JP2006091529A - 定着装置、回動部材および画像形成装置 - Google Patents

定着装置、回動部材および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 長期使用において高品質な定着画像を形成する定着装置を提供すること。
【解決手段】 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置60であって、定着ロール61と、定着ロール61を押圧し、定着ロール61との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力パッド64とを備え、定着ロール61は、ニップ部N側の表面にフッ素樹脂等の耐熱性樹脂100重量部と膨潤性合成雲母等の層間剥離性フィラー0.1重量部〜5重量部とを配合してなる樹脂からなる離型層613を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンター等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着している。
従来、このような画像形成装置に用いられる定着装置は、円筒状の芯金の内部に加熱源を備え、その芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に離型層とが積層して形成された定着ロールと、この定着ロールに対して圧接配置され、芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層とが積層して形成された加圧ロールとで構成されている。そして、定着ロールと加圧ロールとの間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着している。このような定着装置は、ロールニップ方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
一方、画像形成装置における高生産性やカラー化の進展に伴い、定着装置においても高速化への対応が要求されている。その際、ロールニップ方式の定着装置では、トナーと記録紙に充分な熱量が供給できるように、ニップ幅を定着速度に比例して広く設定することが必要となる。このような要求に応え、本出願人は、画像形成装置の高速化に対応した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
即ち、特許文献1に記載した定着装置は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成されたものである。
このような特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、従来のロールニップ方式の定着装置における加圧ロールに代え、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅を、従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができ、さらに、ニップ部において均一で高いニップ圧を付与することができるので、高速化への対応が可能となり、しかも装置の小型化も容易である。
また、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量は小さく、加えて圧力パッドが非回転状態で配置されていることから、定着ロールから伝わる熱が外部に発散され難い構成を実現している。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は少なく、トナーの溶融に際しての熱効率を高めることができるとともに、ベルトニップでの温度低下も小さいことから、トナーの定着性が向上するという利点も有している。
このようなロールニップ方式またはベルトニップ方式の定着装置では、定着ロールとして、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼製の芯金上に、シリコーンゴム等からなる弾性層と、弾性層の表面に離型層が設けられている。特に、定着ロールのトナー像と接触する表面に設けられた離型層には、トナー像を複写紙上に固定するために、長期間の使用においても、表面にクラックが発生することなく平滑性を保ち、耐屈曲性及び柔軟性等を有することが必要とされる。
このような離型層には、トナーとの離型性が良好という性能の面から、例えばフッ素樹脂等により構成されている(特許文献2参照)。また、このようなフッ素樹脂に酸化チタン等の無機半導電性フィラーを配合しフッ素樹脂層の耐磨耗性を低減させる方法(特許文献3参照)、芯材上にプライマー層とフィラーを配合をしたフッ素樹脂組成物層とフッ素樹脂層との3層構造にする方法(特許文献4参照)、粒径5μm以下のグラファイト粉体を配合したフッ素樹脂層を形成する方法(特許文献5参照)等が報告されている。
また、ロールニップ方式において定着ロールを押圧する加圧ロールの表面を、フッ素樹脂とフッ素ゴム等との混合物からなるスリーブにより被覆層を形成する方法(特許文献6参照)も報告されている。
特許第3298354号公報 特開平09−011362号公報 特開2001−125404号公報 特開平06−348165号公報 特開平09−237007号公報 特開平10−039667号公報
ところで、上述したように、例えば定着ロールの表面に、フッ素樹脂からなる離型層を設けた場合、長期間の使用により画像不良が生じるようになった。
即ち、例えば、ベルトニップ方式の場合、定着ロール表面とトナー像を形成する用紙表面との長期間の接触により、定着ロールの最表層に被覆されたフッ素樹脂層が磨耗し、定着ロールの基材であるシリコーンゴム層が剥き出しになる傾向がある。このような剥き出しになった表面が生じることにより、画像不良が生じ、また、定着ロール表面からの用紙の剥離性も低下するという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、長期の使用において高品質な定着画像を形成する定着装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、長期の使用に耐えうる回転部材を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、定着画像を形成する画像形成装置を提供することにある。
即ち、本発明によれば、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動部材と、回動部材を押圧し、回動部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、回動部材は、ニップ部側に耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有することを特徴とする定着装置が提供される。
ここで、樹脂層の厚さが5μm〜50μmであることが好ましい。また、樹脂層を構成する耐熱性樹脂がフッ素樹脂であることが好ましい。
また、回動部材は、金属性コアと、樹脂層との間に設けた弾性層と、を有するロールであることが好ましい。
一方、本発明が適用される定着装置は、圧力部材により回動部材に圧接されて移動し、回動部材との間に記録材が通過するニップ部を形成するベルト部材をさらに備えるものであることが好ましい。
ここで、ベルト部材は、基材層と、基材層上の記録材と接する面側に設けた耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層と、を有することが好ましい。
次に、本発明によれば、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置に用いられる回転部材であって、記録材が通過するニップ側に、耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有することを特徴とする回転部材が提供される。
ここで、耐熱性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体から選ばれる少なくとも1種類のフッ素樹脂であることが好ましい。
また、層間剥離性フィラーは、厚さ0.005μm〜1μm、長さ0.01μm〜20μmである形状を有するものが好ましい。具体的には、層間剥離性フィラーは、合成雲母、モンモリナイト、サポナイト、ヘクトライト、スメクタイト、珪酸アルミニウムマグネシウムから選ばれる少なくとも一種類であることが好ましい。
また、樹脂層は、耐熱性樹脂100重量部と、耐熱性樹脂に対して層間剥離性フィラー0.1重量部〜5重量部とを配合してなる樹脂組成物から形成されることが好ましい。
さらに、本発明によれば、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動部材と、回動部材を押圧し、回動部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、回動部材の表面側に、耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有する画像形成装置が提供される。
かくして本発明によれば、長期の使用において高品質な定着画像を形成する定着装置が得られる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という。)について詳細に説明する。尚、本発明は本実施の形態に限定されない。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1には、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置が示されている。図1に示された画像形成装置は、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図1中、露光ビームを符号Bmで示す)と、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14と、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17と、等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は、10Ωcm〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって、図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモーター(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31と、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33と、二次転写部20に設けられるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34と、を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16により構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10Ωcm〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16には、トナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25と、によって構成される。バックアップロール25は、EPDMゴムからなる内層部とカーボンを分散したEPDM及びNBRのブレンドゴムからなるチューブ状の表面層とから構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は、例えば70°(アスカーC)に設定されている。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムから形成され、体積抵抗率が10Ωcm〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50と、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51と、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52と、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56と、を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
図1に示すような画像形成装置では、画像読取装置(IIT)(図示せず)やパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等から出力される画像データは、画像処理装置(IPS)(図示せず)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により、中間転写ベルト15の基材に対し、トナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61と、ベルト部材の一例としてのエンドレスベルト62と、およびエンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64と、により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されて所定の表面速度(例えば、194mm/sec)で回転する。本実施の形態の定着ロール61は、外径が軸方向で一様な所謂ストレートロールで形成されている。
定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば、定格600Wのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトである。エンドレスベルト62は、エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64とベルトガイド部材63と、さらにはエンドレスベルト62の両端部に配置されたエッジガイド部材80(後段の図3参照)と、によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されるように配置され、定着ロール61に従動して回動(例えば、194mm/sec)する。
ここで、図3は、エンドレスベルト62が支持される構成を説明する図である。図3は、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示すように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が配設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801と、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802と、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803と、で構成されている。
そして、エンドレスベルト62の両端部では、ニップ部Nとその近傍を除いて、両端部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、エンドレスベルト62はベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回動する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
また、エンドレスベルト62の両端部を除く長手方向の領域では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64とベルトガイド部材63とに支持されている(図2も参照)。そして、エンドレスベルト62の両端部を除く領域では、エンドレスベルト62の内周面が圧力パッド64とベルトガイド部材63とに摺擦しながら回動する。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に、長手方向に沿って取り付けられている。また、ベルトガイド部材63には、エンドレスベルト62の回転方向に向けて複数のリブが形成され、エンドレスベルト62内周面との接触面積を極力少なくするように構成されている。さらに、ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数が低い材質であって、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されている。具体的にはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
次に、圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において金属製のホルダ65に支持されている。そして、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、ニップ部Nの入口側(上流側)に、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aを配置している。また、ニップ部Nの出口側(下流側)には、定着ロール61表面を局所的に押圧することで、トナー像表面を平滑化して画像光沢を付与するとともに、定着ロール61表面に歪み(凹み)を与えて用紙Pにダウンカールを形成するための剥離ニップ部材64bを配置している。
さらに、圧力パッド64には、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、エンドレスベルト62と接する面に摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が設けられている。
低摩擦シート68は、ニップ部Nの上流側端部が低摩擦シート固定部材68aによってホルダ65に固定されている。そして、エンドレスベルト62の回動方向に沿って、圧力パッド64とエンドレスベルト62内周面との間に挟持された状態で、ニップ部Nの全域に亘って配設されている。なお、低摩擦シート68のニップ部N下流側は、低摩擦シート68に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、低摩擦シート68は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
このような構成において、定着ロール61は、図示しない駆動モーターに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
なお、ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材64bによって定着ロール61から剥離された用紙Pを完全に定着ロール61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について説明する。
まず、定着ロール61では、コア611は、鉄、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属または合金、セラミックス、FRMで形成された、例えば外径φ30mm、肉厚1.8mm、長さ360mmの円筒体で構成されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15°〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。なかでも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。このようなシリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。本実施の形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のHTVシリコーンゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。耐熱性弾性体層612の厚さは、通常、3mm以下、好ましくは、0.1mm〜1.5mmの範囲内である。耐熱性弾性体層612のコア611の表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、公知のコーティング法、成型などが採用できる。
本実施の形態においては、定着ロール61の耐熱性弾性体層612の外周面に設けられた離型層613が、フッ素樹脂と層間剥離性フィラーとからなるフッ素樹脂層から形成されている。耐熱性弾性体層612の外周面にフッ素樹脂と層間剥離性フィラーとからなるフッ素樹脂層の離型層が形成されていることにより、トナー像のオフセットを効果的に防止でき、安定した状態で定着装置60を稼動させることができる。ここで、層間剥離性フィラーとは、補強性を有する層状フィラーのなかでも、シェアーをかけると容易に劈開・剥離等を生じてナノサイズに分散する性質を有するものをいう。
離型層613を形成するフッ素樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。さらに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
これらの中でも、特に耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。
層間剥離性フィラーとしては、例えば、無機層状化合物が挙げられる。無機層状化合物としては、例えば、珪酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の粘度鉱物類;合成雲母、合成スメクタイト等が挙げられる。これらの無機層状化合物は、厚さ10Å〜15Åの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きい性質を有する。そのため、格子層は正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi、Na等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、シェアーをかけると容易に劈開し、ナノサイズに分散する。ベントナイト及び合成雲母はその傾向が強いので好ましい。
合成雲母としては、例えば、Naテトラシックマイカ(NaMg2.5(Si10)F)、Na又はLiテニオライト((NaLi)Mg(Si10)F)、Na又はLiヘクトライト((NaLi)/3Mg/3Li1/3(Si10)F)等が挙げられる。合成雲母の形状は、アスペクト比の高いものが好ましく、また、必要に応じて化学的に表面処理したものを用いてもよい。アスペクト比の高いまたは化学的に表面処理した合成雲母は、配合量が少量であっても低摩擦シート68の耐磨耗性及び強度を向上させることができる。
層間剥離性フィラーの大きさは、特に限定されないが、通常、長径方向の粒径が0.001μm〜20μm、好ましくは、0.01μm〜10μmである。
フッ素樹脂と層間剥離性フィラーとの割合は、特に限定されないが、フッ素樹脂100重量部に対して、層間剥離性フィラー0.1重量部〜5重量部、好ましくは、0.1重量部〜3重量部である。層間剥離性フィラーの配合量が過度に少ないと、離型層613の強度が低下する傾向がある。また、層間剥離性フィラーの配合量が過度に多いと、離型層613の摺動面の摩擦係数が増大する傾向がある。
定着ロール61の表面に設けた離型層613の厚さは、通常、5μm〜50μm、好ましくは15μm〜30μmの範囲内である。
定着ロール61の耐熱性弾性体層612表面に離型層613を形成する方法は、特に限定されない。例えば、通常、金属製のコア611上にプライマーを塗布し、一方、金型スリーブ内面に予め調製したフッ素樹脂と層間剥離性フィラーとを配合したフッ素樹脂層からなるチューブを配置し、その中に液状シリコーンゴムを注入した後、加硫成型することにより、耐熱性弾性体層612の表面に離型層613を形成する方法が挙げられる。
ここで、フッ素樹脂と層間剥離性フィラーとを配合したフッ素樹脂層からなるチューブの調製方法としては、例えば、フッ素樹脂と所定量の層間剥離性フィラーとを、押し出し成型機に投入し、フッ素樹脂の融点以上(約320℃)の温度において、溶融混練した後チューブ状に押し出して調製する方法が挙げられる。この場合、予め、フッ素樹脂と層間剥離性フィラーとを溶融状態で混合し、層間剥離性フィラーがフッ素樹脂中に分散した混合ペレットを調製し、このように調製した混合ペレットを押し出し成型機中に投入することが好ましい。
また、他の方法としては、例えば、予め、フッ素樹脂と層間剥離性フィラーとを配合し、これを適当な分散媒中に分散させたフッ素樹脂分散液を調製し、このフッ素樹脂分散液を、耐熱性弾性体層612表面に塗布した後、焼成することにより離型層613を形成する方法が挙げられる。
次に、エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトである。エンドレスベルト62は、ベース層と、このベース層の定着ロール61側の面(外周面)または両面に被覆された離型層(表面層)とから構成されている。ベース層は、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等から選ばれた1または複数の混合体が耐熱性、機械特性等の観点から好適に用いられる。
ベース層の表面に被覆される離型層(表面層)としては、フッ素樹脂が用いられる。ここで、フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。さらに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
これらの中でも、特に耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。離型層(表面層)の厚さは5μm〜100μm、好ましくは10μm〜30μm程度に設定される。
尚、本実施の形態においては、エンドレスベルト62の表面に形成される離型層が、前述した定着ロール61の表面に設けられた離型層613と同様に、フッ素樹脂に層間剥離性フィラーを配合することも可能である。層間剥離性フィラーの種類及び配合量は、前述したものと同様なものが挙げられる。また、層間剥離性フィラーの配合量も、定着ロール61の離型層613の場合と同様である。
また、エンドレスベルト62の調製方法としては、通常、例えば、ショットブラスト加工により表面を微細凹凸形状を形成したアルミニウム製円筒状芯体表面に、シリコーン系離型剤を塗布し、300℃にて1時間の焼き付け処理を行った後、この表面にポリイミド前駆体のN−メチルピロリドン溶液をディッピングコートし、100℃にて1時間乾燥した後に、フッ素樹脂分散液をコートし、次いで、焼成炉内において60℃にて10分間乾燥された後、380℃まで徐々に加熱され、20分間の焼成後、常温まで冷却する方法が挙げられる。
圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内部に配置され、上述したように、プレニップ部材64aと剥離ニップ部材64bとで構成され、バネや弾性体によって定着ロール61を、例えば35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹状曲面で形成されている。本実施の形態の定着装置60では、幅10mm、厚さ5mm、長さ320mmのシリコーンゴムを用いている。圧力パッド64の硬さは、特に限定されず、通常、JIS−A硬度が10°〜40°の範囲である。
剥離ニップ部材64bは、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。そして、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約8mm幅のニップ部Nを形成している。
さらに、ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。また、エンドレスベルト62の内周面や低摩擦シート68表面の摩耗を抑制する効果も有している。
なお、潤滑剤としては、定着温度環境下での長期使用に対する耐久性を有し、かつ、エンドレスベルト62内周面との濡れ性を維持できるものが適している。例えば、シリコーンオイルやフッ素オイル等の液体状のオイルや、固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリース等、さらにはこれらを組み合わせたものを用いることができる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩添加ジメチルシリコーンオイル、ヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩およびヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、有機金属塩添加アミノ変性シリコーンオイル、ヒンダードアミン添加アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等を用いることもできる。また、フッ素オイルとしては、パーフルオロポリエーテルオイル、変性パーフルオロポリエーテルオイルを用いることもできる。本実施の形態の定着装置60では、粘度400csのメチルフェニルシリコーンオイル(信越化学株式会社製:KF54)を用いている。
尚、エンドレスベルト62は、弾性率を2500MPa〜11000MPaに設定している。このように、弾性率を設定することで、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を、紙しわの発生が抑制される程度に凹状に湾曲した形状とすることが可能となる。また、上述した用紙Pとエンドレスベルト62外周面との間の微視的なスリップによって、用紙Pの速度が幅方向に向けて連続的に変化するように、用紙Pにおいて自律的な調整が行なわれる程度に用紙Pの伸びを抑えることが可能となる。エンドレスベルト62の弾性率が所定値よりも低い場合には、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を、紙しわの発生が抑制される程度に凹状に湾曲した形状とするように押圧することができない。一方、弾性率が所定値よりも高い場合には、エンドレスベルト62の定着ロール61に対する当接圧が高くなりすぎるために、用紙Pの一部が伸び易くなり、上述した用紙Pとエンドレスベルト62外周面との間の微視的なスリップだけでは、用紙Pの速度の不連続性を回復できない程度となる場合がある。
(第2の実施の形態)
前述した第1の実施の形態では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。第2の実施の形態では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、第1の実施の形態と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図4は、第2の実施の形態が適用される定着装置90の構成を示す側断面図である。図4に示すように、本実施の形態の定着装置90では、ベルト部材の一例としての定着ベルト92が用紙Pのトナー像担持面側に配置されている。定着ベルト92の内側に、ホルダ65に保持された発熱源の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82からニップ部Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
一方、加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モーターにより矢印D方向に回転し、この回転により定着ベルト92が従動回転するように構成されている。加圧ロール91は、コア(円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成されている。
また、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ベース層921と、このベース層921の加圧ロール91側の面または両面に被覆された離型層922と、から構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設することも可能である。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
そして、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって定着装置90のニップ部Nに導かれる。用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙P上のトナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータ82から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90でも、加圧ロール91とセラミックヒータ82との間でニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
ここで、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、ベース層921は、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等から選ばれた1または複数の混合体が耐熱性、機械特性等の観点から好適に用いられる。
ベース層921の表面を被覆する離型層922(表面層)としては、層間剥離性フィラーを配合したフッ素樹脂層から構成されている。離型層922(表面層)を、層間剥離性フィラーを配合したフッ素樹脂層から構成することにより、長期の使用に耐え得る信頼性の高い定着ベルト92の走行を実現することができる。
また、本実施の形態では、加圧ロール91の表面に設けられた離型層913を、層間剥離性フィラーを配合したフッ素樹脂を用いて形成することも可能である。
以下、実施例に基づき、本実施の形態をさらに具体的に説明する。なお、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
(評価試験)
第1の実施の形態において説明した定着装置60と同様な構成の定着装置を備えた画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)を用いて、以下の条件に従い、画質評価、用紙の剥離性評価、定着ロールの耐久性試験を行った。
1.画質評価
ベタ黒画像を薄紙(富士ゼロックス株式会社製:P紙)に出力し、画像光沢斑の有無に基づき画質を評価した。
2.定着ロールと用紙との剥離性評価
ベタ黒画像を薄紙(富士ゼロックス株式会社製:P紙)に出力する際の用紙の剥離状態を評価した。
3.定着ロールの耐久性試験
画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)を用いてA4サイズ白紙連続通紙試験を行い、定着ロールの表面に形成した離型層の摩耗状態を観察した。
尚、評価に用いた定着装置の各構成部品の仕様は以下のとおりである。
定着ロールは、外径26mm、肉厚1.8mm、長さ360mmである円筒状鉄製のコアの外周面に、厚さ600μmのシリコーンHTVゴム(ゴム硬度33度:JIS−A)の弾性層が設けられ、この弾性層の表面に、層間剥離性フィラーを配合したフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。定着ロールのコアの内部には、加熱源としてハロゲンランプ(600w)が配設されている。定着ロールの表面温度は、加熱された定着ロールの表面に当接した状態で配置された感温素子である温度センサー及び温度コントローラーとにより175℃に制御した。
エンドレスベルトは、周長94mm、厚さ80μm、幅344mmの熱硬化性ポリイミド樹脂を基材とし、この基材の外周面に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を厚さ30μmにコーティングして離型層が形成されている。
エンドレスベルトを押圧する圧力パッドは、幅10mm、厚さ5mm、長さ340mmのシリコーンゴムからなる支持体上に低摩擦シートが設けられ、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてパーフルオロポリエーテルオイル(ダイキン工業株式会社製:S100)が供給されている。また、支持体の上に配置されたベルトガイド部材の表面には、ベルト回転方向のリブが設けられており、エンドレスベルトの内周面との接触面積を少なくしている。圧力パッドは、エンドレスベルトを介して圧縮コイルスプリングにより定着ロールを34.5kgの荷重で押圧している。
定着ロールへのエンドレスベルトの巻き付け角度は約40°であり、ニップ部の幅は、約10mmであった。モーターから定着ロールに伝達された駆動力により、定着ロール及びエンドレスベルトは、速度194mm/secで回転した。
(実施例1)
フッ素樹脂としてパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)(三井デュポンフロロケミカル株式会社製:テフロン(登録商標)350Jモールディングパウダー)100重量部と、層間剥離性フィラーとして合成マイカ(コープケミカル株式会社製:ソマシフMEE 直径約150nm、長さ約8μm)2重量部とを、予め溶融させながら分散させて混合ペレットを作製した。次に、この混合ペレットを、温度380℃にて押し出し成型機を用いて、合成マイカを配合したフッ素樹脂からなる、厚さ25μmのチューブを調製した。
次に、表面にプライマー(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を塗布した外径60mmのアルミニウム芯金上に、前述した合成マイカを配合したフッ素樹脂からなるチューブが内面にセットされた円筒状金型スリーブに配置し、この中に液状シリコーンゴム(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を注入した後加硫してフッ素樹脂が被覆された定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、200,000枚連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
層間剥離性フィラーとして長径粒径5μmのモンモリナイト(クニミネ工業株式会社製クニピアF:直径約180nm、長さ約0.5μm)1重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、200,000枚連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
層間剥離性フィラーとして粒径3μmの合成スメクタイト(珪酸アルミニウムマグネシウム)(コープケミカル株式会社製:SEN)0.5重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、200,000枚連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
フッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)(アウジモント株式会社製)100重量部と、層間剥離性フィラーとして珪酸アルミニウムマグネシウム(コープケミカル株式会社製SWF:直径約200nm、長さ約0.08μm)0.5重量部とを配合したこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、200,000枚連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
フッ素樹脂としてパーフルオロアルコキシ樹脂(三井デュポンフロロケミカル株式会社製:テフロン(登録商標)350Jモールディングパウダー)100重量部と、層間剥離性フィラーとして合成マイカ(コープケミカル株式会社製:ソマシフMEE 直径約150nm、長さ約8μm)2重量部とを、押し出し成型機に投入して温度380℃にて押し出し、合成マイカを配合したフッ素樹脂からなる、厚さ25μmのチューブを調製した。
次に、表面にプライマー(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を塗布した外径60mmのアルミニウム芯金上に、前述した合成マイカを配合したフッ素樹脂からなるチューブが内面にセットされた円筒状金型スリーブに配置し、この中に液状シリコーンゴム(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を注入した後加硫してフッ素樹脂が被覆された定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
表面にプライマー(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を塗布した外径60mmのアルミニウム芯金上に、フッ素樹脂(PFA)からなるチューブが内面にセットされた円筒状金型スリーブに配置し、この中に液状シリコーンゴム(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を注入した後加硫してフッ素樹脂が被覆された定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
表面にプライマー(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を塗布した外径60mmのアルミニウム芯金上に、フッ素樹脂(PFA)100重量部とチタン酸カリウムウィスカー20重量部とを配合してなるフッ素樹脂層からなるチューブが内面にセットされた円筒状金型スリーブに配置し、この中に液状シリコーンゴム(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を注入した後加硫してフッ素樹脂が被覆された定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
表面にプライマー(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を塗布した外径60mmのアルミニウム芯金上に、フッ素樹脂(PFA)100重量部と、層間剥離性を有しない非膨潤性マイカ(TOPY工業株式会社製:PDM5B)10重量部とを配合してなるフッ素樹脂層からなるチューブが内面にセットされた円筒状金型スリーブに配置し、この中に液状シリコーンゴム(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)を注入した後加硫してフッ素樹脂が被覆された定着ロールを調製した。
次に、このように調製した定着ロールを備えた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター Docu Center Color 400)に組み込み、連続通紙によるランニング試験を実施し、画質評価及び耐久試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006091529
表1の結果から、フッ素樹脂と層間剥離性フィラーとを配合して定着ロールを調製し、これを備えた定着装置を組み込んだ画像形成装置における評価(実施例1〜実施例5)では、連続通紙試験において、フッ素樹脂と層間剥離性フィラーとを押し出し成形機により直接混練して定着ロールを調製した場合(実施例5)に、150,000枚を超えるとロール表面に摩耗部分がわずかに観察されたものの、全体として画質が良好であり、用紙の剥離性も良好であり、定着ロール表面に異常が観察されないことが分かる。
一方、層間剥離性フィラーを配合せずに調製した定着ロールを使用した画像形成装置の場合(比較例1)は、80,000枚通紙試験で定着ロール表面層が摩滅し、また、剥離性能が低下して定着ロール表面に用紙が巻き付いた。
次に、チタン酸カリウムウィスカーを配合して調製した定着ロールを使用した画像形成装置の場合(比較例2)は、100,000枚通紙試験で定着ロール表面層が摩滅し、また、画像荒れが発生した。
一方、非膨潤性マイカを配合して調製した定着ロールを使用した画像形成装置の場合(比較例3)は、150,000枚通紙試験で定着ロール表面層が摩滅し、また、画像荒れが発生した。
以上説明したように本発明によれば、長期の使用にも耐え得る耐熱安定性及び低摩擦性に優れた層間剥離性フィラーを配合したフッ素樹脂組成物からなる表面層を有する定着ロールを採用することにより、信頼性の高い回転体の走行を実現する定着装置、およびそれを用いた画像形成装置を提供することができる。
尚、上述した本実施の形態では、定着ロールについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、加圧側ロールまたはベルト管状体の、用紙の未定着画像側に接する表面層を、層間剥離性フィラーを配合したフッ素樹脂組成物により形成することにより同様な効果を奏することが出来る。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンター等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェット方式を用いた複写機、プリンター等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。 第1の実施の形態が適用される定着装置の構成を示す側断面図である。 エンドレスベルトが支持される構成を説明する図である。 第2の実施の形態が適用される定着装置の構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90…定着装置、61…定着ロール、62…エンドレスベルト、63…ベルトガイド部材、64…圧力パッド、64a…プレニップ部材、64b…剥離ニップ部材、65…ホルダ、66…ハロゲンヒータ、67…潤滑剤塗布部材、68…低摩擦シート、69…温度センサ、70…剥離補助部材、82…セラミックヒータ、91…加圧ロール、92…定着ベルト

Claims (12)

  1. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    回動部材と、
    前記回動部材を押圧し、当該回動部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
    前記回動部材は、前記ニップ部側に耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有する
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記樹脂層の厚さが5μm〜50μmであることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記耐熱性樹脂がフッ素樹脂であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記回動部材は、金属性コアと、前記樹脂層との間に設けた弾性層と、を有するロールであることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記圧力部材により前記回動部材に圧接されて移動し、当該回動部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成するベルト部材をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  6. 前記ベルト部材は、基材層と、前記基材層上の前記記録材と接する面側に設けた前記耐熱性樹脂と前記層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層と、を有することを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  7. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置に用いられる回転部材であって、
    前記記録材が通過するニップ側に、耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有することを特徴とする回転部材。
  8. 前記耐熱性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体から選ばれる少なくとも1種類のフッ素樹脂であることを特徴とする請求項7記載の回転部材。
  9. 前記層間剥離性フィラーは、厚さ0.005μm〜1μm、長さ0.01μm〜20μmである形状を有することを特徴とする請求項7記載の回転部材。
  10. 前記層間剥離性フィラーは、合成雲母、モンモリナイト、サポナイト、ヘクトライト、スメクタイト、珪酸アルミニウムマグネシウムから選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項7記載の回転部材。
  11. 前記樹脂層が、前記耐熱性樹脂100重量部と、当該耐熱性樹脂に対して前記層間剥離性フィラー0.1重量部〜5重量部とを配合してなる樹脂組成物から形成されることを特徴とする請求項7記載の回転部材。
  12. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    回動部材と、
    前記回動部材を押圧し、当該回動部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
    前記回動部材の表面側に、耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有する
    ことを特徴とする画像形成装置。
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