JP2006083416A - 電磁鋼板の熱改質方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁鋼板の熱改質方法は、Siを2〜4%含有する鉄合金素材に、オーステナイト領域の温度に急速加熱した後、オーステナイト領域以下の温度に急速冷却する加熱・冷却工程を少なくとも3回以上繰り返す熱処理を施す。この熱処理により、平均結晶粒径を3〜15μmに調製する。熱処理を加熱源として高周波電源またはレーザを用いる。得られる電磁鋼板の降伏強度は440MPa以上である。
【選択図】なし
Description
近年、地球温暖化防止に関する要請が一段と高まっており電気機器の高効率化も避けて通れない状況となっている。したがって、高周波鉄損の低い電磁鋼板が必要とされるようになってきている。一方で、工作機械、HDD用モータ、マイクロガスタービン等では高速回転化が進められている。これに対しては高速回転時の遠心力に耐える高強度な、言い換えると高い降伏強度を有する電磁鋼板が要求されている。
このため、高周波鉄損(以下、これを単に鉄損ということがある。)が低く、かつ高い降伏強度を有する電磁鋼板の開発が必要となっている。
ところが、冷延鋼板の分野では、一般に、両特性は二律背反の関係にあるとされている。
この点に鑑み、Nb、Ni、Mnを所定量含有する高周波鉄損の優れた高張力無方向性電磁鋼板が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。この場合、Nb、Ni、Mnの添加により鋼の張力を高めるとともに、Niによってさらに高周波鉄損を構成する渦電流損およびヒステリシス損のうち、前者の渦電流損を低減することができるとされている。
加熱・冷却は、電磁鋼板全体に対して繰り返し行ってもよく、また、特定の同一部位に対して繰り返し行ってもよい。
これにより、従来の電磁鋼板よりも鉄損(高周波鉄損)が低く、かつ高い降伏強度を有する電磁鋼板を得ることができる。また、通常、数十μm以上程度ある電磁鋼板の結晶の粒径を小さくすることがでる。この電磁鋼板を使用した電気機器は高効率且つ小型で高速回転にも対応できる。なお、加熱・冷却工程の繰り返し回数が3回未満の場合、鉄損および降伏強度のいずれも顕著な改善効果を得ることができない。
繰り返し回数が6回を超えると、降伏強度はさらに高まるものの鉄損が増加する傾向がある。
平均結晶粒径が3μm未満になると、降伏強度はさらに高まるものの鉄損が増加する傾向があり、一方、平均結晶粒径が15μmを超えると、鉄損および降伏強度のいずれも顕著な改善効果を得ることができない。
この場合、いずれか1つの加熱源のみを用いて必要回数繰り返し熱処理を行ってもよく、あるいはまた、例えば、繰り返し回数4回のうち最初の3回は加熱源として高周波電源を用い最後の1回は加熱源としてレーザを用いる等、2つの加熱源を適宜組み合わせて必要回数繰り返し熱処理を行ってもよい。
Siの含有量が2%未満になると、Siの存在による鉄損低減効果および降伏強度向上効果が損なわれ、一方、本発明の結晶粒径調製の効果により、コスト増要因となるSiの含有量を4%を超える値とする必要はなく、また、Siの含有量が4%を超えるとオーステナイト領域が消失するので本発明の熱処理効果を得ることができない。
電磁鋼板10は、厚さ0.20mm、幅1000mmである。電磁鋼板10をローラ14で巻取りながらレーザビーム12による加熱と水冷機構16による水冷を交互に繰り返した。加熱は、電磁鋼板の組織がオーステナイト領域内に達する温度まで行い、冷却は、電磁鋼板の組織がオーステナイト領域以下、すなわち、オーステナイトとフェライトが共析する領域内に達する温度まで行った。
幅方向のレーザスキャン方法はガルバノスキャン方式を適用した。レーザは、炭酸ガスレーザ(出力2kW)を使用して、幅1.5mmの部分に対して300mm/秒の速度で照射した。
結果を表1に示す。レーザビームを3回以上照射する実施例では、レーザビームを照射しない、または照射回数が2回以下の比較例より鉄損が小さく降伏強度が大きくなることが分る。実施例のフェライトの平均粒径は2〜15μmの範囲であった。試料番号7は鉄損が比較例よりやや大きいものの降伏強度が著しく大きい。このため、用途によっては試料番号7の平均粒径が2μm以下でも適用することができる。
12 レーザビーム
14 ローラ
16 水冷機構
Claims (6)
- オーステナイト領域の温度に急速加熱した後、オーステナイト領域以下の温度に急速冷却する加熱・冷却工程を少なくとも3回以上繰り返す熱処理を施すことを特徴とする電磁鋼板の熱改質方法。
- 前記加熱・冷却工程の繰り返し回数が6回以下であることを特徴とする請求項1記載の電磁鋼板の熱改質方法。
- 前記熱処理により、平均結晶粒径を3〜15μmに調製することを特徴とする請求項1または2記載の電磁鋼板の熱改質方法。
- 前記熱処理の繰り返しを加熱源として高周波電源もしくはレーザまたは双方を組み合わせて用いて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁鋼板の熱改質方法。
- 得られる電磁鋼板のSi含有量が2〜4%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁鋼板の熱改質方法。
- 得られる電磁鋼板の降伏強度が440MPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁鋼板の熱改質方法。
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