JP2006077910A - 真空断熱材、および真空断熱材を具備する冷蔵庫 - Google Patents

真空断熱材、および真空断熱材を具備する冷蔵庫 Download PDF

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Abstract

【課題】真空断熱材の製造工程において、微粉化した水分吸着剤の飛散による作業環境の悪化、大気放置による水分吸着剤の劣化、工数の増大等の問題を生じさせることなく、高い水分除去性能を有する水分吸着剤を提供することで高性能な真空断熱材を提供する。
【解決手段】真空断熱材5の水分吸着剤7として、アルカリ金属の塩化物を含有する酸化カルシウムを使用する。石灰石にアルカリ金属の塩化物を添加し焼成すると、得られる酸化カルシウムが多孔質体となる。このため、吸着能力が向上し、真空断熱材5に適用した場合には熱伝導率が改善する。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空断熱材、および真空断熱材を適用した冷蔵庫に関するものである。
近年、エネルギー問題や環境問題が緊急課題となってきており、エネルギーを有効利用するための施策が種々検討されている。
その一つとして、民生機器である冷蔵庫等の家電製品の省エネルギー化が注目されている。冷蔵庫の省エネルギー化を達成するには冷熱を有効利用することが必要であり、冷蔵庫筐体を構成する断熱箱体を高断熱化することが効率的である。そのため、近年、断熱箱体には、断熱性能に優れた断熱材としてガラス繊維を芯材とする真空断熱材が適用されている。
真空断熱材の芯材は、芯材自身が微細空隙を有する多孔体であるため、その比表面積が大きく吸湿性が高い。さらに、芯材材料が親水性の場合は、より一層吸湿性が高くなる。そのため、ベーキングが実施できない場合、汎用の真空排気装置においては芯材表面に付着した表面吸着水を完全に除去することは容易ではないために、減圧密閉後、表面吸着水の一部が気化することによって、真空断熱材の内圧が上昇し、所望の断熱性能が得られないことがあった。
また、経時的には、徐々に水分やガスが真空断熱材内部に侵入してしまい、これによって真空断熱材の内圧が上昇し、断熱性能が悪化してしまうという課題があった。
そこで、芯材表面に付着した表面吸着水の除去による初期断熱性能の確保や真空断熱材中への経時的な水分やガス侵入による断熱性能の悪化を抑制することを目的として、吸着剤を適用することが提案されている。
従来、吸着剤を適用した真空断熱材としては、水分吸着物質として、シリカゲル、塩化カルシウム、生石灰、五酸化リン、ゼオライト、硫酸カルシウムを適用した真空断熱材がある(例えば、特許文献1参照)。
図3は、特許文献1に記載された従来の真空断熱材を示すものである。図3に示すように、プラスチックラミネートフィルム容器1中に断熱材2が充填され、真空に保持された真空断熱材3において、断熱材2に水分吸着物質4が添加含有されている。水分吸着物質4によって、ラミネートフィルム容器1内に徐々に透過侵入した水分が吸着されるために初期の真空度を保持することが可能となり、長期間、初期の優れた断熱性能を維持することができる。
また、低二酸化炭素濃度雰囲気で平均粒径150μm以下に粉砕もしくは、平均粒径150μm以下に粉砕後、炭酸塩が分解する温度以上で焼成し、低二酸化炭素濃度雰囲気で冷却して製造したアルカリ金属土類金属の酸化物を、真空断熱材用の吸着剤に用いたものがある(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2の吸着剤は、表面積を広くすることによって効率的に炭酸ガスを吸収できる。
特開昭59−225275号公報 特開平11−106539号公報
しかしながら、特許文献1に記載のゼオライト、シリカゲル等の物理吸着剤は、水分吸着速度が速いため、大気中での放置時間が限られることから真空断熱材の製造工程における取り扱い性が低下するだけでなく、高温での賦活処理が必要となり真空断熱材製造時の工数が大幅に増大するなど多くの課題を有していた。
また、特許文献2のように吸着剤の粒径を微細化することによって比表面積を大きくすると、吸着剤が微粉末となることから、それらの飛散により、作業環境が悪化するという問題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、微細化した水分吸着剤の飛散による作業環境の悪化、真空断熱材の製造工程における水分吸着剤の劣化、さらには真空断熱材の製造時の工数を増大させることなく、高い水分除去性能を有する水分吸着剤を適用することで高性能な真空断熱材を提供するものである。
また、高性能な真空断熱材を備えた優れた品質の冷蔵庫を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、芯材にガラス短繊維のウェブの積層体を使用し、水分吸着剤にアルカリ金属の塩化物を含有する多孔質の酸化カルシウムを使用したのである。
これにより、真空断熱材は、その内部圧力の低下と共に気体分子の平均自由工程が低減するため、内部静止気体の熱伝導率が低下し断熱性能が改善される。
一方、減圧密閉後、その芯材に残留した表面吸着水が減圧下にさらされることから、その一部が気化して真空断熱材内部の水蒸気分圧が増大する場合がある。特に、ガラス繊維からなる芯材を適用した場合は、ガラス材料が親水性であること、かつ非晶質のシリカ粉体等と比較してガラス材料の表面エネルギーが小さいことから、表面吸着水の気化により内部の水蒸気分圧が高くなることがあった。
しかし、水分吸着剤を適用することで、この水蒸気分圧を低減することが可能となるため、真空断熱材の熱伝導率を改善することができる。
また、水分吸着剤の中でも酸化カルシウムは、一度吸収した水蒸気を再放出しない、賦活処理が必要ないために、製造時の工数を増大させることがない、吸着容量が大きい、潮解性がない、安価であるなど多数のメリットがある。
さらに、アルカリ金属の塩化物を石灰石に添加焼成すると、アルカリ金属の塩化物が酸化カルシウムの結晶の間に入り込むことによって、酸化カルシウム結晶同士の融着を抑制し、多孔質の酸化カルシウムが得られる。このためにより吸着能力が向上し、真空断熱材に適用した場合には、熱伝導率の改善が可能となる。
本発明の真空断熱材は、減圧密閉後、残留した表面吸着水に起因する水蒸気分圧をより効率的に低減させることが可能となるため、真空断熱材の内圧が低下することから真空断熱材の熱伝導率を改善できる。特に、石灰石の焼成により酸化カルシウムを得る際にアルカリ金属の塩化物を添加すると、アルカリ金属の塩化物が酸化カルシウムの結晶の間に入り込むことによって、酸化カルシウムの結晶同士の融着を抑制し、生成した酸化カルシウムは多孔質となるため、水分を吸着しやすくなり、より一層平衡水蒸気圧を低下させることが可能となり熱伝導率が改善できる。
また、酸化カルシウムは、水と反応して酸化物から水酸化物へ変化する化学吸着剤であるため、吸収した水分を再放出することなく、経時的にも安定した品質の真空断熱材が得られる。また、使用前の賦活処理の必要がないため取り扱い性にも優れていることから、真空断熱材の生産性を改善することができる。
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、芯材と、水分吸着剤と、前記芯材と前記水分吸着剤とを被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、前記外被材の内部を減圧密閉した真空断熱材であって、前記芯材にガラス短繊維のウェブの積層体を使用し、前記水分吸着剤にアルカリ金属の塩化物を含有する多孔質の酸化カルシウムを使用したのである。
真空断熱材に水分吸着剤を使用することで、真空断熱材の内圧のうち水蒸気分圧を低減することができる。その結果、真空断熱材の熱伝導率を低減することができる。また、酸化カルシウムは、賦活処理の必要がなく、一度吸収した水分の再放出を起こさない。
具体的に本発明の酸化カルシウムの製造方法を説明する。
通常は炭酸カルシウムを主成分とする石灰石を850℃以上の温度で焼成することで、脱炭酸反応が起こり、酸化カルシウムが得られるのであるが、原料となる石灰石とアルカリ金属の塩化物を湿式混合し乾燥した後に焼成を行うと、多孔質の酸化カルシウムが得られる。
このとき、アルカリ金属の塩化物を添加することによって生成する酸化カルシウムの結晶は、添加しない場合に比べて大きくなる傾向がある。例えば、アルカリ金属の塩化物を添加せずに1100℃で焼成した酸化カルシウムの結晶の平均サイズは1μm以下であるが、アルカリ金属の塩化物を添加すると、添加物の種類や添加量によって、2μmから10μm程度まで肥大する。
また、アルカリ金属の塩化物の添加により、酸化カルシウムの数nm〜数10nmレベルの細孔が著しく減少し、比表面積は減少する。例えば、石灰石を900℃で焼成したときの細孔分布のピークは20〜100nm程度の範囲であるのに対し、塩化ナトリウムを2%添加して焼成したものは100〜500nmの範囲になる。しかし、細孔が大きくなることで、より細孔内部まで水が拡散しやすくなることと、吸着後の細孔の閉塞が起こりにくくなることによって、吸着能力は向上する。
なお、上記では一例のみを挙げたが、酸化カルシウムの結晶粒子径や細孔分布は焼成温度や添加物の種類や、その添加量によって大きく影響を受ける。例えば、結晶粒子径の場合、焼成温度が高いほど、アルカリ金属の原子番号が小さいほど、添加量が多いほど粒子は大きくなる傾向がある。
ゆえに、本発明における多孔質の酸化カルシウムとは、結晶粒子径が1〜20μmであり、40〜1000nmに細孔分布のピークを持つ酸化カルシウムである。
次に、多孔質となるメカニズムについて説明する。
低温で比較的短時間での焼成が可能であるならば、アルカリ金属の塩化物を添加しなくても、焼結が進まないために比較的細孔が残った酸化カルシウムが得られるのだが、石灰石の外部に対して内部の温度上昇が起こりにくいために、内部まで分解を起こすためには高温にするか、焼成時間を長くする必要があり、これによって、外部の焼結が進んでしまい細孔が消滅してしまうことが多い。これに対しアルカリ金属の塩化物を添加すると、アルカリ金属の塩化物が酸化カルシウムの結晶の隙間に入り込むことによって、結晶同士の融着を抑制し、焼結を抑制することで、多孔質の酸化カルシウムが得られる。
なお、焼成温度は、焼結抑制効果を高めるために、1100℃以下がより望ましい。
また、アルカリ金属の塩化物以外にも、アルカリ金属のハロゲン化物やアルカリ土類金属のハロゲン化物でも同様の現象が起こるが、安全性やコスト、取り扱い性、反応性など面からアルカリ金属の塩化物が最も適している。
なお、通常の酸化カルシウムにも不純物としてアルカリ金属の塩化物が混入していることがあるが、上記製造方法の場合、湿式混合を行っていることから、アルカリ金属の塩化物は均一に分散している。このため、ロット内やロット間で抜き取り検査を行い、含有の有無や含有量のばらつきを確認すれば、不均一に混入している不純物との判別が可能である。また、含有はX線回折や化学分析などによって評価できる。
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明におけるアルカリ金属の塩化物が、酸化カルシウムの結晶間に層を形成する構造になっているものである。
酸化カルシウムの結晶と結晶の隙間に入り込むように、アルカリ金属の塩化物が層を形成することで、酸化カルシウム結晶同士の融着を抑制し、酸化カルシウムの間に隙間が形成される。これによって吸着能力に優れた酸化カルシウムとなる。
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1または2に記載の発明におけるアルカリ金属の塩化物の含有量を、酸化カルシウムの0.1wt%以上4wt%以下としたものである。
アルカリ金属の塩化物は、原料となる石灰石に対し、添加量が非常にわずかであっても効果的に働くことがわかっているが、少なすぎると均一な分散が難しく、また、添加量が多くなりすぎると、比表面積が小さくなりすぎ、またアルカリ金属の塩化物の性質が支配的になり始めるので、酸化カルシウムに対してアルカリ金属の塩化物の含有量は、0.1wt%以上4wt%以下程度が望ましい。
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明におけるアルカリ金属の塩化物を、塩化ナトリウムとしたものである。
塩化ナトリウムは、潮解性がないために取り扱いが容易であり、また、非常に安価である。また、塩化ナトリウムと酸化カルシウムは、結晶構造が同じであり、ナトリウムイオンが、カルシウムイオンと非常にイオン半径が近いため、アルカリ金属の塩化物の中でも最も反応が促進しやすいために、酸化カルシウムの多孔質化に対する効果が高い。
請求項5に記載の冷蔵庫の発明は、少なくとも冷蔵機能を有し、外箱と内箱とで形成される空間に硬質樹脂フォームを充填した断熱箱体及び断熱ドア体を備え、前記断熱箱体または前記断熱ドア体の少なくともいずれかにおいて、前記内箱と前記外箱との間に請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材を具備する冷蔵庫である。
一般に、冷蔵庫庫内環境のような低温度下においては、常温と比べて水と酸化カルシウムとの反応速度は低下する。しかし、本発明の酸化カルシウムは、多孔質であるために水分の吸着が効率的に起こるために吸収反応が大きく低下することなく優れた水分除去性能が得られる。
その結果、真空断熱材は、初期、及び経時的にも優れた断熱性能を保持することが可能となり、長期に渡って消費電力量の低い冷蔵庫が提供できる。
以下に本発明について、より詳細に説明する。
本発明の真空断熱材用の水分吸着剤は、包装材料に包まず使用することで、真空中での水分吸着速度が速くなるが、取り扱い性を改善するため通気性を有する包装材料で包装した包装体として適用することができる。
また、本発明で使用する芯材は、断熱性能の観点からガラス繊維が望ましい。また、ガラス短繊維は、繊維化できるガラス組成物であれば特に問題なく使用できる。より望ましくは、ガラス短繊維の集合体がガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記ウェブ間は集合体の一体性が保持できる必要最低限の交絡により結合され、厚み方向に均質に積層配列されたものが好適である。
更には、外被材のピンホール発生を抑制するためガラスショット等の異物混入のないガラス短繊維がより望ましい。このような条件を満たす汎用工業製品としては、グラスウールが安価、かつ取り扱い性の観点からより望ましい。
また、繊維径は、特に指定するものではないが、繊維径が微細なものはより優れた断熱性能が得られる。しかし、経済性の観点からは平均繊維径が3〜5μmのものを使用するのが望ましい。
本発明の外被材のラミネート構成は特に指定するものではない。
例えば、最内層の熱溶着層には低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムなどが使用可能であり、特に指定するものではない。
また、外部からの気体の透過を抑制するために、金属箔や、金属蒸着、無機蒸着、ダイヤモンドライクカーボンなどを蒸着したプラスチックフィルムなどが使用可能である。金属箔は、アルミニウム、ステンレス、鉄など、特に指定するものではない。
また、蒸着の基材となるプラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリイミドなど特に指定するものではない。
さらに、金属蒸着の材料は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀など、また、無機蒸着の材料は、シリカ、アルミナなど、あるいはそれらの混合物など、特に指定するものではない。
さらに、必要に応じて表面保護層を設けることも可能である。表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品などが使用可能であり、特に指定するものではない。
また、外被材の袋形状は、四方シール袋、ガゼット袋、L字袋、ピロー袋、センターテープシール袋など、特に指定するものではない。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図1において、真空断熱材5は、芯材6と吸着剤7と外被材8とから構成されている
まず、真空断熱材5の作製方法を説明する。
同じ大きさの長方形に切った二枚のラミネートフィルムの熱溶着層同士を向かい合わせて三辺を熱溶着し、袋状の外被材8を作製する。次に、外被材8の開口部から芯材6および吸着剤7を挿入する。これを減圧チャンバー内に設置し、内部が10Pa以下まで減圧した後、開口部を熱溶着により密閉封止している。
次に、真空断熱材5の構成を説明する。
芯材6は、ガラス短繊維からなるウェブ間が物理的交絡により結合されたガラス繊維の積層体であり、平均繊維径3.5μmのグラスウールを所定密度になるまで積層したものを使用し、ガラス繊維の品温がガラスの歪点よりも低い450℃で5分間加熱プレスすることでボード状に成形している。
水分吸着剤7は、塩化ナトリウムを含有した酸化カルシウムを使用しており、石灰石と石灰石100wt%と0.2wt%の塩化ナトリウムを粉体体積比の2〜3倍の水で湿式混合した後、80℃で乾燥し、さらに900℃にて焼成したものである。また、酸化カルシウムは通気性を有する包装材料によって包装されている。
外被材8は、異なる構成の二枚のラミネートフィルムからなり、一枚は外側からナイロンフィルム、ナイロンフィルム、アルミ箔、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの構成であり、もう一枚は外側からナイロンフィルム、蒸着層を有するポリエチレンテレフタレート、蒸着層を有するエチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、直鎖状低密度ポリエチレンであり、蒸着層が向き合うようにラミネートされた構成である。
このように作製した真空断熱材の熱伝導率を測定した結果、熱伝導率は、0.0017W/mKであり、塩化ナトリウムを添加せずに焼成した従来の酸化カルシウムと比較して熱伝導率は0.0003W/mK低減していた。
以上の結果より、塩化ナトリウムを含有した酸化カルシウムを水分吸着剤として適用することで、真空断熱材内部の水蒸気分圧が低減でき、真空断熱材の熱伝導率が低減した。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における真空断熱材を適用した冷蔵庫の断面図であり、本発明の冷蔵庫の一例として示している。
図2に示すように、冷蔵庫9は、冷蔵庫の筐体を形成する断熱箱体10と冷凍サイクルとからなる。断熱箱体10は、鉄板をプレス成形した外箱11と、ABS樹脂等を成形した内箱12とが、フランジ(図示せず)を介して構成している。断熱箱体10の内部には、予め真空断熱材5を配設し、真空断熱材5以外の空間部を、硬質ウレタンフォーム13にて発泡充填したものである。硬質ウレタンフォーム13は、発泡剤としてシクロペンタンを使用している。
断熱箱体10は、仕切り板14にて区切られており、上部が冷蔵室15、下部が冷凍室16となっている。仕切り板14には電動ダンパー17が、冷凍室16の内箱12には、冷却用のファンモーター18とデフヒーター19が取付けられている。
一方、冷凍サイクルは、蒸発器20、圧縮機21、凝縮器22、キャピラリチューブ23を順次環状に接続し、これを形成している。なお、蒸発器20は冷蔵室15と冷凍室16の2カ所に設け、それらを直列に、または並列に繋ぎ冷凍サイクルを形成してもよい。
また、冷蔵庫9にはドア体24が取付けられており、ドア体24の内部には真空断熱材5が配設され、真空断熱材5以外の空間部は硬質ウレタンフォーム13にて発泡充填されている。
なお、真空断熱材5は実施の形態1に示したものと同様の構成のものを用いている。
一般に、冷蔵庫庫内環境のような低温度下においては、常温と比較して水と酸化カルシウムの反応速度は低下する。しかし、本発明の酸化カルシウムは多孔質であることから、水分の吸着が効率的に起こるために吸収反応が大きく低下することなく優れた水分除去性能が得られる。
その結果、真空断熱材は、初期、及び経時的にも優れた断熱性能を保持することが可能となり、長期に渡って消費電力量の低い冷蔵庫が提供できる。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明の真空断熱材についてより具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
ここで、真空断熱材の作製方法および吸着剤以外の構成は実施の形態1と同様であり、吸着剤の仕様のみを変更した。なお、水分吸着剤の乾燥、焼成条件は実施の形態1に示した方法と同様である。
また、熱伝導率は、初期値は真空断熱材作製24時間経過後に測定、耐熱試験後は100℃×30日間の温度加速エージングを実施した後、測定を行った。ここで、耐熱試験は長期断熱性能を加速評価するために実施した。
(実施例1)
吸着剤として、塩化ナトリウムを0.35wt%含有する酸化カルシウムを使用して真空断熱材を作製した。なお、SEM観察による結晶粒子径は平均2μm程度であり、窒素吸着法による細孔分布のピークは40〜200nmの範囲であった。
この真空断熱材の熱伝導率は、初期値が0.0017W/mKであり、耐熱試験後が0.0042W/mKであった。
(実施例2)
吸着剤として、塩化カリウムを0.35wt%含有する酸化カルシウムを使用して真空断熱材を作製した。なお、結晶粒子径は平均4μmであり、細孔分布のピークは60〜300nmの範囲であった。
この真空断熱材の熱伝導率は、初期値が0.0018W/mKであり、耐熱試験後が0.0043W/mKであった。
(実施例3)
吸着剤として、石灰石に塩化ナトリウムを添加焼成して得た、塩化ナトリウムを4wt%含有する酸化カルシウムを使用して真空断熱材を作製した。なお、結晶粒子径は平均3μmであり、細孔分布のピークは200〜800nmの範囲であった。
この真空断熱材の熱伝導率は、初期値が0.0020W/mKであり、耐熱試験後が0.0045W/mKであった。
(実施例4)
吸着剤として、石灰石に塩化ナトリウムを添加焼成して得た、塩化ナトリウムを0.1wt%含有する酸化カルシウムを使用して真空断熱材を作製した。なお、結晶粒子径は平均1.4μmであり、細孔分布のピークは40〜150nmの範囲であった。
この真空断熱材の熱伝導率は0.0018W/mKであり、耐熱試験後が0.0043W/mKであった。真空断熱材を多数作製しても、ほとんどばらつきは生じなかった。
(比較例1)
吸着剤を適用せずに真空断熱材を作製した。
この真空断熱材の熱伝導率は、初期値が0.0030W/mK、耐熱試験後が0.0080W/mKであり、初期、経時性能共に断熱性能は大きく低下した。
(比較例2)
吸着剤として、石灰石にアルカリ金属の塩化物添加せずに焼成して得た酸化カルシウムを使用した。なお、結晶粒子径は平均0.8μmであり、細孔分布のピークは20〜100nmの範囲であった。
この真空断熱材の熱伝導率は、初期値が0.0020W/mK、耐熱試験後が0.0045W/mKであった。
(比較例3)
吸着剤として、石灰石に塩化ナトリウムを焼成添加して得た、塩化ナトリウムを0.08wt%含有する酸化カルシウムを使用して真空断熱材を作製した。なお、結晶粒子径は平均1μmであり、細孔分布のピークは30〜120nmの範囲であった。
この真空断熱材の熱伝導率は、初期値が0.0019W/mKであり、耐熱試験後が0.0044W/mKであった。しかし、真空断熱材を多数作製すると、添加せずに焼成して得たものと同じ性能のものがあり、ばらつきが生じることがわかった。おそらく、塩化ナトリウムの添加量が少ないために均一に分散されていないことが原因である。
以上から、水分吸着剤の適用が、初期、経時性能の低減に効果的であり、中でも、酸化カルシウムにアルカリ金属の塩化物を含有させると、初期性能、経時性能ともに改善できることがわかる。また、(実施例3)と(比較例2)の熱伝導率が同じであることから、アルカリ金属の添加量は4wt%以下が望ましいことがわかる。また、(実施例4)と(比較例3)よりアルカリ金属の添加量は0.1wt%以上が望ましいことがわかる。
以上のように、本発明にかかる真空断熱材は、アルカリ金属の塩化物を含有する酸化カルシウムを水分吸着剤として適用しているので、真空断熱材の熱伝導率を一層低減できることから、優れた断熱性能を有する真空断熱材が提供できる。
よって、本発明の真空断熱材は、冷凍冷蔵庫、冷凍機器、及び米や野菜保冷庫等をはじめとして、冷却システムを有しないクーラーボックスやコンテナボックス等、保冷を必要とするあらゆる機器や設備等に適用することが可能である。また、併せて、保温、遮熱を必要とする機器にも効率的に使用することが可能であり、その結果、大幅な省エネルギー化や省スペース化に貢献できる。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の断面図 従来の真空断熱材の断面図
符号の説明
5 真空断熱材
6 芯材
7 水分吸着剤
8 外被材
9 冷蔵庫
10 断熱箱体
11 外箱
12 内箱
13 硬質ウレタンフォーム
24 ドア体

Claims (5)

  1. 芯材と、水分吸着剤と、前記芯材と前記水分吸着剤とを被覆するガスバリア性を有する外被材とからなり、前記外被材の内部を減圧密閉した真空断熱材であって、前記芯材はガラス短繊維のウェブの積層体からなり、前記水分吸着剤がアルカリ金属の塩化物を含有する多孔質の酸化カルシウムである真空断熱材。
  2. アルカリ金属の塩化物が、酸化カルシウムの結晶間に層を形成する構造である請求項1に記載の真空断熱材。
  3. アルカリ金属の塩化物の含有量が、酸化カルシウムの0.1wt%以上4wt%以下である請求項1または2に記載の真空断熱材。
  4. アルカリ金属の塩化物が、塩化ナトリウムである請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  5. 少なくとも冷蔵機能を有し、外箱と内箱とで形成される空間に硬質樹脂フォームを充填した断熱箱体及び断熱ドア体を備え、前記断熱箱体または前記断熱ドア体の少なくともいずれかにおいて、前記内箱と前記外箱との間に請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材を具備する冷蔵庫。
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