JP2006083930A

JP2006083930A - 自在継手

Info

Publication number: JP2006083930A
Application number: JP2004268675A
Authority: JP
Inventors: Tae Kamikawa; 多恵上川
Original assignee: JTEKT Corp
Current assignee: JTEKT Corp
Priority date: 2004-09-15
Filing date: 2004-09-15
Publication date: 2006-03-30

Abstract

【課題】騒音を確実に低減することのできる自在継手を提供すること。
【解決手段】先細り状のトラニオン２４と外輪カップ２８との間に有底円筒状の弾性部材２９が介在する。弾性部材２９の底部３１を外輪カップ２８の内底部２８ａとトラニオン２４の端面２４ｃとの間に弾性的に挟持することで、外輪カップ２８の内底部２８ａとトラニオン２４の端面２４ｃとの間の軸方向隙間を確実に詰める。弾性部材２９の筒状の主体部３０が、トラニオン２４の外周の円錐状テーパ面２４ｂと環状に配列された針状ころ２７との間に楔状に入り込むことで、トラニオン２４の外周の円錐状テーパ面２４ｂと外輪カップ２８の内周面２８ｂとの間の径方向隙間を針状ころ２７と共に確実に詰める。トラニオン２４の軸方向Ａ１および径方向Ｒ１のがたをなくし、騒音を低減する。
【選択図】図３

Description

本発明は十字軸を用いた自在継手に関する。

この種の自在継手は、十字軸の各トラニオンをヨークの対応する嵌合孔に嵌合された有底円筒状の外輪カップによって針状ころを介して支持している。
上記トラニオンの端面と外輪カップの内底部との間に、スラストワッシャを介在させる自在継手が提供されている（例えば特許文献１参照）。
また、トラニオンの端面および外輪カップの内底面にそれぞれ形成した凹部間に弾性部材を弾性変形させた状態で介在させ、弾性部材によりトラニオンを軸方向および径方向に加圧する自在継手が提供されている（例えば特許文献２参照）。
特開２００３−２８７０５５号公報特開２００１−１９３７５３号公報

上記の特許文献１，２では、トラニオンの軸方向のがたをなくす効果としては十分に期待できる。
しかしながら、通例、回転トルクの上昇を抑えるために、トラニオンの外周面と外輪カップの内周面との間の径方向隙間が針状ころの直径よりも大きくされている。このため、トラニオンが径方向にがたつき、騒音を発生するおそれがある。

逆に、各部品の公差のばらつきにより、トラニオンと外輪カップとの間に径方向に締め代を生ずる場合には、回転時の抵抗トルクが大きくなるという問題がある。
このような課題に対して、上記特許文献１の自在継手では、トラニオンの径方向のがたつき抑えることができない。
また、上記特許文献２の自在継手では、トラニオンが径方向に偏倚される側では、トラニオンの外周面と外輪カップとの間の径方向隙間が小さくなる一方、これと反対側では、上記の径方向隙間が大きくなり、がたを発生するおそれがある。

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、確実に騒音を低減することができる自在継手を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明は、先細り状のトラニオンを含む十字軸と、ヨークの嵌合孔に嵌合されるとともに、転動体を介してトラニオンを支持する有底円筒状の外輪カップと、トラニオンと外輪カップとの間に介在する弾性部材とを備え、トラニオンの外周面は円錐状テーパ面を含み、上記弾性部材は、トラニオンの円錐状テーパ面と転動体との間に楔状に介在した筒状の主体部と、外輪カップの内底部とトラニオンの端面との間に弾性的に挟持された底部とを含むことを特徴とするものである。

本発明では、弾性部材の底部が外輪カップの内底部とトラニオンの端面との間に弾性的に挟持されることで、トラニオンの端面と外輪カップの内底部との間の軸方向隙間を確実に詰めることができる。また、弾性部材の筒状の主体部がトラニオンの外周の円錐状テーパ面と転動体との間に楔状に入り込むことで、トラニオンの外周面と外輪カップの内周面との間の径方向隙間を転動体と共に確実に詰めることができる。これにより、トラニオンの軸方向および径方向のがたをなくすことができるので、騒音を低減することができる。特に、弾性部材の楔状の主体部を用いてトラニオンと外輪カップとの間の径方向隙間を詰めるので、各部品の精度を厳しく管理しなくても、隙間を確実に詰めることができる。

また、本発明において、上記主体部の内周面はトラニオンの円錐状テーパ面に合致する円錐状テーパ面を含み、上記主体部の外周面は転動体のための軌道面を含む場合がある。この場合、弾性部材の主体部の内周面の円錐状テーパ面がトラニオンの外周面の円錐状テーパ面に合致した状態で、トラニオンの外周面と外輪カップの内周面との間の径方向隙間を転動体と共に確実に詰めることができる。その結果、弾性部材の主体部の外周面の軌道面を転動体がロスなく転動する。

また、本発明において、上記外輪カップの内底部に、弾性部材の底部を押圧するための凸部が形成されている場合がある。弾性部材をの底部をばねのように撓ませることができるので、トラニオンの端面と外輪カップの内底部との間の軸方向隙間が各部品の寸法公差のばらつきによりばらついても、上記軸方向隙間が確実に詰めることができる。

本発明の好ましい実施の形態の添付図面を参照しつつ説明する。
図１は本発明の一実施の形態の自在継手４，６が適用される自動車のステアリング装置１の模式図である。図１を参照して、ステアリング装置１は、一端３ａがステアリングホイール等の操舵部材２に連結されたステアリングシャフト３と、一端５ａがステアリングシャフト３の他端３ｂに本実施の形態の自在継手４を介して連結された中間シャフト５と、中間シャフト５の他端５ｂに本実施の形態の自在継手６を介して連結されたピニオンシャフト７と、ピニオンシャフト７の端部近傍に設けられたピニオン７ａに噛み合うラック歯８ａを有して車幅方向（左右方向）に延びる操舵軸としてのラックバー８とを有している。

ピニオンシャフト７およびラックバー８により舵取り機構としてのラックアンドピニオン機構Ａが構成されている。ラックバー８は車体に固定されるハウジング９内に図示しない複数の軸受を介して直線往復動自在に支持されている。ラックバー８の両端部はハウジング９の両側へ突出し、各端部にはそれぞれタイロッド１０が結合されている。各タイロッド１０は対応するナックルアーム（図示せず）を介して対応する車輪１１に連結されている。

操舵部材２が操作されてステアリングシャフト３が回転されると、この回転がピニオン７ａおよびラック歯８ａによって、自動車の左右方向に沿ってのラックバー８の直線運動に変換される。これにより、車輪１１の転舵が達成される。
図２を参照して、自在継手４は、ステアリングシャフト３の他端３ｂに設けられたヨーク２０（図では一方のみを示す）と、中間シャフト５の一端５ａに設けられたヨーク２１と、両ヨーク２０，２１間を連結する十字軸２２とを備える。

同様に、自在継手６は、ピニオンシャフト７の端部に設けられたヨーク２０と、中間シャフト５の他端５ｂに設けられたヨーク２１（図では一方のみを示す）と、両ヨーク２０，２１間を連結する十字軸２２とを備える。
各ヨーク２０，２１はＵ字状をなし、それぞれ一対のタブ２３を有している。一対のタブ２３は互いに平行である。

自在継手４，６については全く同様の構成であるので、自在継手４に則して説明する。図３を参照して、各タブ２３には、十字軸２２の対応するトラニオン２４のための嵌合孔２５が形成されている（図３では、簡略化のため、１つのタブ２３のみを示す）。この嵌合孔２５に嵌合され保持された軸受２６を介して十字軸２２の対応するトラニオン２４が回転自在に支持される。

軸受２６はトラニオン２４の周囲に環状に並べて配列された複数の転動体としての針状ころ２７と、これらの針状ころ２７を保持すると共に嵌合孔２５に嵌合され固定された有底円筒状の外輪カップ２８とを含む。
トラニオン２４と外輪カップ２８との間に、有底筒状をなす弾性部材２９を介在している。この弾性部材２９としては例えばポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂等の耐熱性に優れた合成樹脂が用いられる。

トラニオン２４は先細り状とされ、トラニオン２４の外周面２４ａには円錐状テーパ面２４ｂが形成されている。弾性部材２９は、トラニオン２４の円錐状テーパ面２４ｂと針状ころ２７との間に楔状に介在した筒状の主体部３０と、外輪カップ２８の内底部２８ａとトラニオン２４の端面２４ｃとの間に弾性的に挟持された底部３１とを含む。
弾性部材２９の主体部３０の内周面３０ａは、トラニオン２４の円錐状テーパ面２４ｂに合致する円錐状テーパ面に形成されている。また、主体部３０の外周面３０ｂが針状ころ２７のための軌道面となっている。

一方、外輪カップ２８の内底部２８ａには、弾性部材２９の底部３１を押圧するための凸部３２が形成されている。凸部３２は、例えば外輪カップ２８の中心軸線Ｃ１を中心とする円錐台状をなす。凸部３２の頂部は平坦であることが好ましい。弾性部材２９の底部３１は、自由状態では主体部３０の中心軸線に直交する平坦な板からなるが、外輪カップ２８の凸部３２により押圧されることで、中央部がトラニオン２４の端面２４ｃに向けて突出する湾曲板となる。

外輪カップ２８は開口側の端縁に内向きの環状フランジ３３を形成している。この環状フランジ３３とトラニオン２４の肩部との間に環状のオイルシール３４が保持され、外輪カップ２８とトラニオン２４との間が液密的に封止されている。
本実施の形態によれば、弾性部材２９の底部３１が外輪カップ２８の内底部２８ａとトラニオン２４の端面２４ｃとの間に弾性的に挟持されることで、外輪カップ２８の内底部２８ａとトラニオン２４の端面２４ｃとの間の軸方向隙間を確実に詰めることができる。

また、弾性部材２９の筒状の主体部３０がトラニオン２４の外周の円錐状テーパ面２４ｂと環状に配列された針状ころ２７との間に楔状に入り込むことで、トラニオン２４の外周の円錐状テーパ面２４ｂと外輪カップ２８の内周面２８ｂとの間の径方向隙間を針状ころ２７と共に確実に詰めることができる。これにより、トラニオン２４の軸方向Ａ１および径方向Ｒ１のがたをなくすことができるので、騒音を低減することができる。

特に、弾性部材２９の楔状の主体部３０を用いてトラニオン２４と外輪カップ２８との間の径方向隙間を詰めるので、各部品の精度を厳しく管理しなくても、隙間を確実に詰めることができる。
また、弾性部材２９の主体部３０の内周面３０ａを構成する円錐状テーパ面がトラニオン２４の外周の円錐状テーパ面２４ｂに合致する状態で、弾性部材２９の主体部３０外周面３０ｂからなる軌道面と外輪カップ２８の内周面２８ｂとの間の径方向隙間がちょうど針状ころ２７の直径に一致し、針状ころ２７がロスなく弾性部材２９の主体部３０の外周面３０ｂからなる軌道面を転動する。

外輪カップ２９の凸部３２が弾性部材２９の底部３１の中央部を押して底部３１を皿ばね状に撓ませることができるので、トラニオン２４の端面２４ｃと外輪カップ２８の内底部２８ａとの間の軸方向Ａ１の隙間が各部品の寸法公差のばらつきによりばらついても、上記軸方向Ａ１の隙間を確実に詰めることができる。
また、単に有底筒状の弾性部材２９を追加するのみであり、自在継手４の組み立て時においても、弾性部材２９をトラニオン２４に予め被せておけばよく、その他の点に関しては自在継手４の組立方法を特に変更する必要がない。

本発明の自在継手は、ステアリング装置に限らず、自動車の推進軸等、他の回転体における自在継手としても好適に適用される。

図１は本発明の一実施の形態の自在継手が適用されたステアリング装置の模式図である。ステアリングシャフト、中間シャフトおよびピニオンシャフトとこれらを連結する自在継手の概略側面図である。自在継手の一部破断側面図である。

符号の説明

１ステアリング装置
３ステアリングシャフト
４，６自在継手
５中間シャフト
７ピニオンシャフト
２０，２１ヨーク
２２十字軸
２３タブ
２４トラニオン
２４ａ外周面
２４ｂ円錐状テーパ面
２４ｃ端面
２５嵌合孔
２６軸受
２７針状ころ（転動体）
２８外輪カップ
２８ａ内底部
２８ｂ内周面
２９弾性部材
３０主体部
３０ａ内周面（円錐状テーパ面）
３０ｂ外周面（軌道面）
３１底部
３２凸部
Ｃ１中心軸線
Ａ１軸方向
Ｒ１径方向

Claims

先細り状のトラニオンを含む十字軸と、
ヨークの嵌合孔に嵌合されるとともに、転動体を介してトラニオンを支持する有底円筒状の外輪カップと、
トラニオンと外輪カップとの間に介在する弾性部材とを備え、
トラニオンの外周面は円錐状テーパ面を含み、
上記弾性部材は、トラニオンの円錐状テーパ面と転動体との間に楔状に介在した筒状の主体部と、外輪カップの内底部とトラニオンの端面との間に弾性的に挟持された底部とを含むことを特徴とする自在継手。
請求項１において、上記主体部の内周面はトラニオンの円錐状テーパ面に合致する円錐状テーパ面を含み、上記主体部の外周面は転動体のための軌道面を含む自在継手。
請求項１又は２において、上記外輪カップの内底部に、弾性部材の底部を押圧するための凸部が形成されている自在継手。