JP2006077006A - 加齢に伴う過活動膀胱治療薬 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物又はその薬理学的に許容できる塩を含有する、加齢に伴う過活動膀胱の治療薬。
【選択図】 なし
Description
(1)コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物、その薬理学的に許容できる塩又はそれらの溶媒和物を含有する、加齢に伴う過活動膀胱の治療薬。
前記化合物としては、下記一般式で表される環状アミン誘導体を例示することができる。
Jは(a)置換若しくは無置換の次に示す基;(1)フェニル基、(2)ピリジル基、(3)ピラジル基、(4)キノリル基、(5)シクロヘキシル基、(6)キノキサリル基又は(7)フリル基、
(b)フェニル基が置換されていてもよい次の群から選択された基から誘導される一価又は二価の基;(1)インダニル、(2)インダノニル、(3)インデニル、(4)インデノニル、(5)インダンジオニル、(6)テトラロニル、(7)ベンズスベロニル、(8)インダノリル、(9)式
(d)低級アルキル基、又は
(e)式 R1−CH=CH−(式中、R1は水素原子又は低級アルコキシカルボニル基を意味する)
で示される基を意味する。
J1はフェニル基が置換されていてもよい次の群から選択された基から誘導される一価又は二価の基;(1)インダニル、(2)インダノニル、(3)インデニル、(4)インデノニル、(5)インダンジオニル、(6)テトラロニル、(7)ベンズスベロニル、(8)インダノリル、(9)式
J1はフェニル基が置換されていてもよい次の群から選択された基から誘導される一価又は二価の基;(1)インダニル、(2)インダノニル、(3)インデニル、(4)インデノニル、(5)インダンジオニル、(6)テトラロニル、(7)ベンズスベロニル、(8)インダノリル、(9)式
特に、上記Kが置換若しくは無置換のアリールアルキル基又はフェニル基であってもよく、上記J1はインダノニルから誘導される一価の基及び二価の基、インデニル並びにインダンジオニルからなる群から選択される一つの基であってもよい。また、J1としては、置換基として炭素数1〜6の低級アルキル基又は炭素数1〜6の低級アルコキシ基を有してもよいインダノニル基を例示することができる。
上記アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物は、ガランタミン、タクリン、フィゾスチグミン又はリバスチグミンであってもよい。
(2)本発明のコリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容できる塩の有効量を患者に投与することを特徴とする、加齢に伴う過活動膀胱の治療法。
(3)候補物質を非ヒト哺乳動物に投与し、候補物質の存在下及び非存在下における加齢に伴う過活動膀胱の表現型の変化を検出又は測定することを特徴とする、加齢に伴う過活動膀胱を抑制する物質のスクリーニング方法。
膀胱容量、膀胱収縮圧及び残尿量からなる群から選択される少なくとも一つを指標とするものである。
1.コリンエステラーゼ(ChE)阻害作用を有する化合物
本発明において、加齢に伴う過活動膀胱を治療するための有効成分として、ChE阻害作用を有する化合物、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物を含有する。本発明におけるChE阻害作用を有する化合物とは、ChE阻害作用、すなわちChEの活性を可逆的に又は不可逆的に阻害する物質を意味する。本発明において、ChEにはアセチルコリンエステラーゼ(AChE)(EC3.1.1.7)、ブチリルコリンエステラーゼなどが含まれる。本発明のChE阻害作用を有する化合物の好ましい特徴としては、ブチリルコリンエステラーゼに対してよりもAChEに対して高い選択性を有していること、中枢性に作用すること、血液脳関門を通過する能力を有していること、治療に際して必要とされる用量においては重篤の副作用を生じさせることはないことなどを挙げることができる。
(1)コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物
本発明において、ChE阻害作用を有する化合物としては、ドネペジル(donepezil)(アリセプト(ARICEPT)(登録商標))、ガランタミン(レミニール(Reminyl)(登録商標))、タクリン(Tacrine)(コグネックス(Cognex)(登録商標))、リバスチグミン(エクセロン(Exelon)(登録商標))、ジフロシロン(zifrosilone)(米国特許第5693668号明細書)、フィゾスチグミン(physostigmine)(シナプトン(Synapton))(Neurobiology of Aging 26 (2005) 939-946)、イピダクリン(ipidacrine)(米国特許第4550113号明細書)、キロスチグミン(quilostigmine)、メトリフォネート(Metrifonate)(プロメム(Promem))(米国特許第4950658号明細書)、エプタスチグミン、ベルナクリン、トルセリン(tolserine)、シムセリン(cymserine)(米国特許第6410747号明細書)、メスチノン、イコペジル(icopezil)(米国特許第5750542号明細書)、TAK−147(J.Med. Chem., 37(15), 2292-2299, 1994、日本国特許第2650537号公報、米国特許第5273974号明細書)、フペルジンA(huperzine A)(Drugs Fut. , 24, 647-663, 1999)、スタコフィリン(stacofylline)(米国特許第4599338号明細書)、チアトルセリン(thiatolserine)、ネオスチグミン(Neostigmine)、エセロリン(eseroline)若しくはチアシムセリン(thiacymserine)、8−[3−[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−4−ピペリジニル]−1−オキソプロピル]−1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン(特許第3512786号公報)、フェンセリン又はZT−1などが挙げられる。あるいは前記化合物の誘導体または前記化合物のプロドラッグであってもよい。さらに、前記化合物、前記誘導体または前記プロドラッグの薬理学的に許容できる塩又はそれらの溶媒和物などもChE阻害作用を有する化合物の好ましい態様として含まれる。さらには、ChE阻害作用を有する化合物には、国際公開第00/18391号パンフレットに記載されたChE阻害作用を有する化合物などが挙げられる。
(2)環状アミン誘導体
本発明において、ChE阻害作用、特にAChE阻害作用を有する化合物のさらに好適な例としては、次の一般式(I)で表される環状アミン誘導体、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物が挙げられる。本発明において、ChE阻害作用を有する化合物は、好ましくは1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン(ドネペジル)及びその薬理学的に許容できる塩並びにそれらの溶媒和物であり、特に好ましくは1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン・塩酸塩(塩酸ドネペジル)、すなわちアリセプト(ARICEPT)(登録商標)である。
<一般式(I)について>
一般式(I)
(1)フェニル基、
(2)ピリジル基、
(3)ピラジル基、
(4)キノリル基、
(5)シクロヘキシル基、
(6)キノキサリル基又は
(7)フリル基、
(b)フェニル基が置換されていてもよい次の群から選択された基から誘導される一価又は二価の基;
(1)インダニル、
(2)インダノニル、
(3)インデニル、
(4)インデノニル、
(5)インダンジオニル、
(6)テトラロニル、
(7)ベンズスベロニル、
(8)インダノリル、
(9)式
(d)低級アルキル基、又は
(e)式 R1−CH=CH−(式中、R1は水素原子又は低級アルコキシカルボニル基を意味する)
Jにおける(a)グループ「置換もしくは無置換の次に示す基;(1)フェニル基、(2)ピリジル基、(3)ピラジル基、(4)キノリル基、(5)シクロヘキシル基、(6)キノキサリル基又は(7)フリル基」という定義において、置換基としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜6の低級アルキル基;
メトキシ基、エトキシ基など上記の低級アルキル基に対応する低級アルコキシ基;
ニトロ基;
塩素、臭素、フッ素などのハロゲン;
カルボキシル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブチロキシカルボニル基など、上記の低級アルコキシ基に対応する低級アルコキシカルボニル基;
アミノ基;
モノ低級アルキルアミノ基;
ジ低級アルキルアミノ基;
カルバモイル基;
アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基など、炭素数1〜6の脂肪族飽和モノカルボン酸から誘導されるアシルアミノ基;
シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基;
メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基などの低級アルキルアミノカルボニル基;
メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基など前記に定義した低級アルキル基に対応する低級アルキルカルボニルオキシ基;
トリフルオロメチル基などに代表されるハロゲン化低級アルキル基;
水酸基;
ホルミル基;
エトキシメチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などの低級アルコキシ低級アルキル基
などを挙げることができる。上記の置換基の説明において、「低級アルキル基」、「低級アルコキシ基」とは、前記の定義から派生する基をすべて含むものとする。(a)グループの(1)〜(7)の基は、同一又は異なる1〜3個の上記の置換基で置換されていてもよい。
メトキシ基、エトキシ基など上記の低級アルキル基に対応する低級アルコキシ基;
ニトロ基;
塩素、臭素、フッ素などのハロゲン;
カルボキシル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブチロキシカルボニル基など、上記の低級アルコキシ基に対応する低級アルコキシカルボニル基;
アミノ基;
モノ低級アルキルアミノ基;
ジ低級アルキルアミノ基;
カルバモイル基;
アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基など、炭素数1〜6の脂肪族飽和モノカルボン酸から誘導されるアシルアミノ基;
シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基;
メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基などの低級アルキルアミノカルボニル基;
メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基など前記に定義した低級アルキル基に対応する低級アルキルカルボニルオキシ基;
トリフルオロメチル基などに代表されるハロゲン化低級アルキル基;
水酸基;
ホルミル基;
エトキシメチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などの低級アルコキシ低級アルキル基
などを挙げることができる。上記の置換基の説明において、「低級アルキル基」、「低級アルコキシ基」とは、前記の定義から派生する基をすべて含むものとする。
これらのうち、フェニル基に好ましい置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン化低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、ホルミル基、水酸基、低級アルコキシ低級アルキル基、ハロゲン、ベンゾイル基、ベンジルスルホニル基などを挙げることができ、置換基は同一又は相異なって2つ以上でもよい。
また、Bの一連の基において、基内にアミド基を有する場合も好ましい基の一つである。
Kの定義における「置換又は無置換のフェニル基」、「置換もしくは無置換の(フェニル基が置換されてもよい)アリールアルキル基」において、置換基は前記のJの定義において(a)グループの(1)〜(7)において定義されたものと同一のものである。好ましくは、無置換であるか、又は、ニトロ基、メチルなどの低級アルキル基、もしくはフッ素などのハロゲンで置換されてもよい。
<化合物群(A)について>
これらの定義を総合して特に好ましい化合物群をあげれば次の一般式で表される化合物群(A)をあげることができる。
(1)インダニル、
(2)インダノニル、
(3)インデニル、
(4)インデノニル、
(5)インダンジオニル、
(6)テトラロニル、
(7)ベンズスベロニル、
(8)インダノリル、
次式(9)
<化合物群(B)について>
式(A)に含まれる化合物の中でさらに好ましい化合物群としては、次の一般式(B)で表される化合物群をあげることができる。
式(B)に含まれる化合物群の中でさらに好ましい化合物群としては、次の一般式(C)で表される化合物群をあげることができる。
式(C)に含まれる化合物群の中でさらに好ましい化合物群としては、次の一般式(D)で表される化合物群をあげることができる。
K1は置換若しくは無置換のフェニル基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいシンナミル基、置換されてもよいシクロアルキル基を意味する。
1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニル)メチルピペリジン、
1−ベンジル−4−((5−メトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、
1−ベンジル−4−((5,6−メチレンジオキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、
1−(m−ニトロベンジル)−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、
1−シクロヘキシルメチル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、
1−(m−フルオロベンジル)−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、
1−ベンジル−4−(3−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)プロピル)ピペリジン、
1−ベンジル−4−((5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、
1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニル)プロペニル)ピペリジン、及び
1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1,3−インダンジオン)−2−イル)プロペニルピペリジンであり、より好ましくは、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジンである。
(3)製造方法
本発明において用いるChE阻害作用を有する化合物、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物は、公知の方法で製造することができ、前記一般式(I)で表される環状アミン誘導体(例えば、塩酸ドネペジル)は、その代表的な例として、特開平1−79151号公報、日本国特許2578475号公報、日本国特許2733203号公報、日本国特許3078244号公報又は米国特許第4895841号公報などに開示されている方法により容易に製造することができる。また、塩酸ドネペジルは、細粒剤などの製剤としても入手できる。
2.加齢に伴う過活動膀胱の治療薬
本発明において、加齢に伴う過活動膀胱の治療薬とは、ヒト又はヒト以外の生物、例えばウシ、サル、トリ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ブタ、イヌ、ウサギなどの非ヒト哺乳動物由来膀胱の加齢に伴って低下した膀胱容量を増加する作用を有する薬剤を意味する。本発明の治療薬は、コリンエステラーゼ(ChE)(アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を含む)を阻害することで、脳内のCh神経系を賦活し、尿意切迫感、頻尿、尿失禁等の過活動膀胱を改善する。このことは、本発明の治療薬は、加齢に伴う機能低下として、Ch作動性神経活動の低下、好ましくは中枢性のコリン作動性神経活動の低下、あるいは、ACh合成酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼの中枢神経での活性低下に伴って生じる過活動膀胱と膀胱容量の低下の改善に有効であることを意味する。従って、本発明の治療薬は、加齢に伴ってCh作動性神経の活動が低下した患者、例えば老人(高齢者)、アルツハイマー病患者、パーキンソン病患者などの過活動膀胱の治療に有効に用いることができる。また、本発明の治療薬は、排尿収縮期圧には影響を与えず、残尿感を伴わないことが望ましい。また、本発明の治療薬は、加齢に伴う尿意切迫感、頻尿、尿失禁等の治療薬または改善薬と称することも可能である。
(a)疾病又は症状の素因を持ちうるが、まだ持っていると診断されていない患者において、疾病又は症状が起こることを予防すること;
(b)疾病症状を阻害する、即ち、その進行を阻止又は遅延すること;
(c)疾病症状を緩和すること、即ち、疾病又は症状の後退、消失、又は症状の進行の逆転を引き起こすこと。
また、本発明は、加齢に伴う過活動膀胱を抑制する物質、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物のスクリーニング方法を提供するものである。
非ヒト哺乳動物に候補化合物を投与する場合、経口又は非経口的に行うことができる。
の少なくとも一つを指標とすることができる。以下の(a)〜(c)のうち少なくとも1つに該当する場合には、当該物質は加齢に伴う過活動膀胱を抑制する作用を有すると判断することができる。
(b) 膀胱収縮圧を低下させない
(c) 残尿を増やさない
加齢に伴う過活動膀胱の表現型の変化を検出又は測定するためには膀胱内圧を測定する、好ましくは覚醒下の非ヒト哺乳動物の膀胱内圧を測定する。
本発明は、上記方法に使用するための加齢に伴う過活動膀胱を抑制する作用を有する物質、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物をスクリーニングするためのスクリーニングキットも提供する。本発明のスクリーニングキットには、加齢に伴う過活動膀胱の表現型変化を測定するために必要なものが含まれる。表現型変化の測定時に使用される試薬類は、全身麻酔剤(例えば、ハロタン)、生理食塩水が好適に用いられる。このほかに、本発明のスクリーニングキットには、キットの取扱説明書、チューブ、フラスコなどが含まれていてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本実施例により本発明は限定されるものではない。
(a)1−ベンジル−4−ピペリジンカルバルデヒドの合成
・分子式;C13H17NO・1H−NMR(CDCl3)δ;
1.40〜2.40(7H,m)、2.78(2H,dt)、3.45(2H,s)、7.20(5H,s)、9.51(1H,d)
(b)1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニル〕メチルピペリジン・塩酸塩(下記式)の合成
・融点(℃);237〜238(分解)
・元素分析値;C24H27NO3・HClとして、C H N理論値(%):69.64 6.82 3.38、実測値(%):69.51 6.78 3.30
(c)1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン・塩酸塩
・融点(℃);211〜212(分解)
・元素分析値;C24H29NO3・HClとして C H N 理論値(%):69.30 7.27 3.37、実測値(%):69.33 7.15 3.22
3週齢、10週齢、および10月齢の雌性Wistarラットに膀胱瘻を作製し、塩酸ドネペジル5×10-5mg/mlを静脈内投与した後、膀胱内圧測定による膀胱容量の測定を行った。
<材料と方法>
8週齢、12ヶ月齢、24ヶ月齢のS-D雌性ラットを用いた。
12ヶ月齢4匹 平均体重350g
24ヶ月齢4匹 平均体重430g
<結果>
図2は、12ヶ月齢500gのラットに塩酸ドネペジルを投与したときの膀胱内圧曲線の変化を示す例である。塩酸ドネペジル投与によって、膀胱容量は132%増加した。
図3は、塩酸ドネペジルによる膀胱容量の変化率を示す。この変化率は、8週齢、12ヶ月齢、24ヶ月齢のラットにおいてそれぞれ、-6.4%、40.3%、93%であり、24ヶ月齢ラットでは8週齢ラットと比べ、有意に膀胱容量は増加した(p=0.0139)。
を示す。排尿収縮期圧では8週齢、12ヶ月齢及び24ヶ月齢ラットの3群間に有意な差は認められなかった。
以上をまとめると、8週齢、12ヶ月齢及び24ヶ月齢のラットに対し塩酸ドネペジルを投与した結果、高齢になるにつれその膀胱容量の変化率は増大した。24ヶ月齢のラットでは8週齢のラットに比べ変化率が有意に増大した。従って、加齢ラットにおいても脳内のアセチルコリン系の抑制性投射が減弱し、そのため脳選択的にACh系を賦活する塩酸ドネペジルを投与することで膀胱容量が増大したと考えられた。
Claims (17)
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物を含有する、加齢に伴う過活動膀胱の治療薬。
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物が、下記一般式で表される環状アミン誘導体である、請求項1記載の治療薬。
Jは(a)置換若しくは無置換の次に示す基;(1)フェニル基、(2)ピリジル基、(3)ピラジル基、(4)キノリル基、(5)シクロヘキシル基、(6)キノキサリル基又は(7)フリル基、
(b)フェニル基が置換されていてもよい次の群から選択された基から誘導される一価又は二価の基;(1)インダニル、(2)インダノニル、(3)インデニル、(4)インデノニル、(5)インダンジオニル、(6)テトラロニル、(7)ベンズスベロニル、(8)インダノリル、(9)式
(d)低級アルキル基、又は
(e)式 R1−CH=CH−(式中、R1は水素原子又は低級アルコキシカルボニル基を意味する)
で示される基を意味する。
Tは窒素原子又は炭素原子を意味する。
qは1〜3の整数を意味する。
- Jが置換若しくは無置換の(1)フェニル基、(2)ピリジル基、(3)ピラジル基、(4)キノリル基、(5)シクロヘキシル基、(6)キノキサリル基及び(7)フリル基からなる群から選択された一つの基である、請求項2記載の治療薬。
- Jが環状アミド化合物から誘導される一価の基である、請求項2記載の治療薬。
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物が、下記一般式で表される環状アミン誘導体である、請求項1記載の治療薬。
J1はフェニル基が置換されていてもよい次の群から選択された基から誘導される一価又は二価の基;(1)インダニル、(2)インダノニル、(3)インデニル、(4)インデノニル、(5)インダンジオニル、(6)テトラロニル、(7)ベンズスベロニル、(8)インダノリル、(9)式
Tは窒素原子又は炭素原子を意味する。
qは1〜3の整数を意味する。
- Bが式
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物が、下記一般式で表される環状アミン誘導体である、請求項1記載の治療薬。
J1はフェニル基が置換されていてもよい次の群から選択された基から誘導される一価又は二価の基;(1)インダニル、(2)インダノニル、(3)インデニル、(4)インデノニル、(5)インダンジオニル、(6)テトラロニル、(7)ベンズスベロニル、(8)インダノリル、(9)式
Kは水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、フェニル基が置換されてもよいアリールアルキル基、フェニル基が置換されてもよいシンナミル基、低級アルキル基、ピリジルメチル基、シクロアルキルアルキル基、アダマンタンメチル基、フリルメチル基、置換されてもよいシクロアルキル基、低級アルコキシカルボニル基又はアシル基を意味する。〕 - Kが置換若しくは無置換のアリールアルキル基又はフェニル基である、請求項7記載の治療薬。
- J1がインダノニルから誘導される一価の基及び二価の基、インデニル並びにインダンジオニルからなる群から選択される一つの基である、請求項7又は8記載の治療薬。
- J1が置換基として炭素数1〜6の低級アルキル基又は炭素数1〜6の低級アルコキシ基を有してもよいインダノニル基である、請求項7又は8記載の治療薬。
-
環状アミン誘導体が、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニル)メチルピペリジン、1−ベンジル−4−((5−メトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、1−ベンジル−4−((5,6−メチレンジオキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、1−(m−ニトロベンジル)−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、1−シクロヘキシルメチル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、1−(m−フルオロベンジル)−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、1−ベンジル−4−(3−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)プロピル)ピペリジン、1−ベンジル−4−((5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニル)プロペニルピペリジン、及び1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1,3−インダンジオン)−2−イル)プロペニルピペリジンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項2記載の治療薬。 - 環状アミン誘導体が、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジンである、請求項2記載の治療薬。
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物が、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン・塩酸塩である、請求項1記載の治療薬。
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物が、ガランタミン、タクリン、フィゾスチグミン又はリバスチグミンである、請求項1記載の治療薬。
- 請求項1〜14のいずれか1項記載のコリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を加齢に伴う過活動膀胱患者に投与することを特徴とする、加齢に伴う過活動膀胱の治療法。
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物を非ヒト哺乳動物に投与し、当該化合物、その薬理学的に許容できる塩又はそれらの溶媒和物の存在下及び非存在下における膀胱容量、膀胱収縮圧及び残尿量からなる群から選択される少なくとも一つの変化を検出又は測定することを特徴とする、加齢に伴う過活動膀胱を抑制する物質のスクリーニング方法。
- コリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物が、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有する化合物、その薬理学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項16記載の方法。
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