JP2006090321A - 燃料噴射ノズル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】改良された可変オリフィス式噴射ノズルと、その噴射ノズルを製造する方法を提供すること。
【解決手段】内燃機関用の燃料噴射器に用いられる噴射ノズルは、1つ以上の第1ノズル出口14を通る燃料供給を制御するように内側弁座部24と係合可能な内側弁ニードル26と、1つ以上の第2ノズル出口16を通る燃料供給を制御するように外側弁座部24と係合可能な外側弁28とを有している。外側弁は、内側弁ニードルの少なくとも一部が挿通される弁孔36を備えている。内側弁ニードルが所定の閾量Dを超えて内側弁座部から離れる方向に移動した場合に、内側弁ニードルの運動を外側弁に連結させるための連結手段46が設けられている。これによって、外側弁は、外側弁座部から離れる方向に持上げられ、高噴射率をもたらすことができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、各々が内燃機関の燃焼室内への燃料の供給を制御する、内側弁ニードルと外側弁とを備える燃料噴射ノズルに関する。特に、本発明は、外側弁がエンジンへの燃料供給を制御するように1つの出口と協働して作動可能であり、内側弁ニードルがエンジンへの燃料供給を制御するように他の出口と協働して作動可能である噴射ノズルに関する。また、本発明は、上記の形式の噴射ノズルを製造する方法に関する。
一般的に可変オリフィスノズル(VON)と呼ばれる周知の噴射ノズルでは、ノズル本体が孔(ブラインドボア)を備え、この孔内において第1外側弁がアクチェータの制御下で移動可能である。ノズル本体に設けられたこの孔はシート面を画成し、外側弁はこのシート面と係合可能であり、これによりノズル本体の長さに沿った第1軸方向位置に設けられた第1組のノズル出口を通る燃料供給を制御する。外側弁はそれ自体さらに他の孔を備え、この孔内において第2内側弁ニードルが移動可能である。内側弁ニードルは外側弁のさらに他の孔の開端から突出し上記のシート面と係合可能であり、これによりノズル本体の長さに沿った第2下側軸方向高さに設けられた第2組のノズル出口を通る燃料供給を制御する。
外側弁は単独で移動し、その結果、外側弁がその着座状態から離れる方向に持上げられると共に、内側弁ニードルが着座したままで維持されるように作動可能である。また、外側弁は内側弁ニードルをも移動させるように作動可能である。外側弁が所定の閾量を超える量まで移動した場合、外側弁の運動は内側弁ニードルに伝達され、内側弁ニードルをも持上げる。この操作段階中、第1組のノズル出口と第2組のノズル出口の両方が開口され、これによって、比較的高い燃料供給率をもたらす。もし外側弁が所定の閾量未満の量だけ持上げられた場合、内側弁ニードルは、着座したままで維持され、噴射は、第1組のノズル出口を通してのみ、低燃料供給率で行なわれる。
前述の形式の可変オリフィスノズルは、第1組のノズル出口のみ又は第1組のノズル出口と第2組のノズル出口の両方を通して、燃料を燃焼室内にそれ自体で噴射する融通性を与える点において、特にディーゼルエンジンに対して利点をもたらす。これによって、高エンジン出力モードに対して、大きな全燃料供給面積を選択し、又は低エンジン出力モードに対して、小さな全燃料供給面積を選択することが可能になる。
前述の形式の燃料噴射ノズルは、本出願人による同時係属中の欧州特許出願第04250132.0号(デルファイ・テクノロジー(Delphi Technologies)社)に記載されている。
既存の可変オリフィスノズルの性能は、ノズルを通る流れの効率を改良する手段を講じることによって、さらに改良され得ることが認識されている。この課題に対処することを意図して、改良された噴射ノズルが本発明によって提供される。噴射ノズルを製造するさらに便利な方法も提供される。
本発明の第1態様によれば、内燃機関用の燃料噴射器に用いられる噴射ノズルにおいて、1つ以上の第1ノズル出口を通る燃料供給を制御するように内側弁座部と係合可能な内側弁ニードルと、1つ以上の第2ノズル出口を通る燃料供給を制御するように外側弁座部と係合可能な外側弁であって、内側弁ニードルの少なくとも一部が挿通される弁孔を備える外側弁と、内側弁ニードルが所定の閾量を超えて内側弁座部から離れる方向に移動する場合に、内側弁ニードルの運動を外側弁に連結させ、これによって、外側弁をも外側弁座部から離れる方向に持上げるための連結手段とを備えることを特徴とする噴射ノズルが提供される。
第1ノズル出口のみを通して噴射するには、内側弁ニードルが閾量未満の比較的少量だけ(例えば、アクチェータによって)移動され、これに伴い、外側弁は着座したままで維持される。この場合、燃料は、第2ノズル出口を通って流れることができない。一方、高噴射率が必要とされる場合には、内側弁ニードルをさらに移動させ、連結手段を作用させることによって外側弁をも移動させる。本発明は、特に外側弁ニードルによって制御されるより大きなシート(弁座)からより大きな第2ノズル出口に燃料を供給し、内側弁ニードルによって制御されるより小さいシートからより小さい第1ノズル出口に燃料を供給するので、ノズル内の流れの効率を改良する。内側弁の運動を、初期状態では静止している外側弁に連結させるのに必要な機構が、ニードルの役割が反対である周知の可変オリフィスノズルに必要とされる当該機構と比較して、複雑ではなく、部品点数が少ないという点において、さらに他の利得が達成される。
加えて、第1ノズル出口のみが開口された場合、燃料の大半は、(内側弁ニードルの)比較的小さいシートのみを越えて流れる。従って、噴射率の調整が望まれる場合、内側弁ニードルの持上げを制御することによって、第1ノズル出口への流れを絞ることができる。
好ましい実施形態において、内側弁ニードルは、外側弁に設けられた弁孔内において、移動可能である。
さらに他の好ましい実施形態において、連結手段は、内側弁ニードルに画成される係合面によってもたらされ、この係合面は、内側弁ニードルが閾量と等しい量だけ移動した場合、外側弁の協働作用面と係合し、内側弁ニードルが閾量を超えて移動した場合、外側弁を持上げるための面である。
内側弁ニードルの係合面は、例えば、内側弁ニードルの主ステムと内側弁ニードルの拡大ヘッドとの間に、(すなわち、内側弁ニードルの主軸に沿った段)に画成されるとよい。
好ましくは、内側弁ニードルは、内側弁ニードルが着座した場合に第1ノズル出口の上下それぞれの側に軸方向に離間して配置される上側および下側シートラインを備えている。上側及び下側シートラインは、それぞれ、内側弁座部の上側および下側シートと係合するように形成されている。従って、内側弁座部は、内側弁ニードル用の2つのシート、すなわち、上側シートと下側シートとを有し、これにより第1ノズル出口を上流側と下流側(すなわち、第1ノズル出口の上流側と下流側)の両方向からの燃料流に対して封鎖する。
同様に、外側弁は、外側弁が着座した場合、第2ノズル出口の上下それぞれの側に軸方向に離間して配置される上側及び下側シートラインを備えていることが好ましい。上側及び下側シートラインは、それぞれ、外側弁座部の上側および下側シートと係合可能である。
一実施形態において、内側弁ニードルの上側及び下側シートラインは、それぞれ、内側弁ニードルの外面に設けられた溝の上側縁及び下側縁によって画成されることが好ましい。この溝は、上側縁を画成する上側溝領域と下側縁を画成する下側溝領域を備え、これらの溝領域は、好ましくは、切頭円錐形状を有している。
同様に、外側弁の上側及び下側シートラインは、それぞれ、外側弁の表面に設けられた溝の上側縁及び下側縁によって画成されるとよい。この溝は、上側縁を画成する上側溝領域と下側縁を画成する下側溝領域を備え、これらの溝領域は、好ましくは、切頭円錐形状を有している。
ノズルは、好ましくは、内側及び外側弁を収容するノズル孔を有するノズル本体を備えている。また、このノズル孔は、燃料を第1及び第2ノズル出口に供給するための上側供給室と、燃料を第1及び第2ノズル出口に供給するための下側供給室とを備え、これらの上側及び下側供給室は、互いに連通している。
好ましくは、内側弁ニードルには、燃料を上側供給室から下側供給室に向けて流すことができる流路手段が、少なくとも部分的に画成されている。内側弁ニードルが内側弁座部から持上げられた場合、燃料は、下側供給室から1つ以上の第1ノズル出口に流れ、外側弁が外側弁座部から持上げられた場合、燃料は、下側供給室から第2ノズル出口に流れる。
流路手段は、好ましくは、内側弁ニードル内に設けられた軸方向に延在する孔を備えている。
好ましくは、内側弁ニードルは、負荷伝達部材を介してアクチェータに連結されている。一実施形態において、負荷伝達部材は上記の流路手段の一部に画成されている。内側弁ニードルの負荷伝達部材への連結は、いくつかの手段によって達成され得るが、簡便さという点から、締まり嵌めが有利である。
負荷伝達部材は、作動時に負荷伝達部材と内側弁ニードルの運動を案内するガイド領域を備えていることが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、内燃機関に用いられる燃料噴射器において、本発明の第1の態様による噴射ノズルと、内側弁ニードルの運動を制御するためのアクチェータを備える燃料噴射器が提供される。
アクチェータは、好ましくは別部品、例えば負荷伝達部材を介して、内側弁ニードルに間接的に連結される。代替的実施形態において、アクチェータは内側弁ニードルに直接連結されてもよい(換言すれば、負荷伝達部分がニードルと一体に形成されてもよい)。アクチェータは、好ましくは圧電アクチェータ(ピエゾアクチェータ)または噴射器に関連する電磁アクチェータを代替的に使用できる。
本発明の第1の態様の好ましい及び/又は随意的な特徴は、単独又は適切な組合せの形態で、本発明の第2の態様に適用されてもよい。
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様において記載した形式の噴射ノズルの製造方法において、内側弁ニードルの少なくとも一部を外側弁内に挿通させるステップと、内側弁ニードルの外面を輪郭加工するための第1砥面プロファイルと、外側弁の外面を輪郭加工するための第2砥面プロファイルとを有する砥石車を設けるステップと、内側及び外側弁をこの砥石車によって研削し、それぞれのシート面を輪郭加工するステップであって、砥石車の第1及び第2面プロファイルは、内側及び外側弁がノズル本体内に組み込まれてそれぞれの弁座部と係合したとき、内側及び外側弁の係合可能な面が閾量だけ離れるように、互いに離間されるようなステップとを含む方法が提供される。
一実施形態において、本方法は、内側弁の係合面を外側弁の協働作用面と係合させることによって、外側弁を内側弁ニードルとを接触させた状態で保持する段階を備えている。内側弁ニードルの少なくとも一部は、ホルダー又は他の支持手段内において、直接的に支持されるとよい。
この製造方法は、内側及び外側弁のシート面を形成し、かつ閾量を決定する弁間の間隙を設定するための便利で、かつ正確な方法をもたらす。何故なら、閾量の公差は、まさに、砥石車の公差(すなわち、極めて狭い公差)に対応するからである。
他の実施形態において、内側弁ニードルが負荷伝達部材に連結され、研削ステップの前に、外側弁の上面が、スペーサ部材によって、負荷伝達部材から離間されるようにされてもよい。このスペーサは、閾量と少なくとも等しいように選択される厚みを有しているとよい。
代替的に、スペーサ部材の厚みは、閾量よりも大きいように選択されてもよい。この場合、内側及び外側弁がノズル本体内に組み込まれた後、閾量を正確に設定するために、追加的な仕上げステップが必要である。しかし、この方法でも、閾量の高精度な設定をもたらす。
以下、本発明の実施形態を、一例として、添付の図面を参照して、説明する。
本発明の噴射ノズルは、圧電アクチェータが噴射器弁ニードルの運動を制御する圧電制御燃料噴射器に用いられるのに適した形式を有している。図1と図2を参照すると、噴射ノズル10は、第1組の出口14と第2組の出口16とを有するノズル本体12を備え、これらの出口は、第2ノズル出口16が第1ノズル出口14よりもノズル本体の長さに沿って高い軸方向位置にあるように、主ノズル本体軸に沿って軸方向に離間されている。図2に最も分かりやすく示されているが、第1ノズル出口14の各々は比較的小径であり、エンジン内に噴射される燃料の流通面積が小さく、第2ノズル出口16の各々は比較的大径であり、エンジン内に噴射される燃料の流通面積が大きい。図1において、各組の単一のノズル出口14、16のみ示されている、実際には各組はそれぞれ2つ以上のノズル出口を含み得る。
ノズル本体12は、軸方向に延在する孔18(ブラインドボア)を備え、この孔18は、高圧下の燃料を受容するための第1上側供給室20を画成している。また、この孔18は、その閉鎖された下端において、燃料用の第2下側供給室22を画成している。孔18の内面は、その下端において切頭円錐形状をなし、総称的に24で示される弁座面を画成している。
同軸に配置された第1及び第2可動弁部材(26、28)が、それぞれ、上側供給室20と第1ノズル出口14及び第2ノズル出口16間における燃料の流れを制御可能にするように孔18内に嵌挿されている。一般的に、第1弁部材は第1内側弁ニードル26の形態をなし、その移動によって燃料が第1ノズル出口14を通って供給されるか否かを制御する。第2弁部材は外側弁28の形態をなし、その移動によって燃料が第2ノズル出口16を通って供給されるか否かを制御する。
内側弁ニードル26は、(図2に明示される)2つの主要部分、すなわち、ステム26a(本体)と拡大ヘッド26bとを備えている。ステム26aの上部は負荷伝達部材34に連結され、ステム26aの下部は、負荷伝達部材34の下面38と外側弁28の上面40が互いに接触するように、外側弁28に設けられた(弁孔と呼ばれる)孔36内に嵌入されている。内側弁ニードル26の下側領域は、外側弁28内において移動可能であり、かつ2つのニードル26、28間の燃料の漏れが最小限に保たれるように、孔36内に緊密かつ摺動可能に嵌挿されている。内側弁ニードル26の拡大ヘッド26bは、内側弁ニードル26のシート面を画成している。このシート面は、弁座面24によって画成される内側弁座部と係合可能であり、第1ノズル出口14を通る燃料の流れを制御する。外側弁28は、外側弁座部と係合され得るシート面を有するような形状又は輪郭を有している。外側弁座部は弁座面24によって画成され、図示される配置では内側弁座部の軸方向上方に位置している。
負荷伝達部材34は、ノズル本体の孔18の上側領域内を延在する細長ロッド又はニードルの形態を取る。その下端において、負荷伝達部材34は、(伝達部材孔と呼ばれる)取付け孔42を備え、この取付け孔42に、内側弁ニードル26のステム26aが締まり嵌めされ、緊密に連結される。内側弁ニードルのステム26aは、取付け孔42の開端からわずかに突出している。これは負荷伝達部材34とニードル26の追加的な溶接がそれらの連結を強化するために必要であることが判明した場合に有利である。
負荷伝達部材34は、(図1に示されるように)、その最上端に向かう側において、ノズル本体の孔18の直径と実質的に等しい直径を有する領域34aを備えている。これらの孔18と領域34aは、作動時に連携して負荷伝達部材34の移動を案内するように機能する。負荷伝達部材34の最上端34bは、直接的又は間接的に噴射器の典型的には圧電アクチェータ(ピエゾアクチュエータ)の形態にあるアクチェータ(図示せず)に連結されている。圧電アクチェータは圧電素子の積層体を備え、この積層体の両端に電圧が印加された時に拡張及び収縮する周知の型式を用いることができる。圧電積層体の特徴は、噴射器のハウジング部内に画成された燃料が充填されるチャンバー内に収容される点にある。積層体を収容するチャンバーは、コモンレールと連通する噴射器入口とノズル供給室30との間に燃料供給経路の一部を画成する。作動時において、燃料は典型的にはコモンレール又は蓄圧容積部の形態にある高圧燃料源から噴射器入口に供給され、積層体チャンバー内を通って、孔18によって画成されたノズル供給室30内に流入する。上側供給室20は、負荷伝達部材の外面に機械加工によって形成された襞及び/又は溝32を介して、ノズル供給室30と連通している。
適切な圧電アクチェータの更なる詳細は、本出願人による欧州特許第0995901号(デルファイ・テクノロジー(Delphi Technologies)社)において見出され得る。しかし、本発明は、電磁気アクチェータのような代替的作動手段の使用によっても、同じように実施され得る。
負荷伝達部材34は、関連するバネ(図示せず)を備えているとよい。このバネは、例えば、負荷伝達部材34の最上端34bに配置され、弁座面24の方向において、この部材34と内側弁ニードル26の両方を付勢するように作用する。
軸方向に延在する通路又は孔の形態にある流路44が内側弁ニードル26内に設けられ、上側及び下側室20、22間にニードル26を介する燃料の流通を可能にする。さらに半径方向流路47が負荷伝達部材34内に設けられ、その中心部は流路44の第1上端と連通している。流路44の第2下端は第2供給室22と連通し、さらに半径方向流路47の両外端は上側供給室20と連通し、これによって、上側および下側供給室20、22間に流路を確立する。
ノズル10は、内側弁ニードル26がある量を超えて移動した場合に、内側弁ニードル26と外側弁28とを連結し、それらを一緒に移動させる手段を備えている。この目的のために、内側弁ニードル26は、ニードル26の拡大ヘッド26bとステム26aとの間に画成された長さに沿った段46を備えている。この段46は外側弁28の下側端面48と係合するための係合面を画成している。内側弁ニードル26の係合面46と外側弁28の端面48は、それらの係合時に平坦な面接触をするように相応して形成されている。
噴射ノズル10が非噴射状態にある図1と図2において、内側弁ニードル26の係合面46と外側弁28の端面48は、垂直方向に短い距離Dだけ離間されていることが理解される。作動時において、内側弁ニードル26が(「所定の閾量」と称する)距離D未満の量だけ持上げられた場合には、外側弁28の移動は生じない。何故なら、内側弁ニードル26の拡大ヘッド26bが外側弁28と接触しないからである。一方、内側弁ニードル26が所定閾量Dと等しい量だけ移動した場合には、内側弁ニードル26の係合面46は、外側弁28と係合される。次いで、内側弁ニードル26が閾量を超えてさらに持上げられた場合には、外側弁28は内側弁ニードル26と共に移動される。
内側及び外側弁座部の構成は、図1と図2における本発明の実施形態の重要な特徴であり、以下、図3を参照しさらに詳細に説明する。内側弁ニードル26の拡大ヘッド26bは、ニードル26が着座したときに第1ノズル出口14の上流に位置する内側弁の第1(上側)シートライン50と、ニードル26が着座したときに第1ノズル出口14の下流側に位置する内側弁の第2(下側)シートライン52を画成するように、(すなわち、出口14の片側に1つのシートライン50、52を位置させるように)、形作られている。内側弁ニードル26は、溝又は凹領域54を備え、この領域は、その上端と下端において、上側及び下側シートライン50、52を画成している。溝54は、上側溝領域54aと下側溝領域54bによって画成され、これらの領域は、切頭円錐形状を有し、内側弁座部58の隣接領域と連携して、第1ノズル出口14の入口端における燃料用の環状容積部56を画成している。上側溝領域54aの直上において、内側弁ニードル26は、円筒状又は切頭円錐形状のさらに他の領域57を備えている。
内側弁ニードル26の上側及び下側シートライン50、52は、内側弁座部58の上側及び下側シート60、62と係合する。上側シート60は、ノズル本体12の長さ方向に沿ってより高い軸方向位置にあるので、下側シート62よりも大きな直径を有している。
内側弁ニードル26と同様に、外側弁28は溝又は凹領域64を備え、この領域は、その上側及び下側縁において外側弁の上側及び下側弁シートライン66、68を画成している。上側及び下側シートライン66、68は、外側弁28が着座した状態では、第2ノズル出口16の軸方向における上下側に(すなわち、片側に1つが位置するように)配置されている。さらに具体的に、外側弁28内の溝64は、上側溝領域64aと下側溝領域64bとを備え、外側弁座部70の隣接領域と連携して、第2ノズル出口16の入口端において、燃料用の環状容積部72を画成している。また、上側シートライン66と下側シートライン68は、外側弁座部70の上側及び下側シート76、78と係合している。上側シート76は、ノズル本体12の長さ方向に沿って高い軸方向位置にあるので、下側シート78よりも大きい直径を有している。従って、全てのシート60、62、76、78内、最も小さい直径を有するのは、内側弁座部58の下側シート62であることが理解されるだろう。
以下、図1〜図3における噴射ノズルの操作を、図4と図5をさらに参照して、説明する。(図3に示されるような)非噴射位置にあるとき、圧電アクチェータの積層体は第1の比較的高い励磁レベルまで十分に励磁され、内側弁ニードル26は、負荷伝達部材34に作用するバネによって内側弁座部58と係合するように付勢される。従って、内側弁ニードル26の上側シートライン50は内側弁座部58の上側シート60と係合し、内側弁ニードル26の下側シートライン52は内側弁座部58の下側シート62と係合する。両シート60、62が閉鎖、かつ密封された状態では、燃料は第1ノズル出口14内に流入することができない。同様に、外側弁28は外側弁座部70に着座され、従って、外側弁28の上側シートライン66は外側弁座部70の上側シート76と係合し、下側シートライン68は外側弁座部70の下側シート78と係合する。両シート76と78が閉鎖され、かつ密封された状態では、燃料は第2ノズル出口16内に流入することができない。
第1噴射状態、すなわち、第1ノズル出口14のみから噴射させるには、圧電アクチェータは第1低励磁レベルにまで脱磁される。その結果、圧電積層体は収縮し、これによって、負荷伝達部材34を弁座面24から離れる方向に持上げる。その結果、内側弁ニードル26は、閾量D未満の第1量だけ内側弁座部58から離れる方向に持上げられる。これが、図4に示されるノズルの位置である。内側弁ニードル26がこの第1量だけ持上げられた状態では、内側弁の下側シートライン52と下側シート62との間のシールが解除される。この状況において、上側供給室20内の燃料は、負荷伝達部材34内の半径方向通路47を通り、内側弁ニードル26内の軸方向流路44を経て下側供給室22内に流れ、次いで、下側シート62を越えて、環状容積部56と第1ノズル出口14内に流れる。
上記の内側弁ニードル26が閾量D未満の量だけ移動した場合には、内側弁ニードル26の拡大ヘッド26bの上面46は、外側弁28の端面48と係合しない。従って、この時点において、外側弁28は着座したまま維持され、従って、第2ノズル出口16は閉鎖されたまま維持され、その結果、上側供給室20内の燃料は、外側弁座部70の上側シート76を越えて第2ノズル出口16内に流入することができない。同様に、外側弁28用の下側シート78は、下側シートライン68によって閉鎖されたまま維持され、その結果、下側供給室22内の燃料は、第2ノズル出口16内に流入することができない。このような状況では、比較的低流量の燃料のみが、比較的小さい第1組の出口14を通って、エンジン内に噴射される。(内側及び外側弁26、28間の可能な限り抑さえられた案内漏れを除いて)、流れの大半が、(下側シート62の)より小さいシートのみを越えて流れるので、噴射率の調整が望まれる場合、内側弁ニードル26の持上げを制御することによって、第1ノズル出口14への流れを絞ることができる。これは、噴射率調整能力をもたらし、このような能力は、ある種の用途において有益である。
噴射を終える場合、圧電アクチェータが初期の比較的高レベルに励磁され、内側弁ニードル26を(負荷伝達部材34を介して作用する)バネ力によってその着座位置に復帰させる。この復帰した着座位置では、内側弁ニードル26の上側及び下側シートライン50、52は、それぞれ、上側及び下側シート60、62と係合する。従って、下側供給室22と第1ノズル出口14との間の燃料の流れが遮断され、噴射は停止し、噴射ノズルは再び図2に示される位置に配置される。
一方、もし燃料を高噴射率で噴射することが望まれる場合、圧電アクチェータは、第2低励磁レベルまで脱磁され、積層体をさらに収縮させる。その結果、負荷伝達部材34は、弁座面24から離れる方向にさらに移動され、これによって、内側弁ニードル26を、閾量Dを超えてさらに持上げる。内側弁ニードル26の拡大ヘッド26bの係合面46は、外側弁28の端面48と接触し、内側弁ニードル26が距離Dを越えて持ち上がるにつれて、持上げ力が外側弁28に伝達され、この外側弁28をも持上げる。外側弁28の上側及び下側シートライン66、68が、それぞれシート76、78から離脱されると、燃料が外側弁28の上側シート76を越えて上側供給室70から第2ノズル出口16内に流れると共に、内側弁座部58と外側弁28の下側シート78を越えて下側供給室22から第2ノズル出口16内に流れることができる。このような状況では、燃料は第1ノズル出口14及び第2ノズル出口16を比較的高噴射率で流出する。これが、図5に示されるノズルの第2噴射位置である。
内側弁ニードル26内の軸方向流路44と負荷伝達部材34内の半径方向流路47を設けることによって、第2噴射位置において、第1ノズル出口14及び第2ノズル出口16を通る燃料の流れは、上側供給室20から2つの流れ経路を有することが理解されるだろう。第2ノズル出口14に対しては、燃料は、内側及び外側弁座部58、70を越えて(図5において矢印Aによって示される)主供給経路を通って直接流入することができ、または流路44、47、内側弁座部58の下側シート62を経て、(矢印Bによって示される)副供給経路を通って間接的に流入することができる。同様に、第2ノズル出口16に対しては、燃料は、外側弁座部70の上側シート76を越えて、主供給経路(矢印A)を通って直接流入することができ、又は流路44、47、外側弁座部70の内側弁座部68と下側シート78を経て、副供給経路(矢印B)を通って間接的に流入することができる。
主供給経路と副供給経路を介して第1ノズル出口14及び第2ノズル出口16に至る燃料流れの相対的な比率は、第1ノズル出口14及び第2ノズル出口16の相対的な大きさ及び/又は数、第1ノズル出口14及び第2ノズル出口16の各々が占める全流通面積、及び弁26、28の持上げ量によって決定される。
第2燃料噴射位置からの噴射を終了させる必要がある場合、圧電アクチェータが初期の高励磁レベルに励磁され、これによって積層体を伸張させる。負荷伝達部材34が、バネによって内側弁ニードル26を内側弁座部58に係合させる方向に付勢される。同様に、負荷伝達部材34が外側弁28に作用し、間隙Dを閉鎖し、外側弁28も外側弁座部70に対して付勢させる。このようにして、ノズルは、図2に示される非噴射位置に復帰される。
内側弁ニードル26のみを持上げることによって、燃料を比較的低噴射率で噴射することができ、また、外側及び内側弁ニードル28、26の両方を持上げることによって、燃料を高噴射率で噴射することができることが、本発明の噴射ノズルの格別の利点である。これは、排気物質に対して有利であることが見出されている。いわゆる、ブーツ状噴射プロフィルの達成を可能とする。さらに、内側弁ニードル26の比較的小径シート60、62によって、第1ノズル出口14の流通面積はより小さく、外側弁28の大径シート76、78によって、第2ノズル出口16の流通面積はより大きい。これによりノズル内の流れ効率が改良される。この利点は、外側弁を最初に持上げるように作動させ、内側ニードルを外側弁の所定量を超える移動の結果としてのみ持上げる周知の可変オリフィスノズルでは実現されない。
上記の利点を維持しながら、ノズルの種々の変形形態が考えられる。例えば、内側弁ニードル26と負荷伝達部材34を一部品として形成し、内側弁ニードルをアクチェータに直接連結される機構の一体部分とすることも1つの案である。さらに、上側及び下側供給室20、22間に必要な流路として、例えば、傾斜通路又は螺旋通路のような代替的流路手段が考えられる。内側及び外側弁間の連結手段も、異なる形態で、すなわち、内側及び外側弁を異なる形状にするか、又は2つのニードルを連結する追加的な部品を設けることによって、実施されてもよい。
また、本発明は製造上の利点をもたらす。何故なら、ノズル部品が周知の可変オリフィスノズルよりも都合よく機械加工でき、かつ組み立てられ得るからである。以下、図6を参照して、図1〜図5の噴射ノズルを組み立てる1つの方法について説明する。内側弁ニードル26の係合面46と外側弁28の端面48との間の垂直方向の間隙Dを極めて精密かつ正確に設定することがこの製造方法の重要なステップである。何故なら、外側弁28をも持上げる内側弁ニードル26の持上げ量(すなわち、低噴射率の噴射と高噴射率の噴射との間の切換え)を決定するのがこの間隙だからである。
最初に、外側弁28と内側弁ニードル26が一緒にホルダー、チャック、又は他の支持手段80内に装着される。内側弁ニードル26は、ホルダー80内に直接支持され、外側弁28は、その下面48を下側弁ニードル26の係合面46と接触させて、ホルダー80の下面との間で固定される。内側及び外側弁26、28は、両方とも、各弁部品の上側及び下側シートライン66、68及び50、52をそれぞれ形成するのに必要なプロファイルを有する砥石車82によって同時に研削される。砥石車82のプロファイルは、内側弁ニードル26にシート面(すなわち、シートライン50、52)を形成するように形作られた第1プロファイル領域と、外側弁28にシート面(すなわち、シートライン66、68)を形成するように形作られた第2プロファイル領域とを有している。砥石車82のプロファイルにおいて、第1プロファイル領域と第2プロファイル領域との間に、オフセット(隔たり)が設定される。このオフセットは、内側及び外側弁26、28がノズル本体12に組み込まれてそれぞれの弁座部58、70と係合されたときに、内側及び外側弁26、28間に必要な垂直方向の間隙Dを与えるように、選択される。オフセットは、図6においてXで示され、この値は間隙の設定値Dに対応している。
前述の製造方法は、以下の理由から、有益である。すなわち、間隙Dの公差は、まさに、砥石車82のオフセットが設定されるときの極めて高い精度に対応するので、間隙Dは高精度に設定され得る。さらに、内側及び外側弁の輪郭を形成するのに必要な方法は、内側弁ニードル26を持上げる前に外側弁28を持上げる周知のノズルにおいて対応する輪郭を形成するのに必要とされる方法よりも複雑ではない。
前述した方法に対する代替的方法として、内側及び外側弁26、28を、各々、適切な形状の異なる砥石車を用いて、かつ砥石車のプロファイルを前述したような適切な量だけオフセットさせることによって、別部品として形成されてもよい。しかし、この方法は、(図6に示されるような)ニードル26、28を一緒に形成する方法よりも、精度が劣る可能性が高い。
以下、図6を参照して述べた方法の別の代替的方法について、図7aと7bを参照して、説明する。図6に示される装置と同様の装置が用いられるが、この場合、内側弁ニードル26と負荷伝達部材34が、最初に、外側弁28と組み立てられる。次いで、負荷伝達部材34の端が、第1中心又は支持体86内に支持され、第2中心又は支持体88が、外側弁28の外面を支持するために設けられている。シム(shim)又はスペーサ部材90が、外側弁28の上面40と負荷伝達部材34の対向する下面38との間に組み込まれる。砥石車82は、上側及び下側シートライン66、68及び50、52を内側及び外側弁26、28の各々に同時に形成するようなプロファイルを有している。研削プロセス中における部品26、28の同心度をさらに改善するために、回転阻止又は位置決め特徴部が設けられてもよい。例えば、位置決め特徴部は、内側及び外側弁26、28内に対応して形成されたドリル孔94内に配置される合せピン92の形態を取るとよい。弁ニードル26、28の研削が完了してから、シム90が取り出され、次いで、内側及び外側弁26、28がノズル本体12内に組み込まれる。
シム90は、好ましくは、必要な間隙Dと等しい厚みを有するように選択され、(すなわち、外側弁28の上面40と負荷伝達部材34の下面38は、距離Dだけ離間される)。この場合、内側及び外側弁26、28がノズル本体12内に組み込まれたとき、部品のさらなる設定(例えば、シート内への弁の加圧)は必要ではない。代替的に、この方法の修正形態において、シム90は必要な間隙Dよりも大きい厚みを有するように選択されてもよい。弁ニードル26、28が研削され、ノズル本体に組み込まれてから、最終的な間隙寸法Dが、弁ニードル26、28をノズル本体12内に加圧し、弁座面24と係合させることによって設定され得る。この修正された方法は、シム90が間隙Dの正確な厚みを有するように選択される方法よりも高い精度をもたらし、図6を参照して述べた方法と同様の精度をもたらし得る。負荷伝達部材34の最上端が第1中心86に保持され、外側弁28の表面が第2中心88に保持されることによって更なる利点がもたらされる。何故なら、これによって、負荷伝達部材34のガイド領域34aが、弁ニードル26、28を研削するのと同じ研削段階中に、研削、すなわち、賦形されるからである。
本発明に対して種々の修正及び改良が、請求項に定義される本発明の精神と範囲を逸脱することなくなされ得ることが、本発明を実施する者及び当業者によって理解されるだろう。
本発明の第1実施形態の噴射ノズルの下部の断面図である。 非噴射位置にある図1の噴射ノズルの拡大断面図である。 図1及び図2のノズルの弁座面の拡大図である。 第1噴射位置にある図1及び図2の噴射ノズルの断面図である。 第2噴射位置にある図4の噴射ノズルの断面図である。 製造プロセスの第1例を説明するための図1〜5の噴射ノズルの断面図である。 製造プロセスの代替例を説明するための図1〜5の噴射ノズルの断面図である。 図7aの噴射ノズルの線B−Bに沿った断面図である。
符号の説明
10 噴射ノズル
12 ノズル本体
14 第1ノズル出口
16 第2ノズル出口
18 孔(ブラインドボア)
20 第1上側供給室
22 第2下側供給室
24 弁座面
26 第1可動弁部材(内側弁ニードル)
26a ステム
26b 拡大ヘッド
28 第2可動弁部材(外側弁)
30 ノズル供給室
32 溝
34 負荷伝達部材
34a ガイド領域
34b 最上端
36 弁孔
38 負荷伝達部材の下面
40 外側弁の上面
42 取付け孔
44 流路(軸方向流路、孔)
46 内側弁ニードルの段(係合面)
47 半径方向流路
48 外側弁の下端面
50 内側弁の第1上側シートライン
52 内側弁の第2下側シートライン
54 溝領域
54a 上側溝領域
54b 下側領域
56 環状容積部
57 円筒領域
58 内側弁座部
60 内側弁座部の上側シート
62 内側弁座部の下側シート
64 溝領域
64a 上側溝領域
64b 下側領域
66 外側弁の上側シートライン
68 外側弁の下側シートライン
70 外側弁座部
72 環状容積部
76 外側弁座部の上側シート
78 外側弁座部の下側シート
80 ホルダー
82 砥石車
86 支持体(第1中心)
88 支持体(第2中心)
90 シム
92 合せピン
94 ドリル孔
D 間隙(閾量)
X オフセット

Claims (18)

  1. 内燃機関用の燃料噴射器に用いられる噴射ノズル(10)であって、
    1つ以上の第1ノズル出口(14)を通る燃料供給を制御するように内側弁座部(24、58)と係合可能な内側弁ニードル(26)と、
    1つ以上の第2ノズル出口(16)を通る燃料供給を制御するように外側弁座部(24、70)と係合可能であると共に、前記内側弁ニードル(26)の少なくとも一部(26a)が挿通される弁孔(36)を備えた外側弁(28)と、
    前記内側弁ニードル(26)が所定の閾量(D)を超えて前記内側弁座部(24、58)から離れる方向に移動する場合に、前記内側弁ニードル(26)を前記外側弁(28)に連結させ、これによって、前記外側弁(28)を前記外側弁座部(24、70)から離れる方向に持上げるための連結手段(46、48)と
    を備えている、噴射ノズル。
  2. 前記連結手段は、前記外側弁(28)により画成された協働作用面(48)と係合すべく、前記内側弁ニードル(26)により画成された係合面(46)を備えている、請求項1に記載の噴射ノズル。
  3. 前記内側弁ニードル(26)の前記係合面(46)は、前記内側弁ニードル(26)の主ステム(26a)と前記内側弁ニードル(26)の拡大ヘッド(26b)との間に画成されている、請求項2に記載の噴射ノズル。
  4. 前記内側弁ニードル(26)は上側及び下側シートライン(50、52)を備え、前記上側及び下側シートライン(50、52)は、前記内側弁ニードル(26)が着座した状態において前記第1ノズル出口(14)の上方及び下方に位置するように相互に離間して配設され、かつ、それぞれ、前記内側弁座部(24、58)の上側及び下側シート(60、62)と係合可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の噴射ノズル。
  5. 前記外側弁(28)は上側及び下側シートライン(66、68)を備え、前記上側及び下側シートライン(66、68)は、前記外側弁(28)が着座した状態において前記第2ノズル出口(16)の上方及び下方に位置するように相互に離間して配設され、かつ、それぞれ、前記外側弁座部(24、70)の上側及び下側シート(76、78)と係合可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の噴射ノズル。
  6. 前記外側弁(28)の前記上側及び下側シートライン(66、68)は、それぞれ、前記外側弁(28)に設けられた溝(64)の上側縁及び下側縁によって画成され、前記溝(64)は、前記上側縁を画成する切頭円錐形状の上側溝領域(64a)と、前記下側縁を画成する切頭円錐形状の下側溝領域(64b)とを備えている、請求項5に記載の噴射ノズル。
  7. 前記内側溝ニードル(26)の前記上側及び下側シートライン(50、52)は、それぞれ、前記内側弁ニードル(26)に設けられた溝(54)の上側縁及び下側縁によって画成され、前記溝(54)は、前記上側縁を画成する切頭円錐形状の上側溝領域(54a)と、前記下側縁を画成する切頭円錐形状の下側溝領域(54b)とを備えている、請求項4〜6のいずれか一項に記載の噴射ノズル。
  8. ノズル孔(18)を設けたノズル本体(12)をさらに備え、前記ノズル孔(18)には、燃料を前記第1及び第2ノズル出口(14、16)に供給するための上側供給室(20)と下側供給室(22)とが画成され、前記上側供給室(20)及び前記下側供給室(22)は、互いに連通している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の噴射ノズル。
  9. 前記内側弁ニードル(26)には、燃料を前記上側供給室(20)から前記下側供給室(22)に向けて流すことができる流路手段(44)が、少なくとも部分的に画成されている、請求項8に記載の噴射ノズル。
  10. 前記流路手段は、前記内側弁ニードル(26)内に設けられた軸方向に延在する孔(44)を備えている、請求項9に記載の噴射ノズル。
  11. 前記内側弁ニードル(26)は、負荷伝達部材(34)を介してアクチェータに連結され、前記負荷伝達部材(34)に、前記流路手段(44、47)の一部が画成されている、請求項10に記載の噴射ノズル。
  12. 前記内側弁ニードル(26)は、負荷伝達部材(34)を介してアクチェータに連結されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の噴射ノズル。
  13. 前記負荷伝達部材(34)は、動作時に、前記負荷伝達部材(34)と前記内側弁ニードル(26)を案内するガイド領域(34a)を備えている、請求項11あるいは12に記載の噴射ノズル。
  14. 内燃機関に用いられる燃料噴射器において、請求項1〜13のいずれか一項に記載の噴射ノズル(10)と、前記ノズルの前記内側弁ニードル(26)の運動を制御するためのアクチェータとを備えている、燃料噴射器。
  15. 前記アクチェータは、圧電アクチェータであることを特徴とする請求項14に記載の噴射器。
  16. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の噴射ノズル(10)の製造方法であって、
    前記内側弁ニードル(26)の少なくとも一部(26a)を前記外側弁(28)内に挿通するステップと、
    前記内側弁ニードル(26)の外面を輪郭加工するための第1砥面プロファイルと、前記外側弁(28)の外面を輪郭加工するための第2砥面プロファイルとを有する砥石車(82)を準備するステップと、
    前記内側弁ニードル(26)と前記外側弁(28)とを前記砥石車によって研削し、それらのシート面を輪郭加工するステップであって、前記ノズル(10)が組立てられ前記内側及び外側弁(26、28)がそれらの弁座部(24、58、70)と係合した状態で、前記内側及び外側弁(26、28)の係合可能な面(46、48)が閾量(D)だけ離間されるように、前記砥石車(82)の前記第1及び第2砥面プロファイルが相互にオフセットされているステップとを含む、燃料噴射ノズルの製造方法。
  17. 前記内側弁ニードル(26)の係合面(46)を前記外側弁(28)の協働作用面(48)と係合させ、前記外側弁(28)を前記内側弁ニードル(26)と接触させた状態で保持するステップを含む、請求項16に記載の燃料噴射ノズルの製造方法。
  18. (i)前記内側弁ニードル(26)を負荷伝達部材(34)に連結するステップと、
    (ii)前記負荷伝達部材(34)を支持体(86)内に支持するステップと、
    (iii)前記外側弁(28)の上面(40)を、スペーサ部材(90)により前記負荷伝達部材(34)の下面(38)から離間させるステップと、
    (iv)前記ステップ(i)、(ii)及び(iii)に続いて、前記研削ステップを行なうステップを含む、請求項16に記載の燃料噴射ノズルの製造方法。
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