JP2006083704A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 プレート部材を軽量化することにより、装置の作動応答性の向上を図ると共に、軸受の摩耗の発生を防止し得るバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】 タイミングスプロケット2とカムシャフト1との間に設けられ、ヒステリシスブレーキ20に電磁力を作用させることによって、前記タイミングスプロケットに対するカムシャフトの相対回動位相を調整する。前記スプロケットのプレート部材2aには、径方向に沿って貫通して延びる一対の径方向窓8を形成すると共に、従動軸部材7にピン12により枢支された各リンク部材11の基端部11aが係入して摺動案内される一対のガイド孔2dを貫通形成して肉抜きし、これによってプレート部材の軽量化を図っている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関の吸気側または排気側の機関弁の開閉タイミングを運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
この種の従来のバルブタイミング制御装置としては、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されるようなものが提案されている。
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフト側のタイミングスプロケットと一体に回転するプレート部材に、径方向に沿うガイド用のスリットが形成されている。また、プレート部材の後端側に対向配置された渦ディスクに渦巻き溝が形成されていると共に、前記カムシャフトに固定された円板部材に、先端部が渦巻き溝と前記スリットに係入するリンク部材の基端部が揺動自在に結合されている。
そして、前記渦ディスクに電気的制動力を加えることによって前記スプロケットに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するようになっている。
特開2003−314216号公報
しかしながら、この従来のバルブタイミング制御装置にあっては、前述のように、プレート部材に径方向に沿ってスリットを形成することによって装置の軸方向の長さを小さくするようになっているが、前記プレート部材は外周側へ大径な円形状に形成されており、前記径方向のスリットの部分だけが貫通形成されているに過ぎないため、前記プレート部材の重量を十分に軽減することができない。
この結果、プレート部材の慣性質量の影響が大きくなって、装置の作動応答性を向上させることができない。
また、装置全体の重量が大きいことから、この装置を軸受する部位の摩耗が発生し易くなり、耐久性の低下を招くおそれがある。
本発明は前記従来の技術的課題を解決するために案出されたもので、請求項1に記載の発明は、クランクシャフトから回転力が伝達される回転部材と、機関弁を開閉作動させるカムが一体に設けられたカムシャフトと、前記回転部材あるいはカムシャフトのいずれか一方に一体的に設けられ、径方向に沿って貫通して延びるスリットが形成されたプレート部材と、前記回転部材あるいはカムシャフトの他方における回転中心から離れた位置に揺動自在に設けられたリンク部材と、前記渦巻き溝が形成された渦ディスクと、前記リンク部材の揺動部位に設けられ、前記スリット及び前記渦巻き溝に摺動自在に嵌合する嵌合部と、前記回転部材あるいはカムシャフトに対して前記渦ディスクが相対回転するように回転力を付与するアクチュエータとを備え、前記リンク部材の前記回転部材あるいはカムシャフトの他方側に結合された支持部を、前記プレート部材側に延設すると共に、該プレート部材の少なくとも前記支持部が移動する範囲の部位を貫通形成したことを特徴としている。
この発明によれば、プレート部材には、前記リンク部材の基端部が該プレート部材側で円周方向に移動する範囲内の部位が貫通形成されて、肉抜き状態になっていることから、このプレート部材の軽量化が図れる。
この結果、プレート部材の慣性質量の影響が小さくなって作動応答性の向上が図れると共に、装置全体の軽量化も図れるので、軸受部位の耐久性も向上する。
しかも、前記貫通する分だけ前記リンク部材の支持部の軸方向の長さを長くすることが可能になるため、前記リンク部材の移動姿勢の安定化が図れ、不用意な傾きの発生を防止できる。
請求項2に記載の発明は、前記プレート部材を、前記スリットに沿った径方向に延びた形状に形成したことを特徴としている。
この発明によれば、プレート部材の形状をスリットに沿った細長い形状に形成して、前記リンク部材の結合部位側の移動範囲が取り除かれていることから、プレート部材をさらに可及的に軽量化することが可能になる。
請求項3に記載の発明は、前記プレート部材を、前記カムシャフト側に設けたことを特徴としている。
この発明によれば、回転部材から伝達された回転力によって回転するカムシャフト側である従動側の軽量化が図れることから、前記アクチュエータの作動負荷が軽減され、該アクチュエータの作動応答性の向上と小型化が図れる。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態は、内燃機関の吸気側の動弁機構に適用したものであるが、内燃機関の排気側の動弁機構に同様に適用することも可能である。
前記バルブタイミング制御装置は、図1〜図4に示すように、内燃機関の図外のシリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端部に必要に応じて相対回動可能に組み付けられ、図外のタイミングチェーンを介してクランクシャフトに連係されるリング状のギア歯車3が外周に一体に形成された回転部材であるタイミングスプロケット2と、該タイミングスプロケット2の内周側に配置されて、両者1,2の組付角を操作する組付角操作手段4と、前記カムシャフト1の前端部とタイミングスプロケット2との間、つまり組付角操作手段4よりも前方側に配置されて、該組付角操作手段4を駆動する操作力付与手段5と、前記シリンダヘッドのヘッドカバーに取り付けられて、組付角操作手段4の前面と周域を覆うVTCカバー6とを備えている。なお、前記組付角操作手段4と操作力付与手段5とによって位相調整機構が構成されている。
前記カムシャフト1は、先端部に一方側の相対回動部位である従動軸部材7がカムボルト10によって軸方向から結合されていると共に、該従動軸部材7の先端部にスリーブ9が螺着固定されている。
前記従動軸部材7は、図1〜図3に示すように、前記カムボルト10が内部の貫通孔7cを介して挿通する円筒状の軸部7aと、該軸部7aのカムシャフト1側の端縁に一体に形成された段差径状の大径な拡径部7bとを備えている。また、前記軸部7aの先端側外周面には、軸方向へ所定長さの雄ねじ7fが形成されている。
前記スリーブ9は、カムシャフト1側の基端部の内周面に軸部7aの雄ねじ7fに螺合する雌ねじ9aが切られていると共に、先端側の内周面に工具係合用の六角溝9bが形成されている。また、このスリーブ9は、前記軸部7aに最大にねじ込まれた後に、前記雌ねじ9aの端緒部が軸部7aの先端面側に回り止めのために、円環状のかしめ部40によってかしめ固定されている。
前記タイミングスプロケット2は、図1〜図3にも示すように、リング状歯車部3の内周側にほぼ円板状のプレート部材2aを有し、該プレート部材2aの中央に形成された挿通孔2bの内周面が前記従動軸部材7の軸部7aの外周に回転自在に支持されていると共に、プレート部材2aの外周部にボルトによって固定されたほぼL字形状の支持プレート2cを介して前記従動軸部材7の拡径部7bの外周に回転案内可能に支持されている。
また、前記プレート部材2aには、対面する平行な側壁を有するスリットである2つ径方向窓8、8がタイミングスプロケット2のほぼ直径方向に沿うように貫通形成されていると共に、この2つの径方向窓8、8の間に、後述する2つのリンク部材11、11の各基端部11a、11aが周方向へ移動可能に係入保持される2つのガイド孔2d、2dが貫通形成されている。
すなわち、前記ガイド孔2d、2dは、前記挿通孔2bの外周部に円周方向に沿って円弧状に形成されて、その軸方向の長さが前記各基端部11a、11aが移動する範囲内(カムシャフト1とスプロケット2の相対回動範囲内)の大きさに設定されている。
前記各リンク部材11は、それぞれがほぼ円弧状に折曲形成されて、一端側の支持部である各基端部11aが円筒状に形成されている一方、他端側の各先端部11b、11bも円筒状に形成されて、それぞれがプレート部材2a方向に突設されている。また、前記従動軸部材7の前記拡径部7bのカムシャフト1側の端部内周側に放射状に突出する2つのレバー突起7e、7eの内部にそれぞれ保持孔7g、7gが貫通形成されており、この各保持孔7g、7gに各ピン12、12の一端部が圧入固定されていると共に、該ピン12,12の他端部に前記各リンク部材11、11の各基端部11a、11aが回転自在に連結されている。
そして、各リンク部材11、11は、先端部11b、11bが前記各径方向窓8、8に係入している一方、基端部11a、11aが前記ガイド孔2d、2dに係入している。
また、前記各リンク部材11の先端部11bには、軸方向前方側に開口する収容穴14が形成され、この収容穴14に、前記各径方向窓8を介して後述する渦ディスク15の渦巻き溝18に係合する球面状の先端部16aを有する係合ピン16と、この係合ピン16を前方側(渦巻き溝18側)に付勢するコイルばね17とが収容されている。
そして、各リンク部材11は、各先端部11bが対応する径方向窓8に係入した状態において、各基端部11a、11aがピン12、12を介して前記従動軸部材7に連結されているため、リンク部材11の先端部11b、11b側が外力を受けて径方向窓8に沿って変位すると、タイミングスプロケット2と従動軸部材7とは、各リンク部材11、11の基端部11a、11aが各ガイド孔2d、2dに沿って移動して、各先端部11b、11bの変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
一方、タイミングスプロケット2の前記プレート部材2aの前方側に対向配置された円板状の渦ディスク15がボールベアリング29を介して回転自在に支持されている。この渦ディスク15は、カムシャフト1側の後面に断面半円状の2条の渦巻き溝18が形成されており、この各渦巻き溝18に、前記各リンク部材11の各係合ピン16の先端部16aが摺動自在に案内係合されている。
また、渦ディスク15の内周部に一体に形成された円筒状突起15aに他方側の相対回動部位である筒状部材21がフランジ状に折曲された基端部21aを介して溶接などによって固定されている。この筒状部材21は、前記カムシャフト1側のスリーブ9の外周を所定の円筒状隙間を介して囲繞するように配置され、先端部21bが前記VTCカバー6の内面近傍まで延長されている。
前記各渦巻き溝18は、互いに分離されて、タイミングスプロケット2の回転方向に沿って次第に縮径するように形成されている。
したがって、各係合ピン16が渦巻き溝18に係合した状態において、渦ディスク15がタイミングスプロケット2に対して遅れ方向に相対回動すると、各リンク部材11の先端部11bは径方向窓8に案内されつつ、渦巻き溝18の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側に移動し、逆に、渦ディスク15が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動する。
前記組付角操作手段4は、前記タイミングスプロケット2の径方向窓8、リンク部材11、係合ピン16、レバー突起7e、渦ディスク15、渦巻き溝18等によって構成されている。
この組付角操作手段4は、操作力付与手段5から渦ディスク15にカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が各渦巻き溝18と各係合ピン16の先端部16aを通してリンク部材11の先端部11bを径方向窓8内で径方向に変位させ、このときリンク部材11の作用でもってタイミングスプロケット2と従動軸部材7に相対的な回動力を伝達する。
一方、前記操作力付与手段5は、図1〜図3に示すように、渦ディスク15を筒状部材21を介してタイミングスプロケット2の回転方向に付勢するトーションスプリング19と、渦ディスク15をタイミングスプロケット2の回転方向と逆方向に制動付勢するアクチュエータであるヒステリシスブレーキ20とを備え、内燃機関の運転状態に応じてヒステリシスブレーキ20の制動力を適宜制御することにより、渦ディスク15をタイミングスプロケット2に対して相対回動させ、あるいは両者の回動位置を維持するようになっている。
前記トーションスプリング19は、図1及び図3に示すように、前記スリーブ9と筒状部材21との間に配置され、その一端部19aがスリーブ9の基端側に形成された係止孔9bの孔縁に係止されている一方、他端部19bが前記筒状部材21の先端部に形成された係止孔21bの孔縁に係止されている。
また、前記渦ディスク15を軸受するボールベアリング9の内輪9a前端面と前記スリーブ9の基端部との間には、組付時における前記トーションスプリング19のばね付勢力を調整する円環状の調整シム36が介装されている。
一方、前記ヒステリシスブレーキ20は、渦ディスク15の外周側前端部にビス22によって取り付けられたヒステリシスリング23と、磁界制御手段としての電磁コイル24と、該電磁コイル24の磁気を誘導するコイルヨーク25とを備え、前記電磁コイル24が機関の運転状態に応じて図外のコントローラによって通電制御されるようになっている。
前記ヒステリシスリング23は、前記外部の磁界の変化に対して位相遅れをもって磁束が変化する特性(磁気的ヒステリシス特性)をもつヒステリシス材(半硬質材)によって形成され、先端部23aの部分がコイルヨーク25の後述する両対向面26,27間の隙間内に非接触状態で配置されて、該コイルヨーク25によって制動作用を受けるようになっている。
前記コイルヨーク25は、電磁コイル24を取り囲むように全体が略円板形状に形成され、内周側でニードルベアリング28を介して筒状部材21に回転自在に支持されていると共に、前端部がガタ吸収機構30によって前記VTCカバー6に結合されている。
そして、前記コイルヨーク25の後面側(渦ディスク15側)には、図4及び図5に示すように、磁気入出部分が円筒状の隙間をもって向かい合うように周面状の一対の対向面26,27が形成されている。この両対向面26,27には、夫々円周方向に沿って複数の凹凸が連続して形成され、これらの凹凸のうちの凸部26a,27aが磁界発生部になっている。
そして、一方の対向面26の凸部26aと他方の対向面27の凸部27aは円周方向に交互に配置され、対向面26,27相互の近接する凸部26a,27aがすべて円周方向にずれている。したがって、両対向面26,27の近接する凸部26a,27a間には、電磁コイル24の励磁によって円周方向に傾きをもった向きの磁界が発生する。そして、両対向面26,27間の隙間には前記ヒステリシスリング23の先端部23aが非接触状態で介装されており、該先端部23aの内外周面と前記凸部26a、27aとの間のエアギャップG、G1は、大きな磁力を確保するために微小隙間に設定されている。
このヒステリシスブレーキ20は、ヒステリシスリング23が対向面26,27間の磁界内を変位するときに、ヒステリシスリング23の内部の磁束の向きと磁界の向きのずれによって制動力を発生するものであるが、その制動力は、ヒステリシスリング23の回転速度(対向面26,27とヒステリシスリング23の相対速度)に関係なく、磁界の強さ、すなわち、電磁コイル24の励磁電流の大きさに略比例した一定の値となる。
前記VTCカバー6とコイルヨーク25との間には、図1に示すようにガタ吸収機構30が設けられており、これによって、コイルヨーク25は、軸方向及び径方向の入力荷重が作用した際には、ガタ吸収機構30が弾性変形して入力荷重を吸収するようになっている。
また、前記タイミングスプロケット2の挿通孔内周面と従動軸部材7の軸部7aの外周面との間、及び渦ディスク15やリンク部材11などの各構成部材には、カムシャフト1側からボルト10と従動軸部材7との間を通って軸部7aの径方向に貫通形成された油孔7dから及び供給された潤滑油によって効果的に潤滑されるようになっている。
以下、この実施形態の作用について説明する。まず、機関停止時には、ヒステリシスブレーキ20の電磁コイル24の励磁をオフにしておくことにより、トーションスプリング19の力によって渦ディスク15をタイミングスプロケット2に対して機関回転方向へ最大に回転させておく(図6参照)。これにより、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)は最遅角側に維持されている。
そして、イグニッションキーを操作して電源をオンにすると、前記回転位相を進角側に変更すべき指令が前記コントローラから発され、ヒステリシスブレーキ20の電磁コイル24の励磁がオンにされて、トーションスプリング19の力に抗する制動力が渦ディスク15に付与される。
これにより、渦ディスク15が、タイミングスプロケット2に対して逆方向に回転し、それによってリンク部材11の先端の係合ピン16が各渦巻き溝18に誘導されてリンク部材11の先端部11bが径方向窓8に沿って内側に揺動し、図7に示すように、リンク部材11の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材7の組付角が所定の進角側に変更される。この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相が始動に適した比較的小さく進角側に変更される。したがって、内燃機関の始動性が良好になると共に、アイドル運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
そして、この状態から機関の運転が通常運転に移行し、前記回転位相を最進角側に変更すべき指令が前記コントローラから発されると、電磁コイル24にさらに大きな電流が供給されて、トーションスプリング19の力に抗する制動力が渦ディスク15に付与される。
これにより、渦ディスク15がタイミングスプロケット2に対してさらに逆方向に回転し、それによってリンク部材11の先端の係合ピン16が各渦巻き溝18に誘導されてリンク部材11の先端部11bが径方向窓8に沿ってさらに内側に揺動し、図8に示すように、リンク部材11の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材7の組付角が最進角側に変更される。
この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相が最進角側に変更され、それによって機関の高出力化が図られることとなる。
また、この状態から例えば機関高回転高負荷域に移行した場合は、前記回転位相を最遅角側に変更すべく指令がコントローラから発されると、ヒステリシスブレーキ20の電磁コイル24の励磁がオフにされ、再度トーションスプリング19の力によって渦ディスク15が正方向に回転させられる。すると、各渦巻き溝18による係合ピン16の誘導によってリンク部材11が上記と逆方向(外側)に揺動し、図7に示すようにそのリンク部材11の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材7の組付角が再度最遅角側に変更される。
このバルブタイミング制御装置においては、渦ディスク15に対する制動機構として、非接触状態で制動力を作用させることのできるヒステリシスブレーキ20を採用しているため、経時使用によっても摩耗等の心配がなく、長期に亙って安定した制動効果を得ることができる。したがって、バルブタイミングの制御精度を常に高く維持し、装置の信頼性を高めることができる。
また、この実施形態にあっては、プレート部材2aは、各径方向窓8の他に、リンク部材11の基端部11aがそれぞれ移動案内されるガイド孔2d、2dが貫通形成されているため、タイミングスプロケット2の重量の軽量化が図れる。
この結果、タイミングスプロケット2の慣性質量の影響が小さくなって作動応答性の向上が図れると共に、装置全体の軽量化も図れるので、軸受部位の耐久性も向上する。
しかも、前記ガイド孔2d、2dに貫通する分だけ前記リンク部材11、11の基端部11a、11aの軸方向の長さを長くすることが可能になる。このため、前記リンク部材11,11の移動姿勢の安定化が図れ、不用意な傾きの発生を防止できる。
また、前記各構成部材を軸方向に近接配置し、かつ前記リンク部材11の基端部11aを、前記プレート部材2a側に延出していることから、装置全体の軸方向の長さを小さくすることができる。
また、前記リンク部材11は、タイミングスプロケット2とカムシャフト1との相対回転変換をするために揺動することから、基端部11a側を円筒状に形成することによって効率の良い揺動性が得られると共に、小型化及び軽量化が図れる。
さらに、前記プレート部材2aと渦ディスク15及び前記リンク部材11の周りには、前記油孔7dから流出した潤滑油が遠心力などによって供給されるため、これらの各構成部品の潤滑性が向上して、各部材の摩耗の発生を低減することが可能になる。
また、前記潤滑油は循環供給されていることによって、前記プレート部材2aなどの各構成部材を冷却することができるので、摩擦熱の発生
を防止できる。
図9〜図13は第2の実施形態を示し、第1の実施形態と異なるところは、基本的に、カムシャフト1側の前記従動軸部材7にプレート部材31を設けると共に、該プレート部材31の形状を変更したものである。
すなわち、前記従動軸部材7は、カムボルト10の外周に嵌挿された全体が円筒状に形成され、カムシャフト1側の端部が縦断面ほぼコ字形状のリテーナ32の内部に嵌合していると共に、該リテーナ32を介して前記カムボルト10によりカムシャフト1に軸方向から結合されている。そして、この従動軸部材7の軸方向のほぼ中央位置にプレート部材31が一体に設けられている。
このプレート部材31は、従動軸部材7の外周に一体に設けられた筒状部31aと、該筒状部31aの径方向に沿って一体に設けられたそれぞれ二股状の細長い一対のガイド部31b、31bとから構成されている。また、前記各ガイド部31b、31bの基部側の外側面に、リンク部材11の基端部11a、11aが横方向から嵌合吸収される円弧状の嵌合溝31c、31cが形成されている。
前記各ガイド部31b、31bは、ほぼU字形状に形成され底部側が前記筒状部31aに一体に結合され、内側に各径方向窓8が形成されて、この各径方向窓8内で前記各リンク部材11の先端部11bに有する前記各先端部11bが径方向へ摺動案内されるようになっている。
前記筒状部31aと従動軸部材7の内部径方向には、前記従動軸部材7の内周面と前記カムボルト10の軸部外周面との間に形成された筒状油通路33から潤滑油を各構成部材に供給する油孔34が形成されている。
前記タイミングスプロケット2は、カムシャフト1側に膨出したほぼカップ状に形成され、カムシャフト1側の円盤状の端壁2eの中央に形成された前記挿通孔2bの内周面が前記従動軸部材7の外周面に回転自在に支持されていることは前述と同様である。また、このタイミングスプロケット2は、外周側のギア歯車3の他に、前記端壁2eの外周部に一体に補機類などに回転力を伝達する別のギア歯車3aが一体に形成されている。
また、前記リンク部材11の基端部11aは、従動軸部材7側ではなく、タイミングスプロケット2の円盤状の端壁2eに形成された保持孔2fに基部が圧入固定されたピン12の先端部に回転自在に支持されている。そして、この基端部11aは、第1の実施形態のように各ガイド孔2d、2dに係入することなく、ピン12とともにフリーになっている。
以下、この実施形態の作用を図11〜図13に基づいて簡単に説明すれば、まず、機関停止時には、ヒステリシスブレーキ20へ非通電によって、渦ディスク15をタイミングスプロケット2に対して機関回転方向へ最大に回転させておく(図11参照)。これにより、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)は最遅角側に維持されている。
イグニッションキーを操作して電源をオンにすると、ヒステリシスブレーキ20に通電されて、トーションスプリング19の力に抗する制動力が渦ディスク15に付与され、これにより、渦ディスク15がタイミングスプロケット2に対して逆方向に回転し、これによってリンク部材11の先端の係合ピン16が各渦巻き溝18に誘導されてリンク部材11の先端部11aが径方向窓8に沿って内側に揺動し、図12に示すように、リンク部材11の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材7の組付角が僅かに進角側に変更されて、前述と同じような作用効果が得られる。なお、このとき、各リンク部材11の基端部11aは、前記嵌合溝31c、31cに嵌合吸収された形になる。
この状態から機関の運転が通常運転に移行し、前記回転位相を最進角側に変更すべき指令が前記コントローラから発されると、ヒステリシスブレーキ20にさらに大きな電流が供給されて、トーションスプリング19の力に抗する制動力が渦ディスク15に付与される。これにより、渦ディスク15がタイミングスプロケット2に対してさらに逆方向に回転し、それによってリンク部材11の先端の係合ピン16が各渦巻き溝18に誘導されてリンク部材11の先端部11bが径方向窓8に沿ってさらに内側に揺動し、図13に示すように、リンク部材11の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材7の組付角が最進角側に変更される。
また、この状態から例えば機関高回転高負荷域に移行した場合は、前記回転位相を最遅角側に変更すべく指令がコントローラから発されると、ヒステリシスブレーキ20が非通電状態になって、再度トーションスプリング19の力によって渦ディスク15が正方向に回転させられて、各渦巻き溝18による係合ピン16の誘導によってリンク部材11が上記と逆方向(外側)に揺動し、図11に示すようにそのリンク部材11の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材7の組付角が再度最遅角側に変更される。
そして、この実施形態によれば、プレート部材31のガイド部31bの形状を従動軸部材7の径方向に沿って細長い形状に形成して、前記リンク部材11の基端部11a側の移動範囲の部分が取り除かれていることから、プレート部材31をさらに軽量化することが可能になる。
特に、前記プレート部材31を、前記カムシャフト1側の従動軸部材7に設けたため、カムシャフト1側である従動側の軽量化が図れる。これによって、前記ヒステリシスブレーキ20の作動負荷が軽減され、該ヒステリシスブレーキ20の作動応答性の向上と小型化が図れる。
前記実施形態から把握される前記請求項に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
請求項(1) 前記プレート部材と前記渦ディスクとを対向配置すると共に、前記リンク部材を前記プレート部材に面して配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
前記各構成部材を軸方向に近接し、かつ前記リンク部材の支持部を、前記プレート部材側に延出していることから、装置全体の軸方向の長さを小さくすることができる。
請求項(2) 前記リンク部材の支持部を円筒状に形成したことを特徴とする請求項1〜(2)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
リンク部材は、回転部材とカムシャフトとの相対回動位相を変更するために揺動することから、支持部側を円筒状に形成することによって効率の良い揺動性が得られると共に、小型化及び軽量化が図れる。
請求項(3) 前記プレート部材と渦ディスク及び前記リンク部材を、潤滑油が充填された室内に配置したことを特徴とする請求項1〜(2)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明によれば、前記プレート部材などの各構成部品の潤滑性が向上して、各部材の摩耗の発生を低減することが可能になる。
請求項(4) 前記室内に潤滑油を循環供給したことを特徴とする請求項(3)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
前記室内に潤滑油を循環させることによって、前記プレート部材などの各構成部材を冷却することができるので、摩擦熱の発生を防止できる。
請求項(5) 前記アクチュエータは、前記渦ディスクの回転に電磁ブレーキを付与する機構であることを特徴とする請求項(4)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(6) 前記渦ディスクは、付勢手段によって前記回転部材に対するカムシャフトの相対回転位相が進角方向となるように付勢されていることを特徴とする請求項1〜(5)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 同実施形態のバルブタイミング制御装置の一方向から見た分解斜視図である。 同実施形態のバルブタイミング制御装置の他方向から見た分解斜視図である。 同実施形態に供されるヒステリシスリングとコイルヨークとの関係を示す横断面図である。 図4の要部拡大図である。 同実施形態の最遅角制御時の作動状態説明図である。 同実施形態の小進角制御時の作動状態説明図である。 同実施形態の最進角制御時の作動状態説明図である。 バルブタイミング制御装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 同実施形態のバルブタイミング制御装置の一部を示す分解斜視図である。 同実施形態の最遅角制御時の作動状態説明図である。 同実施形態の小進角制御時の作動状態説明図である。 同実施形態の最進角制御時の作動状態説明図である。
符号の説明
1…カムシャフト
2…タイミングスプロケット(回転部材)
2a・31…プレート部材
4…組付角操作手段
5…操作力付与手段
7…従動軸部材
8…径方向窓(スリット)
11…リンク部材
11a…基端部(支持部)
11b…先端部
12…ピン
15…渦ディスク
18…渦巻き溝
19…トーションスプリング(付勢手段)
20…ヒステリシスブレーキ(アクチュエータ)

Claims (3)

  1. クランクシャフトから回転力が伝達される回転部材と、
    機関弁を開閉作動させるカムが一体に設けられたカムシャフトと、
    前記回転部材あるいはカムシャフトのいずれか一方に一体的に設けられ、径方向に沿って貫通して延びるスリットが形成されたプレート部材と、
    前記回転部材あるいはカムシャフトの他方における回転中心から離れた位置に揺動自在に設けられたリンク部材と、
    渦巻き溝が形成された渦ディスクと、
    前記リンク部材の揺動部位に設けられ、前記スリット及び前記渦巻き溝に摺動自在に嵌合する嵌合部と、
    前記回転部材あるいはカムシャフトに対して前記渦ディスクが相対回転するように回転力を付与するアクチュエータとを備え、
    前記リンク部材の前記回転部材あるいはカムシャフトの他方側に結合された支持部を、前記プレート部材側に延設すると共に、該プレート部材の少なくとも前記支持部が移動する範囲の部位を貫通形成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記プレート部材を、前記スリットに沿った径方向に延びた形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 前記プレート部材を、前記カムシャフト側に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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