JP2006089820A - フッ素電解装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フッ化水素含有溶融塩を電気分解しフッ素を発生させるフッ素電解装置において、フッ素電解装置は、フッ化水素含有溶融塩を収納し電気分解する電解槽と、電解電極としての陽極と陰極30を有し、陽極は、陽極上部21と陽極下部22が一体的に炭素から形成され、陽極上部21は、その上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着され、陽極下部22は、断面略逆U字形又は、炭素板を平行に並べて形成され、断面略逆U字形の内部又は平行な炭素板の間に凹部23を有し、陰極30は、陽極20の断面略逆U字形の凹部に装着され、陰極30と凹部23の間には、陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜12を装着したフッ素電解装置である。
【選択図】図2
Description
このフッ素ガスの製造は、通常、大型のフッ素電解装置を使用して製造されている。製造されたフッ素ガスは、例えば、ボンベ等に充填されて、半導体の製造工場に運搬されて、半導体の製造工程において、半導体のエッチングに使用されるために、半導体の製造設備の付近に供給されている。
また、フッ素ガスは高価なため、多量のフッ素ガスを貯蔵しておくこともコストアップの要因となり、好ましくなかった。
また、フッ素ガスの製造として、フッ化カリウムとフッ化水素の混合溶融塩を電解するためには、陽極として炭素が使用され、陰極や電解槽には金属が使用されている。
大型のフッ素電解装置においては、電極も大型となり、電極を保持する部材や、陽極の炭素板は、電解中に破損や破壊しないように強度が大きいものが必要とされ、また、いわゆる陽極効果の発生を防止する必要もあった。
しかしながら、金属膜と炭素電極との間にフッ素ガスやフッ化水素ガスが侵入したりして、その耐蝕性は必ずしも充分でなく、耐蝕性の充分な長期間安定的に作動する炭素電極が望まれていた。
そして、陽極を実質的に炭素のみで形成することにより本発明をなすことができた。
フッ素電解装置は、フッ化水素含有溶融塩を収納し電気分解する電解槽と、電解電極としての陽極と陰極を有し、陽極は、陽極上部と陽極下部が一体的に炭素から形成され、陽極上部は、その上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着され、陽極下部は、断面略逆U字形に形成され、断面略逆U字形の内部に凹部を有し、陰極は、陽極の断面略逆U字形の凹部に装着され、陰極と断面略逆U字形の凹部の間には、陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜を装着したフッ素電解装置である。
陽極上部は、その上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着されるため、電解槽の上部外壁から外部に突出した部分で電解電流を受電することができる。したがって、炭素電極の受電部分が電解槽内になく、フッ化水素等にさらされることなく、接触抵抗が増加することはない。
さらに、陰極と断面略逆U字形の凹部の間には、陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜を装着した。このため、陰極を陽極に接近させて装着しても、陽極で発生したフッ素ガスを、陰極で発生した水素ガス等から確実に分離することができる。
フッ素電解装置は、フッ化水素含有溶融塩を収納し電気分解する電解槽と、電解電極としての陽極と陰極を有し、陽極は、陽極上部と陽極下部から形成され、陽極上部は、金属から形成され、その上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着され、陽極下部は、複数の炭素板から形成され、複数の陽極下部の上端が陽極上部の下端の両側にそれぞれ白金製の固定具又は白金で被覆された固定具により固着されて、陽極上部下端と陽極下部により断面略逆U字形に形成され、断面略逆U字形の内部に凹部を有し、陰極は、断面略逆U字形の凹部に装着され、陰極と陽極の断面略逆U字形の凹部の間には、陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜を装着したフッ素電解装置である。
陽極上部は、金属から形成され、その上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着されており、金属から形成されているため、加工が容易であり、後述する陽極下部を取り付けるネジ孔等を容易に形成することができる。電解槽の上部外壁から外部に突出した陽極上部の上端に電解電流を流す電線を接続することにより電解を行なうことができる。
また、陰極と断面略逆U字形の凹部の間には、断面略逆U字形の隔膜を装着した。このため、陰極を陽極に接近させて装着しても、陽極で発生したフッ素ガスを陰極で発生した水素ガス等から確実に分離することができる。
フッ素電解装置は、フッ化水素含有溶融塩を収納し電気分解する電解槽と、電解電極としての陽極と陰極を有し、陽極は、複数の炭素板が間隔を置いて平行に固定されて形成されるとともに、陽極の上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着され、陽極の平行に固定された炭素板の間の下方にそれぞれ陰極が装着され、陰極と平行の炭素板の間には、陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜を装着したフッ素電解装置である。
陽極の上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着されているため、請求項1の発明と同様に、電解槽の上部外壁から外部に突出した部分で、電解電流を受電することができる。従来炭素電極に電解電流を流すときに、電解層の内部で炭素電極と、その炭素電極を保持し電解電流を流す金属が接触していたが、本発明では陽極は実質的に炭素のみで形成され、この場合に腐食性の強いフッ化水素等がその接触部分に侵入し、接触抵抗を増加させ、発熱等の原因となっていた。したがって、炭素電極の受電部分がフッ化水素等にさらされることなく、接触抵抗が増加することはない。
さらに、陰極と陽極の炭素板の間には、断面略逆U字形の隔膜を装着した。このため、陰極を陽極に接近させて装着しても、陽極で発生したフッ素ガスを、陰極で発生した水素ガス等から確実に分離することができる。
陽極を実質的に炭素のみで形成し接合部分が無くするか、あるいは、接合部等を白金で固着したため、腐食性の強いフッ化水素に対しても耐食性が高く、強度も強く、電気的接触抵抗が増加することがない。
まず、図1〜図4により第1の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態であるフッ素電解装置の模式図である。図2は、図1の中央部分での断面図である。
フッ素電解装置は電解槽10と、電解槽10の中に装着される電解電極である陽極20、陰極30等から形成される。
循環する温水は、送水口43から温度調整器40の水槽に送られ、温度調整器40により所定の一定温度に保たれる。即ち、温度調整器40の水槽にはヒーター41が挿入され、水温を温度計42で測定し、その水温に応じてヒーター41により加熱され、温水は一定温度に保たれる。その温水は、ポンプ45により送水管46を通り、電解槽10の外壁11に送られる。この温水により外壁11を介して、フッ化カリウムとフッ化水素の混合溶融塩は、温められて恒温に保たれる。
さらに、上部外壁11aの隔壁12に囲まれた陽極20の付近に陽極ガス出口13が設けられている。この陽極ガス出口13から電解により陽極から発生したフッ素ガスが取り出される。
上部外壁11aの隔壁12に囲まれた部分の外側の外壁11の側部付近に陰極ガス出口14が設けられ、電解により陰極から発生した水素ガスが取り出される。
さらに、上部外壁11aにサンプリング取出し部17が設けられ、電解槽10内の状態を監視することができる。また、上部外壁11aに温度計18とレベルゲージ19も装着され、電解槽10の内部のフッ化水素含有溶融塩の温度と量を監視することができる。
陽極20は、第1の実施の形態では、図3と図4に示す形状を有している。図3は、陽極20の正面図であり、図4は、陽極20の側面図である。陽極20は、陽極上部21と陽極下部22から構成され、炭素のみにより一体的に形成される。陽極20の大きさは、例えば、縦が30〜40cm、横が20〜30cm、幅が10〜20cm程度にすることができる。陽極20は、この程度の大きさのため、炭素のみで形成されても強度的には充分である。陽極20は、陽極上部21と陽極下部22が一体的に炭素のみから形成されているため、陽極20において接合部分がなく、強度も強く、陽極20相互の接触部分がなく電気的接触抵抗が生ずることがない。陽極上部21と、後述する陽極下部22は、一体に形成されて、1個の炭素のブロックから削りだすことにより形成することができる。
電解槽10の内部で炭素電極を保持する場合と比べて、炭素電極と金属の接触部分が電解槽10の内部に存在しなく、炭素電極とその保持部分が腐食性の強いフッ化水素等にさらされることなく、接触抵抗が増加することはない。
陽極下部22は、電解槽10のフッ素含有溶融塩中に挿入され、陰極30との間で電解が行なわれる。このとき、陽極下部22は、陽極下部凹部23の上部に若干空間ができる程度にフッ素含有溶融塩中に挿入されることが、電解により発生したガスを収集する上で好ましい。
陽極下部22は、断面略逆U字形に形成され、内部に陽極下部凹部23を有し、陰極30は、断面略逆U字形の凹部23に装着されている。このため、陰極30に対面する陽極下部22の表面は2面となり、電気分解によるフッ素ガスの発生を多くすることができる。さらに、陰極30を陽極20の断面略逆U字形の陽極下部凹部23に挿入して装着し、後述する内側隔膜12aで発生ガスを分離することができるため、両極の距離を短くすることができ、電解液の抵抗を減少させ、電解効率を上げることができる。
隔膜は12、モネルで形成されたため、腐食に強く、フッ化水素浴中でも長時間使用することができ、引張強さも強く陽極20の形状に応じた加工ができ、フッ素電解装置をコンパクトに形成することができる。
内側隔膜12aの上部は、図3に示すように、断面を陽極下部凹部23に合わせてコーナーが角ばった形状とすることが好ましい。
このため、内側隔膜12aの断面略U字形の上部に溜まり、その上部を左右の端部に向けて移動した陰極30の発生ガスは、外側隔膜12b、電解槽外壁11、上部外壁11aとフッ素含有溶融塩の表面とで形成された空間に流出し、電解槽外壁11から発生したガスとともに捕集され、陰極ガス出口14から取り出される。
このようにして、陽極20と陰極30から発生したガスは、混合することなく分離して、取り出すことができる。
図5は、陽極20の正面図である。陽極20は、陽極上部21と陽極下部22から構成され、炭素により一体的に形成される。陽極20の大きさは、第1の実施の形態と同様で幅が若干大きく、例えば、縦が30〜40cm、横が20〜30cm、幅が20〜30cm程度にすることができる。陽極20は、陽極上部21と陽極下部22が一体的に炭素のみから形成されているため、陽極20において接合部分がなく、強度も強く、陽極20相互の接触部分がなく陽極上部と陽極下部の間で電気的接触抵抗が生ずることがない。
陽極下部22は、図5に示すように断面が略逆U字形が2個並んで形成され、陽極下部上辺22a、陽極下部右辺22b、陽極下部左辺22c、および陽極下部右辺22bと陽極下部左辺22cの間に設けられた陽極下部中辺22dから形成されている。陽極下部22の2つの断面略逆U字形の内部は、それぞれ陽極下部凹部23となり、それぞれ陰極30が挿入される。陽極下部22は、電解槽10のフッ素含有溶融塩中に挿入され、陰極30との間で電解が行なわれる。
図6は、陽極20の側面図である。陽極20は、2枚の陽極板24、24から構成される。陽極板24は、それぞれ板状の炭素により一体的に形成される。陽極板24の大きさは、例えば、縦が30〜40cm、横が20〜30cm、厚さ幅が1〜3cm程度にすることができる。
陽極板24は、炭素のみからなる1枚の炭素板から形成されているため、陽極20内において陽極20相互の接合部分がなく、強度も強く、接触部分がなく電気的接触抵抗が生ずることがない。
電解槽10の内部で炭素電極を金属製の保持部材で保持する場合と比べて、炭素電極と金属の接触部分が電解槽10の内部に存在しなく、炭素電極とその保持部分が腐食性の強いフッ化水素等にさらされることなく、接触抵抗が増加することはない。
第3の実施の形態の陽極20は、複数の炭素板が間隔を置いて平行に固定されて形成されている。このため、炭素板を平行に固着すればよく、陽極の製造が容易である。陽極板24の上端が電解槽の上部外壁から外部に突出して装着されているため、請求項1の発明と同様に電解槽の上部外壁から外部に突出した部分で電解電流を受電することができる。
図7は、陽極20の正面図、図8は、陽極20の側面図、図9は、図8における陽極上部25と陽極下部26との接合部分の拡大図である。
このため、陽極20は陽極上部25と陽極下部26を別々に形成することができ、別々の素材を使用することができ、製造が容易であり、コストも下げることができる。陽極上部25は、金属から形成されているため、加工が容易であり、陽極下部26を取り付けるネジ孔等を容易に形成することができる。
陽極上部25の下部は、水平に板状に形成された陽極上部下辺25aを形成し、陽極上部下辺25aの両側端に、陽極下部右辺26bと陽極下部左辺26cがそれぞれ固着されている。
この白金ペーストは、接合面のみならず陽極下部右辺26b及び陽極下部左辺26c全体に塗布してもよい。
接合面を含む陽極下部右辺26b及び陽極下部左辺26cの全体に白金ペーストを塗布した場合は、一層耐蝕性を向上させることができる。
11 電解槽外壁
12 隔膜
20 陽極
21、25 陽極上部
22、26 陽極下部
23、27 陽極下部凹部
29 固定具
30 陰極
Claims (7)
- フッ化水素含有溶融塩を電気分解しフッ素を発生させるフッ素電解装置において、
上記フッ素電解装置は、フッ化水素含有溶融塩を収納し電気分解する電解槽と、電解電極としての陽極と陰極を有し、
該陽極は、陽極上部と陽極下部が一体的に炭素から形成され、上記陽極上部は、その上端が上記電解槽の上部外壁から外部に突出して装着され、上記陽極下部は、断面略逆U字形に形成され、該断面略逆U字形の内部に凹部を有し、
上記陰極は、上記陽極の断面略逆U字形の上記凹部に装着され、上記陰極と断面略逆U字形の上記凹部の間には、上記陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜を装着したフッ素電解装置。 - フッ化水素含有溶融塩を電気分解しフッ素を発生させるフッ素電解装置において、
フッ素電解装置は、フッ化水素含有溶融塩を収納し電気分解する電解槽と、電解電極としての陽極と陰極を有し、
該陽極は、陽極上部と陽極下部から形成され、上記陽極上部は、金属から形成され、その上端が上記電解槽の上部外壁から外部に突出して装着され、上記陽極下部は、複数の炭素板から形成され、複数の上記陽極下部の上端が上記陽極上部の下端の両側にそれぞれ白金製の固定具又は白金で被覆された固定具により固着されて、上記陽極上部下端と上記陽極下部により断面略逆U字形に形成され、該断面略逆U字形の内部に凹部を有し、
上記陰極は、上記陽極の断面略逆U字形の上記凹部に装着され、上記陰極と上記断面略逆U字形の上記凹部の間には、上記陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜を装着したフッ素電解装置。 - 上記陽極下部の上端と上記陽極上部の下端の固着部分又は該固着部分を含む上記陽極の炭素板に白金コーティングが施された請求項2に記載のフッ素電解装置。
- 上記隔膜は、モネルで形成された請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフッ素電解装置。
- 上記陽極下部は、複数の断面略逆U字形に形成され、その複数の断面略逆U字形の内部にそれぞれ凹部を有し、該凹部にそれぞれ陰極が装着された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフッ素電解装置。
- フッ化水素含有溶融塩を電気分解しフッ素を発生させるフッ素電解装置において、
上記フッ素電解装置は、フッ化水素含有溶融塩を収納し電気分解する電解槽と、電解電極としての陽極と陰極を有し、上記陽極は、複数の炭素板が間隔を置いて平行に固定されて形成されるとともに、上記陽極の上端が上記電解槽の上部外壁から外部に突出して装着され、上記陽極の平行に固定された炭素板の間の下方にそれぞれ上記陰極が装着され、上記陰極と上記平行の炭素板の間には、上記陰極を覆う断面略逆U字形の隔膜を装着したフッ素電解装置。 - 上記隔膜は、上記陰極と陽極の間に装着された断面略逆U字形の内側隔膜と、上記陽極の外周に装着された外側隔膜から形成された請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のフッ素電解装置。
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