接合体を得ることができる。
本発明によれば、反応性ポリマーは、前述したように、5〜100%の範囲のゲル分率を有するように、予め、一部、架橋しているので、電極シート/多孔質フィルム積層体を電解液中に浸漬しても、電解液中への反応性ポリマーの溶出が防止され、又は低減されるので、電極シートの接着に有効に用いられる。しかも、反応性ポリマーは10倍以上の膨潤度を有することから、多孔質フィルムとこれに仮接着した電極シートの界面でこれらを内包するように膨潤しつつ、エポキシ基の硬化反応によって架橋するので、電極シートが多孔質フィルムに一層強固に接着されて、電極シート/多孔質フィルム接合体を与える。本発明によれば、反応性ポリマーは、このように、エポキシ基の硬化反応によって架橋した後も、膨潤度は架橋前とほぼ等しい。得られる電池の特性は、膨潤度が大きいほどすぐれている。
本発明によれば、電池における負極シートと正極シートは、電池によって相違するが、一般に、集電体としての導電性基材上に活物質と、必要に応じて導電剤とを、通常、フッ化ビニリデン樹脂をバインダーとして用いて、導電性基材に固着させることによって得ることができる。
電解液は、電解質塩を溶剤に溶解してなる溶液である。電解質塩としては、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、第三級又は第四級アンモニウム塩等をカチオン成分とし、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸等の無機酸、有機カルポン酸、有機スルホン酸、フッ素置換有機スルホン酸等の有機酸をアニオン成分とする塩を用いることができる。しかし、これらのなかでは、アルカリ金属イオン、特に、リチウムをカチオン成分とする電解質塩、例えば、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム等が反応性ポリマーの有する3−オキセタニル基の開環反応触媒としても機能するので好ましく用いられる。
電解液のための溶剤としては、上記電解質塩を溶解するものであれぱ、どのようなものも用いることができるが、非水系の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類が用いられる。これらの溶剤は、単独で、または2種以上の混合物として用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
参考例1
(反応性ポリマーの調製)
ブチルアクリレート41g、メチルメタクリレート41g、アクリロニトリル15g、グリシジルメタクリレート3g、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.03g、チオグリコール(連鎖移動剤)0.03g、ノニオン界面活性剤3g及び過硫酸カリウム0.3gを用いて、常法に従って水中でエマルション重合を行った。重合終了後、エマルションからポリマーを固形分として分離、精製、乾燥し、これを酢酸エチルに溶解させて、10重量%濃度の反応性ポリマー溶液を調製した。この反応性ポリマーの可溶分の重量平均分子量は40万であった。
(反応性ポリマーの調製)
ブチルアクリレート41g、メチルメタクリレート41g、アクリロニトリル15g、グリシジルメタクリレート3g、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.03g、チオグリコール(連鎖移動剤)0.03g、ノニオン界面活性剤3g及び過硫酸カリウム0.3gを用いて、常法に従って水中でエマルション重合を行った。重合終了後、エマルションからポリマーを固形分として分離、精製、乾燥し、これを酢酸エチルに溶解させて、10重量%濃度の反応性ポリマー溶液を調製した。この反応性ポリマーの可溶分の重量平均分子量は40万であった。
(反応性ポリマーの熱賦活温度の測定)
次に、剥離処理したグラシン紙に上記反応性ポリマーの溶液を塗布し、加熱乾燥して、反応性ポリマーの層を形成した。この反応性ポリマーの層が多孔質フィルムに対向するように、グラシン紙を多孔質フィルムに重ね合わせた後、所定の温度に加熱しながら、圧力1kg/cm2 にて1分間圧着した。このようにして、反応性ポリマーの層が多孔質フィルムに転写することができる上記温度(5℃間隔) の最低値を熱賦活温度として求めたところ、65℃であった。
次に、剥離処理したグラシン紙に上記反応性ポリマーの溶液を塗布し、加熱乾燥して、反応性ポリマーの層を形成した。この反応性ポリマーの層が多孔質フィルムに対向するように、グラシン紙を多孔質フィルムに重ね合わせた後、所定の温度に加熱しながら、圧力1kg/cm2 にて1分間圧着した。このようにして、反応性ポリマーの層が多孔質フィルムに転写することができる上記温度(5℃間隔) の最低値を熱賦活温度として求めたところ、65℃であった。
実施例1
(反応性ポリマー担持多孔質フィルムの調製)
参考例1において得た反応性ポリマー溶液100gにエポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセル(旭化成(株)製ノバキュアHX3722)2.5gを加えて塗布用組成物とし、これを延伸ポリプロピレンシートからなる剥離性シート上に塗布し、50℃で1分間加熱乾燥して、坪量1.0g/m2 にて上記組成物の層を形成した。次いで、このように上記組成物の層を形成した剥離性シートの上記組成物の層がそれぞれポリエチレン樹脂製多孔質フィルム(厚さ25μm、空孔率50%、空孔の平均孔径0.1μm)の表裏面に対向するように80℃で貼りあわせて、上記組成物の層をポリエチレン樹脂製多孔質フィルムの表裏両面に転写して、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマーのゲル分率は40%であり、膨潤度は80倍であった。
(反応性ポリマー担持多孔質フィルムの調製)
参考例1において得た反応性ポリマー溶液100gにエポキシ樹脂硬化剤マイクロカプセル(旭化成(株)製ノバキュアHX3722)2.5gを加えて塗布用組成物とし、これを延伸ポリプロピレンシートからなる剥離性シート上に塗布し、50℃で1分間加熱乾燥して、坪量1.0g/m2 にて上記組成物の層を形成した。次いで、このように上記組成物の層を形成した剥離性シートの上記組成物の層がそれぞれポリエチレン樹脂製多孔質フィルム(厚さ25μm、空孔率50%、空孔の平均孔径0.1μm)の表裏面に対向するように80℃で貼りあわせて、上記組成物の層をポリエチレン樹脂製多孔質フィルムの表裏両面に転写して、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマーのゲル分率は40%であり、膨潤度は80倍であった。
(正極シートの作製)
平均粒径15μmのコバルト酸リチウムと黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンを重量比85/10/5にてN−メチル−2−ピロリドンに加えて、固形分濃度15重量%のスラリーを調製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔上に厚み200μmに塗布し、80℃で1時間加熱乾燥した。次いで、アルミニウム箔の裏面にも同様に上記スラリーを塗布し、120℃で2時間加熱乾燥し、この後、ロールプレスに通して、厚さ200μmの正極シートを得た。
平均粒径15μmのコバルト酸リチウムと黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンを重量比85/10/5にてN−メチル−2−ピロリドンに加えて、固形分濃度15重量%のスラリーを調製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔上に厚み200μmに塗布し、80℃で1時間加熱乾燥した。次いで、アルミニウム箔の裏面にも同様に上記スラリーを塗布し、120℃で2時間加熱乾燥し、この後、ロールプレスに通して、厚さ200μmの正極シートを得た。
(負極シートの作製)
黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンを重量比95/5にてN−メチル−2−ピロリドンに加えて、固形分濃度15重量%のスラリーを調製した。このスラリーを厚さ20μmの銅箔上に厚み200μmに塗布し、80℃で1時間加熱乾燥した。次いで、銅箔の裏面にも同様に上記スラリーを塗布し、120℃で2時間加熱乾燥し、この後、ロールプレスに通して、厚さ200μmの負極シートを得た。
黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンを重量比95/5にてN−メチル−2−ピロリドンに加えて、固形分濃度15重量%のスラリーを調製した。このスラリーを厚さ20μmの銅箔上に厚み200μmに塗布し、80℃で1時間加熱乾燥した。次いで、銅箔の裏面にも同様に上記スラリーを塗布し、120℃で2時間加熱乾燥し、この後、ロールプレスに通して、厚さ200μmの負極シートを得た。
(負極シート/セパレータ/正極シート積層体の作製)
前記反応性ポリマー担持多孔質フィルムの表面に前記正極シートを沿わせると共に、裏面に前記負極シートを沿わせた後、温度80℃、圧力5kg/cm2 で5分間加熱、加圧して、正負の電極シートを上記反応性ポリマーを介して多孔質フィルムに圧着して貼り合わせ、仮接着してなる負極シート/多孔質フィルム(セパレータ)/正極シート積層体を得た。
前記反応性ポリマー担持多孔質フィルムの表面に前記正極シートを沿わせると共に、裏面に前記負極シートを沿わせた後、温度80℃、圧力5kg/cm2 で5分間加熱、加圧して、正負の電極シートを上記反応性ポリマーを介して多孔質フィルムに圧着して貼り合わせ、仮接着してなる負極シート/多孔質フィルム(セパレータ)/正極シート積層体を得た。
(電池の組み立てと得られた電池の特性の評価)
アルゴン置換したグローブボックス中、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート混合溶媒(容量比1/2)に1.2モル/L濃度となるように電解質塩六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解させて、電解液を調製した。
アルゴン置換したグローブボックス中、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート混合溶媒(容量比1/2)に1.2モル/L濃度となるように電解質塩六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解させて、電解液を調製した。
一方、上記負極シート/多孔質フィルム/正極シート積層体を正極板を兼ねる2016サイズのコイン電池用缶に仕込み、上記電解液をこのコイン型電池の缶内に注入した後、電池用缶を封口して、仕掛品を製作した。この後、この仕掛品を温度50℃の恒温室中に7日間投入して、マイクロカプセルからエポキシ樹脂硬化剤を溶出させ、活性化させて、上記負極シート/多孔質フィルム/正極シート積層体の多孔質フィルムに担持させた反応性ポリマーをそのエポキシ基によって硬化させて、正負の電極シートを多孔質フィルム、即ち、セパレータに接着させ、かくして、負極シート/多孔質フィルム( セパレータ)/正極シート接合体を有するコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
上記電池の製造に用いた電極シート/多孔質フィルム積層体における電極シートと多孔質フィルム(セパレータ)との間の接着性を下記のようにして評価し、更に、得られた電池の放電負荷特性と耐熱性とを下記のようにして評価した。結果を表1に示す。
(接着性の評価)
電極シート/多孔質フィルム積層体を10mm幅に切断し、電池の製造に用いた電解液中に温度23℃で24時間浸漬した後、湿った状態で多孔質フィルムを剥離したときに、抵抗があるときを○(接着性にすぐれる)、既に剥れていて、抵抗の殆どないときを×(接着性に劣る)とした。
電極シート/多孔質フィルム積層体を10mm幅に切断し、電池の製造に用いた電解液中に温度23℃で24時間浸漬した後、湿った状態で多孔質フィルムを剥離したときに、抵抗があるときを○(接着性にすぐれる)、既に剥れていて、抵抗の殆どないときを×(接着性に劣る)とした。
(電池特性の評価)
得られた電池について、0.2CmAのレートにて5回充放電を行った後、0.2CmAのレートで充電し、更にその後、2.0CmAのレートで放電を行って、2.0CmAのレートでの放電容量/0.2CmAのレートでの放電容量の比にて放電負荷特性を評価した。
得られた電池について、0.2CmAのレートにて5回充放電を行った後、0.2CmAのレートで充電し、更にその後、2.0CmAのレートで放電を行って、2.0CmAのレートでの放電容量/0.2CmAのレートでの放電容量の比にて放電負荷特性を評価した。
(電池の耐熱性)
得られた電池を150℃で1時間加熱した後、その電池特性を調べた。短絡が認められた場合は×、短絡が認められなかった場合は○とした。
得られた電池を150℃で1時間加熱した後、その電池特性を調べた。短絡が認められた場合は×、短絡が認められなかった場合は○とした。
参考例2及び3
参考例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートの使用量をそれぞれ0.1g及び0.5gとすると共に、連鎖移動剤チオグリコールの使用量をそれぞれ0.1g及び0.1gとした以外は、参考例1と同様にして、それぞれ10重量%濃度の反応性ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。これらの反応性ポリマーのゲル分率と膨潤度と熱賦活温度と可溶分の重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
参考例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートの使用量をそれぞれ0.1g及び0.5gとすると共に、連鎖移動剤チオグリコールの使用量をそれぞれ0.1g及び0.1gとした以外は、参考例1と同様にして、それぞれ10重量%濃度の反応性ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。これらの反応性ポリマーのゲル分率と膨潤度と熱賦活温度と可溶分の重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
参考例4
参考例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートを用いず、他方、連鎖移動剤チオグリコールを0.3gとした以外は、参考例1と同様にして、10重量%濃度の反応性ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。この反応性ポリマーの熱賦活温度と重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
参考例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートを用いず、他方、連鎖移動剤チオグリコールを0.3gとした以外は、参考例1と同様にして、10重量%濃度の反応性ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。この反応性ポリマーの熱賦活温度と重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
参考例5
参考例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレート1.5g用い、他方、連鎖移動剤チオグリコールを用いなかった以外は、参考例1と同様にして、10重量%濃度の反応性ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。この反応性ポリマーのゲル分率と膨潤度と熱賦活温度と可溶分の重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
参考例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレート1.5g用い、他方、連鎖移動剤チオグリコールを用いなかった以外は、参考例1と同様にして、10重量%濃度の反応性ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。この反応性ポリマーのゲル分率と膨潤度と熱賦活温度と可溶分の重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
実施例2
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例2で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例2で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
次に、この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを用いて、実施例1と同様にして、負極シート/多孔質フィルム(セパレータ)/正極シート積層体を得、これらを用いて、それぞれ負極シート/多孔質フィルム( セパレータ)/正極シート接合体を有するコイン型リチウムイオン二次電池を得た。 この電池の製造に用いた電極シート/多孔質フィルム積層体における電極シートと多孔質フィルム(セパレータ)との間の接着性を前述したようにして評価し、更に、得られた電池の放電負荷特性と耐熱性とを前述したようにして評価した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例3で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例3で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
次に、この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを用いて、実施例1と同様にして、負極シート/多孔質フィルム(セパレータ)/正極シート積層体を得、これらを用いて、それぞれ負極シート/多孔質フィルム( セパレータ)/正極シート接合体を有するコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
この電池の製造に用いた電極シート/多孔質フィルム積層体における電極シートと多孔質フィルム(セパレータ)との間の接着性を前述したようにして評価し、更に、得られた電池の放電負荷特性と耐熱性とを前述したようにして評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例4で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例4で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
この電池の製造に用いた電極シート/多孔質フィルム積層体における電極シートと多孔質フィルム(セパレータ)との間の接着性を前述したようにして評価し、更に、得られた電池の放電負荷特性と耐熱性とを前述したようにして評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例5で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
実施例1において、反応性ポリマー溶液として、参考例5で得た反応性ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る際に用いた塗布用組成物の塗布量(乾燥後の坪量)を表1に示す。
この電池の製造に用いた電極シート/多孔質フィルム積層体における電極シートと多孔質フィルム(セパレータ)との間の接着性を前述したようにして評価し、更に、得られた電池の放電負荷特性と耐熱性とを前述したようにして評価した。結果を表1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、本発明によれば、特性にすぐれると共に、電極シートとセパレータとの接着性と150℃に加熱後の電池特性、即ち、耐熱性にもすぐれる電池を得ることができる。これに対して、比較例1による反応性ポリマーは、架橋構造をもたないので、得られる電池は、特性が十分でないうえに、接着性と耐熱性にも劣るものである。比較例2による反応性ポリマーは、架橋密度が高すぎ、その結果、膨潤度が低すぎるので、得られる電池は、特性に劣るのみならず、接着性、耐熱性も劣るものである。
Claims (3)
- エポキシ基を有するモノマーと多官能性モノマーとこれらに共重合性を有するモノマーとをラジカル共重合してなる架橋構造を有する反応性ポリマーをエポキシ樹脂硬化剤を内包したマイクロカプセルと共に基材多孔質フィルムに担持させてなることを特徴とする電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルム。
- 反応性ポリマーが10〜100%のゲル分率と10倍以上の膨潤度を有する請求項1に記載の電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルム。
- 請求項1又は2に記載の反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極シートを積層し、圧着して、電極シート/多孔質フィルム積層体とし、この電極シート/多孔質フィルム積層体を電池容器内に仕込んだ後、この電池容器内に電解液を注入し、加熱して、エポキシ樹脂硬化剤を活性化して、反応性ポリマーをそのエポキシ基によって架橋、硬化させて、電極シートを多孔質フィルムに接着することを特徴とする電池の製造方法。
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- 2004-09-22 JP JP2004275246A patent/JP2006092847A/ja active Pending
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