JP2006084016A - 耐火二層管用遮音形外管とその製造方法 - Google Patents

耐火二層管用遮音形外管とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維混入モルタルで構成された耐火二層管の外管であって、内管とのスライド性を損なわず且つ遮音機能を具備した製造容易な遮音形外管を提供すること。
【解決手段】耐火二層管1を構成する合成樹脂製の内管2の外周に装着される繊維混入モルタル製の外管3を、未硬化の繊維混入モルタルからなるモルタルシート6と遮音性を有する樹脂シート7を重ねた重層シート8を中空円筒状に巻き、該樹脂シートの外面9と内面10がモルタルシートで覆われた中空円筒状の外管で構成した。該重層シートを、樹脂シートの外面と内面がモルタルシートにより覆われるように円筒軸12に巻き付け、円筒状の重層シートを乾燥硬化させ、円筒軸を抜き出して外管を製造する。
【選択図】図2

Description

本発明は、合成樹脂製の内管の外周に繊維混入モルタル製の外管を装着した構成の耐火二層管に用いられる遮音形外管とその製造方法に関する。
従来から高層住宅などの直管状の排水管として硬質合成樹脂製の内管の外周に繊維混入モルタル製の外管をスライド可能に装着した構成の耐火二層管が知られている。この耐火二層管は、内管が硬質合成樹脂であるため腐食しにくく円滑に排水でき、外管が繊維混入モルタル製であるので1,200℃程度の火災の熱に耐え、階下の火災により内管が燃えて上層階へ延焼するという不都合を防止できる利点がある。
モルタル製の外管は、両端に接続代を有する内管よりも短く製作され、配管工事の際の長さ寸法の調節を簡単に行うため、内管の外径よりも外管の内径を多少大きく形成し、内管と外管の間にわずかな隙間を設けることによって外管を内管に対してスライド可能に装着している。この構成により、外管をスライドさせて内管を所定寸法に切断し、次いで内管の端部から外管をせり出させてこれを切断することができ、外管の長さ調節作業が容易に行える利点がある。
この耐火二層管を各階の上下に貫通して配管設備した場合、管内を多量の排水が流れるときに排水音が配管から漏れるという不都合があり、高層住宅やホテルなどの静粛性が要望される建物に配管する場合、耐火二層管の周囲に遮音シートを巻きつけたり、内管と外管の間に遮音材を介在させることが提案されている(特許文献1、2)。
実用新案登録第3036449号 特許第3156662号公報
上記のような配管した耐火二層管の周囲に遮音シートを巻きつける方式では、耐火二層管の配管時間のほかに遮音シートを巻きつける時間がかかり、迅速な工事を行えない不都合があり、また、内管と外管の間に遮音材を介在させた構成の耐火二層管は、製作が困難で製造価格が高価になり、外管のスライドを制御して適当な位置に停止させることが困難で長さ調節作業を簡単に行えない。
本発明は、耐火性の良い繊維混入モルタルで構成された耐火二層管の外管であって、内管との適当なスライド性を備えるとともに遮音機能を具備した製造容易な遮音形外管を提供することをその課題とするものである。
本発明では、上記した課題を解決するため、耐火二層管を構成する合成樹脂製の内管の外周にスライド可能に装着される繊維混入モルタル製の外管を、未硬化の繊維混入モルタルからなるモルタルシートと遮音性を有する樹脂シートを重ねた重層シートを中空円筒状に巻き、該樹脂シートの外面と内面がモルタルシートで覆われた中空円筒状の外管で構成した。該樹脂シートの外面及び内面に、モルタルシートとの接合を可能にするための接合加工を施しておくことが好ましい。また、この樹脂シートの巻き込み方向の長さは、該外管を少なくとも一周する長さを有し、該モルタルシートの巻き込み方向の長さは、該樹脂シートの巻き込み方向の長さより長く、その巻き込み方向の前後に樹脂シートの前後端部をモルタルに埋没させるための封入代を設けることが好ましい。
未硬化の繊維混入モルタルからなるモルタルシート上に遮音性を有する樹脂シートを重ねて重層シートを形成し、この重層シートを、該樹脂シートの外面と内面が該モルタルシートにより覆われるように円筒軸に巻き付け、その重層シートを乾燥硬化させたのち該円筒軸を抜き出すことにより該外管が製造される。この場合、該重層シートの巻き付け開始側端部のモルタルシートに、該円筒軸を少なくとも一周する長さの巻き付け代を設け、該樹脂シート側の面を内側にして該開始側端部から該円筒軸に巻き付けすることが好ましい。
本発明では、繊維混入モルタルからなるモルタルシートに遮音性の樹脂シートを重ねた重層シートを中空円筒状に巻き込むことにより耐火二層管の外管を形成したので、耐火性が良好で外管内部に埋設した遮音材で遮音性を発揮させることができ、遮音材が外管の内部に埋入されており、耐火二層管の内管と外管の間には介在しないので外管と内管のスライドが容易になり、スライドさせて耐火二層管の長さの調節を簡単に行える効果があり、重層シートを円筒体に巻き付けて外管を製作するときに同時に遮音材を埋設するので別途に遮音材を設けるための工程が不要になり、簡単且つ安価に遮音機能を有する外管を製作できる。該樹脂シートの外面及び内面に、モルタルシートとの接合性を付与するための接合加工を施しておくことで、樹脂シートとモルタルシートが接合した一体性の良い外管が得られる。
重層シートの巻き付け開始側端部のモルタルシートに、円筒軸を少なくとも一周する長さの巻き付け代を設け、樹脂シート側の面を内側にして重層シートを円筒軸に巻き付けすることで、樹脂シートの外面と内面をモルタルシートで覆った外管を簡単に製作できる。
本発明の実施の形態を図面に基づき説明すると、図1において、符号1は、硬質塩化ビニールなどの合成樹脂製の内管2の外周に繊維混入モルタル製の外管3を装着した耐火二層管を示す。内管2と外管3の間には、これら内管2と外管3を相対的にスライド可能にするため、1.5mm程度のわずかな隙間4が設けられており、この隙間4には、例えば長さ方向の2箇所に、輪ゴムやホットメルト樹脂のリングなどのスライド制御体5を押しつぶした状態で介在させ、適度な力を加えることによりそのスライドを行えるようにし、前記した配管長さを調節するときに内管2や外管3をスライドさせてその切断作業を簡単迅速に行えるようにした。
こうした構成の耐火二層管1は、外管3がモルタル製であるため火災の高温に耐えられる利点があるが、合成樹脂製の内管2の内部を流れる排水の騒音が外部へ漏れる不都合があり、これを解消すべく、本発明では、該外管3を、未硬化の繊維混入モルタルからなるモルタルシート6と遮音性を有する樹脂シート7を重ねた重層シート8を中空円筒状に巻き、該樹脂シート7の外面9と内面10が耐火性のよいモルタルシート6で覆われた中空円筒状に形成した。
該外管3の製造状態の一例は図3乃至図5に示す如くであり、移動するネットコンベア11上に、内管2を2周する程度以上の長さを有し内管2の長さよりもやや短い程度の幅に裁断された未硬化の繊維混入モルタルからなるモルタルシート6を載せ、さらに該モルタルシート6上に、該内管2の外面を一周以上周回する程度の長さを有し且つ幅が外管3の長さ程度を有する遮音性の樹脂シート7を載せることにより重層シート8を作製する。該樹脂シート7の外面9及び内面10には、図示してないがモルタルシート6と接合させるために不織布の貼り付けやエンボス加工などの接合加工を施し、モルタルの硬化後に樹脂シート7とモルタルシート6が一体化して丈夫な外管3が形成されるようにした。重層シート8が円筒軸12に巻き付け開始される側には、少なくとも円筒軸12を一周する長さの巻き付け代13を設けておき、その巻き付け終了側には樹脂シート7の端部をモルタルシート6内に封入するための封入代14を設けておく。該ネットコンベア11は外管3の長さと内径を有する円筒軸12を循環して移動し、その際、該重層シート8はモルタルシート6が未硬化で付着力があるため円筒軸12に巻き付き、樹脂シート7を巻き込んでその外面9と内面10がモルタルシート6で覆われ、巻き付け代13と封入代14があるので、樹脂シート7の巻き始めと巻き終わりの端部は、モルタル中に埋没する。この巻き付けが終わると、円筒軸12をコンベア11上から下ろし、これを乾燥したのち円筒軸12から巻き付いた重層シート8を抜き出すことによって繊維混入モルタル製の中空円筒状で耐火性のよい遮音形外管3が製作される。
そして、別途に用意した、周囲に輪ゴムやホットメルト樹脂などによりスライド制御体5を設けた硬質塩化ビニール製の内管2の外周に該外管3を挿通することで、図1、図2の構造を有する長さ寸法の調節容易な耐火二層管1が得られる。
該繊維混入モルタルシート6には、例えば、普通ポルトランドセメント64%、骨材21%、無機質繊維10%、有機質繊維5%からなる原料を含水率28%になるように混練したものが使用される。また、遮音性を有する樹脂シート7には、例えば鉄粉や鉛などの高比重物質を配合した塩化ビニールシートの表面に不織布を貼り、その裏面にエンボス加工を施した厚さ1.2mm程度のシートを使用すると、比較的しなやかで円筒軸12へ巻き付けた際の成形性がよく、硬化後にその両面がモルタルシート6と適度に接合して一体化し、遮音性のある丈夫な外管3が得られる。
乾燥硬化させた外管3の長さ方向の両端は、内管2の長さに合わせてサイジングされるが、上記の円筒軸12に巻き付けたのち繊維混入モルタルでその両端を封鎖し、樹脂シート7をモルタル中に封入することも可能である。
本発明の構成の外管3は、所定の寸法に形成された繊維混入モルタルシート6を円筒軸12に巻きつける工程において、このモルタルシート6に遮音性の樹脂シート7を重層して重層シート8とし、これを円筒状に巻いて製作するもので、外管3の製作と同時に遮音性の樹脂シート7を外管3の耐火性を損なわずに簡単に装備することができる。また、外管3中に樹脂シート7が設けられるので外管3を内管2に対して自在にスライドすることができ、耐火二層管1の長さ調整を容易に行える。
該重層シート8は、図6に示すように、ネットコンベア11上に所定寸法に裁断した樹脂シート7を載せ、次にモルタルシート6を重ねたのち円筒軸12に巻き付けするようにしてもよい。この場合は、巻き込み開始側の巻き付け代13はわずかな長さでよく、巻き付け終了側の封入代14には少なくとも円筒軸12を一周する長さ以上を設けるようにすればよい。
硬質塩化ビニール製の長さ2100mm、外径114mm、肉厚6.6mmの内管2に適合する長さ2000mm、内径115.5mmの外管3を製作するため、上記組成の繊維混入モルタルシート6を厚さ2mm、長さ1248mm、幅2100mmに形成してコンベア11上に載せ、円筒軸12に向けて搬送される途中において、長さ400mm、幅2000mmの長方形に切断した遮音性の樹脂シート7を載せて重層シート8を形成した。樹脂シート7は、モルタルシート6の巻き込み開始側から400mmずらして載せ、これにより樹脂シート7の前方に巻き付け代13を形成させ、その後方の巻き終わり側に448mmの封入代14を形成した。該樹脂シート7には、高比重物質として鉄粉を配合した厚さ1.2mmの塩化ビニールシートからなり、その表面には不織布を貼り、裏面にはエンボス加工を施したものを使用した。円筒軸12の外径は115.5mmである。
この重層シート8はコンベア11が円筒軸12を循環するとき、3周少々巻き付いて円筒状に成形され、そのあとモルタルを養生硬化させ、円筒軸12を抜き出すと中空円筒状の外管3が完成する。外管3の内径は内管2の外径より1.5mm大きく、これをリング状のスライド制御体5を外周に設けた内管2に挿通することで耐火二層管1を製作した。
製作した耐火二層管1に防火区画貫通部に適用される耐火性能試験を施したところ、内管2は1,200℃で被加熱側区画へと延焼することがなかった。また、図7の構成を有する騒音測定室で2リットル/秒の水を流して騒音試験を行ったところ、10mm離れた位置のマイク15に41.6dbの騒音が検出された。このときの暗騒音は25.9dbであった。比較のために、樹脂シート7を除外した同寸法のモルタルシート6のみの通常の外管3を製作し、同様の騒音測定したところ46.3dbの騒音が検出された。このときの暗騒音は27.3dbであった。
本発明の実施の形態を示す一部截断側面図 図1の拡大縦断面図 外管の製作状態の平面図 図3の側面図 重層シートの巻き付け状態の側面図 外管の他の製作状態の側面図 騒音測定状態の説明図
符号の説明
1 耐火二層管、2 内管、3 外管、4 隙間、5 スライド制御体、6 モルタルシート、7 樹脂シート、8 重層シート、9 外面、10 内面、11 ネットコンベア、12 円筒軸、13 巻き付け代、14 封入代、

Claims (5)

  1. 耐火二層管を構成する合成樹脂製の内管の外周に装着される繊維混入モルタル製の外管を、未硬化の繊維混入モルタルからなるモルタルシートと遮音性を有する樹脂シートを重ねた重層シートを中空円筒状に巻き、該樹脂シートの外面と内面がモルタルシートで覆われた中空円筒状の外管で構成したことを特徴とする耐火二層管用遮音形外管。
  2. 上記樹脂シートの外面及び内面に、上記モルタルシートとの接合を可能にする接合加工を施したことを特徴とする請求項1に記載の耐火二層管用遮音形外管。
  3. 上記樹脂シートの巻き込み方向の長さは、上記外管を少なくとも一周する長さを有し、上記モルタルシートの巻き込み方向の長さは、該樹脂シートの巻き込み方向の長さより長く、その巻き込み方向の前後に樹脂シートの前後端部をモルタルに埋没させるための封入代を備えたことを特徴とする請求項1に記載の耐火二層管用遮音形外管。
  4. 未硬化の繊維混入モルタルからなるモルタルシート上に遮音性を有する樹脂シートを重ねて重層シートを形成し、この重層シートを、該樹脂シートの外面と内面が該モルタルシートにより覆われるように円筒軸に巻き付け、円筒状の重層シートを乾燥硬化させ、該円筒軸を抜き出して上記外管を製造することを特徴とする耐火二層管用遮音形外管の製造方法。
  5. 上記重層シートの巻き付け開始側端部のモルタルシートに、上記円筒軸を少なくとも一周する長さの巻き付け代を設け、上記樹脂シート側の面を内側にして該開始側端部から該円筒軸に巻き付けすることを特徴とする請求項4に記載の耐火二層管用遮音形外管の製造方法。
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