JP2006078684A - 電子写真装置 - Google Patents

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善久 齊藤
Yuichi Mizoo
祐一 溝尾
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Abstract

【課題】 小径で高耐久表面層を持つ感光体を速い画像形成プロセスで使用したときの、低温低湿時の感度低下による画像濃度低下、カブリ悪化を抑制する。
【解決手段】 電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度が3.0×10−6cm/V・s以下である電子写真感光体と、少なくとも結着樹脂、着色剤及び荷電制御剤を含有し、該荷電制御剤が少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂を含み、且つ前記荷電制御剤が、(i)電位差滴定法により測定される、第一の酸価Aと第二の酸価Bとを有し、(ii)第二の酸価Bは2〜10mgKOH/gであり、(iii)第一の酸価A及び第二の酸価Bが下記式(1)を
満足するトナーを用いる。
1.20 ≦ A/B ≦ 2.00 (1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置に関する。
従来の電子写真装置には比較的大径の感光体が用いられていた。このような大径の感光体は出力スピードを上げるために感光体を速く回転させた場合でも、像露光から現像までの時間は、光減衰させるために十分な時間、例えば0.1秒以上を要していた。そのため、光減衰速度が比較的遅い感光体(キャリアの移動度が1.0×10−6cm/V・秒程度のもの)でも、十分な感度を得ることが可能であった。つまり、像露光から現像までの時間で、感光体表面の電位は十分に減衰し、所定の静電潜像を得ることができた。しかし、低温低湿時においては、キャリアの移動度が著しく低下し、所定の静電潜像を得ることができない。そこで、感光体上に特定の文様のトナー像(これを「パッチ画像」という)を形成し、該パッチ画像の濃度を光学的検知手段により検出し、該検出された濃度情報により、帯電、像露光、及び現像の少なくともひとつの手段の出力値を制御して実画像の画像形成条件を設定し、濃度低下を防ぐといったことが行われていた(例えば、特許文献1参照)。
上記従来技術において、検出されたパッチ画像の濃度に基づいて実画像の濃度調整を行う具体的方法としては、現像スリーブの周速又は現像バイアス電圧を制御する;感光体への帯電電圧又は帯電電流を制御する;像露光時の露光強度を制御する;などの方法が挙げられている。しかしながら、像露光時の露光強度による補正では、レーザーの発光強度や感光体感度に限界があり、また反転現像系のプロセスにおいては、現像バイアスを上げることでコントラスト電位を確保しても、ベタ白部電位と現像バイアスの差(以下、バックコントラスト)が小さくなり、カブリなどの問題が発生する。またこれを解決するために帯電電圧を上げるには容量の大きな電源が必要となり、感光体の耐圧が問題となったり、装置の小型化を妨げる要因となったりする。
昨今の電子写真装置に求められる性能として、小型化、高速化、高耐久化があり、いずれも達成しなければならない課題である。特に耐久性に優れる感光体は一般的にキャリアの移動度が低い。これは、感光体の磨耗の低減のために電荷輸送層上に形成される保護層に起因していたり、電荷輸送層の組成や厚膜化に起因していたりする。また、装置の小型化と高速化のために、感光体が小径になり画像形成プロセスのスピードが上がることで、露光手段から現像手段までの時間が著しく短くなっている。このようなことから、特に高速の画像形成プロセスにおいて使用した場合の、低温低湿時における感光体の感度低下が著しく大きく、プロセス条件の制御のみでは対応不可能な濃度低下やカブリといった問題が生じている。
特開2001−305756公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、小径で耐久表面層を持つ感光体を速い画像形成プロセスで使用したときの、低温低湿時の感度低下による画像濃度低下、カブリ悪化を抑制することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、トナーの低温低湿下における帯電性に着目し、特定の構成単位を有する重合体を荷電制御剤としてトナーに含有させることによりトナーの帯電性
能を向上させ、これにより感光体の感度が低下した場合にも必要な量のトナーが電子写真感光体表面に供給されることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された、少なくとも電荷輸送層及び電荷発生層を含む感光層と、を有する電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、前記帯電された電子写真感光体上に像露光により静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、前記電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段、並びに前記帯電手段による帯電に先立って前記電子写真感光体上に残留した静電潜像を除電光により一様に除電する除電手段、を備えた電子写真装置であって、
前記電子写真感光体は、電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度が3.0×10−6cm/V・s以下であり、
前記トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤及び荷電制御剤を含有し、該荷電制御剤が少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂を含み、且つ前記荷電制御剤が、(i)電位差滴定法により測定される、第一の酸価Aと第二の酸価Bとを有し、(ii)第二の酸価Bは2〜10mgKOH/gであり、(iii)
第一の酸価A及び第二の酸価Bが下記式(1)を満足することを特徴とする電子写真装置。
1.20 ≦ A/B ≦ 2.00 (1)
(2)前記電子写真感光体の電荷輸送層の厚さが25μm以上であることを特徴とする(1)の電子写真装置。
(3)前記除電手段における除電光の光強度が、前記電子写真感光体の周辺の温度及び/又は湿度に応じて制御されることを特徴とする(1)又は(2)の電子写真装置。
以上説明したように、本発明によれば、耐久性に優れる小径の感光体を、速い画像形成プロセスで使用した場合でも、低温低湿時における著しい感度低下による画像濃度低下やカブリの発生を防止し、高濃度且つ高画質な画像を形成することができる。
本発明の電子写真装置は、(i)導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された、少なくとも電荷輸送層及び電荷発生層を含む感光層と、を有する電子写真感光体、(ii)電子写真感光体を帯電させる帯電手段、(iii)帯電された電子写真感光体上に像露光によ
り静電潜像を形成する露光手段、(iv)静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、(v)電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段、並びに(vi)帯電手段による帯電に先立って前記電子写真感光体上に残留した静電潜像を除電光により一様に除電する除電手段、を備える。
図1は本発明の電子写真装置の好適な一例を示す概略断面図である。この電子写真装置は電子写真プロセスを利用した、転写式のレーザービームプリンター又は複写機である。以下、この図1を用いて本発明の電子写真装置の基本構成を説明する。
図1の電子写真装置は、電子写真感光体としての円筒状の感光体ドラム1と、この感光体ドラム1の周囲に配置された帯電手段2、露光光3を照射する露光手段(図示せず)、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段8、及び除電手段9と、転写材6上に画像を定着するための定着手段7とを有している。図1において、静電潜像を担持するための電子写真感光体である感光体ドラム1は、導電性支持体と該導電性支持体上に形成された、電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層とを有しており、該感光体ドラム1の軸を回転中心として所定のプロセススピードをもって回転駆動される。感光体ドラム1はその回転過
程で帯電手段2により所定の極性・電位に均一に帯電される。本実施の形態では、感光体ドラム1はマイナスに帯電処理される。
本実施形態において、帯電手段2は接触帯電ローラーであり、感光体ドラム1の回転に伴い従動回転する。そして、帯電バイアス印加電源から所定のバイアス電圧を印加することで回転感光体ドラム1の表面が接触帯電式で所定の極性・電位に帯電処理される。次いで、その帯電処理面に対し、不図示のレーザースキャナ等により目的の画像情報の像露光処理がなされ、感光体ドラム1の表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
現像手段4は、トナーを薄層状に担持する現像スリーブ4aを有している。感光体ドラム1表面に形成された静電潜像は、この現像スリーブ4a上に担持されたトナーによって現像されて可視画像(トナー像)となる。現像スリーブ4aは不図示のクラッチにより制御され、画像領域(即ち、感光ドラム1表面に対向する領域)において回転する。そして、不図示の現像バイアス印加電源より所定のバイアス電圧(直流電圧、振動電圧;以後「現像バイアス」と称する)が印加されることで、感光体ドラム1にトナーが供給される。なお、本実施形態においては、マイナスに帯電したトナー(ネガトナー)を用い、反転現像を行う。
転写手段5は、感光体ドラム1の静電潜像の現像が行われる領域より下流領域において、該感光体ドラム1に圧接するように設けられている。本実施形態では、転写手段5は接触帯電転写ローラーであり、感光体ドラム1の回転に従動して回転する。感光体ドラム1表面上のトナー像は、感光体ドラム1の回転に従い、該感光体ドラム1と上記転写手段5との間の接触ニップ部である転写部に搬送される。そして、この転写部において、給紙部(図示せず)から所定のタイミングで給送された転写材6に対して順次に転写されていく。
ところで、上記給送された転写材6の先端が転写部に突入すると、転写手段5に転写バイアス印加電源(図示せず)から所定の転写用のバイアスが印加される。転写手段5と接触している転写材の裏面が、上記転写用のバイアスにより接触帯電方式でトナーと逆極性に帯電され、このため感光体ドラム1のトナー像が転写材6の表面に転写される。転写部を介してトナー像の転写を受けた転写材6は、感光体ドラム1の面から分離されて定着手段7に送られ、転写トナー像が転写材6上に永久固着画像として定着され、プリント又はコピー書類として機外へ排出される。
一方、前記転写部通過後の感光体ドラム1の表面は、クリーニング手段8によって残留トナーやその他の付着物が除去される。更に、除電手段9が除電光を感光体ドラム1表面に照射することにより、該感光体ドラム1上に残留した静電潜像を一様に除電する。このような除電処理がなされた後、感光体ドラム1は繰り返して作像に供される。なお、接触帯電式の帯電ローラー及び転写ローラーはそれぞれギア等を取り付け、モーター等の駆動手段により強制駆動されるようにしても良い。また、本発明に用いる帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び除電手段は上記した以外にも公知の任意のものを用いることができ、特に限定されない。
次に、本発明に用いられる感光体ドラムと荷電制御剤及びトナーについて以下に説明する。
本発明に用いられる電子写真感光体としては、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成された、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層とを有する積層電子写真感光体が用いられる。感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層されたものが好ましく用いられるが、必ずしもこれに限定されるものではない。ま
た、導電性支持体と感光層の間には、支持体の構造的欠陥の被覆、感光層と支持体との密着改良、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、導電性支持体から光導電層へのキャリア注入性の改良等のために、導電層を設けてもよい。
本発明に用いられる導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、アルミニウムやステンレス等の金属、アルミニウム合金や酸化インジウム−酸化錫合金等の合金、これら金属や合金の被膜層を有するプラスチック、導電性粒子を含浸させた紙やプラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチック等からなる、円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
導電性支持体上に形成することができる導電層は樹脂中に導電性粒子を分散させてなるものである。導電層に用いられる導電性粒子とは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウム等といった導電性金属酸化物や硫酸バリウム等の金属硫化物、カーボンブラック等からなる粒子、又はこれらの金属酸化物や金属硫化物を含有する粒子であり、中でも、酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム及び酸化アンチモンが好ましい。上記導電性粒子の平均粒径は0.01〜0.5μmが好ましく、0.02〜0.3μmがより好ましい。
また、この導電性微粉体を分散させる樹脂は、導電層上に直接塗工されるバリア層や感光層用の塗工液の溶剤によって溶出されないものを適当に選択して使用することができる。このような樹脂としては、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、ポリビニールアセタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂又はポリエステル等が好ましい。これらの樹脂は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記したような各樹脂は、導電性支持体に対する接着性が良好であると共に、導電性粒子と共に用いうるフィラーの分散性を向上させ、且つ成膜後の耐溶剤性が良好である。上記各樹脂の中でも、特にフェノール樹脂及びポリウレタンが好ましい。
また、導電層には、導電層の電気抵抗を調整するために、フィラーを含有させてもよい。一般に、フィラーは平均粒径が小さくなると分散が難しくなり再凝集し易くなるので、分散性に優れるものを用いる。フィラーの含有量は、導電層全体に対して1.0〜90質量%が好ましく、5.0〜80質量%がより好ましい。また、フィラーの分散性を向上させるために、フィラー表面をカップリング剤(シランカップリング剤やチタンカップリング剤等)又はシリコーンオイル等の処理剤で処理してもよい。また、上記処理剤を導電層のバインダー中に含有させてもよい。
導電層の厚みは0.1〜30μmが好ましく、0.5〜20μmがより好ましい。また、導電層の体積抵抗率は1013Ω・cm以下が好ましく、10Ω・cm以上1012Ω・cm以下がより好ましい。なお、本発明では、体積抵抗率はアルミニウム板上に測定対象の導電層を塗布し、更にこの導電層上に金の薄膜を形成して、アルミニウム板と金薄膜の両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定することにより求める。
更に、導電層には、導電層の表面性を高めるために、レベリング剤を添加することができる。
感光層の材料の種類によっては、導電層から感光層にフリーキャリアが注入されることがあり、これにより電子写真感光体の帯電能が低下し、画像特性に大きな影響を及ぼす。この様な場合には、必要に応じて導電層と感光層の中間に電気的バリア性を有する中間層(例えば適当な樹脂薄膜)を設けることによってこのフリーキャリアの注入を効果的に抑制することができる。中間層としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチ
ルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷん等の水溶性樹脂や、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン又はポリグルタミン酸エステル等の樹脂を用いることができる。特に、塗工性、密着性、耐溶剤性、電気的バリア性及び抵抗等の点から、ポリアミドが中間層として好ましい。ポリアミドとしては、溶液状態で塗布できるような低結晶性又は非結晶性の共重合ナイロン等が適当である。中間層の厚みは、0.1〜2.0μmが好ましい。
本発明において、感光層を構成する電荷発生層は、バインダー樹脂に少なくとも電荷発生材料を分散させることにより得られる。電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アノントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン及び非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。また、フタロシアニンとしては、アルミニウムクロロフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、オキシバナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニン等の金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン等が挙げられる。フタロシアニンはその結晶構造によって、感度及びその他電子写真特性が大きく異なり、その結晶構造はX線回折等により確認できる。
電荷発生層のバインダー樹脂としては種々のものが使用でき、具体的には例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニールアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等を挙げることができるが、これらのものに限定されるものではない。
また、バインダー樹脂に電荷発生材料を分散させるための分散溶剤としては、アルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類又は芳香族化合物等を用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生材料、電荷発生材料に対して0.3〜4.0倍量のバインダー樹脂及び適当な量の分散溶剤を、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速分散機等の分散方法で均一に分散して分散液を得、該分散液を塗布、乾燥することにより形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤又は上記以外の公知の電荷発生材料を必要に応じて添加することもできる。
本発明に用いられる電荷輸送層は、主として電荷輸送材料とバインダー樹脂とを溶剤中に溶解させ、これに必要に応じて有機樹脂微粒子などの分散助剤を分散させてなる塗工液を塗布、乾燥させて形成する。用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。また、バインダー樹脂としては具体的には例えば、ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル共重合体等のアクリル樹脂、ポリスチレン、低分子量ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びそれらの共重合体、石油樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサ
ルファイド及びポリエーテルエーテルケトン等を挙げることができる。
なお、電荷輸送層が電子写真感光体の最表面層である場合には、該電荷輸送層の磨耗を防止するために、耐磨耗性に優れたバインダー樹脂を用いることが好ましい。このようなバインダー樹脂として具体的には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂等が用いられる。また、バインダー樹脂に対する電荷輸送材料の配合比(D/B比)が低いほど、電荷輸送層の耐磨耗性が高くなる。従って、電荷輸送材料の配合比は、必要とされる電荷輸送能が損なわれない範囲で、できるだけ低く設定することが好ましい。D/B比は、用いるバインダー樹脂及び電荷輸送材料の種類にもよるが、好ましくは15〜60質量%であり、より好ましくは30〜50質量%である。
上記のように耐磨耗性に優れる電荷輸送層を最表面層に用いた電子写真感光体は、例えば電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度が3.0×10−6cm/V・s以下と、一般的に他に比べてキャリア移動度が低い。キャリア移動度の低い電子写真感光体を小径のものとし、低温低湿環境下において高プロセススピードで用いた場合には、感光体の感度が不足することに起因して画像不良が発生するという問題があった。しかしながら、本発明の電子写真装置は後述するような特定の荷電制御剤を含有するトナーと共に用いることにより、このようなキャリア移動度の低い電子写真感光体であっても、上記条件下において発生しやすい感度低下に起因する画像不良を防止することができる。
また、本発明における電荷輸送層の膜厚は、必要とされる電荷輸送能を発揮できる範囲で任意に設定することが可能であるが、該電荷輸送層を最表面層に用いる形態の電子写真感光体においては、耐久性の観点から25μm以上であることが好ましい。より好ましくは29〜40μmである。なお、上述したように、本発明ではこのような比較的厚い電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いた場合であっても、特定の荷電制御剤を含有するトナーと共に用いることにより、感光体の感度低下に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
また、分散助剤としての無機粒子はシリカ系、アルミナ系等のものが一般的であるが、分散性が悪く分散安定性(ポットライフ)が短いために表面改質や特殊な成膜装置が必要であり、あまり使われない。一方、分散助剤としての有機樹脂微粒子にはシリコーン系樹脂、フッソ系樹脂、アクリル系樹脂などがあり、適正な材料の選択により分散性、分散安定性の良い粒子分散塗料が得られるといった利点がある。更に、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤又は上記以外の公知の電荷輸送材料を必要に応じて添加することもできる。
なお、本発明に用いる電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
次に本発明に用いる荷電制御剤について説明する。
トナーの微粒子化により、使用される荷電制御剤には帯電付与能力は勿論、トナー中に均一分散する機能も必要とされている。本発明者らは、このような要求に対して、荷電制御剤として少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂を含む、粉砕法にて製造された特定の円形度を有するトナーや、少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂とハイブリッド樹脂及びワックスを含有するトナーを開発してきている。この様な樹脂制御剤を用いることで、トナー中への分散は格段に改良され、その効果も確認している。
しかし、粉砕法にて製造されるトナーは、小粒径化されることによりトナー粒子中の微
粒子の存在割合が増大する。このような粒度分布を有するトナーに対して均一な帯電状態を常に維持するには限界がある。しかし、個々のトナー粒子は現像器内及び現像剤担持体(現像スリーブ)上において、互いに接触又は弱付着と分離を繰り返すことにより、ある程度の帯電緩和が行われ、擬似均一帯電状態とすることができる。以下、詳細に説明する。
本発明に用いる荷電制御剤は、少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂を含むものである。即ち、本発明に用いる荷電制御剤は、少なくともスルホン酸基を含有するビニル系モノマー(以下、「スルホン酸基含有ビニル系モノマー」とも言う)を構成単量体として用いた単重合体又は共重合体を含むものである。スルホン酸基含有ビニル系モノマーとしては、(メタ)アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
また、本発明では、スルホン酸基含有ビニル系モノマーの代わりにスルホン酸塩含有ビニル系モノマーを用いてもよく、これも本発明の範囲とする。スルホン酸塩含有ビニル系モノマーとしては、スルホン酸基含有ビニル系モノマーのアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及びバリウム等)塩、アミン(トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジメチルベンジルアミン等)塩及び4級アンモニウム塩(トリブチルベンジルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びテトラブチルアンモニウム塩等)が挙げられる。
これらスルホン酸基含有ビニル系モノマー又はスルホン酸塩含有ビニル系のうち好ましいものは、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アンモニウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カリウムである。より好ましいものは、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アンモニウム塩である。
また、本発明では、スチレン系モノマー及び/又は炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸モノマーを、荷電制御剤の構成モノマーとして上記スルホン酸基含有ビニル系モノマーと共に用いることも好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン、スチレンのアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル置換体;例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、及びビニルナフタレン等が挙げられる。これらのうち好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンであり、より好ましいものは、スチレン、α−メチルスチレンである。
炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとしては、炭素数3〜20の不飽和モノカルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等;炭素数3〜30の不飽和カルボン酸アルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−エトキシ(メタ)アクリレート等、グリシジル(メタ)ア
クリレート等;炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち共重合性、共重合体のガラス転移点の観点から好ましいものは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、特に好ましいものはアクリル酸、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
また、本発明の荷電制御剤の機能を損なわない範囲で、他のラジカル共重合性モノマーを共重合させてもよい。他のラジカル共重合性モノマーとしては、炭素数2〜12のアルケノール、例えば、(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸及びそのエステル誘導体[モノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル]、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びこれらのモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル(メチルエステル及びエチルエステル等)等;炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール;炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル;炭素数2〜20のアルケン類、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン;モノ、ジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えば、シクロセキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えば、ピネン、リモネン及びインデン;(メタ)アクリロニトリル等;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン等;炭素数3〜30の不飽和カルボン酸多価(2〜3)アルコールエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等;不飽和アルコール[ビニル、イソプロペニル等]と炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、メチル−4−ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテート及びビニルベンゾエート等が挙げられる。
なお、本発明の荷電制御剤の構成モノマーとして、上記各モノマーをスルホン酸基含有ビニル系モノマーと共に用いる場合、その配合比は、帯電性及びトナー中への分散性の観点から、質量比でモノマー全量に対して1〜24%とすることが好ましい。上記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの配合比は、より好ましくは2〜15%、更に好ましくは3〜10%とした場合に、他モノマーとの重合性に優れ且つトナーに含有させた際の帯電付与性に優れた荷電制御剤を得ることができる。
また、スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘
導体モノマーの配合比は、質量比でモノマー全量に対して、それぞれ50〜98%及び1〜49%とすることが好ましい。これらのモノマーの配合比は、それぞれ好ましくは55〜96%と2〜43%であり、更に好ましくは65〜90%と3〜32%である。上記各モノマーの配合比はスルホン酸基含有ビニル系モノマーの量及び目的とする共重合体のガラス転移点の設計により適宜調整される。
なお、本発明における荷電制御剤としての共重合体のガラス転移点は30〜120℃とすることが好ましく、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは70〜95℃である。ガラス転移点が30℃未満となる場合には、トナーの流動性や保存安定性が低下する場合があり、好ましくない。ガラス転移点が120℃を超える場合には、トナー印字比率が高い画像の場合に、定着性が劣る場合があり、好ましくない。
以下、本発明に用いる荷電制御剤の好ましい製造法について説明する。本発明における荷電制御剤の製造方法としては、少なくともスルホン酸基含有ビニル系モノマーを含む上記各モノマーを、ラジカル重合開始剤を用いて一括重合又は滴下重合する方法を用いることができる。重合温度は、好ましくは30〜140℃、より好ましくは50〜120℃である。この時、一定温度で重合してもよく、温度を段階的に又は連続で変化させながら重合してもよい。重合時間は、好ましくは1〜30時間、より好ましくは2〜20時間である。重合温度、時間をそれぞれ、30〜140℃、1〜30時間とすることで、スルホン酸基含有ビニル系モノマーの熱劣化を防ぐことができる。
また、圧力は、反応槽の形態、目的樹脂の生産性に応じて常圧、加圧、減圧のいずれかを適宜選択することができ、これら2種以上の圧力状態を経て目的の単重合体又は共重合体を得てもよい。
上記単重合体又は共重合体を製造する際に用いられる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)及びアゾビスシアノ吉草酸;有機過酸化物系重合開始剤、例えば、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(tert−パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンソエート、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びtert−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
これらの内好ましいものは、共重合の観点から、20℃の水への溶解性が5質量%以下の非水溶性である、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(tert−パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンソエートである。重合開始剤の使用量は、モノマー全量に基づいて0.1〜10%、好ましくは0.2〜8%、更に好ましくは0.3〜6%である。
重合溶媒は、水と有機溶剤の混合系を用いることが好ましい。溶媒を混合系とすることで、水溶性のスルホン酸基含有ビニル系モノマーと油溶性のスチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとを効率よく共重合する
ことができる。
水と混合する有機溶剤としては、炭素数5〜20の炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等;炭素数1〜12のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン等;炭素数2〜18のエーテル、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等;炭素数3〜18のケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等;炭素数3〜18のエステル、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等;炭素数1〜18の含窒素化合物、例えば、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アニリン、ピリジン、N−メチルピロリドン等;炭素数1〜8の含ハロゲン化合物、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
これらの内、沸点又は水との親和性、更に経済性等の観点から、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジンの単独使用又は2種以上の併用が好ましい。
更に好ましくは、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドの単独使用又は2種以上の併用である。
更に、水への溶解性が大きく異なる溶剤を2種以上組み合わせることで、スルホン酸基含有ビニル系モノマーと、スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとの共重合性が向上するため、好ましい。特に好ましい有機溶剤系列を例示すると、[少なくともメタノール、トルエンが混合された系]、[少なくともメタノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともメタノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともエタノール、トルエンが混合された系]、[少なくともエタノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともメタノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、トルエンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともアセトン、トルエンが混合された系]、[少なくともアセトン、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともアセトン、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、トルエンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、メチルエチ
ルケトンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、シクロヘキサンが混合された系]等が挙げられる。
水とこれら有機溶媒との質量比は、特に制限はないが、重合時に半懸濁状態を容易に形成させる観点から、溶媒中の水の量が20〜90質量%であることが好ましい。更に好ましくは50〜80質量%である。
重合時の攪拌条件は、重合系の構成成分による影響も大きく、半懸濁状態となる範囲であれば任意に設定することができるが、得られる共重合体の粒径及び粒子安定性のバランスから、5〜40(1/sec)のせん断速度で重合するのが好ましい。更に好ましくは、8〜25(1/sec)である。
本発明の荷電制御剤の製造方法においては、重合前のモノマー、重合開始剤及び溶媒の混合物の状態において、撹拌等のせん断を受けている時は分散し、無せん断下、静置すると少なくとも2相に相分離する半懸濁状態で重合を行う。半懸濁状態で重合を行うことで、重合後の共重合体が溶媒中に分散析出するために、溶媒との分離が容易になる。20℃において、10(1/sec)のせん断速度で5分間撹拌して形成した懸濁状態が、無撹拌下、20秒以上60分以内に少なくとも2相に分離する条件で重合を行うことがよい。より好ましくは30秒以上30分以内、更に好ましくは1分以上20分以内で分離する条件である。この条件とすることで適度な分散径を有する共重合体が得られやすい。なお、滴下重合を用いて重合を行う場合の半懸濁状態については、滴下液と反応槽への仕込み原料を全て合わせた状態のものについて判定すれば良い。
上述の製造方法とすることで、重合溶媒の除去は、場合により塩析等の前処理を行った後、公知の方法で固液分離を行えば良い。公知の固液分離法としては、フィルタープレス、スクリューデカンタ、遠心分離機等を用いる方法、スプレードライ、真空乾燥等が挙げられる。また、重合後適宣減圧等として加熱により溶媒を系外へ留去し、目的の樹脂を溶融状態で得てもよい。
また、トナー中の結着樹脂及び磁性トナーの場合には磁性体への荷電制御剤の分散をより高める為には、使用する荷電制御剤の第一の酸価と第二の酸価を下記の通り規定することが好ましい。なお、荷電制御剤の第一の酸価Aはトナーの帯電に寄与し、第二の酸価Bはトナー中への荷電制御剤の分散へ寄与する。
第一の酸価Aは2〜10mgKOH/gの範囲であれば、トナー中の分散助剤成分との共重合性及びトナー化後の帯電付与性及び環境安定性に対して問題は無い。第一の酸価Aは、3〜9mgKOH/gであることがより好ましい。第一の酸価Aが2mgKOH/g未満であると、帯電付与性の面で劣る場合があり、好ましくない。また、10mgKOH/gを超えると、帯電が過剰となり、例えば高温高湿下と低温低湿下でトナー帯電状態に差が生じる場合があり、好ましくない。
また、第二の酸価Bは、上記第一の酸価Aに対して下記式(1)を満足する範囲であれば、トナー中の帯電付与成分との共重合が十分であり、トナー中への分散に対して問題はない。
1.20 ≦ A/B ≦ 2.00 (1)
なお、上記式(1)において、A/Bが1.20未満及び2.00超えとなる場合には、トナー中への均一分散が行えない場合があり、好ましくない。荷電制御剤の第1及び第2の酸価A及びBは、荷電制御剤の材料(構成モノマー)の配合比及び/又は反応時間を適宜選択することにより、所望の値に調整することができる。
更に、本発明の荷電制御剤の重量平均分子量(Mw)は10,000〜100,000であることが好ましく、更に好ましくは20,000〜75,000である。Mwが10,000未満及び100,000を超える場合には、トナー中への分散が悪化する場合があり好ましくない。
更に、本発明の荷電制御剤の重量平均分子量W(Mw)と数平均分子量N(Mn)は1.2≦W/N≦3.5であることが好ましく、更に好ましくは1.5≦W/N≦3.0である。上記をコントロールすることにより、帯電付与成分とトナー中への分散助剤との共重合状態が良好となる。W/Nが3.5を超える場合には、荷電制御剤の分子量分布が広がりを持つ為、トナー中への分散が悪化する場合があり好ましくない。
更に、本発明の荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当たり、0.01〜15質量部含有させることできる。好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.5部〜8質量部が良い。含有量が0.01質量部未満となる場合には、帯電付与性の面で劣る場合があり好ましくない。また、15質量部超えとなる場合には、均一分散性に対して問題が生じ、帯電のバラツキによるカブリ等の原因となる場合があり好ましくない。
本発明に用いられるトナーは、上記荷電制御剤の他に、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する。本発明においてトナーに用いられる結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビニル系樹脂とポリエステル系樹脂が帯電性や定着性の観点からより好ましい。
ビニル系樹脂を構成するビニル系モノマーとしては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体;α,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類が挙げられる。これらのビニル系モノマーが単独で又は2種以上で用いられる。これらのビニル系モノマーを適宜組み合わせて得られる単重合体又は共重合体をトナーの結着樹脂であるビニル系樹脂として用いることができる。中でも、得られるビニル系樹脂がスチレン系共重合体又はスチレン−アクリル系共重合体となるようにビニル系モノマーを組み合わせて用いることが好ましい。
また、本発明に用いられるビニル系樹脂は、必要に応じて以下に例示する様な架橋性モノマーで架橋された重合体又は共重合体であってもよい。芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
上記架橋性モノマーのうち多官能のものとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
上記架橋性モノマーは、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部(更に好ましくは0.03〜5質量部)用いることができる。また、上記各架橋性モノマーのうち、トナー用結着樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
上記ビニル系単重合体又は共重合体からなる結着樹脂を合成する方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの重合法が利用できる。荷電制御剤の構成モノマーとして、上記のようなカルボン酸モノマー又は酸無水物モノマーを用いる場合には、モノマーの性質上、塊状重合法又は溶液重合法を利用することが好ましい。
一例として次のような方法が挙げられる。ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸モノエステルの如きモノマーを用い、塊状重合法、溶液重合法によりビニル系共重合体を得ることができる。溶液重合法においては、溶媒留去時におけるジカルボン酸、ジカルボン酸モノエステル単位の留去条件を適当なものとすることにより一部無水化することができる。更に、塊状重合法又は溶液重合法によって得られたビニル系共重合体を加熱処理することで更に無水化を行うことができる。酸無水物をアルコールなどの化合物により一部エステル化することもできる。逆に、この様にして得られたビニル系共重合体を加水分解処理することにより酸無水物基を閉環させ、一部ジカルボン酸とすることができる。
一方、ジカルボン酸モノエステルモノマーを用い、懸濁重合法、乳化重合法で得られたビニル系共重合体を加熱処理による無水化及び加水分解処理による開環により無水物からジカルボン酸を得ることができる。塊状重合法又は溶液重合法で得られたビニル系共重合
体を、モノマー中に溶解し、次いで懸濁重合法又は乳化重合法により、ビニル系重合体又は共重合体を得る方法を用いれば、酸無水物の一部は開環してジカルボン酸単位を得ることができる。重合時にモノマー中に他の樹脂を混合してもよく、得られた樹脂を加熱処理による酸無水物化、弱アルカリ水処理による酸無水物の開環アルコール処理によりエステル化を行うことができる。
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物モノマーは交互重合性が強いので、無水物、ジカルボン酸の如き官能基をランダムに分散させたビニル系共重合体を得る為には以下の方法が好ましい方法の一つである。ジカルボン酸モノエステルモノマーを用い溶液重合法によってビニル系共重合体を得、このビニル系共重合体をモノマー中に溶解し、懸濁重合法によって結着樹脂を得る方法である。この方法では溶液重合後の溶媒留去時に処理条件により、全部又はジカルボン酸モノエステル部を脱アルコール閉環無水化させることができ酸無水物を得ることができる。懸濁重合時には酸無水物基が加水分解開環し、ジカルボン酸が得られる。
ポリマーにおける酸無水物化は、カルボニルの赤外吸収が酸又はエステルの時よりも高波数側にシフトするので酸無水物の生成又は消滅は確認できる。
この様にして得られる結着樹脂は、カルボキシル基、無水物基、ジカルボン酸基が結着樹脂中に均一に分散されているので、トナーに良好な帯電性を与えることができる。
結着樹脂としては以下に示すポリエステル樹脂も好ましい。ポリエステル樹脂は、全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%が酸成分である。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記構造式(1)で表わされるビスフェノール誘導体、また下記構造式(2)で表されるジオール類、グリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール類が挙げられる。
Figure 2006078684

(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示す。x及びyはそれぞれ1以上の整数を示し、x+yの平均値は2〜10である。)
Figure 2006078684
また、全酸成分中50mol%以上を含む2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、また更に炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられ、また、3価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。
特に好ましいポリエステル樹脂のアルコール成分は上記構造式(1)で表されるビスフェノール誘導体であり、好ましい酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのジカルボン酸類;トリメリット酸又はその無水物のトリカルボン酸類が挙げられる。これらの酸成分及びアルコール成分から得られたポリエステル樹脂を結着樹脂として使用したトナーは、熱ローラー定着における定着性が良好だからである。
結着樹脂として用いるポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下であり、OH価は好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下である。これは、分子鎖の末端基数が増えるとトナーの帯電特性の環境依存性が大きくなる為である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は好ましくは50〜75℃、より好ましくは55〜65℃である。また、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は好ましくは1,500〜50,000、より好ましくは2,000〜20,000であり、重量平均分子量(Mw)は好ましくは6,000〜100,000、より好ましくは10,000〜90,000であることが良い。
本発明では、上述したような結着樹脂の中から2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、上記結着樹脂に混合して用いることができる。このように2種以上の樹脂を混合して結着樹脂として用いる場合、分子量の異なるものを適当な割合で混合するのが好ましい形態である。
結着樹脂のガラス転移温度は好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜70℃である。また、結着樹脂の数平均分子量(Mn)は2,500〜50,000、重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000であることが好ましい。
本発明のトナーは上述した特定の荷電制御剤を含有するが、その帯電性を更に安定化さ
せる為に、必要に応じて以下に挙げる他の荷電制御剤を併用してもよい。トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤としては、有機金属錯体やキレート化合物が有効である。例えば、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当たり総量で0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用するのが好ましい。
本発明に用いるトナーは、磁性材料を含有する磁性トナーであってもよい。トナーを磁性トナーとして用いる際にトナーに含有される磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、又はこれらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金;及びこれらの混合物等が挙げられる。
具体的な磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe)、γ−三二酸化鉄(γ−Fe)、酸化鉄亜鉛(ZnFe)、酸化鉄イットリウム(YFe12)、酸化鉄カドミウム(CdFe)、酸化鉄ガドリニウム(GdFe12)、酸化鉄銅(CuFe)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe)、酸化鉄ネオジム(NdFe)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe)、酸化鉄マンガン(MnFe)、酸化鉄ランタン(LaFeO)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で又は2種以上を組み合わせて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらの磁性材料は平均粒径が0.05〜2μmで、795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.6〜12.0kA/m、飽和磁化50〜200Am/kg(好ましくは50〜100Am/kg)、残留磁化2〜20Am/kgのものが好ましい。また、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部を使用することが好ましい。
本発明では、トナーに必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を含有させても構わない。トナーに用いることができる離型剤としては次のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス又はこれらのブロック共重合物;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はこれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳
香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。またこれらの離型剤は、通常、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂と混合することにより、トナーに含有させることができる。
本発明では、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、及び必要に応じて添加される離型剤等からなるトナー粒子に、以下に例示するような流動性向上剤を外添混合することも好ましい。本発明における流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、トナーの流動性が添加前と比較して向上し得るものである。このような流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカや乾式製法シリカなどの微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ等の無機微粉体をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施し、疎水化処理したものが挙げられる。上記無機微粉末の中でも、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すように処理したものが特に好ましい。疎水化処理を施していない無機微粉体を使用すると、トナーの感光体への付着や削れが悪化したり、トナー自体の環境安定性を損なったりする場合があり、好ましくない。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものを、疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるシリカの製造方法としては、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl+2H+O→ SiO+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも上記シリカに包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用することがより好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
AEROSIL(日本アエロジル社) 130
200
300
380
TT600
MOX170
MOX80
COK84
Ca−O−SiL(CABOT Co.社) M−5
MS−7
MS−75
HS−5
EH−5
Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)
V15
N20E
T30
T40
D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)
Fransol(Fransil社)
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応又は物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法である。
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。更に、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種で又は2種以上の混合物で用いられる。
本発明において、疎水化処理された無機微粉体の疎水特性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定する。具体的には、測定装置として例えば(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機 WET−100Pが挙げられ、以下に例示する方法により測定操作される。
まず、イオン交換水70mlを容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散処理を行う。この中に検体である無機微粉体を0.06g精秤して添加し、無機微粉体の疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。なお、この測定において、サンプル液を容れるためのフラスコとしては、直径5cmの円形を有し且つ厚さ1.75mmのガラス製のものを用い、マグネティックスターラーとしては、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形のフッ素樹脂コーティングが施されたものを用いる。
次に、この測定用サンプル液を6.67s−1の速度で撹拌しながら、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加し、波長780nmの光で透過率を測定し、メタノール滴下透過率曲線を作成する。本発明では、上述の透過率曲線における透過率80%のときのメタノールの滴下量を無機微粉体の疎水化度と定義する。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上、より好ましくは50m/g以上のものが良好な結果を与える。また、本発明に用いられる無機微粉体は1種類であっても、また2種類以上を併用するものであってもよい。
本発明のトナーには、研摩効果の付与、帯電性付与及び流動性付与の目的で、又はクリーニング助剤として、上記以外の無機微粉体を添加しても良い。ここでいう無機微粉体は、トナー粒子に外添することにより、添加前と比較するとより効果が増加し得るものである。本発明に用いられる無機微粉体としては、マグネシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、ストロンチウム、セリウム、カルシウム、バリウム等のチタン酸塩及び/又はケイ酸塩が挙げられる。このような無機微粉体のうち、本発明の効果をより発揮できることから、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)及びチタン酸カルシウム(CaTiO)、ケイ酸ストロンチウム(SrSiO)、チタン酸バリウム(TiBaO)が特に好ましく用いられる。
上記本発明で使用する、流動性向上剤及び他の目的で添加される無機微粒子は、上述したシリカの製造方法以外に、例えば焼結法によって生成し、機械粉砕した後、風力分級して、所望の粒度分布であるものを用いるのが良い。また、無機微粒子は、トナー粒子100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部用いるのが良い。
本発明に用いられるトナーの製造は一般的な製造装置を用いて行うことができ、所望の粒子径が得られれば特に限定するものではない。具体的には、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、並びに必要に応じて添加される離型剤及び磁性材料を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により乾式混合し、ニーダー、ロールミル、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融・混練して樹脂類を互いに相溶させ、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粗粉砕し、粗粉砕物Aを得る。得られた粗粉砕物Aをジェットミル、ミクロンジェット、IDS型ミル等の衝突式気流粉砕機又はクリプトロン、ターボミル、イノマイザー等の機械式粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕品を気流式分級機等を用いて所望の粒度分布を有する分級品(トナー粒子)を得る。この分級品に対して、流動性向上剤及び/又は研磨剤等の無機微粉体を外添混合することで、本発明に用いるトナーを得ることができる。
前述したように、電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度が3.0×10−6cm/V・s以下であるような、キャリア移動度が低い小径の感光体を用いた電子写真装置では、特に低温低湿環境、高プロセススピードという条件下において感光体の感度が不足し、露光から現像までの間に感光体表面の電位が充分に減衰することができず、画像不良の発生を招いていた。しかしながら、本発明の電子写真装置に用いるトナーは、少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂を含む荷電制御剤を含有しているため、特に低温低湿環境下における帯電性に優れる。従って、上記のようなキャリア移動度が低い電子写真感光体を用いた場合でも、現像に必要とされる量のトナーを電子写真感光体表面に供給することができる。よって、本発明の電子写真装置は、電子写真感光体の耐久性に優れ、低温低湿環境においてプロセススピードを高くした場合でも高濃度且つ高画質の画像を形成することができる。
また、本発明の電子写真装置には、更に、電子写真感光体の周辺の温度及び/又は湿度に応じて、除電手段における除電光の光強度を制御する手段を設けることも好ましい。また、電荷輸送層の膜厚によって電子写真感光体の環境依存性が異なってくるため、除電光の光強度を決定する際には電荷輸送層の膜厚も考慮することが好ましい。このような制御手段を、少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂を含有するトナーと共に用いることにより、環境安定性により優れた電子写真装置を得ることができる。
上記除電光の光強度は、電子写真感光体周辺の温度及び/又は湿度、又は電子写真感光体の電荷輸送層の膜厚に応じて最適な画像が得られるよう適宜調整すればよい。具体的には像露光の光強度の1.3〜3.0倍の範囲とすることが好ましい。
次に、後述の実施例中において測定した各種物性データの測定方法を以下に説明する。
(1)粒度分布の測定
粒度分布は、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行う。
測定装置としてはコールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用いる。この装置に、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続する。電解液としては特級又は1級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を用いる。測定に際し、この電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、上記コールターカウンターのマルチサイザーII型により測定を行う。なお、アパーチャーは、トナー粒子の粒径を測定するときは100μmアパーチャーを用い、無機微粉末粒径を測定するときは13μmアパーチャーを用いる。トナー粒子及び無機微粉末の体積及び個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。そして、体積分布から求めた重量基準の重量平均径を求める。
(2)ワックスの融点測定
示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。測定はASTM D3418−82に準じて行う。測定試料2〜10mgを精秤してアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。この吸熱メインピークの温度をもってワックスの融点とする。
(3)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
(4)結着樹脂及び荷電制御剤の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料をTHFに溶解後、0.2μmのフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製又は東ソー(株)製の、分子量が6×10,2.1×10,4×10,1.75×10,5.1×10,1.1×10,3.9×10,8.6×10,2×10,4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポ
リスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、10〜2×10の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,10,10,10の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせが好ましい。
(5)荷電制御剤の酸価の測定
荷電制御剤の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次の方法によって試験を行う。
(i)試薬
0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液、メタノール(試薬1級)、アセトン(試薬1級)、トルエン、ブロムチモールブルー(BTB指示薬)、フェノールフタレイン(PP指示薬)
(ii)装置・器具
電位差滴定装置(装置例;京都電子製AT−117等)
200mlビーカー、回転子、スターラー、化学天秤(0.1mg単位)
(iii)操作
(a)メタノール1Lとアセトン1Lを混合し、BTBを1滴加え、フェノールフタレイン30mlを加えた後、0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液を微赤紫色になるまで加える。
(b)200mlビーカーに試料約1gを精秤し(S[g])、トルエン50mlと上記混合溶液50mlを加え、回転子で撹拌して均一に溶解する。
(c)0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液(力価=f)により、電位差滴定を行い、電位差滴定曲線を得る。
(d)得られた電位差曲線より、滴定開始から第一の変曲点までの滴定量(A’[ml])と滴定開始から第二の変曲点までの滴定量(B’[ml])を求め、下記式により第一の酸価A及び第二の酸価Bを算出する。
第一の酸価A = 5.61×f×A’/S (1)
第二の酸価B = 5.61×f×B’/S (2)
測定により得られる電位差滴定曲線のチャートの一例を図2に示す。図2において、「I」が上述の第一変曲点であり、「II」が第二の変曲点である。これらの変曲点を基に、第一の酸価及び第二の酸価が算出される。
(6)樹脂の酸価の測定
結着樹脂の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、以下に示す方法によって試験を行う。
(i)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1又は2+1)又はベンゼン−エチルアルコール混液(1+1又は2+1);これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液;フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液;水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(ii)操作
試料1〜20gを正しく量りとり、これに溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式 次の式より酸価を算出する。
Figure 2006078684
[A:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料の質量(g)]
(7)結着樹脂の水酸基価の測定
結着樹脂の「水酸基価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。試料1gを規定の方法によってアセチル化するときに水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価といい、以下に示す試薬、操作及び計算式によって試験を行う。
(i)試薬
(a)アセチル化試薬;無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる(場合によっては、ピリジンを追加しても良い)。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス及び酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液;フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/2水酸化カリウム−エチルアルコール溶液;水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日間放置後ろ過する。標定はJIS K 8006によって行う。
(ii)操作
試料0.5〜2.0gを丸底フラスコに正しく量りとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱をうけて温度が上がるの
を防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。更に分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬としてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定する。なお、本試験と並行して空試験を行う。場合によっては、指示薬をフェノールフタレイン溶液に代えてKOH−THF溶液としても構わない。
(3)計算式 次の式より水酸基価を算出する。
Figure 2006078684
[A:水酸基価
B:空試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
D:酸価(mgKOH/g)]
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
〈実施例1〉
(電子写真感光体の作製)
長さ357.5mm、直径30mm、シリンダー部の厚さ0.7mm、最大表面粗さ5.0μm、平均表面粗さ1.0μmのアルミニウムシリンダー(JISA3003アルミニウムの合金)を導電性支持体として用意した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)60部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)70部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)10部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)10部、2−メトキシ−1−プロパノール60部/メタノール60部からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散した。得られた分散液を上記アルミニウムシリンダーの外周面上に浸漬塗布することにより、厚さ15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部とメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解してなる溶液を、上記樹脂層の上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥し、膜厚が0.62μmの中間層を形成した。
次に、下記構造式(3)で示される、アゾ系顔料6部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、シクロヘキサノン180部か
らなる混合溶液をサンドミルで3時間分散した後、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を上記中間層上に浸漬塗布し、50℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.02μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2006078684
次に、下記構造式(4)で示される電荷輸送材料40部と、下記構造式(5)と(6)の共重合体であるポリアリレート樹脂(商品名:Uポリマー、ユニチカ製)50部に、下記構造式(7)で示される、フッソ系樹脂微粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業製)10部をクロロベンゼン450部に溶解/分散して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で1時間加熱乾燥して、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
Figure 2006078684
Figure 2006078684
Figure 2006078684
Figure 2006078684
得られた電子写真感光体について、表面温度が23℃のときの、電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度を測定した。本発明にいう「移動度」は、当該技術分野において、いわゆるゼログラフィー−タイムオブフライト法(X−TOF法)として普通に知られている感光体のキャリア移動度の測定方法である。具体的には、GENTEC製CYNTHIA−71を用いて感光体表面を−700Vに帯電し、波長675nmのレーザー光を100μsec照射して表面電位を減衰させ、この電位減衰曲線の傾きからキャリアの移動度を計算した。電界強度はその時の印加電圧−700Vと測定サンプルの電荷輸送層の膜厚30μmとから求めたものである。
(荷電制御剤の作製)
温度計、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にイソプロピルアルコール286質量部を仕込み、スチレン810質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸70質量部、イソプロピルアルコール401質量部及び水2,575質量部の混合懸濁溶液と、メチルエチルケトン7
55質量部、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)35質量部の混合溶液とを76℃で2時間かけて同時に滴下して重合を行った。更に、同一温度にて4時間熟成した後、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを蒸留除去した後、固液分離を行い、乾燥することで荷電制御剤(a)を得た。なお、重合時の相分離に要する時間は190秒であった。得られた荷電制御剤(a)の第一の酸価は12.8mgKOH/g、第二の酸価は8.0mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)は27,000、数平均分子量(Mn)は11,000、ガラス転移点(Tg)は79.5℃であった。
(トナーの作製)
・結着樹脂(ポリエステル樹脂) 100質量部
(Tg59℃;酸価17.5mgKOH/g;水酸基価25.5mgKOH/g;分子量:ピーク分子量(Mp)6,600、数平均分子量(Mn)2,900、重量平均分子量(Mw)5,6000)
・磁性酸化鉄: 90質量部
(平均粒子径0.14μm;796.5kA/m磁場における磁気特性:抗磁力(Hc)11.3kA/m、飽和磁化(σs)83.5Am/kg、残留磁化(σr)14.6Am/kg)
・荷電制御剤(a) 2質量部
・低分子量エチレン−プロピレン共重合体: 6質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度110℃に設定した2軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、得られた粗粉砕品をターボミルT−250型(ターボ工業社製)にて8μmに微粉砕した後、風力分級機を用いて分級することで、重量平均径7.3μmの磁性トナー粒子を得た。この磁性トナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(BET比表面積;250m/g)1.4質量部をヘンシェルミキサーにて外添して、評価用の磁性トナーを得た。
本実施例で得られた電子写真感光体の電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度(感光体表面温度が23℃の時の値)及び電荷輸送層の膜厚、並びに磁性トナー中の荷電制御剤(a)の第一の酸価Aと第二の酸価Bの比(A/B)を表1に示す。
上記電子写真感光体及び磁性トナーを用いて、温度10℃/湿度10%RHにおける感光体の感度低下率の測定と、画像濃度及びカブリの評価を行った。これらの測定及び評価にはキヤノン(株)製複写機GP405を用いた。この評価機における感光体の表面電位の設定値は、帯電後(Vd部)−730V、露光後(VL部)−180Vであり、現像バイアスは−550Vである。また、プロセススピード(感光体の周速度)は210mm/secである。感光体の感度測定と除電光量の制御のため、上記評価機に像露光及び除電光の光量を容易に可変できるように改造を施した。
(電子写真感光体の感度低下率の測定)
上記評価機を用いて、感光体表面の温度が23℃であり雰囲気湿度が50%RHの環境で、ベタ黒画像を出力した。この時の現像器と対向する位置(即ち現像領域)における感光体表面電位が−180Vとなる像露光量を測定し、これを「感度1[cJ/m]」とした。同様に、感光体の表面温度が10℃であり雰囲気湿度が10%RHの環境でベタ黒画像を出力し、この時の像露光量を測定し、これを「感度2[cJ/m]」とした。得られた感度1及び2より、下記式を用いて感度低下率[%]を求めた。
感度低下率[%] = (感度2−感度1)/感度1×100 (6)
(画像濃度の測定及び評価)
温度10℃/湿度10%RHの環境下でベタ黒画像を作成した。マクベス反射濃度計RD918(マクベス社製)を用いて、得られたベタ黒画像の、原稿濃度が0.00の白地部分(即ち、画像形成前の転写紙)に対する相対濃度を求め、その平均値を算出し、以下の評価基準に従い評価した。
[評価基準]
A:非常に良好(1.40以上)
B:良好(1.35以上1.40未満)
C:普通(1.20以上1.35未満)
D:悪い(1.20未満)
(カブリの測定及び評価)
上記画像濃度の評価の時と同じ環境下でベタ白画像を形成した。得られたベタ白画像について、9箇所について白地部分の白色度と転写紙の白色度の差をカブリ濃度[%]として求め、その平均値を算出し、以下の評価基準に従い評価した。なお、カブリ濃度は「リフレクトメーター」(東京電色社製)により測定した。
[評価基準]
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上2.5%未満)
C:普通(2.5%以上4.0%未満)
D:悪い(4.0%以上
本実施例における測定環境(温度/湿度)、除電光の光量、及び現像バイアス制御の有無の評価条件、並びに感光体の感度低下率、画像濃度、及びカブリの評価結果を表1に示す。なお、表1中の「除電光の光量」欄の数値は、除電光の光量が像露光の光量に対して何倍であるかを示すものであり、例えば、実施例1においては、除電光の光量が像露光の光量の2.7倍であることを示している。また、表2及び3に挙げた除電光の光量は作像中の光量であり、作像後の後回転中はいずれの環境/条件下でも像露光の2.7倍に固定
される。また、表中の現像バイアス制御「有」は、低温/低湿時の環境体表面電位(VL
)の上昇に伴い、VL電位と現像バイアスの差が一定の値になるように、現像バイアスのDC分を変化させたことを示す。
〈実施例2〉
電荷輸送材料の使用量を40部から30部に変更することにより、電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度が1.0×10cm/V・sである電子写真感光体を作製した。得られた感光体を用いた以外は実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
〈実施例3、4〉
実施例1の荷電制御剤の作製において、材料の配合比及び反応時間等を適宜変更することにより、表1に示す酸価の比(A/B)を有する荷電制御剤を得た。得られた荷電制御剤を用いた以外は実施例1と同様の方法により磁性トナーを作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
〈実施例5〉
実施例1において、評価時の環境及び除電光の光量を表1に示すように変更した以外は、上記実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
〈比較例1〜14〉
電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度、及び電荷輸送層の膜厚が表1に示す値を有する電子写真感光体をそれぞれ作製した。また、実施例1の荷電制御剤の作製において、材料の使用量及び反応時間等を適宜変更することにより、表1に示す酸価の比(A/B)を有する荷電制御剤をそれぞれ作製した。得られた荷電制御剤を用いた以外は実施例1と同様の方法により磁性トナーを作製した。得られた電子写真感光体及び磁性トナーをそれぞれ用い、評価時の環境を表1に示すようにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2006078684
比較例1〜3からわかるように、23℃におけるキャリア移動度が十分速い、電荷輸送層の膜厚が薄い、使用環境が特に低温低湿でないときには現像バイアスの補正などの制御がなくとも画像濃度やカブリは使用上問題のないレベルである。しかし、比較例2のように電荷輸送層の膜厚が薄い場合、表1には示されていないが、感光体の寿命が短くなるといった弊害がある。少なくとも25μm以上ないと高耐久とはいえない。実施例1〜4のように荷電制御剤の酸価の比(A/B)所定の範囲内であれば、画像濃度もカブリも使用上問題のないレベルとなるが、比較例4〜11のように荷電制御剤の酸価の比(A/B)が所定の範囲を外れると、画像濃度低下を起こし、これを補正するために現像バイアスを制御しても若干の濃度アップ効果はあるが、問題のないレベルまで補正しきれないばかりか、バックコントラストの低下によるカブリの悪化が発生する。比較例12、13のように、カブリは除電光の光量を下げることで改善できるが、更に画像濃度が低下するといった弊害がある。つまり、本発明の荷電制御剤を含むトナーを用いないとプロセス条件だけでは低温低湿時の画像濃度低下やカブリは補正しきれないことが分かる。更に、低温である5℃においては、除電光の光量の制御を行っていない比較例14ではカブリが発生したのに対し、除電光の光量を制御を行った実施例5ではカブリの発生を小さく抑えることができた。これより、本発明における特定の荷電制御剤を含むトナーを用いても若干のカブリが発生するため、極低温時には除電光の光量の制御によるカブリ低減を行うことが好ましいことが分かった。
除電光の制御に関して以下のように検討した。図3は、除電光の光強度を決定するための工程を示すフローチャートである。電荷輸送層の膜厚と感光ドラムより2cm離れた所に配置された温湿度センサーの温度と湿度の測定値と、電荷輸送層との膜厚から、表2又は表3を参照して除電光の光量を設定することで画像濃度低下やカブリのない画像が得られた。電荷輸送層の膜厚を検知する方法として、帯電ローラーと感光体とに流れる電流量を検知する方法がある、帯電ローラーDC定電圧制御時間内にDC電流検知を複数回行い、その複数回の検知DC電流値を加算あるいは積分し、その平均値を算出する。この検知DC電流値と電荷輸送層の膜厚には相関関係が有る、つまり検知DC電流値から電荷輸送層膜厚が推定できる。電荷輸送層膜厚25μmの感光体を、この方法で測定した結果、検知電流は60μAであった。
Figure 2006078684
Figure 2006078684
本発明の電子写真装置の好適な一例を示す模式的断面図 電位差滴定チャートの一例を示すグラフ 除電光の制御工程の一例を示すフローチャート
符号の説明
1 感光体ドラム
2 帯電手段
3 露光光
4 現像手段
5 転写手段
6 転写材
7 定着手段
8 クリーニング手段
9 除電手段

Claims (3)

  1. 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された、少なくとも電荷輸送層及び電荷発生層を含む感光層と、を有する電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、前記帯電された電子写真感光体上に像露光により静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、前記電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段、並びに前記帯電手段による帯電に先立って前記電子写真感光体上に残留した静電潜像を除電光により一様に除電する除電手段、を備えた電子写真装置であって、
    前記電子写真感光体は、電界強度2.3×10V/cmにおけるキャリア移動度が3.0×10−6cm/V・s以下であり、
    前記トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤及び荷電制御剤を含有し、該荷電制御剤が少なくともスルホン酸、又はスルホン酸塩を有するビニル系単量体ユニットを含有する樹脂を含み、且つ前記荷電制御剤が、(i)電位差滴定法により測定される、第一の酸価Aと第二の酸価Bとを有し、(ii)第二の酸価Bは2〜10mgKOH/gであり、(iii)
    第一の酸価A及び第二の酸価Bが下記式(1)を満足することを特徴とする電子写真装置。
    1.20 ≦ A/B ≦ 2.00 (1)
  2. 前記電子写真感光体の電荷輸送層の厚さが25μm以上であることを特徴とする請求項1記載の電子写真装置。
  3. 前記除電手段における除電光の光強度が、前記電子写真感光体の周辺の温度及び/又は湿度に応じて制御されることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真装置。
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