JP2006092786A - 燃料電池システム及び該システムを備えた車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ガス通路の異常検知の頻度を高くすることができ、かつ、ガス通路異常の誤検知を抑制することが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池システムの制御部50は、バッテリセンサ57から供給される検知信号やSOC(State Of Charge)−バッテリ温度マップを参照し、バッテリ放電可能パワーW3を演算する。次いで、制御部50はアクセル開度、車速等を基に車両要求パワーPPWを演算し、バッテリ放電可能パワーW3が車両要求パワーPPW以上であるか否かを判定する。制御部50は肯定的な結果が得られた場合には、バッテリ54によって全ての負荷を駆動すべく、通常運転から間欠運転に移行して燃料ガス漏れの判定を開始する。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池システムの制御部50は、バッテリセンサ57から供給される検知信号やSOC(State Of Charge)−バッテリ温度マップを参照し、バッテリ放電可能パワーW3を演算する。次いで、制御部50はアクセル開度、車速等を基に車両要求パワーPPWを演算し、バッテリ放電可能パワーW3が車両要求パワーPPW以上であるか否かを判定する。制御部50は肯定的な結果が得られた場合には、バッテリ54によって全ての負荷を駆動すべく、通常運転から間欠運転に移行して燃料ガス漏れの判定を開始する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池システムに関し、特に、燃料電池の発電に寄与する反応ガスのガス通路の異常を短時間で精度良く行うための改良技術に関する。
燃料電池システムにおいては、燃料ガスなどの反応ガス用のガス通路の異常(例えば、燃料ガスの漏れ)を迅速かつ正確に検知することが非常に重要である。かかる要請に応えるべく、例えば下記特許文献1には、燃料電池を間欠運転している間であって該燃料電池の電気負荷が閾値よりも小さい回生時などに発電を止め、このときの燃料電池を含むガス通路の圧力変化に基づき、燃料ガス漏れを検知する技術が開示されている。
しかしながら、燃料電池の発電を停止したとしても、暫くの間は燃料ガスがガス通路内を流れるため、ガス通路に異常(ガス漏れなど)がなくとも圧力変化は生じる。よって、電気負荷が小さいとき(回生時など)に短期間でガス通路の異常検知を行うと誤検知するおそれがある。
また、ガス通路の異常検知を行うことができるのは、電気負荷が小さいとき(回生時など)に限定されるため、かかる頻度は制限されてしまう。
また、ガス通路の異常検知を行うことができるのは、電気負荷が小さいとき(回生時など)に限定されるため、かかる頻度は制限されてしまう。
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、ガス通路の異常検知の頻度を高くすることができ、かつ、ガス通路異常の誤検知を抑制することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
上述した問題を解決するため、本発明に係る燃料電池システムは、反応ガスが供給されることにより電力を出力する燃料電池と、前記燃料電池に接続するガス通路と、前記燃料電池と別体に設けられた負荷駆動源と、前記燃料電池または前記負荷駆動源の少なくとも一方の出力により駆動可能な負荷装置とを備えた燃料電池システムにおいて、前記負荷駆動源によって前記負荷装置を駆動しているときに、前記ガス通路の異常を検知する検知手段を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、燃料電池と別体に設けられた負荷駆動源によって負荷装置を駆動している間に、燃料電池に接続するガス通路に異常が発生したか否かを検知する。このため、ガス通路の異常検知が電気負荷が小さいとき(回生時など)に限られていた従来に比べて検知頻度を高くすることができるとともに、ガス通路異常の誤検知を抑制することが可能となる。
ここで、「反応ガス」とは、燃料電池に供給される燃料ガスだけでなく、該燃料電池に供給される酸化ガスも含む意味である。また、「ガス通路」とは、燃料電池に供給する反応ガスのガス供給通路、ガス循環通路、ガス排出通路の少なくとも1つの通路に対応する。さらに、異常を検知するガス通路としては、燃料ガス側と酸化ガス側の少なくとも一方であり、両方であってもよい。よって、上記構成において「ガス通路の異常を検知する」とは、燃料ガス側と酸化ガス側のガス通路の少なくとも一部の領域で異常を検知することを意味する。なお、「ガス通路の異常」とは、ガス通路のガス漏れ(ガス通路上に配置された各弁の開故障、ガス通路からの漏洩)のみならず、ガス通路の詰まり(弁の閉故障、異物(生成水等)の存在)をも含む意味である。
ここで、上記構成にあっては、前記検知手段は、前記検知を行う際、前記ガス通路に閉空間を形成し、当該閉空間の圧力状態に基づいて前記ガス通路の異常を検知する態様が好ましい。また、前記検知手段は、前記負荷装置を駆動するために必要な電力以上の電力を、前記負荷駆動源から前記負荷装置に供給することができるとき、前記負荷駆動源によって当該負荷装置を駆動し、この間に前記ガス通路の異常を検知する態様も好ましい。この場合、前記検知手段は、前記負荷装置を駆動するために必要な電力以上の電力を、前記負荷駆動源から前記負荷装置に供給することができるか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段によって肯定的な判定がなされたとき、前記負荷駆動源によって当該負荷装置を駆動する駆動制御手段と、前記負荷駆動源によって前記負荷が駆動されている間に、前記ガス通路に異常が発生しているか否かを判定する第2判定手段とによって構成することができる。
また、前記負荷駆動源が1つだけでなく複数存在する場合には、これら複数の負荷駆動源によって供給可能な電力の総和が前記負荷装置を駆動するために必要な電力以上である場合に、燃料ガスの漏れが発生しているか否かを検知するようにしても良い。
ここで、負荷駆動源としては、バッテリやキャパシタなどの蓄電装置のほか、内燃機関やガスタービン、さらには内燃機関による駆動力で発電する発電機(オルタネータ)など、負荷装置に電力を供給することができる様々な駆動源を採用することができる。
ここで、負荷駆動源としては、バッテリやキャパシタなどの蓄電装置のほか、内燃機関やガスタービン、さらには内燃機関による駆動力で発電する発電機(オルタネータ)など、負荷装置に電力を供給することができる様々な駆動源を採用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、遮断弁の故障や配管の損傷などによるガス通路の異常検知の頻度を高くすることができ、かつ、ガス通路異常の誤検知を抑制することが可能となる。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
A.本実施形態
図1は本実施形態に係わる燃料電池システムの概略構成を示している。ここでは、燃料電池システム10を燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hyblid Vehicle)の車載発電システムとして用いる例を示すが、各種移動体(例えば、船舶や飛行機など)に搭載される発電システムや定置用発電システムとして用いることができる。燃料電池(セルスタック)20は、複数の単セルを直列に積層して成るスタック構造を備えており、例えば、固体高分子電解質型燃料電池等から構成されている。
図1は本実施形態に係わる燃料電池システムの概略構成を示している。ここでは、燃料電池システム10を燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hyblid Vehicle)の車載発電システムとして用いる例を示すが、各種移動体(例えば、船舶や飛行機など)に搭載される発電システムや定置用発電システムとして用いることができる。燃料電池(セルスタック)20は、複数の単セルを直列に積層して成るスタック構造を備えており、例えば、固体高分子電解質型燃料電池等から構成されている。
燃料電池システムは、燃料電池20に接続された燃料ガス循環供給系と酸化ガス供給系とを備えている。燃料電池20の燃料ガス循環供給系は、燃料ガス供給源30、燃料ガス供給路31、燃料電池20、燃料ガス循環路32、及びアノードオフガス流路33を含んで構成され、燃料ガス供給路31、燃料ガス循環路32、アノードオフガス流路33の少なくとも一部が特許請求の範囲に記載のガス通路に対応する。
燃料ガス供給源30は、例えば、高圧水素タンク又は水素貯蔵タンク等の水素貯蔵源によって構成される。燃料ガス供給路31は燃料ガス供給源30から放出される燃料ガスを燃料電池20のアノード極に導くためのガス流路であり、そのガス流路には上流から下流にかけてタンクバルブH201、高圧レギュレータH9、低圧レギュレータH10、水素供給バルブH200、及びFC入口バルブH21が各々配設されている。高圧に圧縮された燃料ガスは高圧レギュレータH9にて中圧に減圧され、更に低圧レギュレータH10にて低圧(通常運転圧力)に減圧される。燃料ガス循環路32は未反応燃料ガスを燃料電池20に還流させるための帰還ガス流路であり、そのガス流路には上流から下流にかけてFC出口バルブH22、水素ポンプ63、及び逆止弁H52が各々配設されている。燃料電池20から排出された低圧の未反応燃料ガスは水素ポンプ63によって適度に加圧され、燃料ガス供給路31に導かれる。逆止弁H52は燃料ガス供給路31から燃料ガス循環路32への燃料ガスの逆流を抑制する。アノードオフガス流路33は燃料電池20から排出された水素オフガスをシステム外に排気するためのガス流路であり、そのガス流路にはパージバルブH51が配設されている。
上述したタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、FC出口バルブH22、及びパージバルブH51は各ガス流路31〜33又は燃料電池20へ燃料ガスを供給し、或いは遮断するためのシャットバルブであり、例えば、電磁弁によって構成されている。このような電磁弁として、例えば、オンオフ弁、或いはPWM制御で弁開度をリニアに調整できるリニア弁等が好適である。
燃料電池20の酸化ガス供給系は、エアコンプレッサ(酸化ガス供給源)40、酸化ガス供給路41、及びカソードオフガス流路42を含んで構成され、酸化ガス供給路41、カソードオフガス流路42の少なくとも一部が特許請求の範囲に記載のガス通路に対応する。エアコンプレッサ40はエアフィルタ61を介して外気から取り込んだ空気を圧縮し、その圧縮エアを酸化ガスとして燃料電池20のカソード極に供給する。燃料電池20の電池反応に供した後の酸素オフガスはカソードオフガス流路42を流れてシステム外に排気される。酸素オフガスは燃料電池20での電池反応により生成された水分を含むため高湿潤状態になっている。加湿モジュール62は酸化ガス供給路41を流れる低湿潤状態の酸化ガスと、カソードオフガス流路42を流れる高湿潤状態の酸素オフガスとの間で水分交換を行い、燃料電池20に供給される酸化ガスを適度に加湿する。燃料電池20に供給される酸化ガスの背圧はカソードオフガス流路42のカソード出口付近に配設された圧力調整弁A4によって調圧される。カソードオフガス流路42の下流は希釈器64に連通しており、希釈器64に酸素オフガスを供給する。希釈器64はアノードオフガス流路33の下流にも連通しており、水素オフガスを酸素オフガスによって混合希釈した後にシステム外に排気するように構成されている。
燃料電池20の冷却系統には、冷却水路71、循環ポンプC1、ラジエータC2、バイパス弁C3、及び熱交換器70が配設されている。循環ポンプC1は冷却水路71を通じて燃料電池20内部を流れる冷媒を循環させる。冷却水路71にはラジエータC2をバイパスして冷媒を熱交換器70に導くバイパス流路72が配設されている。ラジエータC2はファンC13を回転させることによって、冷媒を降温させる。熱交換器70はヒータ70aを備えており、燃料電池20から電力の供給を受けてヒータ70aを加熱させ、冷媒を昇温させる。燃料電池20から熱交換器70への電力供給はリレーR1,R2のオン/オフによって制御できる。ラジエータC2の上流にはラジエータバイパス弁C3が配設されており、ラジエータバイパス弁C3の弁開度を調整することによって、ラジエータC2及び熱交換器70に向けて流れる冷媒の流量を制御し、冷媒温度を調整できるように構成されている。
燃料電池20で発電された直流電力の一部はDC/DCコンバータ53によって降圧され、バッテリ(負荷駆動源)54に充電される。トラクションインバータ51及び補機インバータ52は燃料電池20とバッテリ54の双方又は何れか一方から供給される直流電力を交流電力に変換してトラクションモータ(負荷装置)M3と補機モータ(負荷装置)M4のそれぞれに交流電力を供給する。補機モータM4は後述の水素循環ポンプ63を駆動するモータM2やエアコンプレッサ40を駆動するモータM1等を総称している。なお、以下の説明では、燃料電池20及びバッテリ54のいずれか一方若しくは双方によって駆動されるものを負荷(負荷装置)と総称する。
制御部50はアクセルセンサ55が検出したアクセル開度、車速センサ56が検出した車速等に基づいてシステム要求電力(車両走行電力と補機電力との総和)を求め、燃料電池20が目標電力に一致するように燃料電池システム10を制御する。具体的には、制御部50はエアコンプレッサ40を駆動するモータM1の回転数を調整して酸化ガス供給量を調整するとともに、水素ポンプ63を駆動するモータM2の回転数を調整して燃料ガス供給量を調整する。また、制御部50はDC/DCコンバータ53を制御して燃料電池20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を調整し、燃料電池20の出力電力が目標電力に一致するように調整する。さらに、制御部(検知手段)50は、通常運転時において、バッテリセンサ57等から供給されるバッテリ充電状態(State Of Charge;SOC)を表す検出信号に基づいて燃料電池20とは別の負荷駆動源(本実施形態ではバッテリ54)のみによって負荷を駆動できるか否かを判断する。そして、制御部50は負荷駆動源のみによって負荷を駆動することができると判断した場合に、間欠運転に移行して燃料ガス漏れ(ガス通路の異常)の検知を行う。
尚、燃料ガス循環供給系は、高圧部(タンクバルブH201〜水素供給バルブH200の区間)、低圧部(水素供給バルブH200〜FC入口バルブH21)、FC部(スタック入り口バルブH21〜FC出口バルブH22)、循環部(FC出口バルブH22〜逆止弁H52)の4つのセクションから構成されており、各部には燃料ガスの圧力を検出する圧力センサP6,P7,P9,P61,P5,P10,P11が配設されている。より詳細には、圧力センサP6は燃料ガス供給源30の燃料ガス供給圧を検出する。圧力センサP7は高圧レギュレータH9の二次圧を検出する。圧力センサP9は低圧レギュレータH10の二次圧を検出する。圧力センサP61は燃料ガス供給路31の低圧部の圧力を検出する。圧力センサP5はスタック入口の圧力を検出する。圧力センサP10は水素循環ポンプ63の入力ポート側(上流側)の圧力を検出する。圧力センサP11は水素循環ポンプ63の出力ポート側(下流側)の圧力を検出する。本実施形態では、燃料ガス循環供給系のガス漏れ判定を各々のセクション毎(高圧部、低圧部、FC部、及び循環部)に行う。即ち、各セクションはガス漏れ検出部位となる。
図2は制御部50が実行するシステム制御を記述したメインルーチンである。同図を参照してシステム制御の概要を説明した後に各サブルーチンについて説明する。燃料電池システム10が起動すると(S101;YES)、制御部50は燃料ガス循環供給系のガス漏れ判定を行う(S102)。ここで、ガス漏れがなく、正常に発電できると判定されると(S103;YES)、通常運転制御が行われた後に負荷駆動判定制御が行われる(S104→S104’)。制御部50は負荷駆動の判定において、予め定められた間欠運転開始条件が満たされると判断すると(S104’→S105)、燃料ガス循環供給系のガス漏れ判定を行う(S106)。ここで、間欠運転とは車両要求パワー(システム要求電力)を全てバッテリ54にて補える際(具体的には回生状態やアイドル状態など)に実施される運転モードをいう。その後、燃料電池20の発電や補機類での電力消費だけでは燃料ガスの消費が不十分な場合に、補機類の電力消費を増大させるための補機制御が行われる(S107)。そして、システム停止が行われる場合には(S108;YES)、制御部50は燃料ガス供給系統のガス漏れ判定を行い(S109)、システム停止処理を行う(S110)。ガス漏れが検出された場合には(S111;YES)、異常停止処理を行う(S112)。
次に、各サブルーチンについて詳述する。
図3はシステム起動時のガス漏れ判定処理ルーチン(S102)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50はタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を開き、燃料ガス供給路31を通じて燃料電池20に燃料ガスを供給する(S201)。次いで、制御部50は燃料ガス循環供給系に配設されている全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれの圧力値が所定の圧力値Pj1〜Pj7以上であるか否かを判定する(S202)。全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれが所定の圧力値Pj1〜Pj7以上に達し、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32の圧力がガス漏れ判定を行える状態にまで昇圧すると(S202;YES)、制御部50はタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を閉弁し(S203)、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32を密封する。そして、密封状態から所定時間t1経過後に(S204)、制御部50は圧力センサP5〜P6の圧力値をP5P〜P6Pとして記憶する(S205)。更に、密封状態から所定時間t2経過すると(S206)、制御部50は記憶済みの圧力値P5P〜P6Pと、所定時間t2経過時点で圧力センサP5〜P6が検出した圧力値との差圧ΔP5〜ΔP6を演算する(S207)。ここで求めた差圧ΔP5〜ΔP6は時間(t2−t1)の圧力低下量に相当する。制御部50はそれぞれの差圧ΔP5〜ΔP6が所定の圧力値pj8〜Pj14以上であるか否かを判定する(S208)。差圧ΔP5〜ΔP6の全てが所定の圧力値pj8〜Pj14以下である場合には(S208;NO)、ガス漏れがないと考えられるので、システム起動を完了し、通常発電を開始する(S209)。一方、差圧ΔP5〜ΔP6のうち何れか一つでも所定の圧力値pj8〜Pj14以上である場合には(S208;YES)、制御部50はガス漏れが生じていると判定する(S210)。
図3はシステム起動時のガス漏れ判定処理ルーチン(S102)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50はタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を開き、燃料ガス供給路31を通じて燃料電池20に燃料ガスを供給する(S201)。次いで、制御部50は燃料ガス循環供給系に配設されている全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれの圧力値が所定の圧力値Pj1〜Pj7以上であるか否かを判定する(S202)。全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれが所定の圧力値Pj1〜Pj7以上に達し、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32の圧力がガス漏れ判定を行える状態にまで昇圧すると(S202;YES)、制御部50はタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を閉弁し(S203)、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32を密封する。そして、密封状態から所定時間t1経過後に(S204)、制御部50は圧力センサP5〜P6の圧力値をP5P〜P6Pとして記憶する(S205)。更に、密封状態から所定時間t2経過すると(S206)、制御部50は記憶済みの圧力値P5P〜P6Pと、所定時間t2経過時点で圧力センサP5〜P6が検出した圧力値との差圧ΔP5〜ΔP6を演算する(S207)。ここで求めた差圧ΔP5〜ΔP6は時間(t2−t1)の圧力低下量に相当する。制御部50はそれぞれの差圧ΔP5〜ΔP6が所定の圧力値pj8〜Pj14以上であるか否かを判定する(S208)。差圧ΔP5〜ΔP6の全てが所定の圧力値pj8〜Pj14以下である場合には(S208;NO)、ガス漏れがないと考えられるので、システム起動を完了し、通常発電を開始する(S209)。一方、差圧ΔP5〜ΔP6のうち何れか一つでも所定の圧力値pj8〜Pj14以上である場合には(S208;YES)、制御部50はガス漏れが生じていると判定する(S210)。
図4は通常運転時の発電制御ルーチン(S104)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は燃料ガス循環供給系の各バルブ(タンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22)を開弁する(S301)。次いで、アクセル開度、車速等を基に車両要求パワー(システム要求電力)を演算し(S302)、燃料電池20の出力電力とバッテリ54の出力電力の比を決定する(S303)。制御部50は燃料電池発電量―エア・ストイキ・マップを参照して、所望の流量の酸化ガスが燃料電池20に供給されるようにモータM1の回転数を制御する(S304)。更に、制御部50は燃料電池発電量―水素・ストイキ・マップを参照して、所望の流量の燃料ガスが燃料電池20に供給されるようにモータM2の回転数を制御する(S305)。次いで、制御部50は燃料電池発電量―燃料ガスパージ頻度マップを参照してパージバルブH51の開閉制御を行う(S306)。
図5は発電制御ルーチンを終了した後に実行される負荷駆動判定制御ルーチン(S104’)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50はバッテリセンサ57から供給される検知信号やSOC−バッテリ温度マップを参照し、バッテリ54が負荷に供給することができる電力量(バッテリ放電可能パワー)W3を演算する(S11a)。次いで、制御部(第1判定手段)50は、アクセル開度、車速等を基に車両要求パワー(システム要求電力)PPWを演算し(S21)、バッテリ放電可能パワーW3が車両要求パワーPPW以上であるか否か(すなわち、バッテリ54からシステム要求電力以上の電力を負荷に供給することができるか否か)を判定する(S31)。制御部(駆動制御手段、第2判定手段)50は、肯定的な結果が得られた場合には(S31;YES)、通常運転から間欠運転への移行を許可し(S41)、バッテリ54のみによって負荷を駆動する制御を開始する。一方、制御部50は、否定的な結果が得られた場合には(S31;NO)、通常運転から間欠運転への移行を禁止し(S51)、燃料電池20及びバッテリ54を併用して負荷を駆動する。以上説明した通常発電制御ルーチン及び負荷駆動判定制御ルーチンが所定のインターバルで繰り返し実行される。
図6乃至図11は間欠運転時、又はシステム停止時のガス漏れ判定処理ルーチン(S106,S109)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50はタンクバルブH201を閉弁し(S401)、高圧部のパージ判定を行う(S402)。パージ判定とは、燃料ガスをパージするか否かを判定することである。まず、圧力センサP6が検出した圧力と高圧部の目標圧力P6Aとの差圧に基づいて、高圧部の圧力を目標圧力P6Aに一致させるために必要な燃料ガス消費量を演算する(S403)。次いで、パージバルブH51の一回あたりのパージ量と高圧部の容積との比から減圧度ΔPQを算出し(S404)、高圧部の圧力と目標圧力P6Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)以下である場合には(S405;YES)、燃料ガスをパージすると、高圧部の圧力が目標圧力P6Aを低下してしまうため、パージを禁止する(S406)。一方、高圧部の圧力と目標圧力P6Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)を超える場合には(S405;NO)、燃料ガスをパージしても、高圧部の圧力が目標圧力P6A以下になることはないので、パージを許可する(S407)。
次いで、低圧部のパージ判定を行う(S408)。まず、圧力センサP61が検出した圧力と高圧部の目標圧力P61Aとの差圧に基づいて、低圧部の圧力を目標圧力P61Aに一致させるために必要な燃料ガス消費量を演算する(S409)。次いで、パージバルブH51の一回あたりのパージ量と低圧部の容積との比から減圧度ΔPQを算出し(S410)、低圧部の圧力と目標圧力P61Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)以下である場合には(S411;YES)、燃料ガスをパージすると、低圧部の圧力が目標圧力P61Aを低下してしまうため、パージを禁止する(S412)。一方、低圧部の圧力と目標圧力P61Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)を超える場合には(S411;NO)、燃料ガスをパージしても、低圧部の圧力が目標圧力P61A以下になることはないので、パージを許可する(S413)。
次いで、FC部のパージ判定を行う(S414)。まず、圧力センサP5が検出した圧力と高圧部の目標圧力P5Aとの差圧に基づいて、FC部の圧力を目標圧力P5Aに一致させるために必要な燃料ガス消費量を演算する(S415)。次いで、パージバルブH51の一回あたりのパージ量とFC部の容積との比から減圧度ΔPQを算出し(S416)、FC部の圧力と目標圧力P5Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)以下である場合には(S417;YES)、燃料ガスをパージすると、FC部の圧力が目標圧力P5Aを低下してしまうため、パージを禁止する(S418)。一方、FC部の圧力と目標圧力P5Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)を超える場合には(S417;NO)、燃料ガスをパージしても、FC部の圧力が目標圧力P5A以下になることはないので、パージを許可する(S419)。
次いで、循環部のパージ判定を行う(S420)。まず、発電を禁止する(S421)。次いで、パージバルブH51の一回あたりのパージ量と循環部の容積との比から減圧度ΔPQを算出し(S422)、循環部の圧力と目標圧力P10Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)以下である場合には(S423;YES)、燃料ガスをパージすると、循環部の圧力が目標圧力P10Aを低下してしまうため、パージを禁止する(S424)。一方、循環部の圧力と目標圧力P10Aとの差圧がΔPQ+所定値(余裕度)を超える場合には(S423;NO)、燃料ガスをパージしても、循環部の圧力が目標圧力P10A以下になることはないので、パージを許可する(S425)。
各セクションのパージ判定が終了すると、次に、制御部50は水素消費量―燃料電池発電量マップを参照して、S403,S409,S415で求めた燃料ガスを消費するための燃料電池20の発電量を求める(S426)。更に、燃料電池発電量―エア・ストイキ・マップを参照して、所望の発電量を得るために必要な酸化ガスが燃料電池20に供給されるようにモータM1の回転数を調整する(S427)。そして、水素供給バルブH200が開弁している場合には(S428;YES)、制御部50は燃料電池発電量―水素ストイキ・マップを参照して所望の発電量を得るために必要な燃料ガス流量が燃料電池20に供給されるようにモータM2の回転数を調整する(S429)。更に、制御部50は燃料電池発電量―パージ頻度マップを参照してパージバルブH51を開閉制御する(S430)。このとき、パージが禁止されている場合には(S406,S412,S418,S424)、パージバルブH51は閉弁状態を維持する。一方、水素供給バルブH200が閉弁している場合には(S428;NO)、制御部50は水素ポンプ63を停止し(S431)、燃料電池発電量―パージ頻度マップを参照してパージバルブH51を開閉制御する(S432)。パージバルブH51を開閉する際には、パージバルブH51の1次圧、2次圧、及び開弁時間に基づいて1回あたりのパージ量を演算する(S433)。ここで、パージバルブH51の1次圧は圧力センサP11が検出した圧力値によって求めることができる。パージバルブH51の2次圧はカソードオフガス流路42を流れる酸素オフガスの流量によって求めることができる。
制御部50はバッテリ54のSOC(State Of Charge)が所定値(例えば、80%〜90%)以上である場合には(S434;YES)、燃料ガスの消費によって発電した電力をバッテリ54に蓄電することができないので、制御部50は燃料電池20の発電量を減少させ、且つ燃料ガスのパージ量を増加させる(S435)。また、燃料ガスのパージ頻度が所定頻度より多くなると(S436;YES)、システム外に排気される燃料ガス濃度が高くなるので、排気燃料ガス濃度を低減させるためにエアコンプレッサ40の回転数を増加させて、カソードオフガス流路42を流れる酸素オフガスの流量を増量し、希釈器64で希釈される排気燃料ガス濃度を低減する(S437)。
このように、電力発電による燃料ガスの消費と、燃料ガスのパージ操作を実行することで(S426〜S437)、燃料ガス循環供給系の各セクションの圧力を迅速に低下させることができる。
より詳細には、高圧部、低圧部、及びFC部の圧力は電力発電による燃料ガス消費と燃料ガスのパージ操作によって低下させることができ、循環部の圧力は燃料ガスのパージ操作によって低下させることができる。各セクションのガス漏れ判定は、例えば、燃料ガス供給系統に配設されている各バルブを閉弁し、閉空間(略密閉空間)を形成して、当該閉空間の圧力低下代を検出することにより行う。
より詳細には、高圧部、低圧部、及びFC部の圧力は電力発電による燃料ガス消費と燃料ガスのパージ操作によって低下させることができ、循環部の圧力は燃料ガスのパージ操作によって低下させることができる。各セクションのガス漏れ判定は、例えば、燃料ガス供給系統に配設されている各バルブを閉弁し、閉空間(略密閉空間)を形成して、当該閉空間の圧力低下代を検出することにより行う。
圧力センサP6の検出圧力が目標圧力P6A以下になると(S438;YES)、高圧部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50は水素供給バルブH200を閉弁する(S439)。これにより高圧部は密封状態になる。次いで、水素供給バルブH200の下流側に配設されている圧力センサP61の検出圧力が所定圧力PJA1以下に降圧したか否かを判定する(S440)。所定圧力PJA1は、水素供給バルブH200が確実に閉弁しているか否かを判定するための圧力である。圧力センサP61の検出圧力が所定圧力PJA1以下になると(S440:YES)、高圧部のガス漏れ判定を行うために、水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t3が経過したか否かを判定する(S441)。所定時間t3が経過すると(S441:YES)、圧力センサP6の検出圧力をP6Pとして記憶する(S442)。更に水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t4が経過したか否かを判定し(S443)、所定時間t4が経過すると(S443;YES)、記憶済みの圧力P6Pと圧力センサP6の検出圧力との差圧(圧力低下代)ΔP6を演算する(S444)。ここで、差圧ΔP6が所定の閾値圧力Pj15以上である場合には(S445;YES)、高圧部にガス漏れが生じていると判定する(S446)。ガス漏れの原因としては、タンクバルブH201或いは水素供給バルブH22の開故障、又はレギュレータH9、H10或いは燃料ガス供給路31の破損等が考えられる。ここで、開故障とは、バルブが開いたままになって、閉弁できなくなる故障状態をいう。
一方、水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t3が経過していない場合(S441;NO)、或いは所定時間t4が経過していない場合(S443;NO)、又は差圧ΔP6が所定の閾値圧力Pj15未満である場合(S445;NO)には、制御部50は低圧部のガス漏れ判定を許可する(S447)。これは、水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t3又はt4が経過していなくても、既に水素供給バルブH200が閉弁している以上、高圧部のガス漏れ判定と並行して低圧部のガス漏れ判定を行うことができるためである。
そして、圧力センサP61の検出圧力が目標圧力P61A以下になると(S448;YES)、低圧部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50はFC入口バルブH21を閉弁する(S449)。これにより低圧部は密封状態になる。次いで、FC入口バルブH21の下流側に配設されている圧力センサP5,P11の検出圧力がそれぞれ所定圧力PJA2,PJA3以下に降圧したか否かを判定する(S450)。所定圧力PJA2,PJA3は、FC入口バルブH21が確実に閉弁しているか否かを判定するための圧力である。圧力センサP5,P11の検出圧力がそれぞれ所定圧力PJA2,PJA3以下になると(S450:YES)、低圧部のガス漏れ判定を行うために、FC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t5が経過したか否かを判定する(S451)。所定時間t5が経過すると(S451:YES)、圧力センサP61の検出圧力をP61Pとして記憶する(S452)。更にFC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t6が経過したか否かを判定し(S453)、所定時間t6が経過すると(S453;YES)、記憶済みの圧力P61Pと圧力センサP61の検出圧力との差圧(圧力低下代)ΔP61を演算する(S454)。ここで、差圧ΔP61が所定の閾値圧力Pj16以上である場合には(S455;YES)、低圧部にガス漏れが生じていると判定する(S456)。ガス漏れの原因としては、水素供給バルブH22或いはFC入口バルブH21の開故障、又は燃料ガス供給路31或いは燃料ガス循環路32の破損等が考えられる。
一方、FC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t5が経過していない場合(S451;NO)、或いは所定時間t6が経過していない場合(S453;NO)、又は差圧ΔP61が所定の閾値圧力Pj16未満である場合(S455;NO)には、制御部50はFC部のガス漏れ判定を許可する(S457)。これは、FC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t5又はt6が経過していなくても、既にFC入口バルブH21が閉弁している以上、低圧部のガス漏れ判定と並行してFC部のガス漏れ判定を行うことができるためである。
そして、圧力センサP5の検出圧力が目標圧力P5A以下になると(S458;YES)、FC部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50はFC出口バルブH22を閉弁する(S459)。これによりFC部は密封状態になる。次いで、FC出口バルブH22の下流側に配設されている圧力センサP10の検出圧力が所定圧力PJA4以下に降圧したか否かを判定する(S460)。所定圧力PJA4は、FC出口バルブH22が確実に閉弁しているか否かを判定するための圧力である。圧力センサP10の検出圧力がそれぞれ所定圧力PJA4以下になると(S460:YES)、FC部のガス漏れ判定を行うために、FC出口バルブH22の閉弁時から所定時間t7が経過したか否かを判定する(S461)。所定時間t7が経過すると(S461:YES)、圧力センサP5の検出圧力をP5Pとして記憶する(S462)。更にFC出口バルブH22の閉弁時から所定時間t8が経過したか否かを判定し(S463)、所定時間t8が経過すると(S463;YES)、記憶済みの圧力P5Pと圧力センサP5の検出圧力との差圧(圧力低下代)ΔP5を演算する(S464)。ここで、差圧ΔP5が所定の閾値圧力Pj17以上である場合には(S465;YES)、FC部にガス漏れが生じていると判定する(S466)。ガス漏れの原因としては、FC入口バルブH21或いはFC出口バルブH22の開故障、又は燃料ガス供給路31或いは燃料ガス循環路32の破損等が考えられる。
一方、FC出口バルブH22の閉弁時から所定時間t7が経過していない場合(S461;NO)、或いは所定時間t8が経過していない場合(S463;NO)、又は差圧ΔP5が所定の閾値圧力Pj17未満である場合(S465;NO)には、制御部50は循環部のガス漏れ判定を許可する(S467)。これは、FC出口バルブH22の閉弁時から所定時間t7又はt8が経過していなくても、既にFC出口バルブH22が閉弁している以上、FC部のガス漏れ判定と並行して循環部のガス漏れ判定を行うことができるためである。
そして、圧力センサP10の検出圧力が目標圧力P10A以下になると(S468;YES)、循環部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50はパージバルブH51の開閉を禁止する(S469)。これにより循環部は密封状態になる。循環部のガス漏れ判定を行うために、制御部50はパージバルブH51の開閉を禁止した時点(又はFC出口バルブH22の閉弁時)から所定時間t9が経過したか否かを判定する(S470)。所定時間t9が経過すると(S470:YES)、圧力センサP10検出圧力をP10Pとして記憶する(S471)。更に、パージバルブH51の開閉を禁止した時点(又はFC出口バルブH22の閉弁時)から所定時間t10が経過したか否かを判定し(S472)、所定時間t10が経過すると(S472;YES)、記憶済みの圧力P10Pと圧力センサP10の検出圧力との差圧(圧力低下代)ΔP10を演算する(S473)。ここで、差圧ΔP10が所定の閾値圧力Pj18以上である場合には(S474;YES)、循環部にガス漏れが生じていると判定する(S475)。ガス漏れの原因としては、FC出口バルブH22或いは逆止弁H52の開故障、又は燃料ガス循環路32の破損等が考えられる。一方、圧ΔP10が所定の閾値圧力Pj18未満である場合には(S474;NO)、循環部にガス漏れが生じてないと判定し、ガス漏れ判定を完了する(S476)。
図12乃至図13は補機制御ルーチン(S107)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50はSOC−バッテリ温度マップを参照して、二次電池54に充電可能な電力W2を演算する(S501)。二次電池54はSOCが少ない程、充電可能な電力が多く、またバッテリ温度が低温又は高温である程、充電可能な電力は少ない。次いで、制御部50は燃料電池20の発電量PAに応じた補機損失W3を演算する(S502)。次いで、発電量PAが充電可能電力W2と補機損失W3との総和を超えているか否かを判定する(S503)。発電量PAが充電可能電力W2と補機損失W3との総和を超えている場合には(S503;YES)、発電量PAが余剰気味であるので、水素ポンプ63の流量をアップして水素ポンプ63の駆動負荷(消費電力)を増大させるか、或いは圧力調整弁A4の弁開度を小さくしてカソードオフガス流路42の流体抵抗を大きくし、エアコンプレッサ40の駆動負荷(消費電力)を増大させる(S504)。
次いで、制御部50は燃料電池20の温度状態を検出し、温度センサT2の検出温度が所定温度TH1以上であるか、或いは温度センサT31の検出温度が所定温度TH2以上であるか否かを判定する(S505)。所定温度TH1,TH2としては、燃料電池20がドライアップ気味になる温度に設定するのが好ましい。温度センサT2の検出温度が所定温度TH1以上であるか、或いは温度センサT31の検出温度が所定温度TH2以上である場合には(S505;YES)、燃料電池発電量−エア・ストイキ・マップを参照して、燃料電池20がドライアップしない程度の酸化ガス流量が燃料電池20に供給されるように、エアコンプレッサ40の回転数を調整する(S506)。一方、温度センサT2の検出温度が所定温度TH1未満であり、且つ温度センサT31の検出温度が所定温度TH2未満である場合には(S505;NO)、燃料電池20に供給される酸化ガス流量を増大させても、燃料電池20はドライアップしないと考えられるので、エアコンプレッサ40の回転数を上げて、エアコンプレッサ40の駆動負荷(消費電力)を増大させる(S507)。
次いで、制御部50は循環ポンプC1の駆動力(消費電力)を増大させて冷媒流量を増大させ、或いはラジエータ・ファンC13を駆動して冷却系統の補機損失を増大させる(S508)。これにより余剰電力を多く消費することができるが、その一方で、燃料電池20の温度は通常運転温度よりも低下する場合がある。制御部50はFC冷却水出口温度T2−補機動力−外気温度TOUTマップ(三次元マップ)を参照して燃料電池20の温度低下代ΔTCを演算する(S509)。この三次元マップは燃料電池20の冷媒温度と、冷却補機(循環ポンプC1、ラジエータ・ファンC13)の駆動負荷と、外気温度TOUTとに基づいて、燃料電池20の温度低下代を予め求めたマップデータである。次に、制御部50はFC冷却水出口温度T2−ΔTC−凝縮水量推定マップを参照して、燃料電池20内部で生成される凝縮水量を推定する(S510)。燃料電池20のアノード側は殆ど飽和水蒸気で満たされていると考えられるので、温度低下代ΔTCから凝縮水量をある程度推定できる。次いで、制御部50は凝縮水量−水素ポンプ増加流量マップ、凝縮水量−エアコンプレッサ増加流量マップ、凝縮水量−パージ頻度増加マップを参照して、凝縮水量に応じて水素ポンプ63とエアコンプレッサ40の回転数を増加させる。凝縮水量が多い程、フラッディングによるセル電圧低下がみられるので、燃料ガスと酸化ガスの供給量を増大させる。また、燃料ガスに含まれている水分をできるだけ多く排出するため、パージバルブH51のパージ頻度を増加させる(S511)。
次いで、制御部50は燃料電池20の温度状態を検出し、温度センサT2の検出温度が所定温度TH3以下であるか、或いは温度センサT31の検出温度が所定温度TH4以下であるか否かを判定する(S512)。所定温度TH3,TH4としては、燃料電池20の運転温度が通常運転温度を下回る程度の温度に設定するのが好ましい。温度センサT2の検出温度が所定温度TH3以下であるか、或いは温度センサT31の検出温度が所定温度TH4以下である場合には(S512;YES)、冷媒温度を昇温させるため、制御部50はバイパス弁C3を閉じ、ラジエータ・ファンC13をオフにして、リレーR1,R2をオンにする(S513)。これにより、冷媒はラジエータC2をバイパスして熱交換器70に流入し、熱交換器70にて昇温される。ヒータ70aを通電することによって、余剰電力を効率よく消費できる。
次いで、制御部50は補機インバータ52の温度を検出し、水素ポンプ63のインバータ温度又はエアコンプレッサ40のインバータ温度が所定温度TH5以下であるか否かを判定する(S514)。所定温度TH5としては、補機インバータ52の熱損失が過大になる温度に設定するのが好ましい。水素ポンプ63のインバータ温度又はエアコンプレッサ40のインバータ温度が所定温度TH5以下である場合には(S514;YES)、補機インバータ52の熱損失は少ないと考えられるので、インバータ周波数を上昇させて、熱損失を大きくする(S515)。一方、水素ポンプ63のインバータ温度又はエアコンプレッサ40のインバータ温度が所定温度TH5以上である場合には(S514;NO)、補機インバータ52の熱損失は大きいので、インバータ周波数を通常値に維持する(S516)。
図14はシステム停止処理ルーチン(S110)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は循環部のガス漏れ判定が完了したか否かを判定する(S601)。循環部のガス漏れ判定が完了したならば(S601;YES)、制御部50はFC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を開弁し、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32に残留している燃料ガスを燃料電池20に導く(S602)。これと同時に、制御部50はエアコンプレッサ40を回転させて燃料電池20に酸化ガスを供給する。燃料電池20に導入された燃料ガスは電力発電によって消費される。更に、制御部50は適当な時間間隔でパージバルブH51を開弁することにより、燃料ガスをパージし、燃料電池20を循環する燃料ガスの不純物濃度を低減する。そして、圧力センサP5の検出圧力が目標圧力P5AE以下に降圧したか否かを判定する(S603)。目標圧力P5AEとしては、システム停止時に燃料ガスがカソード側にクロスリークしない程度の圧力が好ましい。圧力センサP5の検出圧力が目標圧力P5AE以下に降圧すると(S603;YES)、制御部50はFC入口バルブH21、FC出口バルブH22、及びパージバルブH51を閉弁し、エアコンプレッサ40と水素ポンプ63を停止させて、発電を停止する(S604)。
図15は異常停止処理ルーチン(S112)を記述したフローチャートである。上述のガス漏れ判定(S102,S106,S109)において、ガス漏れが生じていると判定されると(S210,S446,S456,S466,S475)、異常停止処理ルーチンが呼び出される。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は燃料ガス供給系統に配設されている全てのバルブ、即ち、タンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、FC出口バルブH22、及びパージバルブH51を全て閉弁し、更にエアコンプレッサ40と水素ポンプ63を停止させて、発電を停止する(S701)。
以上説明したように、本実施形態によれば、燃料電池以外の他の負荷駆動源にて負荷を駆動している間に、燃料ガス循環供給系において燃料ガスの漏れが発生しているか否かを検知するため、燃料ガス漏れの検出が回生時に限られていた従来に比べて検出頻度を高く設定することができるとともに、燃料ガス漏れの誤検出を抑制することが可能となる。
B.変形例
(1)上述した本実施形態では、ガス通路の異常を検知する一態様として燃料ガスのガス通路のガス漏れ(ガス通路上に配置された各弁の開故障、ガス通路からの漏洩)を例示したが、例えば燃料ガスのガス通路の詰まり(弁の閉故障、異物(生成水等)の存在)を検知するようにしてもよい。かかる場合には、ガス通路に形成した閉空間の圧力状態に基づいてガス通路に詰まりが発生しているか否かを検知すれば良い。なお、上記本実施形態では、燃料ガスのガス通路の異常を検知する場合について説明したが、酸化ガスのガス通路の異常を検知する場合にも適用可能である。
(1)上述した本実施形態では、ガス通路の異常を検知する一態様として燃料ガスのガス通路のガス漏れ(ガス通路上に配置された各弁の開故障、ガス通路からの漏洩)を例示したが、例えば燃料ガスのガス通路の詰まり(弁の閉故障、異物(生成水等)の存在)を検知するようにしてもよい。かかる場合には、ガス通路に形成した閉空間の圧力状態に基づいてガス通路に詰まりが発生しているか否かを検知すれば良い。なお、上記本実施形態では、燃料ガスのガス通路の異常を検知する場合について説明したが、酸化ガスのガス通路の異常を検知する場合にも適用可能である。
(2)上述した本実施形態では、負荷駆動源としてバッテリ54を例示したが、キャパシタなどのあらゆる蓄電装置に適用可能である。また、蓄電装置に限らず、燃料電池20と別体に設けられた全ての負荷駆動源に適用可能である。例えば、燃料電池のほかに燃料タンクやエンジンを備えたハイブリッド電気自動車などであれば、エンジン等の内燃機関を負荷駆動源とすることができ、また、燃料電池のほかに送電線等を介して電力の供給を受ける受電機構を備えた電車などであれば、受電機構を負荷駆動源とすることができる。さらに、燃料電池のほかにガス・タービンなどを備えた航空機などであれば、ガス・タービンを負荷駆動源とすることができ、また、燃料電池のほかに原子炉を備えた潜水艦などであれば、原子炉などの原子力発電機構を負荷駆動源とすることができる。さらに、内燃機関による駆動力で発電する発電機(オルタネータ)等も負荷駆動源としても良い。これら各他の負荷駆動源が負荷に供給可能な電力の総和を求め、求めた総和がシステム要求電力以上であるか否かを判断するようにしても良い(図5に示すS11b〜S11e)。
S11b〜S11eについて説明すると、制御部50はバッテリ放電可能パワーW3を演算すると、内燃機関状態検出センサ(図示略)の検出信号等に基づいて内燃機関供給可能パワーW4を演算する(S11a→S11b)。同様に、制御部50は受電状態検出センサ、ガス・タービン状態検出センサ、原子炉状態検出センサ(いずれも図示略)等に基づいて、受電可能パワーW5、ガス・タービン供給可能パワーW6、原子力供給パワーW7をそれぞれ演算する(S11c→S11d→S11e)。なお、当該燃料電池システムに搭載されていない他の負荷駆動源のパワー(例えば内燃機関供給可能パワーW4など)は「0」になる。そして、制御部50はアクセル開度、車速等を基に車両要求パワーPPWを演算した後、これら他の駆動源が供給可能な電力の総和が車両要求パワーPPW以上であるか否かを判定する(S21→S31)。この後の処理は本実施形態と同様に説明することができるため、省略する。以上説明したように、燃料電池20と別体に設けられた負荷駆動源が1つ存在する場合だけでなく、該負荷駆動源が複数存在する場合にも適用可能である。
10…燃料電池システム 20…燃料電池 30…燃料ガス供給源 31…燃料ガス供給路 32…燃料ガス循環路 33…アノードオフガス流路 40…エアコンプレッサ 41…酸化ガス流路 42…カソードオフガス流路 50…制御部 54…二次電池 55…アクセルセンサ 56…車速センサ 57…バッテリセンサ H201…タンクバルブ H9…高圧レギュレータ H10…低圧レギュレータ H200…水素供給バルブ H21…FC入口バルブ H22…FC出口バルブ H51…パージバルブ
Claims (7)
- 反応ガスが供給されることにより電力を出力する燃料電池と、
前記燃料電池に接続するガス通路と、
前記燃料電池と別体に設けられた負荷駆動源と、
前記燃料電池または前記負荷駆動源の少なくとも一方の出力により駆動可能な負荷装置とを備えた燃料電池システムにおいて、
前記負荷駆動源によって前記負荷装置を駆動しているときに、前記ガス通路の異常を検知する検知手段を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記検知手段は、前記検知を行う際、前記ガス通路に閉空間を形成し、当該閉空間の圧力状態に基づいて前記ガス通路の異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記検知手段は、前記負荷装置を駆動するために必要な電力以上の電力を、前記負荷駆動源から前記負荷装置に供給することができるとき、前記負荷駆動源によって当該負荷装置を駆動し、この間に前記ガス通路の異常を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 前記検知手段は、前記負荷装置を駆動するために必要な電力以上の電力を、前記負荷駆動源から前記負荷装置に供給することができるか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段によって肯定的な判定がなされたとき、前記負荷駆動源によって当該負荷装置を駆動する駆動制御手段と、前記負荷駆動源によって前記負荷装置が駆動されている間に、前記ガス通路に異常が発生しているか否かを判定する第2判定手段とを具備することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記負荷駆動源は複数存在し、複数の負荷駆動源によって供給可能な電力の総和が前記負荷装置を駆動するために必要な電力以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載の燃料電池システム。
- 前記複数の負荷駆動源には、少なくとも蓄電装置が含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の燃料電池システム。
- 請求項1〜6のいずれか1の請求項に記載の燃料電池システムを備えた車両。
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2004
- 2004-09-21 JP JP2004273541A patent/JP2006092786A/ja not_active Withdrawn
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