JP2006089939A - 上揚力と水平力の抵抗装置組込み弾性支承装置 - Google Patents

上揚力と水平力の抵抗装置組込み弾性支承装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 経済的な上揚力と水平力の抵抗装置組込み弾性支承装置を提供すること。
【解決手段】 一方の金属板3に、間隔をおいて対向する他方の金属板11の中心孔内に向かって突出する中央部突起5を突設し、金属板3と金属板11との間に、弾性層13を有する弾性支承体7を介在させ、中央部突起5に固定したアップリフト止め金具12により、金属板11の中心孔24の周縁部外面28を押え、金属板11の凹部18と他方の構造物に固定される支承板10の凹部16aとに渡って鋼製筒状のせん断キー17が嵌合配置され、支承板10の凹部16aと同心状に設けられたボルト挿通孔と、そのボルト挿通孔と同心状に設けられた構造物側のボルト挿通孔と、金属板11の凹部18に渡って挿通配置されると共に金属板11の凹部18に同心状に設けられた雌ねじ孔25にねじ込まれるボルト19で、筒状のせん断キー17内に嵌合配置されるボルト19により取付られている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築物または、鋼桁、コンクリート桁等の構造物を支承する弾性支承装置に係り、特に、地震時に作用する上揚力と水平力に抵抗する装置を組込んだ弾性支承装置に関するものである。
従来、(A)上揚力と水平力に抵抗する装置を組込んだ弾性支承装置で、上部構造物に固定されるソールプレートまたはベースプレートと弾性支承装置側の他方の鋼板との間で、前記他方の鋼板の中心孔の周りに円環状凸部を形成すると共に、前記ソールプレート側またはベースプレート側に円形凹部を設けて、前記円環状凸部を前記円形凹部に嵌合することにより、弾性支承装置と上部構造物間の横方向の一体化を図り、水平力を伝達するようにした構造の弾性支承装置が知られている。(例えば、特許文献1および2参照。)
また、他方の鋼板と、これに重合するソールプレートまたはベースプレートとのそれぞれの重合面に、中央部突起の周方向に等角度間隔をおいて小さな円形の凹部を設けて、上下の凹部に渡って鋼製短円柱状のせん断キーを嵌合させて、横方向の一体化を図るようにすると共に、せん断キーとは横方向に離れた位置で上下の鋼板をボルトにより直接または間接的に連結し、上揚力に抵抗する形態とした弾性支承装置も知られている。

特開平9−78529号公報 特開平9−78530号公報
前記(A)の場合は、他方の鋼板に大きな円環状形凸部を一体に形成する必要があるので、環状板を溶接により固定したり、厚板から加工により凸部を形成するようになるので、高度の熟練を要する加工になり、加工費が高くなるという問題がある。
前記(B)の場合は、小さな円形の凹部を設けて、上下の凹部に渡って鋼製短円柱状のせん断キーを嵌合させる形態であるので、構造が単純になるが、凹部とボルト挿通孔を別個に設ける必要があるので、加工が煩雑になり、加工費が高くなるという問題がある。
本発明は、せん断キー嵌合用の凹部とボルト挿通孔を離れた位置に別個に設ける必要がない、より経済的な上揚力と水平力の抵抗装置組込み弾性支承装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の上揚力と水平力の抵抗装置組み込み弾性支承装置においては、下部構造物(4)と上部構造物(9)との間に介在され、これらに連結される上揚力と水平力の抵抗装置組み込み弾性支承装置であって、一方の構造物に固定される一方の金属板(3)の中央部に、間隔をおいて対向する他方の金属板(11)の中心孔内に向かって突出する中央部突起(5)を突設し、前記一方の金属板(3)と他方の金属板(11)との間に、弾性層(13)を有する弾性支承体(7)を介在させ、中央部突起(5)に固定したアップリフト止め金具(12)により、前記他方の金属板(11)の中心孔(24)の周縁部外面(28)を押えるようにすると共に、前記他方の金属板(11)の凹部(18)と他方の構造物に固定される支承板(10)の凹部(16a)とにせん断キーを嵌合させて横方向の移動を拘束して一体化を図るようにした上揚力と水平力の抵抗装置組み込み弾性支承装置において、
前記支承板(10)の凹部(16a)と、前記他方の金属板(11)の凹部(18)とに渡って鋼製筒状のせん断キー(17)が嵌合配置され、かつ、前記支承板(10)の凹部(16a)と同心状に設けられたボルト挿通孔と、そのボルト挿通孔と同心状に設けられた構造物側のボルト挿通孔と、他方の金属板(11)の凹部(18)に渡って挿通配置されると共に前記他方の金属板(11)の凹部(18)に同心状に設けられた雌ねじ孔(25)にねじ込まれるボルト(19)で、かつ前記筒状のせん断キー(17)内に嵌合配置されるボルト(19)を備えていることを特徴とする。
本発明の構成によると、ソールプレート等の支承板とこれに重合される弾性支承装置側の他方の金属板のそれぞれの対向する凹部間に嵌合配置される筒状のせん断キー内にボルト軸部が嵌合配置されるので、せん断キーとボルトとが横方向に別個の位置に配置される従来の支承装置より構造が簡単になり、加工が容易でより安価に製作でき、また、筒状せん断キーまたはこれとボルト軸部により、地震時等の水平力に抵抗するように横方向の一体化を図ることができ、また筒状せん断キー内に配置されたボルトにより上揚力に対して一体化を図ることができるコンパクトな構造の弾性支承装置とすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態を示し、図2に示すように、下部金属板3に開設された孔6に上面側から挿通されると共に、アンカー部材1の上端部に溶接により固定された雌ねじ筒20にボルト2を螺合することで、下部金属板3がアンカー部材1に固着されており、図1に示すようにこのアンカー部材1がコンクリート製の下部構造物4に埋設固定されて、下部金属板3が下部構造物4に着脱可能に固定されている。
この実施形態では、中央部突起5付の下部金属板3と、前記中央部突起5に嵌合されて下部金属板3に載置される弾性支承体7と、前記中央部突起5に嵌合されて前記弾性支承体7に載置される上部金属板11と、前記中央部突起5の上端雄ねじ部15にねじ込み固定されるアップリフト止め金具12と、上部構造物9(主桁22)に固定されるソールプレート8等の支承板10と、上部金属板11を構造物に固定するためのボルト19およびこれを嵌合するせん断キー17等のより弾性支承装置10aが構成されている。
したがって、弾性支承装置10aの下部側においては、前記ボルト2を取り外すことにより下部金属板3を下部構造物4から分離させ、また、弾性支承装置10aの上部側も、ボルト19を取り外すことにより、上部構造物9のソールプレート8から分離させて、弾性支承装置10の交換が可能にされている。なお、このような弾性支承装置10aは、反転配置しても図示の場合と同様に、上部構造物9(主桁22)と下部構造物4との間に配置して使用できる。
一方の金属板としての下部金属板3の中央部には円形孔5aが設けられており、この円形孔5aに軸方向と直交する断面が円形の鋼製の中央部突起5の下部が嵌入されて溶接により固着されている。中央部突起5は、その上端部外周に雄ねじ部15が形成されている。
上部構造物9としての鋼桁22における下フランジあるいは底板23の下面に溶接Wにより固定される矩形等の鋼板からなる支承板10としてのソールプレート8に、等角度間隔をおいて複数の同心状に段部を形成した段状貫通孔16が設けられ、その段状貫通孔16は、下面側の大径凹部16aとこれに同心状で接続する上面側の小径のボルト挿入孔16bとにより構成されており、これらの凹部16aには、鋼製の短円筒状のせん断キー17の一端側が嵌合され、また前記せん断キー17内とボルト挿入孔16bには、上部構造物9である鋼桁の主桁22の底板23のボルト孔32に挿通したセットボルト19が挿入される。
さらに、図1および図2には、アップリフト(上揚力)止め金具12と、前記下部金属板3に対向する他方の金属板としての上部金属板11と弾性支承体7が示されている。上部金属板11は円形鋼板からなり、中央部の中間部に段部を有し、上側が大径で下側が小径の中心孔24を有し、さらに中心孔24の外方には、等角度間隔をおいて複数の円形凹部18とその各凹部18と同心状にセットボルト19を螺合する複数の雌ねじ孔25を有している。アップリフト止め金具12は、略円形のナット形状で内側に雌ねじ孔25を有し、また、外周部を鍔部27としている。このアップリフト止め金具12は、上部金属板11の中心孔24に嵌合するもので、このとき、当該アップリフト止め金具12の鍔部27が中心孔24の周縁部外面(段部上面)28を押さえる。
また、弾性支承体7は、環状(ドーナツ形状)であって、中心孔29を有し、上下の環状金属板21と、中間ゴム層13と補強金属板14とを厚み方向に交互に一体に設けられて構成される。
前記の構成により、本発明の実施の形態に係る上揚力と水平力の抵抗装置組込み弾性支承装置は構成され、図1はその組立断面図を示すものであって、下部構造物4の上面に下部金属板3が載置されると共に、前記アンカー部材1が下部構造物4に埋設固定され、かつ弾性支承体7の下部環状金属板21が前記下部金属板3の上面に載置され、上部の環状金属板21の上面が、前記上部金属板11の下面と接している。
また、このとき、弾性支承体7の下側の垂直な中心孔29の内周面は、中央部突起5の外周面に隙間がない状態で嵌合しており、かつその上側において中心孔29の内周面と中央部突起5の外周面16aとの間に上部構造物9(桁22)の撓みによる微小回転を許容する間隙を有して嵌合しており、上部構造物9の撓みによる弾性層13の弾性変形を伴う前記の微小回転を許容している。
前記弾性支承体7の上側に配設された上部金属板11の雌ねじ孔25には、鋼製桁の主桁22の底板23とソールプレート8にそれぞれ形成されたボルト挿入孔32,16および筒状せん断キー17内に挿入したセットボルト19を螺合しており、それにより、ソールプレート8を介して上部金属板11が鋼桁の主桁22に固定される。
またこのとき、上部金属板11の中心孔24の上部にナットからなるアップリフト止め金具12が配設され、その雌ねじ部が中央部突起5の雄ねじ部15に螺合されており、それにより前記アップリフト止め金具12の鍔部27が前記中心孔24の周縁部外面28を押圧している。ここで、図1に示されるように、アップリフト止め金具12と中心孔24上部の凹部の内周面との間には段部の上側において一定の間隙が形成され、同様にアップリフト止め金具12とソールプレート8の凹部または貫通孔の内周面との間には一定の間隙が形成され、直接アップリフト止め金具12に横方向の押圧力が作用しないようにされている。
前記の場合は、固定側の弾性支承の場合で、上方の主桁22の回転を許容する形態とされ、また、可動支承の場合は、中央部突起5と環状の弾性支承体7および上部金属板11等との間に必要移動量だけ間隙をとればよい。
また、上部金属板11の中心孔24の内径は、中央部突起5の外周面16aの外径よりも僅かに大きく設けられている。また、中央部突起5及びアップリフト止め金具12の上端面と、ソールプレート8の下面との間にも所定の間隙33が形成されている。
本発明の弾性支承装置10aを、コンクリート製上部構造物と、コンクリート製下部構造物との間に設置するようにしてもよい。
また、前記のように、本発明の弾性支承装置10aは反転配置するような形態でもよいので、図1に示す弾性支承装置10aを反転配置して、中央部突起5が下向きになるようにし、下部構造物4にボルト19により固定し、上部構造物9(22)にボルト2により固定するようにしてもよい。
前記の実施の形態における作用を説明すると、地震が発生し、弾性支承装置10aに大きな上揚力(アップリフト)が作用したとき、上部金属板11の中心孔24の周縁部外面28が中央部突起5に螺着固定したアップリフト止め金具12の鍔部27で押さえられており、中央部突起5が下部金属板3と一体であることから、前記上部金属板11と上方の構造物9に加わる上揚力はアップリフト止め金具12で制御(防止)される。
また、上揚力が制御され、次に下向きの力が作用したときは、上部金属板11が、弾性支承体7で支えられており、かつ中心孔29の内径が中央部突起5の外径より大径であることから、前記上部金属板11は弾性支承体7を圧縮させながら下方に円滑に移動し制震を行なう。
次に、弾性支承装置に水平力が作用したときは、中央部突起5がストッパとなって弾性支承体7と上部金属板11の水平移動を制限し、上部金属板11の凹部18とソールプレート8の凹部16aに嵌合配置された円筒状せん断キー17が単独でせん断キーとして機能したり、円筒状せん断キー17の内周面にセットボルト19が接触するように嵌合していると、円筒状せん断キー17とその内側に嵌合するように配置されたセットボルト19のボルト軸部とが共同して、水平力を伝達するせん断キーとして機能して、上部金属板11とソールプレート8との間の水平力を伝達し、これらの部材を介して下部構造物4と上部構造物9との間の水平力の伝達が可能になり、したがって、上部構造物9から逆の経路により下部構造物4に伝達して制震できる。
本発明では、円筒状せん断キー17内にセットボルト19の軸部を嵌合配置形態であるので、構造がコンパクトになり製作が容易になると共に、従来の場合よりは安価になる。
なお、アップリフト止め金具12を中央部突起5に固着する手段として、図示の雄ねじ部15と雌ねじ部の螺合や、クサビ等により固着する手段を使用してもよい。
本発明の実施の形態に係る弾性支承装置を上部構造物と下部構造物との間に介在設置した状態を示す縦断正面図である。 図1の側面図である。 図1の一部を省略した平面図である。 図1の各部材を互いに分離して示す縦断正面図である。 (a)は中央部突起に嵌合される他方の鋼板の平面図、(b)は弾性支承体の平面図である。
符号の説明
1 アンカー部材
2 ボルト
3 下部金属板
4 下部構造物
5 中央部突起
6 孔
7 弾性支承体
8 ソールプレート
9 上部構造物
10a 弾性支承装置
11 上部金属板
12 アップリフト止め金具
13 弾性層
14 環状金属板
15 雄ねじ部
16 段状貫通孔
16a 凹部
16b 雌ねじ孔
17 せん断キー
18 凹部
19 セットボルト
20 雌ねじ筒
21 上下の環状金属板
22 主桁
23 底板
24 中心孔
25 雌ねじ孔
27 鍔部
28 周縁部外面
29 中心孔
33 間隙

Claims (1)

  1. 下部構造物(4)と上部構造物(9)との間に介在され、これらに連結される上揚力と水平力の抵抗装置組み込み弾性支承装置であって、一方の構造物に固定される一方の金属板(3)の中央部に、間隔をおいて対向する他方の金属板(11)の中心孔内に向かって突出する中央部突起(5)を突設し、前記一方の金属板(3)と他方の金属板(11)との間に、弾性層(13)を有する弾性支承体(7)を介在させ、中央部突起(5)に固定したアップリフト止め金具(12)により、前記他方の金属板(11)の中心孔(24)の周縁部外面(28)を押えるようにすると共に、前記他方の金属板(11)の凹部(18)と他方の構造物に固定される支承板(10)の凹部(16a)とにせん断キーを嵌合させて横方向の移動を拘束して一体化を図るようにした上揚力と水平力の抵抗装置組み込み弾性支承装置において、
    前記支承板(10)の凹部(16a)と、前記他方の金属板(11)の凹部(18)とに渡って鋼製筒状のせん断キー(17)が嵌合配置され、かつ、前記支承板(10)の凹部(16a)と同心状に設けられたボルト挿通孔と、そのボルト挿通孔と同心状に設けられた構造物側のボルト挿通孔と、他方の金属板(11)の凹部(18)に渡って挿通配置されると共に前記他方の金属板(11)の凹部(18)に同心状に設けられた雌ねじ孔(25)にねじ込まれるボルト(19)で、かつ前記筒状のせん断キー(17)内に嵌合配置されるボルト(19)を備えていることを特徴とする上揚力と水平力の抵抗装置組み込み弾性支承装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007291676A (ja) * 2006-04-24 2007-11-08 Kaimon:Kk 構造物用ゴム密封型固定支承装置
JP2008133644A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Kawaguchi Metal Industries Co Ltd 橋梁用固定支承構造
WO2022209066A1 (ja) * 2021-03-30 2022-10-06 ショーボンド建設株式会社 橋梁の耐震補強装置

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