JP2006085018A - プラスチック光ファイバ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、低伝送損失なプラスチック光ファイバに関するものである。
プラスチック光ファイバ(以下、POFと略する。)は、ガラス系光ファイバに比べて伝送損失が大きいという短所はあるものの、安価で取り扱い性が容易であるため、機器間・車内・宅内等での通信、ポイントセンサー等の光信号伝送用途として使われている。現在、製造されているPOFのほとんどのものは、コアがポリメチルメタクリレート(PMMA)、クラッドがフッ素系樹脂で構成されるステップインデックス(SI)型POFである。
一方、近年石英系ファイバにおいて、クラッドの屈折率を周期的に変化させ、ブラッグ反射によって光がクラッドの外に漏れるのを防ぐ構造をしたフォトニックバンドギャップファイバ(PBGF)が注目を集めている。例えば、N.Venkataraman et al.,"Low loss(13dB/km) air core photonic band-gap fibre," ECOC2002,PD1.1,2002(非特許文献1)、および、T.P.Hansen st al.,"Air-guidance over 345 km large-core photonic bandgap fiber,"OFC2003,PD4,2003(非特許文献2)にはこのようなPBGFが紹介されている。
N.Venkataraman et al.,"Low loss(13dB/km) air core photonic band-gap fibre," ECOC2002,PD1.1,2002
T.P.Hansen st al.,"Air-guidance over 345 km large-core photonic bandgap fiber,"OFC2003,PD4,2003
しかし、従来のPOFおよびPBGFに波長650nm近傍の光を入射し、信号伝送用途として使用した場合、コアに用いられる材料固有の赤外吸収損失の倍音、紫外吸収損失、レーリー散乱などの発生によって伝送損失がするため、その用途は短距離の光通信用途に限られていた。
本発明によれば、従来のPOFに比べて格段に伝送損失を低減させたプラスチック光ファイバを提供できる。
本発明の構造を持つPOFを以下、PBG−POFと記述する。
図1は、本発明のPBG−POFの断面の屈折率分布(図1(b))を従来のPOFの屈折率分(図1(a))と比較したものである。すなわち本発明のPBG−POFは、従来のSI型POFのコアに相当する部分が中空状であって、前記中空上のコアの外周部に形成されたクラッドは、屈折率の異なる2種の樹脂層が交互に同心円状に積層された構造をしている。このようなPBG−POFでは、内部に導かれた光は、周期的な屈折率変化をするクラッドにおいてブラッグ反射を繰り返しながら、中空状のコア内部を進行していく。ここでコアは中空であるため、従来のPOFのようにコア材固有の光損失は発生することがない。伝送損失の発生要因には、クラッドで発生する損失もあるものの、コアでの損失が大部分を占めるため、コアを中空とすることによって非常に長距離にわたって光を伝送することができる。
本発明のPBG−POFのクラッド層であるが、図1(b)においては屈折率がn1およびn3(n1<n3)の2種の樹脂層が4周期にわたって繰り返されているが、この層の数は多いほどブラック反射によりコア内部に光を閉じ込める効果がより大きくなる。しかし層数が少なすぎるとファイバとして必要な機械的強度が不足してしまう。これらの点を考慮すると本発明において層数の好ましい値は100層以上である。また、屈折率n3はn1よりも低くともよい。
クラッド層を形成する2種の樹脂層の厚みであるが、屈折率ni(i=1,3)に相当する樹脂層の厚みをそれぞれdi(i=1,3)とすると、diの値は、伝搬させたい光線の中で最大の伝搬角度を持った光線に対して周期構造部分が効率良く働く(反射する)よう次式(II)を満足するように設定する必要がある。
ここで、θi,maxはコア中での最大の伝搬角度を持つ光線の周期構造ni層における伝搬角度を表わす。通常は、通信用途で使用されるPOFの場合、入射角として少なくとも0.3rad程度を考慮すればよい。
ここで、θi,maxはコア中での最大の伝搬角度を持つ光線の周期構造ni層における伝搬角度を表わす。通常は、通信用途で使用されるPOFの場合、入射角として少なくとも0.3rad程度を考慮すればよい。
上記のクラッドに用いる2種の樹脂の組み合わせとしては、従来のプラスチック光ファイバで用いられていた樹脂をそのまま適用することができ、例えば屈折率差が0.3程度になるものを挙げると、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタクリレート系ポリマーと、フッ素化メタクリレート系ポリマーやフッ化ビニリデン系ポリマーなどとの組み合わせ等があるが、これらに限定されるものではない。
より屈折率の高い樹脂材料を得るには、樹脂中に高屈折率の無機物質をナノ分散させたものなどを用いてもよい。たとえば、通常ポリマー単独では、屈折率を1.8程度にすることは難しいが、屈折率が2.7程度である酸化チタンをポリマー中にナノ分散させれば、屈折率1.8程度の樹脂を得ることができる。
本発明のPBG−POFの製造は、通常のPOFの製造において従来から用いられている複合紡糸を用いれば可能である。その際、ノズルの中央部を筒状にすることによって中空部が形成される。また、クラッド部は2種類のポリマーが中で交互に配置されるような分配ノズルにより多層化して形成することが可能である。
以下に、本発明のPBG−POFの好適な形態を示し、その伝送(漏洩)損失の大きさを下記の計算方法によって求め、その結果を示した。
〔実施例1〕
中空コア半径をa=250μm、クラッド樹脂の屈折率をn1=1.50、n3=1.80とした。更に、n1層の厚さd1、n3層の厚さd3、n1層数とn3層数の総和mをそれぞれ、d1=0.14μm、d3=0.11μm、m=180とした。コアは中空なのでその屈折率はnair=1.00である。d1、d3の値は、上記の式(II)において波長λ=0.65μm、コア中の光の最大伝搬角度θ=0.3radとして設定した。クラッドの層数の総和mは、漏洩損失を十分に低減でき、かつ実際に製造可能な範囲を考慮して180層とした。
中空コア半径をa=250μm、クラッド樹脂の屈折率をn1=1.50、n3=1.80とした。更に、n1層の厚さd1、n3層の厚さd3、n1層数とn3層数の総和mをそれぞれ、d1=0.14μm、d3=0.11μm、m=180とした。コアは中空なのでその屈折率はnair=1.00である。d1、d3の値は、上記の式(II)において波長λ=0.65μm、コア中の光の最大伝搬角度θ=0.3radとして設定した。クラッドの層数の総和mは、漏洩損失を十分に低減でき、かつ実際に製造可能な範囲を考慮して180層とした。
〔伝送損失の計算方法〕
以下に伝送損失(漏洩損失)の計算手法を説明する。
以下に伝送損失(漏洩損失)の計算手法を説明する。
本発明のようにコアが中空状のPOFであっても伝送(漏洩)損失が全く発生しないわけではない。クラッドの周期的な屈折率変化によっても光が100%は反射されないので、光はコア・クラッド境界に衝突する度にコアからクラッドへ少しずつ漏洩し、伝送損失が発生する。
ここでは発生する漏洩損失について、伝搬モードの中の軸対称モードに対応する子午光線について算出する。伝搬モードの大半は非軸対称モードであり、これに対応するのは螺旋光線である。ただし、伝搬定数が等しい軸対称モードと非軸対称モードに対応する子午光線および螺旋光線を比較した場合、後者の方が前者に比べてコア・クラッド境界面となす角度が小さく漏洩損失も小さいと予想されるため、子午光線のみを考えることとする。
図2に、PBG−POF中に子午光線が伝搬する様子を示す。光線がコア・クラッド面に衝突したときの反射係数をRとすると、一回の衝突による漏洩損失α[dB]は下記式(III)
で示される。図2のようにコア半径をa、光線の伝搬角度をθとするとき、光線がコア・クラッド境界で衝突した後、次に衝突するまでに伝搬する距離L[m]は、下記式(IV)
で表されるので、式(III)、(IV)より、単位長当たりの漏洩損失γ[dB/km]は次式(V)で計算される。
で示される。図2のようにコア半径をa、光線の伝搬角度をθとするとき、光線がコア・クラッド境界で衝突した後、次に衝突するまでに伝搬する距離L[m]は、下記式(IV)
で表されるので、式(III)、(IV)より、単位長当たりの漏洩損失γ[dB/km]は次式(V)で計算される。
ここで、光線がコア・クラッド面に衝突したときの反射係数Rの計算方法を説明する。光が境界面に斜めに入射する場合の反射率は、偏波面の方向によって反射率が異なる。入射面に平行な電界を持つ光線をRay−rで表し、入射面に垂直な電界を持つ光線をRay−φで表す。光ファイバ中での伝搬を考えたとき、Ray−rは電界が半径方向、磁界が周回方向の成分を持つ光線に相当し、TMモードに対応する。一方、Ray−φは電界が周回方向、磁界が半径方向の成分を持つ光線に相当し、TEモードに対応する。
図3は、光が境界面に入射する場合の光線を含む面内での反射の様子を表したものである。図3において、中央の媒質(屈折率n2)から上部媒質(屈折率n1)に向かって光が進むときの境界面A-A’における反射率RAは次式(VI)で表される。
ただし、zi(i=1,2)は次式(VII)
で与えられる。
スネルの法則より、θ1とθ2の間には次の関係式(VIII)が成り立つ。
ただし、zi(i=1,2)は次式(VII)
で与えられる。
スネルの法則より、θ1とθ2の間には次の関係式(VIII)が成り立つ。
次に、光線が下部媒質(屈折率n1)から中央の媒質(屈折率n2)に向かって進むときの境界面B-B’における反射率について考える。境界面A-A’がなく、中央の媒質(屈折率n2)が上方に無限に広がっているときの反射率RBは次式(IX)で求められる。
境界面A-A’があると、図3に示したように境界面A-A’とB-B’の間で多重反射が起きるが、この効果も含めた反射率RB dは次式(X)で計算される。
ただし、
ここで、λは真空における光波長である。
境界面A-A’があると、図3に示したように境界面A-A’とB-B’の間で多重反射が起きるが、この効果も含めた反射率RB dは次式(X)で計算される。
ただし、
ここで、λは真空における光波長である。
式(X)は、図3の境界面A-A’の上方に更に境界面がある場合にも適用可能である。この場合の境界面A-A’における反射率RAを式(X)と同様の式を使って求め、これを式(X)に代入することで求められる。このように、式(X)を繰り返し使用することによって、任意の周期構造からの反射率を計算することが可能であり、その結果を式(III)、(IV)、(V)に代入して漏洩損失を計算することができる。
図4は Ray−r(TMモード対応)に関して、周期構造n1層とn3層の境界における多重反射を含まない反射率をコア中での伝搬角度の関数として計算した結果である。また、このときの漏洩損失を伝搬角度の関数として計算した結果が図5である。180層の周期構造を設けることによってRay−rの漏洩損失は伝搬角度0〜0.3radにおいて10[dB/km]以下に抑えることができる。
図6はRay−φ(TEモード対応)に関して、周期構造n1層とn3層の境界における多重反射を含まない反射率をコア中での伝搬角度の関数として計算した結果である。このときの損失は伝搬角度0〜0.5rad.において1[dB/km]以下であった。
以上のように本発明のPBG−POFの伝送損失は、従来のPOFと比較して格段に伝送損失を下げることができ、その結果、光伝送距離を格段に伸ばすことができる。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004271949A JP2006085018A (ja) | 2004-09-17 | 2004-09-17 | プラスチック光ファイバ |
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JP2004271949A JP2006085018A (ja) | 2004-09-17 | 2004-09-17 | プラスチック光ファイバ |
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JP (1) | JP2006085018A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5007297B2 (ja) * | 2006-03-22 | 2012-08-22 | シャープ株式会社 | 液晶組成物並びに液晶表示素子 |
-
2004
- 2004-09-17 JP JP2004271949A patent/JP2006085018A/ja active Pending
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