JP2006092789A - 燃料電池システム及び該システムを備えた車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料ガス漏れなどのガス通路の異常の検出精度を向上させることが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池システム10の制御部50は、燃料ガス漏れを検知する際、燃料ガス循環供給系に存するバルブH200等を開閉制御することで隣接する複数の閉空間を形成する。制御部50は、これら各閉空間の圧力及び温度に基づいて所定時間経過後の燃料ガスの変化量を求め、求めた燃料ガスの変化量から燃料ガス漏れが発生しているか否かを判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池システム10の制御部50は、燃料ガス漏れを検知する際、燃料ガス循環供給系に存するバルブH200等を開閉制御することで隣接する複数の閉空間を形成する。制御部50は、これら各閉空間の圧力及び温度に基づいて所定時間経過後の燃料ガスの変化量を求め、求めた燃料ガスの変化量から燃料ガス漏れが発生しているか否かを判定する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池システムに関し、特に、燃料電池の発電に寄与する反応ガスのガス通路の異常判定を精度良く行うための改良技術に関する。
燃料電池システムにおいては、燃料ガスなどの反応ガス用のガス通路の異常(例えば、燃料ガスの漏れ)を正確に検知することが非常に重要である。かかる要請に応えるべく、燃料電池に接続するガス通路に配した遮断弁等により複数の閉空間を形成し、閉空間毎の圧力降下速度や各遮断弁等の前後差圧を検出することで、ガス通路の異常(燃料ガス漏れ)を検知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、閉空間の圧力変化のみに依存してガス通路の異常(燃料ガス漏れなど)の検知を行う場合には、燃料ガス漏れが生じないにもかかわらず燃料ガス漏れが生じていると誤判定するなど、信頼性に欠けるといった問題がある。例えば、閉空間内の温度下降に伴って燃料ガスの圧力が下がったような場合、この圧力変化が設定された閾値等を超えていれば、たとえ閉空間に燃料ガス漏れが生じていなくとも燃料ガス漏れが生じていると誤判定してしまう。
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、ガス通路の異常(燃流ガス漏れなど)の検出精度を上げることができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
上述した問題を解決するため、本発明に係る燃料電池システムは、反応ガスが供給されることにより電力を出力する燃料電池と、前記燃料電池に接続するガス通路と、前記ガス通路の少なくとも一部に閉空間を形成し、その閉空間の圧力及び温度に基づいて前記ガス通路の異常を検知する異常検知手段とを具備することを特徴とする。
かかる構成によれば、閉空間の圧力だけではなく、閉空間の温度も考慮して反応ガスのガス通路に異常(燃料ガス漏れなど)が発生しているか否かが判定される。従って、閉空間内の温度下降に伴って反応ガスの圧力が下がったような場合には、この閉空間の温度を考慮してガス通路に異常が発生しているか否かが判定されるため、ガス通路の異常検出精度を向上させることが可能となる。
ここで、「反応ガス」とは、燃料電池に供給される燃料ガスだけでなく、該燃料電池に供給される酸化ガスも含む意味である。また、「ガス通路」とは、燃料電池に供給する反応ガスのガス供給通路、ガス循環通路、ガス排出通路の少なくとも1つの通路に対応する。さらに、異常を検知するガス通路としては、燃料ガス側と酸化ガス側の少なくとも一方であり、両方であってもよい。よって、上記構成において「ガス通路の異常を検知する」とは、燃料ガス側と酸化ガス側のガス通路の少なくとも一部の領域で異常を検知することを意味する。なお、「ガス通路の異常」とは、ガス通路のガス漏れ(ガス通路上に配置された各弁の開故障、ガス通路からの漏洩)のみならず、ガス通路の詰まり(弁の閉故障、異物(生成水等)の存在)をも含む意味である。
また、上記構成にあっては、前記閉空間を形成するための遮蔽手段と、前記閉空間の圧力及び温度を検出する状態検出手段をさらに具備し、前記異常検知手段は、前記遮蔽手段によって前記ガス通路の少なくとも一部に閉空間を形成する遮蔽制御手段と、前記状態検出手段によって検出される前記閉空間の圧力及び温度に基づいて、前記ガス通路に異常が発生しているか否かを判定する判定手段とを備える態様が好ましい。さらに、前記判定手段は、前記状態検出手段によって検出される閉空間の圧力及び温度から該閉空間の反応ガス量を求め、所定期間経過後の該閉空間の反応ガスの変化量と設定された閾値量とを比較することにより、前記ガス通路に異常が発生しているか否かを判定する態様が好ましい。
かかる構成によれば、閉空間の圧力変化ではなく、閉空間の反応ガスの変化量に基づいてガス通路に異常が発生しているか否かが判定されるため、ガス通路の異常(燃流ガス漏れなど)の検出精度を向上させることができるとともに、反応ガスの変化量(漏れ量など)を正確に把握することが可能となる。
さらにまた、前記判定手段は、前記閉空間の圧力及び温度のほかに前記反応ガスの圧縮係数を考慮して(下記式(A)、(B)参照)、該反応ガスの変化量を求める態様が好ましい。ここで、ガス通路の少なくとも一部に隣接する複数の閉空間が形成される場合、前記複数の閉空間の中には、少なくとも圧力調整弁を有する閉空間が存在する態様が好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、ガス通路の異常(燃流ガス漏れなど)の検出精度を向上させることが可能となる。また、反応ガスの変化量(漏れ量など)を正確に把握することが可能となる。
以下、本発明に係る実施形態を説明する前に、まず、本発明の基本原理について説明する。
<基本原理>
前述したように、閉空間の圧力変化のみに依存して燃料ガス漏れの検知を行う場合には、燃料ガス漏れが生じていないにもかかわらず燃料ガス漏れが生じていると判定するなど、誤検出を招くおそれがある(発明が解決しようとする課題の項参照)。
<基本原理>
前述したように、閉空間の圧力変化のみに依存して燃料ガス漏れの検知を行う場合には、燃料ガス漏れが生じていないにもかかわらず燃料ガス漏れが生じていると判定するなど、誤検出を招くおそれがある(発明が解決しようとする課題の項参照)。
そこで、以下に示す本実施形態では、閉空間の圧力及び温度に基づいて燃料ガスの変化量(すなわち燃料ガスのモル数の変化量)を求め、求めた燃料ガスの変化量から燃料ガス漏れが発生しているか否かを判定する。具体的には、気体の状態方程式(A)から導出される下記式(B)を用いて所定時間経過後の燃料ガスの変化量Δnを求め、この変化量Δnと閾値変化量とを比較して燃料ガス漏れが発生しているか否かを判定する。このように、閉空間の圧力変化ではなく、閉空間の燃料ガスの変化量に基づいて燃料ガス漏れが発生しているか否かを判断することで、燃料ガスの漏れ量を正確に把握することができ、ガス漏れの検出精度を向上させることが可能となる。
PV=nzRT ・・・(A)
n=PV/(zRT) ・・・(B)
(P:圧力、V:容積、n:モル数、z:圧縮係数、R:気体定数、T:絶対温度)
n=PV/(zRT) ・・・(B)
(P:圧力、V:容積、n:モル数、z:圧縮係数、R:気体定数、T:絶対温度)
A.本実施形態
図1は本実施形態に係わる燃料電池システムの概略構成を示している。ここでは、燃料電池システム10を燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hyblid Vehicle)の車載発電システムとして用いる例を示すが、各種移動体(例えば、船舶や飛行機など)に搭載される発電システムや定置用発電システムとして用いることができる。燃料電池(セルスタック)20は、複数の単セルを直列に積層して成るスタック構造を備えており、例えば、固体高分子電解質型燃料電池等から構成されている。
図1は本実施形態に係わる燃料電池システムの概略構成を示している。ここでは、燃料電池システム10を燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hyblid Vehicle)の車載発電システムとして用いる例を示すが、各種移動体(例えば、船舶や飛行機など)に搭載される発電システムや定置用発電システムとして用いることができる。燃料電池(セルスタック)20は、複数の単セルを直列に積層して成るスタック構造を備えており、例えば、固体高分子電解質型燃料電池等から構成されている。
燃料電池システムは、燃料電池20に接続された燃料ガス循環供給系と酸化ガス供給系とを備えている。燃料電池20の燃料ガス循環供給系は、燃料ガス供給源30、燃料ガス供給路31、燃料電池20、燃料ガス循環路32、及びアノードオフガス流路33を含んで構成され、燃料ガス供給路31、燃料ガス循環路32、アノードオフガス流路33の少なくとも一部が特許請求の範囲に記載のガス通路に対応する。
燃料ガス供給源30は、例えば、高圧水素タンク又は水素貯蔵タンク等の水素貯蔵源によって構成される。燃料ガス供給路31は燃料ガス供給源30から放出される燃料ガスを燃料電池20のアノード極に導くためのガス流路であり、そのガス流路には上流から下流にかけてタンクバルブH201、高圧レギュレータH9、低圧レギュレータH10、水素供給バルブH200、及びFC入口バルブH21が各々配設されている。
高圧に圧縮された燃料ガスは高圧レギュレータH9にて中圧に減圧され、更に低圧レギュレータH10にて低圧(通常運転圧力)に減圧される。燃料ガス循環路32は未反応燃料ガスを燃料電池20に還流させるための帰還ガス流路であり、そのガス流路には上流から下流にかけてFC出口バルブH22、水素ポンプ63、及び逆止弁H52が各々配設されている。燃料電池20から排出された低圧の未反応燃料ガスは水素ポンプ63によって適度に加圧され、燃料ガス供給路31に導かれる。逆止弁H52は燃料ガス供給路31から燃料ガス循環路32への燃料ガスの逆流を抑制する。アノードオフガス流路33は燃料電池20から排出された水素オフガスをシステム外に排気するためのガス流路であり、そのガス流路にはパージバルブH51が配設されている。
上述したタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、FC出口バルブH22、及びパージバルブH51は各ガス流路31〜33又は燃料電池20へ燃料ガスを供給し、或いは遮断するためのシャットバルブであり、例えば、電磁弁によって構成されている。このような電磁弁として、例えば、オンオフ弁、或いはPWM制御で弁開度をリニアに調整できるリニア弁等が好適である。
燃料電池20の酸化ガス供給系は、エアコンプレッサ(酸化ガス供給源)40、酸化ガス供給路41、及びカソードオフガス流路42を含んで構成され、酸化ガス供給路41、カソードオフガス流路42の少なくとも一部が特許請求の範囲に記載のガス通路に対応する。エアコンプレッサ40はエアフィルタ61を介して外気から取り込んだ空気を圧縮し、その圧縮エアを酸化ガスとして燃料電池20のカソード極に供給する。燃料電池20の電池反応に供した後の酸素オフガスはカソードオフガス流路42を流れてシステム外に排気される。酸素オフガスは燃料電池20での電池反応により生成された水分を含むため高湿潤状態になっている。加湿モジュール62は酸化ガス供給路41を流れる低湿潤状態の酸化ガスと、カソードオフガス流路42を流れる高湿潤状態の酸素オフガスとの間で水分交換を行い、燃料電池20に供給される酸化ガスを適度に加湿する。燃料電池20に供給される酸化ガスの背圧はカソードオフガス流路42のカソード出口付近に配設された圧力調整弁A4によって調圧される。カソードオフガス流路42の下流は希釈器64に連通しており、希釈器64に酸素オフガスを供給する。希釈器64はアノードオフガス流路33の下流にも連通しており、水素オフガスを酸素オフガスによって混合希釈した後にシステム外に排気するように構成されている。
燃料電池20で発電された直流電力の一部はDC/DCコンバータ53によって降圧され、バッテリ54に充電される。トラクションインバータ51及び補機インバータ52は燃料電池20とバッテリ54の双方又は何れか一方から供給される直流電力を交流電力に変換してトラクションモータM3と補機モータM4のそれぞれに交流電力を供給する。補機モータM4は後述の水素循環ポンプ63を駆動するモータM2やエアコンプレッサ40を駆動するモータM1等を総称している。なお、以下の説明では、燃料電池20及びバッテリ54のいずれか一方若しくは双方によって駆動されるものを負荷と総称する。
制御部50はアクセルセンサ55が検出したアクセル開度、車速センサ56が検出した車速等に基づいてシステム要求電力(車両走行電力と補機電力との総和)を求め、燃料電池20が目標電力に一致するように燃料電池システム10を制御する。具体的には、制御部50はエアコンプレッサ40を駆動するモータM1の回転数を調整して酸化ガス供給量を調整するとともに、水素ポンプ63を駆動するモータM2の回転数を調整して燃料ガス供給量を調整する。また、制御部50はDC/DCコンバータ53を制御して燃料電池20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を調整し、燃料電池20の出力電力が目標電力に一致するように調整する。さらに、制御部(異常検知手段)50は、ガス漏れ判定を行う際、上記式(A)、(B)を利用して所定時間経過後の燃料ガスの変化量Δnを求め、この燃料ガスの変化量Δnをもとに燃料ガス漏れの検知を行う。
尚、燃料ガス漏れを検知する際、燃料ガス循環供給系には隣接する複数の閉空間が形成される。具体的には、高圧部(タンクバルブH201〜水素供給バルブH200の区間)、低圧部(水素供給バルブH200〜FC入口バルブH21)、FC部(スタック入り口バルブH21〜FC出口バルブH22)、循環部(FC出口バルブH22〜逆止弁H52)の4つのセクションから構成される複数の閉空間が形成され、各部には燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ(状態検出手段)P6,P7,P9,P61,P5,P10,P11と燃料ガスの温度を検出する温度センサ(状態検出手段)T6,T7,T9,T61,T5,T10が配設されている。各圧力センサの役割について詳述すると、圧力センサP6は燃料ガス供給源30の燃料ガス供給圧を検出する。圧力センサP7は高圧レギュレータH9の二次圧を検出する。圧力センサP9は低圧レギュレータH10の二次圧を検出する。圧力センサP61は燃料ガス供給路31の低圧部の圧力を検出する。圧力センサP5はスタック入口の圧力を検出する。圧力センサP10は水素循環ポンプ63の入力ポート側(上流側)の圧力を検出する。圧力センサP11は水素循環ポンプ63の出力ポート側(下流側)の圧力を検出する。本実施形態では、燃料ガス循環供給系のガス漏れ判定を高圧部、低圧部、FC部、及び循環部といったセクション毎(すなわち、閉区間毎)に行う。
図2は制御部50が実行するシステム制御を記述したメインルーチンである。同図を参照してシステム制御の概要を説明した後に各サブルーチンについて説明する。燃料電池システム10が起動すると(S101;YES)、制御部50は燃料ガス循環供給系のガス漏れ判定を行う(S102)。ここで、ガス漏れがなく、正常に発電できると判定されると(S103;YES)、通常運転制御が行われる(S104)。制御部50は通常運転が継続されている間に、予め定められた間欠運転開始条件が満たされると判断すると(S104→S105)、燃料ガス循環供給系のガス漏れ判定を行う(S106)。この間欠運転は、車両要求パワー(システム要求電力)を全てバッテリ54にて補える際(具体的には回生状態やアイドル状態など)に実施される。その後、システム停止が行われる場合には(S107;YES)、制御部50は燃料ガス循環供給系のガス漏れ判定を行い(S108)、システム停止処理を行う(S109)。ガス漏れが検出された場合には(S110;YES)、異常停止処理を行う(S111)。
次に、各サブルーチンについて詳述する。
図3はシステム起動時のガス漏れ判定処理ルーチン(S102)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50はタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を開き、燃料ガス供給路31を通じて燃料電池20に燃料ガスを供給する(S201)。次いで、制御部50は燃料ガス循環供給系に配設されている全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれの圧力値が所定の圧力値Pj1〜Pj7以上であるか否かを判定する(S202)。全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれが所定の圧力値Pj1〜Pj7以上に達し、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32の圧力がガス漏れ判定を行える状態にまで昇圧すると(S202;YES)、制御部(遮蔽制御手段)50は遮蔽手段としてのタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を閉弁し(S203)、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32を密封する。
図3はシステム起動時のガス漏れ判定処理ルーチン(S102)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50はタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を開き、燃料ガス供給路31を通じて燃料電池20に燃料ガスを供給する(S201)。次いで、制御部50は燃料ガス循環供給系に配設されている全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれの圧力値が所定の圧力値Pj1〜Pj7以上であるか否かを判定する(S202)。全ての圧力センサP5〜P6のそれぞれが所定の圧力値Pj1〜Pj7以上に達し、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32の圧力がガス漏れ判定を行える状態にまで昇圧すると(S202;YES)、制御部(遮蔽制御手段)50は遮蔽手段としてのタンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を閉弁し(S203)、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32を密封する。
そして、密封状態から所定時間t1経過すると(S204)、制御部50は所定時間t1経過時点における圧力センサP5〜P6の圧力値及び温度センサT5〜T6の温度値を読み取り、これらを上記式(A)、(B)に代入することにより、下記に示す各区間に存する燃料ガスのモル量(以下、燃料ガス量)nを求める。そして、制御部50は求めた燃料ガス量nをメモリ等に記憶する(S205)。詳述すると、制御部50は温度センサの温度値を読み取ると、読み取った温度値と圧力係数−温度マップ(図示略)とから当該温度値に対応する圧縮係数zを求める。ただし、圧縮係数zを一定とみなしても燃料ガス判定の判定結果に大きな影響を及ぼさないのであれば、温度値によらず常に一定の圧縮係数zを用いるようにしても良い。そして、制御部50は読み取った圧力センサの圧力値P及び温度センサの温度値T、求めた圧縮係数z、一定値である体積V及び気体定数Rを式(B)に代入することにより、当該区間における燃料ガス量nを求める。
さらに具体的に説明すると、制御部50は圧力センサP6の圧力値と温度センサT6の温度値から第1区間(タンクバルブH201〜高圧レギュレータH9)に存する燃料ガス量n1を求め、圧力センサP7の圧力値と温度センサT7の温度値から第2区間(高圧レギュレータH9〜低圧レギュレータH10)に存する燃料ガス量n2を求め、圧力センサP9の圧力値と温度センサT9の温度値から第3区間(低圧レギュレータH10〜水素供給バルブH200)に存する燃料ガス量n3を求め、圧力センサP61の圧力値と温度センサT61の温度値から第4区間(水素供給バルブH200〜FC入口バルブH21)に存する燃料ガス量n4を求め、圧力センサP5の圧力値と温度センサT5の温度値から第5区間(FC入口バルブH21〜FC出口バルブH22)に存する燃料ガス量n5を求め、圧力センサP10の圧力値と温度センサT10の温度値から第6区間(FC出口バルブH22〜逆止弁H52)に存する燃料ガス量n6を求め、求めた燃料ガス量n1〜n6を記憶する。
更に、密封状態から所定時間t2(>t1)経過すると(S206)、制御部50は所定時間t2経過時点における第1〜第6区間に存する燃料ガス量n1’〜n6’を求め、求めた各燃料ガスn1’〜n6’と記憶済みの各燃料ガス量n1〜n6との差分Δn1〜Δn6を演算する(S207→S208)。ここで求めた燃料ガスの差分Δn1〜Δn6は時間(t2−t1)の燃料ガス変化量に相当する。制御部50はこのようにして求めた燃料ガス変化量Δn1〜Δn6が予め設定された閾値量Q1〜Q6以上であるか否かを判定する(S209)。燃料ガス変化量Δn1〜Δn6の全てが設定された閾値量Q1〜Q6を下回っている場合には(S209;NO)、ガス漏れがないと考えられるので、システム起動を完了し、通常発電を開始する(S210)。一方、燃料ガス変化量Δn1〜Δn6のうち何れか一つでも設定された閾値量Q1〜Q6以上である場合には(S209;YES)、制御部50はガス漏れが生じていると判定する(S211)。
図4は通常運転時の発電制御ルーチン(S104)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は燃料ガス循環供給系の各バルブ(タンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22)を開弁する(S301)。次いで、アクセル開度、車速等を基に車両要求パワー(システム要求電力)を演算し(S302)、燃料電池20の出力電力とバッテリ54の出力電力の比を決定する(S303)。制御部50は燃料電池発電量―エア・ストイキ・マップを参照して、所望の流量の酸化ガスが燃料電池20に供給されるようにモータM1の回転数を制御する(S304)。更に、制御部50は燃料電池発電量―水素・ストイキ・マップを参照して、所望の流量の燃料ガスが燃料電池20に供給されるようにモータM2の回転数を制御する(S305)。次いで、制御部50は燃料電池発電量―燃料ガスパージ頻度マップを参照してパージバルブH51の開閉制御を行う(S306)。
図5乃至図8は間欠運転時、又はシステム停止時のガス漏れ判定処理ルーチン(S106,S108)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は水素消費量―燃料電池発電量マップを参照して、燃料ガスを消費するための燃料電池20の発電量を求める(S401)。更に、燃料電池発電量―エア・ストイキ・マップを参照して、所望の発電量を得るために必要な酸化ガスが燃料電池20に供給されるようにモータM1の回転数を調整する(S402)。そして、水素供給バルブH200が開弁している場合には(S403;YES)、制御部50は燃料電池発電量―水素ストイキ・マップを参照して所望の発電量を得るために必要な燃料ガス流量が燃料電池20に供給されるようにモータM2の回転数を調整する(S404)。更に、制御部50は燃料電池発電量―パージ頻度マップを参照してパージバルブH51を開閉制御する(S405)。このとき、パージが禁止されている場合には、パージバルブH51は閉弁状態を維持する。一方、水素供給バルブH200が閉弁している場合には(S403;NO)、制御部50は水素ポンプ63を停止し(S406)、燃料電池発電量―パージ頻度マップを参照してパージバルブH51を開閉制御する(S407)。パージバルブH51を開閉する際には、パージバルブH51の1次圧、2次圧、及び開弁時間に基づいて1回あたりのパージ量を演算する(S408)。ここで、パージバルブH51の1次圧は圧力センサP11が検出した圧力値によって求めることができる。パージバルブH51の2次圧はカソードオフガス流路42を流れる酸素オフガスの流量によって求めることができる。
制御部50はバッテリ54のSOC(State Of Charge)が所定値(例えば、80%〜90%)以上である場合には(S409;YES)、燃料ガスの消費によって発電した電力をバッテリ54に蓄電することができないので、制御部50は燃料電池20の発電量を減少させ、且つ燃料ガスのパージ量を増加させる(S410)。また、燃料ガスのパージ頻度が所定頻度より多くなると(S411;YES)、システム外に排気される燃料ガス濃度が高くなるので、排気燃料ガス濃度を低減させるためにエアコンプレッサ40の回転数を増加させて、カソードオフガス流路42を流れる酸素オフガスの流量を増量し、希釈器64で希釈される排気燃料ガス濃度を低減する(S412)。
このように、電力発電による燃料ガスの消費と、燃料ガスのパージ操作を実行することで(S401〜S412)、燃料ガス循環供給系の各セクションの圧力を迅速に低下させることができる。より詳細には、高圧部、低圧部、及びFC部の圧力は電力発電による燃料ガス消費と燃料ガスのパージ操作によって低下させることができ、循環部の圧力は燃料ガスのパージ操作によって低下させることができる。各セクションのガス漏れ判定は、例えば、燃料ガス供給系統に配設されている各バルブを閉弁し、閉空間(略密閉空間)を形成して、当該閉空間の圧力低下代を検出することにより行う。
圧力センサP6の検出圧力が目標圧力P6A以下になると(S413;YES)、高圧部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50は水素供給バルブH200を閉弁する(S414)。これにより高圧部は密封状態になる。次いで、水素供給バルブH200の下流側に配設されている圧力センサP61の検出圧力が所定圧力PJA1以下に降圧したか否かを判定する(S415)。所定圧力PJA1は、水素供給バルブH200が確実に閉弁しているか否かを判定するための圧力である。圧力センサP61の検出圧力が所定圧力PJA1以下になると(S415:YES)、高圧部のガス漏れ判定を行うために、水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t3が経過したか否かを判定する(S416)。所定時間t3が経過すると(S416:YES)、圧力センサP6の圧力値P6、温度センサT6の温度値T6、当該温度値に対応した圧縮係数z、一定値である体積V及び気体定数Rを式(A)、(B)に代入することにより、所定時間t3経過時点における高圧部の燃料ガス量n1を求め、これを記憶する(S417)。
更に、制御部50は水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t4が経過したか否かを判定し(S418)、所定時間t4が経過すると(S418;YES)、上記と同様に所定時間t4経過時点における高圧部の燃料ガス量n1’を求める(S419)。そして、制御部50は、求めた燃料ガス量n1’と記憶済みの燃料ガス量n1との差分(すなわち燃料ガス変化量)Δn1を演算し、この燃料ガス変化量Δn1と予め設定された閾値量Q1とを比較する(S420)。ここで、燃料ガス変化量Δn1が設定された閾値量Q1以上である場合には(S420;YES)、高圧部にガス漏れが生じていると判定する(S421)。ガス漏れの原因としては、タンクバルブH201や水素供給バルブH200の開故障、燃料ガス供給路31の破損等が考えられる。ここで、開故障とは、バルブが開いたままになって、閉弁できなくなる故障状態をいう。
一方、水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t3が経過していない場合(S416;NO)、或いは所定時間t4が経過していない場合(S418;NO)、又は燃料ガス変化量Δn1が所定の閾値量Q1未満である場合(S420;NO)には、制御部50は低圧部のガス漏れ判定を許可する(S422)。これは、水素供給バルブH200の閉弁時から所定時間t3又はt4が経過していなくても、既に水素供給バルブH200が閉弁している以上、高圧部のガス漏れ判定と並行して低圧部のガス漏れ判定を行うことができるためである。
そして、圧力センサP61の検出圧力が目標圧力P61A以下になると(S423;YES)、低圧部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50はFC入口バルブH21を閉弁する(S424)。これにより低圧部は密封状態になる。次いで、FC入口バルブH21の下流側に配設されている圧力センサP5,P11の検出圧力がそれぞれ所定圧力PJA2,PJA3以下に降圧したか否かを判定する(S425)。所定圧力PJA2,PJA3は、FC入口バルブH21が確実に閉弁しているか否かを判定するための圧力である。圧力センサP5,P11の検出圧力がそれぞれ所定圧力PJA2,PJA3以下になると(S425;YES)、低圧部のガス漏れ判定を行うために、FC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t5が経過したか否かを判定する(S426)。所定時間t5が経過すると(S426;YES)、制御部50は上記と同様に、圧力センサP61の圧力値P61、温度センサT6の温度値T61、当該温度値に対応した圧縮係数z等を用いて所定時間t5経過時点における低圧部の燃料ガス量n4を求め、これを記憶する(S427)。更に、制御部50はFC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t6が経過したか否かを判定し(S428)、所定時間t6が経過すると(S428;YES)、所定時間t6経過時点における低圧部の燃料ガス量n4’を求める(S429)。そして、制御部50は、求めた燃料ガス量n4’と記憶済みの燃料ガス量n4との差分(すなわち燃料ガス変化量)Δn4を演算し、この燃料ガス変化量Δn4と予め設定された閾値量Q4とを比較する(S430)。ここで、燃料ガス変化量Δn4が設定された閾値量Q4以上である場合には(S430;YES)、低圧部にガス漏れが生じていると判定する(S431)。ガス漏れの原因としては、FC入口バルブH21の開故障、燃料ガス供給路31の破損等が考えられる。
一方、FC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t5が経過していない場合(S426;NO)、或いは所定時間t6が経過していない場合(S428;NO)、又は燃料ガス変化量Δn4が閾値量Q4未満である場合(S430;NO)には、制御部50はFC部のガス漏れ判定を許可する(S432)。これは、FC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t5又はt6が経過していなくても、既にFC入口バルブH21が閉弁している以上、低圧部のガス漏れ判定と並行してFC部のガス漏れ判定を行うことができるためである。
そして、圧力センサP5の検出圧力が目標圧力P5A以下になると(S433;YES)、FC部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50はFC出口バルブH22を閉弁する(S434)。これによりFC部は密封状態になる。次いで、FC出口バルブH22の下流側に配設されている圧力センサP10の検出圧力が所定圧力PJA4以下に降圧したか否かを判定する(S435)。所定圧力PJA4は、FC出口バルブH22が確実に閉弁しているか否かを判定するための圧力である。圧力センサP10の検出圧力がそれぞれ所定圧力PJA4以下になると(S435;YES)、FC部のガス漏れ判定を行うために、FC出口バルブH22の閉弁時から所定時間t7が経過したか否かを判定する(S436)。所定時間t7が経過すると(S436;YES)、制御部50は上記と同様に、圧力センサP5の圧力値P5、温度センサT5の温度値T5、当該温度値に対応した圧縮係数z等を用いて所定時間t7経過時点におけるFC部の燃料ガス量n5を求め、これを記憶する(S437)。更に、制御部50は、FC入口バルブH21の閉弁時から所定時間t8が経過したか否かを判定し(S438)、所定時間t8が経過すると(S438;YES)、所定時間t8経過時点におけるFC部の燃料ガス量n5’を求める(S439)。そして、制御部50は、求めた燃料ガス量n5’と記憶済みの燃料ガス量n5との差分(すなわち燃料ガス変化量)Δn5を演算し、この燃料ガス変化量Δn5と予め設定された閾値量Q5とを比較する(S440)。ここで、燃料ガス変化量Δn5が設定された閾値量Q5以上である場合には(S440;YES)、FC部にガス漏れが生じていると判定する(S441)。ガス漏れの原因としては、FC出口バルブH22の開故障、燃料ガス循環路32の破損等が考えられる。
一方、FC出口バルブH22の閉弁時から所定時間t7が経過していない場合(S436;NO)、或いは所定時間t8が経過していない場合(S438;NO)、又は燃料ガス変化量Δn5が閾値量Q5未満である場合(S440;NO)には、制御部50は循環部のガス漏れ判定を許可する(S442)。これは、FC出口バルブH22の閉弁時から所定時間t7又はt8が経過していなくても、既にFC出口バルブH22が閉弁している以上、FC部のガス漏れ判定と並行して循環部のガス漏れ判定を行うことができるためである。
そして、圧力センサP10の検出圧力が目標圧力P10A以下になると(S443;YES)、循環部の圧力がガス漏れ判定に好適な圧力に達したことを示しているので、制御部50はパージバルブH51の開閉を禁止する(S444)。これにより循環部は密封状態になる。循環部のガス漏れ判定を行うために、制御部50はパージバルブH51の開閉を禁止した時点(又はFC出口バルブH22の閉弁時)から所定時間t9が経過したか否かを判定する(S445)。所定時間t9が経過すると(S445;YES)、制御部50は上記と同様に、圧力センサP10の圧力値P10、温度センサT10の温度値T10、当該温度値に対応した圧縮係数z等を用いて所定時間t9経過時点における循環部の燃料ガス量n6を求め、これを記憶する(S446)。更に、制御部50はパージバルブH51の開閉を禁止した時点(又はFC出口バルブH22の閉弁時)から所定時間t10が経過したか否かを判定し(S447)、所定時間t10が経過すると(S447;YES)、所定時間t10経過時点における循環部の燃料ガス量n6’を求める(S448)。そして、制御部50は、求めた燃料ガス量n6’と記憶済みの燃料ガス量n6との差分(すなわち燃料ガス変化量)Δn6を演算し、この燃料ガス変化量Δn6と予め設定された閾値量Q6とを比較する(S449)。ここで、燃料ガス変化量Δn6が設定された閾値量Q6以上である場合には(S449;YES)、循環部にガス漏れが生じていると判定する(S450)。ガス漏れの原因としては、逆止弁H52の開故障、又は燃料ガス循環路32の破損等が考えられる。一方、燃料ガス変化量Δn6が設定された閾値量Q6未満である場合には(S449;NO)、循環部にガス漏れが生じてないと判定し、ガス漏れ判定を完了する(S451)。
図9はシステム停止処理ルーチン(S109)を記述したフローチャートである。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は循環部のガス漏れ判定が完了したか否かを判定する(S501)。循環部のガス漏れ判定が完了したならば(S501;YES)、制御部50はFC入口バルブH21、及びFC出口バルブH22を開弁し、燃料ガス供給路31及び燃料ガス循環路32に残留している燃料ガスを燃料電池20に導く(S502)。これと同時に、制御部50はエアコンプレッサ40を回転させて燃料電池20に酸化ガスを供給する。燃料電池20に導入された燃料ガスは電力発電によって消費される。更に、制御部50は適当な時間間隔でパージバルブH51を開弁することにより、燃料ガスをパージし、燃料電池20を循環する燃料ガスの不純物濃度を低減する。そして、圧力センサP5の検出圧力が目標圧力P5AE以下に降圧したか否かを判定する(S503)。目標圧力P5AEとしては、システム停止時に燃料ガスがカソード側にクロスリークしない程度の圧力が好ましい。圧力センサP5の検出圧力が目標圧力P5AE以下に降圧すると(S503;YES)、制御部50はFC入口バルブH21、FC出口バルブH22、及びパージバルブH51を閉弁し、エアコンプレッサ40と水素ポンプ63を停止させて、発電を停止する(S504)。
図10は異常停止処理ルーチン(S111)を記述したフローチャートである。上述のガス漏れ判定(S102,S106,S108)において、ガス漏れが生じていると判定されると(S211,S421,S431,S441,S450)、異常停止処理ルーチンが呼び出される。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は燃料ガス供給系統に配設されている全てのバルブ、即ち、タンクバルブH201、水素供給バルブH200、FC入口バルブH21、FC出口バルブH22、及びパージバルブH51を全て閉弁し、更にエアコンプレッサ40と水素ポンプ63を停止させて、発電を停止する(S601)。
以上説明したように、本実施形態によれば、閉空間の燃料ガスの変化量に基づいて燃料ガス漏れ判定を行うため、単に閉空間の圧力変化に基づいて燃料ガス漏れ判定を行う場合に比べて燃料ガスの漏れ量を正確に把握することができ、ガス漏れの検出精度を向上させることが可能となる。
B.変形例
(1)上述した本実施形態では、ガス通路の異常を検知する一態様として燃料ガスのガス通路のガス漏れ(ガス通路上に配置された各弁の開故障、ガス通路からの漏洩)を例示したが、例えば燃料ガスのガス通路の詰まり(弁の閉故障、異物(生成水等)の存在)を検知するようにしてもよい。かかる場合には、ガス通路に形成した閉空間の圧力状態に基づいてガス通路に詰まりが発生しているか否かを検知すれば良い。なお、上記本実施形態では、燃料ガスのガス通路の異常を検知する場合について説明したが、酸化ガスのガス通路の異常を検知する場合にも適用可能である。
(1)上述した本実施形態では、ガス通路の異常を検知する一態様として燃料ガスのガス通路のガス漏れ(ガス通路上に配置された各弁の開故障、ガス通路からの漏洩)を例示したが、例えば燃料ガスのガス通路の詰まり(弁の閉故障、異物(生成水等)の存在)を検知するようにしてもよい。かかる場合には、ガス通路に形成した閉空間の圧力状態に基づいてガス通路に詰まりが発生しているか否かを検知すれば良い。なお、上記本実施形態では、燃料ガスのガス通路の異常を検知する場合について説明したが、酸化ガスのガス通路の異常を検知する場合にも適用可能である。
(2)本実施形態では、燃料ガスの圧縮係数zを考慮して燃料ガス変化量Δnを求める態様を例示したが、該燃料ガスを実在気体とみなしても燃料ガス漏れ判定に大きな影響を与えないのであれば、圧縮係数zを考慮することなしに、理想気体の状態方程式(C)から導出される下記式(D)を用いて燃料ガス変化量Δnを求めるようにしても良い。
PV=nRT ・・・(C)
n=PV/(RT) ・・・(D)
(P:圧力、V:容積、n:モル数、z:圧縮係数、R:気体定数、T:絶対温度)
n=PV/(RT) ・・・(D)
(P:圧力、V:容積、n:モル数、z:圧縮係数、R:気体定数、T:絶対温度)
(3)さらに、上記気体の状態方程式を利用せずとも、閉空間の圧力及び温度に基づいて反応ガス(燃料ガスや酸化ガス)のガス通路の異常を検出するようにしても良い。例えば、閉空間の圧力値及び温度値が所定の閾値範囲に収まっていない場合にはガス通路に異常(ガス通路のガス漏れやガス詰まり)が発生していると判定したり、所定時間経過後の閉空間の圧力変化及び温度変化が所定の変化量を超えた場合にはガス通路に異常が発生していると判定しても良い。
10…燃料電池システム 20…燃料電池 30…燃料ガス供給源 31…燃料ガス供給路 32…燃料ガス循環路 33…アノードオフガス流路 40…エアコンプレッサ 41…酸化ガス流路 42…カソードオフガス流路 50…制御部 54…二次電池 H201…タンクバルブ H9…高圧レギュレータ H10…低圧レギュレータ H200…水素供給バルブ H21…FC入口バルブ H22…FC出口バルブ H51…パージバルブ P5,P6,P7,P9,P10,P11,P61…圧力センサ T5,T6,T7,T9,T10,T61…温度センサ
Claims (7)
- 反応ガスが供給されることにより電力を出力する燃料電池と、
前記燃料電池に接続するガス通路と、
前記ガス通路の少なくとも一部に閉空間を形成し、その閉空間の圧力及び温度に基づいて前記ガス通路の異常を検知する異常検知手段と
を具備することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記閉空間を形成するための遮蔽手段と、前記閉空間の圧力及び温度を検出する状態検出手段をさらに具備し、
前記異常検知手段は、
前記遮蔽手段によって前記ガス通路の少なくとも一部に閉空間を形成する遮蔽制御手段と、
前記状態検出手段によって検出される前記閉空間の圧力及び温度に基づいて、前記ガス通路に異常が発生しているか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記判定手段は、前記状態検出手段によって検出される閉空間の圧力及び温度から該閉空間の反応ガス量を求め、所定期間経過後の該閉空間の反応ガスの変化量と設定された閾値量とを比較することにより、前記ガス通路に異常が発生しているか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記判定手段は、前記閉空間の圧力及び温度のほかに前記反応ガスの圧縮係数を考慮して、該反応ガスの変化量を求めることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記遮蔽制御手段は、前記遮蔽手段によって前記ガス通路の少なくとも一部に隣接する複数の閉空間を形成し、
前記判定手段は、前記状態検出手段によって検出される前記各閉空間の圧力及び温度に基づいて、前記ガス通路に異常が発生しているか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記複数の閉空間の中には、少なくとも圧力調整弁を有する閉空間が存在することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 請求項1〜6のいずれか1の請求項に記載の燃料電池システムを備えた車両。
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-
2004
- 2004-09-21 JP JP2004273547A patent/JP2006092789A/ja active Pending
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