JP2006078449A - 漏電検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】主回路1に交流電圧を印加してその消費電力を検出することにより、浮遊容量7が大きい場合にも正確な漏電の検出を行うことができる漏電検出装置を提供する。
【解決手段】接地回路から絶縁された主回路1の漏電を検出するための漏電検出装置において、この主回路1と接地回路との間に交流電圧を印加する交流電源2と、この交流電源2によって印加された交流電圧により主回路1と接地回路との間で消費される電力を検出する電力検出回路9と、この電力検出回路9によって検出された電力に基づき主回路1に漏電が発生しているかどうかを判定する漏電判定回路6とを備えた構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気自動車等における主回路の漏電を検出する漏電検出装置に関するものである。
電気自動車は、図3に示すように、自動車を駆動するための主回路1が接地回路(車体フレーム)から絶縁されている。主回路1は、主電池1aと主負荷1bとからなり、主電池1aは、蓄電池や燃料電池等からなる高電圧大容量の電池である。そして、主負荷1bは、自動車を駆動するモータやこのモータに主電池1aから交流電力を供給するインバータ等からなる。
上記主回路1は、接地回路への漏電(地絡)を検出する必要があるため、従来から漏電検出装置が設けられている。この漏電検出装置は、交流電源2を電流検出抵抗器3とカップリングコンデンサ4を介して主回路1と接地回路との間に接続しておき、電流検出抵抗器3での電圧降下を電流検出回路5で測定することにより電流値を検出すると共に、この電流値(例えばピーク値や実効値)が所定値を超えたかどうかを漏電判定回路6で判定することにより、図示しない制御装置に漏電判定信号を送るものである。ここで、交流電源2は、10Hz程度の矩形波の交流電圧を発生する電源であり、カップリングコンデンサ4は、主回路1を接地回路から直流的に絶縁するためのコンデンサである。また、電流検出抵抗器3は、ここに流れる電流を測定するための抵抗値の低い抵抗器である。
上記主回路1が十分に絶縁されている正常時の場合、この主回路1と接地回路との間には、浮遊容量7が介在する他は、ほとんど無視できる程度のインピーダンスしか存在しない。従って、この場合には、交流電源2が主回路1と接地回路との間に交流電圧を印加すると、カップリングコンデンサ4を介したこの浮遊容量7を通じて、電流検出抵抗器3に僅かな電流しか流れないので、電流検出回路5が検出する電流値も小さなものとなる。なお、浮遊容量7は、主回路1の配線や各機器と車体フレームとの間に生じる容量性のインピーダンスであり、この値は、主回路1自体の構成や車体フレームとの配置が異なる電気自動車の車種ごとに大きく相違するだけでなく、同一車種であっても個々の電気自動車ごとにある程度の相違が生じる。
上記主回路1に漏電が発生すると、この主回路1と接地回路との間に、浮遊容量7と並列に漏電インピーダンス8が介在することになる。しかも、漏電インピーダンス8は、漏電電流が流れる回路のインピーダンスであるため、ほとんどが純抵抗成分であり、これに多少のインダクタンス成分が加わったものである。従って、この場合には、交流電源2が主回路1と接地回路との間に交流電圧を印加すると、カップリングコンデンサ4を介し、浮遊容量7だけでなく、この漏電インピーダンス8を通じても電流が流れ、電流検出抵抗器3に比較的大きな電流が流れるので、電流検出回路5が検出した電流値を漏電判定回路6が所定値と比較して漏電を検出することができる。
ところが、上記従来の漏電検出装置では、浮遊容量7が大きい場合に、正常時でも電流検出抵抗器3にある程度大きな電流が流れるために、漏電が発生したときの電流値との差が少なくなり、誤検出が生じ易くなるという問題があった。
なお、交流電源2から主回路1に流れる電流を直接検出する代わりに、予め浮遊容量7と同じ容量となるように調節した可変コンデンサに流れる電流と比較することにより漏電を検出するようにした漏電検出装置も従来からあった(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この漏電検出装置は、図3に示した漏電検出装置の電流検出抵抗器3と電流検出回路5と漏電判定回路6を差動変流器等で実現したにすぎず、実質的には同じ構成であるため、同様の問題が発生する。
特開昭57−119263号公報
本発明は、主回路に交流電圧を印加してその消費電力を検出することにより、浮遊容量が大きい場合に漏電の誤検出が生じ易いという問題を解決しようとするものである。
請求項1の発明は、接地回路から絶縁された主回路の漏電を検出するための漏電検出装置において、この主回路と接地回路との間に交流電圧を印加する交流電圧印加手段と、この交流電圧印加手段によって印加された交流電圧により主回路と接地回路との間で消費される電力を検出する電力検出手段と、この電力検出手段によって検出された電力に基づき主回路に漏電が発生しているかどうかを判定する漏電判定手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記電力検出手段が、前記交流電圧印加手段によって印加された交流電圧の瞬時値と、この交流電圧印加手段と主回路との間に流れる電流の瞬時値とを検出して乗算することにより電力の瞬時値を算出すると共に、この電力の瞬時値を交流電圧の1周期にわたって積分することにより出力電力を検出するものであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、交流電圧により主回路と接地回路との間で消費される電力に基づいて漏電が発生しているかどうかを判定する。ここで、漏電が発生していない正常時には、主回路と接地回路との間に浮遊容量のみが存在すると考えてよいので、電流が進み位相となって電力のほとんどが無効電力となり、有効電力はほとんど消費されない。しかし、漏電が発生すると、主回路と接地回路との間に、純抵抗成分の大きい漏電インピーダンスが加わるので、同相成分の電流が増加して有効電力が増大する。そこで、例えば有効電力のみを検出して、これが所定値を超えれば漏電が発生したと判定すれば、浮遊容量の大きさにかかわりなく、この漏電を容易かつ正確に検出することができるようになる。これに対して、電流のみを検出して判定する場合には、浮遊容量が大きいと、正常時でも無効電力が大きくなるので、検出した電流値自体も大きくなる。このため、漏電発生時に有効電力が大きくなっても、これによって増加する電流の割合が小さくなるので、検出マージンが少ないために誤検出が生じ易くなる。なお、漏電の判定は、有効電力の大きさだけに限らず、有効電力と無効電力や皮相電力との比の大きさ等に基づいて行うこともできる。また、比較対象は、固定された所定値に限らず、種々の条件に応じて検出又は算出した値であってもよい。
請求項2の発明によれば、交流電圧と電流の瞬時値の積を1周期にわたって積分(ディジタル処理の場合は加算)するので、出力電力の平均値に比例した値を算出することができる。従って、このようにして検出した出力電力の大きさを適宜の値と比較すれば、極めて簡単な回路で漏電を正確に検出することができるようになる。
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図2を参照して説明する。なお、これら図1〜図2においても、図3に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
本実施形態では、図1に示すように、従来例と同様の電気自動車の主回路1の漏電を検出する漏電検出装置について説明する。主回路1は、図3に示した従来例と同じ構成であり、主電池1aと主負荷1bとからなる。また、この主回路1と接地回路(車体フレーム)との間には、正常時には浮遊容量7のみが介在し、漏電が発生すると、ほぼ純抵抗成分のみからなる漏電インピーダンス8がこの浮遊容量7と並列に加わることになる。なお、実際には他のインピーダンスも介在するが、これらは非常に小さい値であるため、ここでは無視する。
本実施形態の漏電検出装置は、上記主回路1と接地回路との間に、電流検出抵抗器3とカップリングコンデンサ4を介して交流電源2を接続している。また、交流電源2と電流検出抵抗器3には電力検出回路9が接続されている。電力検出回路9は、まず、交流電源2の両端の電位差から、この交流電源2が印加する交流電圧の瞬時値を検出すると共に、電流検出抵抗器3の両端の電位差から、この電流検出抵抗器3の電圧降下を測定し、これを電流検出抵抗器3の抵抗値で除算することにより、交流電源2から主回路1に流れる電流の瞬時値を検出する。そして、このようにして検出した電圧と電流の瞬時値を随時乗算して有効電力を算出すると共に、この有効電力の瞬時値を交流電圧の1周期にわたって積分し、この積分値を周期で除算することにより有効電力の平均値を算出する。従って、電力検出回路9は、交流電圧の1周期ごとに、主回路1と接地回路との間で消費された有効電力を検出することができる。なお、実際には、電流の瞬時値の算出のために電流検出抵抗器3の抵抗値での除算を行ったり、積分値を周期で除算しなくても、有効電力に比例した値を得ることができ、これによって有効電力の大きさを検出することができる。
上記電力検出回路9で検出された有効電力は、漏電判定回路6に送られるようになっている。漏電判定回路6は、交流電圧の1周期ごとに電力検出回路9から送られて来た有効電力の値を所定値と比較し、この有効電力の値が所定値を超えた場合に、漏電が発生していることを示す漏電判定信号を出力する。そして、電気自動車の主制御装置は、この漏電判定信号を受け取り、漏電が発生していることを示す場合に、警告を発する等の措置を行うことになる。
上記漏電検出装置は、図2に示すように、マイクロコンピュータ10を用いて構成することができる。このマイクロコンピュータ10は、2種類のディジタル値を10Hz程度の周期で交互に切り替えて内部のDA変換器に送ることにより、このDA変換器のアナログ出力ポート10aから10Hz程度の矩形波を出力する(交流電源2)。そして、このアナログ出力ポート10aから出力された矩形波の交流電圧を第1バッファアンプ11で増幅して、電流検出抵抗器3と保護抵抗器12とカップリングコンデンサ4を介して主回路1に印加する。保護抵抗器12は、主回路1の主電池1aや主負荷1bで発生するノイズからマイクロコンピュータ10を保護するための抵抗である。また、この第1バッファアンプ11から出力される交流電圧は、マイクロコンピュータ10の第1アナログ入力ポート10bに入力されて、内部のAD変換器によりディジタル信号の電圧値に変換され、交流電圧の瞬時値として検出される。さらに、電流検出抵抗器3と保護抵抗器12との間の電位は、第2バッファアンプ13で増幅されて、マイクロコンピュータ10の第2アナログ入力ポート10cに入力される。そして、内部のAD変換器によりディジタル信号の電圧値に変換され、第1アナログ入力ポート10bから入力された交流電圧の瞬時値との差を算出することにより、電流検出抵抗器3の電圧降下、即ちこの電流検出抵抗器3を流れる電流の瞬時値として検出される。なお、第1バッファアンプ11や第2バッファアンプ13は、出力インピーダンスを変換して十分な電流が取り出せるようにするものである。
上記マイクロコンピュータ10は、検出した交流電圧の瞬時値と電流検出抵抗器3を流れる電流の瞬時値とをサンプリング周期ごとに乗算して有効電力の瞬時値を算出すると共に、この有効電力の瞬時値を交流電圧の1周期にわたって加算し、この積算値を有効電力として算出する(電力検出回路9)。そして、交流電圧の1周期ごとに算出したこの有効電力を所定値と比較することにより、この有効電力の値が所定値を超えた場合に、主回路1に漏電が発生していると判定する(漏電判定回路6)。なお、このようにしてマイクロコンピュータ10が主回路1の漏電を検出した場合、電気自動車の主制御装置にこれを通知してもよいし、このマイクロコンピュータ10が警告等の措置を実行するようにしてもよい。
上記構成の漏電検出装置によれば、交流電圧の印加によって主回路1と接地回路との間で消費される有効電力が大きくなると漏電が発生していると判定するので、浮遊容量7の大きさにかかわりなく、簡単な構成で漏電の発生を正確に検出することができるようになる。
なお、上記実施形態では、交流電源2としてマイクロコンピュータ10を用いる例を示したが、PWM変換器や発振器の出力をバッファアンプで増幅してもよく、交流電圧を発生させる回路の構成は任意である。また、交流電圧の波形も、矩形波に限らず任意であり、周波数も10Hzに限定されない。
また、上記実施形態では、主回路1と接地回路との間に流れる電流の検出のために、電流検出抵抗器3での電圧降下を測定する場合を示したが、この電流は他の検出手段によって検出することも可能である。
また、上記実施形態では、検出した有効電力を固定の所定値と比較する場合について示したが、この所定値は、漏電検出装置の実装直後に調整することも可能であり、種々の条件に応じて動的に検出したり算出した値を比較対象とすることもできる。さらに、上記実施形態では、主回路1と接地回路との間で消費される有効電力の大きさに基づいて漏電の判定を行う場合を示したが、必ずしも有効電力だけでなく、この有効電力と無効電力の比や有効電力と皮相電力との比の大きさ等に基づいて判定することもできる。
また、上記実施形態では、電気自動車の主回路1の漏電を検出する漏電検出装置について説明したが、直流電源と負荷を備え、車体フレームに限定されない接地回路に対して絶縁された別の主回路の漏電を検出する漏電検出装置にも同様に実施可能である。
本発明の一実施形態を示すものであって、漏電検出装置の構成を示す回路ブロック図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、マイクロコンピュータを用いた漏電検出装置の構成を示す回路ブロック図である。 従来例を示すものであって、漏電検出装置の構成を示す回路ブロック図である。
符号の説明
1 主回路
2 交流電源
3 電流検出抵抗器
6 漏電判定回路
9 電力検出回路

Claims (2)

  1. 接地回路から絶縁された主回路の漏電を検出するための漏電検出装置において、
    この主回路と接地回路との間に交流電圧を印加する交流電圧印加手段と、
    この交流電圧印加手段によって印加された交流電圧により主回路と接地回路との間で消費される電力を検出する電力検出手段と、
    この電力検出手段によって検出された電力に基づき主回路に漏電が発生しているかどうかを判定する漏電判定手段と
    を備えたことを特徴とする漏電検出装置。
  2. 前記電力検出手段が、前記交流電圧印加手段によって印加された交流電圧の瞬時値と、この交流電圧印加手段と主回路との間に流れる電流の瞬時値とを検出して乗算することにより電力の瞬時値を算出すると共に、この電力の瞬時値を交流電圧の1周期にわたって積分することにより出力電力を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
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