以下、本発明の最良な実施の形態を図面に示す実施例を基に詳細に説明する。図1は本発明に係る記録テープカートリッジを示す概略斜視図であり、図2は開口付近の概略斜視図である。なお、説明の便宜上、記録テープカートリッジのドライブ装置への装填方向を矢印Aで表し、それを前方向とする。また、矢印Bを左方向とし、それらを基準に前後・左右・上下の表現をする。
図1、図2で示すように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、PC等の合成樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、超音波溶着やねじ止め等によって接合されて構成されている。
また、ケース12の内部には単一のリール18が回転可能に収容されている(図2ではその一部が示されている)。リール18には、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻装されている。また、リール18の下面にはリールギア(図示省略)が環状に形成されており、下ケース16に穿設されたギア開口(図示省略)から露出するようになっている。
記録テープカートリッジ10の左前方側のコーナー部12C付近には、リール18に巻装された記録テープTを外部に引き出すための開口20が形成されている。すなわち、コーナー部12Cに隣接する前壁12Aと左側壁12Bとに跨って開口20が形成され、その開口20から、記録テープTの端部に固着され、左側壁12Bに沿って配置されたリーダーテープ22が引き出されるようになっている。
なお、ここで言うコーナー部12Cとは、略矩形箱状ケース12の周壁14B、16Bにおいて、前壁12Aと左側壁12Bとが平面視で略直角に交わっている稜線部分を指している。また、開口20は、左前方側のコーナー部12C付近に設けられる場合に限定されるものではなく、例えば右前方側のコーナー部12D付近に設けられる場合もある。
また、その開口20は、記録テープカートリッジ10の不使用時にはドア30によって閉塞される。このドア30は、開口20と略同じ形状及び大きさの平面視略「L」字状に形成されている。なお、このドア30は、POM等のオレフィン系樹脂で成形されるのが好ましいが、PC等の樹脂やSUS等の金属で成形してもよい。
また、そのドア30の回動支点となる支軸32が、上ケース14及び下ケース16の前壁12A側にそれぞれ突設されている。この支軸32は、上ケース14側が円筒状のボス32Aになっており、下ケース16側が円柱状のボス32Bになっている。そして、下ケース16側のボス32Bの先端(上端)が、上ケース14側のボス32Aに嵌入することにより、支軸32が構成されるようになっている。したがって、ボス32Bの径がボス32Aの径よりも若干小さくなっている。
また、ドア30の内面の右端部近傍(右端部より所定距離左方へずれた位置)には、平板状の回転摺動部34、36、38が3本平行に突設されている。この回転摺動部34、36、38は、ドア30の内面の上下両端部と、中央より若干下方へずれた中途部とからそれぞれ突設され、各回転摺動部34、36、38には、支軸32に遊嵌される貫通孔が穿設されている。したがって、各貫通孔に支軸32が挿通されることにより、ドア30が回動可能に支持される。
また、上端部の回転摺動部34の上面と、下端部の回転摺動部38の下面には、それぞれ貫通孔周りに環状凸部40が形成されている。そして、この環状凸部40が、それぞれ上ケース14と下ケース16に接触することにより、ドア30の上端面30Aと天板14Aとの間、及びドア30の下端面30Bと底板16Aとの間に、それぞれ0.3mm〜0.5mm程度の隙間が形成されるようにしている。
また、回転摺動部34、36、38間のドア30の内面には、支軸32の周面に沿った平断面視円弧状の隆起部42が形成されている。そして、支軸32には、ドア30を常時開口20の閉塞方向へ付勢するトーションばね46の巻回部46Aが挿嵌されている。
すなわち、このトーションばね46の巻回部46Aは、下端部の回転摺動部38と中途部の回転摺動部36の間に保持された状態で、径が細い方のボス32Bに挿嵌されて取り付けられている。そして、トーションばね46の一方の端部46B側は、ケース12のビスボス48(下ケース16に突設されたビスボス)に係止され、他方の端部(図示省略)側は、回転摺動部36、38間における隆起部42の右側の縁端部に係止されている。
以上のような構成の記録テープカートリッジ10において、次にリーダーテープ22と、そのリーダーテープ22を収納保持するスロット部50、更には、落下等によりケース12に衝撃を受けても、リーダーテープ22がスロット部50から脱落しないように、そのリーダーテープ22の撓みを規制する(幅方向の湾曲変形を抑止する)規制部材60について、図2乃至図5を基に詳細に説明する。
リーダーテープ22は、ドライブ装置の引出部材(図示省略)が記録テープTを引き出すために係合する被引出部材であり、スプライステープ(図示省略)によって記録テープTの端部に取り付けられている。そして、リーダーテープ22の先端には、引出部材が係合する孔部24が穿設されている。
この孔部24は、図4で示すように、真円部24Aとリーダーテープ22の先端形状に略沿った幅狭部24Bとが連通されて形成されている。したがって、左側壁12Bのコーナー部12C側は、その孔部24を露出させるために、略円弧状に切り欠かれている(図2参照)。
また、リーダーテープ22の先端近傍の上下両サイドには、それぞれ上下方向(幅方向)に向かって矩形状に張り出す張出部26が形成されている。この張出部26は、その前端26Aが、側面視で、幅狭部24Bが穿設された先端部に連続するテーパー状に形成され、記録テープT側縁部である後端26Bが、孔部24よりも所定距離(約5mm程度)後方(記録テープTが接続されている方向)に位置するように形成されている。
ここで、このリーダーテープ22は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主基材とするプラスチック製であり、そのヤング率は、3500MPa以上4500MPa以下(3500MPa〜4500MPa)、好ましくは4000MPaとされている。また、リーダーテープ22の基材の厚さ(表面コーティングを除いた厚さ)は、例えば90μm以上200μm以下(90μm〜200μm)に形成されている。
また、この張出部26が、上ケース14の内面及び下ケース16の内面にそれぞれ形成されたスロット部50に収納(挿入)されることにより、リーダーテープ22がケース12内に保持されるようになっている。すなわち、このスロット部50は、左側壁12Bと、その左側壁12Bと所定の間隙を有するように立設された規制壁52とで構成され、規制壁52の後端は、左側壁12Bと一体に連設して後方側を閉塞する後壁54とされている。
この後壁54に張出部26の後端26Bが当接することにより、リーダーテープ22のリール巻締まり方向(テンション方向)への引き込みが規制されるようになっている。そして、このスロット部50を構成する規制壁52(後壁54を含む)の高さは、図3、図4で示すように、リーダーテープ22及び記録テープTに干渉しない程度の高さ(リーダーテープ22及び記録テープTのパス経路が確保される高さ)とされている。
また、規制壁52の前端は、ケース12の形状に略沿うようにして屈曲形成され、スロット部50の前方側を開口20に臨ませて開放している。これにより、張出部26はスロット部50の前方側から自由に出入可能となる構成である。なお、図4、図5で示すように、このスロット部50内の後壁54側の天板14A及び底板16Aに、開口20側(リーダーテープ22の引出方向側)が0.4mm〜0.8mm程度低くなる段部28を形成し、天板14A及び底板16Aと張出部26の上下端面26Cとの接触面積を低減する空隙部Cを設けることが好ましい。
このような構成にすると、落下等の衝撃により、スロット部50が形成されているコーナー部12Cが内側に向かって(底板16Aが上に向かい、天板14Aが下に向かう)撓み変形しても、その空隙部Cによって、張出部26がケース12(天板14A、底板16A)に押圧されるのを回避することができる。つまり、張出部26のスロット部50からの脱落(外れ)を防止することができる。なお、このときの底板16A(天板14A)と張出部26の端面26Cとの非接触部分の長さは、図4の側面視で、張出部26の長さの1/3以上2/3未満とされるのが好ましい。
また、後壁54よりも前方側で、かつ規制壁52の近傍、即ちリーダーテープ22が、幅方向に撓んだとき、その張出部26がスロット部50から外れないうちに、リーダーテープ22の湾曲変形した円弧面(図5において仮想線で示されている)が当接可能となる位置には、そのリーダーテープ22の幅方向の撓みを規制する(湾曲変形を抑止する)規制部材60が設けられている。
この規制部材60は、図3(A)、図4(A)、図5で示すように、底板16Aに対して略垂直に起立したときに、リーダーテープ22の幅の半分以上まで達する長さの長尺板62と、後述する貫通孔70を閉塞可能な程度の長さ及び幅の短尺板64とが側面視略「L」字状に一体成形され、その連設部分(屈曲部分)は、貫通孔(図示省略)が穿設された筒部66とされている。
一方、規制壁52の所定位置には、非貫通の軸穴52Aが穿設されており、規制壁52近傍の底板16Aの所定位置には、軸受け56が突設されている。この軸受け56の貫通された軸孔56Aが、軸穴52Aと正対するようになっている。したがって、この規制部材60は、軸受け56の外側(規制壁52とは反対側)から、ピン等の回動軸58が軸孔56A、貫通孔、軸穴52Aに挿通(圧入)されることにより、回動自在に支持される構成である。つまり、軸孔56A、軸穴52Aの径は、回動軸58の径よりも若干小径とされ、貫通孔の径は、回動軸58の径よりも若干大径とされている。
また、その軸受け56と規制部材60との間の回動軸58には、トーションばね68の巻回部68Aが挿嵌され、そのトーションばね68の一端68Bは長尺板62の背面(後面)側に係止され、他端68Cが底板16Aに穿設された非貫通の係止穴(図示省略)等に係止されている。
したがって、この規制部材60は、長尺板62が常時リーダーテープ22の引出方向側(前方側)へ付勢された状態で、短尺板64が底板16Aに当接することにより、その長尺板62が底板16Aに対して略垂直に起立した状態を維持する構成であり、この起立状態が維持された長尺板62の左側面62Aによって、リーダーテープ22の撓みが規制されるようになっている(規制壁52側が円弧面となるような幅方向の湾曲変形が抑止されるようになっている)。
また、底板16Aには、後述するドライブ装置側の解除部材80が挿通可能な貫通孔70が穿設されており、その貫通孔70は、長尺板62が起立した状態のときに、短尺板64によって閉塞されるようになっている。したがって、その解除部材80が貫通孔70から進入して短尺板64の下面を上方に向かって押圧すると、長尺板62が、回動軸58を中心に後方へ向かって回動し(傾倒し)、リーダーテープ22に対する規制(抑止)状態が解除される(リーダーテープ22の引出経路から待避する)構成である。
なお、リーダーテープ22に対する規制(抑止)状態が解除されたときに(リーダーテープ22の引出経路から待避したときに)、解除部材80、長尺板62及び短尺板64は、図3(B)、図4(B)で示すように、側面視で共に規制壁52(スロット部50)より上方へ突出しない構成とされている。したがって、解除部材80及び規制部材60が、リーダーテープ22及び記録テープTのパス経路を妨害するような不具合はなく、リーダーテープ22及び記録テープTのパス経路は確実に確保される。
以上のような構成の記録テープカートリッジ10において、次に、その作用について説明をする。記録テープカートリッジ10は、不使用時(ドライブ装置に装填しないとき)には、ドア30が開口20を閉塞している。また、リーダーテープ22は、その張出部26がスロット部50内に収納(挿入)されて保持されることにより、左側壁12Bに沿って配置されている。
更に、このとき、規制部材60がトーションばね68の付勢力によって、前方(リーダーテープ22の引出方向)に向かって付勢され、その長尺板62の左側面62Aが、リーダーテープ22と対向配置されるとともに、その高さがリーダーテープ22の幅の半分以上とされている。したがって、落下等の衝撃により、リーダーテープ22が幅方向に撓んでも(規制壁52側が円弧面となるように湾曲変形しても)、規制部材60(長尺板62)によって、その撓み(湾曲変形)が好適に規制される(抑止される)ので、リーダーテープ22の張出部26がスロット部50から脱落する(外れる)ことはない。
しかも、このスロット部50内の後壁54側の天板14A及び底板16Aには、開口20側(リーダーテープ22の引出方向側)が0.4mm〜0.8mm程度低くなる段部28が形成され、天板14A及び底板16Aと張出部26の上下端面26Cとの接触面積を低減する空隙部Cが形成されているので、落下等の衝撃により、コーナー部12Cが内側に向かって撓み変形しても、その空隙部Cによって、張出部26がケース12(天板14A、底板16A)に押圧されるのを回避することができる。したがって、張出部26のスロット部50からの脱落(外れ)をより一層防止することができる。
記録テープカートリッジ10の記録テープTにデータを記録、又は記録テープカートリッジ10の記録テープTに記録されたデータを再生する際には、その記録テープカートリッジ10をドライブ装置(図示省略)へ装填する。すなわち、ドライブ装置の装填口(図示省略)に記録テープカートリッジ10を前壁12A側から挿入する。すると、その装填に伴って、ドライブ装置の開閉部材(図示省略)が相対的にドア30の右端部(支軸32よりも右側)へ接近、当接して、その右端部を押圧する。
こうして、開閉部材がドア30の右端部を押圧すると、ドア30は、トーションばね46の付勢力に抗して支軸32を中心に平面視時計方向へ回動し、開口20を開放する。なお、このとき、ドア30の上端面30Aと天板14A(上ケース14)の間、及びドア30の下端面30Bと底板16A(下ケース16)との間には、それぞれ環状凸部40によって0.3mm〜0.5mm程度の隙間が形成されている。つまり、ドア30において、上ケース14及び下ケース16と接触しているのは、環状凸部40だけとなっている。したがって、ドア30は摺動抵抗少なく回動できる。
また、そのドア30において、少なくとも回転摺動部34、36、38及び環状凸部40は、POM等のオレフィン系樹脂で成形することが望ましい。これによれば、PC等の樹脂で成形されている上ケース14及び下ケース16に対する摺動抵抗を更に低減することができるとともに、支軸32に対する摺動抵抗も低減することができる。
また、トーションばね46の巻回部46Aは、回転摺動部36、38の間に配置されているので、その回転摺動部36、38がPOM等のオレフィン系樹脂で成形されていると、PC等の樹脂で成形されるケース12よりも削られ難くなる。つまり、トーションばね46の巻回部46Aが、ドア30の回動によって摺動しても、摩耗粉等が発生し難くなる。したがって、記録テープTに対して悪影響を与えることがなくなる。
何れにしても、このようなドア30が回動して開口20が開放されると、記録テープカートリッジ10は所定高さ下降し、ドライブ装置内で位置決めされる。そして、その下降動作に伴い、解除部材80が底板16Aに穿設された貫通孔70から相対的に進入する。すると、短尺板64が上方に向かって押圧され、長尺板62がトーションばね68の付勢力に抗して回動軸58を中心に後方へ向かって回動し(傾倒し)、リーダーテープ22の撓みを規制する(幅方向の湾曲変形を抑止する)状態が容易に解除される(リーダーテープ22の引出経路から容易に待避される)。
なお、このとき、解除部材80、長尺板62及び短尺板64は、側面視で、規制壁52(スロット部50)よりも上方に突出しない構成である。したがって、解除部材80及び規制部材60がリーダーテープ22及び記録テープTのパス経路を妨害するような不具合はなく、リーダーテープ22及び記録テープTのパス経路は確実に確保される。
こうして、規制部材60がリーダーテープ22及び記録テープTのパス経路から待避すると、ドライブ装置の引出部材(図示省略)が左側壁12B側から開口20に接近し、リーダーテープ22の孔部24と係合する。このとき、スロット部50はコーナー部12C近傍の左側壁12Bに沿って形成されているので、リーダーテープ22の孔部24を含む後方側は左側壁12Bに接近した状態に待機でき、更に、その左側壁12Bは、孔部24を露出させるように略円弧状に切り欠かれているので、引出部材は好適かつ確実に孔部24に係合できる。
引出部材が孔部24に係合したら、その引出部材が開口20から離間することにより、リーダーテープ22がケース12のスロット部50内から引き出される。そして、ケース12内から引き出されたリーダーテープ22は、ドライブ装置の巻取リール(図示省略)に巻回される。
一方、先の下降動作により、記録テープカートリッジ10のリール18のリールギア(図示省略)には、ドライブ装置の駆動ギア(図示省略)がギア開口(図示省略)から進入して噛合している。したがって、その巻取リールとリール18が同期して回転することにより、記録テープTが順次ドライブ装置側へ送り出され、そのドライブ装置の記録再生ヘッド(図示省略)によって、記録テープTにデータの記録、又は記録テープTに記録されたデータの再生が行われる。
記録テープカートリッジ10をドライブ装置から取り出すときには、まず、リール18が巻き戻されてリーダーテープ22が巻取リールから外され、開口20からケース12内に戻される。このとき、コーナー部12Cにおける天板14A及び底板16Aには、図4で示すように、開口20を拡開するようなテーパー面14C、16Cが形成されているので、張出部26はスムーズにスロット部50内に挿入される。
こうして、張出部26がスロット部50内に収納(挿入)され、リーダーテープ22がケース12内の所定位置に保持されると、記録テープカートリッジ10は所定高さ上昇し、その上昇動作に伴って、解除部材80が貫通孔70から抜き出される。すると、長尺板62は、トーションばね68の付勢力によって回動軸58を中心に前方側へ回動し、短尺板64が底板16Aに当接して、その貫通孔70を閉塞するとともに、長尺板62が底板16Aに対して略垂直に起立する。これにより、リーダーテープ22の撓みを再度規制できる状態となり、リーダーテープ22(張出部26)のスロット部50からの脱落(外れ)を再度防止できる状態となる。
また、この上昇動作に伴って、リールギアと駆動ギアとの噛合も解除される。そして、その後、記録テープカートリッジ10が装填口から排出されるが、この排出動作に伴って、開閉部材がドア30の右端部から離間する。すると、ドア30はトーションばね46の付勢力によって、支軸32を中心に平面視反時計方向へ回動して、開口20を閉塞する。こうして、開口20がドア30によって閉塞された後、記録テープカートリッジ10がドライブ装置から排出される。
以上、説明したように、リーダーテープ22は、規制部材60によって、その撓みが規制された状態、即ち規制壁52側が円弧面となるような幅方向の湾曲変形が抑止された状態に保持されているので、例えば記録テープカートリッジ10を誤って落下させてしまった場合等、ケース12(コーナー部12C)に衝撃が加えられても、リーダーテープ22の張出部26がスロット部50から外れることはない(規制壁52を乗り越えることはない)。
しかも、天板14A及び底板16Aと張出部26の端面26Cとの間には、両者の接触面積を低減する空隙部Cが形成されているので、コーナー部12Cに受けた衝撃力は、その空隙部Cによって緩和される。したがって、張出部26への影響が更に軽減され、張出部26(リーダーテープ22)のスロット部50からの脱落(外れ)がより一層防止されている。
また、この規制部材60は、リーダーテープ22がドライブ装置の引出部材に引き出される前に、そのドライブ装置によってリーダーテープ22の引出経路から待避するように構成されているが、このとき、側面視で規制壁52(スロット部50)よりも上方に突出することがない。したがって、規制部材60がリーダーテープ22及び記録テープTのパス経路を妨害するような不具合はなく、両者のパス経路は確実に確保される。
なお、規制部材60や、その付近の構成は、図示のものに限定されるものではなく、例えば底板16Aに、短尺板64及び筒部66を収納可能で、長尺板62の回動を妨げないような凹部(図示省略)を設けたり、規制部材60の屈曲部分に回動軸58を一体に突設して、ケース12に対して回動可能に支持されるように構成してもよい。
次に、図6で示す規制部材72について説明する。この規制部材72は、後壁54よりも前方側で、かつ規制壁52の近傍、即ちリーダーテープ22が、幅方向に撓んだとき、その張出部26がスロット部50から外れないうちに、リーダーテープ22の湾曲変形した円弧面が当接可能となる位置に、回転可能に配設されたロール状であり、その位置における底板16Aと天板14Aには、規制部材72を回転可能に支持する軸支部材74がそれぞれ設けられている。
したがって、落下等により、ケース12(コーナー部12C)に衝撃が加えられ、リーダーテープ22が幅方向に撓んでも(湾曲変形しても)、この規制部材72によって、その撓み(湾曲変形)を好適に規制する(抑止する)ことができる。よって、リーダーテープ22(張出部26)のスロット部50からの脱落(外れ)を好適に防止することができる。
なお、この規制部材72は回転自在に軸支されているので、リール18から繰り出される記録テープTは、その規制部材72にガイドされながら走行することが可能である。したがって、このような規制部材72を設けても、記録テープTのパス経路は充分に確保される(パス経路が妨害されることがない)。
次に、図7で示す規制部材76について説明する。この規制部材76は、後壁54よりも後方側で、かつ規制壁52の略延長線上に配設されており、常時リーダーテープ22又は記録テープTと接触して、リーダーテープ22及び記録テープTをガイドするようになっている。したがって、この場合には、規制壁52の高さを張出部26の高さ以上とすることができる。
すなわち、このような位置にロール状の規制部材76を設けると、リーダーテープ22及び記録テープTのパス経路は、スロット部50よりも後方側から、既に左側壁12Bに沿った経路となるので、規制壁52の高さを高くしても、リーダーテープ22及び記録テープTが規制壁52に干渉することがない。したがって、リーダーテープ22のスロット部50からの脱落を、その高くなった規制壁52によって好適に防止することができる。
以上、何れにしても、規制部材72、76の場合は、単に上ケース14と下ケース16との間に回転自在に設けるだけで済むため、ケース12内の機構が複雑になるような不具合はない。また、規制部材60の場合も、下ケース16に対して回動可能に設けるとともに、その下ケース16に貫通孔70を穿設するだけで済むので、従来に比べ、ケース12内の機構が複雑化するような不具合は起きない。