JP2006090804A - 2振動子型高温用超音波探触子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 送信又は受信する超音波の中心軸11が被検査物の内部で交差する送信用及び受信用の探触子10と、2つの探触子を着脱可能に取り付け被検査物1との間で超音波を伝播する耐熱性の伝播補助部材20とを備える。伝播補助部材20は、被検査物の計測面1aと接触する接触面22と、接触面に近接して内部に設けられ接触面に対向し中心軸に直交する内底面24と、内底面から中心軸を軸心として外面まで延びる1対の雌ネジ孔26とを有する。2つの探触子10は、雌ネジ孔と螺合する雄ネジ部12と、雄ネジ部の上部に同軸に設けられ雄ネジ部より大径の拡径部14と、拡径部の上面に固定された超音波振動子16とからなる。雄ネジ部12の下面13は、伝播補助部材20の内底面24と密着するように形成されている。
【選択図】 図1
Description
なおこの図で、55b、56bは振動子である。
また、かかる2振動子型高温用超音波探触子では、複数(例えば3〜5種)の振動子取付角度を必要とする場合、各取付角度毎に別の伝播補助部材と別の振動子を準備し、それぞれろう付等で固定する必要があった。そのため、ろう付時の形状がそれぞれ相違するため歩留まりが低く、各振動子の特性が相違するためキャリブレーションや試験に時間がかかり、伝播補助部材及び振動子に互換性がないため、多数の予備品を準備する必要があった。
該伝播補助部材は、被検査物の計測面と接触する接触面と、接触面に近接して内部に設けられ該接触面に対向し前記中心軸に直交する内底面と、該内底面から中心軸を軸心として外面まで延びる1対の雌ネジ孔とを有し、
前記2つの探触子は、前記雌ネジ孔と螺合する雄ネジ部と、該雄ネジ部の上部に同軸に設けられ雄ネジ部より大径の拡径部と、該拡径部の上面に固定された超音波振動子とからなり、
前記雄ネジ部の下面は、伝播補助部材の前記内底面と密着するように形成されている、ことを特徴とする2振動子型高温用超音波探触子が提供される。
また、伝播補助部材は、被検査物の計測面と接触する接触面と、内部に設けられる内底面と、この内底面から外面まで延びる1対の雌ネジ孔とを有する構造であり、ろう付け等を必要としないので、短時間に高い歩留まりで安価に製作できる。
また、探触子の雄ネジ部下面が、伝播補助部材の内底面と密着するように形成されているので、音響インピーダンンスの大きく異なる境界面を無くし、雑音となる反射を低減することができる。
またさらに、伝播補助部材の内底面は接触面に近接しているので、その間の残響によるノイズを低減してSN比を高めることができる。
また、雄ネジ部12の図で下面13は、伝播補助部材20内の後述する内底面24と密着するように形成されている。
更に伝播補助部材20は、接触面22を送信する超音波の伝播面と受信する超音波の伝播面を仕切るスリット溝28を有する。接触面22は、送信する超音波の伝播面と受信する超音波の伝播面が互いに重ならないように設定されており、このスリット溝28は、その重ならない領域、すなわちその中間部分に設けられている。なお、スリット溝28の幅は、使用中に付着するおそれのある液体(水や油)により溝が塞がらないように大きく設定するのがよい。
また、伝播補助部材20は、被検査物1の計測面1aと接触する接触面22と、内部に設けられる内底面24と、この内底面から外面まで延びる1対の雌ネジ孔26とを有する構造であり、ろう付け等を必要としないので、短時間に高い歩留まりで安価に製作できる。
また、探触子10の雄ネジ部下面13が、伝播補助部材20の内底面24と密着するように形成されているので、音響インピーダンンスの大きく異なる境界面を無くし、雑音となる反射を低減することができる。
またさらに、伝播補助部材の内底面24は接触面22に近接しているので、その間の残響によるノイズを低減してSN比を高めることができる。
本発明の2振動子型高温用超音波探触子、すなわち二振動子型斜角探触子では、探触子から送受信される超音波の中心軸が特定の深さで一致(交軸)する。このために、「きず」が交軸点と一致する深さにあるときに最も検出性能が高く、交軸点から位置が離れると検出性能は低下する。この低下の度合いは、超音波ビームの指向性と関連してくる。
sinθi/sinθr=v1/v2・・・(1)
ここでv1:探触子側の材料の音速、v2:試験体側の材料の音速である。
探触子を構成する10,20にチタン材を用い、試験体が鋼材である場合、常温での音速はチタン6000m/sec、鋼5900m/secであり、ほとんど差はない。従って、角度θrとθiの差は非常に小さく、実用的には同一であるといえる。
音圧分布に影響する因子としては、振動子の周波数:F、有効径:d、超音波の入射点間距離2L及び交軸点深さ:Woがある。このとき、交軸点における音圧に対して、任意の距離Wにおける位置での音圧の低下の度合い:Rは送波の指向性:DT及び受波の指向性数:DTの積として求められる。一方、二振動子型探触子は、A-A’平面において左右対称となるので、中心線上の音圧分布を検討する上では、DT=DRとなる。
従って、R=DT×DR=DT 2・・・(2)となる。
DT=sin(ka・sinφ)/ka・sinφ・・・(3)
ここで、k=2π/λ、a:有効振動子寸法の1/2、λ:波長である。 従って、交軸点位置での音圧に対する音圧の低下の度合いRは式(4)で求まる。
r=(sin(ka・sinφ)/ka・sinφ)2・・・(4)
DT=2J1(m)/m・・・(5)
ここで、2J1(m):ベッセル関数、m=ka・sinφである。
図1に示した2振動子型高温用超音波探触子を実際に製作し、その性能確認試験を実施した。図5は、本発明の性能確認試験に用いた試験体の概要図である。
図5に示す各深さ方向に、3.0mmφの横穴を設けた鋼製の試験体を用いて探触子の性能を確認した。試験は、常温で探触子の性能を確認した後に、高温での確認試験を行った。常温での試験では通常のソニコートを接触媒質に用いたが、高温の試験においては水溶性のガラス質の粉末を水で溶解してペースト状にしたものを用いた。
これに対して、上述した試験で得られた横穴でのAスコープ波形から、得られた波形のノイズは一般のこれら検出レベルより低く、充分に「きず」を検出する能力を持っていることが確認された。
また、170℃及び300℃の高温で同様の横穴を計測した試験で得られたAスコープ波形から、常温と同様に高温(170℃及び300℃)でも横穴を明瞭に捉えることが確認された。
1.ろう付時の形状が単純であり、製作の歩留まりを向上できる。
2.送信用及び受信用の探触子は種々の伝播補助部材に対して共通であり、予め探触子をろう付等で製作しておき、必要な被検査物に合わせて伝播補助部材のみを製作することで製作期間を大幅に短縮できる。
3.製作が単純であり、探触子性能の均一性を確保できる。また、伝播補助部材の設計に当たって、予め超音波の音場を予測することができ、必要な被検査物に最適な設計が可能になった。
10 探触子、11 中心軸、12 雄ネジ部、13 下面、
14 拡径部、16 超音波振動子、17 圧電素子、18 電極板、
20 伝播補助部材、22 接触面、24 内底面、
26 雌ネジ孔、28 スリット溝
Claims (3)
- 送信又は受信する超音波の中心軸が被検査物の内部で交差する送信用及び受信用の探触子と、該2つの探触子を着脱可能に取り付け、被検査物との間で超音波を伝播する耐熱性の伝播補助部材とを備え、
該伝播補助部材は、被検査物の計測面と接触する接触面と、接触面に近接して内部に設けられ該接触面に対向し前記中心軸に直交する内底面と、該内底面から中心軸を軸心として外面まで延びる1対の雌ネジ孔とを有し、
前記2つの探触子は、前記雌ネジ孔と螺合する雄ネジ部と、該雄ネジ部の上部に同軸に設けられ雄ネジ部より大径の拡径部と、該拡径部の上面に固定された超音波振動子とからなり、
前記雄ネジ部の下面は、伝播補助部材の前記内底面と密着するように形成されている、ことを特徴とする2振動子型高温用超音波探触子。 - 前記超音波振動子は、該拡径部の上面にろう付けされた圧電素子と、その上面にろう付けされた電極板とを有し、送信用探触子の拡径部と電極板間に電圧を印加し、受信用探触子の拡径部と電極板間の電圧を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の2振動子型高温用超音波探触子。
- 前記伝播補助部材は、前記接触面を送信する超音波の伝播面と受信する超音波の伝播面を仕切るスリット溝を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の2振動子型高温用超音波探触子。
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