JP4765347B2 - 電磁鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機や発電機の鉄心あるいは変圧器やリアクトルなどの静止器の鉄心に用いられる電磁鋼板に関し、特に、400Hz〜2kHz程度の高周波域において鉄損が低い電磁鋼板とその製造方法に関するものである。
電気機器や電気自動車等に用いられるモータには、小型・軽量化に対応するため、従来よりも高い回転数が採用されつつある。また、磁石モータには、トルク向上、トルクリップル低減のため、多極ロータが採用されつつある。このような高速回転あるいは多極ロータのモータにおいては、回転数や極数の増加に応じて、駆動周波数も高くなる傾向にある。従って、このようなモータの鉄心に用いられる電磁鋼板には、高周波域、特に、400Hz〜2kHz程度の高周波域での磁気特性に優れることが重要視されるようになってきた。すなわち、この周波数域は、モータの駆動周波数に相当し、また、駆動時には、駆動周波数の数倍の周波数の高周波成分(同じ周波数域)が駆動周波数に重畳されるからである。
ところで、鉄心が高周波で磁化された場合には、渦電流損の増加により、エネルギー損失が増加することが知られている。これを防止するには、鉄心の素材となる電磁鋼板の固有抵抗を増加することや板厚を低減することが有効である。しかし、電磁鋼板の固有抵抗を増加するためには、Si,Al,Cr,Mnなどの固有抵抗増加元素を多量に添加する必要があり、原料コストの増加や圧延負荷の増大等により、製造コストの上昇を招く。さらに、鋼板の硬さ上昇により、ユーザにおける打ち抜きコストを増加させるという問題もある。一方、板厚を減少することは、圧延工程や焼鈍工程での製造コストの増大を招くとともに、鋼板の剛性低下により、ユーザでの取り扱いが困難になる等の問題を引き起こす。
そこで、上記固有抵抗の増加や板厚の低減とは異なる渦電流損の低減技術が提案されている。例えば、特許文献1には、板厚を0.10〜0.25mmとすると共に、平均結晶粒径を、従来の適正値よりも小さい5〜60μmに制御する技術が提案されている。しかし、この技術は、高周波域での鉄損に対する最適結晶粒径を規定しただけに過ぎず、結晶粒径の微細化に伴う透磁率の減少やヒステリシス損の増加が避けられないため、低周波域では却って鉄損が著しく増加するという問題がある。また、特許文献2には、ヒステリシス損の役割に注目して、板厚最表層の結晶粒径を適正範囲に制御する技術が開示されている。しかし、この技術は、鋼板の表面に接した結晶粒のヒステリシス損に着目し、その結晶粒の大きさと板厚内部の結晶粒の大きさとの関係に適正範囲を求めているにすぎないため、高周波数域で問題となる渦電流を有効に低減することが難しい。
その他の高周波域での鉄損低減技術としては、例えば、特許文献3および4には、鋼板表面から浸珪処理を施し、板厚方向にSiの濃度勾配を付与することによって、板厚表層部の透磁率を増加させて磁束を板厚表層部に集中させ、もって、高周波域における板厚全体としての鉄損を低下させる技術が開示されている。しかし、この技術は、浸珪処理に伴う製造コストの上昇や生産性の低下という問題を抱えている。また、鋼板表層におけるSi含有量の増加は、鋼板の硬さを増加させるため、ユーザにおける鉄心打抜用金型の摩耗を促進するという問題もある。
特開平03−223445号公報 特開平06−073511号公報 特開平11−256289号公報 特開平11−293423号公報
上記のように、固有抵抗の増加や板厚の低減あるいは鋼板板厚方向にSi濃度勾配を付与する従来技術では、高周波域、特に、400Hz〜2kHz程度の高周波域で、安定して鉄損が低い電磁鋼板を低コストで得ることは難しいのが実情である。
そこで、本発明の目的は、従来技術が抱える上記問題点を解決し、400Hz〜2kHz程度の高周波域で、安定して低鉄損特性を示す電磁鋼板とその安価な製造方法を提案することにある。
発明者らは、400Hz〜2kHz程度の高周波域で安定して低鉄損を示す電磁鋼板を開発するために、電磁鋼板の板厚方向にSi濃度勾配を付与する従来技術とは異なる方法で板厚方向の透磁率に分布を持たせる方法について検討した。そして、無方向性電磁鋼板においては、透磁率は結晶粒径に依存し、結晶粒径が大きいほど透磁率が向上することに着目し、検討を重ねた結果、電磁鋼板の表裏の両表層部に粗大結晶粒組織からなる透磁率の高い領域を、板厚中央部に微細結晶粒組織からなる透磁率の低い領域をそれぞれ配すると共に、それらの厚さおよび平均結晶粒径を適正範囲に制御すれば、磁束を鋼板の両表層部に集中させることができ、ひいては、400Hz〜2kHz程度の高周波域での鉄損を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、Cを0.010mass%以下、Siを4mass%以下含有する電磁鋼板であって、該鋼板の両表層部には下記のように定義される粗大結晶粒部分を有し、板厚方向の中央部には下記のように定義される微細結晶粒部分を有し、かつ、該粗大結晶粒部分と該微細結晶粒部分とは平均結晶粒径の比が2.0以上であり、上記粗大結晶粒部分の両表層部の合計厚さが全板厚の10%以上、上記微細結晶粒部分の厚さが全板厚の10%以上である(ただし、板厚が0.08〜0.22mmのものを除く。)ことを特徴とする電磁鋼板である。

鋼板表面に平行な面内での平均結晶粒径Dの板厚方向の分布を測定し、その最大値をDmax、最小値をDminとしたとき、
粗大結晶粒部分:D≧0.5Dmaxを満たす部分
微細結晶粒部分:D≦2.0Dminを満たす部分
また、本発明の電磁鋼板における上記粗大結晶粒部分は、両表層部の厚さの差が両表層部の平均厚さの30%以下、両表層部の平均結晶粒径の差が両表層部の平均結晶粒径の30%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、400Hz〜2kHz程度の高周波域において鉄損が低い電磁鋼板を安価に提供することができる。
発明者らは、鋼板の板厚方向にSi濃度勾配を付与する従来技術とは異なる方法かつ安価な方法で、板厚方向の透磁率に分布を持たせることにより、高周波域において安定して鉄損が低い電磁鋼板を開発するべく、結晶粒径による透磁率の差、すなわち、方向性電磁鋼板と比較して結晶粒径が小さい無方向性電磁鋼板においては、結晶粒径の増加に伴い透磁率が向上することに着目し検討を重ねた。その結果、電磁鋼板の表裏の両表層部に透磁率の高い粗大結晶粒組織を配することで、磁束を鋼板の両表層部に集中させ、高周波域の鉄損を有効に低減することができることに想到した。また、粗大結晶粒組織はヒステリシス損が小さいので、この組織を板厚表層部に配することで、高周波で励磁されて磁束が板厚表層部に集中した場合においても、ヒステリシス損を有効に低減することができる。すなわち、本発明によれば、高周波域における渦電流損とヒステリシス損を同時に低減できるので、鉄損を有効に低減することが可能となる。なお、上述した特許文献3や4の技術は、10kHzという非常に高い周波数域での鉄損低減を意図しているために、鋼板の表層と内部とで2倍以上の透磁率差を設けているが、本発明は、400Hz〜2kHz程度の周波数域で使用されるモータの鉄心やリアクトル等に用いる電磁鋼板を対象としているため、必ずしも表層/中心層の透磁率の比が2倍以上である必要はない。
以下、本発明に係る電磁鋼板について説明する。
Si:4mass%以下
Siは、鋼板の固有抵抗を増加させて渦電流損を低減する元素であり、高周波域での鉄損低減を図る場合には、想定する周波数域に応じて添加させる必要がある。しかし、Si添加量が4mass%を超えると、圧延が困難となり製造することが難しくなるため、4mass%以下に制限する。好ましいSiの範囲は、0.5〜3.5mass%である。なお、板厚を薄くすることで渦電流損の低減を図る場合には、Siを敢えて添加する必要はない。また、本発明は、Si濃度勾配による板厚方向の透磁率の差を利用して鉄損低減を図る技術ではないが、板厚方向にSi濃度勾配を設ける技術を併用しても、本発明の効果を妨げるものではない。
本発明の電磁鋼板においては、Si以外の成分組成は、特に制限する必要はなく、通常の電磁鋼板に含まれる範囲であればよい。具体的には、Si以外の成分組成として、C:0.010mass%以下、Mn:0.1〜1.5mass%、P:0.5mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:2.0mass%以下、Ti:0.010mass%以下、Nb:0.010mass%以下、Sb:0.020mass%以下、Se:0.020mass%以下の範囲で含まれてもよい。
次に、本発明の電磁鋼板が特徴とする鋼板組織について説明する。
本発明は、粗大結晶粒組織は、微細結晶粒組織に比べて透磁率が高く、ヒステリシス損が低いことを利用し、400Hz〜2kHz程度の高周波域における渦電流損およびヒステリシス損を低減し、もって上記高周波数域における鉄損低減を図る技術である。そのため、本発明の電磁鋼板は、上記効果を得るために、鋼板表層部に透磁率の高い粗大結晶粒組織からなる部分(以降、「粗大結晶粒部分」と称する)、鋼板中央部に透磁率の低い微細結晶粒組織からなる部分(以降、「微細結晶粒部分」と称する)を配することを必須とする。
ここで、本発明における上記粗大結晶粒部分および微細結晶粒部分は、電磁鋼板の鋼板表面に平行な面内での平均粒径Dの板厚方向の分布を求め、その平均粒径Dの最大値をDmax、最小値をDminとした時、D≧0.5Dmaxを満たす厚み方向領域を粗大結晶粒部分、また、上記D≦2.0Dminを満たす厚み方向領域を微細結晶粒部分と定義したものである。
鋼板表面に平行な面内での平均粒径Dの板厚方向の分布は、以下のように計測する。図1は、鋼板表裏の両表層部の結晶粒径が、鋼板中央部のそれに比べて粗大な組織を有する鋼板の、板厚方向(圧延面に垂直方向)の断面図を模式図に示したものである。まず、鋼板断面の結晶粒界を、エッチングなどの方法で顕わにした後、この断面の板厚方向の任意の位置zに、圧延面に平行な線分Lを引き、この線分Lと交差する結晶粒界の数Nを線分Lの長さを割った値を、板厚方向の位置zにおける平均結晶粒径D(z)とする。すなわち、板厚方向zの位置における平均結晶粒径D(z)は、L/Nで表される。なお、
圧延方向と圧延直角方向の平均結晶粒径D(z)に差がある場合は、両者の平均とする。
また、本発明の電磁鋼板における粗大結晶粒部分および微細結晶粒部分の平均結晶粒径は、それぞれの領域の平均結晶粒径D(z)をさらに平均したものである。すなわち、鋼板の表裏の両表層部に存在する粗大結晶粒部分をそれぞれ1,2、それらの厚さおよびそれらの合計厚さをそれぞれt1,t2、(t1+t2)、板厚中心部の微細結晶粒部分を3、その厚さをt3としたとき、以下のように定義される。
<D1>:粗大結晶粒部分1の平均結晶粒径=(1/t1)∫粗大結晶粒部分1D(z)dz
<D2>:粗大結晶粒部分1の平均結晶粒径=(1/t2)∫粗大結晶粒部分2D(z)dz
<D12>:粗大結晶粒部分1と2の平均結晶粒径=(1/(t1+t2))∫粗大結晶粒部分1+2D(z)dz
<D3>:微細結晶粒部分3の平均結晶粒径=(1/t3)∫微細結晶粒部分3D(z)dz
上記のように定義したとき、本発明の電磁鋼板は、400Hz〜2kHz程度の高周波域において低鉄損を実現するためには、表裏の両表層部に存在する粗大結晶粒部分1,2の平均結晶粒径<D12>と微細結晶粒部分の平均結晶粒径<D3>が、下記(1)式;
<D12>/<D3> ≧ 2.0 ・・・・・・(1)
を満たすことが必要である。
なお、鋼板表面付近(すなわち、D=0.5Dmaxとなる線分Lの位置と鋼板表面との間)に粗大結晶粒部分の上記定義から逸脱する部分が存在する場合、その厚さ(または体積分率)が全板厚の5%以下であるならば、本発明の効果を阻害しない。また、先述したように、粗大結晶粒部分と微細結晶粒部分の透磁率の比は、必ずしも2.0以上である必要はない。
次に、本発明の電磁鋼板は、粗大結晶粒部分の両表層部の合計厚さ(t1+t2)が全板厚の10%以上、微細結晶粒部分の厚さt3が全板厚の10%以上であることが好ましい。鋼板表裏の両表層部に存在する粗大結晶部分は、高周波域において実質的に磁束が主に通る部分であり、この部分の表裏両表層部の合計厚さ(t1+t2)が全板厚Tの10%を下回ると、高周波域での鉄損低減効果が得られない。また、板厚中心部の微細結晶粒部分は、透磁率を低下させて高周波域における鉄損を低減させる効果を有しており、この部分の厚みt3が全板厚Tの10%を下回ると所望の高周波域の鉄損低減効果が得られないからである。ここで、上記関係を数式化すれば、下記(2)式となる。
(t1+t2)/T≧0.1 かつ t3/T≧0.1 ・・・・・・(2)
また、本発明の電磁鋼板は、両表層部の粗大結晶粒部分の厚さの差が、両表層部の粗大結晶粒部分の平均厚さの30%以下であることが好ましい。鋼板表面の粗大結晶粒部分は、鋼板の表裏の両表層部にほぼ同等の厚みだけ存在することで、渦電流による損失増加を有効に防止することが可能となる。その理由は、鋼板の表層部を流れる磁束の量が異なると、磁束分布の不均一から、渦電流損が却って増加するからである。従って、このような鉄損増加を防止する観点から、表裏の両表層部に存在する粗大結晶粒部分の厚さt1およびt2の差は、それらの平均値の30%以下とするのが良い。ここで、上記関係を数式化すれば、下記(3)式となる。
|t1−t2|/{(t1+t2)/2}≦0.3 ・・・・・・(3)
また、本発明の電磁鋼板は、両表層部の粗大結晶粒部分の平均結晶粒径の差が、両表層部の粗大結晶粒部分の平均結晶粒径の30%以下であることが好ましい。鋼板の表層部に存在する粗大結晶粒部分の透磁率は、上記と同じ理由から、表裏でほぼ同等であることが望ましい。このような観点から、粗大結晶粒部分の平均結晶粒径の差が、粗大結晶粒部分全体の平均結晶粒径の30%以下であることが好ましい。ここで、上記関係を数式化すれば、下記(4)式となる。
|<D1>-<D2>|/<D12>≦0.3 ・・・・・・(4)
次に、本発明に係る電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の電磁鋼板は、鋼板表層部に透磁率の高い粗大結晶粒部分を、鋼板内部に透磁率の低い微細結晶粒部分を有するものである。このような板厚方向に粒径分布を有する電磁鋼板の製造方法としては、1つの素材を用いて、板厚方向における析出物の制御や合金成分の制御、脱炭等の表面改質による表層の粒成長制御などの方法を用いることができる。また、初期粒径や成分が異なる複数の素材を準備し、これらの素材を熱間圧延や冷間圧延において複数重ねて圧延することにより圧着する方法を用いることもできる。
なお、本発明の電磁鋼板を圧延し、圧着して製造する場合には、例えば、最終的に上述した(1)式を満たすような粗大な結晶組織が得られる厚さaを有する素材鋼帯Aおよび厚さbを有する素材鋼帯Bと、微細な結晶組織が得られる厚さcを有する素材鋼帯Cとを準備し、これらをA/C/Bのように3層に重ねて圧延し、圧着することが好ましい。これらの圧着圧延は、熱間圧延を用いる場合は、表面スケールを除去した後、900℃以上に加熱してから圧延するのがよい。冷間圧延を用いる場合は、接合する表面を清浄化した後、50%以上の圧下率で150℃以上の温度にて圧延するのがよい。なお、素材鋼帯AとBは、同一のものであっても、異なるものであってもよい。この際、上述した(2)式を満たすためには、(a+b)を(a+b+c)の10%以上かつ鋼帯Cの厚さcを(a+b+c)の10%以上とすればよい。また、上述した(3)式を満たすためには、鋼帯Bを挟み込む鋼帯A,Bの厚みの差の絶対値|a−b|を(a+b)/2の30%以内とすればよい。さらに、上述した(4)式を満たすためには、素材鋼帯A,Bおよび素材鋼帯Cを製造条件と同一条件で仕上げ焼鈍等して、(4)式を満たすよう予め素材の成分組成等を調整しておくことが好ましい。
なお、上記説明では、3層構造からなる電磁鋼板を例として説明したが、本発明は3層構造だけに限定されるものではなく、例えば、AとCの間および/またはBとCの間に、粗大結晶粒と微細結晶粒の中間組織が得られる素材鋼帯を介在させて、4層以上の構造としてもよい。
(参考例)
C:0.07mass%、Si:3.0mass%、Mn:0.5mass%、Al:0.5mass%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製し、連続鋳造により鋼スラブとし、この鋼スラブを熱間圧延および冷間圧延して板厚が0.35mmの冷延鋼帯とした。この冷延鋼帯を、700℃の温度で再結晶させたのち、900℃の脱炭雰囲気中にて表層部分を脱炭する連続焼鈍を行い、表層に粗大結晶粒を生成させた。この際、焼鈍温度を種々変化させることにより、鋼板表層に生成する粗大結晶粒部分の厚さと粒径を変化させた。その後、この鋼板表面に、絶縁コーティングを塗布して製品とした後、約500gのエプスタイン試験片を、圧延方向および圧延直角方向から半量ずつ切り出し、JIS C2550に準じて磁気測定を行った。
上記測定の結果を表1に示す。また、図2に粗大結晶粒部分の厚みが全板厚の60%、微細結晶粒部分の厚みが全板厚の30%の場合における、粗大結晶部分と微細結晶部分の平均結晶粒径の比<D12>/<D>と鉄損W10/1kの関係を示す。表1および図2から、参考例の電磁鋼板では、鉄損W10/1kが低減しており、特に上記(1)および(2)式の関係を満たす、No.5〜8、10および12の試料では、特に低い鉄損値が得られている。
Figure 0004765347
表2に示すA〜Cの3種類の成分組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造により鋼スラブとした後、これらの鋼スラブを熱間圧延、冷間圧延して種々の板厚の冷延鋼帯を製造した。これらの冷延鋼帯を、図3に示したように、鋼帯AまたはBを外層1または2、鋼帯Cを内層3とする3層構造となるよう重ね合わせたのち、200℃に加熱しつつ冷間圧延して圧着して板厚0.50mmの鋼板とし、その後、仕上げ焼鈍し、絶縁被膜を塗布して電磁鋼板とした。これらの鋼板から、約500gのエプスタイン試験片を圧延方向および圧延直角方向から半量づつ切り出し、JIS C 2550に準じて磁気測定を行った。また、製品版の断面について調査し、粗大結晶粒部分(外層1、2)および微細結晶粒部分(内層3)の平均結晶粒径および厚さを測定した。
Figure 0004765347
素材鋼帯の組み合わせと、上記磁気特性、平均結晶粒径および厚さの測定結果を表3に併記して示した。この表3から、本発明の(1)式を満たすNo.14〜19では鉄損が低下しており、特に、上述した本発明の(1)〜(4)式の全てを満たすNo.14〜16では、鉄損値が大きく低下していることがわかる。
Figure 0004765347
本発明の電磁鋼板は、モータ、発電機用の鉄心材料として使用することで、特に、400〜2kHz域の高い周波数域での鉄損を低減し、高効率化に寄与するものである。
本発明の電磁鋼板断面の結晶粒径分布を説明する模式図である。 粗大結晶粒部分と微細結晶粒部分の平均結晶粒径の比が鉄損に及ぼす影響を示すグラフである。 実施例2において圧延、圧着した鋼板の断面構造を示す模式図である。

Claims (2)

  1. Cを0.010mass%以下、Siを4mass%以下含有する電磁鋼板であって、該鋼板の両表層部には下記のように定義される粗大結晶粒部分を有し、板厚方向の中央部には下記のように定義される微細結晶粒部分を有し、かつ、該粗大結晶粒部分と該微細結晶粒部分とは平均結晶粒径の比が2.0以上であり、上記粗大結晶粒部分の両表層部の合計厚さが全板厚の10%以上、上記微細結晶粒部分の厚さが全板厚の10%以上である(ただし、板厚が0.08〜0.22mmのものを除く。)ことを特徴とする電磁鋼板。

    鋼板表面に平行な面内での平均結晶粒径Dの板厚方向の分布を測定し、その最大値をDmax、最小値をDminとしたとき、
    粗大結晶粒部分:D≧0.5Dmaxを満たす部分
    微細結晶粒部分:D≦2.0Dminを満たす部分
  2. 上記粗大結晶粒部分は、両表層部の厚さの差が両表層部の平均厚さの30%以下、両表層部の平均結晶粒径の差が両表層部の平均結晶粒径の30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板。
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