JP2006077364A - 綿と再生セルロース繊維とからなる複合繊維製品の製造方法 - Google Patents

綿と再生セルロース繊維とからなる複合繊維製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 綿繊維及び再生セルロース繊維を両者とも含む糸または布帛に、染色加工を施すにあたり、綿繊維とセルロース繊維との間の染色度合いの均一性(同色性)を向上させるとともに、風合いを損なわず、充分な染色性を付与できるようにする。
【解決手段】綿繊維の表面にあるケンプ(強度が弱く染色性の悪い部分)を十分に除去するとともに、再生セルロース繊維の硬化等の悪影響を生じないようにする。このために、綿繊維及び再生セルロース繊維からなる布帛等を、表面張力が75dyn/cm2以下である水酸化カリウム等の水溶液により、無張力下に、静摩擦係数が未加工品の50〜75%となるまで処理を行う。または、張力下に、静摩擦係数が未加工品の40〜65%となるまで処理を行う。

Description

本発明は、綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品に対して、柔軟性を損なうことなく染色性(同色性)を向上させた繊維製品を製造する方法に関する。
綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品、例えば、綿繊維と再生セルロース繊維との混紡糸を使用した布帛や、綿糸と再生セルロース糸の交織もしくは交編による布帛は、各個の繊維種の欠点を補完し合うような物性等を有することから近年商品化の検討が種々行われている。
綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品に染色処理を施す場合、再生セルロース繊維に比べて綿繊維の染着性が格段に低いため、綿繊維と再生セルロース繊維との間で染色の均一性(同色性)を得る事が困難であった。これは、綿繊維の表面にケンプとよばれる、強度が弱く、染色性の悪い部分を有するため、白ぼけた状態になることが原因と考えられる。
そこで、綿繊維をアルカリ金属化合物、第4級アンモニウム塩基、液体アンモニア、またはアミン類等を用いて改質加工を行うことで染着性向上を図ることが試みられている(特許文献1,特許文献2)。
綿繊維は、上記の処理より強く膨潤収縮をおこし、断面積が増加するとともに円形に近くなることで光沢が増加する。この状態で張力を加えることにより、水洗後もその形態を保つ。また、その際、結晶化度が低下し、非晶領域が増加するので染色性は向上する。
このような綿繊維の改質加工方法としては、「シルケット加工」(マーセライズ加工)が最も一般的である。この加工方法は、綿を主体とする糸、織物などを張力下で高濃度(18.7重量%〜23.5重量%)の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、浸透させた後、洗浄、中和するものであり、染色性の向上、寸法安定性の向上、強度の向上などの効果がある。また、ソフト性、ドレープ性、反発性を付与する方法として液体アンモニアによる加工方法も行われている。
特開平4−202818号公報 特開平9−67766号公報
しかし、綿繊維の染着性向上を目的として従来行われているシルケット加工を綿繊維と再生セルロース繊維とからなる複合繊維製品に施したならば、再生セルロースの硬化が大きく、更に、綿繊維表面のケンプを十分に取り去ることができないため濃色に染色することが困難であるという問題があった。そのため、得られる製品は、商品としての価値が低いものであった。
また、液体アンモニア加工、又はアミン類等を用いた加工では、染色性が向上しないという問題点があった。
本件発明者は、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、綿繊維の表面に存在するケンプ(強度が弱く、染色性の悪い部分)を十分に除去し、かつ繊維表面の平滑度を向上させる処理を迅速に行うことが、上記染色性の向上にとっても、また、再生セルロース繊維の硬化を防ぐ上でも重要であることに着目することとなった。しかも、このような加工が、特定の条件のアルカリ金属化合物の水溶液を用いて容易に行えることを見出した。
すなわち、本発明は、綿繊維と再生セルロース繊維とを混合ないし複合した繊維製品を製造する方法において、綿繊維とセルロース繊維との染色の均一性(同色性)を向上させ、かつ充分な染色濃度を得るとともに、ソフトな風合いを保持させることを目的とするものである。
本発明の綿繊維および再生セルロース繊維からなる複合繊維製品の製造方法は、第1の態様によると、綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品を、24℃における表面張力が75dyn/cm2以下であるアルカリ金属化合物の水溶液により、無張力下に、綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維の50〜75%となるまで処理することを特徴とする。
また、第2の態様によると、綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品を、24℃における表面張力が75dyn/cm2以下であるアルカリ金属化合物の水溶液により、張力下に、綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維の40〜65%となるまで処理することを特徴とする。
ここでいう未加工品とは上記のアルカリ金属化合物水溶液にて処理する前の状態の綿繊維をいう。
アルカリ金属化合物の水溶液は、浸透剤としての界面活性剤成分その他の成分を含んでも良い。また、上記の処理は、ケンプを十分に除去して綿繊維の表面を平滑にするとともに、風合いを損なわずに必要な繊維強度等を保持するように行われるものである。
本発明によると、綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品に染色その他の加工を施すにあたり、再生セルロース繊維の硬化が抑えられソフトな風合いが得られるとともに、以下の品質改善を実現することができる。
まず、繊維製品の見栄えに関連した品質改善として(1)同色性改善、(2)深色化、(3)光沢の向上、(4)防しわ性向上、(5)繊度ムラ改善を実現することができる。また、繊維製品の耐久性その他に関連した品質改善として、(1)寸法安定性向上(2)毛羽立ち防止(3)防しわ性向上を実現することができる。
また、本発明の方法によると、複合繊維製品の全領域にわたってアルカリ金属水溶液による均一な処理を施した後に染色を行うことができる他、布帛上の部分的な領域のみについてアルカリ金属水溶液による処理を施した後に染色を行うことで特定の柄(がら)を付与することも可能である。
本発明の対象となる綿繊維は、繊維長や産地によるタイプがいずれであっても良い。一方、本発明において再生セルロース繊維とは、ビスコース法によるビスコースレーヨン(ポリノジックを含む)、銅アンモニア法によるキュプラ(銅アンモニアレーヨン)、及び、有機溶剤法による「精製セルロース」(「テンセル」(アクゾノーベル社の商標)または「リヨセル(Lyocell)」とも呼ばれる)などのいずれでも良く、フィラメントまたはステープルの形態をとる。
本発明の綿繊維および再生セルロース繊維からなる複合繊維製品としては、(1) 綿繊維と再生セルロース繊維とを混紡した糸、(2) このような混紡糸を用いて織成または編成した布帛、(3) 綿糸または綿繊維を含む糸と、再生セルロース繊維の糸またはこれを含む糸とを用いて交織または交編して得られる布帛が挙げられる。また、他に麻等の天然セルロース繊維を含んでいても良く、更に、ポリウレタン系弾性繊維、およびポリエステル、ポリアミド等の合成繊維を含んでもよい。例えば、(4) 綿繊維及び再生セルロース繊維に、麻等の天然繊維や合成繊維、またはセルロースアセテート等の半合成繊維をさらに混紡するか、もしくは再生セルロースと混繊した糸、及び、(5) これらの糸のみ、もしくはこれらの糸を構成成分とした織物、編物、不織布等であっても良い。
これらを構成する綿繊維を、その表面の静摩擦係数が、無張力でアルカリ金属化合物の水溶液で処理された場合は未加工品の50〜75%、張力を掛けて処理された場合は未加工品の40〜65%になるように処理する。この様な摩擦係数変化率を示すことにより、綿繊維表面のケンプが例えば図1に示すように非常に少なくなることにより白ボケが減少し、更に結晶化度が低下し、非晶領域が増加するので染色性は向上する。綿繊維の繊維長や産地によるタイプに関わらず、静摩擦係数の変化率になるように処理することにより、風合いを損なわずに、染色性を向上することができる。また、このとき、図1中に示すように、再生セルロース繊維には、処理による融着などの大きな変化が見られない。
本発明の処理で使用するアルカリ金属化合物水溶液は、24℃における表面張力が75dyn/cm2以下、特に好ましくは71dyn/cm2以下のものを用いる。75dyn/cm2より大きいと、繊維製品に対するアルカリ金属化合物水溶液の浸透が悪くなり加工ムラの起こるおそれがある。
また、処理液の繊維布帛への内部浸透を促進するために、該アルカリ金属化合物水溶液に界面活性剤を添加して表面張力を75dyn/cm2以下にしたものを用いることもできる。また24℃時の表面張力が75dyn/cm2以下のものを用いれば良く、繊維製品処理時の温度は適宜に決めることができる。
また、前記方法に用いることのできるアルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化フランシウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどを挙げることができる。その中でも、水酸化カリウム(KOH)を用いることが好ましい。水酸化カリウムを主に使用することにより、糸及び布帛の風合いが硬化することを抑えることができる。
処理に用いるアルカリ金属化合物の水溶液の濃度は、10〜50重量%の範囲内であり、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜35重量%である。濃度が10重量%未満では、十分な効果が得られず、一方、50重量%より大きいとそれ以上の効果は望めず、更に布帛の風合いが硬化するなどのおそれがある。すなわち、水酸化カリウム(KOH)の15〜35重量%の水溶液を用いるのが特に好ましい。処理温度は5〜50℃、好ましくは10〜30℃程度のいわゆる常温付近が好ましい。処理時間は1秒〜60分、好ましくは10〜60秒であり、適宜に決めることができる。
更に、水酸化ナトリウム以外のアルカリ金属化合物と水酸化ナトリウムを併用する場合には、水酸化ナトリウムの使用量は2重量%以下が好ましい。2重量%より多くなると風合いが硬くなるおそれがある。
また、アルカリ金属化合物水溶液に、浸透剤を加えることにより均一かつ効率的に加工することができる。この浸透剤としては、アニオン系界面活性剤が好ましく用いられ、具体的にはポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩系、オレフィン類硫酸エステル塩系、アミド結合硫酸エステル塩系、エステル結合スルホン酸塩系、エーテル結合スルホン酸塩系、アミド結合エステル塩系などが挙げられる。
アルカリ金属化合物水溶液からなる処理液を、布帛の全体に均一に付与するためには、パディング法、グラビア法、ロータリースクリーン法、インクジェット法等を用いることができる。また、布帛上に部分的に付与する方法としては、グラビア法、ロータリースクリーン法、インクジェット法等を用いることができる。これら以外の方法であっても、処理液が対象領域中に均一に付与できさえすれば良い。
このようにして、綿繊維及び再生セルロース繊維を含む繊維製品を例えば常温付近でアルカリ金属化合物水溶液に浸漬、浸透させる。この時張力を掛けた状態を保持させても良いし、張力を掛けない状態で行っても良い。張力を掛けた状態を保持させる方法としては、例えば、糸の場合は、カセ糸を2個のドラムに掛け、このドラムの間隔を広げることによって糸に張力を掛ける方法などがあり、織編物の場合はテンターを使用することによって、長さ及び幅方向に張力を掛ける方法などがある。
この処理に際し、処理液中に必要に応じて、浸透剤、蛍光剤、青味剤などを加えても差し支えない。
綿繊維および再生セルロース繊維からなる複合繊維製品に均一にアルカリ金属化合物水溶液を付与した後、5秒〜60分間水または温水を用いて洗浄を行い、該複合繊維製品からアルカリを除去することが好ましい。更に必要に応じて酸性浴を用いた洗い工程を加えてもよい。
以上のような処理の後に染色を行うことにより、未処理のまま染色を行う場合に比べて該複合繊維製品の染色性を格段に向上させることができる。分光光度計によるK/S値で染色性を評価するならば、アルカリ金属化合物水溶液での処理を行わなかった場合のK/S値を基準値(100%)として、150%〜300%のK/S値を達成することができる。
また、アルカリ金属化合物水溶液で処理を行うことにより、綿繊維と再生セルロース繊維との染色の同色性が著しく向上する。綿繊維のみからなる布帛と再生セルロースのみからなる布帛について全く同一の条件にて上記のアルカリ金属化合物水溶液での処理後に染色を行った場合、綿繊維の再生セルロースに対するK/S値の比率は、未加工の場合に50%未満のものが60〜90%にまで向上する。また、染色後の混紡糸や交織布等から、綿繊維と再生セルロース繊維とを分離してK/S値を測定した場合も、これと同様の関係となる。
なお、アルカリ金属化合物水溶液での処理により、綿繊維は、膨潤してねじれが減少し、光沢を生じるようになる。本発明においては、アルカリ金属化合物水溶液での処理により、綿繊維表面のケンプやフィブリルがほとんど除去されるため、更に優れた光沢を有するものとなる。
<実施例>
実施例及び比較例における評価項目及び評価方法は下記のとおりである。
〔アルカリ金属化合物水溶液の表面張力〕
ジュヌイ張力計を用いて、24℃における表面張力を測定した。
〔綿繊維表面摩擦係数比率〕
JIS L 1095に準じて糸摩擦試験機を用いて糸の状態で測定された摩擦係数値から、下記の式を用いて算出した。単位は%である。
アルカリ金属化合物水溶液による処理後に染色加工した綿繊維の静摩擦係数
÷未加工の綿繊維摩擦係数×100
〔染色性〕
染色した布帛の表面色濃度を分光光度計(グレタグマクベス社製、CE―3000)を使用して測定した。なお、表面濃度比は比較例1のK/S値を基準値(100%)とし、他の実施例、比較例のK/S値と比較した。単位は%。
K/S値とは、分光光度計によって測定された反射率をKubelka-Munk関数を用いて染色濃度に比例するような光学濃度値に変換したものである。
〔同色性〕
布帛から綿繊維糸と再生セルロース糸を抜き取り、それぞれについて、上記のK/S値の測定を行った。なお、再生セルロースと綿の同色性は、再生セルロース部のK/S値を基準値(100%)とした時の、綿繊維部のK/S値の比率(%)を、同色性の評価値とした。
〔風合い〕
試料布帛を、JIS L 1096 A法(45°カンチレバー法)により評価した。単位はmm。
〔引裂強度〕
JIS L 1096 B法(シングルタング法)により、タテ糸の綿の引裂強度を評価した。単位はN。
綿繊維と再生セルロース繊維とからなる、タテ糸が綿(30番手単糸)でヨコ糸がレーヨン(40dtex)で、織り密度が経69本/インチ、緯41本/インチである平織物を、アニオン・非イオン配合活性剤(日華化学製、サンモールBH−75)0.1重量%水溶液を用い80℃で20分で精練した後、過酸化水素(35%)15重量%と珪酸ナトリウム0.2重量%と水酸化ナトリウム0.1重量%水溶液を用い90℃×60分で漂白したものを用いた。この平織物を、張力を掛けずに、水酸化カリウム35重量%を含む20℃の水溶液に60秒間浸漬した後、80℃で10分間の湯洗いを2回行った。引き続いて、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後、染料にSUMIFIX BLACK E−XF(住友化学工業株式会社製)を濃度5%owf(繊維重量に対する染料化合物の重量%)にて用い、無水芒硝10重量%とソーダ灰2重量%を添加し、液流染色機を使用し、50℃で染色し乾燥した。仕上げ後の織り密度は経77本/インチ、緯42本/インチであった。染色後、電子顕微鏡にて繊維表面の状態を観察した。
評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたものと同様の織物を、張力を掛けずに、水酸化ナトリウム2重量%、水酸化カリウム30重量%、及びアニオン系界面活性剤(大同合成化学工業株式会社製 ダイゾールS0600)5重量%の水溶液に60秒間浸漬した後80℃で10分間の湯洗いを2回行い、その後、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方にて染色した。評価結果を表1に示す。
なお、仕上げ後の平織物の織り密度は、実施例1と同一の、経77本/インチ、緯42本/インチであった。
実施例1で用いたものと同様の織物を用い、実施例1とほぼ同様の条件で、張力を掛けて、水酸化ナトリウム2重量%、水酸化カリウム35重量%、及びアニオン系界面活性剤(大同合成化学工業株式会社製 ダイゾールS0600)3重量%の水溶液に60秒間浸漬した。続いて、80℃で10分間の湯洗いを2回行い、その後、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方にて染色した。評価結果を表1に示す。
なお、仕上げ後における平織物の織り密度は、経70本/インチ、緯40本/インチであった。
実施例1で用いたものと同様の織物を用い、加工後に加工前の平織物の織り密度、約69本/インチ、緯41本/インチになるような張力を掛けて、水酸化カリウム35重量%、及びアニオン系界面活性剤(大同合成化学工業株式会社製 ダイゾールS0600)4重量%の水溶液に60秒間浸漬した。続いて、80℃で10分間の湯洗いを2回行い、その後、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方にて染色した。評価結果を表1に示す。
なお、仕上げ後における平織物の織り密度は、経70本/インチ、緯40本/インチであった。
比較例1
実施例1で用いた織物を、アルカリ金属水溶液処理を行わず、実施例1と同様の処方により染色を行った。評価結果を表1に示す。なお、平織物の織り密度は、仕上げ後において経70本/インチ、緯40本/インチであった。
比較例2
実施例1で用いた織物を、張力を掛けずに、水酸化ナトリウム18.7重量%の20℃水溶液に60秒間浸漬した。ここで用いた処理水溶液の表面張力は、表1中に示すように84dyn/cm2であった。浸漬後、80℃で10分間の湯洗いを2回行い、その後、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方により染色を行った。結果を表1に示す。なお、仕上げ後の織り密度は経82本/インチ、緯47本/インチであった。
比較例3
実施例1で用いた織物を、張力を掛けずに、−33℃の液体アンモニアに5秒間浸漬した後、熱蒸発法よりアンモニアを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方により染色を行った。評価結果を表1に示す。なお、仕上げ後の織り密度は経80本/インチ、緯45本/インチであった。
比較例4
実施例1で用いたものと同様の織物を、張力を掛けずに、水酸化カリウム5重量%、及びアニオン系界面活性剤(大同合成化学工業株式会社製 ダイゾールS0600)5重量%の水溶液に60秒間浸漬した後80℃で10分間の湯洗いを2回行い、その後、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方にて染色した。評価結果を表1に示す。なお、平織物の仕上げ後の織り密度は、経72本/インチ、緯42本/インチであった。
比較例5
実施例1で用いたものと同様の織物を用い、アルカリ金属化合物水溶液処理時に、張力を掛けて、水酸化カリウム45重量%、及びアニオン系界面活性剤(大同合成化学工業株式会社製 ダイゾールS0600)5重量%の水溶液に60秒間浸漬した。続いて、80℃で10分間の湯洗いを2回行い、その後、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方にて染色した。評価結果を表1に示す。なお、仕上げ後の平織物の織り密度は、経70本/インチ、緯40本/インチであった。
比較例6
実施例1で用いたものと同様の織物を、張力を掛けずに、水酸化カリウム45重量%、及びアニオン系界面活性剤(大同合成化学工業株式会社製 ダイゾールS0600)5重量%の水溶液に24時間浸漬した後80℃で10分間の湯洗いを2回行い、その後、酢酸0.05重量%水溶液にて80℃で10分間中和を行いアルカリを完全に除去した。その後実施例1と同様の処方にて染色した。評価結果を表1に示す。表1中に示すように、同色性が59%と低かった。なお、仕上げ後の平織物の織り密度は、経72本/インチ、緯42本/インチであった。
〔評価結果〕
表1からわかるように、アルカリ金属化合物水溶液処理後に染色を行った布帛(実施例1)は、アルカリ金属化合物水溶液処理を行わずに染色を行った布帛(比較例1)に比べて、染色性及び同色性が著しく向上した。また、通常のシルケット加工を行った布帛(比較例2)に比べると、全体の染色濃度は多少劣るものの、同色性が改善されており、風合いの低下もかなり少なくすることができた。また、図1に、実施例1で得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、ケンプが少なく非常に平滑であった。特に、平滑性は、通常のシルケット加工を行った場合(比較例2;図5)よりも、かなり良好であった。
実施例2では、表1に示すように、染色性及び同色性のいずれに関しても、実施例1と同等の結果となった。但し、風合いが実施例1に比べて若干硬くなった。これは、水酸化ナトリウムを添加したためであると思われる。図2に、実施例2で得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、表面状態は、実施例1のように、ケンプが少なく平滑であった。
実施例3において、染色性、同色性は、実施例2の場合とほぼ同様であった。また、図3の顕微鏡写真に示すように、繊維の表面状態においても、実施例1の場合と同様に、良好であった。但し、風合いが実施例1に比べて若干硬くなった。
実施例4において、染色性、同色性は、実施例1の場合とほぼ同様であった。また、図4の顕微鏡写真に示すように、繊維の表面状態においても、実施例1の場合と同様に良好であった。処理後には、静摩擦係数が未加工品の約46%であった。風合いも実施例1と同等であった。
アルカリ金属水溶液処理を行わなかった比較例1の場合は、表1に示すように、同色性が45%とかなり低かった。また、図5に、得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、綿繊維の表面にケンプが多量に認められ、綿繊維の表面の平滑性は非常に低かった。
水酸化ナトリウムの18.7重量%水溶液を用いた比較例2の場合は、表1に示すように、比較例1に比べて染色性が格段に向上しているが、同色性及び風合いは上記実施例1〜3の場合よりも明らかに劣っている。また、図6に、得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、綿繊維の表面にケンプが多量に認められ、綿繊維の繊維表面の平滑性は低かった。一方、レーヨン繊維には相互の融着が見られた。
液体アンモニアを用いた比較例3の場合、表中に示すように風合いの低下は少ないが、染色性及び同色性において、染色前の処理を行わない場合(比較例1)と大差がなかった。図7に、得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、繊維表面の状態は、実施例1と同様で、ケンプが若干認められる程度であり、平滑性は概ね良好であった。また、表1中に示すように、静摩擦係数の減少は実施例1と同様であった。しかし、表1中段に示す染色性及び同色性は、いずれについても、比較例2より劣っている。
張力を掛けずに5重量%の水酸化カリウム水溶液を用いた比較例4の場合は、表1中に示すように、同色性が48%とかなり低かった。また、図8に、得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、綿繊維の表面にケンプが多量に認められ、綿繊維の表面の平滑性は非常に低かった。
張力を掛けつつ5重量%の水酸化カリウム水溶液を用いた比較例5の場合も、表1中に示すように、同色性が47%とかなり低かった。また、図9に、得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、綿繊維の表面にケンプが多量に認められ、綿繊維の表面の平滑性は非常に低かった。
45重量%の水酸化カリウム水溶液を用いた比較例6の場合、同色性及び染色性が実施例に比べて劣っていた。また、図10に、得られた加工繊維製品の電子顕微鏡写真を示すが、綿繊維の表面のケンプはほとんど見られず、綿繊維の表面の平滑性は若干高かったが、綿の強度低下が大きかった。
実施例1に記載の綿−レーヨン交織布帛についての1組の電子顕微鏡写真である。布帛の各部分についての4枚の写真は、それぞれ、綿糸の側面(左上)及び断面(左下)、レーヨン糸の側面(右上)及び断面(右下)を示す。 実施例2に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 実施例3に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 実施例4に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 比較例1に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 比較例2に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 比較例3に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 比較例4に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 比較例5に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。 比較例6に記載の綿−レーヨン交織布帛についての図1と同様の1組の電子顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品を、24℃における表面張力が75dyn/cm2以下であるアルカリ金属化合物の水溶液により、無張力下に、綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維の50〜75%となるまで処理することを特徴とする綿繊維および再生セルロース繊維からなる複合繊維製品の製造方法。
  2. 綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品を、24℃における表面張力が75dyn/cm2以下であるアルカリ金属化合物の水溶液により、張力下に、綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維の40〜65%となるまで処理することを特徴とする綿繊維および再生セルロース繊維からなる複合繊維製品の製造方法。
  3. 綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品を、24℃における表面張力が75dyn/cm2以下であるアルカリ金属化合物の水溶液により、無張力下で綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維のそれぞれ50〜75%、もしくは、張力下で綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維の40〜65%となるまで処理した後染色を行った綿繊維のK/S値が再生セルロース繊維のK/S値の50〜90%であることを特徴とする請求項1または2記載の綿繊維および再生セルロース繊維からなる複合繊維製品の製造方法。
  4. 綿繊維及び再生セルロース繊維からなる複合繊維製品を、24℃における表面張力が75dyn/cm2以下であるアルカリ金属化合物の水溶液により、無張力下で綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維のそれぞれ50〜75%、もしくは、張力下で綿繊維の静摩擦係数が未加工品の綿繊維の40〜65%となるまで処理した後染色を行った製品全体としてのK/S値が、該アルカリ金属化合物水溶液処理を行わずに染色したものの150%〜300%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の綿繊維および再生セルロース繊維からなる複合繊維製品の製造方法。
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